安倍首相の中東歴訪 原発輸出には批判も

http://mainichi.jp/select/news/20130504k0000e020134000c.htmlより、
原発輸出:トップセールス歓迎 各メーカー
毎日新聞 2013年(最終更新 05月04日 13時39分)

 トルコの原発建設計画で、三菱重工業などの企業連合が優先交渉権を獲得した。東芝や三菱重工業、日立製作所などの原発関連メーカーは、首相のトップセールスの成果を「他の原発輸出国に引けを取らなくなる」と歓迎する。原発輸出は、金融支援から核燃料調達、運転まで支援できるかどうかの総合力を問われ、フランスやロシア、韓国などは首相や大統領自ら売り込みをかけるケースが目立つからだ。
 国内メーカーは、福島原発事故で国内事業の将来性を見通せなくなった。原子炉圧力容器で世界シェア8割の日本製鋼所は受注が激減、主力工場で5〜10月に従業員の一時帰休を実施する。
 このため各社とも海外シフトを加速。三菱重工業は13年3月期に1700億円だった受注額を中長期で5000億円まで拡大させる計画だが、増加分のほとんどが海外向けだ。特に、日本と同じ地震国であるトルコへの輸出は最優先の課題で、国内で培った耐震技術をアピールして高い評価を受けた模様だ。
 日本はかねて、ロシアや韓国勢などに比べて高コストが弱点とされており、原発大国の米欧との連合や、電力会社の参加により運転のノウハウもセットで売り込むなどして競争力を回復させる考えだ。ただ、東京電力が事故の影響で輸出ビジネスに加われなくなっており、戦略の立て直しも課題となる。【松倉佑輔】

http://mainichi.jp/select/news/20130504k0000e020133000c.htmlより、
トルコ原発受注へ:国内ジリ貧 輸出頼み
毎日新聞 2013年(最終更新 05月04日 13時33分)

 トルコの原発建設計画で、三菱重工業などの企業連合が優先交渉権を獲得した。今回の安倍晋三首相の中東歴訪では、アラブ首長国連邦(UAE)との原子力協定署名にこぎつけたほか、サウジアラビアとも同協定の交渉に入る方針を確認。福島第1原発事故後に停滞していた原発輸出に弾みがつく可能性があるが、国内では原発の安全性に対する不信感がなお強く、輸出拡大には国内外に説明を尽くす必要がある。【大久保渉、松倉佑輔】

 トルコの原発計画は、黒海沿岸のシノップに4基を新設するもので、総事業費約220億ドル(約2.2兆円)、2020年代前半の稼働を目指す。トルコは23年までに3カ所で原発建設を計画しており、1カ所目はロシア企業が受注。シノップの受注を巡っては、日中韓とカナダが争っていた。首脳会談で優先交渉権を獲得したことで、政府内には「ほぼ受注は内定した」との安堵(あんど)感が広がった。
 安倍政権が原発輸出を後押しするのは、原発ビジネスで経済を活性化するとともに、資源の安定調達につなげたいと考えるからだ。
 新興国では人口増加と経済成長で電力需要が急増。中東諸国は原油輸出を外貨獲得の基幹に位置づけ、国内の電力は原発や再生可能エネルギーなどの普及でまかなう方針だ。
 一方の日本は、原発輸出を成長戦略の柱に据えている。原発は1基数千億円の巨大ビジネス。民主党政権も成長戦略に掲げ官民一体の売り込みを進め、10年にはベトナムでの受注に成功した。しかし、11年3月の福島原発事故を境に脱原発にかじを切り、国による売り込みはストップ。原発プラントメーカーは自力での受注獲得に動いたが、日立製作所が11年に優先交渉権を得たリトアニアでは国民投票で建設計画への反対が6割を超え、東芝が13年に優先交渉権を得たフィンランドも計画変更の可能性が残る。
 こうした中での首相の中東歴訪は、安倍政権が「原発ゼロ」路線を修正したことを内外にアピールし、原発輸出の推進力を復活させた。首相は3日の記者会見で「日本の最高水準の技術に強い関心が寄せられた」と述べ、日本の原発技術の安全性を強調した。
 新興国を中心にエネルギー需要が増える中、政府には、原発の新増設で原油や天然ガスの消費拡大を抑え、輸入燃料費の上昇に歯止めをかけたいという思惑もある。

http://mainichi.jp/select/news/20130504k0000m010065000c.htmlより、
安倍首相:原発輸出でトルコと合意 日本企業に優先交渉権
毎日新聞 2013年(最終更新 05月04日 02時05分)

 【アンカラ影山哲也】安倍晋三首相は3日午後(日本時間3日夜)、トルコのエルドアン首相とアンカラの首相府で会談し、日本の原発を輸出するためトルコとの間で原子力協定に署名することで合意した。同国黒海沿岸のシノップ原発建設事業を巡り、三菱重工業と仏アレバの企業連合に優先的な交渉権を与えることなどを盛り込んだ共同宣言にも署名。2011年の東京電力福島第1原発事故以降、日本にとって初めての原発輸出が動き出す。
 日本の原子力協定署名は、2日のアラブ首長国連邦(UAE)に続き2例目。協定により2国間で原子力の平和利用を確認し、核不拡散の確保を法的に約束する。シノップ原発は総事業費約220億ドル(約2.2兆円)。原子炉4基を建設予定で、2020年代前半の稼働を目指している。両国の具体的な協力を調整する運営委員会も設ける。
 首相は3日、アンカラ市内で記者会見し、原子力協定について「原発事故の経験と教訓を世界と共有し、原子力の安全向上に貢献していくことは、日本の責務だ」と強調。原発輸出や原子力技術の協力を日本の成長戦略の柱に位置付ける意向を示した。
 日本、トルコ両国は共同宣言で、首脳間の頻繁な会談や外相間の定期的な対話を通じ、政治面での連携を強めることで合意。トルコのインフラ整備や農業・医療分野での協力のほか、両国の経済連携協定(EPA)締結に向け交渉を加速させることでも一致した。
 今後、防衛当局間の協議を促進するほか、トルコが国境を接するシリア情勢への重大な懸念を表明。シリア人の人道支援に向けた連携を確認した。
 首相はトルコ訪問で、一連のロシア・中東訪問の日程を終え、政府専用機で4日午後に帰国する。エネルギーの安定確保に向けた「資源外交」を展開するとともに、100人規模の企業関係者が同行。首相歴訪を「トップセールス」と位置付け、原発事故で停滞していた日本の原発輸出を官民挙げて売り込んだ。

 ◇福島原発事故で政府支援が停滞
 日本の原子力プラントメーカーは、米国や新興国での原発新増設の活発化を見込み、海外市場での受注拡大を急いでいる。
 国内では、三菱重工業、東芝、日立の3社がプラント建設を手がける。米ウェスチングハウスを傘下に持つ東芝が07年に中国で4基、08年には米国で4基を受注。10年には、官民でベトナムへの輸出攻勢をかけ、2基を受注した。

http://mainichi.jp/select/news/20130504k0000m010065000c2.htmlより、
 しかし、11年の福島原発事故で政府が輸出を後押しする動きは停滞。リトアニアとフィンランドの建設計画で日本勢が優先交渉権を得たが、リトアニアは国民投票で原発建設への反対が多数となって計画が宙に浮いた形。フィンランドは交渉中だ。【松倉佑輔】

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2013050300509より、
日仏企業が原発受注へ=トルコとも原子力協定

 【アンカラ時事】安倍晋三首相は3日午後(日本時間同日夜)、アンカラのトルコ首相府でエルドアン首相と会談し、トルコ国内の原発プロジェクトに関する原子力協定締結で合意した。両国政府はこの後、協定に署名。優先交渉権が与えられた三菱重工業と仏原子力大手アレバによる原発4基の受注が事実上確定した。
 原子力協定の署名は2日のアラブ首長国連邦(UAE)に続くもの。原発輸出が実現すれば東京電力福島第1原発事故以降初めてで、海外での原発受注に乗り出す安倍政権の姿勢がより鮮明となった。
 トルコは2023年までに黒海沿岸のシノプに原発4基の建設を計画中。原子力協定と合わせて両国政府は「トルコにおける原発および原子力産業の開発のための協力協定(IGA)」も交わし、三菱重工業とアレバの日仏連合が優先的な交渉権を獲得した。
 会談でエルドアン首相が原子力分野の合意について「非常に有意義だ」と述べたのに対し、安倍首相も「喜ばしい」と応じ、トルコの他の原発プロジェクトに対する日本側の関心を伝えた。
 一方、シリア情勢に関してエルドアン首相が、大量の難民受け入れにより財政負担が増していると説明。安倍首相は「人道支援で大きな貢献を行っている。国際社会と連携して対応していきたい」と述べた。
 両首脳は、政治対話強化のための外相協議定期化で一致するとともに、テロ対策、核不拡散でも協力していくことを確認。こうした内容を盛り込んだ「戦略的パートナーシップの構築に関する共同宣言」をまとめ、発表した。(2013/05/04-00:25)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130503/k10014356561000.htmlより、
トルコと原子力協定締結で合意
5月3日 23時54分

ロシア・中東諸国を訪問中の安倍総理大臣は、日本時間の3日夜、トルコのエルドアン首相と会談し、日本の原子力関連技術を輸出できるようにするための「原子力協定」を締結することで合意しました。
安倍総理大臣は、日本時間の3日夜、最後の訪問国トルコの首都アンカラで、エルドアン首相と会談しました。
この中で、安倍総理大臣は「トルコとの友好関係を深め、相互利益に基づく戦略的パートナーシップを築きたい」と述べました。
これに対し、エルドアン首相は「閣僚の相互訪問を活発にさせていきたい。エネルギー分野での協力を強めていきたい。さらに、EPA=経済連携協定の締結に向けた協議も進めていきたい」と述べ、首脳どうしの頻繁な会談や外務大臣による定期的な対話などを通じて、政治面での協力を加速していくことで一致しました。
そして、両首脳は日本の原子力関連技術を輸出できるようにするための「原子力協定」などを締結することや、トルコで計画されているシノップ原子力発電所の建設を巡って、日本に優先的な交渉権を与えることで合意しました。
さらに、両首脳はインフラ整備、医療、農業などの分野でも、関係を強化するとともに、内戦が続くシリア情勢への対応を巡っても協力していくことで一致しました。
一方、東京都の猪瀬知事がアメリカの新聞の取材に対し、オリンピック招致を争うライバル都市のイスタンブールを批判する発言をしたことについて安倍総理大臣が「トルコ側は不快に感じたのではないか。猪瀬知事はおわびと発言の撤回を表明したが、オリンピック憲章とフェアプレーの精神で互いにベストを尽くしたい」と述べたのに対し、エルドアン首相は「安倍総理大臣の発言に感謝する」と述べました。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013050300367より、
安保絡め資源確保=原発輸出には批判も-安倍外交

 安倍晋三首相は3日、一連のロシア・中東歴訪の日程を終えた。安全保障対話の推進を通じて資源大国との関係を強め、エネルギーの安定確保につなげる「安倍外交」の狙いは、一定の成果を上げたと言えそうだ。一方、首相は中東で積極的に日本の原発の売り込みを展開。東京電力福島第1原発事故の影響が続く中、こうした首相の姿勢が国内で論議を呼ぶ可能性もある。
 「今回の訪問は(各国と)重層的な関係を築く契機となった。本格的な経済外交のスタートだ。訪問を通じて強化された各国との関係をてこに、成長戦略につなげていきたい」。首相は3日、アンカラでの内外記者会見で今回の歴訪の意義を強調した。
 訪問した4カ国のうち、トルコを除く3カ国は世界有数のエネルギー供給国。日本が輸入する原油のうちサウジアラビア(33%)とUAE(22%)で半分以上を占める。ロシアからも天然ガスの約1割を輸入している。
 これら資源供給国との絆を深めるための首相の切り札が「安保」だった。ロシアとの間で外務・防衛担当閣僚による「2プラス2」創設で合意したのを手始めに、サウジ、UAEとはそれぞれ外務・防衛両省幹部による安保対話を新設した。
 日本が輸入する原油の8割はペルシャ湾の入り口に当たるホルムズ海峡を通過する。シーレーン(海上交通路)の安全確保のためにもサウジなどとの連携強化は重要だ。プーチン・ロシア大統領と北方領土交渉の再スタートで合意できたことを含め、首相同行筋は「狙い通りの成果が得られた」と手応えを語った。
 また、今回訪問したUAE、トルコとはいずれも原子力協定に調印。サウジとも協定締結を視野に事務レベルでの協議を始めることで合意した。
 特に、トルコとの間では、三菱重工業などが参加する企業連合が同国内の原発受注に事実上成功。首相自らが「トップセールス」に立ち、東電原発事故で停滞していた日本の原発の海外ビジネスに弾みをつけた。
 ただ、原発事故によりいまだに避難を余儀なくされている住民も多い。原子力規制委員会による新規制基準も施行前の段階で、現時点での原発輸出再開には異論もある。
 首相は3日の会見で「過酷な事故の経験と教訓を世界と共有するのは日本の責務だ」と強調したが、民主党の海江田万里代表は東京都内で記者団に「規制委が基準を出すわけだから、それを受けてからだ。国内の動きも考えながらやるべきだ」と指摘。原発の海外展開に傾斜する首相を批判した。(アンカラ時事)(2013/05/03-22:36)

http://mainichi.jp/select/news/20130503k0000m010099000c.htmlより、
安倍首相:原子力協定をUAEと締結
毎日新聞 2013年(最終更新 05月03日 02時41分)

 【アブダビ影山哲也】中東歴訪中の安倍晋三首相は2日午後(日本時間2日夕)、ドバイでアラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド首相と会談し、日本の原子力技術を輸出するための原子力協定に署名した。東京電力福島第1原発事故以降、日本が新たな同協定に署名するのは初めて。韓国が受注した原発輸出に日本が資機材を提供して協力する。
 日本の同協定署名は2011年1月のベトナム以来。会談後、日本企業の油田権益の延長などを盛り込んだ共同声明を発表。訪問には三菱重工、東芝などの企業関係者約100人が同行した。安倍首相は3日(日本時間同)にトルコとの同協定署名も予定している。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130502/k10014343291000.htmlより、
首相 原子力技術の中東輸出に意欲
5月2日 22時15分

安倍総理大臣は、訪問先のUAE=アラブ首長国連邦で記者団に対し、中東諸国では日本の原子力技術に対する期待が高いとして、原子力技術の輸出に力を入れていく考えを示しました。
この中で安倍総理大臣は、今回の中東訪問について、「石油やガスの売り買いだけでなく、政治や安全保障、文化や人の交流といった多層的な関係にしていくのが大きな目的だ。医療技術や食品、食材、インフラなど、生活の質を向上させる分野で、日本の協力を求めている」と述べました。
そのうえで安倍総理大臣は、「中東においては、エネルギー政策を巡り、自国の石油やガスが枯渇していくなかで、新しいエネルギーとして原子力を強く求めている。過酷な事故を経験した日本の水準の高い原子力技術に対する期待は高く、そうした期待に応えていくべきだ」と述べ、中東諸国への原子力技術の輸出に力を入れていく考えを示しました。
さらに安倍総理大臣は、北朝鮮に対する警戒態勢について、「さまざまな情報を総合的に分析した結果、態勢を緩める状況にはない。国民の安全を守るために、万全の態勢で対応していきたい」と述べました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130502/k10014342141000.htmlより、
UAEと「原子力協定」締結で合意
5月2日 21時4分

UAE=アラブ首長国連邦を訪れている安倍総理大臣は、日本時間の2日午後、ドバイでムハンマド副大統領兼首相らと会談し、日本から原子力関連技術を輸出できるようにするための「原子力協定」などを締結することで合意しました。
3番目の訪問国となるUAE=アラブ首長国連邦を訪れている安倍総理大臣は、日本時間の2日午後、首都アブダビからドバイに移動し、日本企業が建設に関わった鉄道を視察しました。
このあと安倍総理大臣は、ムハンマド副大統領兼首相らと会談し、日本と中東の産油国6か国で作るGCC=湾岸協力会議との間で、閣僚級の戦略対話を定期化するとともに、日本とUAEのビジネス環境を整備するため、投資協定の締結に向けた事務レベルの協議を始めたいという考えを伝えました。さらに安倍総理大臣は、「日本はUAEのエネルギーの安定供給に寄与できる」と述べ、省エネや再生可能エネルギー、原子力などの分野で、技術を提供する用意があるという考えを伝えました。
これに対しムハンマド首相は、「多くの分野で日本と協力していきたい。UAEは、日本の中東・北アフリカの扉としての役割を果たしていきたい」などと述べました。そして両首脳は、日本から原子力関連技術を輸出できるようにするための「原子力協定」と、双方の投資・経済交流を促進するための租税条約を締結することで合意し、協定などの署名式に出席しました。おととしの東日本大震災のあと、日本が「原子力協定」に署名するのは初めてです。
さらに、日本とUAEの包括的なパートナーシップを強化するための共同声明が出されたほか、双方の民間企業どうしで医療分野の協力を進めていく覚書などが交わされました。

http://mainichi.jp/select/news/20130410mog00m020011000c.htmlより、
原発輸出:日本国内では慎重なのに……疑問残る官民推進
2013年04月10日

 ◇過去に8メートル超の津波、テロ多発、地震頻発
 原発事故がどれほどの災いをもたらすか、日本はとことん味わわされた。国内の原発は全50基中48基が停止中、新増設は困難で、原発政策は根本的な見直しを迫られている。であれば、他国には利用を勧めないのが普通の神経だろう。だが、原発輸出の準備は着々と整えられている。【戸田栄】

 「ベトナムの技術・管理レベル、政府の行政能力、汚職や腐敗がはびこっている状況からして、日本からベトナムに原発を輸出してほしくはありません」。ベトナムの歴史的文書の研究を行っている国立ハンノム研究所のグエン・スアン・ジエン博士(42)は、伊藤正子・京都大大学院准教授(ベトナム現代史専攻)にそう訴えた。3月16日、ハノイ市内で会った時のことだ。
 ジエン博士は昨年5月、原発建設に反対する署名活動をインターネットで始めた。ベトナム政府の圧力で中止を余儀なくされたが、集めた数百人分は日本政府に送った。伊藤さんは「ベトナムは経済的には自由な面が多いが、政治的には一党独裁で言論や集会の自由が制限されています。政策批判は難しく、逮捕・拘禁の恐れもある。ジエン博士は必死の思いで署名を集めたのです。でも日本政府からは何の返事もない。不誠実ではないでしょうか」と憤る。
 2010年10月、菅直人首相(当時)とベトナムのグエン・タン・ズン首相の会談で、日本は中南部・ニントゥアン省タイアン村のニントゥアン原発2基の建設協力パートナーとなった。現在、プラント輸出に向けての準備が進められ、予定地の地形・地質の調査などを日本原子力発電が行っている。
 伊藤さんは「建設予定地は美しいサンゴ礁がある国家公園と一部重なっていて、環境破壊が懸念されます。過去に8メートルを超す津波に襲われたことがあり、現地の少数民族チャム族の村には『津波の神様』が祭られています。果たして適地と言えるでしょうか」と話す。さらにベトナムは情報格差社会で、多くの国民には原発の是非を考える情報はほとんど与えられず、政府による原発安全神話が一方的に垂れ流されていると指摘する。
 ジエン博士は「日本では、依然として原発を廃止すべきだという意見が大きいと聞いている。自ら廃止を希望しながら、他国に輸出するのは筋が通らない」と話していたという。

http://mainichi.jp/select/news/20130410mog00m020011000c2.htmlより、
 日本は00年代半ば以後、国を挙げて原発プラント輸出を目指してきた。日本原子力産業協会によると、既に原発を運用している国では、イギリスで日立製作所が現地の原発事業会社を買収してウィルファ、オールドベリー両原発の建設を決め、フィンランドでは東芝がハンヒキビ原発建設の優先交渉権を獲得している。新規に原発を導入する国では、ベトナムのほか、トルコで今月初め、三菱重工業とアレバ(仏)の合弁企業が、黒海沿岸のシノップ原発の受注で同国政府と大筋合意した。リトアニア、ヨルダンでも受注に向けた本格的な動きがある。リトアニアでは日立が原発建設の受注を予定していたが、昨年10月の建設の是非を問う国民投票で反対が多数に上り、先行きは不透明になっている。
 新規導入国では、日本が建設だけでなく運営管理、人材育成、燃料調達の面倒も見る「パッケージ型インフラ」の原発輸出となりそうだ。価格は1基6000億円ともされ、パッケージ型輸出となるとさらに巨額の取引となるが、問題は山積している。
 原発輸出に反対するNPO法人「『環境・持続社会』研究センター」理事の田辺有輝さん(33)は、ヨルダンを例に新規導入国への原発輸出を批判する。
 「ヨルダンの予定地は砂漠同様の乾燥地帯にあり、水不足が深刻です。下水処理場の処理水を原発の冷却水に使う考えですが、地震で水が途絶えた時にどこから給水するのか。テロの多い国であることも懸念されますし、80万人都市がわずか15キロと近くにあるほか、首都アンマンからも約40キロ。どう見ても立地条件はひどい。新規導入国は途上国が多く、原発建設計画からして問題が多数ある」。トルコは地震の多い国で、田辺さんは「国民に原発建設に反対する声が根強い」という。
 現在、日本原電が行っているニントゥアン第2原発関連の調査は、ベトナム電力公社の委託を受けた形だが、20億円以上の費用は、温暖化防止のための国際事業などの名目で日本政府が負担。建設資金も日本からの低利融資が求められている。国際環境NGO「FoE ジャパン」理事の満田夏花(みつたかんな)さん(45)は「そこまでして、なぜ原発を売り込まなければならないのでしょうか。原発輸出は国の支援がないと成立しないのではと疑わざるを得ない。また、日本でも未解決の放射性廃棄物の処分問題を、相手国がどう解決するのか見えていません」と疑問を投げかける。

http://mainichi.jp/select/news/20130410mog00m020011000c3.htmlより、
 原発事故が起きた場合の日本の責任はどうなるのか。
 経済産業省原子力政策課では「建設する国が安全を確保しなくてはいけない。日本としては必要な協力はするが、事故時の賠償責任はその国の法律に基づき電力事業者が負うのが原則だ」とする。だが、満田さんは「事故が起きたら相手国の人々から責任を追及されるに決まっています。福島原発事故の原因究明がまだ終わっていない段階、つまり原発の安全確認が十分できずにいるのに輸出しようとしている点にも問題があります」。
 伊藤さんは途上国の内情をよく研究して事業に加わるか否かを決定すべきだと警告する。「必ずしも民主的な国家運営がなされている国ばかりではありません。相手国政府の言いなりになって事業を進めると、実はその国の人々に多大な犠牲を強いる政策に加担することがあります。それは、長い目で見ると両国関係に大きな悪影響を及ぼします」
 アベノミクスを支える3本目の矢・成長戦略で、安倍晋三首相は3月13日「最先端のインフラシステム輸出の後押しは重要な柱だ」と強調した。2月に茂木敏充経産相がサウジアラビアと原子力協力の協議で合意しており、原発輸出の促進は明らかだろう。
 国内向けには慎重な顔をして、原発輸出は推進一辺倒ではとても誠実とは言えまい。

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