産経「国民の憲法」要綱 天皇制軍国主義か

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130426/plc13042605010011-n1.htmより、
産経新聞【主張】本紙「国民の憲法」要綱 戦後体制との決別を急げ
2013.4.26 05:01 (1/3ページ)

 憲法をようやく日本人の手に取り戻せる。自らの力で立ち、国の命運を決し、切り開いていく。この当たり前のことが、本紙の「国民の憲法」要綱の意味である。
 まず現行憲法を正視しよう。国家と国民の主権が認められていない連合国軍総司令部(GHQ)の占領期に制定された「占領憲法」であり、日本の無力化も企図されていた。主権回復から61年を迎えるのに、その憲法を不磨の大典のごとくに崇(あが)め、手を加えようとしていない。
 制定以来、改正が行われていない憲法としては世界でも最古であり、現実との乖離(かいり)は広がる一方だ。自らの安全と生存を「平和を愛する諸国民」に委ねるとの前文が、それを象徴する。
 本紙が「国民の憲法」起草委員会を立ち上げたのも、憲法を根幹から見直さない限り国は衰弱するとの危機感による。要綱作りでは変えてはならないものと、現実に即して変えていくものとを見極めた。
 前者の中心は天皇であり、立憲君主国や元首の明記は、日本の本来の国柄を明確にするものだ。国民主権、平和主義、基本的人権の尊重なども踏襲した。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130426/plc13042605010011-n2.htmより、
2013.4.26 05:01 (2/3ページ)
 変えねばならないものは、いま目の前で起きている数々の国難を見れば明らかだ。「国家機能の不全」が次々と危機を招いている。その最たるものが尖閣諸島に侵略の歩を公然と進める中国である。
 驚くべきは、日本の抑止力がないも同然なことだ。日本領海内で無害でない行為を行う中国公船に対し、国連海洋法条約は取り締まりを認めているにもかかわらず、必要な措置を取ろうとしていない。
 「退去要請」しかできない理由は、強制措置が警察権を超え、軍事力の行使になるためだ。
 憲法9条は軍の保持を禁じ、政府解釈は自衛権の行使も「必要最小限度の防衛のため」としている。領海内での不法行為を排除する軍事力の行使は国際常識なのだが、日本は憲法上認められないとの立場だ。
 周辺国は、この「思考停止」を熟知し、つけ込んでくる。日本固有の領土である竹島と北方領土を、それぞれ不法占拠している韓国とロシアにもあてはまる。
 国民の憲法要綱は「軍の保持」と「領土」保全を明記しており、抑止力は強まる。挑発や不法行為の芽も摘むことができよう。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130426/plc13042605010011-n3.htmより、
2013.4.26 05:01 (3/3ページ)
 軍はまた、憲法第9条1項の「侵略戦争はしない」との趣旨を引き継ぎ、国際社会の平和と安定に協力する。受け身ではなく、真の「平和の守り手」として、「独立自存の道義国家」を世界に示していく。
 戦後の日本は、「経済重視・軽武装」路線を突き進んだ。結果として米国への過度の依存心や甘えが生じた。さらには個人重視の風潮がはびこった。権利を重視するあまり、国家や地域のために尽くす義務を疎(おろそ)かにしてきた戦後民主主義の残滓(ざんし)はなお色濃い。こうした戦後体制との決別を要綱は強く求めている。
 国を守る義務を負うとの精神規定も権利偏重を見直す延長線上にあり、国家を「国民の共同体」とみる基盤を広げる意味を持つ。
 今夏の参院選では、憲法改正の発議要件を衆参両院の「3分の2」から「2分の1以上」に緩和する憲法96条改正が争点になる。国民投票が実施され、一人一人が判断を求められるときもそう遠くない。
 この要綱は、全国民が憲法に向き合い、いかに是正するかを考える羅針盤である。明日以降も要綱の個別課題を取り上げ、憲法論議を深める契機としたい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130427/plc13042703100004-n1.htmより、
産経新聞【主張】天皇と国民の憲法 「元首」と定め地位明確に
2013.4.27 03:09 (1/3ページ)

宮中祭祀は重要な公的行為だ
 「国民の憲法」要綱は天皇の章の第1条で、日本の国柄を「天皇を国の永続性および国民統合の象徴とする立憲君主国である」と明記した。現行憲法は国家像があまりにも希薄だ。国の根本法規である憲法は本来、歴史を踏まえた国家像を最初に示すべきである。
 日本は古代から天皇をいただいてきた固有の歴史を持つ。これは紛れもない事実だ。明治以降、立憲国家としてアジアで最初に近代化を達成した。戦後も、日本が立憲君主国であることは、政府答弁で明らかにされている。

《皇位は「男系」で継承を》
 「象徴天皇」という言葉も、当初はなじみが薄かったが、今では国民の間に定着している。それは、連綿と引き継がれた皇統の歴史があったからだ。現行憲法と同じ首章とし、新たに「国の永続性の象徴」という意味を加えた。
 「天皇は象徴にすぎない」とする解釈が一部にあるが、それは歴史を無視した考え方である。
 第2条で、天皇が「元首」であることを明記した。現行憲法にはないが、「君臨すれども統治せず」という趣旨を明示した。
 元首は「国家を代表する者」という意味だ。君主国では君主、共和国では大統領を指す。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130427/plc13042703100004-n2.htmより、
2013.4.27 03:09 (2/3ページ)
 天皇は、国賓として来日した外国の元首や王族と会見し、外国の大使、公使と接見される。現行憲法下でも、立憲君主国の天皇が外国に対して日本を代表する元首であることは明白である。
 しかし、これまでの政府見解は「元首といってもいい」「元首であるというふうにいっても差し支えない」などとあいまいだった。このような混乱を解消するためにも、「天皇=元首」の明記が必要だと考えられた。
 本紙は、憲法改正を求めた昭和56年5月3日付主張で、「天皇は国民の代表であり、元首であるという法的地位を明確にしてもよいのではないか」と書いている。
 第3条で、皇位は「皇統に属する男系の子孫」が継承するとし、現行憲法の「世襲」(2条)という表現より踏み込んだ。
 自民党の小泉純一郎政権の平成17年、「皇室典範に関する有識者会議」は皇位継承について、たった1年で「女性・女系天皇容認」「男女を問わず長子優先」との報告書を出した。これに先立ち、内閣官房が女系天皇を認める極秘文書を作成していた。「初めに結論ありき」の拙速な議論だった。
 民主党の野田佳彦政権下でも、女性皇族が結婚後も皇室にとどまれる「女性宮家」の創設をめぐる議論が行われた。女性宮家の創設を必要とする論点整理が発表されたが、女系天皇につながる懸念は消えていない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130427/plc13042703100004-n3.htmより、
2013.4.27 03:09 (3/3ページ)
《国民のために祈られる》
 本紙は一貫して、安易な女系天皇容認に反対し、旧皇族の皇籍復帰などを含め男系継承に知恵を絞ることを主張してきた。
 男系が維持されてきた皇統の歴史を軽々に変えてはならない。
 現行憲法にはない天皇の「公的行為」を明記したことも、要綱の大きな特徴である。
 天皇の行為は大別して、国事行為、公的行為、私的行為の3つに分類される。
 国事行為は、憲法に定められた内閣総理大臣の任命、国会召集、衆院解散などだ。公的行為は、全国戦没者追悼式や全国植樹祭への出席、被災地訪問などだ。
 天皇はこれらの公務のほか、年間約25回の宮中祭祀(さいし)を執り行われている。元日の四方拝に始まり、1月3日の元始祭、10月17日の神嘗祭(かんなめさい)、11月23日の新嘗祭(にいなめさい)などだ。多くの憲法学者は、これらを天皇の私的行為としている。
 しかし、宮中祭祀は、天皇が国民のために、皇室の祖先である天照大神をはじめ、八百万(やおよろず)の神々に国の安寧と豊穣(ほうじょう)を祈願する行事だ。決して私的行為ではない。
 新たに設けた公的行為に関する規定で、最初に「伝統に基づく皇室祭祀」と明記した。
 2年前の東日本大震災の後、天皇、皇后両陛下は被災地や避難所を訪問し、被災者一人一人に声をかけて励まされた。自らも節電するなどして苦難を分かち合われた。当時の菅直人政権の指導力不足が指摘される中、陛下をはじめ皇族方の励ましが、復興を目指す被災者や国民にどれだけ勇気と力を与えたか計り知れない。
 天皇が「私的」にでなく、常に国家と国民のために祈られていることを忘れてはならない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130428/plc13042803250002-n1.htmより、
産経新聞【主張】安全保障と憲法 「軍」が道義国家支える 自立し日米同盟に双務性を
2013.4.28 03:25

 現行憲法の核をなす「戦争の放棄」こそは、美名の下に国家の自立にタガをはめて、抑止力を阻害する元凶であった。本紙の「国民の憲法」要綱は、これを民主国家では一般的な「国防」に改め、軍の保持による「独立自存の道義国家」へ道を開いた。
 戦後日本が建前とするのは、第2章第9条の「戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認」であり、国民はその護持を教え込まれてきた。とくに護憲勢力は、第9条のおかげで日本が戦争に巻き込まれずにすんだと世間を欺いた。

 ◆偽善の第9条よさらば
 だが、国際政治の現実は、そうした空想的平和主義が通用するような甘い世界ではない。日本が巻き込まれなかったのは、戦争放棄の偽善的条項ではなく、日米安全保障条約に基づく同盟の軍事力ゆえに他ならない。米ソ冷戦時代の核抑止力と同様に、冷戦後のいまも、それは生きている。
 戦後の宰相、吉田茂は昭和21年5月に内閣を発足させると、連合国軍総司令部(GHQ)がつくった憲法草案にそって検討を始めた。草案には、日本が二度と米国に歯向かわないようにする意思が刻まれ、第1条の天皇と第9条の戦争放棄に、それは集約されていた。GHQは天皇の地位を事実上の“人質”に、国防まで放棄するよう迫っていたのである。
 吉田は占領憲法の制約下で、日本独立と経済復興を最優先の政治課題とした。独立にあたっては、憲法の不完全さを補うため、米国に日本防衛を担ってもらう日米安保条約の締結を働きかけた。その経緯からしても、吉田はサンフランシスコ講和条約を受けて、主権が回復した段階で、憲法改正を目指すべきであった。
 それは日米同盟があっても、決して矛盾しない。むしろ、日米安保条約に自立と双務性を加味し、真の同盟条約にすべきである。だが、吉田時代は国民に反軍機運が強く、米国の保護膜から脱皮しようとの動きは薄らいでいった。しかも、護憲派は第9条改正の動きに「戦争ができる国にするのか」と人々の敗戦トラウマに訴えた。その自己欺瞞(ぎまん)によって、抑止力を強化して戦争を仕掛けられないようにするという普通の国の思考は葬られていく。
 しかし、あれから六十余年を経て、日本を取り巻く国際環境は劇的に変わった。日本は周囲を中国、ロシア、北朝鮮という核保有国や開発国に囲まれ、領土領海では日常的に軍事大国からの威嚇を受けている。中国との力の均衡が崩れ、これを制御する抑止力が著しく低下してしまった。
 日本はこれまで9条2項を「平和主義」に読み替え、非核三原則、専守防衛で安全神話の化粧を施してきた。実際には兵器システムの近代化で攻撃なき防御は難しい。さらに、集団的自衛権は保持しているが、行使できないという理不尽な政府解釈をとる。日本は主権を守るための抑止力を、自ら破壊してきたといえるだろう。

 ◆「法の支配」明確にした
 本紙の要綱では第15条(国際平和の希求)で、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求」との基本姿勢を示し、「国際法規に従って、国際紛争の平和的解決に努める」と誓った。これまで発表された他の改憲諸案の国防条項にはない「法の支配」を明確に打ち出している。
 その上で、現行憲法9条2項にある「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」との条項を全面的に改めた。国家に自衛権があることは疑いないのに、交戦権を認めなければ悪辣(あくらつ)な侵略者を排除できないからである。
 そこで要綱では、第16条1項で「国の独立と安全を守り、国民を保護するとともに、国際平和に寄与するため、軍を保持する」と明記した。また、軍の名称を「国防軍」「国軍」とするかは、3項で「軍の構成および編制は、法律でこれを定める」として、法律に委ねた。軍に対する文民統制が、背広組による文官統制に陥る弊害を除くため、同条2項で「軍に対する政治の優位は確保されなければならない」と明示した。
 日本を封じるためにつくられた現行憲法は、すでに66年を生きる。ドイツの憲法に相当する「基本法」は、すでに50回以上も改正されている。日本はようやく、真の主権、独立、名誉を取り戻すときを迎えたのである。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130430/plc13043003160002-n1.htmより、
産経新聞【主張】憲法と保護規定 家族愛と絆を大切にする
2013.4.30 03:16 (1/2ページ)

 「国民の憲法」要綱は23条で、現行憲法にない「家族の尊重、保護」規定を設けた。戦後、個人主義が強調される中、ややもすれば忘れがちな「家族の絆」の大切さを思い起こしたい。
 東日本大震災から2年たった今も、肉親を失った家族が助け合いながら懸命に生きる姿が、毎日のように伝えられてくる。
 3月上旬、猛吹雪に襲われた北海道湧別町で、9歳の長女を寒さから守るため、父親が長女に覆いかぶさったまま力尽き、長女が助かった話は、子を思う親の愛の深さを思い知らされた。
 その一方で、親による児童殺害や虐待の例が後を絶たない。4月下旬、6歳の女児の遺体を横浜市内の雑木林に埋めた疑いで、母親と元同居相手の男の2人が逮捕された。女児は学校に通わせてもらえず、日常的に暴行を受けていた可能性がある。
 全国の警察が平成24年中に摘発した児童虐待事件は、前年比22・9%増の472件に上った。
 東京などの大都会で、老人が家族にみとられず、孤独死するケースも増えている。一体、家族愛はどこへいってしまったのか。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130430/plc13043003160002-n2.htmより、
2013.4.30 03:16 (2/2ページ)
 現憲法の元になった連合国軍総司令部(GHQ)草案には、家族を「人類社会の基底」とする条文があった。だが、「日本の法文の形になじまない」と日本側から削除を求め、GHQが同意した。
 これがほとんど修正されないまま、個人の尊厳と両性の平等をうたった現行憲法24条の規定になっている。
 欧米では、家族の価値(ファミリー・バリュー)は個人の尊厳とともに重視され、多くの国の憲法に家族保護規定がある。日本の憲法で家族の規定が無きに等しいのは、重大な欠陥のひとつだ。
 家族は社会を構成する最小単位である。まず、そこで親子愛や兄弟愛がはぐくまれる。やがて社会に出て、友情や隣人愛、郷土愛が芽生え、それらが自然な形で国を愛し、伝統文化を尊重する心につながっていくことが望ましい。
 今、日本で家族の問題は、拉致問題とも切り離せない。
 北朝鮮に拉致された横田めぐみさんらは、家族との絆を引き裂かれたままだ。早期救出を求める署名は4月下旬、1千万人を超えた。拉致被害者が一日も早く家族との再会を果たせるよう、国民の願いを世界に広げたい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130501/plc13050103250004-n1.htmより、
産経新聞【主張】憲法と権利・義務 「国守る意識」を高めよう
2013.5.1 03:25 (1/2ページ)

 「国民の憲法」要綱では、国民の権利と義務の見直しを図った。現行憲法で掲げられた基本的人権の重要性を踏襲しつつも、義務や責任、公共心の軽視など行き過ぎた人権偏重がもたらす弊害に着目し、両者のバランスを取った。
 要綱では、人権について「人間の尊厳は、これを侵してはならない」(第22条)と現行憲法の「個人の尊厳」より根源的な規定を設けた。
 具体的には「すべての国民は、この憲法が保障する基本的人権を享有する」と定めたうえで、自由および権利は「国政上、最大限尊重されなければならない」(第17条)とした。
 その一方で、「権利は義務を伴う。国民は、互いに自由および権利を尊重し、これを濫用(らんよう)してはならない」(第18条)と定め、人権の主張が無際限に認められるものでないことも明記した。国家の緊急事態や公共の利益、公の秩序を害する恐れがある場合を対象に、人権の制約を可能と定めた。
 現行憲法では、権利と義務に関する規定が第10条から第40条まで並んでいるにもかかわらず、義務はわずか3つだけだ。こうした偏重を是正するため、要綱では現行憲法第22条の「国籍離脱の自由」など不要と思われる条項は割愛した。代わって「環境に対する権利および義務」(第43条)や「人格権」(第22条)など、新しい権利を積極的に規定した。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130501/plc13050103250004-n2.htmより、
2013.5.1 03:25 (2/2ページ)
 また、国民の義務として「憲法を守る義務」(第112条)のほか、「国民は、国を守り、社会公共に奉仕する義務を負う」(第19条)などを新設した。
 徴兵は現状では不要とするにとどめた。世界中の多くの国も、「国防の義務」を憲法でうたっている。軍は極めて高度な専門集団となり、志願制が世界の趨勢(すうせい)になっている。こうした精神規定がなお必要なのは、国防が国民の広い理解や協力なしに成り立たないからだ。
 世界規模で行われる意識調査「世界価値観調査」では、「もし戦争が起こったら、国のために戦うか」の設問に「はい」と答えた割合は、日本は15%台と著しく低く世界最下位が続いている。
 国家の存在なくして人権の庇護(ひご)はもちろん、生存さえ保障されない。国民が「国防」という大切な機能を常に意識し、協力していく義務規定は不可欠である。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130503/plc13050303110002-n1.htmより、
産経新聞【主張】統治機構と憲法 間接選挙で参院再生を 「地域主権」は国の統一そぐ
2013.5.3 03:10

 憲法施行66年を迎えた。ようやく日本人自らの手で憲法を改正できる状況がみえてきた。
 自民党や日本維新の会などが、改憲の発議要件を衆参両院の「3分の2以上」から「過半数」に緩和する憲法96条改正を打ち出し、今夏の参院選の主要な争点になるからだ。
 改憲が現実の政治日程にのぼり、国民投票が行われる。そのとき、羅針盤になるのが現行憲法の問題点を摘出し、新たな国家像として「独立自存の道義国家」を打ち出した本紙の「国民の憲法」要綱である。

 ≪知事による推薦も検討≫
 要綱は、国会や内閣など国家の統治機構に対しても抜本的な見直しを提起した。
 とりわけ衆参両院のねじれ現象の下で重要法案の成立が阻まれるなどの「決められない政治」を打破することを主眼に二院制のあり方にメスを入れたのが特徴だ。
 具体的には第60条で「参議院は、直接選挙および間接選挙によって選出される議員で組織する」と、参院に間接選挙を導入することを明示した。
 間接選挙とは、有権者が議員を直接、選ぶのではなく、まず選挙人を選び、選挙人が議員を選挙する仕組みだ。
 参院創設時にも間接選挙や衆院や地方議会が参院議員を選ぶ「複選制」、職能団体による「推薦制」などが検討されたが「公選」や「平等」などに反する疑いがあるとして採用されなかった。
 参院は結局、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」という現行憲法43条が立ちはだかった結果、「良識の府」とされた独自色は失われ、党派がはびこり、衆院の「カーボンコピー」と揶揄(やゆ)される存在になってしまった。
 間接選挙は、ここに大きな風穴をあける。中長期的な政策判断ができ、専門的分野に詳しい人材を参院に集めることができる。間接選挙制をとるドイツの連邦参議院は各州政府の代表者で構成される。代表者とは州議会から選ばれた州の首相や閣僚だ。
 今回、国民の憲法起草委員会からは、知事が間接選挙の候補者を推薦する案や、地方議員らが投票で選出するなどの考えが示された。英知を集めた制度を構築していきたい。直接選挙も、各県から2人ずつ選ぶなどの案が出た。衆参ともに選挙区と比例代表という似通った仕組みを変えなければならない。
 参院の独自性も明確にした。行政監視院の設置や国会同意人事を参院で先に審議するなどだ。
 一方で衆院の優越も強めた。衆院可決後、参院で否決された法案を衆院で再議決する際のハードルを、現行の3分の2から過半数に下げた。「決める政治」の確立に役立つ。

 ≪政策本位の会期原則に≫
 国会改革では、会期をめぐるルールを転換させた。衆院議員の任期を「立法期」とし、「立法期中に議決に至らなかった案件は、次の立法期に継続しない」(第65条)ことを打ち出した。
 国会法には「会期不継続の原則」があり、重要法案を廃案に追い込みたい野党は国会ごとに引き延ばし戦術を展開する。政策本位とはかけ離れた政治の機能不全を断ち切ることにした。
 地方自治では、地方自治体に対して「国の統一性の保持に努め、国と協力しなければならない」(第107条)ことを求めた。地方に主権の一部を与えれば国家の統一性は失われる。民主党などが使い出した「地域主権」という考え方を否定した。与野党が推進しようとしている道州制については、市町村を基礎としたうえで「これを包摂する広域地方自治体」(第106条)を認めることで対処することにした。
 最高裁判事を罷免するかどうかを示す国民審査制度は形骸化しているため廃止する。それに伴い、現実離れした司法判断や検察の暴走などの事態を防ぐため、国民の司法参画の機会を保障する規定を置いた(第52条)。
 「軍」を保持することに伴う軍事裁判所の設置(第90条)は、文民統制の確保や軍の規律維持、軍事機密の保護などが目的だ。
 現行憲法は特別裁判所を認めておらず、自衛官は一般の裁判所で裁かれる。軍人を律する軍刑法も課題だ。いびつな国のかたちの解消は急務である。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130504/plc13050403090007-n1.htmより、
産経新聞【主張】緊急事態と憲法 私権制限が国民の命守る サイバー攻撃の備えが急務だ
2013.5.4 03:09

 「国民の憲法」要綱は緊急事態条項を設けた。主権を持つ独立国家の憲法に必要不可欠な規定だ。2年前の東日本大震災の教訓を踏まえ、独立の章立てにした。
 緊急事態は、外国からの武力攻撃や内乱、テロ、大規模災害など国の安全や国民の生命に危険がさし迫っている状態を指す。現行憲法には、国会閉会中の参院の緊急集会の規定(54条)しかない。
 しかも、この規定は連合国軍総司令部(GHQ)の草案になく、日本側が再三、申し入れた結果、やっと挿入されたものだ。日本が主権と独立を回復した昭和27年以降、この不備な規定を放置したのは、政府の怠慢ともいえる。

 ≪非常時法制の欠陥正せ≫
 諸外国の憲法は、緊急事態に政府が緊急命令を発したり、議会が防衛の権限を行使したりする規定を設けている例が多い。緊急命令は、必ずしも議会の閉会中に限られていない。国家の非常時をほとんど想定していない日本のような憲法は、世界で皆無に近い。
 要綱は国会が開会中、閉会中にかかわらず、緊急事態が発生した場合に、首相が緊急事態宣言を発することができるとした。
 現行の災害対策基本法(災対法)も、大規模災害時に首相が「災害緊急事態の布告」を発することができると定め、生活必需品の配給や物価統制などの緊急措置を行えるとしている。
 東日本大震災で、当時の菅直人首相は国会が閉会中でなかったことを理由に、災対法に基づく災害緊急事態の布告を行わず、「重大緊急事態」に対処するための安全保障会議も開かなかった。
 このため、被災地でガソリンや医薬品が不足し、救援活動に支障が出る事態が生じた。菅氏の指導者としての不作為責任は免れないが、災対法に使い勝手の悪い面があったことも否定できない。
 要綱はさらに、緊急事態の際、「必要やむを得ない範囲」で制限できる人権(私権)として、「通信の秘密」「居住、移転および職業選択の自由」「財産権」などを列記した。
 非常時の私権制限は、国民の命を守るために不可欠である。
 外国からの武力攻撃に備えた国民保護法は、国民の協力について「自発的な意思にゆだねられる」「強制があってはならない」などとしている。国民の自由と権利の制限は「必要最小限のもの」に限られ、「公正かつ適正な手続き」を求めている。
 私権制限が無きに等しい国民保護法の下で、非常時に国民の協力が十分に得られるかは疑問だ。
 本紙はこれまでも、国際人権規約が非常時の一時的な自由・権利の制限を認めていることなどを指摘し、国家非常時における私権制限の必要性を訴えてきた。
 災対法や国民保護法の改正は、憲法改正を待たずに可能である。安倍晋三政権に、実効ある法改正を期待したい。

 ≪日米連携して防護策を≫
 要綱は、緊急事態の具体的なケースとして、「重大なサイバー攻撃」を加えた。国家の中枢機能や国民のライフラインに重大なダメージを与えかねない新しい形のテロや戦争に備えるためだ。
 最近では、日本を標的にしたサイバー攻撃は、防衛産業や衆院のサーバーのほか、在外公館のパソコンなどにも及んでいる。平成22年9月の中国漁船衝突事件の直後は、防衛省や警察庁などの政府系機関が集中的に狙われた。
 発信元のほとんどは中国とみられるが、北朝鮮も中国国内のIPアドレス(識別番号)を経由して海外へのサイバー攻撃を行っているといわれる。
 中国などが狙う日本の防衛機密には、米軍情報も含まれる。憲法改正の前に、日本は同盟国の米国などと連携し、早急に防護策を講じる必要がある。
 本紙は昭和56年元日付主張で、全国紙で初めて憲法改正を打ち出して以降、一貫して、「戦力不保持」を定めた9条の改正や緊急事態対応の必要性を訴えてきた。今回、本紙が示した「国民の憲法」要綱は、32年間の憲法に関する主張の集大成である。読者から忌憚(きたん)のない意見、批判を求めたい。
 安倍首相は現行憲法について、「自分たちでつくったというのは幻想だ」と指摘し、「改正することで、初めて憲法を自分自身のものとして国民の手に取り戻せる」と述べている。参院選に向け、改憲論議を一層盛り上げたい。

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