被災地の交通 「途切れた鉄路どうする」

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 5月 4 日(土)付
被災地の交通―途切れた鉄路どうする

 NHKの朝の連続テレビ小説で1両だけの鉄道車両が軽やかに走る。岩手県沿岸で被災した第三セクター三陸鉄道がモデルだ。南北に分かれた路線を復旧中だが、間をつなぐJR東日本の山田線は手つかずだ。
 鉄路はつながって力になる。でもその費用をだれが出すか。過疎地に共通する難題である。
 東日本大震災で、三鉄は線路などの300カ所以上を被災した。国費108億円によって来春に全通する予定だ。一方で、山田線はJRが線路をはがしてバスの専用道化する仮復旧の提案をしただけだ。不便だと地元は反対し、足踏みしたままだ。
 鉄道軌道整備法という法律がある。被災した赤字の鉄道に補助できるが、そうでない鉄道には国費を使えない。三鉄は赤字だった。国土交通省によると、JR東日本は黒字企業だから自社復旧が原則だ。
 三鉄線に接続するJR大船渡線、その先の気仙沼線は、すでにバス専用道になった。3線はJR東日本の67在来線のなかで営業が下位の路線だった。JRには、これらの路線を将来も維持できるかという不安がある。
 地元に密着する三鉄でさえ、1984年の開業時に比べて、乗客は3分の1に減った。少子化に加え、公共施設、大型店、住宅地が秩序なく郊外に広がった。バス会社も経営が厳しい。これほどマイカーにたよる社会になったのは、大店法はじめ規制緩和政策の結果でもある。
 その反省から、被災地は駅前などに公共施設や住まいを集めるコンパクトシティー構想を進める。鉄道は欠かせない。
 山田線についてJRは、線路復旧などの140億円は自社負担の可能性を示し、街づくりにあわせた線路かさ上げなどの加算分70億円は公費負担を求めている。復興庁、国交省は早く議論を進めるべきだ。
 そのとき、地元も山田線の三セク化や自治体負担を考えるべきだ。いくら切実でも、JRや国だのみは結局のところ、よその地方との分配の問題になる。将来にわたって守っていける保証はない。
 震災直後、被災者を運んだ三鉄は再起への大きな力だった。過疎地の交通は効率だけで語れないし、経済を忘れても守れない。これは全国の問題だ。

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