「英霊」という名の犠牲者? 牧太郎氏

http://mainichi.jp/opinion/news/20130507dde012070003000c.htmlより、
牧太郎の大きな声では言えないが…:「英霊」という名の犠牲者?
毎日新聞 2013年05月07日 東京夕刊

 参院山口補選で圧勝した安倍政権。その勢いは止まらない。

 この夏「衆参ダブル選挙」に持ち込めば、歴史的大勝!とお世辞を言う向きもある。

 でも……浅き川も深く渡れ!

 慎重に、慎重になってほしい。

 先月24日の参院予算委員会。麻生太郎副総理ら閣僚3人の靖国神社参拝に中国、韓国が反発していることに触れ、安倍晋三首相は「尊い英霊に尊崇の念を表するのは当たり前のことであり、閣僚がどんな脅かしにも屈しない自由は確保している」と答弁した。他国のことにイチャモンをつけるな!と威勢が良い。

 だが、中国、韓国の「脅かし」と決めつけるには無理がある。

 中国、韓国は「閣僚の参拝は日本の軍国主義的侵略の歴史を否定する」と主張する。侵略戦争を指導したA級戦犯を合祀(ごうし)する靖国神社を参拝するのは、侵略戦争を肯定することにならないか?という理屈である。

 一理ある。事実、自民党内でもA級戦犯分祀が議論されてきた。

 「英霊」という言葉の使い方にも「荒っぽさ」を感じる。

 「英霊」は死者、特に戦死者の霊を敬う言葉。明治初期、靖国神社、護国神社に祭られている戦没将兵は「忠魂」「忠霊」と呼ばれていた。それが、日清、日露戦争以降、お上が意識的に「英霊」という言葉を使うようになった。

 しかし……冷静に考えてみよう。靖国神社に祭られる人々は、強権力によって、いや応なく戦争に動員され命を落とした人たちだ。

 「英霊」と英雄視されるが、その実、時の権力者の「暴走の犠牲者」になってしまった人々である。

 誰かが「英霊」という美名を「目くらまし」に使っている。そのカラクリを一番よく知っているのは、中国でも韓国でもない。日本人である。

 ワシントン・ポストは電子版(4月26日付)で「歴史を直視できない安倍首相」というタイトルの社説を掲載。「中国や韓国の激しい憤りは理解できる」と痛烈に批判した。

 戦争を美化してはならない!

 そんなことは“百も承知、二百も合点”の首相と思うが……「荒っぽい言葉」で、同盟国にまで誤解されることもあるまい。

 安倍首相、今こそ、浅い川を深く渡ってくれ!
(専門編集委員)

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