日中韓の対話 「環境協力を次へつなげ」

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 5月 8 日(水)付
日中韓の対話―環境協力を次へつなげ

 中国で深刻化している微小粒子状物質PM2・5による大気汚染問題で、日中韓3国が政府間の協力態勢を強化することになった。
 北九州市で開かれた3国の環境相会合で、政策対話の場を設けることなどで合意した。
 国境をまたぐ大気汚染の防止には、政府間の緊密な連携が欠かせない。閣僚レベルによる今回の合意が、その一歩となることを期待する。
 中国の周生賢・環境保護相は会合を欠席し、李幹傑次官が出席した。尖閣問題で硬化した中国政府の対日姿勢は、なおかたくなだ。
 それでも、中国政府が次官を派遣してきたのは、問題の解決には環境対策のノウハウを持つ日本の協力が不可欠という事情があるからだろう。
 PM2・5問題は、自動車の排気、石炭、建設工事、工場の排煙といった要因の複合体と言われ、解決は簡単ではない。
 その一義的な責任は、成長優先で環境対策を後回しにしてきた中国政府にあることは言うまでもない。
 ただ、中国では多くの日本企業が活動しており、問題の発生に日本が全く無関係ということでもない。
 そして何よりも、中国の大気汚染は、会合の開催地、北九州をはじめ日本各地にも悪影響をもたらしつつある。
 環境汚染で、国境線は意味をなさない。問題は、日本にとってもいや応なく「我がこと」となる。国境線を越えて協力に取り組むしかない。
 日本政府には環境政策の蓄積がある。世界に誇る環境対応技術を持つ企業も多い。国内の公害で多くの犠牲を払ってきた経験のうえに培われたものだ。
 ビジネスにしろ非営利にしろ、日本として協力できる余地は大きい。
 中国では今月、上海や昆明で新たな工場建設に反対する市民の抗議活動があった。環境問題への人々の意識は急速に高まっており、日本の協力は対日観の改善にもつながるだろう。
 3国が協力して取り組むべきは、なにも環境問題だけではない。ところが、5月に予定されていた日中韓首脳会談は延期され、日中韓財務相・中央銀行総裁会議も中止になった。
 北朝鮮問題や3国の経済連携交渉など、現実を直視すればこんな異常事態がいつまでも放置されていいはずはない。
 互いに引っ越せない隣国同士である。利害が一致する分野から地道に協力を進め、信頼関係を築き直すほかはない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130508k0000m070109000c.htmlより、
社説:日中韓環境会合 関係改善の足がかりに
毎日新聞 2013年05月08日 02時31分

 北九州市で開かれていた日中韓環境相会合が、微小粒子状物質「PM2・5」などによる越境大気汚染の防止に向け、3カ国による「政策対話」の場を新設することなどを盛り込んだ共同声明を採択、閉幕した。関連する政策や観測技術、研究などの分野で協力関係を強化する。
 石原伸晃環境相は「問題解決に向けた新たな一歩を踏み出した」と述べた。領土問題などを巡り日本と中国、韓国との関係が悪化する中、環境分野での連携強化に合意したことは評価できる。越境大気汚染は、文字通り国境を越えた取り組みが不可欠であり、冷え込んだ両国との関係改善の足がかりとしてほしい。
 日中韓環境相会合は、3カ国が毎年、持ち回りで開催してきた。今年で15回目となる。中国は直前まで出席の意思を明確にせず、日本政府は一時、会合の開催を危ぶんだが、最終的には、周生賢(しゅうせいけん)環境保護相の代わりに李幹傑(り・かんけつ)次官が出席した。
 中国が閣僚の出席を見送りながらも会合の開催に応じたのは、環境分野で日韓との連携が必要だからだ。
 北京などで大気汚染が深刻化し、環境汚染への抗議が相次いでいる。中国政府は自動車の排ガス対策などを進めているが、3月の全国人民代表大会では、周環境保護相の再任で批判票が目立った。李次官も会合で「PM2・5や飲料水汚染などの環境対策は国民生活の最優先課題だ」と率直に認めた。
 これは、公害先進国・日本が培った環境技術を売り込むチャンスでもある。会合にあわせ、3カ国の企業などが参加して開かれたフォーラムでも、中国関係者から日本の環境技術に関心が集まったという。
 中国政府が対日強硬姿勢を崩すことは、当面は難しいだろうが、環境に配慮した「グリーンな経済」への移行に、日本は支援を惜しむべきではない。中国経済が環境制約から失速してしまっては、密接なつながりを持つ日韓の経済にとってもマイナスとなろう。
 「政策対話」の場の新設は日本が提案して、韓国も同調した。「新たな一歩」だが、まだまだ小さな一歩でもある。今後は、政策対話の場を活用しながら、実務者レベルで情報交換や協力方法の検討を進め、来年以降の環境相会合で進捗(しんちょく)状況を点検する。中国からの越境汚染に悩まされているのは、韓国も日本も同じである。中国への働きかけで協調し、着実に取り組みを進めたい。
 共同声明は、地球温暖化や生物多様性の保全など地球規模の環境問題への対処も、日中韓の協力が不可欠なことで同意した。3カ国が環境協力を強化することは、東アジアの主要国として当然の責務でもある。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中