「1強9弱」の危機 与良正男氏

http://mainichi.jp/opinion/news/20130508k0000e070239000c.htmlより、
熱血!与良政談:「1増9弱」の危機=与良正男
毎日新聞 2013年(最終更新 05月08日 15時14分)

 昨年4月の本欄で「15+17=32の危機」と題してこんな話を書いた。
 「この10年、私たちマスコミは『2大政党時代の到来』などともてはやしてきたが、支持者が合わせても有権者の3割程度しかいない民主、自民両党を果たして『2大政党』と呼べるのか」
 当時の毎日新聞全国世論調査では民主党の支持率は15%、自民党が17%。「支持政党なし」(無党派)は50%にも達し、これは政党政治の重大な危機だと思ったからだ。
 わずか1年で変わるものだ。先月の同調査では自民党の支持率は実に39%。他党は大きく引き離されて日本維新の会が7%、民主党5%、みんなの党4%、公明党3%……と続く。「二つ合わせて3割」から「1強9弱」時代に突入しつつあるといっていいだろう。
 これもまた予想していなかった事態である。衆院に小選挙区比例代表並立制が導入された当時、中小政党の生き残りは難しいといわれたのを思い起こせば、そもそもこんなに政党が乱立する時代を迎えること自体、私にはまるで想定外だった。
 09年9月、政権交代が実現して鳩山政権が発足した直後の民主党の支持率も45%あって、自民党は12%まで落ち込んでいたから、世論調査の数字がうつろいやすいのは確かだ。でも民主党は今後何を旗印にしていくのか、いまだに「自分探し」を続けているような有り様だし、維新の会の人気にもかげりが見える。他野党も同様に存在感は薄い。
 安倍晋三首相の一連の経済政策が有権者の期待を集めているのは事実だろう。だが、自民党が大きく支持を回復したというより、やはり野党がだらしないからこの状況を招いていると考えた方がよさそうだ。
 というわけで、夏の参院選は「1強9弱」時代がしばらく続くかどうかが、まず焦点になる。「1強」が定着した場合、憲法はどうなるか。原発はどうなるか。私には気がかりな点がたくさんあるが、何より民主党をはじめ肝心の野党が、それにきちんと対抗できていない。
 参院選後、いや選挙前にも「9弱」がさらに細分化されて10弱、11弱になるかもしれないし、消えてしまう党も出てくるかもしれない。野党がまっとうに機能しないのも政党政治の危機である。(論説委員)

http://mainichi.jp/opinion/news/20120404k0000e070245000c.htmlより、
熱血!与良政談:「15+17=32」の危機=与良正男
毎日新聞 2012年04月04日 12時51分

 先日の毎日新聞全国世論調査によると民主党の支持率は15%、自民党が17%だった。合わせて32%。前回3月調査では民主党が14%で自民党は13%だった。「2党で3割」は最近すっかり定着してしまったようで、あまりニュースにもならないが、私たちはもっと深刻に受け止めるべきだと思う。
 例えばリクルート事件や初の消費税導入決定などが重なり、歴代最低の内閣支持率9%を記録した89年3月の竹下登内閣当時でも、自民党の支持率は28%もあった。第2党(というより万年野党)だった旧社会党もこの時、18%の支持があったのだ。
 この10年、私たちマスコミは「2大政党時代の到来」などともてはやしてきたが、支持者が合わせても有権者の3割程度しかいない民主、自民両党を果たして「2大政党」と呼べるのか。
 どこが増えているかといえば、無論「支持政党はない」という層だ。先日の調査の場合、「支持政党なし」は50%。今の国会はすべて合わせても有権者の半分程度の支持しかない政党で構成されていると言い換えてもいい。
 一方で橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会の国政参加に期待が寄せられているのもご承知の通り。でも、まだ一人も衆院選候補者が決まっていない政党に、これだけ期待が集まること自体、本来は異常というべきだ。これを政党政治の危機と言わず、何と言う。
 理由は明白だろう。民主党は消費増税の方針を何度も何度も決めながら、毎度党内はまとまらない。私も「政党はすべて一枚岩で」というつもりはないが、税の問題は政党の根幹だ。それが一致しないのであれば、もはや分裂して別の党になった方が分かりやすいと思うが、そのようにもならないようだ。
 国民新党に至っては連立を解消したかどうか、まさに党の存在にかかわる話で、ああだこうだと言い合っている。一体、政党とは何だろう。改めて考え込んでしまう人も多かろう。
 私たち国民は1人年間250円、計300億円以上の税金を政党に交付している。これを定めた政党助成法第1条には「議会制民主政治における政党の機能の重要性にかんがみ(中略)もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的とする」とある。
 内輪もめばかりの党運営を続け、何も決められない人たちに政党政治の危機を分かっていただくには、まず交付金をやめるショック療法から始めるしかないかもしれぬ。(論説委員)

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