電気料金値上げ 「寂しすぎる経営判断」

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130508/plc13050803170006-n1.htmより、
産経新聞【主張】東電の再建計画 国の応分負担へ見直しを
2013.5.8 03:17 (1/2ページ)

 東京電力の経営再建が厳しさを増している。原発の稼働停止や賠償費用の増加などで平成25年3月期決算は、3年連続の大幅赤字となった。
 今年度中に黒字化するとした経営再建計画は、その達成が極めて困難な状況にある。
 東電の経営が揺らげば首都圏に対する電力供給や福島第1原発事故の賠償にも影響が及ぶ。東電に賠償や廃炉などすべての責任を押しつけた現行の再建計画を早急に見直し、新たな支援の枠組みを検討すべきだ。
 東電と政府が共同で策定した再建計画は、政府が1兆円を投じて東電を国有化する一方、賠償費用の支払いを一時的に肩代わりする内容だ。東電は長期にわたり事業収益から政府に返済するため、国民負担は生じないとしていた。
 だが、賠償費用の増加に加え、原発停止に伴う火力発電用燃料の輸入増と円安で、東電の収益は想定以上に悪化している。計画では今年度中に柏崎刈羽原発4基を再稼働する予定だが、泉田裕彦新潟県知事の反対もあり、めどは立っていない。
 東電は昨年11月、「5兆円とみていた賠償などの費用が10兆円規模に拡大する可能性がある」として政府に支援の見直しを求めている。今回の決算をみても再建計画は行き詰まりを露呈しつつある。このままでは電気料金の再値上げも避けられない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130508/plc13050803170006-n2.htmより、
2013.5.8 03:17 (2/2ページ)
 まずは東電一社に全責任を求めた再建計画について、原子力政策を進めてきた国も応分の負担をするなど、現実的な案に修正する必要がある。その前提として、電力会社に原発事故の無限責任を求めた現行の原子力損害賠償法の改正を急ぐべきだ。
 東電が経営を再建し、電力を安定的に供給するには原発の再稼働も欠かせない。原発1基が稼働すれば、年間800億円の収支改善が見込めるという。もちろん、東電自身がリストラを徹底することも求められる。
 国内では関西電力の大飯2基を除き、原発停止が長期化している。東電と同様に各社とも発電コストの急増で軒並み大幅な赤字を余儀なくされ、電気料金の引き上げも相次いでいる。
 今夏も電力供給は綱渡りを強いられそうだ。電力不足を解消し、日本経済を再生させるためにも、政府は原発の再稼働を主導しなければならない。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 4月 10 日(水)付
電力値上げ―寂しすぎる経営判断

 原発事故が起きた東京電力管内だけでなく、国民が広く痛みを分かち合うことになる。
 昨年9月の東京電力に続き、5月から関西、九州も家庭向け電気料金を値上げする。四国、東北も申請中で、北海道も続く。原発停止で火力発電が増え、燃料費が拡大したのが主な理由だ。
 原発依存度が5割を超えた関電の場合、家庭の平均負担は年約5500円増える。いずれも現在停止している原発の再開が前提となっており、再値上げの可能性もある。
 厳しい夏も冬も、多くの人が節電に協力した。あの惨事が決して他人事ではなく、事故後の電力のあり方について、自分たちも分かち合う問題だと受けとめているからこそだろう。
 最低限の値上げはやむを得ないにしても、電力会社の経営陣には、電気を使う側の意識が大きく変わっていることを強く認識してもらいたい。
 事故後の新たな電力供給システムづくりに向け、電力会社がどこまで率先して自己改革していけるのか。そこを抜きにした値上げ論議はありえない。
 もちろん、やみくもに人件費を削ればいいというものではない。原子力の安全に関わる人材確保は重要だ。値上げをめぐる公聴会でも「現場で頑張る職員の賃金カットはすべきでない」という声が出た。
 だが、経営陣を見る目は異なる。たまたま東電の原発で事故があったものの、事故リスクがある点では、原発を進めてきた他の電力会社も共通している。国民の多くがそう感じ、不信感も募らせている。
 そこを考えると、役員報酬をめぐる動きには首をかしげる。
 役員報酬について関電と九電は、それぞれ平均で4100万円、3300万円を申請した。
 実質国有化された東電並みのリストラを求めた国は、これを退け、省庁幹部並みの1800万円とした。ところが関電は「経営判断」で300万円上乗せして2100万円とし、九電も200万円乗せて2000万円を支払う。
 この上乗せは、節電した人々にどこまで思いを寄せてのことだろう。
 福島での事故処理、他の原発での廃炉、放射性廃棄物の処理。発送電分離などによる電力自由化。これから電力会社は公益事業体として、どう責任を果たしていくのか。
 長く、痛みをともなう改革の先頭に立つべき経営陣が、他人事のような姿勢に見えるのは、あまりに寂しい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130410/plc13041003150003-n1.htmより、
産経新聞【主張】節電目標回避へ 電力不足は解消してない
2013.4.10 03:15 (1/2ページ)

 これで日本が直面する深刻な電力不足が解消されるわけではない。
 国内原発がほとんど停止するなか、夏の電力の供給余力が全国平均で6%程度を確保でき、安定供給に必要な3%を上回る見通しとなった。
 今夏の節電数値目標は回避される方向だが、電力需給はいぜん綱渡り状態にある。政府は早期に原発を再稼働させ、安価で安定的な電力供給に万全を期してほしい。
 電力会社は老朽化した火力発電所などをフル稼働させており、故障や不測の事態などで運転が急に停止することも想定しておかねばならない。
 心配なのは、日本経済の回復に伴って電力需要が予想以上に増えて、需給が急に逼迫(ひっぱく)する事態だ。そうなれば、生産活動などは停滞を強いられ、経済再生に水を差すことになる。
 政府が9日開いた会合で、電力会社は今夏の需給予測を示した。それによると、猛暑だった3年前に比べても、各社とも供給が需要を上回り、一定の余力を確保できる見通しだ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130410/plc13041003150003-n2.htmより、
2013.4.10 03:15 (2/2ページ)
 需給が厳しい関西電力も稼働中の大飯原発2基を含めれば、ぎりぎり3%程度の余力が見込めるという。
 政府は今月末にも夏場の需給見通しを最終的にまとめるが、各社の供給動向などを踏まえ、数値目標を定めずに、自主的な節電の要請にとどめる方向だ。
 電力需給の改善は、家庭や企業に節電が浸透したのに加え、電力各社が小型のガスタービン発電機などの設備を増強したからだ。
 しかし、夏は、台風による発電所の設備故障などにも備えねばならない。
 一昨年8月には東北電力管内の豪雨で水力発電所が相次ぎ故障し、一時的に100万キロワット規模の供給が失われた。この時は東京電力の緊急融通で乗り切ったが、こうした事態も想定し、余裕ある供給余力を確保することが何より欠かせない。
 そのためには、停止中の原発の運転を早期に再開させる必要がある。火力発電に依存したままでは、円安も加わった燃料費の高騰で一段の料金値上げが避けられない。政府はこうした事情を総合的に勘案し決断すべきだ。
 国民も、電気代の節約にもつながることを、いま一度認識し、従来通り節電に協力してほしい。

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