ナガサキ平和リレー:被爆2世「疑わしきは救済を」

http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20130509ddlk42070403000c.htmlより、
ナガサキ平和リレー:/208 被爆2世「疑わしきは救済を」/長崎
毎日新聞 2013年05月09日 地方版

 「県被爆二世の会」など3団体が4月、長崎市に対し、2、3世の実態調査や2世へのがん検診などを申し入れた。国は「現時点では、原爆放射線の遺伝的影響は認められない」との立場で、基本的な健診を行っているだけだ。市は独自の救済策に消極的。実体験を通じて影響があると考えている被爆者や2、3世も多く、3団体は市に対応を強く迫った。
 「被爆の遺伝的影響は科学的に解明されていないのに、国は『影響はない』がごとき政策を取っている。長崎市は『疑わしきは救済する』という立場に立ち、我々と一緒に国を動かす必要があるのではないか」。4月8日の申し入れで、同会事務局長の崎山昇さん(54)=長崎市=が、市の担当者に強く迫った。崎山さんは両親がともに原爆に遭った被爆2世だ。
 3団体は、被爆者援護法に2、3世に関する条項を追加することを国に働きかけるよう要望したが、市は「盛り込むには、遺伝的影響についての科学的知見が得られることが必要」と回答。「市が独自に2、3世の実態調査してほしい」との要請には「2、3世対策は国の責任でなされるべきであり、困難」と伝えた。
 遺伝的影響が解明されていないことを理由に2世らを放置する国と、「国がやるべきだ」と逃げる長崎市。県のスタンスも同様だ。
 崎山さんは「被爆者のがん発症も20年、30年と調査し続けることで明らかになり、その間に援護が受けられずに多くの方が亡くなっていった。同じことを繰り返してはならない」と訴えた。
 被爆2世は、30万〜50万人と推測されているが、国は実態調査をしておらず、詳細は不明だ。2世の法的な定義はなく、被爆者援護法でも対象外となっている。
 日米共同研究機関・放射線影響研究所(広島市、長崎市)は、被爆2世に死亡率やがん発生率、生活習慣病の増加などの遺伝的影響は認められていないとし、国もこれを政策の根拠としている。ただ、動物実験で影響が示された例や、両親とも被爆した2世の白血病発症率が、どちらかの親だけが被爆した人より高かったとの調査結果などもある。
 東京都などは被爆2世へのがん検診や医療費助成を独自に実施している。都疾病対策課被爆者援護係の担当者は「都として遺伝的影響があると確認したわけではないが、被爆2世の不安解消などのため、援護をしている」と説明する。崎山さんは「本来なら被爆地である県や長崎市が率先してやるべきだ」と指摘した。【樋口岳大】

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