一票の格差 「0増5減」抜本是正はどうなった

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013051800197より、
0増5減、参院で駆け引き=民主、歴史認識追及へ-国会

 政府・与党は週明けからの国会で、6月26日の会期末をにらみ、積み残しとなっている法案の処理を加速させる。成年被後見人に選挙権を付与する公職選挙法改正案などは、野党の協力も得て成立が確実な情勢。一方、衆院小選挙区を「0増5減」して区割りを変更する公選法改正案は、民主党の出方によって成立時期が左右される。与党は参院で否決されれば、衆院で3分の2以上の賛成で再可決させる構えだ。
 成年被後見人に選挙権を与える公選法改正案は21日に衆院を通過、24日に成立する運び。国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めたハーグ条約の加盟承認案は22日、参院本会議で可決され、国会の承認手続きが終わる。全国民に社会保障と税の共通番号を割り当てる「マイナンバー」制度関連法案も、早ければ月内に成立する見通し。
 参院に送付されている区割り法案について、民主党は27日以降の審議入りを容認する構えを見せており、法案は月内にも成立する可能性が出ている。しかし、同党内には、区割り法案が成立して「1票の格差」是正が実現すれば、安倍晋三首相が夏の参院選に合わせて衆院を解散し、衆参同日選に踏み切るのではないかとの臆測がくすぶる。
 会期延長がなければ、参院選の投開票日は7月21日が有力だ。この日を同日選とするには衆院選公示は同月9日。区割り法案の施行は公布から1カ月後のため、6月9日までに成立させれば同日選は可能となる。民主党が党内の動揺を抑えようとして、「採決引き延ばしを図ってくる」との見方も与党側にはある。
 安倍政権が高支持率を維持する中、民主党は、定数削減を含む衆院選挙制度改革や歴史問題で対決姿勢を鮮明にし、反転攻勢への糸口をつかみたい考え。首相と全閣僚が出席する20日の参院決算委員会では、従軍慰安婦問題をめぐる日本維新の会の橋下徹共同代表の発言を踏まえ、首相の認識をただす。「歴史認識が酷似している」(細野豪志民主党幹事長)として、自民党を維新に重ね合わせてイメージダウンを狙う戦術だ。(2013/05/18-14:16)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013051702000133.htmlより、
東京新聞【社説】終盤国会 合意形成に努めぬ怠慢
2013年5月17日

 二〇一三年度予算が成立した。与野党は夏の参院選に向けた動きを本格化させているが、国会中に処理すべき政策課題が残ったままだ。合意形成を放棄し、放置するのは立法府の怠慢ではないのか。
 国会は来月二十六日に会期末を迎える。会期延長がなければ、参院選は七月二十一日に行われる見通しだ。その前哨戦とされる東京都議選も六月二十三日にある。
 安倍晋三自民党総裁(首相)は今週末に九州入りし、全国遊説を始める予定。民主党は海江田万里代表や閣僚経験者らによる遊説を始めており、各党とも臨戦態勢に突入しつつある。
 選挙に目が向くのは仕方ないとしても、会期はまだ一カ月以上残る。無駄に費やしてはならない。
 いうまでもなく国会議員の仕事は法律をつくることだが、今の国会が、この立法府としての仕事を全うしているのか、甚だ疑問だ。
 まず指摘すべきは議員の正統性にかかわる衆院「一票の不平等」是正を含む選挙制度抜本改革への取り組みが極めて鈍いことだ。
 一票の格差を二倍未満に収める「〇増五減」案はすでに衆院を通過し、参院に送付された。与党側は野党が採決に応じなくても衆院で再可決して成立させる構えだ。
 ただ、この程度では最高裁判決が求める「法の下の平等」の実現には程遠い。与野党は衆院選挙制度改革案を出し合ってはいるものの、主張の隔たりは大きく、堂々巡りが続いているのが実態だ。
 時間の浪費はこれ以上許されない。自分たちで結論を出せないのなら、首相の諮問機関である選挙制度審議会のような第三者機関に一刻も早く議論を委ねるべきだ。
 もう一点、忘れてならないのは社会保障制度改革である。財源を確保する消費税率引き上げは決まったものの、一体だったはずの制度の抜本改革は先送りされた。
 抜本改革の議論は「国民会議」に委ねられ、この会議での結論を踏まえ、八月二十一日までに法制上の措置を講じることが決まってはいるが、年金や医療をめぐる自民、公明両党と民主党の主張は平行線のままで、会議の結論が出ても宙に浮きかねない。
 持続可能な社会保障制度が実現しないまま、消費税率だけが上げられては目も当てられない。
 自らの主張を強めるのは選挙対策でもあるのだろうが、こうした状況を放置するのは国会議員としての職場放棄に等しい。責任は与野党双方にある。選挙が近い、は言い訳にもならない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130516k0000m070130000c.htmlより、
社説:参院選前の国会 「1票の格差」に全力を
毎日新聞 2013年05月16日 02時30分

 2013年度本予算の成立により、通常国会は節目を迎えた。与野党は来月の東京都議選、夏の参院選に向けた活動を一気に本格化する。
 政治決戦を間近に政界の選挙ムードが強まる中で、来月26日までの残りの会期が無為に費やされるようなことがあってはならない。とりわけ衆院1票の格差是正は小選挙区「0増5減」のみならず、抜本改革の展望を示すよう、与野党は力を尽くすべきだ。
 本予算案はねじれ国会のため参院で否決されたが、憲法の規定に従い、衆院の可決が優先する。野党は参院で外交日程を延ばした川口順子環境委員長を解任してしまうピント外れの戦術を行使するなど、総じて与党ペースを崩せなかった。
 そんな国会の会期はまだ40日ある。宿題を放り出し「さあ、選挙だ」といくわけにはいかない。
 とりわけ、さきの衆院選に一部の高裁が無効判決を下した衆院1票の格差の緊急是正を急がねばならない。「0増5減」は国勢調査ベースで格差を2倍未満に抑える最低限の措置だけに、ただちに成立させたうえで第三者機関の設置など抜本改革の道筋もつけることが今国会で与野党が負うべき責任だ。
 法案は衆院を通過したが野党側は反対しており、このままでは成立が大幅に遅れかねない。民主党が早期の処理に慎重な背景には「0増5減」の実施が遅れると安倍晋三首相の衆院解散権が事実上縛られ「衆参ダブル選挙」の選択が日程上困難になるため、との見方すらある。だとすれば、何とも弱気な発想である。
 与党側も今国会は緊急是正だけでお茶を濁したい空気があるのではないか。会期末に衆院再可決の手を用い「0増5減」だけ成立させ、あとはうやむやに幕引き、などという展開は願い下げだ。
 残り会期の論戦を通じ、何が参院選の争点か、より明確になっていくだろう。首相はこのところ憲法96条の改正について、慎重に取り組むトーンの発言が目立つ。各種世論調査で改正反対論が上回り、自民党内の「熱気」もしぼみつつあることが影響しているのではないか。
 首相が進める経済政策の是非はもとより、税と社会保障の一体改革に関しても議論を停滞させたままではならない。年金など責任ある制度を構築することが、国民に増税負担を強いる前提だったはずだ。
 歴史認識の問題で首相は15日の国会答弁で過去の植民地支配と侵略を謝罪した「村山談話」について「政権として全体として受け継いでいく」と表明した。今国会で政権の立場を確認すべきテーマはなお、多い。消化試合など、論外である。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013050900962より、
安倍首相、衆参ダブル選狙う?=周囲が発信、民主警戒

 安倍晋三首相が高い支持率を維持する中、夏の参院選に合わせて衆院を解散し、衆参同日選(ダブル選挙)に打って出るとの臆測が政界に流れている。自民、公明両党が3分の2を超える衆院勢力を有している上、日程的なハードルもあり、実現性を疑問視する向きも多いが、首相の周囲からはダブル選をにおわせる発信が目立つ。
 「内閣の正統性を疑われている」。自民党が政権奪還を決めた昨年12月の衆院選での「1票の格差」に関し、各地の高裁・支部で違憲判決が相次いだことについて、首相に近い政府高官は最近、周辺にこう語った。衆院小選挙区を「0増5減」して区割りを変更する公職選挙法改正案を成立させて格差を是正した上で、速やかに国民に信を問い直すのが望ましいとの考えを示したものだ。
 また、関係者によると、自民党の石破茂幹事長が4月1日に東京都内で民主党の前原誠司元外相と会談し、ダブル選の可能性に言及した。民主党内では「同日選をやってきそうな動きが首相官邸にある」(若手)と警戒感が募っている。
 「ダブル論」の背景には、高支持率が続いていれば自民党が大勝できるとの計算がある。憲法改正が選挙の争点に浮上する中、改憲への賛否が割れている民主党を揺さぶる政権側の思惑もあるとみられる。
 首相は野党時代の昨年9月、月刊誌への寄稿で「参院の改選期に合わせて、3年ごとに『衆参ダブル選挙』を実施する」案を提起したこともある。その首相は1日、外遊先のサウジアラビアで同行記者団からダブル選の可能性を問われると、「適切な時期を捉えて、適切な時に(衆院を)解散をしたい」と答え、否定も肯定もしなかった。
 もっとも、想定される参院選日程(7月4日公示、同21日投開票)を前提とすれば、日程は窮屈だ。区割り変更法案の施行は公布から1カ月後。同日選の投開票を7月21日とするためには衆院選公示は同月9日で、法案を6月9日までに成立させる必要がある。
 法案は、野党多数の参院で否決されても、衆院の3分の2以上の賛成で再可決し、成立させることができる。ただ、民主党は、ダブル選への警戒もあり、衆院議員定数の大幅削減を主張するなどして参院採決には時間をかける構え。輿石東参院議員会長は9日の記者会見で「『時間がないから(定数削減は)いい』ということは許されない」と強調した。(2013/05/09-19:57)

http://mainichi.jp/opinion/news/20130504k0000m070082000c.htmlより、
社説:憲法と国会 違憲の府を再生しよう
毎日新聞 2013年05月04日 02時30分

 憲法99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定める。96条の改憲手続き条項ばかり注目されがちだが国民主権の下、権力作用に関与する側が憲法を守るよう求めた貴重な条文が3条後に控えている。
 では、国会はこの戒め通りに本当に憲法を尊重しているかというと、疑問符をつけざるを得ない。
 2011年3月、最高裁は09年衆院選小選挙区の「1票の格差」が憲法14条の定める法の下の平等に反する違憲状態と断じた。にもかかわらず、いまだに国会による是正措置は実現していない。

 ◇「投票価値の平等」は重い
 昨年12月の衆院選をめぐる17の高裁判決で「合憲」判断は皆無で、ついに2件の無効判決が下された。自らの欠陥をただせない「違憲の府」に果たして改憲を論じる資格があるのか。そんな声が無視できぬほどの危うさである。
 折しも衆参両院の選挙制度そのものや都道府県を再編する道州制導入論など地方制度、国民から根強い支持がある首相公選制など、統治機構をめぐる議論も活発化している。とりわけ第三極をうかがう野党の日本維新の会やみんなの党はこうした議論に積極的だ。
 国民の代表をどのような原理で選び、国のかたちをどう描いていくのか。「1票の格差」と統治機構のあり方がまるで共鳴し合うように注目されてきたことは決して偶然ではあるまい。
 衆院「1票の格差」是正は焦眉(しょうび)の急である。今国会成立が見込まれる小選挙区「0増5減」はこれまで何度も指摘した通り、各都道府県に1議席を配分する「1人別枠」方式が事実上温存され、根本的解決に遠い。今秋にも迎える最高裁判決を前に、国勢調査ベースで格差を2倍未満に抑える一時しのぎに過ぎない。
 これでお茶を濁し、今後も場あたり対応で取り繕おうとするようでは、政治の自殺である。選挙制度改革は定数削減問題、小選挙区制度の是非論も絡み、確かに複雑な要素がある。だからといって抜本改革から顔を背けてはならない。
 最高裁が求めている「投票価値の平等」実現を最優先すべきだ。各党から「30減して再配分」「21増21減」など諸案がすでに提案、議論されている。権威ある第三者機関に成案を委ねるべきだ。
 小選挙区制自体の見直しまで踏み込むべきかどうかは、2大政党制と多党制のいずれを志向するかを含め、国民的議論が必要だ。制度論の深みにはまってしまい、格差を放置してはならない。
 衆院の姿を論じることは、参院の性格を考えることにもつながる。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130504k0000m070082000c2.htmlより、
 2院制は本来、議員の選出方法と役割が異なるからこそ有効に機能する。ところが現憲法では衆院の優越を認める首相指名、予算案審議、法案の再議決などを除き衆参両院はほぼ対等で、参院の権限は強い。
 衆参与野党のねじれが政治停滞の一因となり、参院にふさわしい「抑制と補完」が問われている。憲法59条が定める法案の衆院での再議決に必要な「3分の2以上」の要件を緩和することは、最も切実な憲法改正の論点のひとつである。

 ◇衆参両院の機能分担を
 参院もまた深刻な「1票の格差」に直面している。最大格差5.00倍の10年参院選選挙区に最高裁は違憲状態と判決を下し、国会は「4増4減」の是正を実施した。だが、最高裁判決は都道府県を単位とする現行制度の抜本改革を国会に突きつけている。状況の厳しさはある意味で、衆院以上と言ってもよい。
 選挙区を廃止し比例代表に統一する案などもこれまで浮上したが、格差是正と並行して参院の役割も大胆に見直す時期ではないか。「1票の格差」が拡大する背景には大都市圏への人口傾斜に歯止めがかからない国と地方のひずみがある。
 ドイツの連邦参議院は公選を経ない地方代表で構成され、州に関する政策に権限を持つ。参院を「分権の府」として地方代表の性格を強めていくことはひとつの選択肢であると私たちは改めて指摘したい。政党化した現在の参院のままでは早晩、その存在意義すら問われよう。
 衆参の選挙制度は行政区域の議論とも切り離せない。国会に地方代表を送るのであれば、母体となる自治体が強い権限を持つことが前提となる。自民党は道州制基本法案の制定に前向きだが日本維新の会やみんなの党と連携し、96条改正の環境整備を進める計算がつきまとう。真の分権志向なのかは疑問である。
 超高齢化、人口減少など急激な社会の変化に対応する統治機構こそ、今の憲法にとらわれずに検討するに値するテーマだ。だが、国会議員が憲法前文に言う「正当に選挙された国会における代表者」との自覚を失わず、政党が党利党略を離れ行動する信頼の確立が大前提となる。
 司法から突きつけられたレッドカードをないがしろにし、「決められない政治」を演じるような国会は願い下げだ。自らを律する能力を証明し、質実で責任ある国のかたちを示してほしい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 4月 24 日(水)付
0増5減―食い逃げは許されぬ

 与党も野党も、政治の責任を放棄している。そう言わざるを得ない。
 衆院の小選挙区定数を「0増5減」する新区割り法案がきのう、自民、公明両党の賛成多数で衆院を通過し、今国会の成立が確実になった。
 法案は、参院送付から60日たてば憲法の規定で否決とみなされ、衆院の3分の2以上の賛成で再可決できるためだ。
 だが、これで終わりだと考える国会議員がいるとしたら、心得違いもはなはだしい。
 たしかに、私たちは社説で0増5減の先行処理を求めてきた。しかし、無条件で与党を後押ししたわけではない。
 0増5減は、あくまでも違憲状態を早急に解消するための緊急避難的な措置にすぎない。
 それを踏まえて、一票の格差を根本から是正する。定数削減などは、小選挙区と比例区のバランスや衆参のあり方も併せて検討に入る――。
 ところが、こうした抜本改革の見通しは、まったく立っていない。
 それどころか、与党内からは0増5減を実現すれば事足れり、という声さえ聞かれる。それでは食い逃げではないか。
 参院送付から60日が過ぎれば国会の会期末直前だ。東京都議選や参院選ムードが高まるなかで再可決しても、抜本改革の議論は進むまい。
 そんなことは、とうてい許されない。
 野党側の対応にも首をかしげざるを得ない。
 抜本改革をめぐり、各党の意見はバラバラだ。そんなことでは数の少ない野党の主張が通るはずがない。
 まずは野党同士が連携し、妥協してでも与党を議論の土俵に引き込む。そのうえで、期限を切って改革への道筋をつけるべきだ。
 安倍首相のリーダーシップも見えない。
 党利党略が絡む抜本改革の議論は、政党同士の話し合いで結論を導くのは難しい。
 ならば首相の諮問機関である選挙制度審議会を立ち上げ、根本から検討するほかはない。
 与野党に求めたい。
 残った国会会期をむだにしてはならない。いまからでも与野党協議の場を設け、打開策を探るべきである。
 現在の定数配分をめぐる訴訟でも、全国の高裁から違憲や無効判決が相次いだことを忘れてはならない。今秋にも最高裁で決着がつく。
 国会が自浄能力を発揮する機会は、いましかない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013042402000129.htmlより、
東京新聞【社説】0増5減通過 抜本是正はどうなった
2013年4月24日

 衆院小選挙区定数を「〇増五減」するための新区割りを盛り込んだ公職選挙法改正案が衆院を通過した。しかし、この程度では「一票の不平等」をなくすには不十分だ。抜本是正はどうなったのか。
 選挙区間で「一票の価値」が異なる不平等は一刻も早く是正すべきだが、抜本是正には程遠いこの法案だけを通すことに、どれだけの意味があるのだろうか。
 〇増五減は、一票の格差が二倍を大きく超えた二〇〇九年衆院選を、最高裁が一一年三月、「違憲状態」としたことに対する最低限の是正にすぎない。
 「一票の格差是正を進めよ、という国民の声に立法府の一員として応える責任がある」(安倍晋三首相)との与党側の主張に一理ないわけではないが、この程度の是正は本来、昨年十二月の衆院選前に済ませておくべきだった。
 一票の不平等を、最高裁判決から二年近くも放置し、違憲状態のまま突入した昨年の衆院選に対しても、多くの高裁が「違憲」判決を出し、そのうち二つの高裁は選挙「無効」にまで踏み込んだ。
 最高裁判決はまだ出ていないとはいえ、国会は、司法の判断を重く受け止めるべきであろう。より踏み込んだ是正策を講じるのは、国会に課せられた義務である。
 伊吹文明衆院議長は、選挙制度抜本改革について今国会中に結論を得るよう努力する、との仲裁案を示したが不調に終わった。せっかくの機会が生かされず残念だ。
 それにしても三権の長の一人である議長の権威も落ちたものである。選挙制度のひずみを自ら正すよう国会に求めるのは、もはや、ないものねだりなのだろうか。
 だとしたら、首相の諮問機関である選挙制度審議会のような第三者機関に、制度の抜本改革に向けた議論を委ねるしかあるまい。
 その際、「法の下の平等」実現に向けて「一人一票」を目指すのは当然だ。限りなく格差一倍に近づくよう区割りをするか、それが困難なら死票の多い小選挙区はやめ、比例代表制などに移行するのも選択肢だろう。
 最高裁は格差が五・〇〇倍だった一〇年参院選も違憲状態としている。昨年十一月に四増四減する法改正をして格差は四・七五倍に縮んだが、十分とは言えまい。
 この際、衆参双方の選挙制度をそれぞれの位置付けや役割分担にまで踏み込んで抜本的に見直してはどうか。定数もただ減らせばいいものではなく、抜本見直しの中で適正な水準を見いだせばよい。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130424k0000m070141000c.htmlより、
社説:「0増5減」通過 再可決は避けるべきだ
毎日新聞 2013年04月24日 02時32分

 なぜ、全会一致とならなかったのか。情けない国会というほかない。「1票の格差」を是正するため衆院小選挙区を「0増5減」する公職選挙法改正案が衆院本会議で与党の賛成多数により可決された。
 今後、与党は法案が参院で否決されたり審議が停滞したりした場合、衆院の3分の2以上の賛成で再可決し成立させる方針という。対する野党は反発しており、例によって責任のなすりつけ合いの様相だ。国民の国会不信は深まる一方だろう。
 「0増5減」は確かに小手先の策だ。しかし、野党が主張している抜本改革はまちまちで与野党が一致できる保証はない。昨年暮れの衆院選に対し、各地の高裁で違憲もしくは選挙無効の判決が相次ぐ中、「0増5減」さえ実現できないのは最悪の事態となる。私たちが緊急避難措置として「0増5減」の先行実現を再三求めてきたのはこのためだ。
 その点、批判されるべきは民主党など野党である。伊吹文明衆院議長に収拾を求めたにもかかわらず、強硬論が勝って歩み寄りのチャンスを自ら逃してしまった。
 民主党が提起している小選挙区で30、比例代表で50の定数を削減し、小選挙区は「1人別枠」を完全に廃して厳密に人口比例で配分するとの案は一つの考え方だと認める。
 だが、本当に実現させたいのなら、なぜ「0増5減」案に賛成したうえで抜本改革の与野党協議を持ち掛けようとしなかったのか。これでは与野党合意より自分たちが抜本改革を主張しているとアピールするのが狙いではないかと疑ってしまう。
 一方、自民党も「0増5減」の優先は昨年の民主党との合意だったと強調するだけで、その後の抜本改革には消極的になっている面は否定できない。抜本改革について検討し、今国会で「必要な法改正を行う」というのが昨年の自民、民主、公明3党の合意だったことを、まさか忘れているわけではあるまい。
 各種の世論調査を見ても国民の関心が高いのは衆院の大幅定数削減だ。「5減」でおしまいとなれば、いずれ批判の矛先は自民党にも向かうはずだ。それを考えれば、自民党もなお野党に謙虚に歩み寄るべきだ。本来、全会一致が当然な法案で、衆院の数を頼みとする強引な再可決は避けるべきである。
 与野党とも頭を冷やすことだ。参院での法案審議と並行して再度与野党の会談を行い、「0増5減」を全会一致で成立させる。同時に抜本改革の協議に入る。そこで合意できないというなら、抜本改革は第三者機関に委ねる−−。できることは限られている。今のままでは抜本改革の道は逆に遠のくだけだ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130420/stt13042003250001-n1.htmより、
産経新聞【主張】「0増5減」 混乱の責任は野党にある
2013.4.20 03:24

 衆院小選挙区の「0増5減」を実現する公職選挙法改正案は、野党の欠席など不正常な状態のなか、与党の自民、公明両党が衆院特別委員会で可決した。
 このような展開となったのは、「0増5減」を抜本的選挙制度改革や定数削減と切り離して実現することに反対し、審議を拒否した民主党など野党の責任が大きい。
 格差是正の放置を司法から厳しく警告されてきたのに、最低限の措置である「0増5減」さえ実現させようとしないのは、立法府としての責任を放棄しても構わないという態度にも等しい。
 与野党対立が続けば改正案は参院で否決される可能性もある。与党は衆院の3分の2の賛成による再議決も辞さず、成立させる方針を貫く必要がある。
 与野党の膠着(こうちゃく)状態を受け、19日には伊吹文明衆院議長が与野党の幹事長らと会談し、改正案の付則で選挙制度の抜本改革などについて言及する打開策を示した。
 議長提案は「0増5減」を先行させることを前提に、選挙制度改革と定数削減についても早期に取り組むことを明確化する趣旨で、野党側もこれを受け入れて方針転換する機会とすべきだった。だが、民主党や日本維新の会、みんなの党が「抜本改革の時期が明確に示されていない」などと反対したため決裂した。
 与党は来週、改正案の衆院通過を図る方針だが、与党が過半数を持っていない参院では審議の見通しは立っていない。
 憲法の規定では、衆院から送付された法案が参院で放置された場合、60日以内に議決されなければ否決とみなす。6月26日の会期末までに再議決が必要であることを考えれば、衆院通過の期限が近づいている。与党が委員会可決に踏み切ったのは妥当といえる。
 安倍晋三首相は日本記者クラブの会見で「野党は0増5減に反対するが、意見はバラバラだ」と指摘し、まずは緊急是正策の実現への協力を呼びかけた。
 選挙制度改革と定数削減の扱いをどうするかは、引き続き協議しなければならない。だが、与野党の意見の隔たりが大きく、合意は容易ではない。国会自らの手による解決が困難なら、選挙制度審議会への諮問という選択肢についても、与野党で具体的に取り上げる必要がある。

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