財政再建 「アべノミクス」にアワノリスク懸念

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130518/fnc13051803080001-n1.htmより、
産経新聞【主張】GDP拡大 民間の力で流れを確実に
2013.5.18 03:07

 今年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は年率換算で実質3・5%増という大幅な伸びとなった。企業の好調な平成25年3月期決算や日経平均株価の1万5000円突破などをみても、日本経済は上昇気流に乗り始めたとみてよい。
 安倍晋三政権の「アベノミクス」が作り出したこの流れがさらに勢いづくかどうかは民間の力にかかっていることを強調したい。
 今回GDPを押し上げたのは個人消費と輸出だ。個人消費の伸びは、株価の急上昇などで「景気は良くなる」という期待から消費者心理が改善したためだ。輸出増は円安効果である。企業の好業績も株高や円安がもたらしたもので、長続きは期待できない。
 今後の鍵は消費動向である。消費が一段と強くなれば企業の本業が潤い始める。現在は低迷している設備投資も伸びて、産業界全体に波及し、雇用や賃金に跳ね返る。すると消費はさらに拡大し、企業業績も、もう一段改善するという好循環が生まれる。
 そうなって初めて、身を切りながら低価格戦略を続けた企業も、コストをきちんと価格転嫁できるようになって、デフレ脱却が実現するというわけだ。
 内閣府が、消費者の耐久消費財の買い時判断などから、はじき出す消費者態度指数は4月まで4カ月連続で改善した。購買意欲は高まっている。これを消費につなげるには、景気回復への期待を、かたちにしなければならない。
 国民にとって「景気回復期待」は「収入増期待」と同義だ。求められるのは企業の賃金のアップである。春闘で一時金も含めた25年度の賃金交渉は、ほぼ終了しているが、年度途中でも業績次第で一時金の増額など柔軟な対応をためらってはならない。
 「アベノミクス三本の矢」では金融緩和に続き、「第2の矢」である財政出動の25年度予算が成立した。「第3の矢」の成長戦略として17日、首相自身が設備投資を促す支援策を発表した。
 しかし、アベノミクスでさらに景気を押し上げようとしても限界がある。今後、政府・日銀は企業の収益力強化や収益構造の再構築を促し、新たな成長産業が育つ環境づくりに重心を移すべきだ。デフレ脱却と日本経済再生の主役は、民間企業に交代する時機が来ているのである。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55176840Y3A510C1EA1000/より、
日経新聞 社説 本丸に踏み込まない成長戦略では困る
2013/5/18付

 安倍晋三首相が成長戦略の第2弾を発表した。医療産業の育成や女性の活躍を支える第1弾に続き、民間投資の拡大や農業の活性化を促す施策をまとめた。キーワードは「世界で勝つ」だという。
 しかし聞こえのいいキャッチフレーズや数値目標が先に立ち、企業や個人の活力を真に引き出す政策は乏しいといわざるを得ない。問題意識は正しくても、本丸に踏み込めない成長戦略では困る。
 首相は今後3年間を「集中投資促進期間」と位置づけ、設備投資を今より1割伸ばす方針を表明した。企業のインフラ輸出を3倍、農産物の輸出や外国人の教員を2倍に増やす目標も掲げた。
 日本経済の成長力を高めるには、民間投資や技術革新の喚起が欠かせない。その環境を整える政策手段を総動員するのはいい。
 だが肝心の中身は迫力を欠く。リースを活用した設備投資の支援や、先端技術の実証実験を対象とした特例的な規制緩和を目玉に据えたが、小粒の施策を寄せ集めたという印象はぬぐえない。
 6月にまとめる最終的な成長戦略では、保険診療と保険外診療を併用する混合診療の解禁や、法人課税の実効税率引き下げが見送られる公算が大きい。昨年末の衆院選で「不断の規制改革」や「法人税の大胆な引き下げ」を公約したのは自民党ではなかったか。
 農業改革の柱に据えた農地の集積も、企業が農地を借りやすくなるようにした2009年の農地法改正の延長にすぎない。企業による農地の直接所有や、農業生産法人に対する出資規制の緩和などには踏み込んでいない。
 農産物の付加価値を高め輸出を拡大する戦略は重要だ。横並びの保護政策を続けるのではなく、民間企業が参入し、自由に競争できる条件を整えるのが政府の役割だろう。今夏の参院選を意識して農家や農業団体の反発を受けないような政策だけ並べるのでは困る。
 政府・日銀は財政出動と金融緩和で景気回復の端緒をつかんだ。だがカンフル剤をいつまでも打ち続けることはできない。日本経済の本格再生につながる中身の濃い成長戦略が必要である。
 新たな市場や技術を生むのは民間の創意工夫だ。安倍政権はその環境づくりに徹した方がいい。環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加は評価したいが、細かな措置を散発的に打ち出しても企業や個人のやる気は引き出せない。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55134550X10C13A5EA1000/より、
日経新聞 社説 経済の好循環を生み出せるか
2013/5/17付

 2013年1~3月期の実質成長率が前期比年率で3.5%となった。12年10~12月期の1.0%を大幅に上回る。政府・日銀の政策効果や世界経済の改善に支えられ、国内景気の持ち直しが鮮明になっているのは心強い。
 しかし日本は経済再生への一歩を踏み出したにすぎない。ここで景気を本格的な回復軌道に乗せ、14年度からの消費税増税を軟着陸させるために、官民がやらなければならないことはまだ多い。
 成長率に対する寄与度が高かったのは個人消費だ。株高で消費者の心理が好転し、自動車の購入や外食などが増えた。米国向けを中心に輸出が伸びたのも大きい。
 一方、設備投資は5四半期連続で減った。減少幅が縮んでいるとはいえ、景気の先行きになお慎重な企業が多いことを物語る。
 中国や欧州などの景気動向には不安も残るが、今の円安が続けば輸出や生産の増加が見込める。株高の効果もあって、企業収益の改善が期待できるだろう。
 問題はその恩恵が広く波及するかどうかだ。企業収益の改善が設備投資の増額をもたらし、雇用の拡大や賃金の上昇を通じて個人消費も刺激する。そんな好循環を生み出すのが日本の課題である。
 日本経済研究センターが集計した民間エコノミストの平均予測によると、13年度の実質成長率は2.4%に達するが、消費税増税の影響が出る14年度は0.4%に落ち込む。財政再建に欠かせない増税を実行しつつ、持続的な成長を実現できる政策が必要だ。
 日銀は資金供給量を2年間で2倍に増やす大胆な金融緩和に踏み切った。政府は12年度補正予算と13年度予算で公共事業を拡大し、財政面で景気を下支えする。
 だが金融緩和や財政出動をいつまでも続けることはできない。安倍政権は企業や個人の活力を引き出すため、大胆な規制緩和や自由貿易の推進を軸とする成長戦略の実行を急ぐべきだ。「縮み志向」から抜け出し、未来への投資に動く民間の奮起にも期待したい。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130517k0000m070107000c.htmlより、
社説:GDP大幅増 財政再建を忘れるな
毎日新聞 2013年05月17日 02時30分

 内閣府が発表した今年1〜3月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質GDPが年率換算で前期比3.5%の高い伸びを示した。昨年末に発足した安倍内閣が経済政策「アベノミクス」で金融緩和姿勢を強く打ち出したことが円安、株高、企業業績回復につながり、日本経済が久しぶりに明るさを取り戻していることをまずは評価したい。
 国内は新車販売や外食、衣料品といった個人消費が好調で、米国向けの自動車を中心とした輸出増も加わった。ただ、企業の設備投資は5四半期連続でマイナスを続けている。本格的な経済成長につなげるためには、設備投資を活発にさせ、起業や業界再編など産業の新陳代謝を後押しする施策が大事になる。
 安倍政権は産業競争力会議を中心に、6月中旬に公表する成長戦略のとりまとめを急いでいる。国主導で規制緩和や税制優遇に取り組む「国家戦略特区」の創設などが目玉になる見通しだ。税制改正などは政府・与党内の調整が不可欠で、即効性のある政策にどこまで踏み込めるか、まだ見えない。
 円安の影響で値上げの動きが出ている。企業が活発に動き、賃上げや雇用を増やさなければ暮らしは厳しくなる。国民生活が向上する好循環につながる施策を期待したい。
 一方、金融市場では気がかりな動きが出ている。投資家の売り注文が相次いで国債の価格が下落し、長期金利が急上昇しているのだ。日銀が4月に決めた金融の大幅緩和では、国債を市場で大量購入し、長期金利低下を目指していた。だが、市場で売買できる国債が減り、価格が乱高下することへの懸念などから国債購入を手控える投資家も多く、日銀の思惑とは逆の動きになっている。
 投資家が、もっともうかるとみた株式市場に資金を移動させているためで、景気回復をにらんだ「良い金利上昇だ」とする見方もある。ただ、それにしても動きが急激すぎる。
 金利上昇、すなわち国債価格の下落は、国債や社債を大量に保有する銀行や生命保険会社の経営を直撃する。国債の利払い費が増え、政府にとっても大きな痛手だ。景気が今後本格的に回復していけば、どこかで金利は上がっていく。
 大事なことは、政府が財政再建にも十分力を入れる姿勢を示し、国債の増発懸念を抑えることだ。それが不安定になってしまった市場を落ち着かせる最良の策でもある。
 安倍内閣は今年夏に財政再建の道筋を示す中期財政計画をまとめる構えだ。消費増税に加え、社会保障費の抑制といった痛みを伴う議論も避けられない。信頼できる財政健全化策が待ち望まれている。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130517ddm003020143000c.htmlより、
クローズアップ2013:GDP年3.5%増 成長持続へ迎えた正念場
毎日新聞 2013年05月17日 東京朝刊

 内閣府が16日発表した今年1〜3月期の国内総生産(GDP)の速報値は、安倍政権の経済政策「アベノミクス」による円安・株高を背景にした景況感の回復で個人消費が伸び、米景気回復で輸出も増加に転じたこともあり、高い伸びとなった。高額品の売り場はにぎわいを取り戻しつつある。一方で雇用環境の改善は進まない。構造改革を進めて持続的な成長へと導けるか。政府の経済政策のかじ取りは、これからが正念場だ。

 ◆明
 ◇高額品市場活況 消費増税前、住宅駆け込み購入急増
 「実家を建て替えたい。消費増税が来春にあることが一番大きな理由」。さいたま市南区の住宅展示場を訪れた同市桜区の理容師の男性(30)は16日、こう語り、夫婦で熱心に見て回っていた。株高に伴う消費者心理の改善や来年4月の消費増税前の駆け込み需要で、住宅市場は活況を呈している。注文住宅で来年4月以降に引き渡しを受ける場合、今年9月までに契約していないと8%の消費税率が適用されることも拍車をかけている。
 国土交通省によると、住宅着工戸数は3月まで7カ月連続で前年同月の水準を上回った。住宅メーカー大手の大和ハウス工業は「住宅購入に消費者は前向きになっている」と指摘する。
 マンション販売も好調で、民間の不動産経済研究所によると、首都圏のマンションの3月の新規発売戸数は前年同月の約1・5倍の5139戸。契約率は82・1%で、7カ月ぶりに80%台に乗った。三井不動産は「株高による資産効果で高額マンションの引き合いが増えた」と語る。
 好調な消費を支える要因の一つが株高だ。日経平均株価は昨年11月以降、半年で1・7倍になった。東証1部の1日平均売買代金(月間ベース)は先月、3兆3900億円に膨らみ、過去最高だった2007年2月(3兆5400億円)に迫る勢いだ。東京都内のある大手証券支店は、売買注文や来店客数が半年前に比べて2倍の水準になったといい、支店長は「1回1000万円単位で注文する顧客が増えた」と声を弾ませる。
 高級外国車の販売店では「買い替えで、ワンランク上の車を求める傾向が強まってきた」(輸入車販売大手のヤナセ)。日本自動車輸入組合によると、12年度の輸入乗用車の販売は昨秋以降、大幅に増加し、軒並み前年度実績を上回った。「世間の目を気にしてぜいたくを控えていた富裕層の購買意欲が高まっている」(外車ディーラー)という。
 イタリアの高級車マセラティを販売するマセラティジャパンは、1台1000万円をくだらない新車を年末までに、前年の倍の650台販売する見込みだ。「この波に乗っていきたい」と意気込む。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130517ddm003020143000c2.htmlより、
 また、全国の百貨店で好調の宝飾品や高級時計など高額品の売上高は、3月まで7カ月連続で前年同月を上回る好調ぶりだ。海外高級ブランドは今春、円安の影響で値上げが相次いだが、勢いは変わらないという。【窪田淳、田口雅士、松倉佑輔】

 ◆暗
 ◇続く就職難、デフレ 政府の新施策、期待は薄く
 円安・株高で企業業績は好転しつつあるが、就職活動中の学生には景気回復が実感できない厳しい状況が続く。15日、東京都千代田区の明治大構内で開かれた合同企業説明会に出席した同大大学院文学研究科の速水尚人さん(24)は「メーカーや商社など20社近く回ったが、内定が取れない。どの社も採用人数は増えていない」と苦しげに語った。大学4年だった2年前も就職活動をしたが、内定を取れずに大学院に進んだ。しかし、2年前と「状況が変わった実感はない」という。
 求職者1人に対する求人数を表す有効求人倍率は今年3月に0・86倍となり、3年前の0・48倍(10年3月)から倍近くになったものの、1倍を切る厳しい状況が続く。税や社会保険料が差し引かれる前の現金給与総額も前年水準を下回ることが多く、今年3月も前年同月より0・8%下落した。デフレも続き、雇用環境が改善しないままでは、持続的な成長軌道への復帰は難しい。
 安倍政権の経済政策「アベノミクス」では、金融緩和と、公共事業などの財政出動に加え、規制緩和などの「成長戦略」が3本目の矢で最も重要だ。5四半期連続でマイナスだった設備投資を改善させるためにも、企業が安心して活動を進められる環境づくりが欠かせない。政府が6月にまとめる「成長戦略」に注目が集まるが、非正規労働者のキャリアアップ支援や公共施設の民間運営拡大などすでに議論された内容が多く、「目新しい施策が打ち出せるわけではない」(経済産業省幹部)と政府内にさえ冷めた見方がある。
 「消費税を上げる際に判断する経済環境を整えるスタートが切れた」。甘利明経済再生担当相は16日、4〜6月期までの景気を見極めて最終判断する来年4月の消費増税に自信をのぞかせた。しかし、政府の経済政策に市場が失望すれば、期待感が先行している分だけ反動も大きい。アベノミクス効果を一時的なバブルで終わらせずに持続的な成長へと誘導できるか、政府の経済政策の真価が問われるのはこれからだ。【丸山進】

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55095540W3A510C1EA1000/より、
日経新聞 社説 カンフル剤だけに頼らぬ経済の再生を
2013/5/16付

 2013年度予算の執行がようやく始まる。緊急経済対策の財源を賄う12年度補正予算と合わせ、安倍晋三政権が財政面から景気を下支えする体制が整った。
 だがカンフル剤をいつまでも打ち続けるわけにはいかない。財政出動と金融緩和だけに頼らず、日本経済の本格再生につながる成長戦略の実行を急ぐべきだ。
 13年度予算の一般会計総額は92.6兆円で、13.1兆円の12年度補正予算を加えると100兆円超の歳出規模になる。景気のてこ入れを優先し、公共事業を軸とする大型の財政出動に踏み切った。
 この予算には多くの不満が残る。社会保障費を含む歳出全体を厳しく抑え込みながら、日本経済の成長基盤を固める事業に重点配分したとは言い難い。
 しかし日銀の積極的な金融緩和とともに、13年度の日本経済を底上げするのは確かだ。政府・日銀が繰り出した1本目と2本目の矢を無駄にせず、デフレからの脱却につなげてもらいたい。
 問題は次にどんな政策を打つかだ。景気対策としての公共事業には即効性はあっても持続力がない。国と地方で1000兆円近い債務残高を抱える日本が、大型の財政出動を続けるのは難しい。
 金融緩和もいずれは修正の時期が来るだろう。それでも日本経済の成長力を高めるには、企業や個人の活力を引き出す環境づくりが欠かせない。大胆な規制緩和や自由な貿易・投資の推進、法人税の減税などが決定的に重要だ。
 安倍首相は再生医療の実用化や待機児童の解消などを目指す成長戦略の第1弾を発表した。農業の活性化や企業の支援を柱とする第2弾も近くまとめる予定だ。
 一方、保険診療と保険外診療を併用する混合診療の解禁や、労働力の移動を促す本格的な施策などは見送られる公算が大きい。今夏の参院選を意識して、聞こえのいいスローガンや補助金などのばらまきを連発するのでは困る。
 財政再建の道筋もそろそろ示さなければならない。安倍政権は国と地方の基礎的な財政収支の赤字を15年度に半分に減らし、20年度には黒字に転換したいという。それならば消費税の増税を確実に実行するだけでなく、歳出の抑制にも本腰を入れざるを得まい。
 自民党や公明党は社会保障の給付抑制や高齢者の負担増に及び腰だ。そこにも手をつけないと、真の経済再生はおぼつかない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130514k0000m070101000c.htmlより、
社説:G7と財政再建 決意はどこへ行った
毎日新聞 2013年05月14日 02時30分

 あの反省と決意はどこへ行ってしまったのだろう。そう嘆かずにいられない、先進7カ国(G7)の緩みぶりである。先週末、ロンドン郊外で開かれた財務相・中央銀行総裁会議はその印象をより強く与えた。
 長期化している金融緩和がその一つだ。リーマン・ショックに至るバブルの要因となったにもかかわらず、先進国の金融緩和は再び長期化し、出口が見えない。しかも前例のない規模にエスカレートしている。
 緩んだもう一つの決意が財政再建に関するものだ。金融危機後の景気浮揚策などで軒並み悪化した各国の財政を、立て直そうと誓いを立てたのが、3年前、カナダ・トロントで開いた主要20カ国・地域(G20)首脳会議だった。
 先進国は2013年までの財政赤字半減と16年以降の債務削減を決めたのである。だが、景気の本格回復が遅れ、債務危機への緊張も薄れる中、財政再建の優先順位は低下。多くの国で目標達成は困難な情勢だ。
 新たな努力が必要な先進諸国だが、今回のG7では、会議に先立ち米国がドイツの財政出動を促すなど、成長優先がより鮮明になった。財政再建重視の英、独、カナダと、成長優先の仏、伊、米に分かれ、一致して強いメッセージを発信できなくなっている。
 そんな足並みの乱れは、財政健全化への相互の要求を弱め、各国はある意味で楽になるかもしれない。しかし、先進国中最悪の財政を抱える日本に、ほっとできる余裕はない。
 トロントG20で先進国が掲げた目標も、別枠扱いにしてもらった日本である。他の先進国と同じでは達成が絶望的だと、独自の目標を認めてもらった。その甘めの目標、つまり「15年度までに基礎的財政収支の赤字額の国内総生産比半減、20年度までに黒字化」についてさえ、最近、見直しを示唆するような発言が安倍内閣から出ている始末である。
 この先が心配だ。「異次元の金融緩和」により、日銀は毎月、政府発行額の7割強にあたる国債を買っている。これまで以上に、健全化姿勢を明確にしないと、市場を通じた国債購入とはいえ「財政赤字の穴埋め」との見方から、国債が信用をなくし、長期金利が急騰する危険がある。
 国債市場では神経質な取引が続いており、日銀の意図とは逆に、長期金利が上昇(国債価格が下落)している。安倍政権は財政再建に向けた具体的計画を急ぎ明確にすべきだ。
 G7参加者のうち、バブル再燃に警鐘を鳴らし、財政再建に対する先進国の緩みを批判しているのはカナダのフレアティ財務相ぐらいである。他の6カ国は耳を傾けるべきだ。特に日本はそうである。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130513/fnc13051303160000-n1.htmより、
産経新聞【主張】G7と円安 成長戦略が懸念払う鍵だ
2013.5.13 03:15 (1/2ページ)

 ロンドン郊外で開かれた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では、1ドル=100円の節目を超えた円安に対し、特段の批判は出なかったという。ここまでの円安が、昨秋までの歴史的な超円高の修正過程だったことを考えれば、当然であろう。
 その一方で、会議では複数の国から為替市場の現状に対する懸念表明があった。共同声明発表は見送られたが、議長のオズボーン英財務相によると、為替に関しては、このところ20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の声明などで打ち出してきた「通貨安競争の回避」が改めて確認されたという。
 日銀の大規模な金融緩和は、円安誘導ではなくデフレ脱却のためだとする日本の主張は、今回も、とりあえず容認された格好だ。だが、急激な円安への批判を控えてきたG7の姿勢が変わりつつあることも認めねばなるまい。
 日本の主張に説得力を持たせるためにも、今後の成長戦略にどれだけ大胆で実効性ある内容を盛り込めるかが鍵となる。政府の責任はさらに重くなったといえる。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130513/fnc13051303160000-n2.htmより、
2013.5.13 03:15 (2/2ページ)
 今回のG7では、欧州各国における緊縮財政一辺倒の政策への国民の不満の高まりを受け、「中長期的な財政健全化」と「財政の柔軟性と成長への配慮」を並立させることで一致した。
 イタリアやギリシャなどに対する支援の見返りに財政規律の厳格化を求めるドイツに対し、条件緩和を期待するものだ。
 しかし、欧州の債務危機は現在もなお、小康状態の域を脱していない。危機に直面する国々は、安易な財政出動が容認されたわけではないと受け止めるべきだ。
 先進国で最悪の財政赤字に苦しむ日本にとっても対岸の火事ではない。平成24年度補正予算と近く成立する25年度予算で、大規模な財政出動を打ち出している。日銀による国債の大量購入政策と相まって、市場などに財政規律の緩みを懸念する声は根強い。
 麻生太郎財務相は現地で「財政健全化と財政出動による景気回復は二律背反ではない」と強調したが、今回、改めて年央までにまとめるとした財政健全化計画が不十分と見なされれば、市場の混乱を招きかねない。日本は世界経済への責任を果たす上でも、G7各国や市場の理解を得られる内容を示す必要がある。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54949770T10C13A5PE8000/より、
日経新聞 社説 経済運営の信頼高め欧米の懸念を拭え
2013/5/13付

 日米欧7カ国(G7)が英国で財務相・中央銀行総裁会議を開き、通貨安競争を回避する方針を確認した。当面の景気下支えと中長期的な財政再建の両立が必要だとの認識でも一致した。
 日銀の積極的な金融緩和の狙いが「円安誘導」にあるという表立った批判は出なかったが、欧米にはなお不満がくすぶる。日本は総合的な成長戦略や財政再建計画の策定にも責任を果たし、経済運営全般への信頼を高めるべきだ。
 円相場は1ドル=101円台、1ユーロ=132円台まで下落した。景気の低迷にあえぐ欧州では円安に対する警戒感が強く、米国でも自動車業界が問題視している。
 だが今の円安には米景気の回復や欧州危機の一服、日本の貿易収支悪化といった様々な要因がある。麻生太郎副総理兼財務相や黒田東彦日銀総裁が「円安誘導ではない」と訴えたのは当然だろう。
 今回のG7会議では各国が為替相場を目標とするのではなく、国内の景気回復や物価安定を実現するために財政・金融政策を運営する方針を確認した。日本は「強力な金融緩和がデフレの克服に欠かせない」と粘り強く説明し、国際社会の理解を得る必要がある。
 金融緩和や財政出動だけに頼らない経済再生の道筋も示すべきだ。民間の活力を引き出す大胆な規制緩和や自由貿易の推進、法人税の減税などが重要である。こうした成長戦略を実行し、世界経済の回復を支えることが、日本への評価につながるのではないか。
 財政再建の努力も忘れてはならない。日米欧に新興国も加えた20カ国・地域(G20)は4月の財務相・中央銀行総裁会議で、信頼に足る財政健全化計画の策定を日本に求めた。2014年度からの消費増税を実行するだけでなく、社会保障改革などを通じた歳出の抑制にも本腰を入れてほしい。
 景気回復と財政再建の両立は欧米にも共通の課題だ。欧州ではフランスやイタリアが成長重視の路線に傾き、財政規律の維持を訴えるドイツとの対立が表面化している。中長期的な財政健全化の旗は降ろさず、緊縮のペースをうまく調節する工夫が問われよう。
 米国では10年間で1.2兆ドル(約122兆円)の歳出強制削減が経済の足を引っ張る恐れが残る。インフラ整備や雇用促進税制で足元の景気を下支えしながら、将来的には増税と歳出削減の均衡がとれた財政再建に取り組むべきだ。

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