育児休業3年 「男性の育児参加が先だ」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013052002000121.htmlより、
東京新聞【社説】「女性手帳」 育児支援がチグハグだ
2013年5月20日

 少子化対策として政府の作業部会が「生命(いのち)と女性の手帳(女性手帳)」の配布を検討中だ。他にやるべきことがあるのではないか。「育休三年」への取り組みといい、対策の発想がズレている。
 少子化対策を議論する内閣府の「少子化危機突破タスクフォース」(主宰・森雅子少子化担当相)が、若い女性向けに妊娠・出産に関する知識を身につけ将来設計に役立ててもらおうと、女性手帳の配布を検討している。
 妊娠適齢期などの知識や妊娠・出産支援情報の掲載、自分の健康データなどを記録できるという。
 作業部会は少子化の原因のひとつに晩婚・晩産化、非婚化を挙げる。これまでの対策は、保育所整備など出産後の支援が主で、結婚や出産を支える取り組みが弱かったとの認識がある。
 妊娠や出産についての知識を得ることも大切だろう。だが、出産をするかどうか、いつするかは個人の自由だ。政府が「早く結婚して出産を」と一方的に女性に押しつけるとしたら理解しがたい。
 長く政権を担う自民党は自らの無策を棚に上げ、少子化を女性の責任にしているように見える。
 参院厚生労働委でも野党から「一歩間違えば『女は子どもを産む機械』となりかねない」と指摘されたが、そうした危うさを政権はまず自覚すべきだ。
 手帳の名称も違和感がある。本来、結婚から妊娠・出産、そこから続く子育てまで、どうするかは男女の問題である。
 安倍晋三首相は子育て支援として「育児休業三年」を打ち出したが、子育ては女性の役割との考えがベースにある。子育て家庭を社会で支える発想が求められていることを忘れるべきでない。
 晩婚・晩産化や非婚化の大きな原因は社会にある。子どもを産もうとしたとき壁が立ちはだかる。女性が一人目を産むには結婚できるかどうかが問題だ。二人目を産むには夫の子育て参加がカギを握る。三人目を産むには教育費など経済力が要る。
 若い世代は非正規社員が増え低賃金で雇用も不安定では結婚もままならない。夫の長時間勤務を是正し夫婦で子育てできる職場環境はなかなか整わない。教育への公的な支出を増やし家計への負担を減らす支援も不十分だ。
 子どもを「産まない」のではなく「産めない」社会こそが問題なのだ。その解決に腰を据えて取り組まないと次世代は育たない。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54949800T10C13A5PE8000/より、
日経新聞 社説 少子化対策は広い視野で
2013/5/13付

 何度やってもうまくいかないと、あきらめたり、つい手近な対策に飛びついたりしたくなる。そんな瀬戸際にあるのが少子化対策かもしれない。長年の取り組みにもかかわらず、具体的な成果はなかなか出てこない。
 だが、少子化対策に王道はない。これまでの施策のどこが足りず、今後どこを強化すべきか。限られた予算の中で優先順位をつけながら、社会全体の問題として取り組んでいくことが必要だ。
 少子化対策の範囲は広い。最初は仕事と子育ての両立支援を中心に始まり、男性を含めた働き方の見直しなどにも広がった。だが、いずれも十分な成果が出たとはいいがたい。
 1人の女性が生涯に産む子どもの数の推計である合計特殊出生率は、2011年時点で1.39だ。国民が持つ結婚や出産の希望がかなえば1.75程度になるとの試算もある。こうした希望の実現を妨げている原因を一つ一つ取り除かなければならない。
 このため3月に、内閣府に有識者会議が設けられた。育児だけでなく、結婚や妊娠、出産についての対策を考える場だ。これまで手薄だった分野であり、意義は十分にある。
 ただ、ここで大事になるのは、「妊娠、出産は女性の問題」などと小さくとらえないことだ。妊娠、出産についての正しい知識を伝えるための「手帳」を作る案が出ているが、知識の必要性は女性に限ったことではないし、知識不足ばかりが少子化の原因ではない。
 若いうちから不妊に悩む夫婦もいれば、仕事や家計の状況から結婚・出産に踏み切れないカップルもいる。とりまとめはこれからという。優先順位を含め、十分な議論が必要だろう。
 「女性の問題」ととらえる限り、関心を持つ人は減り、少子化対策は前進しない。多様な視点からの、多様な取り組みが欠かせない。少子化の問題は、一人ひとりに突きつけられた課題と受け止めなければならない。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54667260U3A500C1PE8000/より、
日経新聞 社説 子育て支援に社会の総力あげよう
2013/5/4付

 かつて「エンゼルプラン」という施策があった。1994年に国がまとめた総合的な子育て支援策だ。それ以降、保育サービスの拡充などが次々に打ち出されたが、約20年たった今なお、子育てしやすい環境が整ったとはいえない。
 1人の女性が生涯に産む子どもの数の推計である合計特殊出生率は2011年で1.39。このまま少子化が進めば労働力不足が深刻化し、消費も低迷し、日本の成長を阻む。子どもを産みやすく育てやすい社会に変えていくために、あらゆる手を打つべきである。

男性も働き方を見直せ
 仕事と家庭を両立しやすくすることは、子育て支援の中核のひとつだ。安倍晋三首相は先月、女性の活躍を支えるために2年間で20万人分の保育サービスを確保すると表明し、「3年間、抱っこし放題での職場復帰」も打ち出した。
 法定の育児休業は原則1歳までだが、企業側に自主的な取り組みを促すという。日本では働く女性の6割が第1子出産を機に退職する。優秀な人材の流出は企業にも損失だ。新たな仕組みができれば「3年間休めるなら」と退職を思いとどまる人もいるだろう。
 ただ「3年育休」が独り歩きするのは問題だ。長く休めば復帰のハードルは上がる。家計などの状況がそれを許さない人もいるに違いない。職場でどう対応するか、企業の負担も重くなる。
 葛藤をかかえながらも職場に戻り、子育てと仕事に全力で取り組む人は多い。育休や有給休暇を小刻みに取得して短時間勤務ができるようにするなど、柔軟な対応をすることがむしろ現実的だ。
 男性の育児参加をもっと促す必要もある。厚生労働省の調査では、父親の休日の家事・育児時間が長いほど、第2子以降が誕生する割合が高い。核家族化が進み、地域のつながりも薄くなるなか、母親を孤立させてはならない。
 男性の育休取得率は11年時点でわずか2.63%だ。「3年育休」にこだわるよりも、短期間であっても男性の育休取得を有給休暇取得と併せて促したい。長時間労働を前提とした働き方を見直すことで、女性も男性も子育てにかかわり、参加する道が開ける。
 そもそも、結婚・出産に明るい展望を描きにくい若い世代も多い。若年層は失業率が高く、非正規で働く人たちもいる。非正規社員にも育休を取る道は開かれているが条件は厳しい。非婚・少子化対策には雇用対策も大切だろう。
 国は15年度から新しい子育て支援制度を始める予定だ。支援の質・量拡充のために必要な1兆円のうち、消費税増税分から7000億円を充てるが、効率的に使ってほしい。保育所と幼稚園の機能を併せ持つ「認定こども園」がどこまで増えるかは不透明だ。当初検討されていた幼保一体化の理念は大幅に後退した。
 少子化対策にはこうした課題のほかにも、取り組むべきさまざまなテーマがある。小学校以降の教育のあり方もそのひとつだ。
 子どもが高校や大学を出るまでの長い期間、経済的な負担をなるべく抑え、いかに充実した教育を受けさせられるか。多くのカップルが、結婚や子育てにあたってそこに強い関心を持っている。
 ところが日本の公教育は施設のIT(情報技術)化や学級の少人数化など教育環境の面で、先進国のなかでは後れをとっている。

教育に多様なコースを
 経済協力開発機構(OECD)によると、日本は国内総生産(GDP)に占める教育への公的支出の割合が3.6%と加盟国で最下位だ。財政事情は厳しいが、支出にメリハリをつけながら公教育の基盤を再整備する必要がある。
 それと並んで重要なのは、教育内容や制度の改革だ。日本の戦後教育は均質性を重んじるあまり、現場の創意工夫や多様な学びの実践は遠ざけてきた。しかも進路は6・3・3・4制の単線型コースが硬直し、ペーパーテスト偏重の選抜も弊害が大きい。
 懸案を一気に解決することはできないが、大学入試改革などを突破口に、なるべく多様な学び方とコースを用意し、選択の幅を広げる改革を進めるときである。
 子どもの未来がさまざまに開かれ、若い世代が未来に夢を持てる社会は、多くの人にとっても活力ある社会となる。結婚や子育てにも希望を与えるはずだ。
 この20年間に少子化対策のメニューはほぼ出そろい、教育改革の意義もかねて指摘されてきた。今こそ、それを具体化して社会全体で子育てを支え、子どもを支えなければならない。わたしたちの意識改革も問われている。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 4月 25 日(木)付
育休3年─当然、男性もですよね

 安倍晋三さま。先日の記者会見で、成長戦略の柱の一つに「女性の活用」をあげられたことに感銘を受けました。
 5年後の「保育所・待機児童ゼロ」を目指すとのこと。「保活」の心配がなくなれば、若い世代も安心して働きながら子どもを産み育てられるでしょう。
 自民党が、ついに「男は外で仕事、女は家で子育てすべし」という考え方と決別したと理解していいでしょうか。
 驚いたのは、「3年育休」です。3年休めるうえ、仕事に本格復帰する前に大学や専門学校などで「学び直し」ができるよう支援すると。
 1年未満で契約を更新し、いつ雇い止めになるか不安な有期雇用の非正規社員も多いなか、「どこの国のことか」とも思いましたが、恵まれた正社員でなくても育休3年を可能にする秘策があると見ました。
 共働きで何とか生活を成り立たせている家庭が少なくないなか、一人が休んでいる間の金銭的な保障も、確固たる財源の裏付けとともにいずれ打ち出されることを期待します。
 ただ、心配もあります。「育休推進」が、まさか「休んで子育てするのは女性」という前提ではないですよね。
 首相自ら「3歳になるまでは男女が共に子育てに専念」とおっしゃる通り、男性を子育てに巻き込まないと、本当の女性活用にはならないし、経済の活性化もおぼつかないでしょう。
 そこで提案があります。男性の育休取得をもっと強力に推進するのです。
 女性の育休取得率は、すでに9割に迫ります。一方、男性の方は、ようやく2・6%。そのうち6割強は「2週間未満」しか休みません。
 育児休業は子どもが少なくとも1歳になるまで取れますが、父母ともに取得する場合、1歳2カ月までの延長を雇用主に義務づける「パパ・ママ育休プラス」が実施されています。
 ここを大きく進めて、スウェーデンのように、男性しかとれない育休期間を60日設ける「パパ・クオータ制」の導入も検討してはいかがでしょうか。
 女性が2人目の子どもを産むかどうかは、夫の姿勢がカギを握ります。厚生労働省の調査によれば、第2子以降が生まれる割合は、夫が休日にまったく家事・育児に参加しない家庭で約1割ですが、6時間以上だと7割近くになります。
 男女ともに能力を最大限に活用しながら「抱っこし放題」の時間も持てる。そんな社会を目指すなら大歓迎です。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013042502000136.htmlより、
東京新聞【社説】育休3年 男性の育児参加が先だ
2013年4月25日

 アベノミクスの「三本目の矢」となる成長戦略を安倍晋三首相が発表した。「女性の活躍」を中核に「待機児童ゼロ」と「三年の育児休業」が目玉だ。必要な施策だが、大事な視点が欠けている。
 女性の活力は経済成長には欠かせない。待機児童解消のため保育所整備を加速させる姿勢は間違っていない。
 ただ、政府の規制改革会議で検討されている施設面積を狭くしたり、保育士の配置を減らすなどの基準緩和は問題である。子どもの詰め込みや保育の質低下を招く。
 一方、株式会社の保育分野参入は促進すべきだ。企業は経営努力でニーズに応える知恵がある。施設を増やすことにつながる。
 現行で最長一年半取れる育休の三年への延長を経済界に求めた。ただ、女性の働く環境の改善に必ずしも応えるものではない。
 働く女性の二人に一人は第一子出産の前後に退職している。育休を取っても、短時間勤務など職場復帰後に仕事を続けられる支援が不十分だからだ。育休制度を利用しにくい職場の雰囲気も壁になっている。非正規社員は正社員より育休を利用しにくい。
 現在でも満足に育休を取れないのに、期間を延ばして利用者が増えるのか疑問である。育休延長は経済界への要請にすぎない。実現には法的に制度も変えるべきだ。
 成長戦略で見落としている視点が男性の育児参加である。男性の育休取得率は依然低い。女性が職場復帰後に働きながら子育てするには、男性も一緒に子育てをすることが前提だ。長時間労働の是正や、非正規社員の待遇改善など男性の働き方の変革も必要である。
 二〇一一年版「働く女性の実情」白書によると、子育て期の男性五人に一人は週六十時間以上働いている。一方、共働きで六歳未満児を持つ妻の一日平均の家事・育児時間は五時間三十七分あるのに夫は五十九分しかない。女性に育児負担がのしかかったままだ。
 女性の活力を生かすには、男性も子育てしやすい社会をつくることが求められている。
 そもそも安倍首相には、子どもが三歳までは母親が育てるべきだという家族観がある。親子のつながりは大事だが、それでは女性の活躍の場は広がらない。
 政府は「三年間抱っこし放題での職場復帰支援」を掲げるが、子育てには「いろいろな人に抱っこしてもらう」との社会で子育てを支える発想こそが必要である。

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