シェールガス 「燃料費削減の第一歩となるか」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013052202000143.htmlより、
東京新聞【社説】シェールガス輸入 資源戦略を練り直せ
2013年5月22日

 米政府が初のシェールガス対日輸出を許可した。しかし今後の日本の輸入量は全輸入量の二割弱しか見込めない。米国以外からの安いガス輸入や風力活用など、エネルギー調達の多様化が不可欠だ。
 許可されたのは中部電力と大阪ガスの二社が昨年申請した計画で、液化したガスをそれぞれ年二百二十万トン、計四百四十万トンを二〇一七年から二十年間輸入する。
 地中の頁岩(けつがん)に眠る天然ガス、シェールガスの液化費用などを含めても、現在、中東などから輸入している百万BTU(英国熱量単位)当たり十七ドル前後より三割ほど安くなる。
 東京電力福島第一原発の事故を境に、全国五十基の原発は関西電力大飯原発の二基を除いて再稼働のめどが立たず、電力供給の多くを天然ガスなどの火力発電に頼らざるを得なくなっている。
 一二年度の輸入額が前年度より大幅に増えて二年連続の貿易赤字を記録したので、米国からの安いガス輸入は歓迎すべきだが、手放しでは喜べない面もある。
 米国の対日輸出は商社を中心になお二件が審査中で、すべて認められても多くて年一千万~千五百万トン。一二年度の日本の輸入量八千六百万トンの二割に満たない。世界最高値の原因である中東などとの原油価格連動による値決めが改善される見通しも立っていない。
 今や、日本はシェール革命がエネルギー供給の図柄を塗り替えている現実を見据えるときだ。
 サウジアラビアやロシアを抜いて二〇年ごろには世界一の石油・ガス生産国に躍り出る米国は、石炭がだぶつき、欧州に輸出を始めた。中東カタールは米国に輸出していた液化天然ガスを欧州に振り向けている。その結果、ロシアの欧州向け石油・ガスは行き場を失い、東方の日本や韓国、中国市場重視へと戦略を変えてきた。
 ロシアはサハリン2の天然ガス開発で日本の参加企業に出資率を引き下げさせるなど手ごわい相手だが、日本は地球規模のエネルギー地図の激変を直視し値下げを迫るべきだ。中東もアジアに照準を合わせており、攻めの交渉力が求められている。
 エネルギー安全保障の根幹は多様性にある。三五年には新規発電設備の半分を太陽光などの自然エネルギーが占めるとされる。新たな日本へ一歩踏み出すためにも、エネルギー基本計画の策定を急ぐべきだ。原発の今後などがあいまいでは足元を見透かされ、腰の据わった資源外交が危うくなる。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130521/plc13052103140004-n1.htmより、
産経新聞【主張】シェールガス 安定調達へ大きな一歩だ
2013.5.21 03:13

 米政府がシェールガスの日本向け輸出を初認可した。輸入先の多様化はエネルギー安定調達の基本であり、認可には日米同盟重視という戦略的意味も込められている。大いに歓迎したい。
 日本は原油や液化天然ガス(LNG)を政情不安定な中東などに依存する。同盟国米国からの輸入ルート開拓は、エネルギー安全保障面で大きな前進といえる。
 安倍晋三政権は他の米シェールガス輸入交渉の成約に向け、米政府に働きかけを強めてほしい。
 米国では、硬い岩盤層の隙間に閉じ込められたシェールガスの産出が採掘技術の進歩で急増し、自由貿易協定(FTA)の締結国に天然ガスを供給してきた。今回、非締結国日本への輸出を解禁したのは、日本が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加を決めたことも一因である。
 だが、米国内価格が上がりかねないとして米化学企業などに輸出への抵抗も強い。そうした中、安倍首相が2月の訪米で日本への輸出を求めたのに応え、オバマ米大統領は認可に踏み切った。同盟国重視という明確な決断である。
 認可に伴い、中部電力と大阪ガスは4年後にテキサス州の貯蔵基地から、日本のLNG輸入量の5%の年440万トンを購入できる。シェールガスの増加で米国内価格は低下し、今より3割ほど安く調達することも可能だという。
 原発の再稼働遅れで、代替の火力発電向けにLNG輸入が急激に増えている。足元を見られ、資源国との間で価格引き下げ交渉が難航し、輸入額は大震災前より年3・8兆円も増大している。米国からの調達を、他資源国との価格引き下げ交渉に利用してほしい。
 中東産原油・LNGの多くは、イラン核開発問題などで緊張が続くホルムズ海峡経由で運ばれる。米国からの太平洋ルートでの輸入は中東依存度の引き下げにつながり、安定調達にも寄与しよう。
 米国は2015年にも世界最大の天然ガス生産国になるとの国際機関の予測もある。日本の商社などは米国内貯蔵基地からの輸入交渉も始めている。そうした調達先の多様化には今後とも、官民挙げての取り組みが欠かせない。
 ただ、LNGや石炭などに比べて原発の発電コストは圧倒的に安いのも事実だ。安価で安定的な電力供給には、原発の再稼働が不可欠であることも銘記したい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55275290R20C13A5EA1000/より、
日経新聞 社説 シェールガス輸入をてこに調達多角化を
2013/5/21付

 米国政府が新型天然ガスであるシェールガスの対日輸出を許可した。まず中部電力と大阪ガスが2017年にもシェールガスを液化天然ガス(LNG)に加工して日本に持ち込む。
 シェールガスでつくるLNGは、日本がアジアや中東から輸入するLNGより3割程度安い。シェールガスの輸入をてこに発電燃料や都市ガス原料の調達費を抑制し、エネルギー調達の多角化を進めていくことが重要だ。
 シェールガスは地中の岩盤のすき間に閉じ込められた天然ガスだ。技術革新により採掘が可能になり、米国では生産量の急増のために天然ガス価格が下がった。
 日本ではほとんどの原子力発電所が止まり、代替する火力発電向けのLNGの輸入量が増えている。最近の円安傾向も輸入コストを押し上げている。
 加えて日本がアジアなどから輸入するLNGの価格は原油価格に連動して決まる。ここ数年の原油価格の高止まりのために、米国の天然ガス価格に比べ割高だ。
 燃料費の増大は年間3兆円規模の国富が流出する要因となり、電気料金の上昇は家計や企業経営を圧迫している。燃料費の抑制は急務である。シェールガスの輸入実現を抑制への一歩と評価したい。
 東京ガスや商社もシェールガス輸入の準備を進めている。政府はこれらの事業も着実に対日輸出の許可が得られるよう米政府に働きかけを続ける必要がある。
 ただしシェールガスへの過大な期待は禁物だ。日本政策投資銀行の試算では、20年時点の米国産LNGの輸入量は最大で約1500万トン。12年の日本のLNG輸入量の2割弱にとどまる。全輸入量を置き換えられるわけではない。
 米国の天然ガス価格は中長期的に上昇するとの見方もある。原油価格が下がった場合、米国産LNGがアジアや中東産のLNGより高くなる可能性がある。
 大切なのはシェールガスの輸入をLNGの調達先を広げる足掛かりとすることだ。既存の調達先との間で契約条件を見直す交渉材料に使っていく発想が必要だ。
 ロシア極東やアフリカ東部などでもLNGの生産計画が進む。こうした事業からの調達や、メタンハイドレートなど日本近海での国産資源の商用化も急ぐ必要がある。資源の大半を輸入に頼る日本は資源国との交渉に使えるカードを多く持つことが欠かせない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130521k0000m070108000c.htmlより、
社説:米シェールガス 燃料費削減の第一歩に
毎日新聞 2013年05月21日 02時30分

 米政府が、シェールガスの日本向け輸出を許可した。割安な天然ガスの輸入に道が開けたことは朗報だ。
 日本が現在輸入している液化天然ガス(LNG)の価格は、高止まりしている。シェールガスの輸入が始まるのは2017年の見通しだが、その前でも他の輸出国との交渉材料にはできるはずだ。国民の負担を軽くするためにも、今回の輸入決定をエネルギーコスト全体の引き下げにつなげてほしい。
 米政府が今回、輸出を許可した米企業は中部電力、大阪ガスと契約している。両社はLNGに加工して年間計440万トンを輸入する計画だ。これは日本の年間輸入量の5%に相当する。米国の天然ガス価格は、日本が輸入しているLNGの4分の1前後で、液化や輸送の費用を加えても、今より3割以上安くまかなえるという。東京ガスや商社などがかかわる他のプロジェクトの輸出許可も期待したい。
 日本は2年前の東京電力福島第1原発事故以降、大半の原発が稼働停止したことで、火力発電への依存が高まっている。燃料になるLNGの輸入が増え、価格も高止まりしているため、貿易赤字の大きな原因になっている。
 しかも、最近の円安がこの傾向に拍車をかけている。電気・ガス料金の上昇が企業や家計を圧迫し、上向きかけている景気に冷や水を浴びせかねない状況だ。エネルギーコスト全体の抑制は緊急の課題といえる。
 エネルギー源の大半を輸入に頼る日本は、輸入コストの抑制だけでなく、調達先の多様化も図らなければならない。安全保障面でも、米国産を輸入できる意味は大きい。
 もっとも、米国からの輸入は今ある計画がすべて実現しても、年間輸入量の1〜2割にとどまる。直接的なコスト削減効果は限られるため、輸入に道が開けたことのメリットを最大限に活用すべきだ。
 狙いの一つは、中東などから輸入するLNGの価格決定の仕組みだ。米国の「シェールガス革命」による量産効果で、世界的にガス需給が緩和しているにもかかわらず輸入価格が下がらないのは、LNG価格が原油価格に連動する仕組みになっているためだ。ガスの市場価格に連動し、割安な米国産の輸入は、価格決定を市場連動型に改める交渉の材料として活用できるはずだ。
 今、欧州向けのガス輸出を減らしたロシアが、日本への売り込みを活発化している。ここでも米国産の輸入をけん制材料にしながら、したたかに交渉を進めてほしい。もちろん、電力・ガス会社は共同調達を増やすなど自力で交渉力を強める努力も忘れてはならない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012101902000156.htmlより、
東京新聞【社説】シェールオイル 海外視野に技術を磨け
2012年10月19日

 秋田県の油ガス田で、地中の頁岩(けつがん)層に眠るシェールオイルの試掘が続いている。国内では初めてだ。埋蔵量が少なく商業生産の成否は不透明だが、採掘技術を蓄積すれば海外で生かす道も開ける。
 「新たな資源開発の可能性が広がった」。試掘に成功した鮎川油ガス田を抱える秋田県由利本荘市では、早くも新産業育成に期待を寄せ始めた。シェールオイルは米国で本格生産が始まっている。天然ガスを含む頁岩層も多くの国で見つかり、「シェール革命」と言われているが、手放しで喜ぶわけにはいかない。
 成功とはいっても埋蔵量は約五百万バレル。日本の一日当たりの原油消費量、四百五十万バレルを少し上回る規模にすぎず、エネルギー安定確保とは程遠い。日本のエネルギー自給率はわずか4%。試掘の成功は、むしろ海外の油ガス田開発を手元に引き寄せる好機が到来したと受けとめるべきではないか。
 通常、原油やガスは自噴し、圧力が下がった油層ではポンプでくみ上げる。これを在来型資源と呼び、それ以外の新しい採取方法が必要な資源を非在来型という。
 シェールオイル、ガスは非在来型であり、頁岩層を高圧水などで破砕して採取する技術が欠かせない。その技術は十年以上前に米国で確立されたものの、米国以外での開発は緒についたばかりだ。
 現在、世界のシェールオイルの埋蔵量は調査段階だが、ガスは全世界の消費量の百年以上に相当する埋蔵が確認されている。日本も採取技術を蓄積すれば資源国との共同開発に展望が開けるだろう。
 資源大国・ロシアのプーチン大統領は「アジアとの経済関係を相互利益にかなうものにしていく」と東方進出に意欲を示した。ロシアが抱える苦悩が垣間見える。
 ロシアの貿易拡大の牽引(けんいん)役は原油・ガスの輸出だ。国の歳入の五割を占めるが、頼みの欧州向けが金融危機を境に減り続け、アジア重視への転換に迫られている。
 加えて、シェールオイルの技術開発も大きく出遅れており、西シベリアの開発では米エクソンモービルなどに頼らざるを得なくなっている。
 日本にもロシア初のガス液化施設建設に協力した実績がある。激動する世界経済に揺さぶられるプーチン氏のシグナルを読み解き、海外の油ガス田の権益を獲得しつつ安定確保の土台を築きたい。
 資源に乏しい日本は採取技術を磨き、攻めの経済外交で資源国との相互利益を目指すべきだ。

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