ネット選挙法施行 「試されるのは有権者だ」

http://mainichi.jp/opinion/news/20130526k0000m070101000c.htmlより、
社説:ネット選挙法施行 試されるのは有権者だ
毎日新聞 2013年05月26日 02時30分

 インターネットを使った選挙運動を認める改正公職選挙法が公布から1カ月を経て26日に施行された。夏の参院選からの解禁に向け、政党は取り組みを本格化している。
 ウェブサイトで一般有権者による運動も認めるなど、政治と選挙のあり方を大きく変える可能性をはらむ改革だ。一方で「ネット政治」がもたらすさまざまな懸念も指摘されている。政党や候補のみならず、試されるのは有権者の眼力である。

 ◇双方向の政策論争を
 今月16日、ネット選挙解禁をテーマに東京都内で開かれた、地方議員が主催する研修会には約80人が参加し「ツイッターの炎上対策はどうすればいいのか」などの質問が相次いだ。ネット選挙解禁は参院選以降、全ての地方選挙も対象となる。地方議員にとって、住民との距離を縮めていく足がかりとなろう。
 改正公選法はホームページなどウェブサイト部門で政党や候補、さらに一般有権者による選挙運動を全面解禁した。ツイッターやフェイスブックも含め公示、告示から投票前日まで支持や投票を呼びかける運動が可能となる。政党や候補はメール送信による運動も認められる。
 これまで政府はこうした運動を「文書図画」の頒布として禁じてきた。遅きに失したが、大幅な規制緩和の意味は大きい。
 これまでは選挙が公示され「いざ舌戦」の段になると政党や議員のネットによる情報の更新がぱたりと途絶える異常さだった。今後は一転して支持や投票呼びかけが可能となる。投票直前まで動画も含めた情報が提供され続けることは私たちに変化を実感させるだろう。
 政党や候補と有権者が双方向で政策論争を深め、ネットに親しむ若い世代が政治への関心を高める効果が期待される。これまで選挙運動は街頭演説など昼間中心だったが、ネット情報は夜間も更新が可能だ。働く世代が選挙運動にふれやすくなる点も重視したい。
 同時に、さまざまな懸念も指摘しなければならない。
 政党や候補のネット選挙への最大の不安は本人への「なりすまし」や中傷だろう。氏名の虚偽表示には罰則が科され、名誉を侵す情報はすみやかに削除できる措置も盛り込まれた。だが規制には限界があり、「良識頼み」の面は否定できない。
 神経をとがらせ普通の政策批判にまで過敏に反応したり、情報の監視強化や厳罰主義論に走ったりすることは好ましくない。ネットで不適切な情報が流布した場合、自ら反論するくらいの心構えがいる。有権者も正確な情報なのかどうか、発信源も含め冷静に見極める習慣が必要だ。

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