視点・フェアプレー教育 落合博氏

http://mainichi.jp/opinion/news/20130527k0000m070073000c.htmlより、
社説:視点・フェアプレー教育=論説委員・落合博
毎日新聞 2013年05月27日 02時31分

 ◇未来に向け種をまこう
 失格も覚悟で「ルール違反」を自己申告した女子プロゴルファーがいる。3月末の大会で堀奈津佳選手(20)は「ボールを拾い上げて泥をふくことができる」という特別規則を誤解していたことに気付き、第2ラウンド終了後、届け出た。この時点で単独首位に立っていた。
 あえて申告した理由について、堀選手は「優勝のチャンスはこの後、何回かあるかもしれないが、私のゴルフ人生は一度だけ」と話した。特別規則を告知した文書に不備があったため失格は免れた。最終日、堀選手は首位を守り、プロ3年目で初のツアー優勝を手にした。
 勝利のためには手段を選ばないことを黙認し、時には反則さえ奨励されることもあるスポーツ界において、フェアプレーに値する行為だ。
 最近、スポーツの価値を傷つけ、信頼を揺るがすようなニュースが絶えない。暴力的な指導やハラスメントなど、一般社会においては尊重されるべき権利が侵害されている実態が明らかになった。公正で、他者を尊重するスポーツ界を実現するために、学校現場へのフェアプレー教育の導入を検討してほしい。
 国レベルで取り組んでいるカナダの事例を紹介する。体育の授業前、子どもと教師は「よいプレーや、よいプレーヤーは相手であっても称賛する」などと書かれた同意書に署名する。試合や練習の中で実際に体を動かすことを通して、どのプレーがフェアで、どれがフェアでないかを考え、学んでいく。
 他の人の失敗を責める。技能の低い人をからかう。負ければふてくされる。以上の行為はルール違反とは言えないが、フェアなプレーヤーにはふさわしくない。「書かれていないルール」は存在する。
 フェアプレーは選手と指導者だけでなく、審判、保護者、観客らスポーツに関わるすべての人に求められる規範だ。
 日本国内では、茨城県バスケットボール協会指導者育成委員会の取り組みが注目に値する。「よりよいゲームのために」という理念の下に指導者、保護者、プレーヤー、観客のための10カ条をそれぞれ作成、配布している。指導者は「体罰、言葉の暴力は厳禁」、保護者は「審判の判定を受け入れる」、プレーヤーは「悪口を言わない」、観客には「よいプレーには拍手を」といった内容で、すべてのスポーツに当てはまる。
 フェアプレーとは何かを理解して共有し、実践に移していくのは時間がかかる。今こそ、スポーツを未来に継承していくための種まきをする時だ。

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