小平市住民投票 投票率35.17%で不成立

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 5月 28 日(火)付
小平住民投票―賛否の二元論を超えて

 投票率が50%以上でなければ成立せず、開票もされない。
 そんなルールで行われた東京都小平市の住民投票は、ハードルを越えられずに終わった。
 住民投票というツールで、いかに民意をていねいに読みとるか。今後の他の自治体にとって多くの教訓が含まれている。
 問われたのは、雑木林を切り開いて都道をつくる計画を、住民参加で見直すべきかどうかだった。渋滞解消と、緑の保護。判断のわかれる問題だからこそ民意を問う価値があった。
 もともと都の事業だから、小平の民意だけで決められない。市長は結果の尊重を求められるが、拘束はされない。実質は世論調査に近い住民投票だった。
 ならば、大切なのは民意の内訳を測ることではなかったか。
 ところが、「50%ルール」を設けたことで、民意はみえにくくなった。
 見直しは不要と考える人は、反対票を投じるか棄権するか、二つの選択肢をもったからだ。
 それだけではない。
 50%ルールは、投票の実施が決まってから市が「後出し」で提案して作られた。市の姿勢はだれの目にも明らかだった。
 終わった後の記者会見で、小林正則市長はこう述べている。
 見直し派の署名活動で始まった流れから、投票した人は見直し賛成が大半でしょう。私が投票したかどうかは、ニュートラルに交渉すべき立場だから、明らかにしない方がよい――。
 投票に行く人は、見直し派。行かない人は、見直し不要派。そんな二元論がうかがえる。
 投票所に行くと、見直し賛成とみられないか。そう心配して棄権した人もいただろう。
 本来、見直しイコール撤回ではないはずだ。環境に配慮した計画にかえて道路をつくる選択もある。また、見直し不要の立場から投票した人も当然いたはずだ。50%を下回れば開票しないと決めたことで、その割合もわからなくなってしまった。
 投票の中身より前に、投票するかどうかが尺度になる――。投票率を要件とする制度設計の弱点が明らかになった。それが今回の教訓ではないか。
 一方で、投票率を要件にしたほうがよいケースもあろう。たとえば、首長が結果に従わねばならない「拘束型」で行うとしたら、どんなに低い率でも成立するルールにはしづらい。
 議論と実例を積み重ねて制度を熟成させるしかない。
 今回の投票率35%は4月の市長選と大差がない。つくられた壁は越えられなかったが、市民の関心は決して低くなかった。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013052802000142.htmlより、
東京新聞【社説】住民投票不成立 民意が知りたかった
2013年5月28日

 東京都の道路計画を問うた小平市の住民投票の結果は、残念ながらお蔵入りとなった。投票率が成立要件の50%に届かなかったからだ。地域が刻んだ自治の歴史は重いが、“お任せ体質”は心配だ。
 市民の直接請求に基づく都内で初めての住民投票だった。高度成長期に決まった大型道路の計画が、少子高齢化の著しい低成長期に入り動きだした。地元の人たちが矛盾を覚えたのは当然だった。
 計画現場の環境は水と緑に囲まれた住宅街に様変わりしている。他方、近隣の自治体では道路網造りが進んでいる。
 一部地域の切実な問題は住民投票という手続きに乗せられ、市域全体の問題に格上げされた。市民が共に考え、意見を交わして決断する貴重な機会が生まれた。
 英国の政治家ジェームズ・ブライスが「地方自治は民主主義の学校である」と唱えたように、小平市でまさに「民主主義の学校」が開かれた。
 だが、ふたを開けてみれば、投票率は35・17%と低調に終わった。条例のルールによって住民投票は成立せず、開票されないことになった。一票を投じた人の思いが無に帰したのは悔やまれる。
 この結果をどう受け止めるべきか。小平市民にとどまらず、国民全体に自治の在り方を問う宿題が投げ掛けられたといえる。
 多数決原理から見れば、市民の総意としての実効性を担保するため成立要件を50%で区切るという考え方には一理ある。半面、棄権行動そのものに政治的意味合いを与えてしまった。不成立を狙って棄権した人も現にいるという。
 公職選挙のように、なるべく権利を行使する行動のみが価値を持つ仕組みが望ましかった。法的拘束力はないのだからあるがままの開票結果を市民で共有し、自治を鍛える財産にするべきだった。
 自ら50%に満たない投票率で選ばれた市長と市議会が厳しいルールを課したがゆえに、民意の本当の所在が分からなくなった。市民が道路計画をどう考えていたのか知りたかった。
 もっとも、局地的な問題とはいえ投票率の低さには落胆させられた。市は市民への情報提供を尽くしたのか。投票の呼びかけは徹底したのか。疑問は拭えない。
 東日本大震災や福島原発事故の教訓は“お任せ民主主義”の怖さだった。地域への無関心がひいては国全体を危うくしないか。同じ轍(てつ)を踏まないための賢明さが一人ひとりに求められている。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013052600238より、
住民投票は不成立=投票率、要件届かず-東京都小平市

 渋滞緩和などを目的とした都道計画見直しの賛否を問う東京都小平市の住民投票が26日、行われた。投票率は35.17%で、条例で定める成立要件の50%に達せず、投票は不成立となった。開票は行われない。当日の有権者は14万5024人。
 条例は、都道整備により付近の雑木林が伐採されるなどとして計画に疑問を持つ市民グループの直接請求で3月に成立した。その後、4月に小林正則市長が投票率50%の成立要件を加える条例改正案を議会に提出、可決されていた。直接請求による住民投票は都内では初めて。
 住民投票は、市を南北に貫く1.4キロの都道計画について「住民参加により計画を見直す」か「見直しは必要ない」のいずれかに投票する方式で行われた。
 仮に投票率が50%に達し、見直しを求める票が過半数を占めた場合でも都に対する法的拘束力はない。
 投票結果を受け、市役所で記者会見した小林市長は、「50%に達していないので、市民を代表した意見にはなっていないのではないか」と述べた。また、直接請求をした「小平都市計画道路に住民の意思を反映させる会」の水口和恵共同代表は市役所で記者団に「たくさんの方に都の道路計画の問題点を知ってもらえてよかった」と話した。(2013/05/26-23:26)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130526/k10014854911000.htmlより、
東京初の住民投票は不成立 開票されず
5月26日 21時54分

東京都の道路計画を巡り、住民参加で計画を見直すかどうかを問う住民投票が26日に東京・小平市で行われましたが、投票率は成立の条件だった50%を大きく下回り、27日に予定されていた開票は行われないことになりました。
小平市の住民投票条例は、東京都が多摩地域で計画している幹線道路の建設を巡り、地元の住民グループが公園の雑木林の半分がなくなるほか、玉川上水が分断されるなどとして市に制定を求め、ことし3月に成立しました。
条例に基づく住民投票が行われたのは東京では初めてで、投票は26日午前7時から午後8時まで市内27か所で行われました。
その結果、投票率は35.17%にとどまり、成立の条件となっていた50%を大きく下回りました。
このため住民投票は成立せず、27日に予定されていた開票は行われないことになりました。
これについて条例の制定を求めた住民グループの共同代表を務める水口和恵さんは、「投票率が50%に届かず残念でしたが、有権者の35%を超える人たちがこの問題を理解し、投票に結びついたことは大きな成果だと思います。開票されないのはおかしいと思うので、今後、市に対し結果の公表を求めていきたい」と話していました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130526/k10014846551000.htmlより、
東京で初 条例に基づく住民投票
5月26日 4時15分

東京都が計画している幹線道路の建設が自然破壊につながるなどとして、住民参加で計画を見直すかどうかを問う住民投票が26日、東京・小平市で行われます。
条例に基づく住民投票が行われるのは東京では初めてで、市民がどのような判断を示すのか注目されます。
東京都は渋滞解消や災害時の緊急輸送などに役立てようと、多摩地域の6つの市を通る総延長およそ27キロの幹線道路を整備する計画です。
このうち、来年度から整備が始まる予定の主に小平市内のおよそ1.4キロの区間について、地元の住民グループは道路を造ることで公園の雑木林の半分がなくなるほか、玉川上水が分断されるなどとして市に住民投票条例の制定を求め、ことし3月の市議会で成立しました。
条例に基づく住民投票が行われるのは東京では初めてで、投票は26日午前7時から午後8時まで市内27か所で行われます。
住民投票では住民が参加して計画を見直すかどうかが問われていて、市民がどのような判断を示すのか注目されます。
一方、この住民投票は投票率が50%未満の場合、開票が行われないことになっていて、条例の制定を求めた住民グループは、住民投票を成立させるため投票に行くよう市民に呼びかけてきました。
投票率が50%に達した場合、開票は27日に行われ、市長は開票の結果を速やかに都や国の関連機関に通知することになっています。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 5月 19 日(日)付
住民投票―民意を無にしない

 東京都の小平市で、住民投票がある。渋滞のネックを解消するため、雑木林をきりひらいて都道を造る。その計画を、住民参加によって見直すべきかどうかが問われる。
 直接請求による住民投票は都内で初めてだ。住環境のような身近な問題で、民意をじかに示す機会ができた意義は大きい。
 現役世代の半分が市外へ働きに出るベッドタウンにも、ふるさと意識が根づく。社会の成熟のあらわれだろうか。
 残念なのは、市と議会が「投票率50%以上」という成立の条件をつけ、下回れば開票しないと決めたことだ。ほかの自治体の先例を参考にしたという。
 結果を市民の意思として都などに伝えるには、あるていど投票率がないと信頼性が担保されない。市はそう説明する。
 考え方としてはわかる。
 しかし、「50%」はハードルとして高すぎないか。市長選の投票率は過去6回つづけて5割を切った。市議選も、ここ5回のうち4回は下回っている。全国をみても、統一地方選の投票率は平均50%前後だ。
 この住民投票では、市長は結果の尊重を求められるが、拘束はされない。投票率は市民にどれだけ問題が共有され、関心があるかの目安だ。率の高低は尊重すべき度合いをはかる材料ととらえ、成立要件にはしない。そんな制度設計もありえた。
 なにより、50%に達しないと開票しないというのでは、投票した人の意思を無にすることになる。投開票や準備にかかる税金や人手も、むだになる。
 住民投票を、議会や首長は自らの存在意義をおびやかすものとみなしがちだ。原発をめぐる東京都や大阪市の住民投票条例案も議会で否決された。
 本来、首長や議会と住民投票は対立関係にない。互いにおぎない、高めあう関係にある。
 ネットが普及して、政治への「議論」にはだれでも参加しやすくなった。しかし、実際の政治に「参加」する機会は、多くの人にとって数年に一度の選挙での投票くらいしかない。
 住民投票は、そのすき間をうめる貴重な機会にもなる。苦労して署名を集めても議会に否決されたり、開票されなかったりすることが続けば、政治への無力感がつのる。
 住民投票の過程で、市民は集会を開くなどして議論と理解を深める。それによって政治への参加意識、ひいては選挙への関心も高まる――。神奈川県逗子市の元市長で、龍谷大教授の富野暉一郎さんの指摘だ。
 小平の選択に注目したい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013051702000132.htmlより、
東京新聞【社説】小平の住民投票 自治を鍛え直す一歩に
2013年5月17日

 東京都小平市で道路計画を問う住民投票が十六日告示された。条例を定めて行われる都内初のケースだ。小さな地域の問題かもしれないが、政治に物申す好機となる。自治を鍛え直す一歩にしたい。
 都心から西方に位置する人口十八万六千人余りの小都市で持ち上がった問題である。
 市内の西寄り。西武国分寺線の鷹の台駅を降りると、小平中央公園が広がり、すぐ脇を国の史跡の玉川上水が流れている。問われているのは、緑豊かなこの一角を南北に貫く幹線道路を造るという都の計画だ。
 五十年前の計画が最近になって動きだしたのだ。約二百二十戸の住宅は立ち退きを迫られる。周辺の自然環境が壊され、危険性が増大すると反発する声は根強い。
 半面、南方の神奈川県や北方の埼玉県へのアクセスが便利になるとして期待する声がある。近隣の自治体ではすでに道路が開通したり、建設されたりしている。
 この利害対立にどう向き合うべきか。行政は硬直的だ。一度走りだすと簡単には止まらない。声を上げず、行政に任せ切って招いた原発事故への反省がある。
 そんな危機意識に背中を強く押されたに違いない。政治参加を求める地域の思いが住民投票への道を開いたといえる。
 道路計画は日常生活に深くかかわる大事な問題だ。一人ひとりがじっくり考え意思を示す。その過程の積み重ねこそが住民の“自治力”の鍛錬につながるはずだ。
 自治体は首長と議会が車の両輪となって機能する。住民投票はその二元代表制を補う仕組みだ。首長の解職や議会の解散のように法律の定めがある場合を除き、問題ごとに条例を定めて行われる。
 今度の小平市の住民投票条例は、市長に結果を尊重すべき義務を課している。法的な拘束力はないが、政治的意味合いは重い。
 ところが、投票率が50%に満たなければ不成立として開票しない決まりが追加された。民意としての有効性を担保するためという。
 山口県山陽小野田市で四月にあった市議定数の削減を問う住民投票は50%に達せず、封印された。全体の関心が低ければ門前払いというわけだが、少数意思をくみ取る努力は不要なのか。
 これまでは原発や米軍基地、産廃処分場といった大問題をめぐる住民投票が目立った。身近な問題を据えた小平市のケースは新しい形だ。住民本位の民主主義を成熟させるためにもっと育てたい。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中