英語教育 「まず先生から始めよう」

http://mainichi.jp/opinion/news/20130601k0000m070129000c.htmlより、
社説:小学校英語 じっくり豊かな果実を
毎日新聞 2013年06月01日 02時34分

 安倍晋三首相直属の教育再生実行会議が、小学校の英語を正式の「教科」にし、開始学年を早めようと打ち出した。「グローバル化」に対応する大学教育の徹底的な国際化や人材育成などを首相に提言する中で、柱の一つとしたものだ。
 関心は高い。文部科学相の諮問機関・中央教育審議会で仕組みを具体化するが、課題は多い。じっくり掘り下げ、着実な成果を求めたい。
 英語について小学校では、総合的な学習の時間(総合学習)で「国際理解」をテーマに英会話に触れるなどしてきた。06年、中教審が必修化を提言し、今の学習指導要領では、高学年の5、6年生で週1時間「外国語活動」として授業が行われている。異文化への関心や理解、コミュニケーションの楽しさなどを学び「素地」を育むもので、文法学習などはない。担任と英語圏出身の外国語指導助手(ALT)らがチームで教えたりしている。
 国語や算数と同様の教科となれば、授業は増え、学習指導要領に基づく体系的な検定教科書、成績評価、英語を教える教員の免許、養成や研修制度などが必要だ。とりわけ人材の養成と確保がカギになる。財政上クリアすべき課題も生じよう。
 高校、大学への関門に待ち受ける入試英語を頭に勉強し、パスすれば用はないと忘れてしまう。これまでのお決まりだった。こうした発想もパターンも大きく転換させなければ意味がない。そればかりか、英語嫌いを増やすだけになりかねない。
 英語が将来にわたり、実用、教養両面で活用できるものと意識でき、主体的に身につけていく動機付けが、指導上何より肝要だろう。
 教育再生実行会議の提言は、中学では英語による英語授業の導入、高校では先進的な「スーパーグローバルハイスクール」の指定など、英語を軸にした改革推進を強調する。
 そうした力は伸ばす一方で、また別の多様な適性や才能、関心を育む児童・生徒に、しっかり目を向け支えるべきことはいうまでもない。
 教育改革の要は入試改革であると私たちは主張してきた。教育再生実行会議は今後大学入試のあり方についても論議、提言する。今回の英語教育改革がどう反映するか。
 従来の難解な英文解釈を、さらに難解にすることではない。準備勉強が将来の生き方を豊かにする確かな「学力」になる試験改革が必要だ。
 小学校段階では外国語よりも、自国語である日本語の理解と表現法をしっかり身につけるべきだという意見は多い。だが、適切な外国語学習は同時に自国語を意識させ、自国の文化や言葉の豊かさ、味わいを教えてくれるものでもある。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 4月 12 日(金)付
英語教育―まず先生から始めよう

 大学の受験資格に国際テストTOEFL(トーフル)などの英語検定を。
 自民党の教育再生実行本部が提言した。各大学は、検定で一定の成績をとることを受験や卒業の要件にする。高校は卒業までに全員が120点満点のTOEFLで45点、英検なら2級を――。そんな内容だ。
 中高6年学んでも話せるようにならないような英語教育を、本気で変えよう。入試改革としてよりも、むしろそんな問題提起として注目したい。
 実現にはまず、先生の英語力を上げる必要がある。英語を使える先生に習わなくては、生徒も使えるようにならない。
 みんながみんな大学を受けるわけではない。将来、英語で仕事をするわけでもない。
 しかし、こうした受験資格をつくるなら、小中高で「使える英語」を身につけさせることが前提になる。そうできれば、大学を受けない人にも役に立つ。
 たとえば、旅先や近所の外国人と話すとき。生活のなかで英語を使えて損はない。
 英語の授業は中学で週4コマある。英会話教室なら、6年間これだけ通って上達しないようでは、きっとつぶれる。
 「読む」に偏っていた学校の授業も、話す、聞く、書くをふくむコミュニケーション力全体を養う方向に変わりつつある。高校では今春から英語は英語で教えるのが原則になった。
 だが、生徒の実力はどうだろう。国がかかげる「中学で英検3級、高校で2級か準2級」の目標に達している子は、3割しかいない。文部科学省の調査でそんな結果がでた。
 無理もない。英語の先生で、目標のTOEFL80点(英検準1級)以上とっているのは中学で3割、高校で5割だ。7年前の調査と大差はない。教育委員会がひらく数日の集中研修をうけた先生は、中高ともせいぜい1割かそれ以下だ。
 提言はこの「TOEFL80点相当」を英語教員の採用条件にし、現職の先生には全員研修を受けさせるよう求めている。
 教員を育てる大学で、学生に英語圏の人と話す機会を増やすことも必要だろう。外国人教師をもっと採用するのもいい。
 ほかにも課題は多い。
 資格になる英語検定に1回数千~2万円強かかる。家計の負担をどう支えるか。民間テストを公的に使ううえで公正さはどう保つか。入試の2次試験が文法重視のままでは受験生の負担が増すだけになる。
 それでも、6年かけて英語ぎらいを量産するより、話せる子をたくさん育むほうがいい。

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