「卵子提供」に賛否 見切り発車に不安

http://sankei.jp.msn.com/life/news/130602/trd13060203100000-n1.htmより、
産経新聞【主張】卵子バンク 重い決断支えるルールを
2013.6.2 03:09 (1/2ページ)

 第三者からの卵子提供を仲介する国内初の民間「卵子バンク」による不妊治療が始まる。無報酬の卵子提供者を募ったところ、42人が申し込み、9人が提供者として登録された。今後3人の女性に提供される。
 提供卵子で不妊治療を進めるかどうかは、重い決断だ。第一義的には、夫婦間で話し合うべき問題で、子供の将来のためにも、妻と夫が熟慮したうえで提供を受けたい。
 卵子提供には、法律や公的ルールがないため、さまざまな混乱、問題が生じ得る。「自然の摂理に反する」という意見や、子供に出生のいきさつを説明すべきかどうかの問題もある。社会的合意の形成に加え、混乱なく進めるための法整備やルール作りが必要だ。
 卵子提供をめぐっては平成15年4月、厚生労働省の審議会が匿名の第三者からの提供については、営利目的の斡旋(あっせん)を禁じるなどの条件を付けて認める報告書をとりまとめた。そのなかでは、法律を制定し、それに基づく指針を示すことも求めている。
 しかし、何の手立てもとられずに、10年が過ぎてしまった。不妊治療の生殖補助医療に対する政府や国会の関心の低さが原因だと指摘されている。
 その結果、法律やルールがないまま、不妊に悩む女性が高額な費用を払い、海外渡航して卵子の提供を受けるケースが増えてきている。ここ数年、毎年約300人の子供が、この治療で生まれているとの推計もある。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/130602/trd13060203100000-n2.htmより、
2013.6.2 03:09 (2/2ページ)
 「卵子バンク」に伴う問題は複雑で多岐にわたる。
 たとえば産みの母と遺伝上の母親の扱いがある。民法では卵子提供で生まれた子供を想定していないため、法的に母親がどちらかは明確ではない。相続問題が生じる可能性がある。提供者側が「私の子供だ」「対価を支払え」と主張した場合はどう解決するか。
 卵子バンクは、生まれた子供が15歳になって、希望すれば提供者の名前などを告知する独自のルールを定めてはいるが、バンクがそれ以前に閉鎖された場合はどうするかなど、長期間にわたる支援体制も不備だ。
 費用は提供を受ける患者が負担するが、採卵の際の健康リスクについての補償制度も必要だ。
 “既成事実”だけがまかり通ることのないよう国会や行政当局は十分な手当てを施してほしい。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130514ddm003040123000c.htmlより、
クローズアップ2013:「卵子提供」へ賛否 「見切り発車」に不安
毎日新聞 2013年05月14日 東京朝刊

 神戸市のNPO法人「OD−NET」による一般女性からの卵子提供のあっせん事業が、予想を上回る提供応募を得て本格的に始まった。国内初の試みに喜ぶ人もいる一方、まだ法律など公的ルールは整備されていない。生まれてくる子の出自を知る権利の確保、長期にわたる支援体制には課題や不安が残る。第三者が妊娠・出産に関わることへの賛否の声がある中、「見切り発車」の声も上がる。【斎藤広子、須田桃子】

 ◇精子提供で出生、苦悩「同じことが…」
 卵子提供に先立ち、匿名の第三者の精子を人工授精する非配偶者間人工授精(AID)は国内で1948年に始まり、既に1万〜2万人が生まれたとされる。しかし、プライバシー尊重などから、大半のケースで、提供者の情報を明かしていない。このため、生まれた子どもが出自を知り、思い悩むことが問題になっている。「同じことが起きるのではないか」。精子提供で生まれた人たちは、卵子提供者あっせんに懸念の声を上げる。
 東京都の会社員、石塚幸子さん(33)は父親の重い病気が遺伝していないか悩んでいた23歳の時、母親からAIDで生まれたことを聞かされた。「親のついたうその上に自分の人生があったのか」。親に裏切られたという思いが強く残る。提供者もわからず、自分を肯定できない苦しみは今も続く。
 神奈川県の医師、加藤英明さん(39)は学生の時、偶然受けた遺伝子検査で自分と父親に血縁関係がないことを知り、母親を問い詰めて事実を知った。「自分の遺伝的なルーツを知りたい」。今も提供者や、同じ提供者から生まれた人を探している。
 今回、卵子提供者あっせんに取り組むOD−NETは、卵子提供を受けた女性に対し、生まれた子に事実を告知することを前提としている。また、生まれた子が15歳以降に希望すれば、提供者の氏名などを開示することもルールとしている。今回、募集に応じた九州地方の女性会社員(31)は「妊娠を望む女性が喜びを感じられれば」と動機を明かし、提供した卵子で生まれた子どもが希望すれば「会うのは自分の責任」と話す。
 しかし、石塚さんは「子どもに真実を語り、提供者の情報を開示しても、全てが解決するわけではない」と問題の深さを指摘する。加藤さんも「理念は良いが、生まれた子どもが権利を行使できるように、具体的にどう親子や提供者を支えるのかが見えない」と疑問を投げかけた。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130514ddm003040123000c2.htmlより、
 AIDを検討している夫婦らを対象に、AIDで生まれた人らを招いて、勉強会を開いている城西国際大の清水清美教授(看護学)は「提供を受ける側は、妊娠前に子どもに出自を知らせることまで考える余裕はないだろうが、事前に実際に体験した人らの話を聞き、家族を形成する上でどういう課題があるのか考える場が必要だ」と指摘した。

 ◇絶望一転、喜びの涙 提供受ける女性手記
 OD−NETは13日、病気で卵子がなく、今回、卵子の提供を受けることが決まった女性から寄せられた手記を明らかにした。「涙があふれて止まらないほど嬉(うれ)しい」と喜びを表現している。
 女性は今回、卵子がないとの診断を受けている▽40歳未満−−などの条件を満たし、提供を受ける患者として登録された。
 手記によると、女性は、子どもを授かれないと知ったとき、「主人にとても申し訳なく、いつも自分を責めていた」という。多額の費用をかけて、海外で卵子提供を受けて体外受精を受けたが、それでも妊娠に至らなかった。「正直、もうあきらめるしかないと絶望していた」という。
 「子どもを望む夫婦のために、ボランティアでドナー(提供者)になる人がいることに、心から感謝したい」と記した上で、「今後は(卵子を)提供する人がもっと増え、卵子提供が特別なことではなく、子どもを望む夫婦にとって、希望がもてるようになってほしい」と結んだ。
 OD−NETは今後もマッチング委員会を開き、患者と提供者の組み合わせを決める。一方、新たな患者の登録は当面行わない方針。

 ◇現実先行、国の対応進まず 海外で提供・出産、年間300件に
 国内では1998年以降、一部の医療機関が親族や知人からの卵子提供により不妊治療を実施してきた。だが、国としてのルールは今なお定められないままで、現実が先行する状態が続いている。
 日本産科婦人科学会(日産婦)は83年の会告で、「体外受精は婚姻関係にある夫婦で、卵子の採取などが可能な人に実施する」と定め、実質的に第三者の卵子提供を認めなかった。しかし、98年に諏訪マタニティークリニック(長野県)が、妹から卵子提供を受けた女性の出産を発表。2008年には全国25の不妊治療施設でつくる「日本生殖補助医療標準化機関(JISART)」が、姉妹や友人からの卵子提供を始めた。同クリニックやJISARTの計6施設で既に80人以上が生まれている。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130514ddm003040123000c3.htmlより、
 米国など卵子提供が認められている国へ渡航する人も多い。吉村泰典・慶応大教授によると、海外で卵子提供を受け国内で出産する人は年間約300件と推計され、08年以前の2〜3倍。11年1月には、米国で卵子提供を受けた野田聖子衆院議員(52)が出産し、議論を呼んだ。
 国の対応は遅々として進まない。民法は第三者からの精子や卵子の提供を想定せず、提供に関する公的規制もない。厚生労働省の部会が03年、第三者からの卵子提供を認める報告書をまとめた。しかし、政府に法制化の動きはなく、与野党の議員が議員立法を目指した。与党の依頼を受けた日本医師会は今年2月、第三者の精子や卵子で生まれた子の親子関係を定める法律案の「骨子」をまとめたが、参院選を前に国会での動きは止まっている。

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