アフリカ開発会議 「互恵関係を築きたい」

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55746690S3A600C1PE8000/より、
日経新聞 社説 官民連携でアフリカ開発進めよう
2013/6/2付

 日本政府がアフリカ連合(AU)や国連と共催する第5回アフリカ開発会議が横浜市で始まった。アフリカ諸国の首脳が一堂に会し、3日までの期間中、アフリカ開発の課題や協力策を話し合う。
 最大のテーマは、従来の援助中心の支援でなく、アフリカの自立を促す貿易や投資をどう増やしていくかだ。安倍晋三首相は演説で「今、アフリカに必要なものは民間の投資だ」と訴えた。政府と企業が連携し、アフリカの持続的な成長を支えなければならない。

成長軌道に乗る経済
 貧困や紛争にあえいできたアフリカはこの10年、豊かな資源と人口の伸びをてこに成長の軌道に乗りつつある。世界経済に占める重みは急速に増している。
 サハラ砂漠以南地域の経済成長率は2002年~11年の平均で年5.8%。世界平均の3.8%を上回る。アフリカ諸国の貿易額は11年までの10年で4.3倍に、直接投資残高は3.8倍に増えた。
 アフリカの大地にはエネルギーや鉱物など豊かな資源が眠る。燃料電池車に欠かせないプラチナは世界の埋蔵量の9割超がアフリカに集中する。アフリカの資源に依存する工業製品は少なくない。
 10億人の人口は50年に20億人を超え、中国やインドを上回る。中間層の拡大はアフリカを巨大な消費市場へと変え、市場獲得をめぐる競争も激しさを増している。
 中国のアフリカへの投資残高は5年で6倍に増えた。11年の投資額は日本の7倍の水準だ。中国は今や最大の貿易相手国である。欧米や韓国に加え、インドやブラジルの企業の進出も加速している。
 日本は08年に開いた前回のアフリカ開発会議で政府開発援助(ODA)を2倍に増やす目標を掲げ、これを達成した。だが、アフリカ市場の成長と中国などの貿易や投資の急拡大で、日本の位置付けは相対的に下がっている。
 経団連のサブサハラ地域委員長を務める双日の加瀬豊会長は「10年、20年先にアフリカは日本に不可欠の存在になる」という。しかし、日本がODAの額で中国などと競うには限界がある。
 違いを出すには、日本が強みを持つ技術を使って資源や農産物の付加価値を高めたり、雇用の機会を提供したりして、アフリカの自律的な成長を促す仕組み作りに協力することが必要だ。
 そのためには官と民の連携が重要だ。民間企業には負担の重い道路や港湾などのインフラは円借款で整備し、企業が発電所や工場を建設するなど、役割を分担すれば効果的な支援が可能になる。
 アフリカが工業化に踏み出すには、生産性の向上や環境保全の取り組みが欠かせない。こうした技術を持つ日本企業がもっと前に出るべきだ。企業が進出しやすくなるように、相手国の法制度やビジネス環境の整備に協力するのは官の役目だ。こうした連携がひいては日本の成長戦略につながる。
 成長軌道に乗ったとはいえ、アフリカでは4億人近くが依然1日1.25ドル(125円)以下で暮らす。生活水準の底上げや保健・衛生環境の改善は急がねばならない課題だ。これも援助や寄付だけでなく、企業がビジネスを通してかかわっていく視点が重要だ。
 せっけん製造のサラヤ(大阪市)はウガンダで近く、現地の原料を使って消毒液の生産を始める。味の素はナイジェリアやコートジボワールでうま味調味料を10グラム程度の小分けにして販売している。現地の人々が手の届く価格で売って生活環境の改善に貢献し、事業としても成り立たせる。

貧困層を事業の対象に
 人口を所得水準で分けるとできる三角形の、すそ野部分を占める貧困層を「ベース・オブ・ピラミッド(BOP)」と呼ぶ。この層が成長すれば購買力を持つ中間層へ移行する。BOPの開拓は将来の巨大市場への備えになる。
 治安の問題も忘れてはならない。アルジェリアの邦人人質事件の記憶は新しい。マリやニジェールなどサハラ砂漠地帯ではイスラム過激派の活動が拡大している。ソマリアのように破綻国家状態から抜け出せない国もある。
 経済開発の前提は治安の安定である。日本は独立間もない南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に参加している。アフリカの安定を目指す国際社会の取り組みに積極的に加わる必要がある。
 開発会議は1993年以来、5年に一度開いてきた。時々の課題を首脳級が直接話し合う場は、アフリカの成長に伴い重みを増している。今回の会議を新しい段階に入ったアフリカとの関係を再構築するきっかけにしていきたい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130601/plc13060103110002-n1.htmより、
産経新聞【主張】アフリカ開発会議 日本らしさで関係強化を
2013.6.1 03:11

 日本政府が主導する第5回アフリカ開発会議(TICAD V)が横浜市で開催される。
 アフリカは2000年代に入って豊富な天然資源を背景に急成長し、サハラ砂漠以南の実質経済成長率は5・8%に拡大した。人口は50年には現在から倍増し、20億人を超える見通しだ。
 アフリカ諸国首脳らの来日で関係強化を図り、企業進出やインフラ受注の拡大などのビジネスにつなげてアフリカの成長力を国内に取り込みたい。
 TICADは1993年、冷戦終結で国際社会の関心が低下したアフリカ諸国を支援するため、日本が発足させた。国際舞台でアフリカ諸国の支持を得て、日本の外交力を高める狙いがあった。
 5年に1度、首脳会議が国連など国際機関との共催で日本で開かれ、20年を迎える。回を重ねて訪日する首脳も増えた。日本主導の支援の枠組みが高い評価を受けているからだといえる。
 今回初めて、共催に地域機構のアフリカ連合(AU)が名を連ねた。会議が日本とアフリカ諸国との連携の場であるとの性格が強まった証しとして歓迎したい。
 2000年以降、中国、韓国、インドなどが同種の会議を設立した。中国・アフリカ協力フォーラムなどは最初から、資源獲得や企業進出を意識している。
 中国とアフリカの貿易総額は1662億ドルに上るが、日本とは300億ドルだ。投資は中国の31億7000万ドルに対し、日本は4億6400万ドルにとどまる。
 日本のアフリカ向け政府開発援助(ODA)が年間18億ドルであるのに対し、中国は3年間で200億ドルだ。中国は開発のためのヒトもカネも自国から持ち込み、地元に何も残さないことが多く、「新植民地主義」の批判もある。
 日本は、アジアの経済成長を引っ張った経験とノウハウをアピールするとともに、人材育成や技術移転など「日本らしい」質の高い援助を続けることで競争力も高めたい。人権状況の改善など、注文すべきは注文してほしい。
 TICADはメーンの会合が5年に1度で、そのときどきの盛り上がりはあっても定着せず、国際会議としての認知度が低い。日本とアフリカで交互に、より頻繁に開催してはどうか。アフリカに目を向けた先駆者として、TICADをもっと有効に活用したい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013060102000167.htmlより、
東京新聞【社説】アフリカ開発 現地産業育てる支援を
2013年6月1日

 四十カ国を超すアフリカの首脳が来日した。貧富の格差は深刻だが、豊富な資源と若年人口の多さで「成長大陸」といわれる。日本は各国の産業を育て、住民の暮らしを改善する支援を考えたい。
 政府が国連機関などと共催する第五回アフリカ開発会議(TICAD)が一日から三日間、横浜で開かれる。
 アフリカでは原油や鉱物資源の輸出が好調で、最も貧しいサハラ砂漠以南でも過去十年間の年平均成長率が5・8%になる。全体では二十四歳以下の人口が60%を占め、労働力、さらに将来の市場としても有望だ。
 会議参加国は日本に「ビジネス、投資をしてほしい」と訴える。貧困から抜け出すための政府援助から一歩進んで、日本企業が進出し経済成長に協力してほしいという願いだ。
 日本が取り組むプロジェクトには、ケニアでの地熱発電と送電網、モザンビークでの「穀物生産基地」計画、同国の港湾から内陸のザンビアを結ぶ道路建設などがある。周辺国も含めた広域的な経済圏をつくる手助けになる。日本への信頼は厚く、エチオピアでは作業改善運動の「カイゼン」がそのまま日本語で定着している。
 アフリカで圧倒的な存在感を示すのは中国だ。道路や橋、政府機関などの建設を請け負い、貿易額も日本の六倍近い。だが中国は建設工事に多くの中国人労働者を派遣し、相手国には家電製品や日用雑貨品を輸出する。各国からは産業が育たず雇用も増えないと不満が出始めた。
 日本は現地の産業と人材を育てる支援に積極的に取り組みたい。農業を指導して食糧増産を実現する、省エネや環境保全技術を生かして、アフリカの大地を守りながら経済発展を支えていく-。
 アフリカ全体では今も一日二ドル以下で暮らす貧困層が半数を占める。電気が通らず清潔な飲料水にも苦労する村が多い。国連機関や非政府組織(NGO)とともに、教育や保健、衛生分野の改善にも尽力したい。
 地域紛争は減っているが、アルジェリアでは一月に日系企業のプラントで人質、殺害事件が起きた。日本企業進出を促すには、相手国と連携したテロ対策が急務だ。
 安倍晋三首相は期間中、約四十カ国の首脳と十五分刻みで「マラソン会談」をする。各国の実情を踏まえて、インフラ輸出を働き掛けるとともにきめ細かな支援策を実行していく必要がある。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130601ddm003010134000c.htmlより、
クローズアップ2013:アフリカは「投資先」 日本3.2兆円拠出へ
毎日新聞 2013年06月01日 東京朝刊

 援助から投資へ−−。安倍晋三首相は1日開幕する第5回アフリカ開発会議(TICAD5)でアフリカ政策の転換を宣言する。インフラ整備で日本企業の進出を後押しし、官民連携でアフリカでの資源獲得やインフラ受注を目指す。アフリカでは中国が存在感を増しているが、財政難で日本が政府開発援助(ODA)を伸ばせる余地は少なく、支援の「質」で勝負せざるを得ないのが実情だ。

 ◇「援助」転換、出遅れ挽回
 首相は31日、TICAD会場近くのホテルで開かれた民間財団主催の会合であいさつし、「伸びるアフリカへの投資は、私たち自身への将来への投資だ」と、アフリカへの投資の重要性を強調した。
 今回、日本は前回2008年に掲げた「ODA倍増」から一転して、アフリカ諸国を「援助対象から投資対象へ」とする対アフリカ政策の転換を行う。首相が表明する5年間で最大3・2兆円の支援策のうち、約半分が民間投資や企業投資を促すための支援になる。また、官民連携の人材育成策を「安倍イニシアチブ」と銘打ってアピールするほか、農業などの産業育成・雇用創出支援に力を入れる「日本らしい支援」を強調する。
 これは、中国のアフリカへの圧倒的な影響力を意識したものだ。中国の習近平国家主席は3月のアフリカ歴訪で、「3年で約200億ドル(2兆円)を融資する」とアフリカへの巨額支援を表明した。日本の対アフリカ貿易額は中国の約5分の1、投資額は約3分の1にとどまる。
 中国は「中国・アフリカ協力フォーラム」という多国間フォーラムを00年から3年に1度開いているほか、アフリカ連合本部(エチオピア)の建設に代表されるように、各国政府の庁舎を無償で建設するなどアフリカ諸国へ政経両面で浸透してきた。中国の正確なODA額は不明だが巨額に上るとみられる。外務省幹部は「支援額で中国と張り合うのはもう違う。日本にしかできないインフラ作りがある」と、人材育成や農業技術支援の重要性を強調するが、事実上、中国の「物量支援」に敗れたことを認めた形だ。
 アフリカへの日本企業の進出は遅れ、経済産業省は「ほぼ不戦敗」と分析する。「インフラや治安面で不安のあるアフリカへの投資に二の足を踏んだ」(外務省幹部)ためだ。このため、政府は2日のテーマ別会合で、1月のアルジェリア人質事件を受け、西アフリカのサハラ周辺諸国の国境監視能力向上など治安対策支援などを改めて打ち出す。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130601ddm003010134000c2.htmlより、
 中国とのアフリカでの影響力の差は、TICADの意義にも影を落とす。TICAD開催にはそもそも、国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す日本が、大票田のアフリカ各国の支持固めを図りたいとの思惑があった。3日には国連安保理改革を話し合う会合を開くが、参加国は10カ国にとどまる。当初の目的は失われつつあり、企業進出の促進など経済関係強化の場とすることに、政府は新たな意義を見いだそうとしている。【影山哲也】

 ◇中国突出、歓迎と疑念 「雇用拡大は日本」使い分け
 「中国は必要な投資を持って来てくれる」(ルワンダのカガメ大統領)。今世紀に入って始まったアフリカの成長は中国に支えられてきた。中国は、1990年代に入り国内で資源の需要が増加すると「ラストリゾート」(最後の頼みの綱)としてアフリカに着目。95年には内戦下のスーダンで油田開発の権益を獲得するなど、進出を加速させた。
 典型例はアンゴラだ。75年の独立後から2002年まで続いた内戦の終結後、アンゴラに真っ先に支援を開始。莫大(ばくだい)な融資を行い、見返りにサブサハラ(サハラ砂漠以南)で第2位の埋蔵量となる石油を得た。いまやアンゴラは一、二を争う中国への原油供給国だ。
 中国のインフラ建設コストは日本と比べ2〜3割安いとされる。また、実施前に調査を綿密に行う日本などと比べ、計画決定から実施までの期間が短く「足の速い援助」が可能。任期中に実績を残したいアフリカ諸国の指導者に好都合だ。
 中国とアフリカの年間貿易額は00年の約100億ドルが10年には1270億ドルとなった。直接投資額も11年までの5年間で約6倍に増えた。
 一方、中国のやり方に批判の声も上がる。中国は大量の自国労働者を連れて来るため、あるアンゴラ人男性は「地元の雇用を奪う」と非難。最近は「1次産品を持って行き、我々に工業製品を売る。植民地主義の本質」(ナイジェリア中央銀行のサヌシ総裁)との意見も出ている。技術の継承もなく「アフリカが育たない」というわけだ。国際金融機関の関係者も「中国から来た労働者はやがてそこに住み着き、商売を始めて地場産業を壊すので、好かれてはいない」と指摘する。
 モザンビーク政府関係者は「日本のような天然資源の乏しい国が、どう人的資源の活用や技術開発を進めて来たかを学びたい」と日本の支援を期待する。
 国際支援機関の関係者によると、アフリカは最近、支援の内容によって中国と日本を「使い分ける」傾向が強まっているという。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130601ddm003010134000c3.htmlより、
 アフリカの政府当局者は口々に「人材育成や雇用創出面を日本にお願いしたい」と言うが、裏を返せばアフリカの中国頼みは続くということだ。【金子淳、ヨハネスブルク服部正法】

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 5月 31 日(金)付
アフリカ開発―資源頼みから脱却を

 かつてアフリカが「暗黒大陸」と呼ばれた時代があったことを知る人はどれほどいるだろう。それほどまでに、近年のアフリカの成長には目を見張る。
 だが、順調に見える成長にもゆがみが見える。一番の課題は、成長が天然資源頼みになりがちなことだ。すそ野の広い、持続的な発展への脱皮を後押ししなければならない。
 日本が音頭をとって20年前に始めたアフリカ開発会議(TICAD)が、1日から横浜市で開かれる。5回目となる会議には、地域の50余国の首脳たちや国際機関の代表が集まる。
 原油や希少金属といった資源の開発、輸出が本格化したのは世紀が変わった頃だ。過去10年の地域の平均成長率は約6%に達するが、この豊かさが全体の人々に行き渡っていない。
 例えば、アフリカ中西部の赤道ギニアという国では石油生産が始まってから一人あたり所得が先進国並みになった。ところが5歳までに乳幼児の1割以上が亡くなっている。貧富の格差が広がり、衛生状況の改善が遅れているからだ。
 食糧の生産性も低い。農村の貧困が解消されず、海外からの穀物輸入が増え続けている。
 サハラ砂漠周辺では、地球温暖化による干ばつや地域紛争に住民が苦しんでいる。
 日本はこの5年間に、アフリカ向けの政府の途上国援助(ODA)を倍増させ、コメ増産や教育、保健支援に取り組んできた。製品の品質や生産性を向上させるカイゼン運動も各国に広がっている。
 こうした日本の得意技を生かしつつ、工業化や農業強化への支援を拡充する。草の根の人々の生活や福祉に目を配る「人間の安全保障」の理念を支えにしたい。
 アフリカの巨大な消費市場や資源開発への経済界の関心は高い。投資リスクを減らすためにも、各国は腐敗を一掃し、政治安定に努めてもらいたい。
 近年はインド、ブラジルなどの新興国や韓国も、アフリカとの経済交流を深めている。中国は、日本を大きく上回る援助や貿易投資をしている。
 今回の会議では、11年前に発足し、地域統合を目標に掲げるアフリカ連合(AU)が共催者に加わる。アフリカ側が実力と自信をつけてきた表れだろう。
 大陸の人口は10億人。2050年には世界の5人に1人がアフリカ人になる見込みだ。
 雄大な自然や独自の文化。アフリカの魅力は多様だ。
 この会議を日本とアフリカとの信頼構築につなげたい。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130531k0000m070130000c.htmlより、
社説:アフリカ開発会議 互恵関係を築きたい
毎日新聞 2013年05月31日 02時30分

 日本が主導し、アフリカの40カ国以上の首脳が集まって開発について話し合うアフリカ開発会議(TICAD)が6月1日から横浜市で開かれる。5年に1回開催されてきた会議は5回目を迎えるが、ここ10年、めざましい経済成長を遂げるアフリカの開発環境は、様変わりしている。かつての「貧困と紛争の大陸」への援助という視点だけでなく、貿易・投資のパートナーとしてどう関わり、日本の経済再生にもつなげることができるかが問われている。
 世界の15%にあたる約10億人の人口を有するアフリカの強みは、石油・天然ガスや鉱物など天然資源に恵まれていることだ。2000年代半ば以降、新興国の需要拡大を背景に資源価格が高騰し、投資が急増したことで、アフリカは急成長した。サハラ砂漠より南のサブサハラ地域でみると、02年からの10年間で年平均5.8%の経済成長をしている。
 とりわけアフリカの経済成長を支えているのが、資源獲得のため中国がつぎ込む巨額投資だ。中国の対アフリカ投資額は日本の約3倍、貿易総額は5倍以上にのぼる。中国首脳によるトップ外交も活発だ。
 一方、日本は、冷戦終結で欧米各国のアフリカへの関心が低下したことから、1993年にアフリカ開発会議を発足させた。先見の明があったのだ。だが、90年代後半から財政事情の悪化で政府開発援助(ODA)を減らし、日本国内政治の混乱もあって、アフリカ外交で十分な取り組みができなかった。歴代首相でサブサハラ地域を訪れたのは、01年の森喜朗首相、06年の小泉純一郎首相(いずれも当時)の2人だけだ。
 アフリカの経済成長は著しいが、資源頼みなど課題も多い。貧困は深刻で、貧富の格差が広がっている。紛争は90年代に比べると収束したが、依然として続いており、政治が不安定な地域が残る。アルジェリアで起きた人質事件などで明らかなように、テロ対策の強化も急務だ。
 中国による開発には「本国の労働者や機材をごっそり持って来るため、雇用や技術移転につながらない」「新しい植民地主義」などの批判も聞かれるようになった。
 日本の対アフリカ投資は、中国や欧米に比べて出遅れている。しかし日本による開発には「現地で雇用や人材育成をしっかりやってくれる」「約束を守る」などの評価もある。
 今回の会議で政府は、日本企業のアフリカ投資を促進するため、インフラ整備、人材育成など、ビジネス環境整備を官民連携で支援することを打ち出す。会議を弾みにアフリカ外交を強化し、日本のよさを生かしながら、互いにとって利益になる互恵関係の構築を目指していきたい。

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