社会保障国民会議 「何をしているのか」

http://mainichi.jp/select/news/20130604k0000m010092000c.htmlより、
国民会議:社会保障4分野の議論が一巡
毎日新聞 2013年(最終更新 06月03日 22時28分)

 政府の社会保障制度改革国民会議(会長・清家篤慶応義塾長)は3日、年金を取り上げ、ようやく社会保障4分野(医療、介護、子育て、年金)の議論が一巡した。国民会議は法律上の設置期限(8月21日)まで残り約80日。3日は「支給開始年齢の引き上げ」など論点を整理したものの、昨年11月の初会合以来13回の会議を重ねても、見えてきた「改革像」は限られている。年金改革などを巡って自民、公明両党と民主党間の溝が埋まらず、国民会議に政党の意向を反映させる目的の3党協議が機能不全を起こしているためだ。
 3日の国民会議も現行制度枠内での議論が目立った。足踏み状態の3党協議が背景にある。5月31日の協議も、民主党は最低保障年金の創設など同党案を国民会議で議論するよう求め、自民党が断るという堂々巡り。出席者からは「毎回、同じ繰り返し」とのぼやきが漏れた。
 国民会議側もいらだちを隠さず、清家会長は5月17日の会議後、「(3党は)合意に向けて進んでいるふうでもない」と批判した。それでも、同日の会議で甘利明・税と社会保障の一体改革担当相が「無理やりどこかの党の考え方に一本化するのは難しい」と民主党をあてこすれば、同党の会合で長妻昭元厚生労働相は「3党協議があるから民主党案を国民会議で議論してはいけないことはない」と反論してみせた。
 国民会議には、消費増税に見合う社会保障制度改革が期待されている。ただ、増税の実現を優先し与野党の社会保障分野の対立点を先送りして設置したため、3党協議が始まると自公と民主は再び衝突した。民主は独自の年金改革案や後期高齢者医療制度の廃止にこだわり、自公は「抜本改革を前提としていない」(安倍晋三首相)とはねつけるばかり。衆院定数の0増5減法案を巡る対立もあって4月4日を最後に中断し、5月16日に再開したが、参院選が7月21日に迫る中、双方の反目は強まる一方だ。
 民主党から年金問題を攻撃されて野党に転落した自民党にとり、参院選では「社会保障の争点化は避けたい」(幹部)のが本音。給付カットなど痛みを伴う案は選挙後に先送りする意向だ。しかし、参院選後なら国民会議の「余命」は1カ月を切る。【佐藤丈一】

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130603/k10015036921000.htmlより、
国民会議 持続性高める年金制度を
6月3日 17時53分

政府の社会保障制度改革国民会議は、年金制度の持続性を高めるため、年金額を保険料などで賄える範囲内に抑える仕組みを早期に機能させることや、年金の支給開始年齢を65歳から引き上げることを検討する必要があるという認識で一致しました。
将来の社会保障制度の在り方を検討している政府の国民会議は、少子高齢化が進むなかで年金制度の持続性を高めるための議論を行いました。
この中ではまず、制度としては導入されているものの、デフレ経済の下では一度も機能していない年金額を保険料などで賄える範囲内に抑える「マクロ経済スライド」という仕組みを早期に機能させ、年金の支給総額の伸びを抑制する必要があるという認識で一致しました。
そして、デフレ経済の下でも「マクロ経済スライド」を機能させ、年金額を一部、減額することや、低所得者への影響が大きくならないようにするための対策も合わせて検討すべきだという意見も出されました。
また、現在、65歳となっている年金の支給開始年齢について、高齢者の雇用対策を進めたうえで、引き上げることを検討する必要があるという認識でも一致しました。国民会議ではさらに議論を深め、ことし8月下旬までに改革案を取りまとめることにしています。
国民会議の清家会長は会議のあとの記者会見で「マクロ経済スライドの導入により年金制度の持続可能性が高まることは間違いない。より一層、持続可能性を強化するためには、国際的な相場観から見ても、支給開始年齢の引き上げも議論の対象にしなければならないのではないか」と述べました。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013052902000142.htmlより、
東京新聞【社説】健康保険の危機 国保財政再建に本腰を
2013年5月29日

 政府の社会保障制度改革国民会議は、財政赤字にあえぐ市町村の国民健康保険(国保)の運営を都道府県に任せる案を出した。重要な提案だが、もっと社会保障全体を見渡した改革を示してほしい。
 市町村が運営する国保は、医療保険の最後のセーフティーネット(安全網)だ。
 加入者は全体で三千五百二十万人いる。もとは自営業や農林水産業で働く人の加入を想定していたが、今は定年で退職した七十四歳までの年金生活者や企業の健康保険組合(健保組合)などに加入できない非正規社員が増えている。
 高齢者や非正規で働く現役世代も頼れる医療保険である。
 ところが財政に赤字を抱え存続の危機が叫ばれている。
 保険料の徴収率はここ五年ほどは九割を下回っている。加入者の所得も低く、保険料軽減を受けている人も少なくない。保険料収入は全体の三割ほどでしかない。
 一方で、加入者のうち六十五~七十四歳の割合は三割を超えた。保険から支出される一人当たりの年間医療費は健保組合の倍以上の約三十万円かかっている。
 国や都道府県、健保組合などから財政支援を受けているが支えきれず、市町村は毎年税金を約三千五百億円投じ、翌年度の保険料を約千五百億円“前借り”してしのいでいる。
 医療費はかさむのに国保を支える基盤は弱る一方だ。最後の安全網がこれでは、心もとない。
 国民会議が提案した国保の都道府県単位化は、財布を大きくして財政力を強化することが狙いだ。財政力の違いで、同じ県内でも最大三倍近い差のある保険料も統一される。
 ただ、提案は不十分だ。高齢化で医療費は急増している。財布に入れる中身の財源は国、自治体、健保組合、加入者などがどう負担していくのか、大事な議論は進んでいない。
 そもそも国民会議は、社会保障と税の「一体」改革で社会保障全体の改革像を示す責任がある。国保の再建はその一つにすぎない。八月までに改革案をまとめる予定だが、これでは消費税増税だけが行われかねない。
 本来は、国土強靱(きょうじん)化計画で十年で二百兆円の公共投資をするのなら、そこから社会保障に財源を回すなどの大胆な発想が国民会議には求められているのではないか。そのくらいの気概がなければ「一体」改革にはならない。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickupより、
朝日新聞 社説 2013年 4月 30 日(火)付
地域医療の将来像―都道府県の責任は重大だ

 救急車が、患者を搬送する病院をなかなか見つけられない。地域の病院から小児科や産科が消える。病院から治療が終わったからと、退院を迫られているが、行き場所がない……。
 日本の医療や介護が抱える問題に、どう対応するか。
 首相の下に置かれた社会保障国民会議で、大きな改革の方向性が見えてきた。
 地域の実情にあった「ご当地医療」をつくる。そのために、都道府県の権限と責任を大きくし、消費増税の財源をあてる。そんな内容である。
 基本的に賛成だ。

■地域ごとのビジョン
 これまで都道府県は、複雑で費用もかさむ医療分野への関与には及び腰だったが、財源に一定のメドがつくことで積極姿勢に転じる兆しが見えてきた。これを機に、政府全体で本腰を入れて進めるべきだ。
 改革の柱はふたつある。
 ひとつは、地域ごとの医療・介護のデザインを、都道府県が中心になって担うことだ。
 欧米に比べ、日本の病院はベッド数は多いが、各病院の役割分担がはっきりしない。地域によっては、リハビリや緩和ケアが得意な病院や介護施設、自宅を訪問して診療する医師や看護師が足りない。
 このため、高度な医療を提供する医師や看護師のいる病院に、治療の済んだ患者が滞留する「社会的入院」も起きる。
 高齢化のピークに向けて、住民の医療・介護のニーズを予測して病院や介護施設を整備し、スムーズに連携させる。そうした将来ビジョンが必要だ。
 都市部と地方では、医療機関の数、高齢者の数や人口密度など事情が異なる。ビジョン策定で都道府県がより大きな責任を持つのは自然な流れだ。
 厚生労働省のこれまでの医療政策は全国一律の手法に依存してきた。
 個々の診療行為の公定価格である診療報酬を上げ下げし、病院を望ましい方向に誘導するのが軸だが、間接的な手法ゆえの限界が見えている。
 集中的に治療を行うために「手厚い看護」に高い価格をつけたら、都市部の大病院が看護師を一気に集めて、中小病院が人手不足に陥るなど混乱したのは、わかりやすい失敗例だ。
 国民会議では、地域医療や介護のための基金を設け、消費税収の受け皿にし、病院機能の集約や転換に必要な費用を補助する案が委員から示された。
 こうした投資的経費は、診療報酬で賄うのは難しい。補助金という直接的な手法をどう有効に使うか検討を進めたい。
 病院機能の集約化は、地方の医師不足緩和にも貢献しうる。ある分野の医師を一つの病院に集めれば、勤務に余裕ができ、人材を採用しやすいからだ。同じ病院に手術を集中させ、医師が腕を磨ける環境もつくれる。

■国保の財布を大きく
 改革のもうひとつの柱は、苦境に陥っている国民健康保険の運営を、市町村から都道府県に移すことだ。
 国保は、収入の安定したサラリーマン以外の人を対象にしている。いまや自営業者は少数派で、低収入の非正規労働者、無職の高齢者が大半を占める。
 このため医療費が増えても、保険料の引き上げには限界がある。見えやすい負担増は住民に不人気で、首長も腰が引ける。
 その結果、市町村は国保に3500億円の税金を投じ、さらに翌年度の保険料を先食いする形で1500億円を借りて、赤字を穴埋めしている。きわめて不健全だ。
 1700余ある国保のうち4分の1は加入者が3千人に満たない。運営を都道府県ごとにして、「お財布」を一つにすれば財政が安定化し、同じ県内でも国保間で最大3倍近い格差があった保険料も平準化されよう。

■国は人材の支援を
 国民会議が打ち出した方向性にはむろん、懸念もある。
 改革を実現するだけの力がすべての都道府県に備わっているとは思えないからだ。
 これまではベッド数の規制が主な仕事で、県立病院はつくっても、医療の中身は、医師を派遣する地元大学の医学部にお任せするのが一般的だった。
 それが、専門性の高い医療の中身に立ち入り、企画・調整する仕事を担えるのか。
 政治力のある地元医師会と対等に渡り合えるか。医師たちの言うがままに、補助金をつけるようにならないか。
 市町村と違って住民と直接の接点が少ない都道府県が、地域の複雑な事情をふまえた調整ができるか。
 心配の種は無数にあるが、国が特に人材面で支援し、克服していくしかない。
 地域の医療・介護は、国任せでは成り立たない。都道府県が将来像を描き、その費用の一部をまかなう国保にも責任を持つ意味は大きい。
 高齢ニッポンにおける「地方分権」の成否がかかっている。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54315070U3A420C1EA1000/より、
日経新聞 社説 年金・医療に切り込み財政規律を取り戻せ
2013/4/24付

 安倍政権が主導した異次元の金融緩和策と世界経済の改善が寄与し、日本経済の先行きに対する企業経営者と消費者の心理は好転した。この流れをさらに太くするのに不可欠なのは、成長を促す規制改革と国の財政に規律を取り戻すための歳出改革である。
 成長戦略は6月の成案作成へ向け、産業競争力会議などが詰めの議論に入った。気になるのは、歳出改革への動きが鈍い点だ。高齢者数がさらに増えるなかで年金や医療の持続性を確かにするためにも、社会保障給付の膨張を抑える制度改革は避けて通れない。
 政府・与党が7月の参院選を意識して高齢層に厳しい政策を示すのを先送りしようと考えているとすれば、問題は大きい。選挙戦を通じて財政と社会保障を立て直す道筋を野党と競うべきである。
 安倍政権が編成した2012年度の補正予算によって国の財政赤字は大幅に拡大した。ある年度の政策経費を借金以外でどの程度まかなっているかを示す基礎収支は、地方自治体の分を含めて13年度に国内総生産比で6.9%の赤字に悪化する見通しだ。
 菅政権の時代、日本はこの赤字幅を15年度に3.2%に縮め、20年度に黒字転換させると国際公約し、安倍政権はこれを引き継いだ。しかし消費税率を14年4月に8%へ、15年10月に10%へ引き上げても公約達成はおぼつかない。
 消費税増税は年13兆5千億円の増収をもたらすと、財務省は試算する。その使い道をみると11兆円弱は赤字国債でまかなっている既存の社会保障費に充て、残る3兆円弱を育児支援や医療の充実などに使ってしまう計画だ。財政規律の回復に程遠いのが実態である。
 だからこそ歳出の絞り込みが欠かせない。本丸は社会保障だ。
 年金制度は実質給付額を毎年、小刻みに切り下げる仕組みを早急に発動すべきだ。医療は重複検査・投薬を解消するために、診療報酬明細の電子化をさらに徹底させてほしい。大学病院などの外来受診を適正にするために、家庭医制度を普及させるのも課題だ。財政対策では、豊かな高齢者の窓口負担を引き上げるべきである。
 改革案を審議中の社会保障制度改革国民会議(会長・清家篤慶応義塾長)の責任は重いが、痛みの伴う給付抑制や負担増に踏み込もうとしているようには見えない。政治的な思惑に左右されずに思い切った制度改革を打ち出す時だ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 4月 5 日(金)付
政権100日―難所はこれからだ

 「ハンドレッド・デーズ(100日)」ということばが、米政界にある。
 大恐慌下の1933年に就任したフランクリン・ルーズベルト大統領は、100日間で法案を次々に成立させ、ニューディール政策を成功に導いた。以来、新政権の力量を占う際の最初の目安とされる。
 安倍政権がきのう、その節目の日を迎えた。
 安倍首相が「経済再生でロケットスタートを」と宣言した通り、大規模な財政出動と金融緩和の「アベノミクス」を打ち出し、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に道を開くなど、次々と手を繰り出した。
 首相の持論である「戦後レジームからの脱却」をひとまず封印し、最大の懸案だった経済再生に集中的に取り組んできた姿勢は評価できる。
 実際、昨年末の内閣発足前後から円安が一気に進み、株価はほぼ一本調子に2千円以上も上がった。朝日新聞の世論調査で60%を超える高支持率を維持しているのも、経済に明るい兆しが出てきた反映だろう。
 もっとも、ここまでは市場や世論の期待にふわりと乗ってきたに過ぎない。経済がつまずけば、たちまち失速する。そんな薄氷の政権運営であることを忘れてはなるまい。
 首相がきのう、「さらに努力しなければならない」と語ったように、これからが難所続きである。
 アベノミクスを「バブル」に終わらせないためには、成長戦略づくりを急ぎ、実体経済を軌道に乗せなければならない。
 各国の国益がぶつかるTPP交渉もいよいよ本格化する。
 ほとんど手つかずの「宿題」もある。
 例えば、消費税増税と一体で進めるはずだった社会保障改革だ。有識者による国民会議で議論しているが、スピード感が乏しい。財政規律をどう保つのかも、おざなりにされている。
 夏の参院選をにらみ、国民に負担を強いる政策は秋以降に手をつけたい。そんな思惑だとしたら、自民党の古くさい先送り体質から抜け出せていないのを証明することになる。
 一方、外交に目を転じても、中国や韓国との関係改善は遅々として進んでいない。北朝鮮への対応も、米韓とともに急ぐ必要がある。
 内政にせよ外交にせよ、政権の都合を待ってはくれない。
 参院選まであと100日あまり。これらの課題にどう取り組み、どんな結果を残すのか。次はそこが問われる。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52786220U3A310C1EA1000/より、
日経新聞 社説 国民会議は何をしているのか
2013/3/14付

 首相官邸の社会保障制度改革国民会議は何をしているのか。ことしに入ってからの議事運営をみていると、そう言わざるを得ない。
 会議は民主、自民、公明の3党合意にもとづき、衆院解散後の2012年11月末に当時の野田佳彦首相が発足させた。会長の清家篤慶応義塾長をはじめ、15人の有識者委員の人選は3党の総意だ。
 これまでに野田政権のもとで2回、安倍政権になってからは4回開いた。だが会議に「制度改革」を冠したのとは裏腹に、改革を前へすすめる議論は低調だ。
 それは議事運営が各種の利害関係団体の意見聞き取りに終始しているからだ。2月19日は経済団体と労組団体、28日は知事会、市長会、町村会と財務省の財政制度等審議会が意見表明した。次は医療・介護7団体、次々回は健康保険の関連4団体が登場するという。
 年金、医療の制度改革を議論し実行する際に利害団体の意向を理解しておくのは当然だ。しかし毎回のように意見聴取のための会議を、わざわざ官邸で開く必要があるだろうか。各団体の意見表明の持ち時間は10分程度にすぎない。意を尽くせない面もあろう。
 各団体の考えをしりたいなら、会議とは別の場でそれぞれの委員が主体的に勉強すればよい。そもそも社会保障の「有識者」なら、あらかじめ利害団体の考え方を熟知していて当然だろう。時間稼ぎしているとしかみえないのだ。
 会議は3党が成立させた社会保障制度改革推進法によって設置期限が8月21日に区切られている。今国会で13年度予算案が成立すれば、夏の参院選へ向け政界は与野党間の対立機運が高まるだろう。だからこそ官邸主導で改革の方向を早くさだめておく必要がある。
 たとえば年金改革は(1)自公両党の百年安心プラン(2)最低保障年金をつくる民主党案(3)維新の会が掲げる積み立て方式への移行案――の利点と足りない点を比較考量するなど、加入者と受給者の視点での改革論議がいる。首相に議事運営の立て直しを求めたい。

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