クラスター禁止条約 除去へ進まぬ国際支援

http://mainichi.jp/opinion/news/20130605ddm003030115000c.htmlより、
クローズアップ2013:クラスター禁止条約、イラク批准 除去へ進まぬ国際支援
毎日新聞 2013年06月05日 東京朝刊

 ◇ラオスなお7500万発 資金調達、NGOに限界
 イラクが先月、クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)を批准し、批准国は採択(2008年5月30日)から5年で83カ国になった。イラク戦争(03年)では米英軍により最大200万発のクラスター爆弾が投下され、今も大量の不発弾が多くの犠牲者を生み続けている。条約は批准から10年以内の不発弾除去を義務付けるが、ラオスやレバノンなど先行して批准した被害国では国際支援が不十分で除去が思うように進んでいない現状がある。国際社会が戦争の負の遺産をどう清算していくかが問われている。【ブリュッセル斎藤義彦、カイロ秋山信一】

 「もう死のうと思った。私の人生はその時止まった」。8歳の時にクラスター爆弾の不発弾の爆発で左腕を失った、ラオスのソーミー・サイランペンさん(26)は今年4月、全米12カ所で講演し、当時の苦しみを訴えた。
 ラオスではベトナム戦争中の1964〜73年に米軍がクラスター爆弾2億8000万発を含む200万トン以上の爆弾を投下。サイランペンさんが負傷したのは、貧しい農家だった家族の食料にタケノコを採ろうとやぶの中を探している時だった。不発弾の被害者仲間に励まされながら大学を卒業し、今は被害者支援組織で働く。「米国民にラオスの苦境を知って支援してもらいたい」と話す。
 サイランペンさんらを米国に招いたのは非政府組織(NGO)「戦争の遺産」。今も残る被害を伝え、米ラオス間の和解を目指す。今回の招待では米国務省の支援も受けた。
 オスロ条約を2009年3月に批准したラオスが今年、国連に出した報告書によると、現在も国内に7500万発のクラスター爆弾の不発弾が残っており、広島県ほどの8470平方キロが不発弾に「汚染」されたままだ。NGOによると累計約5万人が不発弾などで死傷、11年にも99人が死傷している。
 米国務省は「ラオスのクラスター爆弾は大きな問題」だと位置づけ、米国は昨年、不発弾除去に900万ドル(約9億円)を拠出した。オスロ条約は爆弾投下国に、被害国の不発弾除去を技術、財政、人的に支援することを「強く要請」している。米国はオスロ条約に加盟せず、クラスター爆弾を放棄していないが、不発弾除去では条約で求められた責任を実行している形だ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130605ddm003030115000c2.htmlより、
 しかし、ラオスのメディアによると、ラオス政府は不発弾除去や被害者支援に年5000万ドル(約50億円)が必要と見積もっているのに対し、国際社会の支援は計3000万ドルにとどまる。しかも、昨年に不発弾を除去できたのは56平方キロの約8万発分。面積で全体の0・6%に過ぎない。不発弾除去期限を守るにはさらなる国際社会の支援が不可欠だ。
 一方、先月に条約を批准したイラクでは、クラスター爆弾の投下地点は2200カ所に上り、NGO「クラスター爆弾連合」は「汚染(不発弾の残留)が特にひどい」地域に分類している。いまだに新たな投下地点も見つかるなど、被害の全容は明らかではない。イラク戦争後も治安が不安定で、4月以降は再びイスラム教スンニ派とシーア派の宗派抗争が激化。被害者支援など国際社会の支援もテロの頻発で停滞している。
 首都バグダッドに住むカーム・ムスタファさん(16)がクラスター爆弾の不発弾の被害に遭ったのはイラク戦争後の04年だった。外で遊んでいたところ、爆発が起きて左手と片目を失った。NGOの支援によりイタリアで治療を受け、義手と義眼で生活するようになった。ところが成長につれて義手が体に合わなくなっている。NGOは資金不足で、再度の海外での治療を支援する余裕はない。理事長のモワフィク・ハファジさん(50)は「イラク政府の支援は不十分で、国際社会の援助が必要だ」と訴える。

 ◇内戦のシリア、使用今も
 内戦状態のシリアでは現在もクラスター爆弾が使われ、新たな被害者を出している。日本やフランス、ドイツなどは、アサド政権側が反体制派や市民への攻撃に使用したと厳しく非難しているが、政権側は使用を否定し続けている。
 オスロ条約の加盟国は今年4月、情報交換のための会議をジュネーブで開催。少なくとも18カ国の代表がシリアでのクラスター爆弾使用を非難した。オーストリアはクラスター爆弾使用を「人権侵害にあたる」と批判。豪州は「市民に長期にわたって被害をもたらす」と憂慮を表明した。
 国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」は今年3月、「昨年8月からの半年間に約120カ所で、約160発のクラスター爆弾が使用された」との報告をまとめた。HRWによると、その後も使用が続いており、3月29日に北部アレッポ北郊でシリア軍機がクラスター爆弾1発を投下し、30人が負傷。4月3日にはアレッポ近郊で、シリア軍機が6発のクラスター爆弾を投下し、子供7人を含む11人が死亡した。証言によると多数の子爆弾が散らばり「火山が爆発したようだった」という。

 ◇大量保有国は署名せず
http://mainichi.jp/opinion/news/20130605ddm003030115000c3.htmlより、
 数千個の子爆弾を内蔵するクラスター爆弾は第二次世界大戦から使用され始めた。不発率が高く、地上に落ちた不発弾を拾った子供が被害に遭うなど人道上の問題点が指摘され続けた。規制に関する国際交渉は難航、ノルウェーなどの有志国やNGO(非政府組織)が既存の国際交渉の場とは別の枠組み「オスロ・プロセス」で禁止条約の締結を目指し、08年に日本や英独仏を含む107カ国の賛成で採択された。
 条約は、批准から8年以内の廃棄や10年以内の不発弾除去を定め、使用や開発、貯蔵や移譲(輸出)を禁止。現在83カ国が批准(署名は112カ国)。大量保有国の米露中イスラエルは署名していない。【沢田勇】

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