薬ネット販売 「禁止規定なし」安全確保に懸念

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013060502000140.htmlより、
東京新聞【社説】薬のネット販売 解禁へ安全策の徹底を
2013年6月5日

 一般用医薬品(市販薬)のインターネットでの販売が解禁されそうだ。それには安全に売るルールが不可欠だが、議論は進んでいない。安全に気軽に薬を利用できる環境整備に取り組むべきだ。
 政府は、市販薬のネット販売解禁を成長戦略に盛り込む予定だ。薬店で買える薬は「どれでも買える」よう全面解禁が当然である。
 問題は「どう売るか」のルールが定まっていないことだ。
 関係者が集まりルールを決めるため厚生労働省に検討会が設けられたが、ネット販売の是非という入り口論に終始し、有効な安全策の提案にたどり着けなかった。
 市販薬はリスクごとに高い方から第一~第三類に分類される。一類は医療用医薬品から市販薬に変わったもので胃腸薬や解熱鎮痛剤など約百品目ある。二類はかぜ薬など約八千品目を超える。三類はビタミン剤や整腸剤などで約三千品目ある。
 これまで一、二類はネット販売が禁止されていたが最高裁は一月、「一律の販売を禁じた厚生労働省令は違法」と認定した。
 これを受け検討会は十一回の議論を重ねた。
 ネット販売業者ら推進派は「ネットの安全性が店舗での対面販売に劣る根拠はない」と全面解禁を訴えた。確かに業者によっては購入時に体調確認や、注意事項の説明、相談窓口などを提示してリスクの軽減に配慮しているが、業界全体で取り組む必要がある。
 日本薬剤師会や日本チェーンドラッグストア協会など慎重派は、一類と二類の一部の高リスク薬は、購入者への目視や接触で情報を集める必要性から対面販売にこだわった。ネット販売は専門職の存在を脅かすとの危機感があり、店舗経営への影響を懸念した。
 結局、リスク情報の確実な説明方法や、店舗を持つ業者にネット販売を限るなどの参入条件、購入者の相談窓口の設置方法、悪質業者の監視、大量購入の防止策など肝心の安全策の議論は深まらなかった。業界の思惑より消費者利益が最優先のはずだ。
 ネットの利用は消費者の選択肢を増やすものだ。消費者にも薬のリスクを知り、自身で健康を管理する自覚が求められる。
 ネット販売解禁が成長戦略に盛り込まれても、販売ルールがないままでは消費者は安心できない。
 安全策の拙速な議論は避けるべきだが、気軽に薬を買い安全に利用できる環境づくりを求めたい。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130604k0000m070151000c.htmlより、
社説:薬のネット販売 安全性をどう守るか
毎日新聞 2013年06月04日 02時30分

 利便性を求めると安全性が危うくなり、安全にばかりこだわると不便を感じている人たちを置き去りにする。薬局などで販売されている一般用医薬品のインターネット販売問題がそうだ。政府はほとんどの一般薬のネット販売を解禁する方向で調整している。離島や過疎地に住む人には朗報だろう。ネット業界からは100%解禁を求める声が上がるかもしれない。しかし、一般薬でも副作用被害は起きており、安全性の確保も十分に考えなければならない。
 一般薬は副作用リスクの高い順に第1〜3類に分類され、厚生労働省は第1類と2類は薬剤師らによる対面販売が必要としてネット販売を認めてこなかった。ネット業界は以前から解禁を求め、最高裁も厚労省の規制は薬事法を逸脱した違法なものとの判決を出した。規制改革会議からも解禁を求める意見が出ている。
 厳重な臨床試験を通って認可された薬でも市販後に予想されなかった副作用が表れることがある。薬効や副作用は個人の体質や体調、他の薬との飲み合わせによっても異なる。一般薬でも年間平均250例の副作用被害があり、2007年度から5年間で24件の死亡、15件の後遺症が報告されている。薬剤師などによる対面販売が必要なのはそのためだ。ネット販売が解禁されれば、違法ドラッグに似た効用を求めてかぜ薬を大量購入したり、偽造医薬品が海外から流入したりすることを止められなくなるとも指摘される。
 ただ、現行の対面販売のルールが十分に機能していないのも事実だ。第1類の医薬品について「文書を用いて詳細な説明があった」のは半数程度で、まったく説明がないケースも2割近くに上るとの調査結果がある。報告された副作用被害と販売時の説明不足との因果関係も実証されているわけではない。
 利便性を求める流れを変えることは難しいが、予測できない副作用リスクがある以上、患者側に自己責任を求めるだけではいけない。最高裁判決以降、ネット販売は野放図状態になっているともいわれる。悪質な業者をチェックして締め出す仕組みや、副作用の監視や報告体制の充実、若年者らを対象にした薬に関する教育も必要ではないか。
 高齢者人口が増え、複数の慢性疾患を持った人がいくつもの薬を服用するのが当たり前になった。患者の服薬履歴を管理しながら相談に乗る「かかりつけ薬剤師」を持つこともこの機に進めるべきだ。医療費抑制のため、軽症の疾患は病院にかからないようにすることも今後は検討される可能性がある。薬剤師の役割は地域医療でますます重要になってくるに違いないのだ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年2月16日(土)付
薬ネット販売―過剰な規制はやめよう

 処方箋(せん)のいらない医薬品を、インターネットや電話を使って通信販売することの当否や、そのあり方を検討する会議が、厚生労働省につくられた。
 何度も議論されながら、合意を見いだせずにきた難題だ。いきすぎた規制はやめ、市民の健康を守るために合理的で必要な範囲内にとどめる。その方向で調整をすすめてほしい。
 きっかけは先月の最高裁判決だ。ビタミン剤など第3類とよばれる医薬品を除いてネット販売を一律に禁じている省令は、違法で無効と判断された。
 判決は全面解禁せよと言っているわけではない。省令を根拠づける規定が薬事法にないことが、「無効」の理由とされた。どんな政策をとるか。ボールは行政・立法に返された。
 近くに薬局がない、障害のため出歩けないなど、様々な事情から通信販売を望む人がいる。
 一方で薬には副作用がつきものだ。薬剤師や資格をもつ販売員が対面で売る方式を続けよ、という声も強い。薬害の患者団体はそう訴えてきた。
 それぞれに一理あるが、少なくとも全面禁止は時代の要請にかなわないのではないか。
 いまの省令のもとになった8年前の厚労省検討部会の報告書や国会審議でも、かぜ薬や解熱鎮痛剤など第2類医薬品については、通信販売を禁止するとの考えは示されていない。
 健康被害についてネット業界は、「利用者に病歴を申告させたり、電子メールで薬剤師の助言をきける環境を整えたりすれば、対面販売にこだわる必要はない」と主張し、独自のガイドラインを設けている。
 これを踏まえ、足りない点や心配な点をただし、改善・充実させるのが現実的ではないか。
 外国の例を見ても、政府が許可した業者だけにネット販売をみとめる▽その際、薬剤師がどう関与するかをきびしくチェックする▽薬によって対応を分ける――などの方法で、道を開いているところが多い。
 議論すべきは販売方法にとどまらない。対面方式を現におこなっている薬局やドラッグストアで、適切な情報提供がなされているか。薬の説明書きは利用者にわかりやすい内容か。これらについても不断のチェックと見直しが求められよう。
 規制を唱える人々の中には、薬局の経営者や薬剤師団体などもある。そこに自らの権益を守りたいという思惑はないか。
 判断の基準は、あくまでも市民の安全であり、利便である。医薬品は誰のためにあるか。その原点を忘れてはならない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130116/plc13011603320004-n1.htmより、
産経新聞【主張】薬のネット販売 安全守る法の見直し急げ
2013.1.16 03:31 (1/2ページ)

 医師の処方箋なしで買える一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売を禁じた厚生労働省令について最高裁は「違法で無効」と判断し、勝訴した通販業者はネット販売を再開した。
 市販薬のネット販売が事実上解禁され、他の業者も参入する見通しだ。利用者にとっての利便性も高まるほか、規制緩和の意義や経済効果も期待される。
 だが、どんな薬にも副作用がある。服用を誤れば被害は深刻だ。判決は「ネット販売は安全」というお墨付きではない。薬の安全に関する情報を利用者にきめ細かく伝え、安全性と利便性を両立させることが不可欠だ。ネット販売も含め、国はそうしたルールづくりを急いでもらいたい。
 厚労省は平成21年4月の薬事法改正で市販薬を副作用リスクに応じて3つに分類し、第1類(一部の胃腸薬など)と第2類(かぜ薬など)については省令で薬局などでの対面販売を義務づけ、ネット販売を原則禁じていた。
 今回の判決は「改正薬事法には対面販売の必要性が明示されていないし、ネット販売を規制する趣旨も見当たらない」とし、「省令は法の委任範囲を逸脱している」とした。法的裏付けがないのに、省令でネット販売を禁じた厚労省の姿勢を指弾したといえる。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130116/plc13011603320004-n2.htmより、
2013.1.16 03:31 (2/2ページ)
 ネット販売は体が不自由な障害者や高齢者には便利だ。薬局や薬店がない離島などでも薬を入手できる。ネット販売の活用は時代の流れといえそうだ。
 一方で利点とは別に、問題もある。対面販売とは異なり、顔色などの症状が直接確認できない。行政や買う側にとっても、薬剤師を配置していないなどの違法業者を見抜くのが難しいことだ。
 薬の購入には副作用のリスクなど安全性をよく理解する必要がある。自ら健康を管理する「セルフメディケーション」の基本だ。
 田村憲久厚労相は「新たなルールを早急に検討する」と語った。薬剤師による対面販売も本来の趣旨が形骸化していると指摘され、薬の販売全体に関する薬事法の再見直しが急がれている。
 サリドマイドやスモンも市販薬による薬害だった。ネット販売が普及した国々では、偽造薬の販売が社会問題化した例もある。規制緩和の一方で、国民の安全を確保するために、違反業者に対する罰則の整備と強化が必要だ。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50564210T10C13A1PE8000/より、
日経新聞 社説 厚労省を指弾した市販薬ネット販売判決
2013/1/13付

 インターネットなどによる医薬品の通信販売を厚生労働省が裁量で制限している問題への司法判断が確定した。最高裁はネット販売を認めた二審判決を支持し、厚労省令を「薬事法の趣旨に適合せず、違法で無効だ」と断じた。
 当然の判断である。からだが不自由で薬局へ行けない、買う薬を他人に知られたくない、などの事情をかかえている人に朗報だ。
 田村憲久厚労相は談話を出し、ネット業者、薬剤師や患者団体の意見を聞き、薬事法改正の提起を含め新たな規制を検討する意向を示した。司法判断も確定したのに、ネット販売を制限しようとする薬事行政にあきれる。ネット販売を今すぐ解禁すべきである。
 現在、同省はビタミン剤、整腸剤など一部の薬にしかネット販売を認めていない。これに対し、ネット通販2社が販売権の確認を求める行政訴訟を起こしていた。
 一審は「ネット販売は対面販売と同じ安全性を確保できるとはいえず、規制は合理的だ」と、原告の請求を退けた。二審は「薬事法はネット販売の一律禁止を想定しているとは認められない」と、原告勝訴の逆転判決を言い渡した。
 厚労省が対面販売にこだわるのは、薬剤師などから直接、商品の説明を受ければ健康被害の危険を減らせるという考え方による。
 消費者が薬効や服薬法について丁寧な説明を受けるのはありがたいことだ。とくに初めて試す薬は用法用量を熟知する必要がある。だがネット販売でも必要な注意事項は得られる。それで不安なら、買い手みずからが専門家の説明を求めればすむ話である。そもそも対面販売のほうが危険性が小さいという実証データはない。
 必要なのは患者・消費者第一の薬事行政である。そのための規制改革に司法判断を待たなければならないのは、異常だ。高裁判決後に同省が上告したのは、時間かせぎではないかと疑いたくなる。
 この間、薬剤師の業界団体はネット販売が危険であるかのような主張を繰り返し、対面販売を維持させるよう、与野党や薬務官僚への政治的働きかけを強めていた。
 安倍政権は民主党が休眠させた規制改革会議を復活させる。会議はこの問題にかぎらず、率先して不合理な規制を洗い、各省に改革を迫る責務がある。それには首相の後ろ盾が不可欠だし、担当閣僚の指導力も試される。その点で、田村厚労相の見解はふに落ちない。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年1月12日(土)付
薬ネット販売―国会と政府に反省促す

 法律をつくったり改めたりする国会。その法律にもとづき、細かなきまりを定める政府。両者のあり方に警鐘を鳴らす判決を、最高裁が言いわたした。
 処方箋(せん)がなくても買うことができる一般用医薬品について、ビタミン剤などを除いて、ネットによる販売を一律に禁止する厚生労働省の省令が、違法で無効と判断された。
 法律(薬事法)にネット販売を禁ずる定めはなく、位置づけはあいまいだ。それなのに、役所の権限で制定できる省令(施行規則)で広く網をかけてしまうのは、職業活動の自由を縛るいきすぎた規制といえる――。
 最高裁はそう結論づけた。
 厚労行政に大きな影響をおよぼす判断である。
 薬の副作用問題にとり組む人からは批判もでるだろう。「薬剤師らのチェックがないまま服用すれば、スモンのような薬害がくり返されるおそれがある」という懸念は傾聴に値する。
 最高裁もネット販売を積極的に支持しているわけではない。
 それでもなぜ、違法・無効なのか。判決をつらぬくのは、次のような考えである。
 規制の必要があるのなら、国会でしっかり議論し、法律で明らかにしなければならない。省令で決めていいのは、法律からゆだねられたことがらだけで、それ以上に踏みこんで、国民に義務を課したり、権利を侵害したりしてはならない――。
 もっともな見解だ。
 行政がそののりを越え、法治主義がうやむやになることは、私たちの社会やくらしの基盤をむしばみ、やがて災厄をもたらす。裁判所のメッセージをしっかり受けとめたい。
 判決の確定をうけて、厚労省は対策を急ぐ必要がある。
 ネット業界も、購入者への情報提供のあり方を柱とする自主規制案をつくっている。薬の安全、消費者の利便、ビジネスの発展などの要請が並び立つよう知恵をしぼってほしい。
 改めて思うのは、国会、省庁双方の意識の低さである。
 薬事法改正の際、ネット販売の扱いは当然問題になった。だが国会での議論は生煮えで、結果として「対応は厚労省にお任せ」という事態を招いた。
 唯一の立法機関としての使命を十全にはたさない国会。公の場で複雑な利害を調整するリスクと手間を避け、自分たちの自由になる省令で、大切なことを決めてしまう役所。それらが一体となって、違法・無効な省令が生まれたといえよう。
 反省し、教訓をくむべきは、ひとり厚労省だけではない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013011202000148.htmlより、
東京新聞【社説】薬のネット販売 安全と利便の両立図れ
2013年1月12日

 インターネットなどでの医薬品の販売が認められた。通販会社が、販売する権利を求めた訴訟で最高裁はこう判断した。今後は、国も業界も安全で便利な販売ルールの整備に知恵を絞るべきだ。
 かぜ薬や胃腸薬など市販薬の多くは、ネットや電話による通信販売ができない。二〇〇九年の改正薬事法施行の際、省令で禁止したからだ。
 ビタミン剤など一部の薬をのぞき、薬局などで薬剤師が対面で売る。使用法などの説明を十分に行うためで、ネットだとそれが不十分になるとの考え方からだ。
 しかし薬局が近くにない地域の住民や、気軽に店舗に行けない高齢者、障害者は困ってしまう。
 それまでネット販売していた通販会社二社が、国を相手取り販売する権利の確認を求めて提訴していた。一〇年の東京地裁は国の主張を認め原告が敗訴した。
 昨年の東京高裁は一審判決を取り消し、販売を認める判決を言い渡した。「ネット販売の禁止は改正法には明記がない。健康被害などの実態の検証も不十分だ。なのに厚生労働省の判断で定める省令で禁止し国民の権利を制限したことは違法で無効」と判断した。
 最高裁も高裁判決を支持した。
 そもそも改正法の狙いは、医療機関に頼らず自身で健康を管理するセルフメディケーションを進めることだ。それは医療費の削減にもなる。誰でも必要なときに購入できるネット販売の禁止はむしろそれに逆行する。やはり消費者の判断と選択を尊重すべきだろう。
 ただ、販売には安全性確保に懸念もある。勝訴した通販会社ケンコーコムの後藤玄利社長は「安全性と利便性は両立できる」と強調した。安全な販売方法を考えるときにきている。
 ネット販売を認めている米英では、登録制度などで薬局を監督し、販売に目を光らせている。
 日本でもネット販売に反対する薬局などの業界団体が販売ルールを提案した。店舗を持つ業者に限ったり、初回は店舗で買ってもらい情報提供の機会を増やすなど具体的だ。参考になる。
 厚労省は規制を続けるのではなく、販売の方法や実態把握、監督・指導をルール化し、環境整備を進めるべきだ。
 薬局での販売も薬剤師の説明が必ずしも十分ではない。薬の正しい使用法をいかに理解してもらうか努力の余地がある。消費者の利益を最優先に考えるべきだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130112k0000m070125000c.htmlより、
社説:薬ネット販売 安全確保を大前提に
毎日新聞 2013年01月12日 02時30分

 医師の処方箋なしで購入できる一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売を原則禁じた国の規制について、最高裁が違法と結論付けた。
 薬事法に明確な規定がないのに、厚生労働省が省令で原則禁止を定めた行為は「法の委任の範囲を逸脱し、違法であり無効」だとしたのだ。
 09年に改正薬事法が施行されるまでは、電話やインターネットによる通信販売は広く普及していた。
 副作用の危険もある医薬品のネット販売の是非については、長年関係業界が対立してきた。ネット販売は再開が予想されるが、安全性の確保が大前提となるのは当然だ。
 厚労省は、関係業界と協議し、まずは利用者の安全が守られる販売のルール作りに取り組むべきだ。
 薬事法改正に伴い、厚労省は市販薬を3分類した。副作用リスクが高い順に第1類(胃腸薬など)、第2類(風邪薬など)、第3類(ビタミン剤など)とし、第1類と第2類の通販を省令で禁じた。
 過去の薬害の教訓に照らし、医薬品は対面販売を原則とすべきだとの考え方が背景にある。ただし、健康を守る医薬品である以上、国民が広く購入できる利便性も欠かせない。法改正ではリスク情報を利用者に伝える体制を確保した上で、販売方法の多角化も認めようとした。
 その結果、第2類の医薬品は、登録販売者を確保すれば、スーパーやコンビニエンスストアでも販売できるようになった。一方で、通販は第3類に限定された。
 改正法施行後に厚労省が実施した調査では、ネット販売による副作用被害の実例はなかった。また、現実には対面販売で必ずしも十分な説明がされているとは言えない。何より、外出がままならない人や、コンビニが近くにない地域に住む人たちの利便性は大きく低下した。
 厚労省による規制の線引きは一貫性に欠け、合理性に乏しかったとの批判は免れないだろう。
 とはいえ、ネット販売の問題性も見過ごせない。少年らが自殺のために鎮静剤をネットで大量購入した事例もあった。日本薬剤師会は、ネットは匿名性が高いため健康食品や脱法ドラッグ販売で過去に健康被害を生んだような事態が起こりかねないと指摘する。最高裁判決も、憲法で保障された「職業(営業)活動の自由」に言及しつつ、規制自体を全面的に否定しているわけではない。
 購入の数量制限や、電話を使った薬剤師による説明義務など、通販でもリスクが的確に伝えられる仕組みは工夫できるはずだ。悪質業者の締め出しも必要だ。ドラッグストアを含めた販売業界や薬剤師会などは権益を超え知恵を出し合ってほしい。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130111/k10014751751000.htmlより、
薬のネット販売 事実上解禁・反応は
1月11日 18時44分

インターネットを使った薬の販売について、最高裁判所はネットでの販売を一律に禁止した国の規制は無効だという判決を言い渡しました。
薬のネット販売は事実上解禁されることになり、国は新たな規制が必要かどうか検討を迫られることになります。
この裁判は、医薬品などのネット販売を行う東京の「ケンコーコム」などが起こしたもので、厚生労働省がリスクの低い一部を除き、インターネットによる薬の販売を4年前に省令で禁止したのは不当だと訴えていました。
1審の東京地方裁判所は「規制は必要だ」と訴えを退けましたが、2審の東京高等裁判所は去年4月、逆にネット販売を認める判断を示し、国が上告していました。
11日の判決で、最高裁判所第2小法廷の竹内行夫裁判長は、「薬のネット販売の禁止は憲法が保障する職業の自由を制約することになるが、現在の薬事法には一律に販売を禁止すべきだという趣旨が含まれているとは言えない。国の規制は法律が委ねた範囲を超えるもので、違法で無効だ」と判断し、国の上告を退けました。
この結果、薬のネット販売は現在の法律の下で事実上解禁されることになり、国は新たな規制が必要かどうか検討を迫られることになります。
国の規制の多くは具体的な内容を法律ではなく省令などで定めていますが、11日の最高裁の判決は、新たな規制を設ける際には法律の枠組みを超えることがないよう強く求めるものとなりました。

4年前の法改正で販売方法規定せず
医師の処方箋がなくても薬局などで購入できる「一般用医薬品」については、平成21年に施行された改正薬事法で、副作用のリスクに応じて第1類から第3類の3つに分類され、販売時に薬剤師らが適切に情報提供するよう規定しました。
販売方法については法律では規定されず、厚生労働省が省令で具体的に定めました。
この中で、アレルギーの薬や重い副作用が報告されている胃薬など、特に副作用のリスクが高い「第1類」と、リスクが比較的高いとされ、多くのかぜ薬や解熱剤が含まれる「第2類」については、薬局などでの対面販売が義務づけられました。
インターネットでの販売は、ビタミン剤や整腸剤などリスクが比較的低いとされる「第3類」だけに限定されました。

ケンコーコム“安全性と利便性は両立できる”
判決を受けて、原告の1社で、インターネットで医薬品を販売している「ケンコーコム」の後藤玄利社長が記者会見を開きました。
この中で、後藤社長は判決を受けて、11日、インターネットで第1類と第2類の医薬品の販売を再開したことを明らかにしたうえで、「長い戦いだったが、われわれの主張が認められ、ほっとしている。厚生労働省は一刻も早く、違法と判断された省令を改正し、正々堂々とインターネット販売ができるようにしてほしい」と話しました。そのうえで、後藤社長は「安全性と利便性は二律背反のものではなく、両立できるものだ。IT技術は進歩しており、新たな技術を活用することで、さらに安全に販売できると考えている」と主張しました。
ケンコーコムでは、安全性を確保するため、現在、薬剤師が顧客と副作用についてインターネットを使った電話やメールでやり取りしたり、過去に購入した薬を顧客ごとに管理し、同じ薬を大量に購入できない仕組みを導入したりしているということです。

厚労相“販売のルールを早急に検討”
判決について、田村厚生労働大臣は「判決の内容を精査して、判決の趣旨に従い、できるだけ早く必要な対応策を講じていきたい。一般用医薬品の使用は、有益な効果をもたらす一方で、副作用の発生のリスクを伴うものであり、薬局・薬店においては、医薬品の販売を行う際、安全確保のための方策に十分に配慮してもらうことが重要だ。厚生労働省としては、今後、関係者に広く参画してもらい、法令など販売に関する新たなルールを早急に検討することにしている。新たなルールが示されるまでの間、インターネット販売の利用については、一般用医薬品の使用のリスクを十分に認識し、適切に対応してもらいたい」とする談話を発表しました。

薬害被害者団体“業者の自主規制でなく、国が責任持って”
判決について、薬事法の改正にあたって厚生労働省が設けた検討会で、医薬品の販売規制の在り方について議論に加わった、全国薬害被害者団体連絡協議会の増山ゆかり副代表は、「判決では、薬事法の本文に販売規制のことが全く書かれていないことが指摘されており、インターネットで医薬品を販売することが安全で問題ないと言われたわけではないと思う。医薬品は一般の商品と違ってリスクがあり、消費者がそのリスクについて十分な知識を持っているとは言えないと思う。利便性が安全性を超えることはあってはならず、リスクのある医薬品が何の規制もないなかで売られるということは、消費者にとっていいこととは思えない。薬のインターネット販売は、業者の自主的な規制ではなく、国が責任を持ってやってほしい」と話していました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130111/k10014741091000.htmlより、
最高裁 国の規制は無効・薬のネット販売認める
1月11日 15時23分

インターネットを使った薬の販売について、最高裁判所はネットでの販売を一律に禁止した国の規制は無効だという判決を言い渡しました。
これによって、インターネットによる薬の販売が、今後広がる可能性があります。
この裁判は、医薬品などのネット販売を行う東京の「ケンコーコム」などが起こしたもので、厚生労働省がリスクの低い一部を除き、インターネットによる薬の販売を4年前に省令で禁止したのは不当だと訴えていました。
1審は「規制は必要だ」と訴えを退けましたが、2審の東京高等裁判所は去年4月、逆に販売を認める判断を示し、国が上告していました。
11日の判決で、最高裁判所第2小法廷の竹内行夫裁判長は、「現在の薬事法が改正されるまでの議論などを検討すると、薬事法には薬のネット販売を禁止すべきだという趣旨が含まれているとはいえない。一律に販売を禁止した国の規制は法律の範囲を超えるもので、違法で無効だ」と判断し、国の上告を退けました。
この結果、薬のネット販売を認めた2審の判決が確定し、現在の法律の下では、今後薬のネット販売が広がる可能性があります。

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