日仏共同声明 「これは原発推進宣言だ」

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 6月 8 日(土)付
日仏共同声明―これは原発推進政権だ

 フランスは世界屈指の原子力依存国家である。その国との協力の名のもと、安倍政権は、総選挙で公約した原発依存を減らす方向とは逆向きに突っ走る。
 これでは原発推進政権だ。そんな風にしか見えない。
 来日したオランド大統領と安倍首相が会談し、「原子力発電が重要である」との共同声明を出した。青森県六ケ所村の再処理工場の操業開始など核燃料サイクルへの支援や、高速炉の技術開発協力、第三国への原発輸出での連携を盛り込んだ。
 福島第一原発の事故から2年あまり。まだその収束もできておらず、除染や被災者の帰還も実現していない。
 福井県内の原発敷地で新たに活断層が見つかるなど、地震国ならではの危険性もあらわになった。安倍政権になってからも多くの国民は原発に依存する社会からの脱却を望んでいる。
 そんな中での日仏両国による「原発重視」宣言である。確かに、フランスから実績がある廃炉や廃棄物管理について知恵を借りる手はあるかもしれない。しかし、ほかは首をかしげることばかりだ。
 最大の問題は、行き詰まっている核燃料サイクル事業での協力を打ちだしたことだ。
 中核を占める高速増殖炉「もんじゅ」については、原子力規制委員会が先月、1万近い機器の点検を怠っていたことを理由に使用停止を命じた。技術的にも実現のめどが立っておらず、廃炉にするのが現実的だ。
 やはりトラブル続きだった六ケ所村の再処理工場は、仮に稼働の道が開けたとしても、使うあてのないプルトニウムが増えることになる。
 世界の非核国で唯一、大規模な再処理工場を持つ日本が、核保有国のフランスと協力してプルトニウムの増産に突き進むことは、核拡散を防ぐ国際体制に限りなくマイナスである。
 核保有国と被爆国とがこういう形で手を組むのでは、結局、核兵器もできる物質を持ったほうが得だとの考えが広まりかねない。日仏は、核燃料サイクルではなく、核拡散防止で力を合わせるべきだ。
 安倍政権は最近、原発推進に前のめりな姿勢を鮮明にしてきた。成長戦略の中に原発活用を位置づけ、中東、インド、フランスに続き、今月中旬に訪れるポーランドでも東欧との原子力協力をうたう。
 国民には綿密な説明を尽くさないまま、対外協力を利用して、なし崩しに原発推進へと政策のかじを切るのは不誠実というほかない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130608/plc13060803030004-n1.htmより、
産経新聞【主張】日仏首脳会談 対中「脅威」認識の共有を
2013.6.8 03:03 (1/2ページ)
 安倍晋三首相とオランド仏大統領との会談で、外務・防衛閣僚級協議(2プラス2)を創設することが決まった。
 安全保障分野での日仏の協力強化を歓迎したい。仏企業がさきに、軍事利用の恐れのあるヘリコプター着艦装置の中国への売却を決めたが、こうした事態を避けるよう新たな枠組みをしっかり機能させてほしい。
 荒天時の着艦を可能とするこの装置の売却について、日本は再三、懸念を伝えてきた。仏側は、欧州連合(EU)が中国への輸出を禁じた「武器」にはあたらないと主張、オランド大統領も「軍事利用ではない」と述べている。
 だが、この特殊な装置は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で領海侵犯を繰り返す中国公船に装備される恐れがあり、日本としては看過できない。
 軍事関連物資である防衛装備品の共同開発もこの枠組みでの協議のテーマとなる。すでに米国と実施しているほか、武器輸出三原則の緩和を受け、英国とも検討に入っている。
 2プラス2は、米国、オーストラリアに加え、ロシアとも4月の安倍首相訪問時に創設で合意しており、これで4カ国となった。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130608/plc13060803030004-n2.htmより、
2013.6.8 03:03 (2/2ページ)
 日本はさきに、北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長が来日した際、中国の脅威に対する認識を共有している。欧州と日本との協力、対話の拡大自体が、中国への牽制(けんせい)となる。
 双方は共同声明で「新たな大国の台頭で生じる課題に対応する」とし、海洋権益拡大を図る中国を念頭に「海洋法の原則尊重、航行の自由の維持」を強調した。今後の安保協力の原則とすべきだ。
 両首脳はまた、日仏の企業連合による原発の輸出支援でも合意した。中東、アジアなどで民間企業の受注活動を後押しする政府間連携として評価したい。
 いま、中国とEUの貿易摩擦が過熱している。EUが中国製太陽光パネルに反ダンピング(不当廉売)関税を課し、中国はEU産ワインを標的に報復を検討している。仏産ワインは、中国の欧州からの輸入量の6割を占める。フランスが課税に賛成したための狙い撃ちとの見方もある。
 フランスはこの際、中国がいかに地域の平和と安全を脅かす存在であるかを認識し、それを日本と共有する機会にしてほしい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013060802000125.htmlより、
東京新聞【社説】日仏首脳会談 方向性が違うのでは
2013年6月8日

 安倍晋三首相は、来日したフランスのオランド大統領と日仏首脳会談を行った。原発の第三国への輸出や核燃料サイクル政策で連携することを確認したが、進むべき方向が違うのではないか。
 認識があまりに違うと言わざるを得ない。会談後の共同記者会見で、安倍首相から発せられた言葉に対してである。
 「世界の安全水準を一層高めていく観点から、日本の原子力技術への期待に応えていく」。福島第一原発でレベル7という史上最悪の過酷事故を起こし、いまだ原因も究明できず収束の道筋すら見えていない状況下にあるのにだ。
 首脳会談では、米国に次ぐ世界第二の原発大国であるフランスとの間で、核燃料サイクルの技術開発で連携するとともに、アジアや中東諸国への原発輸出の拡大も目指していくとした。
 安全面で完全に信用が失われ、事実上の破綻状態にある核燃料サイクル政策を、実績のあるフランスの協力を得て維持していこうというのである。
 しかし、中核施設である日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)は、運転停止中のうえ、最近も一万点もの点検漏れが発覚し、原子力規制委員会から運転再開の停止命令を受けたばかりだ。青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理施設も、一九九七年の完成予定だったのに、技術的な問題で操業のめどが立っていない。
 民主党政権では核燃料サイクル政策は抜本的見直しの対象と見切りをつけつつあったが、安倍首相が就任すると「継続して進めていく」との立場に一転した。
 フランスは、発電に占める原発依存度が八割近い原発大国だが、オランド大統領は昨年の大統領選の公約で「二〇二五年までに五割に下げる」と表明。国内原発は実は縮小する方向なのである。それに対し、凄惨(せいさん)な事故も忘れたかのように原発再稼働を急ぐ安倍政権の姿勢は、明らかに異様だ。
 共同声明では福島原発の廃炉や除染の共同研究を進めることで合意したが、それだけで十分ではないか。避難や仮設住宅住まいがなお続く被災者に思いをはせれば何よりもフクシマの収束を優先させ、それ以前の再稼働や原発輸出などあまりに無神経すぎる。
 国際社会からみて、あれだけの事故を起こしつつ、なお原発に固執する政治姿勢がどう映るのか、よく考えてみるべきだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55977780Y3A600C1EA1000/より、
日経新聞 社説 日仏首脳は「共通の目標」を描いたが
2013/6/8付

 安倍晋三首相は来日したフランスのオランド大統領との首脳会談で、原子力や防衛装備などの分野で協力を深めることで合意した。両国が目指すべき共通の目標を共同声明で描き、5カ年の行動計画をまとめた意義は大きい。
 日仏両国が建設的な外交関係を築くための出発点が、ようやく定まったといえる。今後の課題は、列挙された多くの目標を、どう実現していくかである。
 これまでの日仏関係は、必ずしも親密だったとはいえない。今回のような包括的な共同文書を出すのは、実に17年ぶりだ。サルコジ前政権は、アジア地域の連携相手として日本より中国を重視する傾向が強く、日仏外交の歯車は今ひとつ、かみ合っていなかった。
 行動計画は冒頭で、政治・安全保障の対話強化を目標に掲げた。東シナ海の緊張感が高まる中で、国際社会で発言力が強いフランスと、問題意識を共有する意味は極めて大きい。この目標の実現に向けて、まず外務・防衛担当閣僚級協議(2プラス2)の常設化を急ぐべきである。
 経済分野では原子力での日仏企業の協力や、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)の早期締結を掲げた。日本の輸出産業にとって、EUの市場開放は悲願である。貿易自由化の目標に向けて、オランド政権の姿勢が揺らがないことを期待する。
 気になるのは大量の共同文書がやや総花的で、焦点が読みにくい点だ。記者会見での安倍首相とオランド大統領の発言も「普遍的価値の共有」「貿易障壁の撤廃」など抽象的な言葉が目立った。
 安倍政権はEUの中核であるフランスと戦略的な連携を目指すべきだ。そのためには外交会談をきれい事に終わらせず、具体的案件に踏み込む必要がある。仏企業から中国への武器技術供与の中止やEPA交渉の妨げとなる仏自動車業界の保護主義の抑制などだ。
 日仏外交を左右する最大の要素は、フランスの中国との距離感である。オランド大統領は前政権より親日的とされるが、政権が代わっても、フランスにとって中国の市場が日本より重要だという経済の現実は変わらない。
 大統領は日中間の領土問題や、対中通商政策への明確な言及を避けた。中国への配慮だろう。日本が連携相手として欠かせない国であると認識させるのが、外交の知恵の絞りどころである。

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