NPT準備委 日本は賛同せず 吉富裕倫氏

http://mainichi.jp/opinion/news/20130613k0000m070104000c.htmlより、
記者の目:NPT準備委 日本は賛同せず=吉富裕倫
毎日新聞 2013年06月13日 00時35分

 ◇核「不使用声明」に賛成を
「核兵器がいかなる状況下でも、二度と使われないことが人類生存のためになる」

 原爆被害の悲惨さを知っていれば、多くの人は当然のことと思うだろう。だが日本政府は4月下旬、スイス・ジュネーブで開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第2回準備委員会で「いかなる状況下でも」という文言を理由に、この「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に賛同しなかった。国際社会は近年、人道を重視する動きが強まっており、日本は被爆国として賛同すべきだったと主張したい。
 世界には核兵器の廃絶を求める新しい潮流が生まれている。5年に1度開かれるNPT再検討会議は2010年の前回会議で「国際人道法等を順守する必要性を再確認する」などの行動計画を示した。この「人道」という視点に国際赤十字が反応した。「国際人道法の番人」として、国際赤十字・赤新月運動代表者会議は11年11月、核兵器廃絶に取り組む決議を採択した。

 ◇各国赤十字が自国に働きかけ
 それまで赤十字は核兵器廃絶を訴えてはいたが、政治問題とみて抑制的だった。この決議では、「核兵器の適法性に関する各国政府の見解のいかんにかかわらず、再び使用されることがないよう保証する」ことなどを政府に訴えるよう、各国の赤十字に求めた。
 今年3月、核兵器使用の人道上の影響を話し合う国際会議がノルウェーのオスロで開かれた。核兵器使用の人道問題にテーマを絞った政府間会議は初めてで、日本を含む127カ国が参加した。参加国が多かった背景に各国赤十字の働きかけがあったという。日本赤十字社国際政策室の大山啓都(ひろと)主査は「核兵器が使われれば、医療スタッフも被害を受けて救護活動すらできなくなる」と語る。
 ジュネーブの共同声明は、核兵器の非人道性に焦点を当てる議論の延長として南アフリカが呼びかけ、最終的に同国を含む80カ国が賛同した。
 賛同しなかった日本政府に対し、被爆者や被爆地の広島、長崎両市長から批判や失望の声が相次いだ。日本原水爆被害者団体協議会の藤森俊希・事務局次長(69)は、「『いかなる状況下でも』を削除するということは、核兵器を使ってもよい場合があるということになる。被爆者からみればとんでもない」と話す。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130613k0000m070104000c2.htmlより、
 日本政府は高齢の被爆者に「非核特使」を委嘱し、海外で「二度と惨禍を繰り返さないで」とのメッセージを発信してきた。それだけに今回の判断は、被爆者に冷水を浴びせるもののように思える。外務省は「北朝鮮の核開発」を例に挙げ、「日本に核を落としても米国が核を使わない、ということになると抑止がきかなくなる」と、核抑止力論を根拠に賛成しなかった。

 ◇有志国とNGO、非人道性に焦点
 米国はオスロ会議や共同声明について「核のない世界の達成に非現実的な期待を抱かせ、実践的なアプローチから注意をそらす。イランや北朝鮮などのより重大な脅威から焦点を誤った方向へ導く」などと主張し批判的だ。「いかなる状況下でも」という表現が核抑止力を損なうという日本の考えは米国と一致する。
 だが日本と同様に米国の核の傘の下にある北大西洋条約機構(NATO)加盟28カ国のうち、ノルウェー、デンマーク、ルクセンブルク、アイスランドの4カ国は共同声明に賛成した。
 ノルウェーは「共同声明は実際に核兵器が爆発したらどうなるかについてであって、爆発前についてではない。核抑止力の問題は人道上の影響という視点にはあまり関係ない」と指摘し、核抑止力を損なうとの見方を否定した。さらに米国との関係についても「とても良好」と言い切る。
 日本の立ち位置は微妙だった。米国やロシア、中国などNPT体制で核兵器保有を認められている国連安全保障理事会常任理事国5カ国は、いずれも非核保有国が主導するオスロ会議には参加すらしなかった。一方、日本はオスロ会議に参加した。共同声明についても、発表前日になって「いかなる状況下でも」を削除してほしいと要求するなど、ぎりぎりまで悩んだ。
 10年に発効したクラスター爆弾禁止条約のように、21世紀の軍縮は、人道問題で結束した有志国と市民団体(NGO)が大量保有国を包囲し進める流れがある。デンマークは核兵器使用の非人道性に焦点を当てる一連の動きを、停滞する既存の核軍縮交渉を促すアプローチと位置づけた。日本はその流れを進める側に立つべきではないのか。

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