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月別アーカイブ: 7月 2013

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013073090070217.htmlより、
汚染水 打開策なく 福島第一港湾内
2013年7月30日 07時02分

 東京電力福島第一原発で海洋汚染が拡大する恐れが高まっている問題で、汚染源とみられるトレンチ(地下のトンネル)の構造や問題点が見えてきた。ただ、高濃度汚染水がどこにたまっているかなど状況が分かるほどに、あらためて問題の深刻さが浮かび上がる。この問題を打開しなければ、事故収束の道筋は見えてこない。(小野沢健太)

 東電は「海への拡散は限定的」としきりに強調するが、福島第一の専用港内の海水データをみると、ストロンチウムなどの汚染は、ほぼ全ての場所で法令で放出が認められる濃度限度を超えた。取水口近くでは十倍以上の濃度。湾内は除染や覆土などの対策を講じても、かなりの汚染度だ。
 汚染源と確実視されるのは、タービン建屋から地下に縦横無尽に延びるトレンチ。海水をくみ上げる配管や、ポンプを制御するケーブルなどが収められている。事故発生当初の二〇一一年四月に高濃度汚染水が漏れた際も主な漏出源で、取水口近くは薬剤(水ガラス)やコンクリートで止水対策が済んだとされていた。しかし、トレンチ内の汚染水そのものは放置されてきた。
 二年前に漏れたのは約五百二十トンとされるが、トレンチ内には高濃度汚染水がその二十倍以上の約一万千トンはあるとみられる。
 二十七日には、東電が汚染水はたまっていないとしていた浅いトレンチでも、一リットル当たり二三億五〇〇〇万ベクレルの放射性セシウムを含む高濃度汚染水が確認された。トレンチの汚染水量は、増えることが懸念される。
 さらに事態を難しくしているのは、建屋地下からもケーブルのすき間などから汚染水がトレンチに流れ込んでいる恐れが高いこと。東電はトレンチの汚染水をくみ出して建屋に戻すことも検討しているが、こんな状況では解決にならない。
 原子力規制委員会事務局が二十九日に示した分析では、浅いトレンチの砕石層は海抜二・五メートル以下の高さで、そこには地下水が達し、汚染水が拡散したり漏出したりする危険性が高い。
 規制委は、地下水や地層の専門家らでワーキンググループをつくり、汚染水問題に取り組むという。しかし、再度の海洋汚染が確定的になってから。対応の遅れは否めない。(東京新聞)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130729/k10013378251000.htmlより、
トレンチの汚染水抜き取り指示
7月29日 18時52分

福島第一原子力発電所で汚染水が海に流れ出ている問題で、国の原子力規制委員会は、東京電力に対し、海に近い「トレンチ」と呼ばれる地下のトンネルにたまっている汚染水が海に流れ出た可能性を指摘したうえで、トレンチの汚染水を抜き取るよう指示しました。
福島第一原発では、ことし5月以降、海に近い観測用の井戸や港から高い濃度の放射性物質が検出され、東京電力は、今月22日、汚染水が海に流れ出ていることを初めて認めました。
東京電力は、汚染源の1つとみている海に近い「トレンチ」と呼ばれる地下のトンネルにたまっている汚染水を調べた結果、2号機の近くでは極めて高い濃度で検出されました。
国の原子力規制委員会は、29日、専門家も参加した会合を開き、東京電力に対し、汚染水がトレンチから、下に敷かれた砂利の層を通じて海に流れ出た可能性を指摘したうえで、トレンチにたまっている汚染水を抜き取るよう指示しました。
これに対し東京電力は、砂利の層に薬剤を入れて海に流れ出るのを防ぐとともに、ことし9月からトレンチの汚染水をいったん処理をして放射性物質を減らしたうえで、来年4月以降に抜き取る計画を示しました。
ただ、トレンチには、汚染水がタービン建屋などから流れ込んでいるとみられ、その流れを止める技術は完成していないうえ、抜き取ったあとの保管場所も決まっておらず、抜本的な解決のめどは立っていません。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 7月 29 日(月)付
汚染水流出―規制委が陣頭で対応を

 いったい、この2年4カ月あまり、何を学んできたのか。
 福島第一原発で放射性物質に汚染された水が、海にも流出している問題である。東京電力の対応のお粗末ぶりには驚くばかりだ。監督責任がある経済産業省資源エネルギー庁や原子力規制委員会などの当事者意識も、あまりに薄い。
 福島第一原発では原子炉を冷やすため、今も注水が続く。放射性物質と触れて汚染した水の一部が地中に漏れ出ており、海にも達していた。3号機では高線量の正体不明の「湯気」も観測されている。
 放射性物質が大地や海、大気に放出されている現状は、紛れもなく事故の継続である。原子力災害は終わっていない。関係者は事態を深刻に受け止め、緊急時のように対応すべきだ。
 事故・災害対応で最も重要なのは、できるだけ早く正確に状況をつかんで公表すること、事態の全容がわからなくても先を読んで被害の拡大防止を図ることである。
 東電の対応はどうだったか。5月下旬に建屋海側の地中で放射性物質が検出されても、海への流出の可能性を長く認めようとしなかった。海と地下水の関係が焦点になっているのに、井戸の水位が潮位と連動していたという重要な情報が社内で共有されなかった。
 今月18日に海への漏出を東電として確認し、社長も19日に漁協関係者らへの連絡を指示したのに、公表は22日夕の定例記者会見まで遅れた。
 原発事故発生後から指摘された不手際を、なぜこうも繰り返すのだろうか。
 まったく反省してこなかったのか、反省がいかされなかったのか。東電は否定するが、公表が参院選後になったことは、選挙への影響を避けるためだったのではないかと勘ぐられても仕方あるまい。
 東電は柏崎刈羽原発の再稼働をめざしているが、原子力をゆだねられる信頼感はまったくない。論外と言うべきだろう。全社をあげて、環境への放射性物質の漏れを防ぐことに集中する必要がある。
 国の関係機関の事故対応能力も問われている。規制委はこの際、受理した他の電力会社の再稼働の審査を後回しにしてでも、福島の原子力災害対策の陣頭指揮に当たるべきだろう。
 重大事故の際に起きうる汚染水の海への漏出防止策は、施行されたばかりの規制基準で十分なのか。規制委には今回の海の汚染を教訓に、改めてきちんと検討してもらいたい。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130726/k10013319871000.htmlより、
東電の対応に厳しい批判
7月26日 17時40分

福島第一原子力発電所で放射性物質を含む地下水が海に流出している問題などを巡り、東京電力は、リスク管理に甘さがあったことを認める報告書を、外部の専門家で作る社内改革の委員会に提出しました。
流出を認める判断が遅れたことについては、漁業への風評被害を懸念したためで、問題があったとしており、出席した専門家からは厳しい批判を受けました。
東京電力は、ことし3月、安全意識やトラブル対応を見直す社内改革のプランを策定し、原子力の安全規制に詳しい外部の専門家などで作る委員会に改革の取り組みを定期的に報告することにしています。
26日は委員会にこれまでの対応をまとめた報告書が初めて提出されました。
この中で、ことし5月以降、海に近い井戸の地下水や港の海水で、放射性物質の濃度が上昇していることが分かってから、海への流出を認めるまで1か月以上かかったことについて、「風評被害を懸念したため、リスクを積極的に伝える姿勢より、最終的な根拠となるデータが出るまで判断を保留することが優先された」と情報公開の姿勢に問題があったとしています。
また、原因の1つと指摘されている地下のトンネル内の汚染水については、事故直後から把握していたにもかかわらず、「具体的な対策検討が不十分だった」として、リスクを放置していたことを認めています。
そのうえで、経営層全体のリスク管理の甘さや会社の考え方と社会との間にずれがあったとして、「不安や懸念を生む場合でもリスクの公表を優先する」よう対応を改善する方針を示しました。
記者会見で東京電力の廣瀬社長は、「リスクを社会に伝える取り組みを進めているが、全く不十分で大変申し訳ない。事故の教訓を生かした対応ができておらず、安全文化も変わったとは言えない状況で、痛恨の極みだ」と述べ、陳謝しました。
アメリカの原発の規制当局のトップを務めたことがある委員会のデイル・クライン委員長は、「非常に落胆した。廃炉に向け多くの作業員が必死に対応に当たっているが、会社全体の広報のまずさがその努力をないがしろにしている」と東京電力の姿勢を厳しく批判したうえで、安全文化が根づくよう実効性を伴う改革を求めました。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013072502000123.htmlより、
東京新聞【社説】原発汚染水海へ なぜ発表は遅れたか
2013年7月25日

 汚染水はやっぱり海へ漏れていた。一カ月余、東電はなぜそれを認めなかったのか。発表はどうして遅れたか。漁師は怒る。あなた方は誰のために、どこを見ながら、事故の収束を図るのか、と。
 このタイミングは、何だろう。
 福島第一原発海側の観測井戸では五月以降、放射性物質の濃度が上がっていたという。今月に入ると、それが目立って高まった。港湾の海水からも高濃度の放射性トリチウムが見つかった。
 十日には、原子力規制委員会が「高濃度の汚染水が地中に漏れ出し、海へ広がっていることが強く疑われる」と指摘した。
 一方、東電は「データの蓄積がない」として、海洋への流出を認めず、具体的なコメントも避けてきた。ところが二十二日になって突然、汚染水が原発建屋の地下から海に漏れ出していることを初めて認めた。海の潮位が変わったり、雨が降ったりするのに合わせて、井戸の潮位が上下する。従って原発敷地内と海との間に水の行き来があると判断したという。毎日観察していれば、小学生にも思いつくことだろう。
 ではなぜ、これほど発表が遅れたのだろうか。
 二十二日といえば、参院選投開票日の翌日である。自民だけが、原発再稼働に前のめり、他党はすべて脱原発か、脱原発依存を掲げて戦う最大級の争点だった。
 海洋流出が明らかになれば、原発の大きなイメージダウンになり、選挙の結果にも影響し、その分再稼働が遠ざかるから-。東電は否定しているが、これまでの姿勢を見れば、このように疑われても、仕方がない。
 それにしても東電は、いったいどちらを向いて事故収拾に当たっているのだろう。
 不信が募れば募るほど、周辺の漁業に対する風評被害を助長してしまうのではないか。試験操業のデータを積み上げながら、漁が再開できる日を心待ちにしている地元漁民の思いを、誠実に受け止めてきたのだろうか。
 規制委は十八日に、東電から報告を受けていたという。原発規制に対する国民の信頼を高めるためにも、その時点で東電に公表を促すか、規制委として公表すべきではなかったか。
 今度のケースを教訓に、安全配慮の深さ、情報開示の迅速さなども、再稼働の判断基準にすべきではないか。規制委自身、安全文化の必要性を語っているのだから。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO57683210U3A720C1EA1000/より、
日経新聞 社説 汚染水対策は破綻寸前だ
2013/7/24付

 福島第1原子力発電所の敷地内から高濃度の汚染水が海に流出していることが明らかになった。
 流出がわずかだとしても海の汚染が今なお続く事実は重い。東京電力が状況把握に手間取り、海洋流出を否定し続けたため、漁業者らは東電への不信を一段と強めた。極めて憂慮すべき事態だ。
 東電はタンクにたまり続ける汚染水の処置に苦慮し、放射性物質をほとんど除去した処理済みの水を海に流そうと福島県や関連漁協などに理解を求めようとしていた。実現すれば汚染水を減らす切り札になり得たが、今回の事態で見通しがつかなくなった。
 汚染水流出を止めるため、東電は岸壁近くの地盤に薬液を注入し水を通しにくくする。また流出源である疑いが濃い、原子炉建屋周辺のトレンチ(坑道)から汚染水を抜く計画だ。いずれも流出抑制に一定の効果が期待できるが、とりあえずの対症療法にすぎない。
 汚染水の発生を減らす抜本策を講じないと、増え続ける汚染水のせいで福島原発の収束作業が滞る事態が予想される。このことは今年4月に地下貯水槽からの低濃度汚染水の漏れが判明した時から指摘されてきた。
 東電の汚染水対策は破綻にひんしていると政府は認識すべきだ。もはや東電だけでは手に負えなくなりつつある。政府が一歩前へ出て世界の知恵を集め、長期的な展望にたった対策を考えて実行に移していく必要がある。
 汚染水流出で水産物の風評被害の再燃が懸念される。福島県の漁業者は昨年6月、タコ類など放射能の影響がきわめて少ないものから試験操業を始めた。現在は対象魚種を広げ、本格的な操業再開に向けて努力を続けている。
 福島県外の市場でも、水揚げした水産物の放射能を調べて消費者の信頼回復に取り組んできた。新たな汚染水流出は水産業の復興をめざす関係者の努力を台無しにしかねない。海の汚染状況の把握に政府と東電はもっと力を入れ、風評の払拭にも努めるべきだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130724k0000m070122000c.htmlより、
社説:汚染水海へ流出 東電は当事者能力欠く
毎日新聞 2013年07月24日 02時30分

 東京電力福島第1原発の敷地内から海へ、放射性物質を含む地下水が流出していることを東電が認めた。「沖合の影響はない」というが、新たな風評被害を招きかねない状況だ。国と地元自治体、東電の3者で周辺海域も含めたモニタリング体制を強化し、正確な情報を公開していくべきだ。東電も沿岸部への遮水壁建設や地盤改良などの対策を急ぐ必要がある。
 東電は、同原発の敷地海側にある観測井戸の水位が潮位に従って変動したことなどから、地下水と海水の「行き来」があると判断した。漏れている放射性物質は主にトリチウム(三重水素)で、汚染源は海側地下に設置した配管用トンネル内に残る汚染水とみられるという。
 東電の発表は22日だったが、6月3日には井戸で高濃度汚染水が確認され、それ以後、海水の放射性物質の濃度上昇や井戸からの高濃度放射性物質の検出が相次いだ。原子力規制委員会も「海洋拡散を強く疑う」と指摘した。それでも東電は「2011年4月に2号機取水口付近で汚染水が漏れた際、一部が地中に残留していた」ことが原因との立場を取り続けた。
 今年4月に起きた地下貯水槽からの汚染水漏れでも規制委への報告が遅れるなど、東電は測定データの変動などを甘く見て、対応が後手に回る事態を繰り返してきた。隠蔽(いんぺい)体質は変わっておらず、当事者能力を欠くと言わざるを得ない。
 分析データの一部は18日、規制委に報告されている。21日投開票の参院選への影響を考慮し、公表を遅らせたのではないか。東電は否定するが、そんな疑問も浮かんでくる。
 2年前の事故直後の汚染水海洋放出で日本は各国から批判を浴びた。規制委は近く作業部会を設置して今回の原因究明を急ぐ方針だ。汚染水の流出量や具体的な流出経路など分かっていないことは多い。流出の全体像を把握し、リスクをきちんと評価して、対策に生かしてほしい。
 汚染水の流出を抑えこんでも、現行の汚染水処理計画は破綻寸前だ。
 福島第1原発では、地下水の流入で汚染水が毎日約400トンずつ増え続けている。流入前の地下水を海に放出する計画は地元漁協の理解を得られていない。地中の土を凍らせて壁を作り流入を防ぐ「凍土遮水壁(地下ダム)」の完成は15年度の見通しだ。
 政府は廃炉の工程表作りにはかかわっているが、現場作業には直接手を下していない。汚染水対策は廃炉に向けた当面の最重要課題だ。地元への説明や予算措置も含めて政府がもう一歩前に出て、できうる限りの対策に取り組んでいくことが、求められている。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130723ddm003040216000c.htmlより、
クローズアップ2013:汚染水海洋漏れ 信頼に固執、信頼失う
毎日新聞 2013年07月23日 東京朝刊

 東京電力が22日、福島第1原発の敷地から海へ今も汚染水が漏出し続けていることをようやく認めた。6月に海側の井戸で高濃度の放射性物質の検出が明らかになって以降、原子力規制委員会などが海洋拡散への疑念を示していたが、東電は1カ月以上明言してこなかった。発生から2年4カ月が過ぎても、事故は収束していない。

 ◇地元漁協に「配慮」、確認怠る
 最初に既設井戸から高濃度汚染水が見つかったのは6月3日。それ以降、海水の濃度上昇や新設井戸から高濃度の放射性物質が連続して検出され、何度も流出を疑わせた。だが、東電は原因として、「事故直後の2011年4月に2号機取水口付近で汚染水が漏れた際、一部が地中に残留していた。環境への有意な影響は見られない」との見解を示した。東電が1カ月半も流出を認めなかった背景には、地元との関係がある。
 汚染水は、破損した建屋に地下水が流入することで1日400トンずつ増え続け、今月16日現在、1〜4号機の建屋には約7万5000トンたまっている。東電は増加対策として汚染前の地下水を海に放出して、建屋への地下水の流入量を減らすことを計画した。しかし地下水から微量の放射性物質が検出され、水産資源への風評被害を懸念する地元漁協の理解を得られず計画は頓挫。流出を認めることで、さらに漁協の信頼を失いかねない状況だった。
 だが、原子力規制委員会は今年7月、「海洋拡散が強く疑われる」と指摘。田中俊一委員長は「海洋汚染は大なり小なり続いている」と述べ、建屋から地中へ漏れた汚染水が地下水と混ざり、海側へ流れている可能性を示唆した。22日になって、東電は、埋もれていた海近くの井戸の水位と海水位のデータの分析結果を発表。これまでの見解を翻した。データ自体は18日に規制委に報告された。
 公益事業に詳しい安部誠治・関西大教授は「今回の対応は、最優先で回復しなければならない信頼を損ねる行為で極めて問題だ。地域独占が続いていることで、社会の要請と自社の論理がかけ離れていることに、今も気づいていないのではないか」と指摘する。
 「現場で作業するのは東電だ」(経済産業省幹部)。廃炉に向け、国は工程表のとりまとめには関わっているものの、現場作業に直接手を下すことはなかった。東電が風評被害を懸念する地元と政府の間で、具体的な対応を取らないまま、今回の事態を迎えた。【鳥井真平、藤野基文】

 ◇トレンチの水、流出か
http://mainichi.jp/opinion/news/20130723ddm003040216000c2.htmlより、
 汚染水は、炉心を冷やすために使われている水が汚染され、原子炉建屋やタービン建屋にたまり、建屋につながるトレンチ(地下の配管用トンネル)に流れ出した。そのうえ、雨水や地下水が建屋などに流入している。東電はトレンチ内にたまった高濃度汚染水が今回の流出元とみている。尾野昌之原子力・立地本部長代理は22日の記者会見で「トレンチと建屋の間を遮断した後、来年度にもトレンチの中に残る汚染水を吸い取りたい」と語った。
 原子力規制委員会は外部の専門家を含めた作業部会を設置し、今後、流出経路の特定や原因究明を急ぐ。田辺文也・元日本原子力研究開発機構上級研究主席は「建屋内の温度などは異常値を示していないので、新たな事態が起きているとは考えにくい。建屋の汚染水が何らかの理由で流出したと考えるのが自然だ」と指摘する。ただし、トレンチの汚染水を減らしたとしても抜本的な解決にならない。
 現在、汚染水から62種類の放射性物質を取り除く能力がある浄化装置「アルプス」を導入。試運転を始めているが、トリチウムが残ってしまうため、地上タンクに保管している。タンクは80万トンまで増設する方針が決まっているが、2、3年後には限界に達するとみられる。海洋流出が明らかになったことで、現行の汚染水処理計画は破綻寸前になり、廃炉工程表に盛り込まれた汚染水処理対策への影響も懸念される。
 政府の汚染水処理対策委員会は5月末、「凍土遮水壁(地下ダム)」を建設し汚染水を減らす対策を提案する方針を決めた。対策委員長の大西有三・京都大名誉教授は「汚染水を放っておくことはできない。とにかく早く対策を講じる必要がある」と指摘してきたが、完成は2015年度中で間に合わなかった。東電が現在、沿岸部に別の遮水壁を建設したり、地中の土を水あめ状の水ガラスで固める地盤改良を進めたりしているが、その場しのぎの対策にすぎない。大西名誉教授は「東電が率先して対策を講じるのは当然だが3者で議論すべきだ」と提言する。
 水口憲哉・東京海洋大名誉教授(資源維持論)は「流れ出た放射性物質は、まず近くの海底のヘドロなどにたまり、そこから徐々に溶け出していく。漏れてしまったものは、どうすることもできない。魚の汚染濃度を調べ続け、汚染された魚を食べないようにしていくしかない」と懸念している。【岡田英、奥山智己】

 ◇東電が県に謝罪
http://mainichi.jp/opinion/news/20130723ddm003040216000c3.htmlより、
 東電の高橋毅・福島第1安定化センター所長は22日夜、急きょ、福島県庁の長谷川哲也・生活環境部長らを訪れ、漏えいの事実を認めたうえで「ご心配をかけて申し訳ない。さらなる海への漏えいの対策を進める」と謝罪した。同席した東電の担当者から説明を受けた長谷川部長は「海への漏えい防止措置をしっかりとってもらいたい。原因の特定もだ」と強い口調で申し入れた。【神保圭作】

 ◇福島第1原発の汚染水の海洋流出を巡る主な経緯
2011年
4月 2日 2号機取水口付近から高濃度汚染水の海洋流出が判明
   4日 東電が低濃度汚染水を海に放出
5月11日 3号機取水口付近から高濃度汚染水の海洋流出が判明

2013年
6月 3日 2号機東側の既設井戸から50万ベクレルのトリチウム、1000ベクレルのストロンチウム90を検出
  24日 井戸近くの海水でトリチウム濃度上昇が発覚
  29日 海側新設井戸で既設井戸の濃度の2倍以上の放射性物質検出
7月 2日 海側新設井戸からストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質4300ベクレルを検出
   5日 南側新設井戸からストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質90万ベクレルを検出
   7日 海側新設井戸から60万ベクレルのトリチウムを検出
   8日 汚染水の海洋漏えい防止のため地盤改良に着工
   9日 南側新設井戸から、9000ベクレルのセシウム134、1万8000ベクレルのセシウム137を検出
  10日 セシウム134が1万1000ベクレル、セシウム137が2万2000ベクレルに上昇。原子力規制委が「海洋拡散が強く疑われる」と見解
  22日 東電が海洋流出を認める
※放射性物質濃度はすべて1リットル当たり

 ■ことば
 ◇ストロンチウム
 体内に入ると骨に蓄積しやすく、骨のがんや白血病の原因になる恐れがある。ストロンチウム90は半減期が約30年で、長期間放射線を出し続ける。福島第1原発事故後、福島県の土壌や海洋などから検出された。
 ◇トリチウム
 放射線を出す水素の同位体で、半減期は約12年。三重水素とも呼ばれる。自然界では水蒸気や雨水などに含まれる。放射線は非常に弱く、体の内部まで入らず、口などから体に取り込まれた場合でも尿とともに排出される。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130723k0000m070122000c.htmlより、
社説:原発と民意 推進への信任ではない
毎日新聞 2013年07月23日 02時30分

 自民党の圧勝で、原発推進にお墨付きが与えられたと考える人がいるかもしれないが、誤りだ。
 確かに、選挙公約で「原発ゼロ」を掲げなかったのは自民党だけだった。新規制基準をクリアした原発の再稼働を進め、地元自治体の理解が得られるよう最大限努力するという内容だ。
 しかし、これまでの世論調査を見れば原発に頼らない社会を望む人が多いことは間違いない。選挙前の毎日新聞の世論調査でも、新規制基準を満たした原発について、「再稼働させるべきだと思わない」と答えた人が過半数に上った。
 「原発ゼロ」「脱依存」を望む人の受け皿となるべき野党が分散したのに加え、自民党がエネルギー政策の全体像を語らなかったために、原発を巡る与野党の論争は深まらなかった。結果的に民意が集約されなかったが、東京選挙区で「脱原発」を掲げた共産党新人の吉良佳子さんや、無所属新人の山本太郎さんが当選したのは、原発ゼロを重視した人々が少なくなかったことの表れと考えられる。
 しかも、自民党自体が「原発推進」を掲げているわけではない。安倍晋三首相は選挙期間中も、「原発依存度を下げたい」と述べている。連立を組む公明党も、「原発ゼロ」を掲げる。
 だとすれば、これからの自民党に求められるのは、エネルギー政策の全体像を描いた上で、原発依存度をどう低下させていくのか、道筋を示すことだ。その中で、核燃料サイクルや核のゴミ処分の方針も決める必要がある。
 ひとつのきっかけは、年末にまとめる予定の「エネルギー基本計画」だ。ところが、安倍政権は「3年間で再生可能エネルギーを最大限導入し、10年以内に原発比率を含めたベストミックスを示す」という姿勢を崩していない。
 10年もたってから示すとすれば、それは「計画」でも「政策」でもなく、「結果」に過ぎない。まず、原発の将来的なビジョンを明らかにした上で、それにあわせて他のエネルギーの目標を示すのが筋だ。
 そうしなければ、再生可能エネルギーや高効率火力、省エネに対する意欲が鈍る。「電力自由化」や「発送電分離」などのエネルギー・電力改革も進まない。これまでの原発推進政策を転換するには、一定の期間、負担が増えることを国民に納得してもらうことも必要だ。
 当然のことながら、再稼働に前のめりになり、原子力規制委員会の判断に介入することは許されない。再稼働は一定のリスクと隣り合わせであることも忘れないでほしい。

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http://mainichi.jp/area/news/20130729ddf012070016000c.htmlより、
今、平和を語る:広島原爆被爆者援護事業団理事長・鎌田七男さん
毎日新聞 2013年07月29日 大阪夕刊

 ◇被爆者に学んだ核の脅威 遺伝子傷つけ重複がん誘発
 被爆者として戦後を生き抜き、原爆の惨を身をもって示してきた人たちの高齢化が進んでいる。今、被爆者に何が起きているのか。被爆68年の夏を前に広島原爆被爆者援護事業団理事長で、広島大原爆放射能医学研究所(現原爆放射線医科学研究所)の所長を務めた鎌田七男さん(76)に聞いた。

−−在宅が困難な被爆者を支援する特別養護施設が広島市内に4施設あり、600人が入居されています。その中の3施設(500人)を運営しているのが公益財団法人の原爆被爆者援護事業団です。まず、被爆者の実情からお聞かせください。
 鎌田 私が園長をしている特別養護ホーム「倉掛のぞみ園」には300人が入居しています。女性が男性の4倍以上で、平均年齢は87・2歳です。100歳代の方は9人で、いずれも女性です。長寿者がおられるのは、健康チェックが徹底されているからではないでしょうか。ただし、1人当たり平均して11種類の病気を抱えています。半数が認知症です。その4分の1が中等から軽症の認知症で、寝たきり状態の方が15%を占めます。平和学習で来園される児童や生徒に被爆体験を話せる人は、残念ながら10人ほどになりました。

−−被爆者特有の症状はありますか。
 鎌田 高齢化に伴い、被爆時に浴びた放射線の影響と思われる重複がんが、ホームの入居者にも見られます。

−−被爆者の重複がんについては、放射線障害を科学的に解説した平和学習教材「広島のおばあちゃん」(シフトプロジェクト)で著者として、「おばあちゃん」にこう語らせています。
http://mainichi.jp/area/news/20130729ddf012070016000c2.htmlより、
 <「がん」はね、まず1つ目の遺伝子が狂って、2つ目、3つ目の遺伝子も狂って6つ目とか7つ目の遺伝子も異常になった頃に「がん」が出来てくると考えられているんよ(大腸がんでは7つ目で「がん化」するといわれています)。被爆者の場合は、いろんな身体の部分(器官)に被爆し、一度にいくつもの遺伝子に放射線で傷つけられているから、「がん化」への素地(5つ目や6つ目の異常)がすでにできており、それに「がん」を起こしやすい物質(たとえば、たばこの中のタール)や「がん」の治療薬(遺伝子に傷をつける薬もある)がからだに入ると、普通の人より早めに、いろんな場所に「がん」を作ってくるようになると考えられているんよ。からだに3つも「がん」ができるなんて、かわいそうだよね。だから、核戦争は絶対にしてはいけないのよね〜>
 鎌田 爆心地から500メートル以内で被爆されて、奇跡的に助かった78人の被爆者を血液学の医師として、40年にわたってフォローしています。健康な被爆者であっても強い放射線を浴びた人は、染色体の異常を示す細胞の数が多いことなどが分かりました。この78人のなかに、四つのがんと闘っている女性がいます。彼女は11歳のときに、爆心地から430メートルの小学校で被爆しました。51歳で甲状腺がん、62歳で大腸がん、67歳で髄膜腫、72歳で神経鞘腫(しょうしゅ)を発症したのです。また、ずっと健康でこられた女性が2005年に大腸がんになり、1年もしないうちに肺がんになったというケースもあります。
 普通はがんにかかると、転移がないように気をつけます。しかし被爆者の場合、転移ではなく新たながんが出てくることがあるのです。全身被爆されていたら、どこにがんが発症してもおかしくない状況にあります。

−−被爆者は生涯にわたり苦しめられます。
http://mainichi.jp/area/news/20130729ddf012070016000c3.htmlより、
 鎌田 直接、放射線を浴びなくても、残留放射線による染色体の異常も見られました。被爆直後に広島市内に入った入市被爆者がそうで、白血病が普通の人より3・4倍の高率で発症しているのです。アメリカがネバダの砂漠で核実験をしたデータではわからなかった残留放射線の影響とみられます。砂漠とちがって広島市内では人々が生活をしており、そこには生活道具としての金属がたくさんありました。これらが原爆で放出された中性子により放射化されたのです。だから入市被爆者にも脱毛があったし、染色体の異常も確認することができるのです。

−−厚生労働省は08年になって残留放射線の影響を認め、これまで却下してきた入市被爆者を原爆症と認定するようになりました。長い期間、被爆者を診てこられた科学的なデータが突きつけた真実の成果です。
 鎌田 これだけ時間がかかったのは、私たち科学者が努力をしてこなかったからです。無念の思いを抱えて多くの被爆者が亡くなりました。被爆者は私に多くのことを教えてくれた教育者です。
 一方で、被爆者と染色体の異常に関する論文を発表するまでには、5年間の葛藤期間がありました。被爆者に不安を与えないかと悩みましたが、広島の科学者として事実を示しておくことは大切だと思いました。

−−原爆については。
 鎌田 核兵器は非人道的な兵器です。被爆者を診てきた私は、3度使われることがあってはならないと思っています。だから、核兵器の恐ろしさを訴え、核廃絶に向けて力を注ぎたい。

−−次世代による被爆の継承が課題になっています。広島市は昨年から「被爆体験伝承者」の研修を始め、鎌田さんは「原爆の人体への影響」を2時間にわたって今年も話されました。被爆の実相を伝えていくうえでの心構えは。
 鎌田 被爆者を自分の身に置きかえて、私がそうだったならばと考えることではないでしょうか。講演で私が提示した科学的なデータを、「そうなんだよな」と理解して記憶するだけではいけません。たとえば腕にケロイドができたため、真夏でも長袖のシャツを着て腕を隠した被爆者に自身を重ねることができて初めて、被爆体験を受け継ぐ伝承者になれると思います。<聞き手・専門編集委員 広岩近広>

 ■人物略歴
 ◇かまだ・ななお
http://mainichi.jp/area/news/20130729ddf012070016000c4.htmlより、
 1937年鹿児島県生まれ。61年に広島大医学部卒業、同大原爆放射能医学研究所の助教授、教授を経て、97年から退官する99年まで所長を務める。広島大名誉教授。2001年から現職に就き、核戦争防止国際医師会議日本支部理事としても活動している。02年に永井隆平和記念・長崎賞、09年に日本対がん協会賞、13年にNHK放送文化賞を受賞。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20130729-00000773-fnn-polより、
参院選でねじれ国会解消「よかった」7割近く FNN世論調査
フジテレビ系(FNN) 7月29日(月)12時29分配信

FNNが、この週末に行った世論調査で、今回の参議院選挙の結果、「ねじれ国会」が解消したことを「よかった」と答えた人が、7割近くにのぼった。一方で、自民党が大勝したのは、「自民党が評価されているからではない」との世論も浮き彫りになっている。
28日までの2日間、全国の有権者1,000人から回答を得た電話調査によると、安倍内閣の支持率は、57.8%(1.7ポイント増)と、参議院選挙前の高い水準を維持し、「支持しない」は、28.7%(3.5ポイント増)だった。
今回の選挙結果に「満足している」人は過半数で(53.7%)、「満足していない」のおよそ4割(39.7%)を上回った。
ねじれ国会の解消をよかったと「思う」人は、ほぼ7割にのぼり(68.2%)、同じように、7割近い人が、今後も、ねじれ状態を避けるべきだと「思う」と答えた(66.1%)。
憲法改正に前向きな政党が、3分の2以上を得ることが望ましかったと「思う」人は半数にのぼり(49.9%)、「思わない」(36.1%)を上回った。
ただ、自民党が大勝した理由については、「自民党が評価されているから」とした人は2割にも満たず(19.4%)、8割近い人が、「野党に魅力がないから」と答えた(76.7%)。
民主党が政権政党に復活することを望む人は、わずか2割台で(24.6%)、7割近い人が、民主党の復活を「望まない」と答えている(67.3%)。
一方で、政権交代可能な野党の存在については、7割以上の人が「必要」だと答えており(72.2%)、野党の再編が必要だと「思う」人は、8割近くにのぼっている(77.7%)。
次の衆議院選挙で、与党と野党のどちらに勝たせたいか尋ねたところ、引き続き「与党」に勝たせたいとした人が半数を超え(53.1%)、「野党」と答えた人の数(34.4%)を大きく上回っている。
最終更新:7月29日(月)12時29分

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130729/stt13072911450002-n1.htmより、
解禁ネット選挙「投票の参考」わずか3% ねじれ解消「良かった」7割
2013.7.29 11:44 (1/2ページ)

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が27、28両日に実施した合同世論調査で、先の参院選の投票で最も参考にした情報源について「候補者や政党のインターネット上の発信」を挙げた回答がわずか3.1%にとどまった。ネットを使った選挙運動が解禁されたのにもかかわらず、新聞(24.0%)やテレビ(28.8%)と比べ候補者を選ぶ判断材料として活用されなかった実態が浮き彫りとなった。
 一方、与党が過半数を占め、衆参両院で多数派が異なる「ねじれ状態」が解消したことについては「良かった」と68.2%が回答。「決められない政治」からの脱却を歓迎する声が強まった。
 参院選で自民党が大勝した理由について、76.7%が「野党に魅力がないから」とする一方、「自民党が評価されているから」との回答は19.4%にとどまった。
 政権交代可能な野党の在り方については、「必要だ」と答えたのは72.2%だった。ただ、民主党が再び政権を担うことには67.3%が「望まない」とし、「望む」(24.6%)を大幅に上回った。今後の野党再編に関して「必要だ」としたのは77.7%で、民主党に代わる新たな野党勢力を望む声が大きかった。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130729/stt13072911450002-n2.htmより、
2013.7.29 11:44 (2/2ページ)
 参院選東京選挙区で民主党公認候補ではなく、無所属候補を支援した菅直人元首相について、「除名処分にすべきだ」としたのが5割に達し、「すべきではない」(37.2%)を上回った。日本維新の会が議席を伸ばせなかったことについては、77.4%が「橋下徹共同代表の言動が影響した」と答えた。
 また、安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」については、61.2%が「期待している」としたものの、83.2%は「景気回復を実感していない」と答えた。さらに、来年4月に予定される消費税率引き上げについて、55.8%が「そうすべきではない」とした。
 安倍内閣の支持率は57.8%で、前回調査(7月13、14日)から1.7ポイント持ち直したが、不支持率は28.7%で3.5ポイント上昇した。自民党支持率は3.0ポイント増、42.7%だった。政党支持率2位の維新の会(8.0%)との差は開くばかりで、自民党台頭の傾向がさらに強まった。

≪再掲≫
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130716/stt13071615310002-n1.htmより、
ネット情報「参考」3割どまり 解禁後に下落
2013.7.16 15:30 (1/2ページ)

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が13、14両日に実施した合同世論調査で、インターネットを使った選挙運動の解禁に伴い、参院選の投票でネット上の情報を「参考にする」との回答が31・0%にとどまり、「参考にしない」の65・1%を大きく下回った。参考にする人は参院選公示前の前回調査(6月22、23両日)から6・0ポイント減り、実際の選挙戦で情報が活用されていない実態が明らかになった。
 年代別にみると、20代だけは「参考にする」が55・0%と過半数に達した。60代以上は「参考にする」の14・2%に対し、「しない」が78・5%に上った。
 また、電話による合同世論調査にあわせ、産経新聞社が前回に続き行ったインターネット調査では、7月4日の公示後に参院選に関する情報をネットで見た人は15・4%にとどまった。
 どのサイトを見たかを複数回答で尋ねたところ、政党や候補者のホームページが60・0%で最も高く、政党や候補者が積極的に活用するツイッターは16・5%。応援する政党、候補者のサイトへの書き込みも3・9%で、ネットユーザーでさえネット選挙の活用に消極的な姿が浮かぶ。
 情報をネットで発信する側も、政策よりも演説会の告知などにネットを活用する政党や候補者が多い。ネットと世論の関係に詳しい静岡大情報学部の佐藤哲也准教授は「ネット選挙解禁前は、ネット上の政策論争への期待があった。だが、選挙期間に入ると候補者の告知が中心で、有権者が求める情報を出していないと思った人が多いのではないか」と指摘している。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130716/stt13071615310002-n2.htmより、
2013.7.16 15:30 (2/2ページ)
 安倍晋三内閣の支持率は4・6ポイント減の56・1%で、4カ月連続で下がった。50%台は昨年12月の首相就任直後(55・0%)以来。不支持率は25・2%(前回比0・9ポイント増)だった。
 ネット調査の内閣支持率は39・9%(7・5ポイント減)、不支持率は22・8%(0・8ポイント増)だった。ネット調査では、あらかじめ選択肢に含めた「分からない」が高くなる傾向があり、今回は37・2%(6・6ポイント増)だった。

http://mainichi.jp/select/news/20130729k0000m010073000c.htmlより、
本社世論調査:集団的自衛権「行使容認に反対」51%
毎日新聞 2013年(最終更新 07月29日 00時20分)

 ◇「景気優先を」35%
 毎日新聞は27、28両日に全国世論調査を実施した。現在は憲法解釈上行使できないとされる集団的自衛権について、行使できるようにした方がいいと「思わない」とした人が51%に達し、「思う」の36%を大きく上回った。一方で、安倍晋三首相に一番に取り組んでほしい国内の課題は「景気回復」が35%と最多で、首相がこだわる「憲法改正」は3%にとどまった。首相は改憲や集団的自衛権の行使容認など保守色の強い政策に意欲を示しているが、世論の関心は経済に集中している。
 集団的自衛権は、自国と密接な関係にある国が攻撃を受けた場合、自国に対する攻撃とみなして実力で阻止する権利。首相は27日、外遊先のマニラで行った記者会見でも「集団的自衛権の行使に関する検討を進めていく」と改めて意欲を示している。
 調査では、集団的自衛権を行使できるようにした方がいいと「思う」と答えた人は、自民支持層でも43%にとどまり、「思わない」の45%と拮抗(きっこう)した。連立政権を組む公明支持層では「思わない」が45%と「思う」の35%を上回った。
 憲法9条については、「改正して、自衛隊の役割や限界を明記すべきだ」が36%、「改正して、自衛隊を他国同様の『国防軍』にすべきだ」が20%と、双方を合計した「改正派」が56%に達し、「改正に反対」の34%を上回った。
 ただ、改正派の中では「国防軍」よりも「自衛隊の役割や限界の明記」への支持が多い。集団的自衛権の行使容認に反対が多いこととあわせ、自衛隊の存在を認めつつ、役割拡大には慎重な世論がうかがえる。「国防軍」は自民党が憲法改正草案で掲げ、「役割の明記」は公明党が言及しており、連立与党内での議論にも影響しそうだ。
 首相に取り組んでほしい政策は「景気回復」に続き、「社会保障」(16%)、「財政再建」(14%)、「東日本大震災からの復興」(13%)、「原発・エネルギー政策」(10%)などの順。「教育」(5%)や「憲法改正」は少数だった。
 開催の見通しが立っていない中国、韓国との首脳会談については「早期の会談を目指すべきだ」が47%と、「こだわる必要はない」の45%とほぼ並んだ。

http://mainichi.jp/select/news/20130729k0000m010073000c2.htmlより、
 内閣支持率は55%、不支持率は25%で、ともに前回調査と同率だった。政党支持率は自民党35%、民主党は5%、日本維新の会が7%、公明党は5%、みんなの党は4%で、自民の「1強状態」が続いている。【小山由宇】

http://mainichi.jp/select/news/20130729k0000m010075000c.htmlより、
本社世論調査:消費増税に抵抗強く 「予定通りに」26%
毎日新聞 2013年07月29日 00時17分

 毎日新聞が27、28日行った全国世論調査で、来年4月に予定される消費税率の8%への引き上げについて尋ねたところ、「予定通りに引き上げるべきだ」は26%で、「引き上げるべきだが、時期は先送りすべきだ」(36%)、「現在の5%を維持すべきだ」(35%)をともに下回った。安倍晋三首相は秋に最終決断する方針だが、抵抗感は依然として強い。
 安倍政権の支持層でも「予定通り」は30%にとどまる。「先送り」は42%、「5%維持」は25%で、延期・凍結派を合計すれば賛成派の2倍を上回った。不支持層では「予定通り」24%▽「先送り」27%▽「5%維持」46%で、延期・凍結派が賛成派の約3倍に達した。
 これに関連し、菅義偉官房長官は28日のフジテレビの番組で「9月に4〜6月期の国内総生産(GDP)速報値の改定値が発表される。秋の臨時国会の前までに首相が判断する」と語り、臨時国会前に最終判断する考えを示した。「安易に決めるのではなく、ありとあらゆる指標や可能性を示した方がいい」とも指摘。景気失速を招いたと指摘される橋本政権下(1997年)の税率5%への引き上げを検証し、必要な対策を検討する考えを示した。
 一方、参院選で大きく議席を減らした民主党について「再建を期待するか」どうかを聞いたところ、「期待する」は26%で、「期待しない」の66%を大きく下回った。党運営の混乱が続く同党への有権者の視線は依然厳しい。【竹島一登】

http://mainichi.jp/select/news/20130729k0000m010077000c.htmlより、
本社世論調査:消費税の軽減税率賛成68%
毎日新聞 2013年07月29日 00時21分

 毎日新聞の27、28日の全国世論調査で、消費税を引き上げる際に、食料品など生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率を導入することへの賛否を聞いたところ、賛成は68%で、反対の25%を大きく上回った。
 安倍内閣の支持層では賛成が72%、不支持層でも69%に上った。政党支持別では自民、民主、日本維新の会など主要各党の支持層で賛成が7割台に達した。賛成は、同様の質問をした昨年7月の81%より減ったが、来年4月に予定されている税率8%へ引き上げる際の導入が見送られたためとみられる。
 自公両党は軽減税率の調査委員会を設け、対象品目や導入に向けた課題を検討している。公明党は年末の2014年度税制改正大綱の決定に合わせて結論を出す考え。【竹島一登】

≪再掲≫
http://mainichi.jp/select/news/20130715k0000m010047000c.htmlより、
毎日世論調査:参院比例投票先、自民減少37%
毎日新聞 2013年(最終更新 07月14日 22時18分)

 21日投開票の参院選を控え、毎日新聞は13、14の両日、全国世論調査を実施した。参院比例代表の投票先を聞いたところ、自民党が37%とトップで、公明党、日本維新の会、みんなの党が各8%で続いた。自民党の「1強」状態が続くが、自民は6月の前回調査と比べ8ポイント減少した。安倍内閣の支持率は55%で、前回から5ポイント減。ただ参院での自公過半数を望む声は前回に続いて半数を超えた。

 ◇安倍内閣支持率は55%
 参院の比例投票先は、自公の与党で45%(前回は51%)となった。維新の会は前回(5%)から3ポイント増加し、橋下徹共同代表の慰安婦発言による落ち込みがやや回復した。民主党は7%、共産党は4%。前回同様、男女ともすべての年齢層で、自民党を投票先として挙げた人がもっとも多かった。
 また、内閣支持率は55%で発足時(2012年12月)の52%に近づいた。3月調査(70%)▽4月(66%)▽5月(66%)▽6月(60%)で、2回連続の下落は内閣発足以来初めて。
 安倍内閣の高支持率を支える「アベノミクス」は期待先行の側面がある。首相の経済政策によって景気回復が期待できると思うかを聞いたところ「期待できる」は50%で、「期待できない」の41%を上回った。ただ、期待できるとした人の割合は3月調査(65%)▽4月(60%)▽5月(59%)▽6月(55%)と減少傾向。さらに「生活する上で、景気がよくなっていると実感しているか」と尋ねたところ「実感していない」は78%にのぼり、「実感している」の16%を大きく上回った。
 安倍内閣の支持層では「景気回復が期待できる」が82%を占めたのに対し、不支持層では「期待できない」が88%にのぼった。また景気回復を「実感していない」とした人は安倍内閣の支持層では68%なのに対し、不支持層では96%にのぼった。
 景気回復への期待感は内閣支持率と強い相関関係があり、内閣支持率下落はアベノミクスへの期待がややはがれ落ちていることを示しているとみられる。
 一方で自公の与党が参院で過半数の議席を獲得した方がいいと思うかを尋ねたところ、「思う」と答えた人は52%(前回は57%)で、「思わない」の39%(同37%)を大きく上回った。【鈴木美穂】

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 7月 27 日(土)付
防衛大綱―「専守」の原則忘れるな

 政府が年末に打ち出す新たな「防衛大綱」づくりの中間報告を、防衛省が発表した。
 焦点のひとつである離島の守りについて、水陸両用の「海兵隊的機能」を確保することが重要と明示した。
 海兵隊と言えば、世界を飛び回り、上陸作戦にあたる米軍を思い起こさせる。
 その表現ぶりには懸念がぬぐえない。高い攻撃力をもつ海兵隊と自衛隊は根本的に違う。日本には、戦後一貫して維持してきた専守防衛という原則があるからだ。
 中国は尖閣諸島周辺の領海への侵入を繰り返している。不測の事態に対応するため、防衛力の足りない部分を補う努力は、確かに必要だろう。
 だとしても、あたかも日本が戦後の原則からはずれ、米軍に類した活動に踏み出すかのような誤った対外メッセージを発してはならない。
 離島の守りは陸上自衛隊の西部方面普通科連隊が担ってきた。その機能の向上が主眼ではあろうが、誤解を避けながら進めるのが前提となる。むしろ、海兵隊とは違うことを再確認すべきではないか。
 中間報告に明記はされなかったが、政府内では、敵のミサイル基地などを攻撃する「敵基地攻撃能力」を備えることも検討されている。
 政府見解では、「相手がミサイル発射に着手した後」の攻撃は「先制攻撃」とは区別され、憲法上許されるとしている。だが、そんな能力の保持に周辺国が疑念の目を向けることは避けられない。
 軍備増強が他国の警戒と軍拡競争を招けば、結果的に増強の意味がなくなる。それが「安全保障のジレンマ」と呼ばれる現象だ。配慮を欠けば、逆に安保環境を悪くしかねない。
 また、日本が安保問題を考える際には、軍事や外交にとどまらず、財政の深刻な窮迫もきわめて重い要素になる。
 4機で数百億円ともいわれる高額な無人偵察機の導入を検討する必然性は何か。説得力のある説明はない。
 その一方で、各国が共通して頭を悩ませ、力を入れるサイバー攻撃への対策の力点があまり見えないのはなぜか。旧来型の上陸作戦や攻撃能力などに前のめりになっているのとは対照的で、時代遅れといえないか。
 財政再建や近隣関係に目配りしながら、視野の広い日本の安保政策を考えねばならない。変わる国際環境に、外交との両輪で効率よく対応する国家戦略が求められている。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130727/plc13072703140005-n1.htmより、
産経新聞【主張】防衛大綱改定 敵基地攻撃能力の明記を
2013.7.27 03:14

 安倍晋三政権は防衛力整備の長期指針となる「防衛計画の大綱」を年末に改定する。
 これに向けて防衛省がまとめた中間報告には、離島の防衛や奪回にあたる海兵隊の機能を自衛隊に持たせる方針を明記するなど具体的な抑止力強化策が盛り込まれた。
 日本を狙う弾道ミサイルの発射元を無力化する、敵基地攻撃能力の保有にも含みをもたせた。安全保障政策の見直しを具現化しようとするこうした取り組みを評価したい。
 大綱では保有を明記するなど一層の踏み込みが必要だ。
 中間報告は、防衛省が国の守りには最低限必要だと判断した内容だ。今後の政府内での検討作業でさらに具体化を図り、日本の平和と安全を守り抜くことができる大綱を実現してほしい。
 北朝鮮の弾道ミサイル開発は、長射程化の技術を向上させるなど新たな段階に入った。北の核・ミサイルは、日本の安全に対する重大な脅威だ。現在は報復能力を全面的に米軍に頼っており、日本はまったく保有していない。自分の国を自分で守る抑止力を持っていないことが問題なのだ。
 首相は5月の国会答弁で、「相手に思いとどまらせる抑止力の議論はしっかりしていく必要がある」と語った。公明党は敵基地攻撃能力の保有に慎重だ。
 相手の一撃を甘受する「専守防衛」に象徴されるように、防衛政策の基本的な方針により、十分な抑止力が働かない状況が作り出されてきた。日米同盟強化のため、集団的自衛権の行使容認も喫緊の課題となっている。
 尖閣諸島の奪取をねらう中国は、東シナ海から西太平洋への進出を図っている。中国軍の早期警戒機が24日、沖縄本島と宮古島の間の公海上を通過する「特異な行動」(安倍首相)をとった。中国海軍の艦艇が日本列島を1周する示威行動もした。
 中間報告は離島防衛のため、機動展開能力と水陸両用機能(海兵隊機能)の確保を打ち出した。
 日本が抑止力の強化に努めることにより、中国の高圧的な行動や、偶発的な軍事衝突など不測の事態を防ぐことができるとの考えは妥当なものだ。
 日本を守れる実効性の高い防衛政策を確立し、それに基づいた防衛力整備を図ることが何よりも重要である。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013072702000164.htmlより、
東京新聞【社説】大綱見直し 専守防衛逸脱せぬよう
2013年7月27日

 新しい防衛大綱を年内に決めるための中間報告が発表された。日本周辺の安全保障環境の変化に応じて防衛計画を見直すのは当然だが、憲法に定められた専守防衛からの逸脱があってはならない。
 防衛大綱は安全保障や防衛力整備の基本方針を示すもので、別表で自衛隊の人員・体制や主要装備品の整備目標を定める。一九七六年の策定後、三回見直され、現在の大綱は民主党政権時代の二〇一〇年に作られた。
 その三年後という短期間での見直しだ。安倍内閣には民主党時代のものは変えたい思いがあるのだろうが、中国の海洋進出活発化や北朝鮮の弾道ミサイル発射など地域情勢が大きく変化したのも事実だ。大綱見直しは妥当だろう。
 中間報告は沖縄県・尖閣諸島を念頭に、島嶼(とうしょ)部(離島)が占領された場合、速やかに奪還するため、部隊を迅速に展開する機動展開能力や水陸両用機能(海兵隊的機能)を確保することが重要になる、と指摘している。
 島国の日本には多くの離島があり、これらの領土、領海、領空を守るのは日本防衛の要だ。中国公船が頻繁に領海侵入を繰り返す事態を見れば、離島防衛の必要性が増し、重点的に防衛力を整備しなければならない状況は理解する。
 ただ海兵隊は「殴り込み部隊」とも言われる。他国侵略の意図ありと受け止められれば、周辺国には脅威と映る。軍拡競争に陥っては本末転倒だ。機会をとらえて専守防衛に徹する国是を繰り返し説明する配慮も必要だろう。
 自民党が大綱見直しに向けて提言した、自衛隊が敵基地攻撃能力を持つことについても同様だ。
 政府はこれまで敵基地の攻撃は自衛の範囲だが、他国を攻撃したり攻撃的脅威を与えたりする兵器を平素から持つことは憲法の趣旨に反するとの見解を示してきた。
 中間報告は、弾道ミサイル攻撃に対しては「総合的な対応能力を充実させる」との表現にとどめているが、今後とも専守防衛の国是をないがしろにしてはならない。
 日本政府はこれまで防衛力の抑制的な整備に努めてきた経緯があるが、安倍内閣になってそのタガが外れるようなことはないのか、気になる。
 過去三回の大綱見直しはいずれも、有識者懇談会の提言を受ける形で行われた。今回は防衛省内の会議だけだ。国民の生命と財産、憲法に関わる問題でもある。内輪の議論だけでなく、幅広く意見を聞くべきではないのか。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO57812900X20C13A7EA1000/より、
日経新聞 社説 日米の連携強める防衛大綱を
2013/7/27付

 いくら自衛隊の能力を高めても、その内容が安全保障情勢の変化に合っていなければ、宝の持ち腐れになりかねない。その意味で、政府が年内にまとめる新たな防衛計画の大綱(防衛大綱)はとても重要だ。
 この大綱は中長期にわたり、防衛体制をどう整えていくかを定める指針だ。防衛省はそのたたき台となる中間報告を発表した。
 中間報告では、海洋進出を加速する中国軍などをにらみ、南西諸島をはじめとする離島の防衛を重点の一つにすえた。同時に、サイバー攻撃への対応を急ぐ方針も掲げている。いずれも、現実に見合った路線といえよう。
 離島防衛の実現には米海兵隊のような水陸両用の機能を、自衛隊が持たなければならない。離島の警戒を強めるには、無人偵察機などの装備も必要かもしれない。
 このために必要な予算の手当ては惜しむべきではない。ただ、日本の財政事情は厳しい。自衛隊は部隊の再編を進めるなど、合理化の努力も一層、払うべきだ。
 そのうえで、忘れてはならないのは米国との入念な擦り合わせだ。日本の防衛体制は、米軍との協力を大前提にしている。離島やサイバー、ミサイルの防衛にしても、日本だけでは完結できない。
 新たな大綱に基づき、自衛隊の体制が変わることになれば、日米の作戦計画や役割分担も改めていかなければならない。大綱の策定と並行し、米側との調整も進める必要がある。
 今後、大綱の詳細を詰めるに当たり、とりわけ議論を呼びそうなのが、敵基地攻撃能力の保有問題だ。北朝鮮の核兵器とミサイルの脅威が増していることを踏まえ、中間報告では間接的な表現で保有を検討する意向をにじませた。
 自衛隊が攻撃能力を持てば、防衛力の向上につながる一方で、専守防衛の原則から慎重論もある。安倍政権が検討している集団的自衛権の行使と合わせ、日本の安全保障政策の根幹にかかわる問題だけに、議論を尽くしてほしい。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130727k0000m070114000c.htmlより、
社説:敵基地攻撃能力 緊張高めず慎重議論を
毎日新聞 2013年07月27日 02時31分

 防衛省は、防衛力整備の指針となる「防衛計画の大綱」(防衛大綱)の中間報告に、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展を踏まえて、敵のミサイル発射基地などを攻撃する敵基地攻撃能力の保有検討を盛り込んだ。専守防衛を基本とする日本の防衛政策の転換につながる可能性があり、慎重な検討を求めたい。
 政府見解では、敵がミサイル攻撃に着手し、他に防ぐ手段がない場合に限り、発射基地を攻撃することを自衛の範囲として認めているが、日米安保体制のもと、自衛隊は「盾」(防御力)、米軍は「矛」(打撃力)を担う役割分担をしてきた。
 しかし北朝鮮の相次ぐ核実験や事実上の弾道ミサイル発射を受けて、ミサイル防衛の強化だけでは不十分ではないかとの議論が、自民党を中心に活発化している。
 攻撃前に敵の基地をたたくことは「専守防衛を逸脱した先制攻撃ではないか」との疑念が残る。何をもって敵がミサイル攻撃に「着手」したと判断するかが問題だ。敵がミサイル発射を宣言し、発射台にミサイルが据えられ、燃料が注入されれば「着手」と評価できる、という考え方もあるが、はっきりしない。拡大解釈されれば「先制攻撃」につながりかねない。その結果、地域の軍拡競争を招く可能性もある。
 防衛上の有効性の問題もある。北朝鮮は、ほぼ日本全域を射程に収める中距離ミサイル「ノドン」200発を移動式発射装置に搭載し、山岳地帯の地下施設に配備しているとされる。位置や発射の兆候などの情報を正確に把握するのは簡単ではない。攻撃に必要な装備や部隊をどう整備するかも課題だ。
 防衛省は「費用対効果、地域の安全保障環境への影響、日米同盟との関係」を検討する必要があるとしており、議論すること自体が抑止力になることを狙った面もありそうだ。
 また中間報告は、沖縄県・尖閣諸島周辺での中国の海洋活動の活発化を受けて、離島防衛強化のため、自衛隊に機動展開能力や水陸両用機能(海兵隊的機能)を持たせることを検討すべきだと求めた。
 南西諸島の防衛強化は必要だ。だが仮に尖閣諸島が相手国に一時的に占拠されたとしても、補給線を断てば、米海兵隊のような強襲揚陸能力は不要との指摘もある。「海兵隊的機能」という言葉も誤解を招きやすい。真に必要な防衛力整備は何か。財政事情が厳しい中で、国民が納得できる十分な検討と説明が必要だ。
 年末の大綱策定に向け、安倍政権は周辺国の緊張を高めないよう留意しながら、有識者らの意見も幅広く聞き、冷静、慎重に議論を深めてもらいたい。

http://mainichi.jp/select/news/20130723ddm002010205000c.htmlより、
日本どこへ:安倍大勝/1 経済、これから難題
毎日新聞 2013年07月23日 東京朝刊

 ◇成長戦略、アイデア枯渇
 自民党の参院選圧勝は、安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」に国民が一定の評価を与えた結果といえる。大胆な金融緩和の「第一の矢」、財政出動の「第二の矢」で景気を下支えする間に、「第三の矢」である成長戦略で経済を再び成長軌道に戻す筋書きだ。成長戦略はアベノミクスの本丸で日本経済復活のカギを握るが、具体化は進んでおらず、すでに放った2本の矢の効果はいつまでも持ちそうにない。アベノミクスの成否が明らかになるのは、むしろこれからだ。
 成長戦略は、民間設備投資を3年間で1割増の年70兆円に引き上げる目標などをかかげ、6月に閣議決定された。戦略を具体化するための「産業競争力強化法案」が、安倍首相が「成長戦略実行国会」と位置づける秋の臨時国会に提出される運びだ。しかし、法案の策定作業にあたる経済産業省幹部は「まだまだ中身は詰まっていない」と打ち明ける。
 デフレに苦しみ続けた日本経済を立て直そうと、これまでいくつもの政権が成長戦略をたてては、大きな効果を上げられなかった。ある政府関係者は「成長については10年以上考えて何も出てこなかったのに、急にアイデアが出るわけない」と真顔で話す。昨年末の安倍政権発足後、農地の企業保有自由化や、労働規制改革など、大胆な規制緩和の必要性が指摘されていたが、成長戦略には結局盛り込まれなかった。
 今春、成長戦略の中身が判明した直後に株価が急落したため、安倍首相は、企業の設備投資を促す施策などの追加措置、いわゆる“成長戦略第2弾”を参院選後の秋に打ち出すとあわてて表明した。目玉は「設備投資減税」だが、投資減税の拡充などは従来繰り返し実施され、うまく効果が出なかった過去がある。「国内需要が減少する中、国内に投資する企業があるのか」と設備投資減税などに対する効果への不信感も政権内には強い。
 今回、金融緩和と財政出動という2本の矢が、株高などを演出し、景気回復への期待が与党を勝利に導いた。ある経済官庁幹部は「こんなこぢんまりしたものですみません、と首相に出すわけにいかない」と、景気回復に効果が上がる政策を絞りだそうと頭をひねっている。【宇田川恵】

 ◇消費増税、綱引き活発
http://mainichi.jp/select/news/20130723ddm002010205000c2.htmlより、
 来年4月に消費税率を5%から8%に引き上げる最終判断の行方も今後の経済政策の大きな焦点だ。安倍晋三首相は22日の記者会見で、「経済情勢をしっかりと見極めながら、秋に判断をしていく」と述べるにとどめ、4〜6月の国内総生産(GDP)成長率などの経済指標を踏まえて、今秋に消費増税の可否を最終決断する方針を改めて示した。
 消費増税をめぐっては政権内で不協和音が聞こえ始めている。「消費税を上げる方向で予定通りやりたい」。麻生太郎副総理兼財務相は20日の主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で、増税に意欲を示した。一方、米エール大名誉教授で首相のブレーンである浜田宏一内閣官房参与は19日の講演で、消費増税による景気悪化で法人税収などが減り「必ずしも歳入が増えるとは限らない」と主張、経済を安定成長に乗せることを優先すべきだと強調した。自民党内にも慎重論がある。
 民間調査会社は、今年度の経済成長は年率2〜3%台となる一方、消費増税すれば来年度は反動で同1%前後に落ち込むとみる。特に増税前の駆け込み需要の反動で2014年度4〜6月期に予想される景気の落ち込みを軽減するため、政府・与党内の一部には補正予算編成を模索する動きもある。
 一方で、日本政府がこれまで積み重ねてきた国の借金は、先進国で最悪の水準だ。8月上旬には財政再建の道筋を示した中期財政計画をまとめるが、「財政の健全化が進まなければ市場から信認されず、金利が上がる懸念もあり得る」(黒田東彦日銀総裁)。国際公約した財政健全化が難しくなれば、日本国債の金利上昇などで経済が混乱する可能性もある。増税を巡る綱引きは首相の最終決断ぎりぎりまで続きそうだ。【丸山進】

 ◇景気の行方、気をもむ日銀
http://mainichi.jp/select/news/20130723ddm002010205000c3.htmlより、
 日銀の佐藤健裕審議委員は22日の講演で「デフレ脱却に向け、政府が経済界に賃上げを要請するなど、これまでにない動きもある」と、デフレ脱却で共闘する政府の姿勢を持ち上げてみせた。「2%の物価目標」を掲げる日銀にとって、モノやサービスの値上げに賃金がついてこない「悪い物価上昇」が起きれば、金融政策の失敗と批判されかねないという事情もある。今後は、経済の本格再生や財政再建が確実に進むかが気がかりだ。黒田総裁は「戦力の逐次投入はしない」と、追加の金融緩和を基本的に行わない方針だが、景気動向によっては求められる可能性も否定できない。【岩崎誠】
     *
 自民党の参院選圧勝で、政権の足かせだった「ねじれ国会」は解消した。衆院議員の任期は3年以上残り、当面、大型国政選挙を戦う必要もない。一方で、参院選まで先送りや棚上げにしてきた難問にいよいよ直面する。景気回復への期待に応えると同時に、消費増税や社会保障費の負担増など痛みを伴う問題への判断も迫られ、中韓との関係改善や、原発再稼働を巡る地元自治体の説得なども残る。政権の課題を整理する。=つづく

http://mainichi.jp/select/news/20130724ddm002010098000c.htmlより、
日本どこへ:安倍大勝/2 社会保障、多難な負担増
毎日新聞 2013年07月24日 東京朝刊

 ◇消費増税控え首相曖昧 「福祉の党」譲れぬ公明
 「これから多事多難になります。応援してください」。厚生労働省のある幹部は7月の人事異動後、与野党の政治家へのあいさつ回りで、こう繰り返している。
 「多事多難」は安倍政権が今後、社会保障の負担増や給付減の問題に直面することを指す。社会保障費は高齢化で伸び続け、1991年度に50兆円だった社会保障給付費は2010年度に100兆円を突破。しかし、この間、原資となる社会保険料収入は42兆円から57兆円に伸びたに過ぎない。この差額は国や地方の税負担が埋めている。
 政権が市場から信認を得続けるには財政再建が不可欠だ。成長戦略の核となる規制緩和を進めるためにも安全網としての社会保障の姿を明確にする必要がある。社会保障費の抑制と、首相が最優先する経済政策は表裏の関係にある。
 参院選は自民党の大勝に終わり、当面、大型国政選挙を行う必要はない。負担増を打ち出す環境は整ったはずだ。
 だが、安倍晋三首相の社会保障の給付と負担に関する立場には曖昧さが目立つ。22日の記者会見では「待ったなしの社会保障制度改革も、(社会保障制度改革)国民会議の議論をまとめ、実行に移していかなければならない」と語った。しかし、国民会議自体が自民、民主、公明の3党合意で消費増税を決めるため、年金や高齢者医療制度など合意が難しい課題を先送りするため設置された経緯がある。踏み込んだ結論は期待薄だ。
 首相には、自身が官房長官などを歴任した小泉内閣が社会保障費の大胆な削減に切り込み、野党だった民主党から激しく攻撃された記憶がある。首相は6月の記者会見では「社会保障も聖域としない」と述べた後に、「抑制ありきでもない。必要な給付はしっかり質を守っていく」と続けた。安全網を重視する立場と財政再建の両立が可能かは不透明だ。首相が負担増と給付削減に切り込めるかは疑問視する声も多い。
 首相を慎重にさせる抵抗もすでに始まっている。公明党は自民大勝で連立の意味が薄まりかねないなか、「福祉の党」としての存在感を強調せざるを得ない。70〜74歳の医療費の窓口負担の引き上げを巡っては、引き換えに窓口負担に上限を設けた「高額療養費制度」についての低所得者の負担軽減を公約に明記した。

http://mainichi.jp/select/news/20130724ddm002010098000c2.htmlより、
 同党の厚労関係議員は「参院選以降が踏ん張りどころだ。党の存在感が問われる」と実現に意気込む。だが、一つの負担増がそのまま別の負担軽減策の財源に回れば、財政再建につながらない。
 さらに、引き上げの時期に想定される来年4月が、消費税の8%への引き上げ時期と重なることへの懸念もある。「高齢者に医療と消費税で二重の負担増を求めるのは酷だ」(中堅議員)と早くもけん制する声が出る。
 政府関係者の一人は「政権の2年目には苦い薬も必要だ」と話す。負担増の具体化は避けられないところまできている。【佐藤丈一】=つづく

http://mainichi.jp/select/news/20130725ddm002010105000c.htmlより、
日本どこへ:安倍大勝/3 対中韓、尽きぬ懸案
毎日新聞 2013年07月25日 東京朝刊

 ◇靖国・改憲、米が関係改善要請強める
 「さまざまな課題が日中間にはあるが、ともに協力して乗り越えていく努力が必要だ。そのためにまずお互いが胸襟を開いて話をしていくことが大切なのではないか。首脳会談、外相会談を行うべきだろう」
 参院選から一夜明けた22日。自民党本部で記者会見した安倍晋三首相は、中国国営新華社通信記者の質問に答え、こう付け加えた。「この私の発言も、ぜひ中国でしっかりと報道していただきたい」
 日中両政府は沖縄県・尖閣諸島を巡って対立し、首相と習近平国家主席との会談実現の見通しは立っていない。韓国とも島根県・竹島の問題を抱え、朴槿恵(パククネ)政権は歴史問題でも日本を揺さぶる。自民党が大勝し、首相が政権基盤を強化したことで、中韓とのこう着状態に変化は生じるのか。
 日韓は7月に入って外相と外務次官が相次いで会談。外務省の斎木昭隆事務次官は月内にも訪中する方向で調整しており、関係改善を探る動きは次第に活発化している。24日、首相と会談したマイケル・グリーン元米国家安全保障会議アジア上級部長は記者団に、「昨日、韓国に行ったが、少しずついい方向にシフトしていると思う。中国もそうだ。政府(安倍政権)が圧勝すると、周辺国は無視できない」と語った。
 とはいえ、政府内では「簡単にはいかない」(政府筋)という見方が大勢だ。首相は8月15日には靖国神社を参拝しない意向だが、10月17〜20日の秋季例大祭への対応は明らかではない。
 4月に米国で開催された主要20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議の際、バイデン米副大統領が麻生太郎財務相に中韓との関係改善を求めたのに対し、麻生氏は帰国直後、春の例大祭に合わせて靖国神社を参拝し、米側をがくぜんとさせた。中韓には、秋季例大祭に首相が参拝するのではないかとの懸念が広がる。
 一方、集団的自衛権の行使を禁じた憲法解釈の見直しに向け、首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は8月にも議論を再開する。中韓は「安倍カラー」に警戒感を強めており、政府関係者は「中韓の懸念材料は増えることはあっても、減ることはない」と漏らす。

http://mainichi.jp/select/news/20130725ddm002010105000c2.htmlより、
 6月下旬から7月初旬にかけて訪米した自民党の塩崎恭久政調会長代理は、米側から「安倍政権は参院選後も経済に最優先課題で取り組むのか」と頻繁に質問を受けた。複数の知日派有識者は歴史問題や憲法改正に懸念を示したという。首相は26日、訪問先のシンガポールでバイデン氏と会談する予定。会談は「米側の要請」(外務省幹部)で、バイデン氏は中韓との関係改善を促すとみられる。
 米国との間では、米軍普天間飛行場の移設問題が課題になる。来年1月に名護市長選、来年秋には名護市議選と沖縄県知事選が行われる予定。政府は年内に仲井真弘多知事から辺野古沿岸部の埋め立て承認を得たい考えだが、楽観できない情勢だ。【吉永康朗、青木純】=つづく

http://mainichi.jp/select/news/20130726ddm002010112000c.htmlより、
日本どこへ:安倍大勝/4 エネルギー・原発 再稼働関与が焦点
毎日新聞 2013年07月26日 東京朝刊

 ◇地元説得、壁高く
 「政府の中で具体的な動きがない。このままでは手詰まりだ」。与党圧勝となった参院選から2日後の23日、東京電力本店(東京都千代田区)。集まった取締役の間に失望と焦りが広がった。出席者の一人は「今の段階では(原発再稼働の)地元理解を得るため我々だけで努力するしかない。原子力規制委員会の安全審査を通過できれば、政権が関与を強めてくれる」と期待をつなぐ。
 エネルギー政策で政権の第一の課題となるのは、原発再稼働にどう取り組むかだ。なかでも東電が経営再建の切り札に位置づける柏崎刈羽原発は、地元新潟県の泉田裕彦知事の猛反発に遭い、規制委による審査の申請すらできない状態だ。自民党が参院選の公約で「安全性が確認された原発は再稼働させる」と掲げたことから、東電内には「政府はねじれ解消の勢いで、仲裁に動いてくれる」との見方があった。だが、ふたを開けてみると政府は静観のまま。東電の淡い期待は、ひとまず先送りになった。
 安倍政権はアベノミクスによる経済再建を最優先課題に掲げる。ただ、原発停止が続けば、火力発電の燃料コストがかさんで電力各社は電気料金の再値上げに動き、回復途上の景気を冷え込ませる懸念もある。東電柏崎刈羽に限らず再稼働を急ぎたいのが本音だ。
 しかし、福島第1原発事故を境に、原発の「安全神話」は「事故の不安」に一変。電力役員も「地元で原発を推進してくれた人々でさえ、もろ手で賛成してはくれない」と話す。参院選で圧勝した安倍政権にとっても原発再稼働が難題であることに変わりはなく、「原発政策や東電問題は後回し」(大手銀行幹部)との観測も出る。
 手をこまぬいてはいられない事情もある。政府は福島事故の賠償や除染、廃炉など10兆円超ともされる費用を、実質国有化した東電の将来の利益で賄う計画だからだ。収益シナリオが狂い東電が経営破綻する事態になれば、これらの費用を税金で補わなければならず、国民負担につながる。政府が膠着(こうちゃく)した状況の転機と見込むのは、規制委による厳しい安全審査の可否だ。経済産業省幹部は「審査をパスすれば、安全面の信頼につながり、地元経済へのメリットも実感される」と期待する。

http://mainichi.jp/select/news/20130726ddm002010112000c2.htmlより、
 中長期的に原発をどう位置づけるかも焦点。政府は「安全性の確認を規制委に委ねており、今後、何基動かせるか分からない」として年内に策定するエネルギー基本計画では将来の原発比率は示さない考え。しかし、原発の寿命を原則40年とする現在の方針の下、原発の建て替えや新増設を行わないと2050年には原発はゼロになる。政府内には「基本計画で新増設の方針をどこまで盛り込めるか」(経済官庁幹部)との声まで上がる。
 安倍晋三首相は今年4月、「国も一歩前に出たい」と東電問題への関与を深める考えを示した。将来の原発の位置付けもあいまいなまま、衆参での圧倒的な勢力を背景に、なし崩し的に「原発回帰」に動きだしそうだが、その前に地元理解に向けた国の真摯(しんし)な取り組みが必須となる。【大久保渉】=つづく

http://mainichi.jp/select/news/20130727ddm002010110000c.htmlより、
日本どこへ:安倍大勝/5止 憲法改正 念願「6年計画」
毎日新聞 2013年07月27日 東京朝刊

 ◇まず環境整備から
 「国民投票法の整備をし、その上で96条を(改正)できればという考えだ」。安倍晋三首相は参院選翌日の22日の記者会見で、憲法改正の発議要件を衆参各院の「3分の2以上」から「過半数」に緩和する96条先行改正に改めて意欲を示した。ただ、首相に早急に憲法改正を進めようとの動きは見えない。
 首相側近が解説する。「安倍さんは総裁2期の『6年計画』。憲法は3年かけて議論を深めればいいと思っている」。参院選に圧勝した自民党内では、衆参の「ねじれ」が解消したことから「次の選挙は3年後」との見方が広がる。消費増税や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)などで重要な判断が迫られる中、憲法改正に手をつける余裕はないとの空気がある。自民党内でも96条先行改正には「中身はともかく先行という議論が通るのか」(細田博之幹事長代行)との懐疑的な見方が強い。
 公明党も96条先行改正には慎重で、山口那津男代表は20日、参院選の街頭演説で、「憲法改正の議論は不十分で成熟していない。広く深く落ち着いて議論を進めていくべきだ」とクギを刺した。
 それでも首相が一度は封印した先行改正に言及したのは、時間をかけてでも憲法改正に取り組むとの強いこだわりからだ。首相は26日、シンガポールのリー・シェンロン首相との昼食会で、「現在の日本にふさわしい憲法のあり方について議論を深めている」と説明し、理解を求めた。
 首相との距離感に悩む公明党が接点としたいのが実は9条だ。公明党は2004年、1項(戦争放棄)と2項(戦力不保持)を堅持したうえで、自衛隊の存在を加える「加憲」を検討するとの論点整理をした。山口氏は22日、「自衛隊をどう位置づけるか。9条に3項を加えるかどうか議論すべきだ」と主張した。維新とみんなは参院選で低迷、自民党などを加えた改憲勢力は143議席で3分の2(162議席)を19議席下回っており、発議には公明党(20議席)の協力が欠かせない。自民党は憲法改正草案に自衛隊の国防軍化を盛り込んだが、修正を求めることができると公明党はみている。

http://mainichi.jp/select/news/20130727ddm002010110000c2.htmlより、
 自民党の石破茂幹事長は草案見直しについて「9条関係は議論がある」と協議に前向きだ。ただ、首相は公明党が「断固反対」とアレルギー反応を示す集団的自衛権の行使容認の検討を優先し、改憲はその先の課題と位置づけている。首相に近い自民党幹部も「日米同盟を強化するためには集団的自衛権の方が大事だ。米国の知日派も首相が憲法改正や歴史認識問題に踏み込むことを警戒している」と語る。米国での理解も広がらない中、9条論議を進める環境は整っていない。
 改憲議論は野党の再編にも影響を与えている。日本維新の会の松野頼久国会議員団幹事長は21日、民主党の細野豪志、みんなの党の江田憲司両幹事長と会い、「96条の勉強会を作ろう」と呼びかけた。賛否両派がいる民主党の分裂を促し再編の主導権を握る狙いがあったが、松野氏の狙いを感じ取った細野氏が反対。テーマは行政改革に落ち着いた。【竹島一登、高山祐】=おわり

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013072402000134.htmlより、
内閣支持急落56% 共同世論調査
東京新聞 2013年7月24日 朝刊

 共同通信社が参院選直後の二十二、二十三両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、安倍内閣の支持率は56・2%で、前回六月調査の68・0%から11・8ポイント急落した。支持率が50%台となったのは昨年十二月の第二次安倍内閣発足以来、初めて。不支持率は31・7%で、前回(16・3%)からほぼ倍増した。 
 民主党が参院選で惨敗した経緯を踏まえ、68・8%が野党の「再編が必要」と答え、「再編は必要ない」の22・7%を大きく上回った。
 内閣不支持の理由では「経済政策に期待が持てない」が29・6%で最も多く前回調査からは9ポイント増加した。賃金上昇の遅れや円安による物価高など経済政策への懸念の広がりが背景にありそうだ。
 自民党が圧勝し、衆参両院のねじれが解消した結果については「よかった」が39・8%、「よくなかった」が17・8%で、「どちらともいえない」は42・0%だった。参院選の結果、憲法改正に前向きな自民党、日本維新の会、みんなの党の獲得議席が、非改選と合わせ改憲発議に必要な三分の二に達しなかったことには30・6%が「よかった」と答えた。「よくなかった」は16・1%、「どちらともいえない」は51・7%だった。
 原発の再稼働に賛成したのは32・5%で、58・3%が反対。来年四月に消費税率を5%から8%に引き上げることには「予定通り引き上げる」が22・6%、「時期を先送りすべきだ」が35・0%で、引き上げ時期に異論はあるものの、計57・6%が増税を容認した。「5%を維持」は40・5%だった。
 政党支持率では自民党40・2%で、前回調査から7・9ポイント低下した。日本維新の会8・1%、民主党7・7%、公明党6・3%、共産党5・7%、みんなの党5・6%、社民党1・6%、生活の党0・4%、新党改革0・1%。支持政党なしは23・0%だった。

 ▽調査の方法=全国の有権者を対象に22、23両日、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。ただし、東京電力福島第一原発事故で警戒区域などに指定された福島県の一部地域を調査対象から除いた。実際に有権者がいる世帯にかかったのは1435件、うち1019人から回答を得た。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013072301001870.htmlより、
安倍内閣支持56%に急落 野党再編「必要」68%
2013年7月23日 16時43分

 共同通信社が参院選直後の22、23両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、安倍内閣の支持率は56・2%で、前回6月調査の68・0%から11・8ポイント急落した。不支持率は31・7%で、前回(16・3%)からほぼ倍増した。
 民主党が参院選で惨敗したことを踏まえ、68・8%が野党の「再編が必要」と回答。「再編は必要ない」とした22・7%を大きく上回った。
 自民党が参院選で圧勝し、衆参両院のねじれが解消した結果については「よかった」が39・8%、「よくなかった」が17・8%で、「どちらともいえない」は42・0%だった。(共同)

≪再掲≫
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013060201001653.htmlより、
安倍政権の成長戦略65%が期待 内閣支持は68%、共同世調
2013年6月2日 16時35分

 共同通信が1、2両日に実施した全国電話世論調査によると、安倍政権が子育てや雇用、農業分野を柱に掲げる成長戦略に期待するとの回答は65・0%で、期待しないとの29・0%を大きく上回った。安倍内閣の支持率は68・0%と、前回の70・9%からわずかに減って、70%台を下回った。不支持率は16・3%(前回16・2%)。
 支持率低下は株価乱高下の影響とみられる。ただ成長戦略への高い期待は、参院選公示を約1カ月後に控えた政権には追い風だ。
 従軍慰安婦発言が問題になった橋下徹大阪市長率いる日本維新の会に、夏の参院選や今後の国政で期待しないとの回答は65・6%。(共同)