原発再稼働・審査開始(その1~2)

http://mainichi.jp/opinion/news/20130709ddm003040110000c.htmlより、
クローズアップ2013:原発再稼働・審査開始(その1) 4原発、対策途上
毎日新聞 2013年07月09日 東京朝刊

 「世界最高レベルの厳しさ」と言われる新規制基準が8日に施行され、基準を満たさない原発が淘汰(とうた)される時代を迎えた。初日は電力会社4社が5原発10基の再稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請した。電力会社は、原発停止で火力発電などへの燃料費が急増して厳しい経営が続くだけに、一日も早い再稼働を期待する。二度と深刻な原発事故を起こさないよう、厳密で効率的な審査が求められている。

 ◇伊方3号機先行か 活断層調査など焦点
 「考えうる安全策は講じた」−−。4電力会社は準備状況を説明した。このうち、再稼働までの最短距離にいると見られるのが、四国電力伊方原発3号機。敷地内に活断層がなく対策も進む。約6000ページの申請書を提出した谷川進常務は「規制基準を満たしている」と自負した。
 だが、多くの原発で対策は途上にある。例えば、東京電力福島第1原発事故で対策拠点となり、規制基準で設置が義務付けられた「緊急時対策所(免震事務棟)」。申請のあった5原発のうち、伊方原発以外の4原発で整備が終了していない。北海道電力泊原発では3号機の緊急時対策所を、1、2号機内の部屋を仮設利用すると申請。代替施設ができる2014年3月まで両号機の停止を前提に、3号機の再稼働を優先した。関西電力の高浜、大飯両原発も施設内の会議室で代用する。九州電力川内原発では今年9月までに仮設の代替施設を急造する。
 電力各社が想定する最大の津波(基準津波)も焦点になる。川内原発は敷地が高く問題なさそうだ。高浜原発では、福井県が、津波の高さは3・74メートルで浸水の恐れがあると予測。関電は今回の申請で「分析する必要がある」としつつも、従来の2・6メートルを変更しなかった。泊原発では当初、北電は9・8メートルとしていたが、敷地前の海にある岩場が津波を弱めるとして、7・3メートルに引き下げた。敷地の高さを考えると、防潮堤の設計が問題視されかねなかったが、今回、見直す必要性はないとしている。試算の妥当性が問われそうだ。
 再稼働で最大のハードルは、活断層の存在だ。規制基準では、活断層の真上に重要施設があると、被害を防ぎきれないとして設置を禁止した。大飯原発で冷却用海水を送る重要施設「非常用取水路」を横切る断層が活断層かどうか、規制委の調査団の間で意見が分かれている。規制委は結論が出るまで実質的な審査に入らない方針。高浜原発も「データ収集が必要」と指摘され、審査で精査する。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130709ddm003040110000c2.htmlより、
 今回の10基は、運転年数が30年以内と比較的若く、福島第1原発と異なる加圧水型(PWR)だ。このタイプは全国50基のうち24基で、排気(ベント)時に放射性物質を除く「フィルター付きベント装置」の設置が5年間猶予された。他の26基は福島第1原発と同じ沸騰水型(BWR)で猶予期間がなく、炉のタイプや運転年数が申請時期の明暗を分けた。【岡田英】

 ◇各社、収益改善急ぐ 電源構成、議論後回し
 「エネルギー政策で原発をどう位置付けるか」という課題に結論を出さないまま、電力会社が「見切り発車」で原発再稼働の手続きに入った。立地自治体などには「福島第1原発事故の検証が不十分」との懸念が根強いが、電力会社や産業界は迅速な審査に期待する。
 「経営として、(原発停止から再稼働申請までの)2年は長かった」。九州電力の瓜生道明(うりうみちあき)社長は8日の記者会見で、安堵(あんど)感をにじませた。関西電力の豊松秀己(ひでき)副社長も「戦後復興期からエネルギー確保が極めて重要だった。経済性のある電源として原子力は重要だ」と強調した。
 原発停止で、13年3月期には沖縄、北陸を除く電力8社が連結ベースで計1・6兆円の最終赤字を計上。沖縄を除く電力9社の13年度の燃料費は、事故前から3・8兆円増える見通しだ。電力会社にとって再稼働は収益改善の切り札だ。
 さらに、昨年の東京電力から始まった電気料金値上げの動きが、関西、九州、四国、東北、北海道にも波及。家計や、鉄鋼・化学などの電力多消費産業の収益を圧迫する。地球環境産業技術研究機構(RITE)によると、こうした産業が多い関西地域では、製造業の電気料金負担が年間1020億円増加。約2万3000人の給与に相当し、雇用や賃金に悪影響を及ぼしかねない。日本総研の藤波匠(たくみ)主任研究員は、原発が停止したままだと「震災前に比べ平均30%程度の値上げになる可能性がある」と指摘、大和総研の熊谷亮丸(みつまる)チーフエコノミストも、国内総生産(GDP)を0・5〜1%程度押し下げると分析し、原発再稼働はひとまず景気下支えに働く。
 一方、原発依存への逆戻りは、再生可能エネルギーの普及に水を差しかねない。2017年ごろからは、安価なシェールガス輸入による火力コストの低減が本格化しそうで、こうした環境変化を踏まえた将来の電源構成の議論が深まらないまま原発再稼働が進めば、発電部門の構造転換が遅れる懸念もある。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130709ddm003040110000c3.htmlより、
 なし崩し的な再稼働には、立地地域などの不満も根強い。足元でどれだけの原発が必要なのか、中長期では脱原発を目指すのか、一定程度維持するのか。将来のエネルギー政策を早く示さないと、政府や電力会社に対する国民の不信感を増幅しかねない。【大久保渉、清水憲司】

http://mainichi.jp/opinion/news/20130709ddm002040096000c.htmlより、
クローズアップ2013:原発再稼働・審査開始(その2止) 地元「まず安全」 立地首長、「反対」なし
毎日新聞 2013年07月09日 東京朝刊

 政府は原子力規制委員会が安全と確認し、地元自治体の同意も得られた原発について再稼働を最終判断する。「地元」の範囲に規定はないが、8日に安全審査が申請された5原発の立地自治体の首長に取材したところ、再稼働に明確な反対はなく、前向きな意見が半数近くあった。【中村敦茂、松野和生、渕脇直樹、坂本太郎、山崎太郎】

 関西電力高浜(福井県高浜町)、大飯(おおい町)両原発を抱える同県の西川一誠知事は「規制は福井県が求めてきた内容だ。規制委はそれに従って、できるだけ遅滞なくスムーズに議論してほしい」と早期の判断を求め「国民によく分かるように、地元の理解を得られるように努力が必要」と注文した。
 一方、野瀬豊高浜町長は「(新基準)施行後直ちに申請され、喜ばしい」と歓迎するコメントを出した。昨年から大飯3、4号機が稼働中のおおい町の時岡忍町長は、敷地内を通る断層が活断層かどうか規制委の有識者会合で意見が分かれているため「科学的な評価に基づき、できるだけ早く結論を出してほしい」とコメントした。
 四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)について、同県の中村時広知事は「(再稼働の判断は)全く白紙。長い目で見て原発依存低下に進むことは国民的な思いだが、出力、安定供給、コストの面で代替エネルギーが具体的に固まったら踏み出せる。国の方針、四国電力の姿勢、地元の理解を鳥瞰(ちょうかん)図的に見て判断する」と態度を保留した。これに対し山下和彦伊方町長は「政府が当然判断し(再稼働)要請があるものと受け止めている」と話した。
 北海道電力泊原発(北海道泊村)について、高橋はるみ北海道知事は「原発は何よりも安全性の確保が最優先と考えており、規制委は新基準に基づき厳正に審査・確認していただくとともに、北電は規制委の審査に真摯(しんし)に対応していただきたい」とコメント。牧野浩臣泊村長も「規制委は一つ一つ時間をかけ、厳格な態度で審査してほしい。政府は関係機関を含めて判断してほしい」と話し、態度を明確にしなかった。

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