アベノミクス 「財政再建の矢」も語れ

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 7月 12 日(金)付
金融政策―高橋財政からの教訓

 日銀が、きのうの政策決定会合で「景気は緩やかに回復しつつある」と判断した。
 黒田総裁のもと、「異次元」の金融緩和を始めて3カ月。円安は輸出産業の収益を改善させた。来春の消費増税を見越した住宅関連の駆け込み需要や、13兆円という破格の補正予算も影響している。
 金融と財政の拡張を柱としたアベノミクスによる景気浮揚は80年前になぞらえられる。世界恐慌時に高橋是清蔵相が主導した「高橋財政」である。
 当時、財政拡大に伴う大量の国債を日銀が直接引き受け、金融緩和で世の中に出回るお金を増やし、金利を下げ、円安を導いた。その結果、景気回復には成功したものの、財政支出に歯止めがかからず、悪性インフレにつながった。
 「黒田緩和」は国債を直接引き受けるわけではない。ただ、新たに発行される国債は全額が市場で消化されるが、その70%相当分を日銀が市場から買う。高橋財政では日銀がいったん買った国債の90%を市場で銀行に売っていた。
 黒田緩和なら財政の膨張を防げるのか。違いはそれほど明確ではない。
 高橋財政を始める際、国会審議では第1次大戦後に独仏で起きた悪性インフレの二の舞いになるのでは、と懸念の声が上がった。だが、「景気のため」という空気が強く、議論は深まらなかった。
 とりわけ、景気回復時に日銀が自由に利上げして経済を制御できるのかという点が素通りされた。いまでいう「出口戦略」の欠如だ。
 金利が下がっている間はうまくいったが、景気回復で民間の資金需要が増えると銀行は日銀から国債を買わなくなる。危機感を覚えた高橋は軍事費などを減らそうとしたが、1936年の2・26事件で反乱軍の凶弾に倒れた。
 日銀が国債を抱え込みすぎると、金融政策ががんじがらめになって破綻(はたん)に至る。それが高橋財政の教訓なら、黒田緩和とは入り口が違うだけではないか。
 国際通貨基金(IMF)が示し始めたアベノミクスへの懸念も、同根のものだろう。
 いま政府も日銀も「国債引き受けはしない」「財政ファイナンス(尻ぬぐい)はしない」と言う。それなら、出口に向けた議論を「時期尚早」と封じ込めるのではなく、リスクと対応策について語るべきだ。
 参院選は景気が争点という割に、論戦が深まらない。何やら80年前の風景と重ならないか。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO57262940S3A710C1EA1000/より、
日経新聞 社説 弾力的対応を黒田日銀に望む
2013/7/12付

 日銀が景気判断を7カ月連続で上方修正し、「緩やかに回復しつつある」との認識を示した。前年比2%の物価上昇率目標については、2015年度にほぼ達成できるという見通しを維持した。
 日本経済が持ち直しているのは確かだが、日銀の物価見通しには甘さも残る。資金供給量を2年間で2倍に増やす量的金融緩和の副作用に細心の注意を払い、柔軟な政策運営を心がけるべきだ。
 日銀が景気の基調判断に「回復」の文言を使うのは2年半ぶりである。円安・株高や堅調な米経済に支えられ、輸出や生産が徐々に上向いているのは心強い。
 だが企業収益の拡大が雇用の増加や賃金の上昇をもたらし、家計にも継続的な恩恵を与えるという好循環にはほど遠い。中国をはじめとする新興国の景気減速や、米金融緩和の出口を巡る金融市場の混乱といったリスクもある。
 景気回復の動きを止めず、本格的な経済再生につなげたい。日銀は量的緩和の効果を十分に引き出す努力を続け、政府も効果的な成長戦略を実行する必要がある。
 日銀は4月にまとめた経済・物価見通しの中間評価も実施した。消費者物価上昇率(生鮮食品と消費増税の影響を除く)の中心値は13年度に0.6%、14年度に1.3%となり、15年度には目標に近い1.9%に達するという。
 これに対して15年度の民間平均予測は1%にとどまる。日銀は実体経済の改善だけでなく、個人や企業の物価予想の上昇も消費者物価を押し上げると判断しているが、民間予測の多くはその効果をより慎重にみているようだ。
 デフレの克服には大胆な金融緩和が欠かせない。しかし物価目標の達成を絶対視するあまり、むやみに金融緩和を強化したがるような空気が広がるのは心配だ。
 大胆な金融緩和は投機マネーを膨らませる恐れがある。長期金利が想定以上に上昇し、景気の足を引っ張る可能性も残る。こうしたリスクにも配慮した弾力的な対応を黒田東彦総裁に望みたい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130703/plc13070303290009-n1.htmより、
産経新聞【主張】景気と参院選 回復軌道に乗せる方策を
2013.7.3 03:29 (1/2ページ)

 日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)で、企業の景況感が大幅に改善した。
 株価や円相場が乱高下する中で企業心理が好転したことは、期待先行とされるアベノミクスの政策効果が実体経済にも浸透してきた証左だ。民間主導の景気回復の兆しと前向きに捉えたい。
 肝心なことは、この足取りをより確かなものとすることだ。
 4日公示される参院選ではアベノミクスが大きな争点となる。長引くデフレから脱却して、国民が真に景気回復を実感できるようにする方策について、実のある与野党の論戦に期待したい。
 みんなの党は規制緩和の徹底で成長を目指す政策を掲げる。民主党が「アベノミクスの副作用」を言い募り、具体的な対案を示していないのは物足りない。
 今回の短観では、製造業・非製造業ともに幅広い業種で業況判断指数が改善した。急速な円安を追い風にした自動車などの輸出産業だけではなく、建設や不動産、卸売業、宿泊・飲食サービスなどでも、その傾向は顕著である。
 特筆すべきは、大企業による平成25年度の設備投資計画が予想を上回ったことだ。これまでは、高額商品中心に個人消費が上向く一方で、経済活性化に欠かせない設備投資の動きは鈍かった。
 投資意欲が向上し、老朽設備更新だけではなく、今後の事業展開をにらむ新規投資が活発化すれば本格的な景気回復も見通せる。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130703/plc13070303290009-n2.htmより、
2013.7.3 03:29 (2/2ページ)
 安倍晋三政権は秋にも投資減税を柱に新成長戦略をまとめる方向だ。参院選では設備投資を後押しする政策も競ってもらいたい。
 実体経済変化の兆しは、7カ月ぶりにマイナス圏を脱して下げ止まった5月の全国消費者物価指数にもみえる。円安による輸入品価格の上ぶれもあるが、デフレの象徴だった家電の値下がり幅が縮小したことが注目される。需要に支えられた物価上昇が広がれば、デフレ脱却も視野に入ってくる。
 課題もある。中小企業や地方の回復の遅れである。中小企業の業況判断指数は3カ月前より改善したとはいえ、マイナスだった。与野党には、景況感が好転した大企業との「時差」を早期に縮小するための知恵を絞ってほしい。
 民間に活力を取り戻し実体経済を強くしなければ、経済は再生しない。参院選で問われるのはその道筋をどう描けるか、である。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130628k0000m070105000c.htmlより、
社説:アベノミクス 「財政再建の矢」も語れ
毎日新聞 2013年06月28日 02時30分

 今月19日、主要8カ国首脳会議からの帰路、安倍晋三首相は伝統あるロンドン金融街のギルドホールに立った。自らが進める経済政策、いわゆるアベノミクスを売り込み、対日投資を促す講演のためである。
 そこで首相は「私を勇気づけてやまない先人」の話を披露した。大正から昭和にかけて首相、蔵相を歴任し、積極財政や日銀による国債引き受けを行った高橋是清だ。「深刻なデフレから日本を救った」とたたえ、1931年、4度目の蔵相に就任するやいなや高橋が金の輸出を停止した、そのスピード感を強調した。

 ◇高橋是清に倣う
 そして言い切った。「私はまさにそれを試みた。人々の期待を上向きに変えるため、あらゆる政策を、一気呵成(かせい)に打ち込むべきだと考えた」
 今度の参院選で問われる最重要テーマの一つがこのアベノミクスだ。首相が一気呵成に打ち込んだという経済政策の功罪、そして今後進むべき路線を国民がどう判断するかは、政権の命運ばかりか、国民のくらし、さらに経済の域を超えた政策や国の将来をも左右し得る。与野党に、わかりやすい論戦を求めたい。
 まず首相が一気に放った最初の2本の矢だ。2%の物価上昇目標を掲げた日銀による大規模金融緩和、そして公共事業を中心とした10兆円規模の大型補正予算である。
 確かに一気呵成だった。実際に政策が実行される前から、米国の緩和マネーを巻き込んだ円安・株高がハイペースで進んだ。しかし、想定されたシナリオとは逆に長期金利が上昇、「成長」の前提とする企業の設備投資にも火がつかない。政権はここへきて設備投資減税に言及し始めたが、円安・株高から次の段階に進展できていないことの裏返しだ。
 一方、アベノミクスがよりどころとする「期待」と密接な関係にある株高も、5月23日を境に一変する。米国の大規模な量的緩和が終わりに近づいていることを示唆したバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長発言が引き金になった。
 80兆円−−。これはこの日から、第三の矢である成長戦略の全貌が判明した今月13日までの約20日間で消えた、東証1部上場企業の合計時価総額だ。今後、株価上昇が再開する可能性はあるが、移ろいやすい期待と巨額なマネーが作る相場は不安定で企業経営や私たちの生活をかえって混乱させかねない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130628k0000m070105000c2.htmlより、
 では、これからをどう考えるべきだろうか。安倍首相は「自信を持って、ぶれずに実行していく」と従来路線の継続に意欲を見せる。「景気回復が実感できない」(民主、共産、社民など)といった指摘には、政策を着実に実行することで、実感できるようになる、と説く。だが、これでは納得できない。どのような経路で、政府・自民党が掲げる「今後10年間の平均で実質経済成長率を2%に」という目標が達成され、それが国民の収入増につながるのか。「企業の設備投資をリーマン危機前の水準に戻す」という目標自体、望ましいのか。踏み込んだ議論を望む。
 だが、アベノミクスの今後で何より問われるテーマは、安倍政権が語ろうとしない、足りない矢、つまり財政健全化である。

 ◇負担話から逃げるな
 2015年度、20年度の赤字削減目標を掲げるだけで、それを毎年の予算編成でどう達成していくのか具体的な計画が依然、不明だ。「夏までに」計画を作るというが、今が夏である。自民の公約が消費増税に言及していないのは異様だ。国民に負担を求める話こそ選挙前に語るのが筋ではないか。
 一方、野党も選挙公約を見る限り、財政健全化の優先度は総じて低い。増税や歳出削減に反対するだけでは、論戦が深まらず、結局、政権与党の問題先送りを許してしまう。
 なぜ財政再建を急ぐべきかといえば、理由はまさにアベノミクスにある。「大胆な金融緩和」のもと、日銀は多額の国債を金融機関から買っている。政府から直接買うわけではないので、財政法が禁じる国債の引き受けにあたらない、との説明だ。
 だがこの先、信頼性の高い健全化計画が示されず、財政悪化が続くようなことになれば、異次元の金融緩和は結局、国の借金の肩代わりに等しいと市場からみられるだろう。国債が売りたたかれ、日銀が無制限の買い支えを余儀なくされる事態は何としても防ぐ必要がある。民主党が今問題視しているマヨネーズの数%値上げとは比較にならない“異次元の物価高”を招きかねないからだ。
 ロンドンでの講演で、安倍首相が触れなかった結末がある。高橋是清は、インフレの兆しが出てきたところで歳出削減にカジを切ろうとするものの失敗し、結果として軍事費の膨張とインフレに歯止めがかからなくなる。
 時代背景は大きく異なるが、財政が金融緩和をあてにした借金に走り出すと、思うように止められなくなるとの教訓は、今日にも当てはまらないか。ばら色のスローガン合戦に目を奪われてはいけない。日本の将来を左右するこの問題に私たちがどう対応するか、の選択だ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013061502000120.htmlより、
東京新聞【社説】骨太の方針決定 曖昧な数字を並べても
2013年6月15日

 政府は経済財政運営の指針となる「骨太の方針」と成長戦略を閣議決定した。これでアベノミクスの当面の経済政策が出そろったが、改革の先送りや絵空事ばかりが目立つのはどういうことか。
 フランスにはリスト・ド・マリアージュという習慣がある。結婚予定のカップルが欲しい品々をリストアップし、友人や親族が手分けして贈るのである。伝播(でんぱ)した米英ではウィッシュリストという。
 安倍政権がまとめた成長戦略「日本再興戦略」は百五十ページ近くに及び、まるで中央省庁が予算獲得に向けてつくったウィッシュリストのようである。歴代政権が幾度となく出してきた経済対策と本質的には同じだ。ご丁寧に巻末の中短期工程表には予算の概算要求項目まで並んでいる。
 大胆な金融緩和、機動的な財政出動に続く第三の矢である成長戦略は「民間投資を喚起する」といっていたはずだ。しかし、実態は従来と変わらず官僚による官僚のための小粒で総花的な事業群で成り立っている。
 さらに問題なのは、女性の就業率向上といった真に国民のためになる対策がほとんどないことだ。原発再稼働や原発輸出、外資企業を優遇する国家戦略特区など、必ずしも国民が望んでいなかったり経済成長への寄与に疑問な事業がめじろ押しなのである。
 株式市場で失望売りが続いたように、「十年後に一人当たり国民総所得(GNI)を百五十万円増やす」などといった曖昧な数値目標を並べ立てても、期待も評価もされない。
 骨太の方針でも同様だ。財政再建に向けて、政策に必要な費用を税金で賄えているかを示す「基礎的財政収支」の赤字を、対GDP(国内総生産)比で二〇一〇年度に比べて「一五年度に半減、二〇年度までに黒字化する」という目標をあらためて掲げた。
 黒字化の目標を維持したのはいいが、肝心の道筋を示していない。一〇年度の赤字は三十三兆円もあり、目標達成は容易でない。どう実現するのかが問われるのに、予算額や税収の具体的な見通しである「中期財政計画」は参院選後に先送りしてしまった。
 相場の乱高下に慌てて、安倍晋三首相は法人税減税などの検討を打ち出したが、安易に対応すれば財政規律の緩みから金利急騰(国債暴落)の危険性がある。
 財政も成長戦略も、首相は覚悟を求められていることを自覚すべきである。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO56182550U3A610C1EA1000/より、
日経新聞 社説 財政健全化への道筋みえない骨太方針
2013/6/14付

 3本の矢から成るアベノミクスに欠けているのが国・地方自治体の財政健全化である。経済財政諮問会議は安倍政権のもとで経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)を4年ぶりに復活させ、財政の基礎収支を2020年度に黒字転換させる目標を盛りこんだ。
 放漫な財政運営は中期的には経済成長を妨げる。黒字化目標を堅持するのはよいとして、そこへの道筋を示していないのは問題だ。14年度以降の消費税増税を実施するとともに年金や医療費の膨張に切り込む具体策が不可欠である。
 基礎収支は、各年度の政策経費を国債発行などによる借金以外の財源でどの程度まかなっているかをしめす指標。13年度は国・自治体を合わせて国内総生産(GDP)比6.9%の大幅な赤字だ。
 赤字幅が12年度の6.6%より広がるのは、安倍政権のもとで編成した12年度補正予算が主因だ。与党の自民、公明両党の意を受けた過去2番目の大型補正である。
 景気浮揚を支えるのに必要な補正だったが、大震災の復興予算を含め、ばらまきのような歳出を混ざりこませていたのも事実だ。与党には13年度も大型補正を求める声がある。こんなことを繰り返していては、財政再建は夢の夢だ。
 骨太の方針は21年度以降について「GDPに対する債務残高の引き下げをめざす」と踏みこんだ。ならば社会保障費を中心とする歳出削減の具体策を示すべきだ。
 年金は実質支給額を小刻みに切り下げる仕組みを04年に導入したが、1度も実施していない。そのぶん高齢者がもらっている年金は過大になっている。早く是正しないと財政赤字を減らせないばかりか、年金の持続性が危ぶまれる。
 医療は効率化が喫緊の課題だ。一定のルールのもとに患者が最初にかかる医師を決める家庭医制度を根づかせる制度改革を急いでほしい。家庭医がゲートキーパー役を果たすことで重複検査・投薬は減り、医療費を節減できる。
 財源対策では、70代前半の窓口負担を法の規定通り原則20%に上げるのは当然として、収入や資産が多い高齢者に現役世代なみの負担を求めてもよいのではないか。
 どれも高齢者には苦い薬だが、避けて通れない道である。もちろん改革は社会保障だけの話ではない。公共事業費、教育費、対外援助費、防衛費、公務員の人件費なども費用対効果を見きわめつつ、不断の切り詰めが不可欠である。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130614k0000m070142000c.htmlより、
社説:骨太の方針 改革の覚悟が見えない
毎日新聞 2013年06月14日 02時32分

 政府の経済財政運営の基本方針、「骨太の方針」がまとまった。安倍政権の経済政策アベノミクスの第三の矢である「成長戦略」とともに14日に閣議決定される。経済再生に向け「財政健全化への取り組みが極めて重要だ」と明記した。しかし、予算を抑えたり減らしたりする具体策は示されていない。
 骨太の方針は小泉政権のもと2001年に始まった。国債発行に枠をはめ、道路特定財源見直しや歳出削減の数値も示すなど、財政再建や規制緩和を重視する構造改革路線の具体策が盛り込まれた。民主党政権でとりやめとなり、4年ぶりの復活だ。ところが、踏み込み不足の「骨抜きの方針」になってしまった。
 財政再建に向け、国と地方が政策に必要な費用を税金でまかなえているかどうかを示す基礎的財政収支を20年度までに黒字化する健全化目標を盛り込んだ。これは民主党政権で決めた目標の維持に過ぎない。
 歳出のうち社会保障について「聖域とせず見直す」と明記し、地方財政、公共事業も抑制や重点化を掲げたものの具体策は示されなかった。膨張する財政赤字に歯止めをかけないと経済は再生どころか破綻する。とくに社会保障の効率化は不可欠で給付削減や負担増から目を背け続けるわけにはいかない。国民に痛みを求めることも必要だ。だが、「経済再生と財政健全化を両立させる」という聞こえのいい文句が並ぶ。
 日経平均株価が13日、843円下落し、日銀が「異次元の金融緩和」を実施する前の水準に戻ってしまった。政府は1月、日銀と政策連携の共同声明を発表し、日銀は2%のインフレ目標と金融緩和を、政府は大胆な規制改革や持続可能な財政の確立を約束した。日銀は思いきった金融緩和を実施したが、セットであるはずの政府の約束が果たされないことが市場に悪影響を及ぼしている。
 成長戦略では医薬品のネット販売が目玉とされた。安倍晋三首相は「1人あたり国民総所得を10年で150万円増やす。もっとも重要な目標はこれだ」と説明した。産業競争力会議の民間委員や、官僚の主張をうのみにしているように見える。
 骨太の方針や成長戦略が具体策に乏しいとの批判を受け、安倍首相は新たな成長戦略を今秋に打ち出す方針を急きょ表明した。企業に設備投資を促す減税策など、足りないと指摘された税制の見直しにも着手するという。
 だが、株価下落に催促されて成長戦略を追加しても、大胆な規制改革や、財政健全化の道筋をより鮮明に示さなければ成果はおぼつかない。それに取り組む安倍首相の決意と覚悟が伝わってこないことが一番の問題なのである。

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