戦後補償判決 「日韓両政府とも重荷に」

http://mainichi.jp/opinion/news/20130715k0000m070122000c.htmlより、
社説:韓国の賠償判決 国家間の合意に反する
毎日新聞 2013年07月15日 02時32分

 安倍晋三首相と朴槿恵(パク・クネ)大統領の日韓首脳会談はいつ実現するのか? その展望も開けずにいる間に、また日韓間の難題が浮上した。
 植民地時代に日本の製鉄所で働かされた韓国人の元徴用工4人が、未払い賃金の支払いと損害賠償を求めた裁判である。
 ソウル高裁は新日鉄住金(旧日本製鉄)に対し原告1人当たり約880万円相当の支払いを命じた。戦後補償問題で韓国司法が日本企業に賠償を命じたのは初めてだ。この判決の問題点を指摘せざるを得ない。
 1965年の日韓国交正常化の際に、両国は日韓請求権協定に署名した。総額8億ドル以上の請求権資金を日本が供与し、韓国側は個人の未払い賃金なども含む対日請求権を放棄することで合意したのである。
 もちろん、韓国民の間には大きな不満が残った。他国に支配され、流血の弾圧も受けた屈辱と被害感情が尋常なものであるはずがない。
 だが、国家間の合意は一方的に破られてよいものではない。今回判決の原告のうち2人は日本でも訴訟を起こしたが敗訴、韓国での裁判でも1、2審で敗訴した。韓国政府も口出ししなかった。日韓合意を尊重してきたものと見てよかろう。
 それなのに今回、原告勝訴となったのは、昨年5月、韓国の最高裁にあたる大法院が新たな見解を示し、ソウル高裁に差し戻したからだ。
 その見解は「日本による韓国支配は違法な占領であり、強制動員自体を違法と見なす韓国憲法の価値観に反している」などと、現在の視点で過去を判断するかのような内容を含んでいる。その上で、日韓の協定があっても徴用工個人の請求権は消滅していないと断じたのである。
 その結果として今回判決はある。それは今回同様の判決が続く可能性が高いことを意味する。韓国で係争中の元徴用工の訴訟は今回を含め6件というが、新たな集団訴訟の動きもあるようだ。
 しかし徴用工への補償は本来、日本が供与した請求権資金で賄われるべき性質のものだったろう。高度経済成長を優先したために補償が遅れたのは国家的な選択だった。その後、一定の救済措置がとられている。
 そして日韓国交正常化後の日本の歩みは総体として、決して不誠実なものではなかった。国家、企業、団体などのレベルで協力と貢献が続いたことは、まぎれもない事実である。その実態が韓国民に十分知られていないのは残念なことだ。
 こうした現実を勘案する時、韓国大法院の見解を日本社会が納得して受け入れることはないだろう。少なくとも韓国政府は日韓請求権協定を尊重し続けるべきである。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130712/trl13071203180000-n1.htmより、
産経新聞【主張】戦時徴用賠償 根拠なき要求に拒否貫け
2013.7.12 03:17 (1/2ページ)

 戦時中に日本で徴用された韓国人4人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)に未払い賃金などを求めた訴訟で、ソウル高裁が同社に対し1億ウォン(約880万円)ずつの賠償を命じた。
 請求権問題は解決済みとする日韓両国の協定に明確に違反しており、日韓関係をさらに悪化させかねない不当判決である。
 今回の判決は昨年5月、韓国最高裁が「日本の植民地支配は不法な強制的占拠」と元徴用工の個人請求権を認め、審理を高裁に差し戻したことを受けたものだ。高裁も徴用を「朝鮮半島の不法な植民地支配と侵略戦争遂行に直結した反人道的な不法行為」と決めつけ個人の賠償請求権を認めた。
 だが、昭和40年の日韓基本条約の付属文書である日韓請求権・経済協力協定では、日本が無償供与3億ドルと政府借款2億ドルなどの経済協力を約束し、両国とその国民(法人を含む)の請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決された」と明記された。菅義偉官房長官が「日韓間の財産請求権は完全、最終的に解決済み」と判決を批判したのは当然である。
 韓国では三菱重工業など日本企業に対する同様の訴訟が5件起こされており、同様の判決が出される可能性が高い。新日鉄住金は韓国最高裁に上告する方針だが、棄却の公算が大きい。原告側が一部被告企業に和解をもちかけ、分断を図ることも考えられ、日本側は足並みをそろえる必要がある。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130712/trl13071203180000-n2.htmより、
2013.7.12 03:17 (2/2ページ)
 賠償命令が確定すれば、日本企業の韓国での保有資産が差し押さえられる恐れもある。日本政府は韓国が公権力を行使しないよう強く働きかけねばならない。
 韓国の裁判所が解決済みの賠償問題を蒸し返すようになったのは一昨年夏からだ。憲法裁判所が元慰安婦の賠償請求に関し、韓国政府が具体的措置を講じてこなかったのは違憲だと判断したことが契機となっている。
 今年1月、ソウル高裁は靖国神社の門に放火した中国籍の男を一方的に「政治犯」と認定し、日韓犯罪人引き渡し条約に基づく日本側への身柄引き渡しを拒否した。2月には、韓国の地裁が長崎県対馬市の寺から盗まれ韓国に持ち込まれた仏像の日本への返還を差し止めた。文化財に関する条約に違反している疑いが強い。
 韓国の司法には、理性的な判断をしてほしい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013071202000164.htmlより、
東京新聞【社説】戦後補償判決 日韓両政府とも重荷に
2013年7月12日

 戦時中に韓国人労働者を徴用した日本企業に対し、韓国の裁判所が初めて賠償を命じた。外交上「解決済み」とされる戦後補償問題がまた浮上し、日韓関係の新たな火種となる恐れがある。
 ソウル高裁は旧日本製鉄(現・新日鉄住金)の元徴用工四人が同社に損害賠償を求めた訴訟の差し戻し控訴審で、請求通り日本円換算で一人約八百八十万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
 植民地時代の個人の財産や労務の請求権について、日本政府は一九六五年の日韓請求権協定により消滅したとみなし、韓国政府も長年異議を唱えなかった。在韓被爆者、サハリン残留韓国人、元従軍慰安婦という三つの問題は日韓双方の合意により、救済するか、償いを図る対応が取られた。
 工場や鉱山などの徴用、労働に対しては韓国側が独自に生活支援の名目で慰労金を払った。日韓双方の裁判所に提訴してもこれまでは原告が敗訴した。
 しかし、ソウル高裁判決は六五年協定での請求権消滅について「両国が一致したとみる十分な根拠がない」と判断し、「日本製鉄の強制労働は当時の日本政府の不法な植民地支配に直結した反人道的行為だ」と指摘した。
 判決は戦後日韓関係の出発点になった協定を否定するものだ。徴用による原告らの苦難には胸が痛むが、「不法な植民地支配」との表現は、現在の価値観によって約百年前の条約が不当だったとみなしており、国際的な基準からみても無理があるのではないか。
 日本政府は請求権は解決済みとの見解をあらためて表明した。新日鉄住金は不当判決として上告する。だが、韓国最高裁は昨年、個人請求権は現在も有効だとの判断を示して差し戻しており、上告しても判決が覆る可能性は低い。
 今回の判決は韓国政府にとっても重荷になる。もし協定の不備を主張するなら、日韓関係の原則そのものが揺らいでしまう。一方で司法判断や世論を意識すれば、いっそう歴史認識での不満を表明せざるを得ないだろう。これでは安倍晋三首相と朴槿恵大統領の首脳会談は見通しが立たない。
 日韓協定により日本は有償二億ドル、無償三億ドルの経済協力(請求権資金)を供与し、当時の朴正熙政権がインフラ整備に充てて経済躍進の基礎を築いた。今の朴大統領の父である。戦後の協力が言及されず、歴史の対立ばかりが強調されるのは残念でならない。

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