風知草:あまちゃん国家 山田孝男氏

http://mainichi.jp/opinion/news/20130715ddm003070048000c.htmlより、
風知草:あまちゃん国家=山田孝男
毎日新聞 2013年07月15日 東京朝刊

 人気絶頂のNHKの朝ドラは毎回、「まだまだあまちゃんですが」という字幕と写真で終わる。
 官庁の機密などが、グーグルのメール共有サービスを通じて丸見えになっていたというニュースは、国際情報戦争の実態を知らない日本人の、「まだまだあまちゃん」の頼りなさをよく映し出している。
 失態は読売新聞(10日朝刊)の特報で露見した。医療機関や官庁などが「グーグルグループ」というサービスを使い、仕事の仲間内で患者の個人情報や内部資料を共有していた。
 ところが、設定ミスで閲覧制限のタガが外れ、世界中の誰もが読める状態になってしまった。分けても環境省の場合、資料に外国政府との非公開の交渉記録が含まれていたため、菅義偉(すがよしひで)官房長官(64)は記者会見で「論外」と憤激、省庁横断の対策会議でユルフンを締め直すと誓った。
 それで締まるか。インターネットに対する甘い認識が改まるか。情報セキュリティー(安全管理)の専門家に聞くと、「期待できない」とニベもない。
 専門家は、この騒ぎのどこに注目するのか。
 「愚かだと思うのは外交に関わる情報をインターネットに書き込んだことですね。ヤバイという自覚もない。公務員がGメール(グーグル社が提供するフリーメールサービス)などを使うのは論外ですよ」
 コンピューターの検索エンジン「グーグル」を運営するグーグル社はアメリカの企業である。アメリカには愛国者法がある。愛国者法は捜査機関に通信傍受を広く認めており、政府当局はグーグルに書き込まれた情報を引き出せる。
 いま、モスクワの空港にいるエドワード・スノーデン(30)の暴露を見よ。アメリカ政府はIT企業各社の協力を得て通信傍受している。各社とも積極的な情報提供はしていないと言っているが、「泣く子と愛国者法には勝てぬ」以上、強制傍受も見て見ぬふりというのが実態だろう。
 ご教示いただいた専門家は、政治とも社会運動とも無縁の技術者だが、問題の背景を語るうちに憂国の情がほとばしり出た。
 「アメリカのコンピューターシステムの中に入って書き込んだり、情報を取ったりするということの意味合いを、ほとんどの日本人が理解していない」
 「ヨーロッパの人々はアメリカに情報を置こうとはしません。プライバシーや情報の価値に対する自覚がない日本は国家のタガが外れている。国の体をなしていないと思います」
 そういえば、ツイッターもフェイスブックも、アメリカの企業が提供するサービスである。携帯端末を活用した安倍晋三首相(58)のこまめな書き込みがしばしば話題になるが、セキュリティーは大丈夫か。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130715ddm003070048000c2.htmlより、
 報道によれば、オバマ米大統領の携帯端末には、発信地を隠し、外部からのアクセスを制限するなど特別仕様の暗号化が施されているという。安倍首相の携帯はどうなのだろう。
 タダで便利で働き者のインターネットには別の顔がある。利用のしかたを記録し、その情報を広告主に伝える通報者の顔だ。情報は次のマーケティングの原動力であり、時として捜査機関の資料にもなる。
 こちらが世界を自在に眺めているつもりで、じつは監視されている。じぇじぇじぇ! 現代サイバー(=コンピューター)戦争の過酷な現実に目を開き、甘過ぎるネット依存を改めねばならない。(敬称略)=原則、毎週月曜日に掲載。参院選報道のため、次回は29日に掲載します。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中