中国「隠れ借金」 改革の試練が始まる
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130717/chn13071703140000-n1.htmより、
産経新聞【主張】中国経済減速 いびつな成長から脱却を
2013.7.17 03:13 (1/2ページ)
世界経済の成長エンジンだった中国経済の鈍化傾向が鮮明になってきた。習近平政権は、中国発の世界経済危機を招かないよう、経済運営に細心の注意を払わなければならない。
同時に中国経済が構造改革の緒にあるということを忘れてはならない。従来の超高度成長モデルは深刻な格差拡大や汚職の蔓延(まんえん)、環境破壊など、さまざまな矛盾を内包していた。過剰な投資で経済規模ばかりを追求したいびつな成長路線から脱却し、世界2位の経済大国にふさわしい経済構造に転換しなければならない。
中国の4~6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、2四半期連続で減速し、前年同期比7・5%にとどまった。
日本と比べれば高い水準だが、かつての中国は、8%を下回ると雇用に不安が生じる懸念があるとも指摘されていた。成長を支えてきた頼みの輸出にも急ブレーキがかかり、6月は事実上3年7カ月ぶりのマイナスとなった。
10%超の成長率が当たり前だったころの中国経済は、安価で豊富な労働力に裏打ちされた輸出と、積極的な投資に支えられてきた。だが、ここにきて賃金上昇や高齢化による生産年齢人口の減少が懸念されている。
「影の銀行(シャドーバンキング)」と呼ばれる不透明な金融取引が過剰投資の温床となり、不良債権化の懸念も大きい。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130717/chn13071703140000-n2.htmより、
2013.7.17 03:13 (2/2ページ)
もはや、従来型の高度成長路線は困難である。投資規模の拡大に偏るのではなく、消費が経済を牽引(けんいん)する安定的な経済成長に移行することが喫緊の課題だ。そのためには、影の銀行などの膿(うみ)を出す構造改革が欠かせない。
今のところ習政権は、景気減速を受けた対症療法的な景気刺激策には慎重だ。影の銀行対策では金融を引き締めている。量から質へと経済構造の転換を図ろうとする方向性は評価できる。
世界経済に甚大な影響を与えるようでは論外だが、まずは、習政権の改革姿勢を見極めたい。
その際、中国が経済実態を正確に開示すべきことは当然だ。米中戦略・経済対話で米国が中国の改革継続を求めたように、19日から開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では中国経済も焦点のひとつとなる。
中国が都合の悪い経済実態を隠すことは許されない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO57421850X10C13A7EA1000/より、
日経新聞 社説 中国の景気減速で問われる企業の戦略
2013/7/17付
中国の4~6月期の国内総生産(GDP)は前年同期に比べ実質7.5%増にとどまり、伸び率は2四半期連続で下がった。当面、成長率が急回復する可能性は小さいとみられ、中国の高成長を糧としてきたグローバル企業は新たな戦略を問われている。
4~6月期は外需の伸び悩みが目立った。輸出は4%増にとどまり、前年同期比18%増を記録した1~3月期から大きく減速した。
投機資金を持ち込むことを狙った「水増し輸出」への取り締まりを強化したため、統計上の輸出の伸びが落ち込んだという面が大きい。ただ、人民元の上昇や人件費の高騰で一部産業の輸出競争力そのものが衰えた点も見逃せない。
投資に過度に依存してきた成長のあり方を共産党政権が改めようとしていることも、景気が力強さを欠く一因になっている。
リーマン・ショックの後に共産党政権が打ち出した景気対策は、成長率のV字回復をもたらした半面、不動産バブルや格差の拡大、環境破壊などを加速した。銀行を介さない金融取引、いわゆるシャドーバンキング(影の銀行)の膨張にもつながり、金融システムの健全性に疑念を招いている。
習近平国家主席や李克強首相らが率いる新指導部は、長い目で見て健全な発展に役立つ構造改革を進めるため、短期的には景気が減速することを容認する構えとみられる。当面、成長率の急回復は望み薄といえる。
中国の景気減速はすでに世界経済に影を落としている。鉄鉱石や銅などの国際商品相場が低迷し、アジア開発銀行(ADB)は今年のアジア地域の成長率を下方修正した。企業の世界戦略が問い直される局面を迎えたといえそうだ。
トヨタ自動車やホンダは、かつてドル箱だった米国経済の復調も見据えて、北米での生産能力増強に乗り出した。一方、日中間の政治的な緊張もあって「中国では事業拡大のアクセルを踏み込みにくい」という企業経営者は多い。
とはいえ、世界2位の規模である中国市場を軽視していいわけはない。景気減速下でも、環境に優しい製品や、安心や安全、より快適な生活につながる製品・サービスへの需要は着実に増えている。
そうした製品・サービスは、共産党政権が消費主導の成長を目指して進めようとしている構造改革にも役立つ。中国の人たちの需要を深く読み取る力が求められる。
http://mainichi.jp/opinion/news/20130717k0000m070117000c.htmlより、
社説:中国経済減速 改革の試練が始まる
毎日新聞 2013年07月17日 02時31分
中国経済が重大な転換点にさしかかっている。成長の鈍化が続く中、前政権下で進んだマネーの膨張や過剰投資をスムーズに是正できるかが焦点だ。かじ取りに失敗すれば、深刻な打撃が中国社会だけでなく世界を揺さぶる恐れがある。
今年4〜6月期の国内総生産(GDP)伸び率は前年同期比7.5%と前期よりさらに減速した。先進国の基準からすると依然高いが、2年ほど前まで9〜10%の拡大を続けていた中国経済である。5四半期連続の7%台成長は、中国経済が新しい局面に入ったことを明示している。
注目すべきは、そうした成長の鈍化を政府が容認している点だ。かつてのような景気浮揚策を選ばず、輸出や投資頼みの高度成長から、消費主導、巡航速度の成長へかじを切ろうとしている。調整過程で社会に痛みが及ぶのは避けられないが、ある程度受容する構えのようだ。
中国でも、自律的な安定成長のためには自由化、効率化の改革が不可欠である。政府は今年、7.5%の成長目標を掲げているが、多少の下振れがあっても、改革推進の姿勢を崩してはならない。
課題の中でも金融に関する改革は急務だ。李克強首相率いる政府は、開発ブームを後押しした「影の銀行」(シャドーバンキング)と呼ばれる、不透明な融資にメスを入れ始めた。当局の監督下にある銀行を経由しない非正規の融資が横行した背景には、成長目標達成が最重視されてきた地方行政や、銀行が自由に金利設定できない規制などがある。
リーマン・ショック後に実施された4兆元(約64兆円)の大規模景気対策を受け、地方政府は競うようにインフラ投資や不動産の開発を進めたが、そこにシャドーバンキング経由で流入したのが、高利回りを狙った富裕層や企業のマネーだった。
そうした資金はリスクの高い投資対象にも向かったとされ、不良債権化すれば、地方政府、企業、個人が巨額の損失を被る恐れがある。
危機を回避しつつ、改革を進めていくことは至難の業だろう。必要な金利の自由化も、安全網としての預金保険制度を整備しなければ、銀行間の競争激化で破綻、そして金融不安へとつながりかねない。一方、成長の急激な減速は、雇用情勢を悪化させ社会不安をもたらす心配がある。既得権益で潤ってきた勢力の反発を招き、政治が不安定化する可能性も排除できない。
世界経済を支えてきた中国経済は、痛み覚悟で、規模優先から質重視の成長という次のステージに踏み出した。各国の政府、中央銀行、そして企業も、新しい現実を受け入れ、対処する覚悟が求められる。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 7月 16 日(火)付
中国経済―不透明な体質にメスを
中国の4~6月期の経済統計が発表され、成長の鈍化傾向がはっきりしてきた。
投資、消費動向、輸出、どれをとっても力が不足ぎみだ。国際通貨基金(IMF)は、中国の今年の経済成長率について8・0%としていた4月時点の見通しを、わずか3カ月で7・8%へと下方修正した。
7%台という成長率自体、さほど悪いわけではない。世界が中国に注目するのは、金融システムに爆弾を抱えているのではないか、との懸念があるからにほかならない。
話は08年、リーマン・ショック直後に中国が打った大型景気対策にさかのぼる。当時その規模と素早さを称賛する声が多かったが、内情はお粗末だった。
中央政府の号令を受けた地方政府は、一斉に公共事業や不動産投資に走った。資金の大半は自力調達が求められたが、銀行の通常の融資には制限が多い。
そこで、信託会社が高利の金融商品で個人から集めた資金や、国有企業の余裕資金が流れ込んだ。これがシャドーバンキング(影の銀行)と呼ばれる、不透明な融資の膨張である。
全体像は分からない。政府は関係する金融商品の総額を8・2兆元(約130兆円)とみているが、それをはるかに上回るとする推計もある。それが、誰も入居しないアパートやオフィスビルの建設につぎ込まれた。早晩、不良債権が表面化する。
景気が減速しているにもかかわらず、李克強(リーコーチアン)首相は新たな景気対策に慎重だ。むしろこの機をとらえて投資を絞り、改革を進める狙いだろう。一時的に混乱はあるにせよ、判断として筋はとおっている。
ただ、問題の根は深い。非効率な投資が横行する一方、潜在力のある民間企業に資金が回らないという金融構造。成長志向から投資に走りがちな地方政府の体質。こうした病巣に、どこまでメスを入れることができるのか。現政権の力量をはかる試金石となろう。
中国の現状について、米国を震源に世界を揺るがせたサブプライムローンになぞらえる論調がある。当時は日本を含む各国の金融機関がかかわり、多大な影響を受けた。
シャドーバンキングは基本的に中国の国内問題であり、事情は異なる。とはいえ、貿易、投資を通じ各国と関係を深めた世界第2の経済大国が変調をきたせば、影響は大きい。
中国政府には、問題の所在と改革の道筋、解決の見通しについて、世界に説明していく責任がある。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO57042210W3A700C1EA1000/より、
日経新聞 社説 中国に改革の再起動迫る金融の揺らぎ
2013/7/6付
中国の金融システムの健全性に対する疑念が強まり、世界の市場の不安要因になっている。不透明で投機的な資金の流れが大きく膨らんでおり、その相当部分が不良債権になるのではないかという心配が浮上しているのだ。
中国政府はこうした資金への締め付けを強めている。金融システムの健全化へ欠かせない対策だが、やみくもに進めるとかえって動揺を増幅しかねない。繊細なかじ取りが求められる局面だ。
不安のタネはシャドーバンキング(影の銀行)と呼ばれる資金の流れだ。厳しい規制を受けている銀行を介さない金融取引のことで、「理財商品」と呼ばれる高利回りの資産運用商品や、企業同士がじかに資金を貸し借りする「委託融資」などがある。
当局によれば3月末の残高は理財商品だけで8兆2000億元(約130兆円)。12年の名目国内総生産(GDP)の約16%に相当する。シャドーバンキング全体では当然もっと巨額になる。
かなりの部分は投機的な不動産開発などに回ってきたとみられるが、実態は不透明だ。リーマン・ショックの元凶となったサブプライムローンに似ているとも指摘され、放置すれば金融システム全体を揺るがしかねない。中国政府の管理強化は当然といえる。
ただ、上半期末を控えた6月下旬に上海の銀行間取引金利(翌日物)が13%という異常な水準に達したことが示すように、慎重な目配りをしなければ短期的には金融システムを不安定にする。
当局が柔軟姿勢に転じてこの上半期末は乗り切ったが、こうした機動的な対応も当面は重要だろう。締め付けが効き過ぎてリーマン・ショックのような激しい調整になれば、中国はもとより世界の経済に深刻な打撃となる。
シャドーバンキングが台頭した一因は改革の停滞にある。銀行の預貸金金利への規制や融資が国有企業に傾きがちなことが、不透明な資金を膨らませた面がある。監督を強化する一方で金利の自由化などを進め、透明性を高める制度改革に乗り出すときだろう。
シャドーバンキングの急拡大はリーマン・ショック後の中国政府の大胆な景気刺激策がきっかけだった。過度に投資に頼った経済成長の限界を今回の金融不安は浮き彫りにしたといえる。量の拡大より質の向上による経済成長への脱皮が、改めて問われている。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130630/chn13063003590001-n1.htmより、
産経新聞【主張】上海株急落 「影の銀行」の実態明かせ
2013.6.30 03:15 (1/2ページ)
中国経済が変調を来している。上海株式市場の株価が、連日のように今年の最安値を更新している。銀行間で貸し借りする際の取引金利が急騰したことで、中小銀行の資金繰りが悪化し、経営破綻が相次ぐ懸念が広がったためだ。
中国はこれまでも成長鈍化が懸念されてきたが、今回の金融不安は一段の景気減速を示唆する。中国経済が揺らげば世界経済への打撃は深刻だ。中国発の危機を避けるためにも、習近平政権は不安を解消しなければならない。世界第2位の経済大国として、中国が果たすべき当然の責務である。
上海株下落は、最近の中国で問題視されてきた金融取引「影の銀行(シャドーバンキング)」による負の影響が大きい。金融機関が正規の貸し出し以外で運用することを指す。その一種である高利回りの財テク商品が6月末に大量の償還期を迎え、銀行の資金繰りが大きな焦点になっていた。
一党独裁の国家資本主義である中国では、預金や貸し出しの金利をがんじがらめに規制し、銀行を管理している。シャドーバンキングが活発化する背景だ。
財テク商品で集めた資金は、採算性の低い地方政府の開発事業や経営不振企業にも流れ、不良債権化が懸念されている。
中国人民銀行(中央銀行)はシャドーバンキングによる余剰資金の是正に動いている。方向性は正しいが、蛇口を締めるだけでは、銀行の資金繰りが立ちゆかなくなる難しさがある。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130630/chn13063003590001-n2.htmより、
2013.6.30 03:15 (2/2ページ)
中国では経済統計の信頼性が疑問視されるように、シャドーバンキングの実態もよく見えない。好成績を誇示したい地方政府などが収益性無視で過剰投資に走れば、破綻したときの影響は甚大だ。
海外から疑心暗鬼の目が向けられないよう、習政権は、銀行が簿外でかかわるシャドーバンキングの実態について透明性のある情報開示に努めてもらいたい。
計画的な不良債権の処理も必要だ。その際には企業淘汰(とうた)などの痛みも伴うはずで、急激な景気悪化を避ける配慮が欠かせない。
中国に進出する日本企業も、こうしたリスクは当然、認識すべきだ。金融不安が実体経済に波及する最悪の事態に備えることだ。中国のいびつな経済構造が改まらなければ、大きな代償を払わされることを忘れてはならない。
http://mainichi.jp/opinion/news/20130508ddm003030140000c.htmlより、
クローズアップ2013:中国、隠れ借金の不安
毎日新聞 2013年05月08日 東京朝刊
【北京・井出晋平】中国で、地方政府の借金増大への懸念が高まっている。地方政府が、開発会社を設立して不動産開発やインフラ整備などの投資を増やしていることが要因。「シャドーバンキング」(影の銀行)と呼ばれる実態がつかみにくい投資会社などからの「隠れ借金」も増えている。不動産価格下落などで借金返済が滞れば中国経済全体に打撃を与えかねず、欧米の大手格付け会社は中国国債の格下げに踏み切った。中国経済のアキレスけんになる危険性も指摘されている。
◇地方、巨額投資で開発ラッシュ
中国西部、陝西省の省都・西安市。市内南西部の開発区、曲江新区はマンションの建設ラッシュを迎えている。唐時代に長安の都が置かれた同市は観光施設と宅地をセットにした開発を発展の柱にすえており、同区はその目玉。完成した第1期部分は約16平方キロ。最終的に150平方キロに広がる。唐時代を再現した観光施設を中心に、30階建て以上のマンションや赤い屋根で統一された低層住宅が並び、街全体がテーマパークのようだ。
開発主体は、同市が設立した開発会社。農村や荒れ地だった土地の地価は6年間で10倍以上に高騰。その販売で得られる利益を担保に銀行などから借金して開発を拡大しており、その構図はバブル期の日本のリゾート開発を思い起こさせる。
同区の新築マンションの価格は、物件によっては100平方メートルで100万元(約1600万円)以上と大都市並みに上昇。平均年収約2万元の市民には高根の花だ。地元共産党幹部は「周辺の省からの購入もあり、売れる見込みはある」と胸を張るが、入居率は約4割。この開発会社は昨年9月末に赤字になり、借金も2年間で倍増。資金繰りの厳しさが指摘されている。
西安市などの地方政府の借金が増えている背景には2008年のリーマン・ショック後に行った4兆元(約64兆円)の景気対策がある。開発会社が銀行から巨額のお金を借りて投資した結果、借金が膨れ上がった。その後も景気対策のため各地方政府は投資を拡大させており、借金はさらに増えているとみられる。
中国政府は11年6月に10年末時点の地方政府の借金総額を約10兆7000億元(約172兆円)と発表。その後は公表していないが、12年末時点で15兆3000億元(中国の華泰証券)、20兆元超(項懐誠元財政相)など複数の試算があり、実態は不明だ。なかでも「影の銀行」と呼ばれる銀行以外の投資会社などからの借金が増えているとみられる。開発会社は債券を発行したり、投資会社を通じて高利回りの金融商品を売り出したりして資金を集めており、実態不明の「隠れ借金」となっている。
http://mainichi.jp/opinion/news/20130508ddm003030140000c2.htmlより、
◇バブル崩壊、懸念の声も
「金融部門の資産の質に問題が生じる恐れがある」。欧州系格付け会社フィッチ・レーティングスは4月9日、中国の格付けを「AAマイナス」から「Aプラス」に引き下げた。米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスも同16日、中国国債の格付け見通しを引き下げた。現在、不動産価格は上昇しているが、価格が下落すれば実態不明の借金が焦げ付き、銀行の経営が悪化して経済全体に悪影響が及ぶ可能性があるためだ。
銀行でも債券を買う形でお金を貸し続けているケースもあるほか、複数の開発会社の債券などを組み合わせた金融商品が出回るなど、中身が見えにくくなっている。ちょうどバブル期の日本の住宅金融専門会社(住専)や米国のサブプライムローン商品に似た構図になっている。
李克強首相は4月17日に主宰した国務院常務会議で「地方政府関連の債務に存在するリスクを効果的に予防する」と表明。銀行に開発会社への融資を控えるよう指示したり、開発会社がさまざまな手段で借金するのを禁止する通達を出したりし、借金抑制に本腰を入れ始めた。
だが一方で、中国政府は経済成長の新たな政策として、発展の遅れた農村部を開発する「都市化」を打ち出している。都市化の投資には、今後3年間で約25兆元(約402兆円)の資金が必要との試算もある。各地の地方政府はすでに相次いで大型の投資計画を発表しており、中国社会科学院財経戦略研究院の楊志勇研究員は「借金の実態を公開し無駄な投資をやめなければ、さらに借金が増えて問題は先送りされる」と警鐘を鳴らす。
◇開発会社、日本の三セクに酷似
中央と地方の財政構造のゆがみも、借金が増える要因だ。1994年に地方の税源の一部を中央政府に振り替えたことで、地方税収が減少。その一方で景気てこ入れ策やインフラ整備など増大する支出は地方政府が負担している。地方政府本体による地方債発行は厳しく制限されているため、開発会社を受け皿に借金をして投資せざるを得ない状態だ。開発会社は日本の自治体の第三セクターのような存在で、2010年末時点で中国全土の省や県、市に6576社あるが、ほとんど情報が開示されておらず経営状況は不明だ。
中国は国内総生産(GDP)に占める投資の割合が約4割強と日本の高度成長期(約3割強)に比べても高い。地方政府幹部の評価は、経済成長が重視されるため、手っ取り早い開発投資を拡大させる傾向が強い。
http://mainichi.jp/opinion/news/20130508ddm003030140000c3.htmlより、
みずほ総合研究所中国室の三浦祐介研究員は「現在の中国経済は、借金を減らせば投資が減って経済成長が鈍る構造。財政破綻しても借金削減に取り組んでも成長が落ち込む可能性があるので、日本も対中輸出減などの影響を受ける恐れがある」と指摘。「根本的な解決には、投資に過度に依存する経済成長を変える必要がある」と話している。