参院選 社会保障「財源を語らない無責任」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013071802000167.htmlより、
東京新聞【社説】<2013岐路>消費増税 意思示す最後の機会だ
2013年7月18日

 消費税を来年四月に引き上げるか、あるいは延期するか。おそらく参院選は消費増税への意思を示す最後の機会である。問題の多い増税にノーを突き付ける時だ。
 昨年八月に成立した消費増税法は消費税を二〇一四年四月に8%、一五年十月から10%に引き上げると定める。ただ、付則で「景気を勘案する」との条項がある。
 一年半の間に5%から10%に倍増させる消費増税は、上向きかけた景気を腰折れさせるおそれがある。一方で消費増税を延期した場合、財政再建に消極的だとして海外から不信を買う可能性はある。
 安倍政権は八月に発表される今年四~六月期のGDP(国内総生産)速報などの経済指標をみて秋に最終判断をするという。しかし、大事なのは官庁発表の数字よりも国民の生活実感である。有権者の声にもっと耳を傾けるべきだ。
 今参院選は増税決定前の最後の国政選挙になるだろう。本来なら、引き上げの是非のみならず消費増税そのものについて、活発な議論があってしかるべきだ。自民、公明、民主、維新が賛成。みんな、共産、生活、社民などは反対を主張するが与野党ともに低調なのはどういうわけか。
 それは安倍政権の態度がはっきりしないせいである。決定は秋だとしても、延期しない場合に景気腰折れを防ぐにはどうするのか、延期の場合には財政再建にかける信認をどう取り付けるのかを示すべきである。増税延期への期待をつなぎ留めつつ選挙戦を乗り切ろうというのであれば、これほど有権者をばかにした話はない。
 私たちは消費増税にずっと反対している。逆進性のある消費税で社会保障費を賄うのであれば低所得層ほど重い社会保障コストを負担することになる。健康保険や雇用保険などの社会保障は労使折半で負担してきたのに、消費税となれば企業の負担だけ軽減されることになる。結局、企業や金持ちが優遇されるのである。
 行財政改革、例えば天下り先に巣くうシロアリ官僚の退治など、増税前にやるべきことがあるとも主張してきた。復興予算の流用のように、血税が無駄な公共事業や利権に回る懸念もある。
 英国では付加価値税(消費税に相当)を一〇年から一年間に段階的に5%引き上げたところ、景気が減速し税収総額は増えなかった。デフレ脱却のためにも、無理な消費増税は見送るべきだ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 7月 16 日(火)付
社会保障―選挙で我慢を説く勇気

 財政難のなかで暮らしの安心をどう維持するか。参院選で社会保障は以前ほどの争点になっていないが、日本にとって最大の焦点のひとつだ。
 選挙で政治家が我慢を説く勇気を持ち、有権者も耳を傾ける。そんな関係を築きたい。
 年金、医療、介護について、自民党の公約は「社会保障制度改革国民会議の審議の結果等を踏まえて必要な見直しを行う」と素っ気ない。
 できもしない「改革」を掲げるよりはましだが、何も言っていないに等しい。国民会議は有識者の集まりだ。どんな提案が示されても、政治が実現に走り回る覚悟を迫られる。
 実際、選挙後には厳しい政策の実施や難しい決定が待ち受ける。たとえば年金では、減額が視野に入ってきた。
 年金制度は、世代から世代へと受け渡す「お財布」のようなものだ。いまの受給者が使い過ぎれば、将来世代の年金が少なくなってしまう。
 このため、人口構成の変化に対応して年金を自動的に抑制する「マクロ経済スライド」という仕組みがある。04年の年金改革で導入された。
 ところが、一度も発動されていない。(1)過去の物価下落時に政治判断で高止まりさせた年金を本来の水準に下げる(2)物価が上がる、という前提条件がそろわなかったからだ。
 ただ、(1)は今年10月から1年半かけて段階的に引き下げることが決まった。(2)もアベノミクスや消費増税で、現実味を帯びてきた。
 環境が整うにつれ、減額や抑制の回避を求める声は高まる。本当に実現できるのか。
 民主党は街頭演説などで「物価が上がっても、年金が減る」と不安をあおり、「物価上昇についていく仕組みを考える」という。だが、将来世代の負担には口をつぐみ、たちが悪い。
 他の党も、日本維新の会が「年金目的の相続税」で負担増を求めるが、公明党は「年金加算の拡充」を掲げるなど、耳あたりのいい政策が目立つ。
 医療では、主に中小・零細企業の社員や家族が入る協会けんぽの保険料が昨年度、10%に達した。給料が下落傾向にあるなかでの負担増が続いている。
 その支出の4割は高齢者向け医療に回っている。現役世代への依存には限界がある。
 これからは年齢ではなく、所得や資産に応じて税や保険料を負担する方向が望ましい。余裕のある高齢者にも我慢を求めない限り、制度が維持できないことを政治は語るべきだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO57346830U3A710C1PE8000/より、
日経新聞 社説 年金・医療と財政どう立て直すのか
2013/7/14付

 与野党とも積極的に語るのを避けているきらいがあるが、年金や医療制度をどう立て直し、財政再建にどうつなげるのか。未曽有の少子化、先進国で最速の高齢化という二重苦に直面する日本経済にとって、社会保障改革は国政選挙の普遍の課題である。

高齢層にも「痛み」説け
 2013年度の国の予算をみると、年金と医療・介護、生活保護などに使う社会保障費は29兆円を上回り、地方交付税を除く政策経費の54%を占める。年金などにかかる社会保険料を含めた社会保障給付費は100兆円を優に超す。
 保険料・税の大半を払っている現役世代の人口減少は、今後さらに加速する。おまけに年金や医療費の一部は赤字国債に依存し、将来世代を苦しめている。
 自民、公明、民主3党の合意によって政府は消費税率を14年度から2段階で10%に上げる。年13兆5千億円の大型増税にもかかわらず、財政再建には力不足だ。年金や医療は高齢者を優遇する世代間格差を内包している。これをやわらげ、制度の持続性を高める改革を各党は前面に出してほしい。
 自民党の基本方針は、政府の社会保障制度改革国民会議の結論をふまえ改革するというもの。行政府の意向を尊重するだけでなく、政党色をもっと出してほしい。
 年金制度が根本からの改革が必要なのは論をまたない。積立金運用について年4.1%の「高利」を前提にした百年安心プランは砂上の楼閣だ。だが自民、公明の両与党は制度の刷新に距離をおく。
 たとえば国民年金の保険料未払い問題にどう対処するのか。未納率は40%を超す。若い世代ほど高く、生活保護の予備軍を増やしている。現行制度に問題はないと言うだけでは不信感は拭えまい。
 民主党は最低保障年金の創設を公約した。これまでに何度も政権公約に盛りこんだ案だ。現役時代の所得が低い人に限って税財源の年金を支給する案は、未納問題の深刻さを考えれば理解できる。
 だがこの党に支給範囲を絞りこみ、必要額を示して増税に踏みこむ覚悟があるのか。鳩山、菅、野田の歴代政権はそれを怠った。理想型を漫然と公約に載せるだけでは有権者に愛想を尽かされよう。
 目を引くのは、加入者が掛け金を積み立て、現役を引退したときに自分のために取り崩す積み立て年金への衣替えを主張するみんなの党と日本維新の会だ。
 少子高齢化の時代に適した方式だが、移行時に生じる新たな負担をどの世代に担わせるのか。画餅に帰させないためにも、方法論と財源を示してほしい。
 医療制度は課題山積だ。しかし改革に正面から取り組む意志があまり伝わってこない。
 国民医療費はいまや年40兆円規模。保険財政を安定させるために70代前半の窓口負担を法の規定どおり20%にするのは当然だ。これは選挙の争点以前の問題である。10%への据え置きに政府は約1兆2千億円の借金をかさねた。この間、政権を担った自公両党と民主党はともに猛省してほしい。

税財源を高齢者医療に
 そもそも窓口負担は年齢で差をつけるのではなく、収入や資産に着目したほうが、世代間公平の観点からもよいのではないか。
 自民党は国民健康保険の運営主体を市区町村から都道府県に広げる方針を出した。加入者が高齢化しており広域化は当を得ている。ただ保険料の徴収は市に、保険運営は県に、という股裂きは避けるべきだ。両機能を一体にしてこそ保険財政への規律がはたらく。
 診療報酬を上げるという民主党は財源をどうするのか。ここにもいいかげんさが見え隠れする。
 全般に各党とも企業の健康保険組合を軽視している印象だ。従業員と事業主が拠出する健康保険料の約半分は、高齢者が使う医療費に召し上げられている。14年度からの消費税の増税分を高齢者医療の一部に充てるなど、健保組合を支援する視点がほしい。
 保険診療と自由診療を併用する混合診療は私費でまかなう医療を増やし、医療技術のいっそうの革新を促す。みんなと維新は、その解禁や適用拡大を唱えている。
 財政再建を果たすには増税や保険料引き上げだけではなく、社会保障の給付切り詰めが不可欠だ。高齢層に一定の厳しい選択を迫らざるを得ない事実は、どの党が政権についても変わらないのだ。

http://mainichi.jp/select/news/20130713k0000e010194000c.htmlより、
参院選:消費増税の論戦深まらず…争点化避けたい与党
毎日新聞 2013年(最終更新 07月13日 11時11分)

 参院選で、来年4月からの消費税率8%への引き上げを巡る与野党の論戦が深まらない。野党は安倍政権の成長戦略と消費増税の矛盾を突こうと躍起だが、安倍晋三首相は「(増税は)4〜6月の指標を見ながら適切に判断する」と繰り返す。2010年参院選の公示前に菅直人首相(当時)が消費増税に言及し、民主党が大敗した「先例」もあるだけに、与党には争点化を避けたい思惑がにじむ。
 首相は選挙後の今秋、最終判断する見通し。衆院解散・総選挙がない限り、増税前の国政選挙は今回が最後になる。
 消費税問題で政権批判の急先鋒(せんぽう)に立つのは、みんなの党の渡辺喜美代表。9日のTBSの党首討論で「安倍さんは財務省とは戦ってない。増税したら景気が腰折れするに決まっている」と増税凍結を主張した。
 安倍政権は「アベノミクス」による経済成長と財政健全化の両立という課題を抱えており、そこが野党の攻めどころになっている。共産党の志位和夫委員長も同番組で、投資減税などを念頭に「空前の増税をやりながら、企業は大減税。方向を間違えている」と首相を追及した。
 これに対し、首相はこれまで明確な回答を示していない。自民党は参院選公約には「消費税は全額、社会保障に使う」と記すにとどめ、増税色を薄めている。報道各社の情勢調査で同党の優位が伝えられる中、「選挙中に踏み込む必要はない」(党幹部)というわけだ。
 公明党は山口那津男代表らが街頭演説で、「食料品には軽減税率を、というのが庶民の声だ」と訴えるものの、目指す導入時期は税率10%への引き上げ段階。増税の判断については自民党と歩調を合わせている。
 一方、野田政権時代に自公両党と消費増税を決めた民主党。細野豪志幹事長は12日、東京都内での街頭演説で、「消費税は必要ないというのは簡単だが、現実は違う。子どもたちの未来を作っていく責任を果たさせてほしい」と増税に理解を求めた。ただ、海江田万里代表が7日、千葉県木更津市で、「消費税が上がった後、消費が伸びるのか。私は危ないと思っている」と訴えるなど、主張に差も見られる。
 生活の党や社民党、みどりの風は消費増税に反対。日本維新の会は消費税の地方税化を掲げているが、増税の賛否は明確にしていない。【笈田直樹、村尾哲】

http://mainichi.jp/opinion/news/20130713k0000m070168000c.htmlより、
社説:視点・参院選 法人税=論説委員・今沢真
毎日新聞 2013年07月13日 02時30分

 参院選の公約で自民党は「思い切った投資減税を行い、法人税の大胆な引き下げを実行する」ことを盛り込んだ。法人税については日本維新の会も「引き下げ断行」を掲げ、みんなの党は「法人税(実効税率)を20%へと減税する」と主張する。各党の公約を受け、経済同友会が「25%への引き下げ」を提言した。経団連も最優先課題として政府に要望を続けている。
 だが、財政は借金漬け。増え続ける社会保障費に充てるため、消費税率が来年春から1年半で5%から10%に引き上げられることになっている。その一方で法人税が減税されるとなれば、国民は「なぜ企業だけを優遇するのか」と強く反発するだろう。自民党の公約は税率や時期に言及していないとしても、政権党として減税を軽く言いすぎてはいないだろうか。
 国税と地方税を合わせた法人税の実効税率は約38%。これには復興特別法人税が上乗せされており、2015年度から35%台に下がる。欧州は30%を下回る国が多く、アジアも中国が25%、韓国は24.2%。米国はカリフォルニア州の場合40.75%で、日本はそれに次いで高い。経済界は「企業の国際競争力が下がる」「法人税を引き下げて国内の空洞化を防ぎ、経済の再生を図れ」と主張する。
 国税の法人税1%で税収は約4000億円。仮に5%引き下げると2兆円の穴があく。財政に余裕がまったくない今の状況で法人税減税を言うなら、代替財源を示さないと「絵に描いた餅」になる。
 経済同友会は、個人住民税や固定資産税、地方消費税の増税で穴埋めすべきだと提言する。国税の法人税の税収総額は、08年のリーマン・ショック前に年間15兆円近くあった。だが、ここ数年は9兆円台にとどまっている。減税の効果で給料アップが約束されるならともかく、企業の負担をさらに減らすために個人負担を増やせという主張は理解されないだろう。
 財源について各党の公約は素通りしているが、企業に対して特定の政策的見地から減税を行う租税特別措置の整理・縮小などが議論の対象になる。赤字の企業に課税対象を広げよという長年の課題もある。配当や株式売却益への課税強化も含めて考えるべきだとの主張もある。
 法人税減税を掲げるなら、道筋を示して負担増になる対象への説得に全力を傾け、選挙後には実現に向けて取り組む姿勢を見せなければ責任ある公約とは言えない。期待感だけ膨らませても、あとでしっぺ返しを受けることになる。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013071002000129.htmlより、
東京新聞【社説】<2013岐路>社会保障 逃げずに全体像を示せ
2013年7月10日

 将来の暮らしの安心を支える社会保障制度が大きな争点になっていない。だが、人口減は確実に進む。支え手が減る制度をどう改革するのか、逃げずに語るべきだ。
 少子高齢化は静かに進む社会の“有事”と言える。二〇六〇年に超高齢社会はピークを迎える。四十七年ほど先にある現実である。
 年金、医療、介護、子育て支援など社会保障制度は、人口が膨らみ、経済成長を続け税収も増える時代を前提にした仕組みだ。
 今は現役や将来世代など制度の支え手が減り、支えられる高齢者が増えることで制度の維持が難しいという課題に直面している。
 このままでは保険料など負担を増やすか、もらえる給付を減らすしかない。どの世代にとっても歓迎できない事態である。
 どうしたら持続可能な制度につくり直せるのかを踏み込んで訴える公約は自民、公明、民主をはじめどの政党にもほとんど見当たらない。選挙では避けたい課題だ。逆に給付の拡充や低所得者対策などの公約が並ぶ。
 だが、直面する危機を国民に訴え、将来どこまで負担すればどんな給付を得られるのかという改革の全体像を示さなければ、とても将来の暮らしに安心はできない。
 昨年の衆院選では自公民が進めた社会保障と税の「一体」改革が争点のはずだった。三党は論議を社会保障制度改革国民会議に委ねてしまい改革案を示さなかった。
 参院選も同じだ。自民は公約で「国民会議の審議の結果等を踏まえて、必要な見直しを行う」とあいまいだ。国民会議を盾に重要な課題から逃げている。
 一方、国民会議の改革像は現行制度の改善など限定的だ。しかも、まとめる報告書は選挙後の八月になる。年金の支給開始年齢の引き上げなどが検討されており、選挙後に報告書を口実に負担増や給付カットを決めかねない。政府・与党として不誠実ではないか。
 民主も最低保障年金の創設など四年前の衆院選公約のままで、議論は進んでいない。
 非正規雇用が増え貧困も拡大し、働く現役世代の制度を支える力が弱まっている。これからの社会保障は、現役世代が高齢者を支えるだけでなく、世代に関係なく生活に余裕のある人が支え手になることも検討されていい。
 国民は負担も含め制度の将来像を求めている。だからこそ各党は避けずに改革案を示すべきだ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130708/plc13070803350002-n1.htmより、
産経新聞【主張】社会保障と参院選 不人気な議論も逃げるな
2013.7.8 03:35 (1/2ページ)

 これ以上の先送りが許されない社会保障制度改革は、参院選で論じ合うべき最重要課題だ。
 経済成長や行政改革だけでは、膨張する社会保障費をまかなっていくにはとても追いつかない。急速に進む少子高齢化にはどう対応するのか。
 立ち止まっていては日本そのものが立ちゆかなくなるという危機感を持って、改革の全体像を明示すべきだ。それなしには国民の将来に対する不安は拭えない。
 各党には論戦を通じて、「逃げられない課題」を解決するための選択肢を示してほしい。
 政府の「社会保障制度改革国民会議」が近く最終報告書の素案を示す予定だ。しかし、自民、民主、公明の3党の公約には、社会保障・税一体改革で棚上げされた70~74歳の医療費窓口負担の2割への引き上げや、年金の支給開始年齢引き上げなど国民に痛みを求める改革項目は見当たらない。
 自民党は「国民会議の審議の結果等を踏まえて必要な見直しを行う」と公約でうたっている。国民会議を隠れみのにして、サービスの抑制や負担増など有権者に不人気な政策だからと議論を避けていることは許されない。
 改革の大きな方向性やビジョンを示すことこそ、政党の役割だろう。一体改革を進めた3党には、より大きな責任があることをもっと認識してもらいたい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130708/plc13070803350002-n2.htmより、
2013.7.8 03:35 (2/2ページ)
 年金や医療・介護費用の抑制は緊急の課題だ。社会保障費は医療技術の革新もあって毎年1兆円規模で膨らむ。消費税増税で当面の財源確保にめどが立つとはいえ、支払い能力に応じて負担する仕組みに改めなければ早晩、制度は行き詰まる。
 ところが、各党の公約は細かな政策課題は列挙しているものの制度全体をどう抑制し、どこに重点配分しようとしているのかはっきりしない。それどころか、高額医療の限度額引き下げや低所得者の年金加算など拡充策が目立つ。
 民主党は、財源確保策を示すことなく、巨額の財源を必要とする最低保障年金の創設をまたもや持ち出した。日本維新の会やみんなの党は年金の「積立方式」を掲げているが、移行期における現行制度との二重負担の懸念をどう解決するのだろうか。
 国民受けしそうなアイデアを並べ立てているだけでは、問題は解決しない。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 7月 7 日(日)付
医療と成長―財源を語らない無責任

 医療に必要な財源を確保していけるのか――。日本が直面する大きな課題だ。
 いま、日本の医療費は年間40兆円。団塊世代が75歳以上になる2025年には60兆円を超える見通しだ。少子高齢化が急速に進むなか、税金や保険料などの負担増は避けられない。
 ところが、参院選を戦う各政党はそこを率直に語っているだろうか。70~74歳の窓口負担にしても本則の2割が1割に据え置かれ、毎年2千億円近くを使っているのに、高齢者の反発を恐れ、口をつぐむ党が大半だ。
 一方、医療分野の振興で経済成長をめざそうという主張が目立つ。
 自民党は公約で、医療関連産業の市場規模を現在の12兆円から20年に16兆円へ拡大させることを掲げた。
 日本維新の会は「規制緩和によって医療政策を拡充」とうたい、みんなの党は「医療・介護の大改革」をアピールする。
 民主党も政権を握っていたとき、革新的な医療技術の開発を成長戦略に盛り込んでいる。
 医療技術の進歩自体は歓迎すべきものだ。ただ、それを利用するにはお金がかかる。日本の医療費は、だいたい年3%ずつ増えているが、うち1~2%分は「医療の高度化」が要因だ。
 誰がどう負担するのか。
 キーワードになっているのが「混合診療」だ。保険のきかない先進医療は患者が全額自己負担しつつ、保険診療の併用も認める制度である。
 現在、日本での混合診療は、国が認めた一部の先進医療に限られている。国が安全性に責任を持つことを基本としているからだ。その治療の有効性や安全性が十分に認められれば公的保険に取り込む。
 この混合診療を思い切って解禁しようというのが、みんなの党や維新の会だ。患者の自己負担をベースに最先端の医療を広げることを重視する。安倍政権も成長戦略で、現行制度の「大幅拡大」を掲げる。
 ただ、混合診療を全面解禁すれば、医療従事者や製薬会社が公定価格に縛られない先進医療にばかり目を向け、公的医療がおろそかになるのではないか。そんな懸念がある。
 先進医療がお金のある患者しか利用できない状態が続き、格差が固定化するのは好ましくないだろう。公的保険が適用される医療をできるだけ広げるのが望ましいはずだ。
 そう考えるなら、各党とも公的医療の財源を確保する道筋を示す必要がある。医療産業の振興を叫ぶだけでは無責任だ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130701k0000m070083000c.htmlより、
社説:参院選 問われるもの…社会保障
毎日新聞 2013年07月01日 02時31分

 ◇参院選 問われるもの…社会保障 争点にならない不実さ
 これだけ有権者の関心が高いのに社会保障の論争がかみ合わないのはなぜか。少子高齢化とは支える側が減り、支えられる側が増えることだ。年金や医療などの制度を持続させるには、負担を増やすか給付を減らすしかない。誰もが避けたがる話題である。だから論争がかみ合わない。
 これまでもずっとそうだった。無駄をなくせば財源などいくらでも出てくる、経済成長すれば税収は増える、もっとうまい制度改革があると選挙で論戦になったが、どれも実現できず、毎年10兆円も借金をしてきた。ツケを払うのは次世代だ。
 5%の消費増税でもまだ足りないと言われてはいるが、少なくとも「魔法のつえ」も「打ち出の小づち」もないという現実を民自公3党が認めたのが、税と社会保障の一体改革の重要な意味だ。参院選公約は政策の練度や社会観だけでなく、政権再交代後の各党の責任感や正直さを占うという点でも興味深い。
 高齢者医療の自己負担増、年金の支給減や支給開始年齢の引き上げなど高齢者の痛みを伴う改革案は3党の公約には見られない。8月までには社会保障制度改革国民会議が最終報告をまとめ、政府も医療・介護や年金の制度改革に着手することになる。公約に書いていないから、どのような改革をしてもしなくてもウソにはならないが、自公は政権政党として誠実な態度と言えるだろうか。高齢者は年々増え、高齢者ほど投票率が高いことを考えると、言いにくいのはわかる。だが有権者の強い関心を知りながら、これを避けたのでは選挙戦は盛り上がるわけがない。
 民主は3年余の政権で実現できなかった最低保障年金の創設など「バラ色」の社会保障拡充策をまた並べた。新たに消費税6〜7%分もの財源が必要な上、中間層は逆に負担が重くなることがわかり慌てて引っ込めた年金案である。財源や制度設計は相変わらず示していない。国民受けしそうなスローガンを並べ立てた豪華絢爛(けんらん)のマニフェストが、かえって反省や検証のない党内事情の深刻さを露呈しているように見えてしまう。
 各党に共通するのが、保育所の待機児童解消など子育て政策の拡充、女性の社会進出の促進などだ。自民は「社会のあらゆる分野で指導的地位に女性が占める割合を30%以上にする」など女性支援を強調するが、どのように実現するのかが示されているわけではない。
 女性の活力を成長に生かすというのであれば、専業主婦優遇の象徴である年金の第3号被保険者、税の配偶者控除はどうするのか。かけ声だけでは本気度は伝わってこない。

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