参院選 原発政策「自民党は現実を見よ」

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 7月 19 日(金)付
日本原電―廃炉の先に活路を探れ

 日本原子力発電が、保有している三つの原発すべての再稼働をめざす方針を表明した。
 敦賀1号機はとっくに老朽化している。2号機はその真下に活断層があると原子力規制委員会が断定した。東海第二も周辺人口が増え、避難が難しい。
 現実的に考えれば、どれも廃炉は必至というほかない。なのに日本原電は、その道に絶対に進むまいと踏んばっている。
 福島の事故で原発をめぐる社会のルールは一変した。日本原電がその現実を直視し、廃炉を選べるように、経済産業省と、日本原電に出資する電力業界は早急に道筋を描くべきだ。
 日本原電は、敦賀2号機をめぐり、そこに活断層はないとする独自の調査報告書を規制委に出した。活断層を前提にした安全性評価の命令も不服として、異議を申し立てている。
 なんとか延命をはかろうとする背景には苦しい事情がある。
 三つの原発は会計上、価値を生む資産として計上されている。会計基準の原則では、経営陣が廃炉を決めればすぐに減損処理をしなければならない。
 40年間で積み立てるはずの廃炉費用の不足分も、一括計上が必要になる。すべての廃炉を決めると損失は約2600億円。純資産の約1600億円を大きく超え、債務超過になる。
 4月に借金1千億円を借り換えたときは電力業界の保証で乗りきった。勝手に廃炉・債務超過になれば、各電力会社に迷惑をかけることになる。
 だが、だからといって、廃炉に抵抗して時間をかせいでも、社内の士気は保てまい。そうした企業に停止中とはいえ原発をまかせておくことは危うい。
 原発が動かなくても、日本原電から電力を買っていた電力5社は今年度1200億円の「基本料金」を払う。それは結局、電力料金に回る。このままでは消費者も困るのだ。
 ただ、突然のルール変更で、日本原電が自力では担えない重荷を負ったことも確かだ。原発の新規制基準の導入で、ほかにも廃炉を迫られる原発が出るのだから、国と電力業界は廃炉をスムーズに進める仕組みづくりを急がねばならない。
 経産省は、廃炉時の損失を長期に分割できる新しい決算処理の導入を検討している。それに加えて、原発推進は国策だった以上、廃炉にかかる損失処理には国費の投入も視野に入れざるをえないだろう。
 そうした議論と並行して、日本原電は廃炉事業の開拓などに活路を探るような方向転換を、電力業界と話しあうべきだ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 7月 18 日(木)付
福島の復興―帰らない人への支援も

 なかなか進まない住宅の再建、整わない生活基盤、遅れる産業の復興……。
 東日本大震災では、今も30万人近くが仮設住宅など自宅以外で暮らす。
 とりわけ先行きを見通せないのが、原発事故に直撃された福島の人たちだろう。県内外への避難者は15万人に及ぶ。
 国が避難を指示した11の市町村では、放射線量に応じて三つの区域に再編する作業がまもなく終わる。線量が低い「避難指示解除準備区域」となった地域の一部は、自宅に戻れる日が視野に入りつつある。
 ただ、多くの地域では帰還の前提となる除染が遅れている。東京電力による賠償も、避難者から「生活を立て直すには不十分」との声が強い。
 参院選では、各党とも「復興の加速」「福島の再生」を強く訴えている。これまでの対策のどこをどう見直していくのか、具体的に論じてほしい。
 とくに帰還問題では、複雑な現実を直視する必要がある。
 もちろん、ふるさとに戻りたいという声にできるだけ応えることは、原発を推進してきた政府の最低限の務めだ。
 しかし、放射線量が高く帰還時期が見えない地域や小さな子どもがいる家庭など、「帰れない」「帰らない」という人が少なくない。避難者への昨年度のアンケートでは、各市町村で「帰らない」という人がおおむね2~4割を占めた。
 こうした人たちが、新たな地で再出発しようとする動きも後押しすべきだ。賠償とは別に、避難者の生活再建を状況や希望に応じて支援する制度が必要ではないか。
 賠償や除染費用を東京電力に負担させることを前提とした今の枠組みでは、復興も避難者支援も進まない。
 しかも、避難指示が解除されれば、避難者に支払われている月10万円の慰謝料の打ち切りが俎上(そじょう)にのぼる。
 賠償の基準を決める政府の有識者会議でも、「損害賠償は原発事故との因果関係が前提となるため、対象範囲に限界がある」として、政府の対応を求める声がある。
 税金を原資とする支援制度づくりに入るときだ。
 政府は近く、除染の進み具合をまとめる。作業は遅れており、計画の見直しは必至だ。あわせて、今後の線量低減の見通しも示さなければならない。
 近く予定されている避難者への再度のアンケートも踏まえ、支援策を新たな段階へと進めるべきだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130718k0000m070118000c.htmlより、
社説:視点・参院選 エネルギー=論説委員・青野由利
毎日新聞 2013年07月18日 02時30分

 ◇原発淘汰社会を描け
 最近、米国では寿命を残して廃炉を決定する原発が相次いでいる。三十数年ぶりの新設計画の中にも、頓挫する例が出てきた。シェールガス革命に加え、福島の原発事故を受けた安全対策強化などの影響で、原発が割高となったためだ。
 日本でこうした当たり前の市場原理が働いていれば、今ごろ廃炉決定が進んでいるに違いない。地震国日本のリスクを考え合わせれば、原発が淘汰(とうた)されていく社会の将来像こそ、参院選のテーマだったはずだ。
 現実には、自民党の「再稼働推進」と、野党の「原発ゼロ」の賛否に矮小(わいしょう)化され、議論が深まらない。責任の一端は、エネルギー政策の全体像をあいまいにしたまま、目先のことしか語らない政権与党にあるのではないか。
 改正法の原則40年運転を守り、福島県内の原発を廃炉にするだけでも原発は激減する。地震や原子炉複数立地のリスク、事故時の影響などを加えると、自民党の方針の下でも動かしうる原発は多くない。安倍政権がめざす「世界最高レベルの安全」のコストも高い。「電力自由化・発送電分離」を進めれば、さらに原発の競争力は落ちる。
 そうした中で、事故リスクと共存しつつ、原発をどれだけ動かす必要があるのか。動かすほどたまり続ける核のゴミをどうするのか。自民党が示していないのは争点外しではないか。
 市場原理に加えて大事なのは、原発のリスクを過小評価せず、エネルギー改革への十分な投資を進めることだ。年限を区切った「原発ゼロ」にはそれを可能にする力があるはずで野党はもっとそこを語ってほしい。
 原発ゼロを望む人が多いのに、生活や経済への不安を解消できないのは、代替エネルギーの将来像が見えにくいからだろう。ただ、長年、莫大(ばくだい)な資金と人材を投じてきた原発に比べ、新しいエネルギー社会が描きにくいのは当然でもある。
 野党には、世界で成長著しい再生可能エネルギーの潜在力や育成の道筋、省エネの効果を説得力を持って示してほしい。一定期間の負担増を国民に認めてもらう必要もあるだろう。有権者も、原発に頼る目先の経済だけでなく、少し先の日本の姿を心に描いてほしい。
 活断層などリスクが指摘された場合に、合理的な廃炉を進められるよう制度を整えるのも政治の役割だ。行き詰まる核燃料サイクルの幕引きや、核のゴミ処理にも道筋をつけなくてはならない。廃炉問題やゴミ処理の先送りが原発のあぶない延命を促すことがあってはならない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013071602000135.htmlより、
東京新聞【社説】買い取り1年 再生エネを基幹電源に
2013年7月16日

 再生可能エネルギーで発電した電気の全量買い取りが始まって一年。よちよち歩きだが、日本の太陽光発電の市場規模は世界一に躍り出る勢いにある。基幹電源に育てる気概を安倍政権に求めたい。
 自然を利用して繰り返しつくることができるエネルギー。それが再生可能エネルギーであり、太陽光や風力、地熱、バイオマスなど、私たちの身近に存在する。石油や天然ガスなどの化石燃料を燃やす火力発電や、ウランを使う原子力発電とは異なり、資源に限りがない。
 今なお放射性物質をまき散らす東京電力福島第一原発のような危険性がなく、温暖化の原因である二酸化炭素の排出量も少ない。
 その再生エネで発電した電気の買い取りを東電などの電力会社に義務づけた固定価格買い取り制度が導入されたのは昨年七月。最新の二月末時点の統計では、発電を始めた設備が大型の原発一基分に相当する百六十六万キロワットに達した。
 二〇一二年度の国内発電量に占める割合はわずか1・6%にとどまり、脱原発を宣言して20%を突破したドイツには遠く及ばないが、へこたれずに前へ進みたい。
 国際エネルギー機関は、再生エネによる世界の発電量が一六年に石炭火力に次いで二位になるとの予測をまとめた。原発の二倍の発電量だ。クリーンエネルギーへの期待や、風力発電などの量産効果によるコスト低下が背景にある。
 それを裏づけるように、日本でもシャープなどの太陽光発電メーカーの生産が、需要に追いつけないでいる。一二年度の国内出荷量は約三百八十万キロワットと前年度に比べ三倍近くに膨らんだ。米国の調査会社は、一三年に日本国内に新規導入される太陽光の発電能力が一二年の二・二倍に拡大し、市場規模もドイツを抜いて世界一位になるとの見通しを発表した。
 しかし、送電網の容量不足を理由に、せっかくの潜在能力がそがれる事態が相次いでいる。北海道電力は二十万キロワットの風力発電買い取り枠に対し、応募が九倍にも達したため超過分を門前払いした。太陽光発電の枠にも上限を設けた。「もったいない」と言うほかない。
 安倍政権は原発再稼働に傾斜するばかりで、再生エネを重視しているのか疑わしい。政府は送電網の整備費二百五十億円を予算化したが、電気を一時的に蓄える大型蓄電池の大量導入も視野に入れ、手厚い取り組みで再生エネを電力供給のど真ん中に据えるべきだ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 7月 13 日(土)付
原発政策―自民党は「現実」を見よ

 原発再稼働の是非を聞かれれば「反対」と答える人が多い。今月8日には新しい規制基準が施行され、3・11後の原発政策は新たな局面を迎えた。
 なのに、参院選で原発をめぐる論戦はいまひとつ盛り上がりを欠く。なぜか。原因のひとつは、優勢が伝えられる自民党が巧みに争点化を避けていることにあるのではないか。
 安倍首相は再稼働に意欲を示す一方で、「原発の比率を下げていくのは基本的な方針」とも語ってみせる。
 とりわけアベノミクスの推進を前面に押し出す戦術だ。有権者の一番の関心が景気と雇用にあることから、原発についても経済浮揚に欠かせないインフラだと位置づける。
 エアコンに頼りがちな猛暑の夏、「原発は安くて安定した電源」との説明は、電力不足や電気料金が心配な人々へのアピールなのだろう。
 だが、「安くて安定」はもはや色あせた言い回しだ。脱原発を訴える野党は、その矛盾をあぶりださなければならない。
 新しい基準によって、原発の再稼働には多額の安全投資が必要になった。廃炉にしなければならない原発も出てくる。
 もちろん、火力発電などで代替していけば目先の燃料費負担が増えるのは事実だ。
 しかし、原発は使用済み燃料や放射性廃棄物について、処分の方法や場所のめども立っていない。これら先送りしたコストや事故の際の損害賠償を考えれば、原発の経済的な優位性はすでに崩れている。
 「安定」神話も幻だ。放射能汚染の恐ろしさや電力会社の隠蔽(いんぺい)体質を目の当たりにして、日本人は原発の運転に極めて慎重になった。今後は小さなトラブルにも徹底検証を求めていくだろう。
 原発は長期にわたり停止しかねない。1基の不具合をきっかけに全基を止めて再点検、という事例も増える。諸外国に比べてただでさえ低い原発の稼働率は、さらに下がる。原発はますます不安定な電源になった。
 脱原発が非現実的なのではなく、3・11以前には戻れないことこそが現実である。
 そうである以上、原発を減らすための政策を総合的に進めることが政権党のつとめだ。
 代替電源の確保と省エネ化を進め、廃棄物処分など後始末の問題や立地自治体の支援に取り組む。当面の国民負担を最小化する策を講じる。やるべきことは山ほどある。
 求められるのは現実を直視する政治である。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO57312950T10C13A7EA1000/より、
日経新聞 社説 責任と説得力あるエネルギー論議を
2013/7/13付

 参院選では原子力発電をめぐり与野党の対立が鮮明だ。自民党は成長戦略の柱に原発の再稼働を据える一方、野党各党は目標時期の違いこそあれ「原発ゼロをめざす」と公約した。
 私たちは原発に賛成か反対かという単純な二者択一では、エネルギー問題の解決策は見いだせないと訴えてきた。選挙戦で原発論議がいまひとつ盛り上がりに欠けるのは、有権者の多くが同じ思いを抱いているからではないか。
 福島第1原発事故が起き、これから原発への依存度が下がるのは避けられない。重要なのは安全性や経済性に照らして原発をどう選別するか、電力の供給不安を拭うため自然エネルギーや省エネをどのように拡大するかだ。各党はそれらの具体策を競うべきだ。
 原発の新しい規制基準が施行され、「安全と確認された原発を再稼働させる」ことでは、与党のほか民主党なども一致している。大半の原発が止まったままでは経済への悪影響が大きい。審査に合格した原発は、地元の理解を得られるよう国が努めるのは当然だ。
 自民党には新基準施行を受けた次の手立てを問いたい。原子力規制委員会が直下に活断層があると断定した原発について、廃炉の判断を電力会社任せにするのか。原発を国策民営で進めてきた以上、国が廃炉の手順を示すべきだ。
 使用済み核燃料の再処理や、プルトニウムを原発で燃やす計画をどうするのかも説明不足だ。
 連立を組む公明党が「可能な限り速やかに原発ゼロをめざす」と訴えているのに配慮してなのか、自民党は原発政策について踏み込んだ言及を避けている。政権政党として、それでは困る。
 野党も責任ある政策を示してほしい。民主党は政権時代と同様、「2030年代に原発ゼロをめざす」と訴え、みんなの党や日本維新の会もそれぞれ20年代、30年代の脱原発を唱えている。
 だが原発の代替として、太陽光などの自然エネルギーでどこまで肩代わりできるのか、そのために家庭や企業の負担はどのくらい増すのか。根拠に基づき説得力のある政策を各党から聞きたい。
 原発の位置づけがどうであれ、使用済み核燃料から生じた放射能の高い廃棄物の処分場選びは待ったなしだ。政治の責任として各党が処分の道筋を示すときだ。

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