参院選 外交・安保「沖縄の声はなぜ届かぬ」

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO57501420Z10C13A7EA1000/より、
日経新聞 社説 抽象論だけでは外交力は強まらない
2013/7/19付

 日本を取りまく安全保障の環境は厳しさを増している。尖閣諸島では中国の揺さぶりが続き、北朝鮮の核開発も止まる兆しはない。
 日本は自国の安定をどう保ち、アジア太平洋の発展にどう貢献していくのか。参院選ではその具体策が問われるべきだが、各党の主張は抽象論にとどまっており、物足りない。
 自民党、民主党、日本維新の会、公明党、みんなの党などはいずれも、日米同盟を外交や安全保障政策の基軸にすえている。それはいいが、問題は具体策である。
 自民党は同盟を強める方策のひとつとして、集団的自衛権の行使に意欲をみせている。集団的自衛権とは、日本の同盟国などが攻撃されたとき、日本が直接攻撃されていなくても反撃できる権利だ。
 日本はその権利があるが、憲法解釈上、行使できないという立場をとっている。この解釈を見直そうというわけだ。維新も公約で同じ路線をかかげた。日米が緊密に協力し、周辺の危機に対応するうえで、理にかなった主張だ。
 一方で、公明党は自民党と一線を画している。公約ではふれていないが、山口那津男代表は、集団的自衛権行使に向けた憲法解釈の見直しに、反対を唱えている。
 自民、公明両党は与党として、隔たりをどう埋めるのか。日米同盟のかじ取りにかかわる重要政策にもかかわらず、放置されているとすれば問題だ。国政の根幹である憲法改正も同様だ。
 自民党は党憲法改正草案で9条改正を提起、「国防軍」の設置をうたった。憲法改正の発議要件を緩和するため、96条も見直す方針を打ち出した。これに対し、公明党は改憲ではなく、環境権などを憲法に盛り込む「加憲」を訴えている。このズレをどう調整するのか、ていねいな説明が必要だ。
 外交政策では、領土や歴史問題で対立が続いている中国や韓国との関係打開も大きな焦点だ。ところが、自民党の公約では「中国、韓国との関係の発展」と書かれているだけで、具体策はない。
 他の政党も似たり寄ったりだ。民主党は日中韓自由貿易協定(FTA)を公約に明記したが、交渉をどう加速させるのかにはふれていない。いちばん知りたいのはその点だ。抽象論を戦わせても、日本の外交力は強まらない。各党は具体策を競い合ってほしい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 7月 18 日(木)付
普天間問題―「2つの公約」の不誠実

 同じ政党が異なる選挙公約を掲げたら、有権者はいったい何を信じればいいのか。
 参院沖縄選挙区で、そんな異常な事態が起きている。
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、日米両政府は県内の名護市辺野古への移設で合意している。
 この合意に沿って、自民党本部は公約に「辺野古移設推進」を明記した。
 一方、党沖縄県連は「県外移設」を主張。党本部は県連のビラを地域版公約と認めなかったが、事実上、二つの公約が併存してきた。こんなことがなぜまかり通ったのか。
 大半の沖縄県民は辺野古への移設に反対しており、県外移設を求めている。そんななか、自民党候補が「辺野古容認」を訴えれば選挙戦に不利に響く。そのため、県連が「県外移設」を主張することを党本部は黙認した――。
 有権者をあまりにもバカにしていないか。
 それだけではない。
 安倍政権は今年3月、仲井真弘多(ひろかず)知事に辺野古沿岸の埋め立てを申請した。政権にとって辺野古への移設は、いわば既定路線なのだ。
 ところが、一昨日、沖縄入りした安倍首相は「普天間の一日も早い移設を実現していきたい」と強調したものの、「辺野古」の名前はあげなかった。
 県連への配慮だけではあるまい。仲井真知事は、早ければ年内に辺野古埋め立てを承認するかどうかを判断する。それを前に、県民感情を逆なでするような言動は避けようという考えもあったのだろう。
 これでは、二重の意味で「争点隠し」と批判されても仕方がない。
 首相はこれまで、国会答弁などで「沖縄の方々の声に耳を傾け、信頼関係を構築しながら移設を進めたい」と語ってきた。
 であれば、政権の方針を正面から訴える。その結果、県民が受け入れないというなら、別の打開策を考える。それこそが誠実な態度ではないのか。
 参院選は、県民の声を聞くまたとない機会のはずだ。そこで争点を隠したり、ぼやかしたりしたら、みずから耳をふさぐに等しい。
 普天間問題に加え、米軍の垂直離着陸機オスプレイの強行配備や、4月の主権回復の日の式典開催が続き、政権への県民の不信は増している。
 地元の理解なく基地の円滑な運用は望めない。選挙結果にかかわらず、辺野古移設に突き進む愚は避けねばならない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130718/plc13071803410001-n1.htmより、
産経新聞【主張】南西諸島防衛 実効ある対応こそ重要だ
2013.7.18 03:41

 安倍晋三首相が、沖縄県の石垣、宮古両島を訪問し、石垣海上保安部と航空自衛隊宮古島分屯基地で「領土、領海、領空を断固として守り抜いていく決意だ」と強調した。首相が自ら南西諸島防衛の最前線を訪ね、隊員、職員を直接激励したことを評価したい。
 中国は軍事力を背景に尖閣諸島(同県石垣市)の奪取をねらっている。首相の視察と激励は、そのようなことは断じて許さないという日本としての意思を、内外に発信する効果がある。自衛隊や海保の士気はもちろんだが、国民の国を守る思いを高めることにもつながる。
 石垣海上保安部は、尖閣周辺での中国公船の領海侵入に対処し、宮古島分屯基地は南西空域の警戒監視や電波関連情報の収集に当たっている重要拠点だ。
 石垣市内での街頭演説でも首相は、尖閣は日本固有の領土だと強調し、「私たちは一歩たりとも譲歩する考えはない」と訴えた。
 ただ、日本が中国の挑発を退けるには、尖閣をはじめとする南西諸島を守りきるだけの陸海空自衛隊や海保の態勢を構築し、法制度も整える必要がある。
 日本が安全保障上の努力を怠れば、中国との軍事バランスが急速に崩れることになり、領土、領海、領空の守りがおぼつかなくなることは明らかだ。
 そのようなことがないよう、首相は、国を守る決意の具体化に取り組んでほしい。南西諸島の防衛強化に加え、集団的自衛権の行使容認、領域警備法の制定なども急ぐ必要がある。
 領土、領海を守る権限が自衛隊に与えられていない。領域を警備する法制も整っていない現状では、日本の主権を侵害する外国の不法な行為を、領土や領海から排除することはできない。そのことをまずもって認識すべきだ。
 与那国島(同県与那国町)への陸自の「沿岸監視部隊」配置や、水陸両用車両の導入など、海兵隊機能の保有も欠かせない。
 海空自衛隊の対艦、対潜、対空能力のさらなる強化も望まれる。海自と海保が連携をいっそう密にすることに加え、数的に不十分な巡視船と乗組員でやりくりする海保の増強も急がねばならない。
 南西諸島の平和を保つため、思い切った予算上、法制上の措置を伴う、実効性のある対応こそがなによりも重要だ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130718/elc13071803410028-n1.htmより、
産経新聞【主張】歴史認識 曲解を拒否する姿勢貫け
2013.7.18 03:41 (1/2ページ)

 歴史認識をめぐる問題も参院選の争点だ。
 日中、日韓関係が安倍晋三政権になっても冷え込んでいることが問題視されているが、関係改善を焦るあまり、中韓両国の思惑に引きずられない姿勢が必要だ。
 安倍首相(自民党総裁)はテレビ討論などで「それぞれの国がそれぞれの歴史に誇りを持っている。互いに尊重し合うことが大切で(歴史問題を)外交カードに使うのは間違いだ」と主張している。国の指導者として、当然の認識だ。
 野党の多くは首相を批判している。民主党の海江田万里代表は「首相はいろんな国を回ったが、肝心の中国、韓国とまだ会談が行われていない」と指摘した。細野豪志幹事長も「首相は村山談話、河野談話の見直しに言及した。談話を尊重しながら具体的な外交に入るべきだ」と述べている。
 他の野党も「歴史修正主義をかざしたら、日本は絶対負ける。(対)中韓外交の基本はそこだ」(渡辺喜美みんなの党代表)、「国際的に孤立を深めている」(小沢一郎生活の党代表)など、民主党と同じような主張だ。
 歴史問題で日本が譲歩すれば首脳会談が開かれ、孤立せずにすむと言わんばかりだが、それはおかしい。互いに譲れない問題があっても、北朝鮮の核、拉致など共通する課題では話し合い、協力するのが成熟した近隣外交である。
 そもそも、首脳会談に条件を付ける中韓の手法こそ問題だ。
 朴槿恵韓国大統領は「日本は慰安婦問題で韓国国民の傷に触れることを続けている」と首脳会談開催に難色を示した。これに、菅義偉官房長官が「緊急の課題もないわけだから、事務方で率直な意見交換をしながら意思疎通を図る」と述べたのは冷静な対応だ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130718/elc13071803410028-n2.htmより、
2013.7.18 03:41 (2/2ページ)
 村山、河野談話はやはり検証が必要である。
 村山談話は平成7年、当時の村山富市首相が「植民地支配と侵略」を一方的に謝罪したものだ。河野談話は同5年、河野洋平官房長官が根拠なしに慰安婦の「強制連行」を認めた談話である。
 近年、慰安婦を「日本軍の性奴隷」と決めつけ、「日本が強制連行した」などとする誤解が国連や米国社会でも広がっている。今、日本がすべきことは、ただ謝罪を重ねるのではなく、曲解を正すための外交努力ではないのか。有権者の賢明な判断を期待したい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013071702000139.htmlより、
東京新聞【社説】<2013岐路>沖縄基地問題 県民の声はなぜ届かぬ
2013年7月17日

 自民党本部の公約と党沖縄県連の主張が対立する米軍普天間飛行場の「移設」問題。沖縄県入りした安倍首相に、県外移設を求める県民の声は、なぜ届かないのか。
 参院選必勝を期す安倍晋三首相(自民党総裁)の強い意向なのだろう。首相はきのう沖縄本島四カ所で党公認候補への支持を訴えた。きょうは石垣、宮古両島に赴く。選挙戦で首相が離島を訪れるのは異例だという。
 自民党は全国的に優位に戦いを進めているとされるが、沖縄選挙区は最も苦戦している選挙区だ。首相自らがてこ入れに乗り出すことで、選挙戦に弾みをつけたい気持ちは分からないでもない。
 ただ、その際、党の公約を堂々と語らなければ、有権者をいずれ裏切ることになりかねない。普天間飛行場(宜野湾市)返還に向けて、代替施設をどこにつくるのかという「移設」問題である。
 沖縄県には在日米軍基地の約74%が集中する。その過重な基地負担の軽減は、騒音や事故、米兵の犯罪などに苦しむ県民の基本的人権にも関わる切実な課題だ。
 仲井真弘多知事をはじめ、県民の多くが、第二次安倍内閣が推進し、自民党本部も参院選公約に明記した名護市辺野古への「県内」移設ではなく、「県外」「国外」を求めるのは当然だろう。
 しかし、自民党本部は、ローカルマニフェスト(都道府県別政策集)への「県外」移設の明記を求める党沖縄県連の主張を認めず、県連と党公認候補者が「県外」の旗を降ろさぬまま、「二重公約」状態で選挙戦に突入した。
 県連と候補者が主張する「県外」と、候補者を公認した党本部の公約の「県内」と、どちらを信じて有権者は投票すればよいのか。
 首相はきのう沖縄県内での街頭演説で「普天間の一日も早い移設を実現したい。沖縄の皆さんにとって基地負担の軽減を実感していただけるよう、努力を積み重ねていきたい」と訴えた。
 移設先に具体的には触れなかったのは、県連、候補者への配慮かもしれないが、選挙の際には甘言を弄(ろう)し、選挙後に反故(ほご)にするのなら、民主党前政権時代と何ら変わらない。
 仲井真知事は年内にも名護市沿岸部埋め立ての可否を判断する見通しだが、日米両政府が県内移設に固執する限り、県民の抜本的な負担軽減につながらない。首相は沖縄の領土こそ、米軍から「取り戻す」べきではないのだろうか。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130716k0000m070071000c.htmlより、
社説:視点・参院選 沖縄=論説委員・佐藤千矢子
毎日新聞 2013年07月16日 02時30分

 ◇普天間論議を避けるな
 沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題が、参院選であまり争点になっていない。本土だけでなく、沖縄選挙区でも盛り上がらない。自民党の参院選公約で、党本部が「県内移設」、沖縄県連が「県外移設」を掲げ、政策がねじれた影響が大きい。
 自民党公約のねじれは、公約や選挙の意義を問いかける深刻な問題をはらんでいる。
 自民党の党本部は公約で、普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古への移設を推進すると明記した。これに対し、県連は「県民のほとんどが県外移設を求めており、辺野古容認では選挙は戦えない」として、地域版公約で県外移設を主張する方針を決め、党本部と対立。調整がつかないまま、県連は地域版公約から格下げしたポイント集を作って県外移設を盛り込み、選挙戦に入った。沖縄選挙区の自民党公認候補も県外移設を掲げる。
 仮に候補者が「辺野古容認」で戦って敗れれば、参院選後に移設が進めにくくなるという判断も働いたのだろう。「二股ごうやく」が「政治の知恵」とでもいうようにまかり通る。
 しかし、これはやはりおかしい。自民党を支持する有権者は、何を信じて1票を投じたらいいのだろう。公約の信用性、政党の信頼性に関わる問題だ。
 さらに気がかりなのが、自民党が選挙戦で普天間移設問題をあまり語ろうとしていないことだ。公示後の第一声でも、候補者も、応援演説をした石破茂幹事長もこの問題に触れなかった。政策のねじれにフタをし、普天間問題の争点化を避けようとしているようにも見える。
 ただ沖縄では、反発は思ったほど出ていないようだ。
 オスプレイの沖縄配備、日台漁業協定の締結、「主権回復の日」式典など厳しい出来事が続き、県民の間に「何を言っても自分たちの声が中央に届かないことへの徒労感が出てきているのではないか」と沖縄国際大の佐藤学教授は懸念する。
 安倍政権は今年3月、普天間の辺野古移設に必要な沿岸部の埋め立て許可を県に申請した。仲井真弘多(ひろかず)知事は年末以降、許可・不許可の判断をする見通しだ。政権は、知事が「県外移設」を主張しながらも、「県内移設に反対」とは言っていない点に着目し、望みを託している。
 県民がこれだけ反対している中で、辺野古移設は困難だ。見直しを含めて検討すべきだ。
 それでも政権が辺野古移設を進めようとするのなら、まずは身内である自民党県連を説得し、辺野古移設の公約を堂々と掲げ、選挙で有権者に訴えて理解を求めるべきだ。(論説委員)

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 7月 15 日(月)付
中韓との関係―真の互恵へ論戦深めよ

 参院選での日本の各党の論戦に、中国と韓国が不安まじりの視線を注いでいる。
 自民党が勝てば、安倍政権の対外政策は変わるのか。憲法を変えよという論議は、日本のどんな変化を示唆するのか。来る8月15日に安倍首相ら閣僚は靖国神社を参拝するのか――。
 領土や歴史問題で北東アジアがぎすぎすした空気に覆われて久しい。なのに各党は外交をほとんど正面から論じない。
 日本の安保・経済の針路を描くうえで、とりわけ近隣外交をめぐる戦略は避けて通れない問題であるはずだ。この論議の低調ぶりはどうしたことか。
 日韓では今月、外相同士が9カ月ぶりに会った。だが、その3日後、韓国政府は「日本の指導者の安易な歴史認識に失望した」と発表した。安倍首相が党首討論で、植民地支配や侵略について「定義する立場にない」と述べたからだった。
 韓国側には、植民地化を認めないことは歴史の「認識」以前に「事実」を認めないことだ、と映る。そんな首相に野党から多様な外交論がぶつけられるかと思いきや、そうでない。朴槿恵(パククネ)政権は今も日本との首脳会談を開くことに慎重なままだ。
 中国も、海洋監視船による尖閣諸島周辺への領海侵入を繰り返している。日本との首脳会談の条件として尖閣問題の棚上げを要求し、さらには東シナ海では新たなガス田開発も始めた。にらみ合いが続く日中関係に変化のきざしはみられない。
 だが、視野をすこし広げれば、違った景色も目に入る。
 昨年、中国で燃えさかった反日暴動で日本企業は大損害を被った。それでも反日感情を直接の理由として撤退した日本企業はほとんどない。日本企業による対中投資はその後も増え続け、中国国内での日本車の売れゆきも戻りつつある。
 中韓の地方自治体の代表団が最近、次々に来日している。3千万の人口をかかえる重慶市などが日本企業に進出してもらいたいと投資説明会を開き、熱烈歓迎をアピールしている。
 外交で角を突き合わせてはいても、日中韓の経済は切っても切れない補完関係にある。政府間のよそよそしい態度は、そんな現場の動きから取り残されているようにみえる。
 どの国の政治家も、国内のナショナリズム感情に迎合する言動に走りすぎてはいまいか。いずれもが今や世界の経済大国だ。隣国同士がともに利益を増やすような真の互恵関係を語る冷静な論議が聞かれないのは、実に不毛というほかない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130715/plc13071503430003-n1.htmより、
産経新聞【主張】海の日 「守る」戦略が繁栄の道だ
2013.7.15 03:42 (1/2ページ)

 「海の日」を迎え、わが国の周辺海域を取り巻く厳しい環境について改めて考えてみたい。
 明治9年、東北・北海道巡幸を終えた明治天皇が「明治丸」に乗り、横浜港に着いたのは7月20日だった。後にこの日は「海の記念日」となり、平成7年には「海の日」として祝日に定められた。祝日法の改正で現在は7月の第3月曜日になっている。
 「明治丸」は、今年から本格的な修復が始められる。「海の日」にゆかりの深いこの船が往時の雄姿を取り戻すことは、海洋国日本にとって力強い応援メッセージとなるのではなかろうか。
 島国である日本は、豊富な海産物や海岸線の美しい風光など、四周の海の恩恵に浴してきた。海によって外国と隔てられたことで独自の日本文化も花を開かせた。また鎌倉期の元寇をみるまでもなく、わが国は海によって外敵から守られてきた歴史もある。
 しかし幕末になると欧州列強の脅威にさらされ、「海防」の強化を迫られるようになる。吉田松陰の師でもあった佐久間象山は、海防で最も大切なのは敵国に侮られないことだと説き、日本は侵略を受ける恐れがありながら、根本的な防衛策はまるで定まっていないと警告したのだった。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130715/plc13071503430003-n2.htmより、
2013.7.15 03:42 (2/2ページ)
 現在の日本が直面する状況と通ずるところがありはしまいか。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺では、海洋権益拡大を狙う中国がわが国領海への侵犯を繰り返し、日本は国内法の制約もあってそれを排除し得ないでいる。法の不備につけこむ中国はまさに、日本を軽侮しているとしか思えない。
 国土はごく狭小ながらも、領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせた海洋面積では世界第6位となる日本は、海洋国家、いや海洋大国と呼ぶにふさわしい。その広大な水域には漁業資源のほかにも豊富な鉱物資源がある。
 これら資源の確保・活用とともに、他国の侵犯はもちろん、拉致につながるような不審船の航行も一切許さない毅然(きぜん)とした「海防」がいま、求められている。
 安倍晋三首相は「海の日」を前に「『海に守られた国』から『海を守る国』へ」とのメッセージを出し、民主党政権時代に削除された「海を守る」の表現を4年ぶりに復活させた。「守る」戦略こそ「海洋大国・日本」の繁栄の道ではなかろうか。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130713/plc13071303260003-n1.htmより、
産経新聞【主張】参院選と尖閣 威嚇はね返す決意を示せ
2013.7.13 03:25 (1/2ページ)

 経済、軍事力の強大化を背景に海洋進出攻勢をかけてくる中国にどう対応するかは、日本の外交・安全保障上の喫緊の課題だ。参院選で各党は対中戦略、対中姿勢を明確に論じてもらいたい。
 中国は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)奪取を狙って、公船の領海侵入など力による威嚇と、反日を煽(あお)る言動を繰り返している。
 尖閣を含む東シナ海と南シナ海の問題は10、11両日の米中戦略・経済対話でも討議され、尖閣の領有権を唱える中国に、オバマ大統領は威嚇や強制ではなく平和的手段による解決を促した。オバマ氏は6月の首脳会談でも尖閣で同様の注文を付けている。中国は攻撃的姿勢を改めるべきだろう。
 こうした中での参院選である。自民党は公約で、「自衛隊・海上保安庁の人員・装備の強化」を掲げ、民主党も「領土・領海の守りに万全を期す」と強調した。みんなの党は「防衛力の南西シフトをさらに進める」と謳(うた)っている。
 日本の主権、領土・領海が脅かされている。抑止力を高めるため防衛力を強化するのは当然だ。
 公明党は、中国などとの「定期的な首脳会談実現」を掲げ、生活の党は、歴史、領土問題をめぐる国際会議の常設を提案した。
 尖閣問題などで理不尽な態度や行動に出ているとはいえ、そんな中国とも関係を維持し改善する努力を欠かしてはならない。そのためには、日中の高官の間で直接対話があることが望ましい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130713/plc13071303260003-n2.htmより、
2013.7.13 03:25 (2/2ページ)
 だが、先の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の会合に際しては、日中外相は会談するに至らず、言葉すら交わさなかった。
 安倍晋三首相は「中国側は尖閣問題で一定の条件をのまなければ首脳会談をしないと言ってきている」と明かし、「間違っている」と中国の姿勢を批判している。
 対話実現を焦って、無用の譲歩をすることがあってはならず、首相の判断は妥当である。
 現状では、対中関係修復の糸口を見いだすのは容易ではなく、そのための「妙案」もなさそうだ。当面は、中国の台頭を念頭に軍事力の軸足をアジアに移している米国との同盟関係を強化し、南シナ海で中国の脅威に直面する国々との関係を緊密にしつつ、中国と対峙(たいじ)するほかあるまい。
 各党には、論戦の中で、中国の強圧的な出方を根気よくはね返す覚悟を示してもらいたい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO57312980T10C13A7EA1000/より、
日経新聞 社説 米中対話は成果を演出したが
2013/7/13付

 「新たな冷戦ではなく、(米中が世界を仕切る)G2でもなく、競争と協力が混ざり合う複雑なもの」。米中両国政府がワシントンで開いた戦略・経済対話の冒頭、バイデン米副大統領は両国関係をこう表現した。結果的に、その言葉通りの米中対話だった。
 両国はいくつかの具体的な成果を演出してみせた。たとえば、温暖化ガスの排出削減に向けた行動計画を共同でまとめることで合意し、そのための作業を10月に始めることが決まった。
 世界1、2位の温暖化ガス排出国なのに、両国は国際的な取り決めによって削減義務を負うことに後ろ向きだった。積極的な姿勢に転じることを期待したい。
 経済の分野では「90近い重要な成果が生まれた」(汪洋・中国副首相)という。汪副首相は特に、米国が中国を「市場経済国」として認める姿勢を示したことを高く評価した。
 これは日本の対中政策にも関わる。米国がどれほど踏み込むつもりなのか、日本はオバマ政権の真意を確認する必要があろう。
 安全保障の分野では、北朝鮮の核問題をめぐって建設的な意見が交わされたとされる。ただ、エネルギー支援などで北朝鮮を支えてきた中国がどこまで金正恩政権に圧力を加えるのか、なお不透明と言わざるを得ない。
 サイバー安全保障をめぐっては対立が鮮明だった。南シナ海や尖閣問題などを念頭に置いた海洋の安全保障をめぐる話し合いも、それぞれの立場を表明し合うにとどまった印象だ。
 米中は経済的に深い相互依存関係にあるが、安全保障の分野を中心に様々な食い違いに直面している。それだけに、両国政府が対話を深めることには意義がある。
 もちろん、それがわが国の国益にどう響くのか、日本としては検証を欠かせない。そのためにも、米国だけでなく中国とも情報交換を緊密にする必要がある。尖閣問題で細った対話のパイプを太くする努力が求められる。

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