麻生氏ナチス発言 「撤回で済まない重大さ」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013081402000105.htmlより、
麻生発言 世界に不信感 「千畝の行為 無にした」
東京新聞 2013年8月14日 朝刊

 麻生太郎副総理兼財務相が改憲に絡め、戦前のナチス政権を引き合いに出した発言をしたことは、世界に不信感を広げた。ナチス政権の迫害を受けたユダヤ人にビザを発給し、多くの命を救った外交官に杉原千畝がいる。杉原千畝研究会の渡辺勝正代表に、杉原の行動と比較しながら麻生氏の発言の問題点をあらためて聞いた。渡辺氏は「世界から信頼される国になろうとした杉原の行為を無にした」と批判した。(大杉はるか)

-杉原がビザを発給した時の思いは。
 「当時、日本政府はドイツ、イタリアと三国同盟を結ぼうとしていたこともあり、(ドイツが敵視したユダヤ人への)ビザ発給を許さなかった。それでも杉原は人道上だけでなく、日本の名誉のためにも、ユダヤ人を助けるべきだと判断した。この戦争はドイツの誤りであるということも分かっていたと思う」

-日本の名誉のためとは。
 「杉原は晩年の手記で『ユダヤ民族から永遠の恨みを買ってまで、ビザを拒否しても構わないのか。それが国益にかなうことか』と悩んだことを振り返っている。国益は『もうける』『勝つ』だけでない。杉原はより広い視点で、世界から評価される国であろうとした。それが国を愛するということだ」

-その杉原の思いに、麻生氏の発言は水を差してしまった。
 「麻生氏は外相だった二〇〇六年、閣僚として初めて(リトアニアの)カウナスの杉原記念博物館を訪問した。外務省は長年、当時のルールを逸脱したとして杉原の功績を認めてこなかった。麻生氏の訪問は、正しい歴史認識があったからこそと思っていたが、今回の発言には失望させられた。世界から信頼される国になろうとした杉原の行為を無にした」

-正しい歴史認識とは。
 「戦後、ドイツはナチス政権を全面否定し、強い反省の意を表明している。麻生氏の発言は、この歴史認識に触れていない。日本の政治家は、発言の重さを自覚してもらいたい」

-戦前のドイツの失敗から学ぶものは。
 「第一次世界大戦で背負わされた賠償で、ドイツ国民は疲弊していた。そこにヒトラーが現れ、魅力的に映った。ヒトラーは事実上憲法を停止する全権委任法を成立させ、独裁を可能にした。ドイツ国民は正しい判断ができなくなっていった。大勢に流されず、信念に基づいて正しい判断をすることが大事だ。杉原が七十年前にそうしたように」

 麻生太郎副総理兼財務相の問題発言
 7月29日に改憲を主張する民間団体の会合で講演し、ドイツでヒトラーのナチス政権が欧州で最も進んだ憲法だったワイマール憲法下で出てきたと指摘し「ワイマール憲法がいつの間にか、ナチス憲法に変わった。あの手口、学んだらどうか」と述べた。
 米ユダヤ系人権団体は「どのような手法がナチスから学ぶに値するのか」と批判。中韓両国も「過去の日本の帝国主義による侵略を受けた周辺国民にとって、この発言がどう映るかは明らかだ」などと反発した。
 麻生氏は発言の3日後、講演の際に「(改憲は)騒々しい中で決めてほしくない。間違ったものになりかねない」と発言していたことを踏まえ「憲法改正が喧騒(けんそう)に紛れ、十分な国民的理解と議論のないまま進んでしまったあしき例として挙げた」と釈明した。独紙フランクフルター・アルゲマイネは「聞いた人はそんな理解はしないだろう」と報じた。
 政府は13日の持ち回り閣議で、麻生氏の発言について「ナチス政権の手口を踏襲するという趣旨で発言したわけではない。麻生氏なりの言葉で表現した」とする答弁書を決めた。

<メモ> 杉原 千畝(すぎはら・ちうね) 1900~86年。岐阜県八百津(やおつ)町生まれ。医者になることを望んだ父親の意向に反し、早稲田大入学。在学中に外務省の官費留学生に応募。ロシア語習得後、満州ハルビンの総領事館などで勤務。40年にリトアニア・カウナスの領事館で、ポーランドから逃げてきたユダヤ人に対し、本省の訓令に背いてビザを発給。戦後、6000人の命を救ったとして知られるようになった。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013081300555より、
「ナチス踏襲」意図せず=麻生氏発言で政府答弁書

 政府は13日の持ち回り閣議で、憲法改正に絡みドイツのナチス政権の手法に言及し、「あの手口に学んだらどうか」とした麻生太郎副総理の発言に関し、「あしき前例として挙げたところであり、ナチス政権の手口を踏襲するとの趣旨ではない」とする答弁書を決定した。
 答弁書は、麻生氏の発言について「憲法改正は落ち着いて議論することが極めて重要だとの考えを強調する趣旨」とした上で、「ナチス政権下でワイマール憲法が十分な国民的理解および議論のないまま形骸化されたあしき例を麻生氏なりの言葉で表現した」と説明した。辻元清美氏(民主)、福島瑞穂氏(社民)の質問主意書にそれぞれ回答した。(2013/08/13-15:17)

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130803/plc13080303100005-n1.htmより、
産経新聞【主張】麻生氏失言 改憲論議への影響避けよ
2013.8.3 03:09 (1/2ページ)

 麻生太郎副総理兼財務相が、憲法改正の運び方をめぐる発言で、ドイツのナチス政権を引き合いに出した。お粗末な失言であり、撤回したのは当然である。
 発言は日本のイメージや国益を損なった。麻生氏は重職にあることを自覚し猛省してほしい。
 失言の重大さに加えて指摘したいのは、憲法改正論議そのものが水をさされる事態を避けなければならないことだ。
 安倍晋三政権の「右傾化」と結びつけようとする批判などは論外だ。首相や自民党は、引き続き国民の理解を求め、憲法改正の重要性を主張していくべきだ。
 麻生氏は「ワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。誰も気づかないで変わった。あの手口を学んだらどうかね」と語った。撤回したコメントではナチスについて「極めて否定的に捉えている」と釈明した。
 発言の全文を読めば、麻生氏にナチスを正当化する意図がないことは明らかだ。しかし、「学んだらどうか」といった、ナチスの行為を肯定すると受け取られかねない表現を用いたのはあまりに稚拙だった。
 米国のユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」は、麻生氏の発言を非難する声明を出した。ナチスを肯定的にみる風潮がいささかなりとも出てくることを許さない立場からだろう。ヒトラーやナチスによるユダヤ人虐殺という未曽有の国家犯罪に対し、極めて厳しい視線が今も注がれていることを忘れてはならない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130803/plc13080303100005-n2.htmより、
2013.8.3 03:09 (2/2ページ)
 もう一つの麻生発言の誤りは、ナチス政権がワイマール憲法を改正し、新たに憲法を制定したかのように理解していることだ。そのような史実はないことも指摘しておきたい。ナチスは1933年、暴力を背景に、ドイツ国会において全権委任法を成立させ、ワイマール憲法を死文化させて独裁につなげたのである。
 麻生発言を捉え、憲法改正は反民主主義的といった曲解もなされている。麻生氏は「憲法改正は落ち着いて議論することが重要」と発言全体の趣旨を語ったが、「いつの間にか」「誰も気づかないで」憲法が改正されるのが望ましいかのような表現は不適切だ。
 冷静さは大切だが、国民の多数が望んでいる憲法改正をめぐる議論は正々堂々と進めればよい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013080302000134.htmlより、
東京新聞【社説】国会始動 「一強」に緩みはないか
2013年8月3日

 参院選後初の国会が始まった。衆参「ねじれ」が解消し、自民党の「一強」、巨大与党時代の到来だ。与党には謙虚で丁寧な政権、国会運営を、野党には政権に対する厳しいチェックを望みたい。
 自民、公明両党が衆参両院で多数を確保し、与党主導の展開となるはずだった国会が一転、波乱含みだ。きっかけは麻生太郎副総理兼財務相の「ナチス」発言である。
 麻生氏は安倍内閣が目指す憲法改正に関し、保守系団体の会合でこう述べた。「(ドイツの)ワイマール憲法がいつの間にか変わっていた。ナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気が付かない間に変わったんだ。あの手口、学んだらどうかね」
 麻生氏は「誤解を招く結果となったので、ナチス政権を例示として挙げたことは撤回したい」として発言を一部取り消したものの、野党側は閣僚罷免や議員辞職、この国会中や閉会後の集中審議を求めるなど攻勢を強めている。
 なぜ、このような発言ができるのか。国際的な反発が予想できなかったのなら、政治家としての資質の欠如であり、「あしき例」として挙げながら誤解を招いたのなら、言語能力の欠如である。
 そのいずれだとしても、かつて外相、首相を経験し、現在、副総理の地位にある者としては、不用意な発言との批判は免れない。
 衆参両院で多数を確保し、衆院解散がなければ今後三年間は国政選挙がない状況だ。野党など気にならないという、気の緩みから出た発言ではなかったか。
 いくら「ねじれ」が解消されたとはいえ、石破茂自民党幹事長が指摘するように「緊張感を持ち、謙虚に丁寧に」政権や国会の運営に当たるのは当然である。
 「一強」の自民党や巨大与党とどう向き合うのか、野党には難しい課題だろう。与党の独善を正す野党の役割を愚直に務め、国民の信頼を得るしかあるまい。
 留意すべきは、野党がまとまらなくては政権に対するチェック機能が十分果たせないことだ。与党の分断工作を許し、自民党の補完勢力に堕すのなら、存在意義はない。
 政権の政策、法案には野党が協力して対案づくりに努める。国会での議論を尽くして問題点を明らかにし、修正すべきは修正を目指す。与党の国会運営が強引なら、共闘して歯止めをかける。
 その積み重ねが野党間の信頼を醸成し、自民党に対抗できる野党勢力結集の環境整備となる。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013080200910より、
野党、麻生氏発言で予算委要求=安倍政権「決着済み」と拒否

 憲法改正に絡みドイツのナチス政権を引き合いに出した麻生太郎副総理兼財務相の発言を受け、野党各党は2日、同日召集された臨時国会で衆院予算委員会の集中審議を開催するよう要求した。野党側は安倍晋三首相の任命責任と併せて追及する構え。これに対し、与党は「発言を撤回しており、終わった話」として拒否する方針だ。
 民主党の海江田万里代表は2日の党代議士会で、麻生氏の発言を「言語道断でおごりの極みだ」と批判。「首相の任命責任について対処したい」と述べた。民主、日本維新の会、みんな、共産、生活、社民の6党は国対委員長ら幹部が国会内で会談し、麻生氏の発言を追及するため、衆院予算委の開催を要求していくことで一致した。
 参院選で与党が圧勝し、参院でも過半数を確保して初めて迎えた臨時国会。安倍政権を攻めあぐねてきた野党側は、麻生氏発言を格好の攻撃材料と捉えている。野党国対委員長会談では、共産党の穀田恵二氏が「麻生氏は直ちに副総理を辞めるべきだ」と述べるなど、麻生氏の辞任を求めていくことも確認した。
 この後、民主党の松原仁国対委員長代行は自民党の佐藤勉国対委員長代理と会い、7日までの国会会期中に衆院予算委を開くよう要求。佐藤氏は「来週回答する」と態度を留保したが、麻生氏が1日に発言を撤回したことを理由に「決着済み」との立場で、閉会中も含めて審議には応じない方針だ。菅義偉官房長官も2日の記者会見で、麻生氏がナチスの手法を肯定したとの批判について「あくまで誤解で、国会で審議する性質のものではない」と語った。
 ただ、麻生氏発言は国際社会の反発も招いており、与党内では「国対レベルで収められても、海外への影響が心配」(中堅)との声も漏れる。米国を中心に強い影響力を持つユダヤ系人権団体の非難にもかかわらず、麻生氏が謝罪する意思はないとしていることもあり、公明党幹部は「これは尾を引くかもしれない」と懸念を示した。(2013/08/02-19:37)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130802/k10013496281000.htmlより、
野党 麻生発言で予算委開催要求
8月2日 16時55分

野党6党の国会対策委員長らが会談し、麻生副総理兼財務大臣が憲法改正に関連してナチスを引用した発言をしたことについて、今の国会で予算委員会を開いて麻生副総理の考えをただすべきだという認識で一致しました。
麻生副総理兼財務大臣は先月29日に開かれたシンポジウムで、憲法改正に関連して「ドイツのワイマール憲法も、いつの間にか、ナチス憲法に変わっていた。あの手口、学んだらどうか」などと述べましたが、1日、「真意と異なり誤解を招いたことは遺憾だ」として、発言を撤回しました。
これについて、民主党や日本維新の会など野党6党の国会対策委員長らが会談し、「麻生副総理の発言は国際社会に多大な影響を与えており、責任は重い」などという意見が相次ぎました。
そして、今の国会で安倍総理大臣の出席も求めて予算委員会の集中審議を行い、麻生副総理の考えをただすべきだという認識で一致しました。
このあと、民主党の松原国会対策委員長代行が自民党の佐藤国会対策委員長代理と会談し、松原氏が予算委員会を開くよう求めたのに対し、佐藤氏は「鴨下国会対策委員長と相談のうえ、週明けに回答したい」と述べました。
ただ、会談のあと佐藤氏は記者団に対し、今の国会の会期中に予算委員会を開くのは難しいという認識を示しました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130802/k10013488851000.htmlより、
「麻生副総理は予算委等で説明を」
8月2日 13時43分

衆議院議院運営委員会の理事会で、野党側は麻生副総理兼財務大臣が憲法改正に関連してナチスを引用した発言を巡り、「日本の国際的な信用をおとしめる発言だ」などとして、予算委員会などを開催し、麻生副総理が出席して説明するよう求めました。
麻生副総理兼財務大臣は先月、憲法改正に関連して「ドイツのワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。あの手口、学んだらどうか」などと述べ、1日、「真意と異なり誤解を招いたことは遺憾だ」として、発言を撤回しました。
これを巡り、衆議院議院運営委員会の理事会で、野党側は「日本の国際的な信用をおとしめる発言で、副総理としての責任は重い」などと批判しました。
そして「麻生副総理の認識や、安倍総理大臣の任命責任をただす必要がある」として、予算委員会の集中審議などを開催し、麻生副総理が出席して説明するよう求めました。
これに対し、与党側は「党に持ち帰って野党側から要求があったことは伝える」と述べるにとどめました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130802/k10013486711000.htmlより、
麻生氏 ナチス発言で辞職の考えなし
8月2日 12時29分

麻生副総理兼財務大臣は閣議のあとの記者会見で、憲法改正に関連して、ナチスを引用したみずからの発言について「ナチス政権を正当化する発言ではなく、真意は十分理解されている」と述べたうえで、閣僚や議員を辞職する考えはないことを明らかにしました。
麻生副総理兼財務大臣は、先月29日に開かれたシンポジウムで、憲法改正に関連して、「ドイツのワイマール憲法も、いつの間にかナチス憲法に変わっていた。あの手口、学んだらどうか」などと述べたことについて、1日、「真意と異なり誤解を招いたことは遺憾だ」として発言を撤回しました。
これについて、麻生副総理は閣議のあとの記者会見で「ナチス政権の例示は誤解を与えたと思うので撤回したが『憲法改正を落ち着いた議論の中でやるべきだ』という発言を撤回するわけではない。ナチス政権を正当化する発言ではなく、真意は十分理解されていると思う」と述べました。
そのうえで、麻生副総理は、記者団が「閣僚や議員を辞職する考えはあるか」と質問したのに対し、「辞職をするつもりはない」と述べました。
また、アメリカのユダヤ系の人権団体などが発言を批判していることに対し、個別に謝罪することはないという考えを示しました。
一方、菅官房長官は、閣議のあとの記者会見で「閣僚はみずからの立場を十分に承知し、誤解されないよう慎重に発言すべきだ。麻生副総理本人が発言を撤回したので、これで決着だと思っている。国会で審議をする性質のものではない」と述べました。
また、岸田外務大臣は「わが国は、戦後一貫して平和と人権を徹底的に擁護する社会を築き上げ、国際社会に貢献してきたと自負しており、こうしたわが国の姿勢をしっかりと説明していきたい」と述べました。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013080201001393.htmlより、
麻生氏「辞職するつもりない」 ナチス発言で
2013年8月2日 11時49分

 麻生太郎財務相は2日、閣議後の記者会見で、憲法改正に絡み戦前ドイツのナチス政権を引き合いにした自身の発言に関して「ナチスを例示したのは不適切ということなので取り下げる」とあらためて説明した。一方で、野党から議員辞職を求める声が出ていることに対しては「辞職するつもりはない」と述べた。
 麻生氏は「憲法改正は落ち着いた中で静かに議論するという考えは撤回するつもりはない」と強調。発言に強く反発している米国のユダヤ系団体や中国、韓国などに謝罪する考えはないとし「私の発言は(ナチス政権を)正当化していない。真意はご理解いただけたと思う」と話した。(共同)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013080200282より、
安倍政権右傾化への懸念増幅=麻生氏発言-米紙

 【ワシントン時事】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は1日、日本の憲法改正に関してナチス政権の手法を「学んだらどうか」と述べた麻生太郎副総理兼財務相の発言について東京発で報じ、安倍政権の右傾化に対する近隣諸国などの懸念を高め、安倍晋三首相の政権運営にダメージを与える可能性があるとの見方を示した。
 同紙は「麻生氏の発言は、右派を代表する存在である安倍首相の参院選圧勝後のかじ取りに大きな注目が集まっているタイミングで飛び出した」と指摘。「安倍政権が歴史認識を見直し、ナチス・ドイツと結んだ大日本帝国の歴史をより肯定的に捉えたいと願っているとの不安を裏付けたと思われる」と伝えた。
 また、識者の考えを引用する形で、首相は日本の経済だけでなく国家の誇りを取り戻すことを主張してきたと説明。安倍政権が「経済再生を優先させて政治的に効果を上げた現在の路線を堅持できるかどうかが焦点だ」と解説した。(2013/08/02-10:34)

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 8月 2 日(金)付
麻生氏の発言―立憲主義への無理解だ

 憲法改正論議にからみ、ナチスを引き合いに出した麻生財務相の発言が波紋を広げている。
 麻生氏はきのう、「誤解を招く結果となった」と発言を撤回した。だが、明確に謝罪はしていないし、発言の核心部分の説明は避けたままである。
 欧米では、ナチスを肯定するような閣僚の発言は即刻、進退問題につながる。麻生氏は首相や外相を歴任し、いまは副総理を兼ねる安倍政権の重鎮だ。その発言によって、侵略や大虐殺の歴史を忘れず、乗り越えようとしてきた人たちを傷つけ、これに対する日本人の姿勢について大きな誤解を世界に与えた責任は、極めて大きい。
 麻生氏は先月29日のシンポジウムで、日本の憲法改正論議を「狂騒の中でやってほしくない」としたうえで、以下のように述べた。
 「ある日気づいたら、ワイマール憲法がナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね」
 普通に聞けば、ナチスの手法に学ぶべきだと言っているとしか受け止められない。事実認識にも問題がある。
 ヒトラーは巧みな演説で国民を扇動し、まさに狂騒の中で台頭した。首相に就任すると、国会の同意なしに法律をつくる権限を政府に認める全権委任法を制定。これでワイマール憲法は実質的に停止されたが、「ナチス憲法」なるものができたわけではない。
 いずれにせよ、だれも気づかないうちに憲法が変えられることなど、絶対にあってはならない。ましてやヒトラーを引き合いに出し、その手法を是と思わせるような麻生氏の発言は、撤回ですむものではない。
 当時のドイツでは、ワイマール憲法に定める大統領緊急令の乱発が議会の無力化とナチスの独裁を招き、数々の惨禍につながった。こうした立憲主義の骨抜きの歴史を理解していれば、憲法論でナチスを軽々しく引き合いに出すことなど、できるはずがない。
 自民党は憲法改正草案をまとめ、実現に動こうとしている。だが議論にあたっては、歴史や立憲主義への正しい認識を土台にすることが大前提だ。
 安倍首相は、「ナチスの手法に学べ」と言わんばかりの今回の発言を、どう整理するのか。前言撤回で幕引きをはかるのではなく、きちんとけじめをつけなければ、まともな憲法論議に進めるとは思えない。
 これは、安倍首相の認識が問われる問題である。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130802k0000m070123000c.htmlより、
社説:麻生氏ナチス発言 撤回で済まない重大さ
毎日新聞 2013年08月02日 02時30分

 何度読み返しても驚くべき発言である。もちろん麻生太郎副総理兼財務相が憲法改正に関連してナチス政権を引き合いに「あの手口、学んだらどうかね」と語った問題だ。麻生氏は1日、ナチスを例示した点を撤回したが、「真意と異なり誤解を招いた」との釈明は無理があり、まるで説得力がない。まず国会できちんと説明するのが最低限の責務だ。
 麻生氏の発言は改憲と国防軍の設置などを提言する公益財団法人「国家基本問題研究所」(桜井よしこ理事長)が東京都内で開いた討論会にパネリストとして出席した際のものだ。要約するとこうなる。
 戦前のドイツではワイマール憲法という当時、欧州でも先進的な憲法の下で選挙によってヒトラーが出てきた。憲法がよくてもそういうことはある。日本の憲法改正も狂騒の中でやってほしくない。ドイツではある日気づいたらワイマール憲法がナチス憲法に変わっていた。誰も気づかないで変わった。あの手口、学んだらどうかね−−。
 「憲法がよくても……」までは間違っているとは思わない。問題はその後だ。「ナチス憲法」とは、実際には憲法ではなくワイマール憲法の機能を事実上停止させ、ナチス独裁体制を確立させた「全権委任法」と呼ばれる法律を指しているとみられる。麻生氏の史実の押さえ方もあいまいだが、この変化が後に戦争とユダヤ人虐殺につながっていったのは指摘するまでもなかろう。
 いずれにしても麻生氏はそんな「誰も気づかぬうちに変わった手口」を参考にせよと言っているのだ。そうとしか受け止めようがなく、国際的な常識を著しく欠いた発言というほかない。麻生氏は「喧騒(けんそう)にまぎれて十分な国民的議論のないまま進んでしまったあしき例として挙げた」と弁明しているが、だとすれば言葉を伝える能力自体に疑問を抱く。
 憲法改正には冷静な議論を重ねる熟議が必要だと私たちも主張してきたところだ。しかし、麻生氏は討論会で自民党の憲法改正草案は長期間かけてまとめたとも強調している。そうしてできた草案に対し、一時的な狂騒の中で反対してほしくない……本音はそこにあるとみるのも可能である。
 米国のユダヤ人人権団体が批判声明を出す一方、野党からは閣僚辞任を求める声も出ている。当然だろう。これまでも再三、麻生氏の発言は物議をかもしてきたが、今回は、先の大戦をどうみるか、安倍政権の歴史認識が問われている折も折だ。「言葉が軽い」というだけでは済まされない。
 2日からの臨時国会で麻生氏に対する質疑が必要だ。安倍晋三首相も頬かぶりしている場合ではない。

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