福島第1原発 汚染水対策「政府の責任を明確に」

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 8月 17 日(土)付
汚染水対策―政府の責任を明確に

 東京電力・福島第一原発の事故は、まだ終わっていない。政府は、東日本大震災の日に出した「原子力緊急事態宣言」を、今も解除できずにいる。
 放射性物質で汚染された水が流出し、地下や海を汚染し続けている。この事実は、原子力災害が今も進行中であることをはっきりと物語っている。
 安倍首相は先週、汚染水問題について「対応すべき喫緊の課題」「東電に任せるのではなく、国としてしっかりと対策を講じていく」と述べた。
 緊急事態宣言に基づいて設置されている原子力災害対策本部での、本部長としての発言だ。
 政府は、現場で事故対応にあたる東電、国の関係機関の責任分担を明確にして、放射能の封じ込めなどに全力をあげる必要がある。
 大きな反省点は、東電任せにしていた結果、汚染水対策が後手後手に回り、環境汚染が進んできたことだ。むしろ政府の関与が遅かったくらいである。
 首相は、経済産業相に「スピード感を持った東電の指導」を指示した。原子力規制委員長には、「安全確保に向けた原因の究明と有効な対策について、規制当局の立場から全力を挙げて取り組むよう」求めた。
 現場での対策は引き続き東電が担うが、原発施設を囲むように土を凍らせ地下水流入を防ぐ工事費の一部を負担する方針を経産省が示すなど、新たな取り組みも動き出した。
 ただ、この費用負担は研究費名目である。事態の緊急度を考えると、あまりに腰が引けていないか。規制委も「東電、資源エネルギー庁が中心になってやっている。(規制委は)オブザーバー的に入っていて助言する立場」(田中俊一委員長)と、一歩引いて構えている。
 東電と原発推進サイド(経産省)、規制サイド(規制委)が責任を押しつけ合ったり、あいまいにしたりして対策が遅れるような事態は最悪である。
 カギを握るのは、やはり規制委である。
 規制委は首相指示に先んじて汚染水対策を検討する作業部会を設けた。「地下水くみ上げの効果は」「電源ケーブル管路などでの汚染水の広がりは」などと具体的な検討事項を示して、東電の対策をリードする動きを見せた。積極姿勢をもっと前面に出し、専門的見地から人知を尽くす必要がある。
 旧原子力安全委員長は原災本部の構成員でさえなかったが、規制委員長は副本部長だ。事故の教訓から与えられたその権能を最大限いかしてほしい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013081002000135.htmlより、
東京新聞【社説】福島原発対策 国際海洋汚染の自覚を
2013年8月10日

 何と恐ろしい話だろう。今この瞬間にも、放射能に汚染された地下水が海に流れ込んでいる。政府試算では、その量は一日三百トンにも上る。流出の元を誰かが断たねば、海洋汚染は広がるばかりだ。
 目の前の漁場を汚され、生活の糧を奪われ、なすすべもない漁師の心中は、察するに余りある。
 流出がこのまま続けば、英国の石油資本BPによる三年前のメキシコ湾原油流出事故を上回る、国際海洋汚染事件に発展する恐れもあるのではないか。
 九日の長崎平和宣言は「東京電力福島第一原発事故は、いまだ収束せず、放射能の被害は拡大しています」と訴えた。止められない汚染水は、被害拡大の象徴ではないか。
 恐れるべきは、この拡大の責任者が、国なのか東電なのか、はっきりしないことである。
 経済産業省は、1~4号機の周りにパイプを巡らせ、マイナス四〇度の冷却材を循環させて、凍土の壁で囲い込み、地下水の流入を食い止める計画に、国費を投入するという。
 トンネル工事に用いられる工法だが、これほど大規模な遮水工事に効果があるかどうかは未知数だ。事故直後から構想はありながら、実行に移されてはいなかった。冷却材を循環させ続けねばならず、電力も費用もかかる。恒久的な対策とは思われない。
 水の流れを、地中で完全に遮断するのは難しい。遮水工事を進めるのと同時に必要なのが、流出する地下水を減らす方法を見つけることだ。
 地下水の建屋への流入経路と、汚染水となって海へ広がる流出経路を突き止めて、完璧にふさいでしまうための調査こそ、必要なのではないか。
 建屋の周辺では、高い放射線量があらゆる作業を阻む、だとすれば、例えば日本のものづくり技術を総動員して、遠隔操作で探査や作業ができるロボットの開発を急ぐべきではないか。
 誰が費用を負担するかを議論しているような場合ではない。東電の負担なら電力料金に跳ね返る。国費なら税金だ。結局、負担するのは国民なのだ。
 その国民も、両者がそれぞれに全力を挙げ、一刻も早く汚染水の流出が止まり、廃炉への作業が安全に進むよう願っている。
 国費をつぎ込む以上、研究や作業の進み具合を、周辺住民はもちろん、国民すべてに速やかに報告すべきは、言うまでもない。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO58347390Q3A810C1EA1000/より、
日経新聞 社説 汚染前の地下水放出はやむを得ない
2013/8/10付

 東京電力・福島第1原子力発電所の汚染水問題で、茂木敏充経済産業相は「汚染前の地下水」の海洋放出を示唆した。問題の深刻さを考えれば、基準値を超える汚染がないことを確認したうえでの地下水放出はやむを得ない。
 汚染前の地下水は、汚染水とは違う。このことを政府は漁業関係者に対してはもちろん、国民や近隣諸国にもしっかり説明し理解を求めてもらいたい。それでも風評被害の心配はある。被害があれば適切な補償が要る。
 福島原発では、山側から海へ日量約1千トンの地下水が流れる。そのうち約400トンが原子炉建屋に流入し高濃度の汚染水になる。この400トンは外に漏らさず原子炉の循環冷却に使われている。
 残りの600トンのうち、およそ半分は建屋周辺の土壌で汚染を受けて海に流れ出し、残りの半分は汚染しないで出ているとみられる。問題は汚染を受ける300トン分だ。海の汚染拡大を避けるには、建屋の山側で汚染前の地下水をくみ上げて海に流し、汚染土を通る地下水を減らす必要がある。
 東電は5月に、この「地下水バイパス」を漁協などに説明したが、理解を得られなかった。
 今回は政府が前面に出て説明にあたり実現すべきだ。放出水の安全確認も東電には委ねず、原子力規制委員会が責任をもって実施、情報を余さず迅速に公開し漁業者らの不信をぬぐわねばならない。
 福島県沿岸の水質や水産物の汚染について政府はもっと入念に調べて情報を公開、風評被害の防止に努める責任がある。
 また建屋の周りのトレンチ(坑道)にたまった高濃度の汚染水が染み出して海に達している可能性も指摘される。こちらはトレンチから水を抜いて循環冷却に使うとともに、トレンチに二度と汚染水が入らぬよう建屋との間を遮断するなどの措置を急ぐ必要がある。
 地下水バイパスは汚染水流出を抑える緊急策として急ぐ必要がある。しかし汚染水問題全体の抜本策とはならない。水を抜いても地下水の流れを完全には止められないからだ。
 最終的には原子炉建屋を囲む地下の遮水壁をつくって建屋を地下水から隔離しなければならない。
 建屋内の高濃度の汚染水についても、浄化処理で放射性物質を基準値以下まで除いた上で、いずれは海への放出を考える必要が出てくる。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130809k0000m070133000c.htmlより、
社説:福島原発汚染水 国の主導で対策を急げ
毎日新聞 2013年08月09日 02時30分

 東京電力福島第1原発の放射性汚染水問題で政府は、来年度予算で国費を投入し、対策を講じる方針を固めた。東電任せの汚染水対策は破綻状態にあり、政府が対策を主導するのは当然である。決断は、むしろ遅すぎたくらいだ。ただし、事故責任は東電にある。国費の投入は、国民の負担で事故処理を実施することを意味する。無駄遣いは許されない。政府は汚染水処理対策の道筋や費用を明示し、情報公開を徹底して、国民の理解を得るよう努めるべきだ。
 経済産業省資源エネルギー庁が7日に明らかにした試算によると、福島第1原発には1日1000トンの地下水が流れ込み、うち300トンが汚染水として海洋に流出している。外部の海洋に大きな変化は見られないが、2年前の事故直後から漏れていた可能性も否定できないという。
 これほど重大な試算が今ごろ出てくること自体、事故がまだ収束していないことを如実に示している。
 こうした状況も踏まえ、安倍晋三首相は「汚染水問題は喫緊の課題。東電に任せるのではなく、国として対策を講じていく」と述べ、茂木敏充経産相に早急な対策を指示した。
 経産省が国費を投入する抜本対策として考えているのが、原子炉建屋を取り囲む形で地中に管を通し、氷点下数十度の冷却液を循環させて地盤を凍らせる「凍土遮水壁」だ。
 1〜4号機の建屋には1日約400トンの地下水が流入し、汚染水となっている。凍土壁で流入を阻止し、汚染水を減らす狙いだが、これほど大規模な工事は前例がない。整備費も400億円程度に上る見込みだ。政府や原子力規制委員会は、実施体制をきちんと監視する必要がある。
 順調に工事が進んでも、運用開始は2015年の予定だ。このため、敷地海側での汚染水くみ上げや地盤改良工事、敷地山側に井戸を掘って流入前の地下水を海に流す「地下水バイパス」などが、緊急対策として実施、あるいは計画されている。
 風評被害への懸念などから、地下水バイパスはまだ地元漁協の了解を得られていない。くみ上げた地下水の安全確認方法や海への放出について、茂木経産相は政府の汚染水処理対策委員会で検討を求めたが、最終的には政府による地元への丁寧な説明が必要ではないか。規制委は先月、汚染水について分析する作業チームの設置を決めたが、東電任せにしないことで、データの客観性を確保することにつながるだろう。
 福島第1原発の廃炉作業は30〜40年かかるとされる。汚染水問題を解決しない限り、廃炉も進まない。
 政府や規制委は今後も廃炉作業の当事者として、積極的に対策に取り組んでもらいたい。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130806/dst13080603060001-n1.htmより、
産経新聞【主張】原発汚染水 政府が前面に出て説明を
2013.8.6 03:06

 政府はいつまで傍観を続けるつもりなのか。
 東京電力福島第1原子力発電所の放射能汚染水の問題だ。量は運転時の放出基準内だが、敷地から海への漏れが確認される事態となっている。
 早急に漏出防止と汚染水減量に、実効的な手を打つべきだ。
 第1原発では2年半前の事故以来、溶融した炉心を注水冷却する作業が続けられている。大破した原子炉の安定維持は、水との絶えざる闘いだ。1~4号機のタービン建屋の地階などには大量の汚染水がたまっている。
 炉心に注ぐ水は濾過(ろか)、循環させて再利用しているが、原発の山側から流れてくる地下水が建屋の地階で汚染水と混ざって総量を増加させている。流入する地下水量は1日平均400トンだ。
 東電は第1原発の敷地内にタンク群を設置して回収した汚染水を貯蔵することで対応しているが、タンクの増設にも限度がある。汚染水の増加を抑えるための抜本策が必要だ。
 その有力手段の一つとして期待できるのが、地下水のくみ上げだ。建屋の手前に井戸を掘り、山側からの地下水が建屋に入って汚染水となる前に、バイパスさせて海に流せば汚染水の増加にブレーキがかかるはずである。
 東電の見積もりでは、1日当たりの流入量を300トンまで減らせそうだ。くみ上げ井戸は4月中に12本が完成しているが、バイパス用には使われていない。
 汚染前の地下水であるにもかかわらず、漁業関係者から風評被害を懸念する声が上がったためだ。5月中旬のことだった。
 そうして足踏みしているうちに今回、海への汚染水流出が確認されるに至った。後手に回った感がある。漁民が不安を感じた段階で、政府が前面に出てバイパス計画の安全性と必要性について、しっかり説明すべきだった。
 事故を起こした負い目のある東電のみの努力では、いくら誠意を尽くしても漁業関係者の同意は容易に得られない。安定政権の基盤を確保した安倍晋三首相には、汚染水問題の解決に指導力を発揮してもらいたい。
 原子力規制委員会の動きも鈍い。処理で基準濃度以下となった汚染水の海洋放出は、第1原発の現実に照らして不可避である。国内外への説明に急いで取り組まなければ間に合わない。

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