集団的自衛権 「解釈見直しは困難」山本庸幸氏

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013082001002083.htmlより、
前法制長官、憲法解釈変更は困難 集団的自衛権で
2013年8月20日 20時25分

 内閣法制局長官から最高裁判事に就任した山本庸幸氏(63)が20日、東京都千代田区の最高裁で記者会見し、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認する考え方について「法規範そのものが変わっていない中、解釈の変更で対応するのは非常に難しい。実現するには憲法改正が適切だろう」と持論を述べた。
 就任は同日付。「法令の知識を生かし、誠心誠意、ひるむことなく判断していきたい」と抱負を述べた。
 安倍晋三首相は解釈変更に前向きな新長官を起用し、山本氏は今月8日に退任した。
 通産省生活産業局繊維製品課長、内閣法制次長などを経て2011年12月から内閣法制局長官を務めた。(共同)

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013082000773より、
憲法解釈変更「難しい」=集団的自衛権で山本新判事-最高裁

 20日付で最高裁判事に就任した前内閣法制局長官の山本庸幸氏(63)が同日、最高裁で記者会見し、憲法9条の解釈変更による集団的自衛権行使の容認について、「私自身は難しいと思っている」と述べた。
 山本氏の後任の法制局長官に起用された小松一郎氏は、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の変更に前向きとされる。
 会見で山本氏は、「地球の裏側まで行くような完全な集団的自衛権を実現するなら、憲法を改正した方が適切だ」とした。(2013/08/20-19:26)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130820/k10013903011000.htmlより、
最高裁判事 集団的自衛権巡る憲法解釈に言及
8月20日 17時17分

内閣法制局長官から最高裁判所の新しい判事に任命された山本庸幸氏が会見し、集団的自衛権の行使を巡る政府の憲法解釈の見直しについて「半世紀以上維持されてきた憲法解釈であり、私自身は見直すことは難しいと思う」と述べました。
内閣法制局長官を務めていた山本庸幸氏(63)は、定年退官した竹内行夫判事の後任として20日、新しい最高裁判事に任命されました。
最高裁で行われた会見で山本氏は、集団的自衛権の行使を巡る政府の憲法解釈の見直しに関する議論について、「今の憲法の下で半世紀以上議論され、維持されてきた憲法解釈であり、私自身としては見直すことは難しいと思っている」と述べました。
さらに山本氏は「見直すのであれば、憲法9条を改正することがより適切だが、最終的には国会や国民が判断することだ」と述べました。
内閣法制局の長官は今月、山本氏の後任として、第1次安倍内閣の際、憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認する議論に加わった、元フランス大使の小松一郎氏が就任しています。
山本氏は、内閣法制局の長官だった当時、国会での答弁で、集団的自衛権について従来の政府の憲法解釈を維持すべきだという姿勢を示していましたが、裁判で憲法判断を行う最高裁判事としては異例の発言となりました。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130809/plc13080903320008-n1.htmより、
産経新聞【主張】集団的自衛権 「不退転」で行使容認急げ 日米安保体制の強化優先を
2013.8.9 03:31

 集団的自衛権の行使に関する政府解釈の見直しへ向け、安倍晋三首相が大胆かつ周到に環境を整えつつある。新しい内閣法制局長官に、行使に前向きな小松一郎駐仏大使を起用することを閣議決定した。首相の不退転の決意を示すものとして歓迎し支持したい。
 新長官に求めたいのは、集団的自衛権について「国際法上は保有するが、憲法上は行使不可」としてきた、内閣法制局の憲法解釈の早急な変更である。
 中国の海洋進出攻勢など、周辺の安保環境が厳しさを増す中で日本が生き抜くには、集団的自衛権の行使を認めて日米安保体制を強化するしかない。憲法解釈残って国滅ぶ、になってはならない。

 ≪先例の墨守と思考停止≫
 法制局内部の抵抗が予想されるが、行政権は内閣に属する。法制局には、内閣の補佐機関であるとの自覚と国際認識を求めたい。
 首相は、解釈見直しを進めている「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を月内にも再開させ、年内に報告書を受ける。首相はこう表明すればよい。集団的自衛権の行使は「自衛のための必要最小限度の実力行使」に含まれる、と。これまでも憲法解釈は随時、変更されている。首相の覚悟と決断によって日本の平和と安全は間違いなく守られる。
 政府解釈が確立されたのは鈴木善幸内閣の昭和56(1981)年5月の政府答弁書だ。「わが国は国際法上、集団的自衛権を有するが、わが国を防衛する必要最小限度の範囲を超えるため、憲法上その行使は許されない」とした。
 法制局はこれ以降、「歴代法制局長官が答弁を積み重ねてきた」「政策のために解釈を変更することは憲法を頂点とする法秩序の維持からも問題がある」と主張してきた。解釈変更への抵抗ぶりは、第1次安倍内閣で見直しを検討した首相に、幹部の集団辞任も示唆したことなどに表れている。
 だが、実際は時代により変遷している。33年10月には、林修三法制局長官が岸信介首相と協議し、「日本にも制限された意味での集団的自衛権もある」と、合憲とする統一解釈を決めている。
 林氏はその2年後、「集団的自衛権を私は日本の憲法は否定しておるものとは考えません」と答弁した。岸首相も同じ時期、「一切の集団的自衛権を憲法上持たないのは言い過ぎ」と述べた。
 日本が新旧の日米安保条約と、日ソ共同宣言において3度も「個別的及び(又は)集団的自衛の固有の権利を有する」とうたってきた経緯があったからだ。
 注目したいのは、日本が独立した1年ほど前の26年4月、外務省は吉田茂首相の了承を得て、日本は集団的自衛権を発動して沖縄防衛に協力するという文書を米側に提出していることだ。

 ≪時代により解釈変遷も≫
 日本は当時、米国統治下の沖縄に個別的自衛権を発動できず、せめて米国と集団的自衛の関係を設定して、沖縄の守りに関与したいという苦心の提案だった。
 47年に沖縄が返還されると個別的自衛権で対処できるようになり、集団的自衛権を考える必要がなくなったことも、現行解釈の背景にはあったといえよう。
 憲法9条でさえ、政府は自衛隊発足に伴い、「戦力は持てない」から、「自国を守るために最小限度の自衛のための実力」は保持できる、という解釈に変更した。
 「先例墨守や思考停止の弊害に陥ることなく、憲法規定を虚心坦懐(たんかい)に見つめ直す必要がある」。第1次安倍政権が発足させた先の懇談会が5年前にまとめた報告書は、名指しを避けながらも法制局の問題点を鋭く突いている。
 法制局はそれほどまでに硬直化した対応を取ってきた。国家の責務は国民の安全と国益を守ることであり、政府解釈の柔軟な見直しもその延長線上にある。
 外務省の国際法局長などを歴任した小松氏は、法制局勤務の経験はない。長官には次長が昇格することが慣例化してきたようだが、法制局を根本から立て直すには外部から人材を登用するしかない、と首相は判断したのだろう。
 菅義偉官房長官は小松氏について「国際法の分野をはじめとする豊富な知識と経験を持っている」と語った。手腕を期待したい。
 内閣が与党とともに行使容認に踏み切り、日米が同盟国としてともに守り合う関係になることで、日本の未来も切り開ける。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013080902000126.htmlより、
東京新聞【社説】なし崩し変更許されぬ 集団的自衛権を考える
2013年8月9日

 「憲法解釈の番人」とされる内閣法制局長官に集団的自衛権行使の容認派、小松一郎駐仏大使の就任が閣議決定された。安倍晋三首相は何がしたいのか。
 内閣法制局は政府提出の法案について、憲法や他の法律と矛盾がないか審査するほか、憲法や法令の解釈で政府の統一見解を示す役割を担う。自国と密接な関係にある外国への武力攻撃を実力をもって阻止する集団的自衛権について「憲法九条のもとで許される実力の行使を超え、許されない」との解釈を示してきた。

◆危うい安倍政権の手法
 長官は法制局内部から昇格するのが通例で、法制局勤務を通じて過去の法令解釈を学び、長官就任後、安定した憲法解釈を示すことができた。法制局経験のない小松氏の長官就任は極めて異例だ。
 安倍首相の狙いは第一次安倍政権当時、首相が設置した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の事務作業に関わり、集団的自衛権の行使に前向きだった小松氏を起用して、行使容認に踏み切ることにあるのだろう。
 安倍首相は参院選直後に「国家安全保障基本法」を内閣が国会に提出する「閣法」でやるべきだとの考えを表明している。この法律は、集団的自衛権行使や海外での武力行使を可能にする、さながら「魔法の法典」で、改憲したのと変わりない効果が得られる。
 過去の憲法解釈を覆す法案を内閣提出とするなら、内閣法制局のお墨付きを得る必要がある。そのための長官人事とみられる。
 憲法論議より先に、いきなり人事から着手する手法は、意に沿った判定を下す審判に交代させて試合を始めるのと変わりない。改憲規定の憲法九六条を緩和するところから憲法論議に入ろうとしたのと同じ思考回路であり、安倍政権の危うさを感じさせる。

◆解釈改憲の狙い示せ
 阪田雅裕元内閣法制局長官は「法制局の長官が交代したからといって見解が好きに変わるものではないし、もしそうなら法治国家ではあり得ない」という。政権が法制局全体に圧力をかけ、好む方向へと誘導するようなら国の信用は地に落ちるだろう。
 安倍首相は長官人事に続き、次には休眠状態だった安保法制懇の議論を加速させる。
 第一次安倍政権で設置された安保法制懇は、次の福田政権当時に報告書を出している。検討を指示された四類型のうち、集団的自衛権行使にあたるのが「公海での米艦艇の防護」「米国へ向かう弾道ミサイルの迎撃」である。
 この報告書は、行使に踏み切らなければ日米同盟は崩壊するとして憲法解釈の変更を進言した。だが、公海上で米艦艇を防護する場面は、もはや日本有事である。戦場で米艦艇とともに行動する自衛隊艦艇が米艦艇を防護するのは個別的自衛権の範囲に入り、合憲との政府見解が示されている。
 米国へ向かう弾道ミサイルを迎撃する技術が存在しないことは、久間章生元防衛相が国会答弁で明らかにしている。意味のない検討といわざるを得ない。
 何より奇妙なのは、世界最強の米軍にいずれかの国が挑む前提になっていることだ。起こり難いことを議論すること自体が怪しい。
 これまでは具体的な自衛隊の活動が予定され、国会で議論する必要に迫られると、その都度、政府の憲法解釈が示されてきた。
 カンボジアでの国連平和維持活動(PKO)参加、イラク戦争での復興支援などが該当する。いずれも自衛隊の活動は合憲と解釈される範囲にとどまってきた。
 安倍首相は、政府解釈を覆さなければならない活動とは何なのか、四類型以外に示さない。
 東アジアをみると、日本と米国が気をもむ国がある。北朝鮮だ。米国が寧辺の核開発施設の空爆を検討した一九九〇年代と比べ、格段に高い核と弾道ミサイル技術を保有するに至った。仮に米国が攻撃に踏み切った場合、周辺事態法で定める後方支援にとどまらず、日本からの攻撃機発進を可能にしたり、自衛隊を戦闘正面に立たせたりする狙いがあるのだろうか。

◆「こっそり」より堂々議論
 いうまでもなく専守防衛は日本の国是だ。平和憲法に基づく、安全保障政策の屋台骨を法制局人事を使って揺さぶり、過去の政府見解を無視して国家安全保障基本法を制定し、解釈改憲を目指すのは、「こっそり改憲」につなげる狙いにしかみえない。改憲を目指すなら、必要性を示し、堂々の議論を進めるのが筋である。
 四百八人もいる自民党の国会議員は、こんなやり方に満足しているのか。そもそも全員が改憲を目指すのか、自らの考えを天下に示すのは選良の義務である。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130809k0000m070134000c.htmlより、
社説:集団的自衛権 なし崩しはいけない
毎日新聞 2013年08月09日 02時33分

 安倍政権は、内閣法制局の山本庸幸長官を退任させ、後任に小松一郎駐仏大使をあてる人事を決めた。
 内閣法制局は、政府の憲法や法令解釈を担い、「法の番人」とも呼ばれる。そのトップに外務省出身で法制局経験がない小松氏を起用するのは異例で、安倍晋三首相が集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈変更に踏み切る布石なのは明らかだ。議論が本格化する前に、まず長官を行使容認派に交代させるという荒っぽい手法に懸念をおぼえる。
 集団的自衛権は、自国が直接攻撃されていなくても、自国と密接な関係にある国への武力攻撃を実力で阻止できる権利だ。政府は「国際法上保有しているが、憲法上行使は許されない」と解釈してきた。この解釈を担ってきたのが内閣法制局だ。
 安倍首相は「財産に権利はあるが、自由にならないという、かつての禁治産者の規定に似ている」と不満を示し、解釈変更を目指してきた。
 集団的自衛権の行使容認派には、そもそも内閣法制局の憲法解釈が違うのではないかという考え方や、安全保障環境や時代状況の変化に応じて解釈は変わり得るという考え方がある。
 これに対して内閣法制局は、政権が代わるたびに憲法解釈が変われば法治国家として成り立たないとの考え方に立ってきた。必要ならば憲法解釈の変更ではなく、堂々と憲法9条の改正を国民に問うべきだとの意見もある。
 さまざまな意見の対立がある中、首相は反対派を説得するよりも、容認派を要所に配置して突き進もうとしているようにみえる。
 今年2月に再発足した政府の有識者懇談会・安保法制懇も、首相の考えに近い学者らが集められた。参院選などで中断していたが、近く議論を再開し、年内にも集団的自衛権の行使を容認すべきだとの報告書を出す見通しだ。第1次安倍内閣で設置された懇談会の提言よりも、幅広く行使を認める報告書を出しそうだという話もある。
 それを踏まえて政府は憲法解釈の変更を閣議決定し、早ければ来年の通常国会に関連法案を提出するとみられる。
 国の安全保障は国民の理解なしには成り立たない。その根幹をなす変更が行われようとしているのに、議論は国民の目になかなか見えてこない。参院選でも、首相は慎重姿勢を示す公明党に配慮したのだろうか、集団的自衛権の問題にあまり触れようとせず、議論は深まらなかった。
 首相が行使容認を目指すのなら、なし崩しに進めるのではなく、異なる立場の意見にも耳を傾け、合意を得る努力を惜しむべきでない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130806/plc13080603080003-n1.htmより、
産経新聞【主張】集団的自衛権 「行使」へ与党内調整急げ
2013.8.6 03:07

 小野寺五典防衛相が年末に改定する「防衛計画の大綱」に、集団的自衛権の行使容認に関する政府の有識者懇談会の提言内容を反映させる意向を示した。
 政府内には行使容認を来年以降に先送りする考えもあったが、防衛相が新たな政策判断を年内に示す姿勢を明確にした点を評価したい。安倍晋三首相はさらに行使容認の必要性を国民に説くとともに、公明党の合意取り付けを急いでもらいたい。
 有識者からなる「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の柳井俊二座長はNHK番組で、年内にも行使容認を提言する方向となっていると述べた。これを受け小野寺氏が「さまざまな政府の方針が来て初めて大綱を作れる。(政府内で)スケジュール感は共有している」と語ったものだ。
 日米同盟をより機能させ、中国や北朝鮮への抑止力を高めるために、集団的自衛権の行使容認は待ったなしの課題となっている。
 有識者懇談会が行使容認を提言した後、安倍政権は「保有するが行使できない」としてきた政府の憲法解釈の見直しに、どのように踏み込むのか。防衛力整備の長期指針となる防衛計画大綱に、重要な政策転換を反映させるのは当然といえよう。
 問題は、連立を組む公明党が行使容認に強く反対する姿勢を崩していないことだ。山口那津男代表は、行使容認に踏み切れば連立を解消する可能性にも言及して自民党を牽制(けんせい)している。
 東アジアの安全保障環境をみれば、日本だけが集団的自衛権の行使は認められないという憲法解釈を続けていては、平和を保てないことは明らかだろう。柳井氏は「今までの政府見解は非常に狭すぎて、憲法が禁止していないことまで自制している」と、抑止力が働かない現状を指摘した。
 公海上で攻撃されている米艦船を、自衛隊が座視して反撃しなければ、日米同盟は危機に瀕(ひん)するだろう。サイバー攻撃への対応でも、日米間の協力推進に集団的自衛権が深く関わってくる。
 安倍首相は、7月のシンガポールなど東南アジア歴訪で各国首脳に対し行使容認の検討状況を説明して理解を求めた。内閣法制局長官も政府解釈の見直しに前向きな小松一郎駐仏大使へ交代させる意向だ。こうした積極姿勢を生かしてもらいたい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 8月 3 日(土)付
集団的自衛権―まず人事権の行使とは

 内閣法制局は、憲法のご意見番ともいえる行政組織である。安倍首相は、そのトップ人事に踏み切る方針を固めた。
 今の山本庸幸長官に代えて、小松一郎駐仏大使をあてる。これまで一度も法制局の経験がない外務省出身者を、いきなり長官に起用するのは異例だ。
 参院選の直後、首相は集団的自衛権の行使容認に向けた憲法の議論を再開すると表明していた。積極派の人物をここで登用する人事は、容認への布石であることは明らかである。
 平和憲法の原則にかかわる問題の議論を始めようというときに、人事から着手する手法には危うさを感じざるをえない。これでは、丁寧な議論が成り立たなくなるのではないか。
 同盟国が攻撃されたとき、日本が自らへの攻撃とみなして反撃行動に出ることができる。それが集団的自衛権である。
 歴代内閣は、その行使は「認められない」という憲法解釈で一貫してきた。それを支えてきたのが法制局である。
 憲法9条は、必要最小限度の武力行使しか認めていない。集団的自衛権の行使はその一線を越えている――。
 法制局は長年そんな立場を崩さず、解釈見直しにブレーキをかけ、政府見解や国会答弁の整合性を保ってきた。
 イラクへの自衛隊派遣で議論になった「非戦闘地域」などの概念は、時の政権が法制局と折り合いをつけるために編み出した苦肉の策だった。
 集団的自衛権の議論を進めれば、いずれかの段階で法制局長官を代えざるをえない。政府内ではそんな見方が強まっていた。今回の人事は、これまで繰り返されてきた法解釈論争を、一足飛びに越えようとする狙いとも受け止められる。
 新長官になる小松氏は、外務省で国際法局長もつとめた外交官。首相の外交顧問役である谷内(やち)内閣官房参与とも近い。
 憲法の解釈変更に向けては、首相の諮問機関が近く論議を再開する。こちらも変更の容認派の顔ぶれが並んでいる。
 いうまでもなく、これは専守防衛という日本の安保政策の基軸をめぐる論議である。その前段で、まず人事権を使って外堀を埋めておこうとするかのような手法は、乱暴ではないか。
 政府内に異論があるなら、一層時間をかけ、幅広い議論を尽くしたうえで合意を築き、国民に説明するのが筋だ。
 過去の政府見解との整合性を軽んじたり、きめの粗い議論に陥ったりしては、憲法や法体系の信頼が揺らぎかねない。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013080200926より、
集団自衛権行使へ布石=官邸主導で法制局人事

 安倍晋三首相が集団的自衛権行使を可能にする憲法解釈変更に向け、着々と布石を打ち始めた。政府の憲法解釈を事実上担っている内閣法制局長官に、解釈変更に前向きとされる小松一郎駐仏大使を内定。集団的自衛権に関する有識者懇談会も近く再開させる方針だ。ただ、平和主義を掲げる公明党との衝突も予想される。
 首相は2日、麻生太郎副総理、菅義偉官房長官、岸田文雄外相、小野寺五典防衛相と首相官邸で安全保障政策について協議した。麻生氏らは、首相が早期発足を目指す日本版NSC(国家安全保障会議)の中核メンバー。菅長官はこの後の記者会見で集団的自衛権は話題にならなかったと説明したが、出席者の一人は「その話も出た」と言明した。
 集団的自衛権は、同盟国などに対する武力攻撃を自国への攻撃とみなして反撃する権利。内閣法制局は「国際法上保有しているが、憲法9条との関係で行使できない」との立場で、首相が第1次内閣時代に解釈変更に動こうとした際も、抵抗したとされる。
 外務省出身の小松氏の抜てきは、菅長官らが1日に秘密裏に開いた人事検討会議で内定した。首相周辺は「一介の官僚が憲法解釈を決めてきたのはおかしい」としており、今回の人事が解釈変更を念頭に置いたものであるのは間違いない。小松氏起用について、自民党の石破茂幹事長は2日の記者会見で「極めてふさわしい人材を得た」と歓迎し、「今国会が終了した後(解釈変更への段取りを)政府とよく調整したい」と語った。
 有識者懇談会に関し、首相は8月にも議論を再開し、早ければ秋に報告書を受けたい考えだ。解釈変更や、その法的裏付けとなる国家安全保障基本法案の提出に向けて「お墨付き」を得ようとしている。
 政府・自民党のこうした動きについて、公明党は警戒を強めている。公明党幹部は小松氏の人事に「寝耳に水」と不快感をあらわにし、別の幹部は「解釈改憲が目的なら許せない」と語った。集団的自衛権の扱いについて、菅長官は2日の会見で「与党の理解を得ながら進めていくのは当然。全く白紙だ」と強調したが、与党内の調整は難航しそうだ。(2013/08/02-19:14)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013080201001222.htmlより、
法制局長官に小松一郎駐仏大使 集団的自衛権見直し布石 
2013年8月2日 10時44分

 安倍晋三首相は2日、内閣法制局の山本庸幸長官(63)を退任させ、後任に小松一郎駐フランス大使(62)を充てる方針を決めた。8日にも閣議で正式決定する。集団的自衛権の行使に関する政府解釈見直しに前向きな小松氏を起用することで、行使容認に向けた布石を打つ狙いがあるとみられる。内閣法制局長官は内閣法制次長が昇任するのが慣例で今回の人事は極めて異例だ。
 集団的自衛権に関しては、連立を組む公明党が行使容認に「断固反対」(山口那津男代表)しているほか、野党が恣意的人事と批判する可能性も高く、与野党で議論が激しくなりそうだ。(共同)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130802/k10013478991000.htmlより、
内閣法制局長官に小松フランス大使起用へ
8月2日 4時15分

政府は、新しい内閣法制局長官に、フランス大使の小松一郎氏を起用する方針を固めました。
集団的自衛権の行使は許されないとする政府の憲法解釈は、歴代の内閣法制局長官らの国会答弁の積み重ねなどを通じて確立されてきただけに、新たに起用される小松氏がどのように対応するのかが焦点となることも予想されます。
新しい内閣法制局長官に起用が固まった小松一郎氏は62歳。
外務省欧州局長や国際法局長、スイス大使を経て、おととし9月からフランス大使を務めています。
内閣法制局長官に、外務省出身者が起用されるのは異例のことです。
また現在、内閣法制局長官を務めている山本庸幸氏は、最高裁判所の新しい判事に起用されることが固まりました。
安倍総理大臣は、政府が憲法解釈上、許されないとしている集団的自衛権の行使について、憲法解釈を変更することに前向きな姿勢を示し、政府の有識者懇談会で検討を続けています。
政府の憲法解釈は、歴代の内閣法制局長官らの国会答弁の積み重ねなどを通じて確立されてきただけに、新たに内閣法制局長官に起用される小松氏が、集団的自衛権の行使についてどのように対応するのかが焦点となることも予想されます。
これらの人事は、来週の閣議で決定される見通しです。

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