シリア 化学兵器疑惑「国連の調査が先だ」

http://mainichi.jp/opinion/news/20130831k0000m070100000c.htmlより、
社説:英が攻撃断念 シリア泥沼化を恐れた
毎日新聞 2013年08月31日 02時30分

 前途の多難さを暗示する出来事だろうか。米国が検討するシリア攻撃に英国は参加しない見通しとなった。アサド政権側の軍事拠点攻撃を許可してほしいとする英政府の動議を、英下院が反対多数で否決したのだ。武力行使で米英が別行動を取るのは歴史的にも異例である。世界に驚きが走ったのも無理はない。
 英政府はこれまで米オバマ政権とともに、アサド政権が化学兵器を使ったと非難し、国連安保理ではシリア攻撃を容認する決議案を提示していた。米国と二人三脚で軍事介入の布石を打ってきた英国の脱落は、オバマ政権にとって痛手だろう。
 「特別な関係」とされる米英は、リビア攻撃(2011年)、イラク戦争(03年)、アフガニスタン攻撃(01年)、ユーゴスラビア空爆(1999年)、イラクとの湾岸戦争(91年)など主要な軍事行動で共闘してきた。だが、英下院は今回、化学兵器問題で国連調査団がまだ結論を出しておらず、安保理の協議も不十分として攻撃を認めなかった。
 そんな英議会の空気も、国連調査団の結論いかんでは変わるかもしれない。だが、米主導の北大西洋条約機構(NATO)加盟国の中でカナダやイタリアも不参加を表明したのは、化学兵器をめぐる問題だけでなく、軍事介入でシリア情勢はさらに泥沼化しないか、アサド政権を倒しても欧米にとって好ましい後継政権ができるのかという、もっともな疑問を見据えているからだろう。
 それ以前に、アフガンでの長い軍事作戦でNATO加盟国は疲れている。特にアフリカ・マリなどに軍事介入したフランスは新たな戦線を抱えたくあるまい。米国自身、巡航ミサイルなどで軍事拠点を破壊するのはともかく、地上軍派遣を必要とする事態を招きたくはないはずだ。
 しかも安保理はロシアや中国の反対で容認決議採択の見通しが立たず、英国に続いて米議会が攻撃に反対する可能性もある。米国は「大量破壊兵器の脅威」を大義名分として英軍とともにイラクに侵攻したが、同種の兵器を発見できなかった。そのイラク戦争の苦い教訓が今、立ちふさがっている。
 この際、オバマ大統領はもう一度、政治解決の方策を考えてはどうか。化学兵器を使った国を放置すれば、中東の同盟国イスラエルの安全にかかわるという判断もあろう。化学兵器は北朝鮮にもある。菅義偉官房長官が「日本にとって無関係ではない」と言うのは、その通りである。
 だが、軍事行動を殊更急ぐ必要はないはずだ。攻撃後のシリアで何が起きるのか。オバマ大統領は、攻撃に伴うプラスとマイナスを慎重に見極めて結論を出してほしい。

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013083000784より、
英離脱に左右されず=対シリア軍事攻撃で仏大統領

 【ブリュッセル時事】フランスのオランド大統領は30日付の仏紙ルモンド(電子版)とのインタビューで、「(軍事)作戦に参加するかどうかは各国の主権の問題だ」と語った。有志連合による対シリア武力行使を検討しているフランスは、英国の離脱に左右されず、自らの判断でシリアへの介入を決めるとの立場を明らかにした。
 29日の英下院による軍事行動動議の否決後、米国は従来方針に変更はないと表明している。シリアのアサド政権による化学兵器使用疑惑をめぐる懲罰目的の武力攻撃を実施した場合は、米仏両国が中心になるとみられる。
 AFP通信によると、インタビューで大統領は、シリアへの攻撃は9月4日までに行われる可能性があると述べた。仏議会では同日、シリア情勢を討議する緊急会合が予定されている。(2013/08/30-21:46)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013083001001990.htmlより、
仏、シリア攻撃に同調 米は決断時期探る
2013年8月30日 20時27分

 【パリ共同】フランスのオランド大統領は30日、シリアの化学兵器使用疑惑をめぐり、アサド政権に対する米国の軍事攻撃に同調する立場を維持すると表明した。ルモンド紙(電子版)とのインタビューで語った。英政府は議会の反対で参加を事実上断念したが、オランド氏は米政府を後押しする構えを明示した。米国は最終決断の時期を慎重に検討している。
 オバマ米政権は29日、上下両院議員との電話会議で、事前に兆候があり、アサド政権が化学兵器攻撃を実行したことは「疑いない」とする情報機関の分析を伝えた。30日にも一般向けの報告書を公表する方針。

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013083000931より、
国連、最後の調査=シリア化学兵器疑惑

 30日、シリア・ダマスカスのホテルから調査に出発する国連調査団の車列(AFP=時事) 【ベイルート時事】シリアのアサド政権が首都ダマスカス郊外で化学兵器を使用したとの疑惑をめぐり、国連調査団は30日、首都にある軍の病院を訪れた。ロイター通信が伝えた。調査団は31日に帰途に就く予定で、これがシリアでの最後の活動となる。
 病院では、21日に毒ガス攻撃を受けた被害者の一部が治療を受けているとされ、疑惑解明への手掛かりとなる試料採取や聞き取り調査などが行われたとみられる。(2013/08/30-20:23)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130830/k10014168041000.htmlより、
アメリカ 各国との協調も難しい判断
8月30日 19時18分

シリアで化学兵器が使われたとされる問題を巡り、イギリスが軍事行動に加わることを事実上断念したことを受け、アメリカは、今後も各国と協議を続けてどのような行動を取るか慎重に検討していく方針で、難しい判断を迫られています。
シリアへの対応を巡って、イギリスでは、29日、軍事行動への承認を求める政府の提案が、下院での採決の結果、反対多数で否決され、これを受けてキャメロン首相は「議会の意向に沿って行動する」と述べ、アメリカ主導の軍事行動に加わることを事実上断念しました。
これを受けて、アメリカのヘーゲル国防長官は30日、訪問先のフィリピンで、「イギリスの決定を尊重する」と述べる一方で、「われわれは引き続き各国がともに協調して取り得る対応を追求していく」と述べ、今後も各国と協議を続けて、どのような行動を取るか慎重に検討していく考えを示しました。
一方、フランスのオランド大統領は、有力紙ルモンドとのインタビューで、「作戦に参加するかどうかは各国の主権の問題だ」と話し、イギリスの判断には関係なく行動すると述べました。
しかし、アメリカのこれまでの対テロ作戦に積極的に関わってきたポーランドやイタリアそれにカナダなどが、国連安全保障理事会の決議がないまま行われる軍事行動には参加しない考えを示し、アメリカの同盟国が相次いで軍事行動に対して慎重な姿勢を示しています。
アメリカのメディアは、政府高官が「アメリカ単独での行動もありえる」と述べたと伝えていますが、アメリカの一部の議員からは「同盟国と協力し、国際社会の支持を得るべきだ」として、慎重に検討するよう求める意見も出ていて、オバマ大統領は難しい判断を迫られています。
一方、化学兵器が使われたとされる問題を巡ってシリア入りしている国連の調査団は30日、滞在先のダマスカスのホテルを出発し、現地調査に向かいました。
調査団は当初、来月初旬まで調査に当たる予定でしたが、急きょ予定を切り上げて現地時間の31日朝、日本時間の31日午後にシリアを離れる予定です。
調査団の撤収後、軍事行動が始まる可能性も伝えられるなか、シリア国内では緊張が高まっていて、首都ダマスカスに住む25歳の男性は、NHKの電話取材に対し「これから何が起きるかわからず不安な気持ちでいっぱいだ。攻撃に備えて食料を大量に購入してある。市内にある政府軍の施設の周辺に住んでいる人たちは次々と別の場所に避難しているようだ」と話し、緊迫した様子を伝えています。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013083001001329.htmlより、
英下院、シリア軍事介入否決 米高官「単独行動も」
2013年8月30日 12時48分

 【ロンドン共同】英下院は29日、シリアのアサド政権による化学兵器使用疑惑を受け、英軍のシリア軍事介入への参加に道を開く政府提出議案を13票差で否決した。政権側による使用の明確な根拠がないと反対した。議決に拘束力はないが、キャメロン首相は否決を踏まえ、議会承認なしには軍事介入に参加しない意向を表明、現時点での攻撃への参加を事実上断念した。
 英国は米国の最重要同盟国で、米欧「有志連合」による軍事介入を想定していた米国にとって大きな痛手。しかし、米CNNテレビによると、米政府高官は英下院の否決を受け、米軍による単独行動が「あり得る」との認識を示した。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130830/k10014153811000.htmlより、
米軍事行動「国益で判断」も難しい対応
8月30日 11時46分

シリアで、化学兵器が使われたとされる問題を巡って、イギリス議会は29日、軍事行動の是非を問う政府の提案を否決し、地元のメディアは、イギリスがアメリカ主導の軍事行動に加わることが事実上なくなったと伝えました。
アメリカ政府は、軍事行動に踏み切るかどうかは、国益の観点から判断する方針を示す一方、一部の議員からは慎重に検討するよう求める意見も出ていて、難しい対応を迫られています。
シリアで化学兵器が使われたとされる問題への対応を巡って、イギリスでは、軍事行動について根強い反対があったことから、29日、緊急に議会が招集され、軍事行動の是非を問う政府の提案は、下院での採決の結果、反対多数で否決されました。
これを受けて、キャメロン首相は「議会の意向に沿って行動する」と述べ、地元のメディアは、イギリスがアメリカ主導の軍事行動に加わることは事実上なくなったと伝えています。
これに対し、アメリカのホワイトハウス国家安全保障会議のヘイデン報道官は、NHKの取材に対し、引き続きイギリス政府と協議していく考えを示しました。
ただ、報道官は「オバマ大統領の決定は、アメリカにとって何が最も有益かによって導き出される。オバマ大統領は、化学兵器に関する国際的な規範を破った国は責任を負う必要があると確信している」と述べ、軍事行動に踏み切るかどうかは、国益の観点から判断する考えを示しました。
また、アメリカのCNNテレビは、政府高官が「アメリカ単独での行動もありえる」と述べたと伝えました。
一方で、国家安全保障担当のライス大統領補佐官やケリー国務長官らは、29日夜、上下両院の与野党の主要議員26人に対し、アサド政権が化学兵器を使用したと結論づける独自の分析結果などを電話で説明しましたが、一部の議員からは「同盟国と協力し、国際社会の支持を得るべきだ」として、慎重に検討するよう求める意見も出ていて、オバマ大統領は難しい対応を迫られています。

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013083000420より、
米国の「信頼性」優先=単独介入辞さず-オバマ大統領

 【ワシントン時事】オバマ米大統領が29日、英国によるシリア軍事介入断念にもかかわらず、軍事行動の方針を堅持したのは、アサド政権による化学兵器の使用を放置すれば、大量破壊兵器の拡散の恐れがあるだけでなく、米国の指導力に対する「信頼性」が失われると判断したためだ。
 オバマ政権は今年6月、シリア北部アレッポ近郊で化学兵器の使用を確認したにもかかわらず、具体的な直接行動を起こさなかった。このことが大統領が敷いた「レッドライン」(越えてはならない一線)を無効とし、「2回目の使用につながった」(元国務省高官)という内外からの批判は少なくない。
 その後に発生した7月のエジプト政変では、モルシ前大統領を排除した軍政を容認した結果、1000人近くが犠牲になった弾圧を阻止することができなかった。このためオバマ政権内には、今回行動を起こさなければ、不安定化する中東での米国の影響力が決定的に失われるとの危機感が高まっている。(2013/08/30-11:37)

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013083000109より、
英、対シリア軍事行動を断念=米は方針堅持、単独介入検討

 【ロンドン、ワシントン時事】英下院は29日夜、対シリア軍事行動に関する政府提出の動議を反対多数で否決した。キャメロン首相は採決後、「議会が軍事行動を望まないことがはっきりした」と述べ、シリアでの化学兵器使用を受けた軍事介入を断念する意向を表明した。
 これを受けて、米国家安全保障会議(NSC)のヘイデン報道官はオバマ大統領が国益に沿って行動し「(アサド政権による)化学兵器使用に責任を取らせる」方針を確認したことを明らかにし、シリアへの介入方針を堅持する考えを示した。
 CNNテレビなどは、オバマ政権が米国単独のシリア介入の可能性について、検討を始めたと報じた。29日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は、今回の軍事介入は小規模にとどまり、米国単独で十分行えるとし「重要なのは同盟国による外交的支持だ」との政府高官発言を伝えた。
 ただ、オバマ大統領はシリア対応で英仏など同盟国の参加を前提としていた経緯があり、最重要同盟国である英国の離脱は、米国の軍事作戦に影響を及ぼす可能性もある。
 キャメロン首相はシリアで化学兵器使用疑惑が明らかになった21日以降、「さらなる化学兵器使用を抑止する」ことを目的とした軍事介入に積極姿勢を取ってきた。
 英政府の動議は、シリアのアサド政権による化学兵器使用を非難し、英軍の軍事行動の可能性を認める内容。
 当初、動議は1回の採決で直ちに軍事行動に移れる内容だった。しかし、野党労働党の要求を受け、軍事行動のためにはシリアで活動中の国連化学兵器調査団の結果を待って再度の採決を必要とするよう修正するなど大きく譲歩。だが、労働党は結局反対に回った。また、与党保守党内にも介入への慎重論が相次いだ。(2013/08/30-11:19)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130830/k10014148891000.htmlより、
英下院 軍事行動の是非問う提案否決
8月30日 8時53分

シリアで化学兵器が使われたとされる問題への対応を巡って、イギリス議会は、軍事行動の是非を問うことを盛り込んだ政府の提案を否決し、地元のメディアは、イギリスがアメリカ主導の軍事行動に加わることは事実上なくなったと伝えています。
イギリスでは29日、シリア問題への対応を巡って緊急に議会が招集されました。
この中でイギリス政府は、シリアに対するイギリスの軍事行動について、議会に根強い反対があることを受けて、国連の調査団の調査結果を待ち、安全保障理事会での議論も踏まえたうえで、議会下院で是非を採決するという提案を行いました。
この提案について、議会下院は29日夜遅く採決を行い、反対多数で否決しました。
与党の中からも反対や棄権に回った議員がいたとみられています。
これを受けて、キャメロン首相は「イギリス議会が軍事行動を望んでいないことがはっきりした。政府はその意向に沿って行動する」と述べました。
イギリスの公共放送BBCは、これにより、アメリカ主導のシリアへの軍事行動にイギリスが加わることは事実上なくなったと伝えています。
イギリスでは、2003年に始まったイラク戦争に、アメリカが存在を主張していた大量破壊兵器の確たる証拠がないまま参戦したという見方が根強く、世論調査でも軍事行動への反対が賛成を大きく上回っています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130830/k10014149281000.htmlより、
国連のシリア調査団 最終報告急ぐ方針
8月30日 8時53分

シリアで化学兵器が使われたとされる問題を調査している国連の調査団は、今週末にも国連のパン・ギムン事務総長に調査の途中経過を説明するとともに、各国の研究機関で患者の検体などの分析を進め、最終的な報告を急ぐ方針です。
シリアの首都ダマスカス近郊で化学兵器が使われ数百人が死亡したとされる問題を調査している国連の調査団は、当初の9月初旬までだった調査期間を短縮し、今月31日にシリアから退去することになっています。
国連のハク報道官は29日の記者会見で、「調査団は出国したのち、パン・ギムン事務総長に調査の途中経過を報告するとともに、採取した患者の検体などを各国の研究機関に持ち込んで分析を進めることになる」と述べました。
そのうえで、「最終的な報告をまとめるまで数日以上かかるだろうが、調査団はできるだけ速やかに結論を出そうとしている」と述べ、最終的な報告を急ぐ方針を示しました。
また、調査団が当初予定していたほかの地域での調査を行わずに、出国する判断をした理由について、ハク報道官は「優先度が高い地域の調査結果を速やかに出すための措置で、追ってほかの地域の調査も再開するつもりだ」と説明し、欧米各国による軍事行動を懸念して、安全上の理由から国外に退去するのではないと強調しました。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130830/mds13083003160001-n1.htmより、
産経新聞【主張】シリアの化学兵器 責められるべきは政権だ
2013.8.30 03:16

 シリアのアサド政権が化学兵器を使い子供を含む住民多数を殺傷したとして、米英などが軍事介入に踏み切る構えだ。
 化学兵器など大量破壊兵器の使用を許せば、世界の安全保障秩序は揺らいでしまう。そうした事態を断つという国際社会の意思を示すためにも、懲罰的な武力行使は選択肢であってしかるべきだろう。
 化学兵器による大規模攻撃は21日に首都ダマスカス郊外で起きたとされる。反体制派は政権側が攻撃したと非難、政権側は反体制派の仕業だと反論している。
 オバマ米大統領は米テレビとの会見で、「シリア政府が実施したと結論付けた」と断言した。
 イラク戦争では、開戦の主たる根拠とされた大量破壊兵器が存在しなかったと後に判明した。二の舞いを避ける意味でも、米政府はシリア政府が実行したとの証拠をできるだけ開示してほしい。
 化学兵器による大規模攻撃は、イラクのフセイン政権が1988年にクルド人反乱鎮圧のため行い数千人を殺害して以来となる。
 核、生物兵器を含む大量破壊兵器は使ってはならないというのが国際的な規範である。使用例が重ねられれば、その規範に支えられた国際秩序はぐらついてくる。
 オバマ氏が、シリア内戦で化学兵器使用を「越えてはならない一線」としてきたのもそのためだ。ここで断固たる対応を取らなければ、核開発国に足元を見られるなど米指導力は損なわれよう。
 実際、米英は、アサド政権に化学兵器を使わせない目的で軍司令部などを巡航ミサイルでたたく限定的介入を計画している。
 問題は、軍事介入には本来、国連安保理の武力行使容認決議が必要であり、シリアの後ろ盾ロシアとそれに同調する中国が決議採択に反対していることだ。遺憾というほかないが、採択への外交努力はぎりぎりまで必要だろう。
 決議が得られなければ、「有志国による介入」しかない。コソボ紛争では99年に「人道上の危機」を根拠に北大西洋条約機構(NATO)が決議抜きで介入した。
 安倍晋三首相も化学兵器使用の可能性が高いとし、「責任は人道状況の悪化を顧みないアサド政権にある」と述べた。
 シリア内戦の死者は10万人を超す。限定介入した場合、次に内戦終結への足がかりも模索しなければならない。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59097950Q3A830C1EA1000/より、
日経新聞 社説 危機の今こそ中東との関係強化が大切だ
2013/8/30付

 米英仏によるシリアへの軍事介入の観測が強まり、中東が緊迫している。この時期に安倍晋三首相が中東・アフリカを訪問した意義は大きい。
 シリア情勢について域内諸国の首脳と直接意見を交わし、原油や天然ガスの安定調達や、海上交通路(シーレーン)の安全確保へ協力を確認したことは重要だ。
 安倍首相はペルシャ湾岸のバーレーン、クウェート、カタールの3カ国と、アフリカ東部のジブチを訪問した。今春にはサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)も訪れている。
 米国はシリアのアサド政権が首都近郊で市民に化学兵器を使ったと断定し、英仏と連携し攻撃の準備を進めている。
 中東の不安定化は世界経済に深刻な事態をもたらす。エネルギー資源をこの地域に頼る日本も影響は免れない。シリア危機に距離を置くわけにはいかない。
 安倍首相は首脳らとの会談で化学兵器の使用は許されないとの日本の立場を伝えた。カタールでの記者会見で「アサド大統領は道を譲るべきだ」と退陣を求めた。
 発言はサウジやカタールなど湾岸諸国の主張と合致する。現地でのメッセージ発信は中東の人々に日本の姿勢を理解してもらう機会になったと評価したい。
 原子力発電所の事故後、日本にとって中東産油国の重みは増している。原発を代替する火力発電用の原油や液化天然ガス(LNG)の輸入が急増しているからだ。
 事故後に緊急調達したLNGの多くがカタール産だ。クウェートも第4位の原油の輸入先である。原油輸入の8割弱、LNGの3割を依存する湾岸諸国との関係強化は以前にも増して大切だ。
 ジブチではソマリア沖で海賊への対処活動を展開する自衛隊の拠点施設を視察した。ジブチは地中海と、インド洋やアジアを結ぶシーレーンの要衝にある。
 ジブチ沖は年間2万隻の船舶が航行し、1割が日本の船舶だ。日本は2009年から護衛艦や哨戒機を派遣し、商船やタンカーの護衛にあたってきた。自衛隊を含む、各国海軍による活動の結果、この海域での12年の海賊の被害件数は11年比で3分の1に減った。
 エネルギー資源や様々な物資を運ぶ海上物流の安全は日本経済に欠かせない。日本は中東諸国と連携し、地域の安定に積極的に役割を果たしていかねばならない。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 8月 29 日(木)付
シリア情勢―国連の調査が先だ

 内戦状態が続く中東のシリアに対し、米、英、フランスが軍事行動の検討に入った。
 首都近郊で、アサド政権が化学兵器を使って多くの市民を殺傷した疑いが強まっている。
 米英仏は、大量破壊兵器の使用は許さない決意を国際社会に示し、同じ殺戮(さつりく)を再び犯さないよう抑止するとしている。
 だが、いまの米英仏の動きは性急であり、危うさを伴う。
 化学兵器が使われたとの疑惑は、まだ十分に解明されたとはいえない。内戦を収束に導く抜本的な道筋も描かれていない。
 いまは国連の調査団による事態の解明を尽くすべきであり、内戦の収拾に向けた外交調整にこそ本腰を入れるべきだ。
 アサド政権は疑惑を否認しているが、今月から現地入りした国連調査団による解明に全面協力しなくてはならない。
 調査の結果は、国連安全保障理事会に報告される。米欧は、その結果を踏まえて、これまで対シリア決議に反対し続けてきたロシアと中国の説得を再度試みることが必要だろう。
 同時に、トルコやアラブ連盟など深い利害を持つ周辺国との意見調整を急ぎながら、シリアの人道危機に国際的な取り組みを強める新たな枠組みづくりを進めるべきだ。
 2年半におよぶ内戦の死者は10万を超えた。隣のレバノンやヨルダンなどへの難民は200万にのぼり、国連によると、その半数は子どもだという。
 この惨状に加えて化学兵器が使われれば、大量殺戮は歯止めがなくなる。これまで長らく介入に慎重だったオバマ米政権が危機感を強め腰を上げるのは、遅すぎたとはいえ当然だ。
 だが、いま検討が伝えられる行動は軍事介入でしかない。アサド政権の軍事施設を破壊すれば無分別な攻撃の一時的な抑止につながるかもしれないが、逆にかえって混乱を拡大させる恐れがつきまとう。
 空爆が反体制派を勢いづけたとしても、各派はいまも結束していない。中には国際テロ組織アルカイダに通じるイスラム過激派もいる。アサド政権後を担える国家体制の受け皿はまだ見えていないのだ。
 米欧の強硬策は、アサド政権を支えるイランのロハニ新大統領を対話路線から遠ざける心配もあるだろう。中東全域が流動化する懸念がぬぐえない。
 今回の化学兵器疑惑を機に米欧が力を注ぐべきは、無秩序な争いをやめさせ、各派を話し合いの席につかせるための方策を練ることだ。空爆では、抜本的な解決策は生み出せない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130829k0000m070124000c.htmlより、
社説:シリア緊迫 米は軍事介入を急ぐな
毎日新聞 2013年08月29日 02時33分

 シリア情勢が重大な局面に差し掛かった。アサド政権側は首都ダマスカス近郊で化学兵器を使って市民多数を殺傷したと判断した米国は、英仏などと協力してシリアへの限定的攻撃に踏み切る構えだ。巡航ミサイルなどを使った攻撃は一両日中にも始まるとの報道もある。
 他方、国連調査団は化学兵器の使用疑惑について現地調査を続けている。政府軍の使用を裏付ける証拠が得られるかは微妙だが、まずは調査団の結論を待ちたい。米国も武力行使を急がず、「疑う余地はない」(ケリー国務長官)との独自の判断に至った根拠を説明してほしい。
 というのもシリア情勢は政権側と反体制派による情報戦の趣があるからだ。米オバマ政権は軍事介入の条件として、政権側による化学兵器使用を挙げていた。米国を巻き込むために反体制派が化学兵器を使った可能性も無視できない。この点は慎重かつ公正に判断すべきである。
 だが、全体としてシリア情勢が好転するめどは立たず、北大西洋条約機構(NATO)加盟国による攻撃が始まりそうだ。外交解決が望ましいのは言うまでもないが、ロシアと中国はアサド政権に対する国連安保理決議案を拒否権で葬り続け、国連は機能停止状態に陥っている。
 2003年のイラク戦争に関して米国が安保理の「機能停止」を批判した時とは事情が違う。10年前は「イラクの大量破壊兵器の脅威」という米ブッシュ政権の主張に対し、仏などが拒否権をちらつかせて反対した。米国の主張が根拠薄弱で、後に米国自身が誤りと認めたことを思えば安保理はむしろ機能したのだ。
 他方、シリアでは内戦の死者が10万人に達し、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、11年3月以降、周辺諸国に逃れた難民は約185万人。「今も毎日6000人が周辺国へ逃れている」(UNHCR幹部)という。ロシアと中国はこの明白な人道危機にほとんど目をつぶって拒否権を使い続けた。
 米大統領報道官によると、攻撃は政権転覆を狙うものではなく、地上部隊派遣も考えていないという。空爆にほぼ限定する点では米英仏などのリビア攻撃(11年)、NATOによるユーゴスラビア空爆(1999年)などを念頭に置いているようだが、この二つの作戦が政権崩壊につながったことを思えば、アサド政権は実質的に存亡の分かれ道ともいえよう。
 武力行使含みの局面になったのは残念だが、攻撃を境にシリア情勢が混迷を増す可能性も排除できない。米国にはあくまで慎重な対応を望みたい。シリアと関係が深い露中は、危機回避に向けてアサド政権への最後の説得に努めるべきだろう。

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