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日別アーカイブ: 2013年9月11日

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 9月 12 日(木)付
震災2年半―終わりのない悲しみに

 「仕方なかった」を繰り返して欲しくない――。
 悲しみを長引かせ、時に増幅させるのを知りつつ、それでも検証を求め、裁判を続ける遺族たちは訴える。助けられたはずの命があったのだと。
 東日本大震災から2年半。犠牲者が1万人を超す宮城県で、遺族たちを訪ねて歩いた。
 がれきはほとんど目につかなくなった。ダンプが行き交い、重機が音をたてる。しかし、「復興」の垂れ幕の裏には、終わらない悲しみがある。
 送迎バスが津波に巻き込まれて園児5人が亡くなった石巻市の日和幼稚園。うち4人の遺族が園側を提訴し、近く一審の判決が出る見通しだ。
 女川町では、七十七銀行の支店屋上に避難した行員やスタッフ12人が死亡・行方不明となった。3人の遺族が銀行を提訴して、ちょうど1年がたつ。
 児童と教職員84人が死亡・行方不明となった石巻市の大川小学校では、文部科学省の主導で市が設置した委員会で、検証作業が続いている。
 遺族たちに話を聞くと、共通点が浮かび上がる。
 当日の行動を知るほどに、「こうすれば死なずにすんだ」という選択肢が、はっきりしてくることだ。
 地震発生後に幼稚園の送迎バスが海に向かわず、子どもたちが園にとどまっていれば……。
 銀行員たちの避難先が、2階建ての支店屋上ではなく、歩いて数分の高台であれば……。
 津波が来るまで50分も校庭に居続けず、子どもでも登れる裏山に逃げていれば……。
 どうして、そうならなかったのか。
 相手方の答えは、煎じ詰めれば「津波がここまで来るとは想定外だった」に行き着く。
 説明会は開かれるが、「なかなか情報が出てこない」と遺族は言う。「仕方なかった、では同じ過ちが繰り返される」
 裁判に訴えれば、損害賠償責任の有無が争われる。真相の解明、真摯(しんし)な謝罪、二度と繰り返さないための反省という、遺族が本当に求めているものが得られる保証はない。
 避難行動を率いた人たちが津波の犠牲になった事例もある。
 裁判の勝ち負けがどうあれ、それだけで「安全」につながるとは限らない。
 それを承知でなお、訴え、争うしかなかったことに、遺族の一人は「私たちは、おかしいですかね」と問いかける。
 遺族の悲しみを社会で受け止め、悲劇を防ぐ教訓を学ぶ。その努力を続けるしかない。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130912/dst13091203240000-n1.htmより、
産経新聞【主張】震災2年半 復興こそ「全日本」必要だ
2013.9.12 03:23

 東日本大震災から2年半が過ぎた。平成23年3月11日、あなたは何をしていたろう。被災地の過酷な現実を見て、何を思ったろう。
 多くの人が避難と備えの重要性を再確認し、被災者との連帯や絆を強く意識したのではなかったか。その思いが、薄れてはいないか。
 被災地の復興は順調に進んでいるとは言い難い。国や自治体、経済界、一般の人々を含む「オールジャパン体制」で復興の速度を高める必要がある。
 地震と大津波の被害で、死者は太平洋岸を中心に北海道から神奈川県まで12都道県で1万5883人を数えた。2654人が行方不明のままだ。11日には沿岸部各地で大規模な捜索が行われた。
 今も宮城、岩手、福島3県の避難者は約29万人にのぼる。このうち10万人以上が、プレハブなどの仮設住宅で不自由な生活を強いられている。その重い現実を直視しなければならない。
 住宅再建の遅れは3県が共に抱える深刻な課題だ。国は県などと連携して災害公営住宅の整備に取り組んでいるが、完成したのは3県で400戸余りにとどまる。高台への移転や工事の遅れで造成がなかなか進まないためだ。
 がれきの山はようやく小さくなったが、土台を残して住宅が流された荒涼たる光景は、ほとんどそのままだ。
 何よりも国が前面に立ち、東京電力福島第1原発の事故処理を安全、確実に進める必要がある。
 2020年夏季五輪の東京開催が決まった。「復興五輪」の掛け声もある。被災地の人たちが共に楽しみ、喜べなくては、大会の成功は望めない。
 安倍晋三首相は「復興を成し遂げた日本の姿を世界に発信する」と語った。約束は、守らなくてはいけない。五輪のための復興ではないのは当然のことだが、五輪を復興速度に拍車をかける、いいきっかけとしたい。
 五輪招致は国や都、財界やスポーツ界を挙げたオールジャパン体制で成し遂げた。陣頭に立った安倍首相は「みんなで頑張れば夢が実現できるということを体験できたのではないか」とも語った。
 その体験を、震災からの復興に生かし切ってほしい。五輪で創出される雇用や整備工事に、被災者や被災企業を優先することも実行してもらいたい。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013091101001504.htmlより、
震災2年半、被災地に鎮魂の祈り 遺族ら黙とうささげる
2013年9月11日 17時16分

 東日本大震災は11日、発生から2年半を迎えた。被災地では、地震発生時刻の午後2時46分、遺族らが犠牲者の冥福を祈り、黙とうをささげた。
 津波で多数の犠牲者が出た岩手県釜石市の鵜住居地区防災センターと、宮城県気仙沼市の内陸に打ち上げられた大型漁船「第18共徳丸」は解体が迫っており、多くの人が訪れた。
 警察庁などによると、9月10日現在の死者は1万5883人、行方不明者は2654人。避難生活による体調悪化や自殺などを原因とした震災関連死は2688人(3月末現在)に上る。(共同)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130911/k10014454871000.htmlより、
震災死者 依然114人が身元不明
9月11日 14時49分

東日本大震災で亡くなった人のうち、この半年間に新たに身元が確認されたのは18人にとどまりました。
震災から2年半がたつなか、依然として114人の身元が分かっておらず、警察はDNAや似顔絵などを活用して引き続き確認を急ぐことにしています。
警察庁によりますと震災のあと遺体で見つかった人は、いわゆる災害関連死を除くと、これまでに1万5883人に上り99%に当たる1万5769人の身元が確認されています。
このうち東北3県での確認の方法としては、遺体の特徴や所持品が88.7%と最も多く、次いで歯型が7.9%などとなっていますが、最近では親族から提供を受けたDNAの照合や生前の顔を推定した似顔絵が手がかりになるケースが増えています。
こうした方法で、この半年間に18人の身元が新たに確認されましたが、ことし3月までの半年間と比べると身元が分かった人数は5分の1にとどまりました。
依然114人の身元が分かっておらず、警察は似顔絵などを積極的に活用して身元の確認を急ぐことにしています。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013091100058より、
なお29万人が避難=原発事故収束見えず-東日本大震災2年半

 1万8500人以上の死者・行方不明者を出した東日本大震災は11日、発生から2年半となった。住宅再建が本格化するなど明るい動きが出る半面、岩手、宮城、福島3県などで被災した約29万人は今も避難生活が続く。東京電力福島第1原発がある福島県では、除染の遅れや放射能汚染水漏れ問題が復興に影を落とす。
 復興庁によると、8月12日現在の避難者は28万9611人で、この半年間に約2万5000人減少。ただ、放射能への不安を抱える福島県は県外避難者が5万2277人いる。
 福島第1原発では、放射能汚染水の管理が危機的な状況にある。貯蔵タンクからの大量漏出、地下水汚染などが相次ぎ発覚し、海洋汚染への懸念も強まり、事故収束への道のりは険しさを増している。
 警察庁によると、今月10日時点の死者は1万5883人、行方不明者は依然2654人に上る。3県沿岸部では11日、警察や海上保安庁などが1000人規模で不明者の一斉捜索を行った。(2013/09/11-12:11)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130911/k10014444001000.htmlより、
東日本大震災 きょう2年半
9月11日 8時38分

東日本大震災の発生から11日で2年半がたちました。
被害の大きかった岩手、宮城、福島の3県では今も21万5000人余りが仮設住宅などでの生活を余儀なくされている一方で、完成した災害公営住宅はおよそ450戸にとどまり、避難生活が長期化する被災者をどのように支援していくかが課題となっています。
警察庁によりますと、東日本大震災で死亡が確認された人は合わせて1万5883人で、今も行方が分かっていない人は合わせて2654人となっています。
また、避難したあとに体調が悪化するなどして亡くなった、いわゆる「震災関連死」は復興庁のまとめで2688人となっています。被害の大きかった岩手、宮城、福島の3県で、今も仮設住宅や民間のアパートなどで避難生活を余儀なくされている人は分かっているだけで21万5000人余りに上っています。
その一方で、自治体が整備を進めている災害公営住宅は建設用地や資材の確保が難航しているため、3県で完成したのは、合わせて448戸と予定されている戸数の1.6%にとどまっています。
また、福島県では、原発事故の避難区域で国が直接行っている除染作業の大幅な遅れなどによって、避難している人たちがふるさとに戻ることができる見通しは立っていません。
岩手、宮城、福島の3県は、それぞれ仮設住宅の入居期間を1年延長し4年間としていますが、長期化する避難生活によってストレスや体調不良を訴える人が増加しており、被災者をどのように支援していくかが課題となっています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130910/k10014437761000.htmlより、
震災 死亡など2万1224人
9月10日 21時3分

東日本大震災で警察が確認している死者と行方不明者は、合わせて1万8537人となっています。また、避難生活などで亡くなったいわゆる「震災関連死」は復興庁のまとめで2600人余りに上り、合わせると2万1224人に上っています。
警察庁によりますと、警察によって死亡が確認された人は、宮城県が9537人、岩手県が4673人、福島県が1606人、また茨城県が24人、千葉県が21人、東京が7人、栃木県と神奈川県がそれぞれ4人、青森県が3人、山形県が2人、群馬県と北海道がそれぞれ1人で、合わせて1万5883人に上っています。
死亡した人のうち、これまでに99%に当たる1万5769人の身元が確認されていますが、依然として114人の身元は分からないままとなっています。
また、警察に届け出があった行方不明者は、宮城県で1297人、岩手県で1145人、福島県で208人、千葉県で2人、茨城県で1人、青森県で1人の、6つの県で2654人となっています。
一方、復興庁によりますと、避難生活による体調の悪化などで亡くなったいわゆる「震災関連死」はことしの3月末の時点で岩手県で389人、宮城県で862人山形県で2人、福島県で1383人、茨城県で41人、埼玉県で1人、千葉県で4人、東京で1人、神奈川県で2人、長野県で3人の、少なくとも合わせて2688人に上っています。
このうち警察庁のまとめと重複している1人を除くと、震災による死者・行方不明者の合計は少なくとも2万1224人に上っています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130510/k10014496131000.htmlより、
死者不明者 関連死含め2万1246人
5月10日 21時16分

東日本大震災で警察が確認している死者と行方不明者は、合わせて1万8559人となっています。
また、避難生活などで亡くなったいわゆる「震災関連死」は、復興庁のまとめでさらに増えて2600人余りに上り、合わせると2万1246人に上っています。
警察庁によりますと、警察によって死亡が確認された人は、宮城県が9537人、岩手県が4673人、福島県が1606人、また、茨城県が24人、千葉県が21人、東京が7人、栃木県と神奈川県がそれぞれ4人、青森県が3人、山形県が2人、群馬県と北海道がそれぞれ1人で、合わせて1万5883人に上っています。
死亡した人のうちこれまでに99%に当たる1万5760人の身元が確認されていますが、依然として123人の身元は分からないままとなっています。
また、警察に届け出があった行方不明者は、宮城県で1312人、岩手県で1150人、福島県で210人、千葉県で2人、茨城県で1人、青森県で1人の6つの県で2676人となっています。
一方、復興庁によりますと、避難生活による体調の悪化などで亡くなったいわゆる「震災関連死」はさらに増え、ことしの3月末の時点で岩手県で389人、宮城県で862人、山形県で2人、福島県で1383人、茨城県で41人、埼玉県で1人、千葉県で4人、東京で1人、神奈川県で2人、長野県で3人の少なくとも合わせて2688人に上っています。
このうち警察庁のまとめと重複している1人を除くと、震災による死者・行方不明者の合計は少なくとも2万1246人に上っています。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013051001001723.htmlより、
震災関連死2688人 3月末、復興庁まとめ
2013年5月10日 20時35分

 復興庁は10日、東日本大震災をきっかけに体調を崩して亡くなり「震災関連死」と認定された人が、3月末までに1都9県で計2688人に達したと発表した。昨年9月末時点では2303人だったが、自治体による実態把握が進んだ。その後の半年で亡くなったのは6人だった。
 都県別では福島県が1383人と半数以上を占め、次いで宮城県862人、岩手県389人だった。年齢別では66歳以上が2396人と9割を占めた。(共同)

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013091902000164.htmlより、
東京新聞【社説】日中対話の糸口 “内向き”では進まない
2013年9月19日

 政府が沖縄県・尖閣諸島を国有化して一年が過ぎ、ようやく日中関係改善の糸口らしきものが見え始めた。対話へとつながるよう双方とも、過度に排外的なナショナリズムをあおるべきではない。
 歴史を振りかえれば、昨日は八十二年前に、旧日本軍が中国東北部侵略のきっかけとなる柳条湖事件を起こした日である。
 日中双方の先人たちの血のにじむような努力で、今の日中関係がある。だが、一年以上も「国交正常化以降、最悪の関係」といわれるような状態が続いているのは不幸なことである。
 改善の兆しはうかがえる。
 今月初めにロシアで開かれた二十カ国・地域(G20)首脳会合の場で、安倍晋三首相は中国の習近平国家主席を呼び止めて握手し、関係改善の意欲を伝えた。
 終戦の日に首相は、靖国神社を参拝しなかった。首相自ら対話の糸口をつくろうと動いていることは評価できる。
 中国が戦略的互恵関係を重視するのであれば、日本側からのシグナルに敏感に反応し、対話に応じる姿勢を見せてほしい。
 これほど事態が好転しない最大の理由は、日中双方で内向きな強硬姿勢がやまないからだ。
 安倍政権は、憲法改正による集団的自衛権行使容認への意欲を露骨にしている。
 尖閣沖での中国公船によるしつような挑発行動や、無人機による監視活動などは目にあまる。
 何よりも、両国の指導者は偶発的な武力衝突を絶対に起こしてはならないという強い政治の意志を示してほしい。
 火種となった尖閣問題で日本政府は「領有権問題はない」と繰り返すだけでは事態打開はできない。外交上の「係争地」として話し合いに踏み出してほしい。
 中国側も「中国の領土と主権を損なう一切の行為を停止せよ」(外務省)と、強硬で一方的な言い方を続け挑発を強めるならば、対話の糸口すらつかめない。
 柳条湖事件の前、日本では「満蒙(まんもう)はわが国の生命線である」と、過激な対中強硬論が大勢を占めた。
 中国では昨年、柳条湖事件の日に百二十五の都市で史上最悪の反日デモが吹き荒れ、軍内には「戦争準備」の声すらあった。
 歴史に学び、排外的で危険な状態を再びつくりだしてはならない。振り上げた拳をおろせぬ感情やメンツの対立に終止符を打ち、冷静に対話に踏み出してほしい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130911/plc13091103320005-n1.htmより、
産経新聞【主張】尖閣国有化1年 新たな威嚇に備え強めよ
2013.9.11 03:32 (1/2ページ)

 政府が尖閣諸島(沖縄県石垣市)を国有化してから、11日で1年を迎えた。尖閣周辺における中国の挑発行為は一段とエスカレートしている。
 9日には、中国が尖閣付近に無人機を飛行させたことが確認された。尖閣奪取を狙う中国は今後もあの手この手の威嚇で揺さぶりをかけてこよう。尖閣など国境の守りを万全にしていかなければならない。
 無人機飛来に先立つ8日には、中国軍の爆撃機が沖縄本島-宮古島間の公海上空を往復した。いずれも日本の防空識別圏に入り、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)している。
 さらに10日には、中国海警局の船8隻が、海上保安庁の巡視船の退去要請を無視して、尖閣付近の領海に侵入した。
 2020年夏季五輪の東京開催決定に日本が沸いている隙を突いたかのような出来事だ。対日圧力を強める計画的な動きであり、極めて遺憾である。中国が1964年の東京五輪の開催期間中に、初の核実験を行った国であることも忘れてはならない。
 今回、警戒すべきは無人機の投入だ。新たな威嚇手段といっていい。中国国防省は9日の飛行は定例訓練だとする談話を出した。実際には、無人機を尖閣の監視、測量に使うことで、領有権の主張を強める意図があるようだ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130911/plc13091103320005-n2.htmより、
2013.9.11 03:32 (2/2ページ)
 中国の無人機は、これまでにも尖閣付近を飛行した疑いがあり、これからも繰り返し飛んで来る可能性は高い。外務省は中国側に自制を申し入れたが、簡単に受け入れるような国ではあるまい。
 無人機への日本の備えは十分ではない。小野寺五典防衛相は、無人機が領空侵犯した場合の対応の検討に着手する考えを示した。現行のスクランブルの態勢で対処するのは難しいからだ。
 例えば無人機に無線やサイン、信号弾などの警告が通用するかという問題がある。尖閣領空の長時間侵犯に際し、操縦手がカメラで監視していることを想定しての警告射撃や、撃墜措置、操縦妨害の可否も含めて早急に対応策を決めなくてはならないだろう。
 新しい挑発手段の登場で、尖閣の守りは一層、厳しいものになりかねない。無人機のほかにも、中国の海上民兵による尖閣占拠や艦船搭載ヘリコプターによる領空侵犯などさまざまな事態に備えて、防衛態勢の総点検が必要だ。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59560590R10C13A9EA1000/より、
日経新聞 社説 「耐震力」高い日中関係をどう築く
2013/9/11付

 対立している国同士の関係を完全に修復しようと思えば、障害になっている問題を解決するしかない。だが、すぐにはそれが難しいときはどうするか。
 互いに恩恵を得やすい経済や文化の協力を広げ、領土などの対立が続いても関係全体が破綻しないようにするのが次善の策だ。日本と中国に必要なのも、そんな「耐震力」の高い関係づくりである。

協力の裾野を広げよう
 政府が尖閣諸島を国有化してから、1年がすぎた。中国はいまでもひんぱんに監視船を尖閣周辺に送り、揺さぶりをかけている。
 首脳や閣僚の会談も止まったままだ。安倍晋三首相と中国の習近平国家主席が先週、ロシアで初めて会話を交わしたが、雪解けにつながる兆しはない。
 中国は関係の修復の条件として、尖閣の領土問題が存在することを認め、その棚上げに応じるよう日本に求めているという。
 日本側としては受け入れられない。いったん領土問題があることを認めれば、その場しのぎにはなっても、やがて中国から領土交渉を求められ、関係はさらに緊迫しかねないからだ。
 日本がまずやるべきなのは、尖閣の警備をさらに固めることだ。海上保安庁の体制を拡充し、海上自衛隊との連携を強める。米国とも、いざというときの対応を入念に擦り合わせてほしい。
 国際世論を味方につける努力も肝要である。この意味でも、ぎくしゃくしている韓国との関係改善は重要だ。
 「第2次世界大戦後の秩序を日本が変えようとしている」。尖閣対立に関連して中国はこう宣伝し、日本の歴史問題に転化しようとしている。
 日本は冷静に反論し、正しい事実を世界に発信するときだ。逆に、政治家が過去の歴史を否定するような言動に出れば、中国の宣伝を利するだけである。
 日中の対立が長引くにつれ、尖閣周辺で思わぬ衝突が起き、危機につながる恐れもある。
 両国の首脳や防衛当局者、現場司令官を結ぶホットラインを設けるなど、危機管理体制を早急に整えなければならない。中国側もこうした協議には、前向きに応じるべきだ。
 そのうえで、長期にわたって日中関係の「耐震力」を高めていくには、協力の裾野を広げることだ。具体的には、両国をつなぐ協力のレールを複線化、複々線化し、領土や歴史の対立で外交のレールが細っても、全体の協力が滞らないようにすることである。
 その大きな柱が経済であることは言うまでもない。尖閣購入の直後、中国各地で反日デモが吹き荒れ、多くの日本企業が、中国独特のリスクを痛感させられた。
 あれから約1年たっても、尖閣対立の影響はなお続いている。中国内では日本車の販売が低迷し、観光客の行き来も落ち込んだままだ。それでも注目したいのは、日中の経済交流が少しずつ回復しようとしていることだ。
 ユニクロは今月末、同社としては世界最大の店舗を上海市でオープンする。日立製作所は7月、中国で4番目となるエレベーター工場を、内陸の四川省成都市で本格稼働させた。

政府も対中事業支援を
 再び中国市場の取り込みをめざす日本企業の動きも見えてきた。あくまで中国側の統計ではあるが、1~7月の日本からの直接投資(金融を除く)は、前年同期に比べ9%増えている。
 こうした経済のつながりは、日中関係の底割れを防ぐうえでも貴重だ。政府としても、日本企業の対中ビジネスを戦略的に支援していくべきだ。日中韓自由貿易協定(FTA)の締結に向けた作業の加速もそのひとつである。
 内部に混乱の火種を抱える中国との付き合いは、それでも予見しがたいものがある。特に気がかりなのは、中国内の権力闘争が対日政策に及ぼす影響だ。
 昨年、重慶市のトップだった薄熙来氏が失脚し、最近では彼の後ろ盾だったとされる前党政治局常務委員の周辺にも、汚職捜査のメスが入ったという。
 権力闘争が激しくなれば、中国首脳部は政敵に足を引っ張られないよう、日本にいっそう厳しい態度をとるかもしれない。日本側は中国の内政の動きにも、細心の注意が必要だ。
 日本は領土では譲れない。同時に、日中は引っ越しができない隣人でもある。であればこそ、尖閣の対立が全体を吹き飛ばすことがないよう、重層の関係を築く努力を急がなければならない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130911k0000m070094000c.htmlより、
社説:尖閣国有化1年 焦らず信頼積み上げよ
毎日新聞 2013年09月11日 02時30分

 沖縄県・尖閣諸島を日本政府が国有化して1年がたった。
 安倍晋三首相と中国の習近平国家主席はロシアでの主要20カ国・地域(G20)首脳会議の場で、初めて5分間だけ立ち話をしたが、正式な首脳会談の見通しは立っていない。1972年の国交正常化以来最悪と言われる日中関係は、改善の糸口すら見えない。尖閣周辺の海や空では、不測の事態を招きかねない緊張状態が続いている。日中関係は、本来のあるべき姿から随分と遠いところに来てしまったようにみえる。

対日強硬の複雑な事情
 日中双方の指導者はこの機会に、自らの言動を真摯(しんし)に見つめ直してほしい。国内で偏狭なナショナリズムが高まらないよう指導者としてコントロールに努めただろうか。相手国の主張や事情を正確に理解しようとする努力は十分だっただろうか。
 特に、ここ1年に中国側で相次いで起きたことは、受け入れられるものではない。昨年8月に香港の民間抗議船の乗組員が尖閣に上陸し、間もなくして中国各地で大規模な反日デモが約1カ月続いた。
 中国公船による尖閣諸島周辺の領海侵入が頻発し、1年間で63日、216隻に上った。今年1月には中国海軍艦艇から海自護衛艦に対して射撃用火器管制レーダーが照射されるなど、一触即発の事態も起きた。
 こうした行動は、日本による尖閣の実効支配を力によって変更しようとする試みであり、米国などからも憂慮する発言が出ている。
 さらに中国は尖閣を歴史問題と絡める戦略を強めてきた。李克強首相は5月にドイツ・ポツダムでの演説で、第二次大戦中に米英中首脳が「日本が盗み取った中国東北地方や台湾などの島々を中国に返還する」と定めたカイロ宣言や、カイロ宣言の履行を明記したポツダム宣言に触れて、「第二次大戦の勝利の成果を破壊、否定してはいけない」と尖閣を念頭に日本をけん制した。
 しかし、そもそも日本が尖閣を沖縄県に編入したのは1895年で、それ以前の約10年間、尖閣にどの国の支配も及んでいないことを確認している。カイロ宣言がいう台湾に付属する島々に尖閣が含まれるという証拠はない。そして中国が尖閣の領有権を主張し始めたのは、1971年になってからだ。
 中国が対日強硬姿勢を強めるようになったのは、尖閣国有化が一つのきっかけだが、背景は複雑だ。
 中国は、自国の安全保障や海洋権益獲得のため、沖縄、台湾、フィリピンなどを結ぶ対米防衛ラインの第1列島線を超えて、伊豆諸島、グアムなどを結ぶ第2列島線へ、さらに西太平洋へ進出しようという戦略を立て、尖閣諸島をその足がかりにしようとしているとみられている。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130911k0000m070094000c2.htmlより、
 習体制への移行にあたり、中国共産党内で激しい権力闘争が起き、尖閣問題が国内の引き締めに使われたという事情も指摘されている。
 78年に当時のトウ小平副首相が、尖閣問題について「棚上げしても構わない」と言ったのには、韜光養晦(とうこうようかい)(時が来るまで、力を蓄えること)という外交方針があった。しかし2010年に中国の国内総生産(GDP)が日本を抜いて世界第2位となり、大国意識が強まった中国では、この方針を維持するか修正するかで議論があるといわれている。
 こうしたさまざまな要素があいまって尖閣問題の解決策や日中関係の改善を難しいものにしている。

東京五輪をきっかけに
 ただ、前向きな変化の兆しもないわけではない。習主席は安倍首相との立ち話で「戦略的互恵関係を推進したい」と述べた。楊潔篪国務委員は論文で、釣魚島(尖閣諸島)について「周辺諸国との紛争の対話と交渉を通じた適切な処理と解決」に言及した。注目すべき動きだ。
 中国は、首脳会談に応じる条件として、尖閣について領土問題の存在を認めたうえで棚上げするよう求めているが、自国の主張が受け入れられなければ話し合いに応じないという態度は、もう改めるべきだ。
 そして日本も「対話のドアは常にオープンだ」と言うだけでなく、中国側の態度の変化を促すような雰囲気作りにもっと汗をかいてほしい。
 安倍首相が、歴史認識で「侵略の定義は定まっていない」と発言したことは、中国側の不信感を招いた。中国側はもちろんだが、日本側も細心の注意を払って対応してほしい。
 日中間で新しい時代に対応した尖閣の安定的なシステムを作り、東シナ海を再び静かな海にするには、おそらく時間がかかるだろう。まずは日中双方が、信頼関係を焦らず着実に積み上げ、話し合いができる環境づくりに取り組んでほしい。
 7年後には東京で20年夏季五輪が開かれる。その2年前には韓国で18年平昌(ピョンチャン)冬季五輪がある。日韓両国のオリンピック委員会は互いの五輪成功に向け協力を確認した。日本が08年北京五輪から学ぶこともあるだろう。日中、日韓の対立を東京五輪開催をきっかけに、改善の方向に転じるようにしたい。
 尖閣を巡って角を突き合わせているだけでは、中国も日本も世界第2位、第3位の経済大国としての責任を果たすことはできない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130908/plc13090803190002-n1.htmより、
産経新聞【主張】大統領の尖閣発言 日本支持に行動で応えよ
2013.9.8 03:18 (1/2ページ)

 オバマ米大統領が首脳会談で安倍晋三首相に尖閣諸島(沖縄県石垣市)の問題で、「力による現状変更」に反対する見解を伝えた。
 軍事力を背景に尖閣奪取を図ろうとしている中国を牽制(けんせい)し、日本の立場への強い支持を示したものだ。同盟国としての確固たる姿勢の表明を高く評価したい。
 会談で安倍首相が日米同盟の強化に向け、米軍普天間飛行場問題など諸懸案に取り組む決意を示したのも妥当だ。大統領発言に安堵(あんど)するのではなく、日本が自らの防衛努力を重ねることが、何にも増して重要である。
 「力の行使による現状変更は何も正当化しない」との考え方は、安倍首相が2月の施政方針演説にも盛り込んだ日本の主張の根幹といえる。開かれた海での航行の自由などの考え方とともに、日本の立場への理解と協力を求めるため米国や国際社会に訴えてきた。
 ケリー米国務長官が4月の来日時に「現状を変更しようとする一方的な行動に米国は反対する」と述べ、6月には日米豪防衛担当閣僚会談も同様の見解で一致するなど、こうした考え方は日米に浸透していた。
 ただオバマ大統領は2月、安倍首相との首脳会談で「日米協力が地域の安定につながる」との見解にとどめ、その後も日中双方に平和的解決を求める抑制的な姿勢をみせていた。今回、大統領が「力による現状変更」の表現を初めて用い、日本の立場の支持に踏み込んだ意義は大きい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130908/plc13090803190002-n2.htmより、
2013.9.8 03:18 (2/2ページ)
 6月の米中首脳会談では習近平国家主席が「尖閣は核心的利益」との認識を示したのに対し、大統領は「日本は米国の同盟国」で「成熟した民主主義国」であると中国にくぎを刺していた。
 共通の価値観に基づき、地域の平和と安定を守る姿勢をオバマ大統領は示した。日本には、いかに行動で応えていくかが問われている。すでに両政府間の課題となっている「日米防衛協力の指針」の見直しでは、米軍に対する日本の支援拡大が焦点だ。
 共同行動中の米艦船を守るため、集団的自衛権行使を容認する憲法解釈の変更が急務である。
 米軍の新型輸送機オスプレイを使った初の日米共同訓練が来月、本土で行われる。沖縄の負担軽減と同時に、日米共同の対処能力を高めていくことも重要だ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 9月 7 日(土)
尖閣1年―あまりに多くを失った

 戦争の記憶を呼び起こす8月に続き、9月は中国との関係を振り返る季節である。
 18日は満州事変(1931年)が始まった日であり、29日は日中国交正常化(72年)の記念日。また、3日は中国では抗日戦勝記念日とされる。日本が降伏文書に署名した翌日の祝賀(45年)にちなむ。
 そこに、9月11日が加わった。昨年のこの日、日本政府は尖閣諸島の3島を国有化し、中国政府は猛反発した。あれから1年。日中関係は冷え切り、非難と抗議の応酬が続いた。
 見過ごせないのは、中国側が尖閣を歴史問題と関連づけて論じていることだ。
 中国の李克強(リーコーチアン)首相は5月、第2次大戦中に米英中首脳が発したカイロ宣言にふれ、「日本が盗み取った東北(旧満州)や台湾などの島々を中国に返さなくてはならないと明確に定めた」と述べた。尖閣を念頭に置いた発言であることは明らかだ。
 8月15日には、中国共産党機関紙・人民日報が尖閣について「第2次大戦後の日本の領土処理、国際秩序問題をどう扱うかに関わる」と論じた。島を不法に占拠する日本は、戦後の国際秩序に逆らっている――。そう印象づける意図さえにじむ。
 だが、こうした中国の言い分は説得力に欠ける。
 そもそも敗戦直後の台湾接収にあたり、当時の中華民国政府は尖閣の引き渡しを求めなかった。中国が領有の主張を始めたのは、それから20年以上もたってからだ。
 中国が「歴史」を言い募るのは、日本の侵略や植民地支配と絡めて国際世論を味方に引き込む狙いからだろう。尖閣は別問題だと、日本政府は世界に向け丁寧に説明する必要がある。
 一方、中国の理不尽な主張を許す隙が日本側にあるのも事実だ。この春、安倍首相が「侵略の定義は定まっていない」と発言し、欧米からも強い疑念の声があがったのはその典型だ。
 この間、日中両国はあまりに多くのものを失った。
 首相は一昨日、ロシアでのG20首脳会議前に中国の習近平(シーチンピン)国家主席と言葉を交わした。5分間とはいえ、この1年、首脳同士の接触がなかったことを考えれば一歩前進だ。
 日本政府はさらに粘り強く対話を呼びかけるべきだ。まずは経済や環境など協力可能な分野で、接点を広げたい。
 中国には、改めて自重を求める。歴史問題でナショナリズムをあおれば、自らの手足を縛る。習指導部にも、その愚かさは分かっているはずである。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 9月 11 日(水)付
消費増税―法律通り実施すべきだ

 消費税の税率を法律通り、今の5%を来年4月から8%に、15年10月に10%へ引き上げるかどうか。
 「デフレ脱却の機会をつぶしかねない」という反対論も強かったが、最新の経済指標は環境が整ったことを示している。
 安倍首相は、ぶれずに予定通りの実施を決断すべきだ。
 今年4~6月期の経済成長率の改定値は、物価変動の影響を除いて年率3・8%と、1カ月前の速報値から1・2ポイント上方修正された。堅調な個人消費に加え、企業の設備投資が1年半ぶりにプラスとなるなど、バランスがとれてきた。
 東京五輪の開催決定も追い風となりそうだ。日本への関心の高まりをとらえれば、観光業などでも恩恵が期待できる。
 消費増税時には、駆け込み需要に伴う反動減などで経済の落ち込みは避けられない。ポイントは、短期間でプラス成長に戻れるかどうかだ。
 引き合いに出されるのが、税率を3%から5%に上げた97年度以降の悪化である。消費増税以外にも所得税の特別減税打ち切りなどで負担増が9兆円に及び、長期デフレの引き金を引いたと批判される。
 ただ、この時も消費増税から3カ月たった97年7~9月期には個人消費、経済成長率とも前期比プラスに転じていた。10~12月期にわずかながらマイナスに逆戻りし、その後一気に落ち込んだのは、97年末の金融危機の影響が大きかったと考えるのが自然だろう。
 国の財政は当時から大きく悪化し、借金は1千兆円を超えた。税収に匹敵する国債を毎年新たに発行しており、将来世代へのツケ回しが続く。
 財政の先行き懸念から国債価格が急落(利回りが急騰)すれば、経済の再生はおぼつかない。増税を先送りした場合のリスクは大きい。
 消費増税には、現役世代に偏った社会保障の負担を広く分かち合い、子育て世代への支援を強める狙いもある。社会保障の安定、世代間の公平に向けた重要な一歩だ。
 むろん、消費増税の負担は軽くない。デフレの影響で日本経済自体が97年当時より縮んでいるなか、税率3%分の負担増は8兆円に及ぶ。
 企業の収益改善を雇用や賃上げにつなげていく手立てや、増税の負担が特に大きい低所得者への対策をしっかりと講じる。安易な公共事業のばらまきは行わない。
 政府がやるべきことは、はっきりしている。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59188700S3A900C1PE8000/より、
日経新聞 社説 消費増税の判断が遅れる影響は大きい
2013/9/2付

 消費税増税の影響を検証する政府の集中点検会合が終わった。5%の税率を2014年4月に8%、15年10月に10%まで引き上げるかどうかの判断材料となる。
 安倍晋三首相は10月上旬までに引き上げの時期と幅を決めるが、予定が曖昧なままでは個人や企業も準備ができない。成長戦略や予算編成が遅れるのを避けるためにも、早く増税を固めるべきだ。
 6日間の会合では、各界の代表者60人に増税の是非を聞いた。景気対策などの条件つきも含めれば、予定通りの増税を支持する識者が大勢を占め、増税自体に反対する識者は少数にとどまった。
 増税そのものの必要性は認めるが、景気などへの配慮から時期や幅の修正を求める識者も目立った。(1)8%と10%に引き上げる時期をともに1年延期する(2)まず1%か2%、その後は毎年1%ずつ引き上げる(3)15年10月に一気に5%から10%に引き上げる――といった案が代表例だ。
 消費税増税は財政再建の重要な一歩だが、日本経済にある程度の負荷がかかるのは避けられない。「アベノミクスでせっかくつかんだデフレ脱却の芽をつぶしたくない」という声はあるだろう。
 しかし引き上げの時期や幅を修正すれば、財政収支の改善が当初の想定よりも遅れる公算が大きい。秋の臨時国会で新たな法律を成立させるのに手間取り、成長戦略の具体化を妨げたり、市場を動揺させたりするのが心配だ。
 小刻みの引き上げならば価格改定の手間がかかり、価格転嫁もしづらくなるとの懸念が出ている。こうしたリスクやコストの大きさを軽視することはできない。
 4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率2.6%増と高めの成長率を維持し、7月の生産や雇用なども堅調だった。景気の回復を支えながら増税の実行につなげるときだ。安倍政権は効果的な成長戦略の具体化にこそエネルギーを注ぐべきだろう。
 決断するのは早いほどいい。個人や企業は予定通りの増税を前提に、住宅や自動車などの購入・販売計画を立て始めている。無用な混乱を避ける配慮が必要だ。
 14年度の予算編成にも支障が出かねない。財務省が8月末に締め切った概算要求の総額は過去最大の99.2兆円となった。増税とその使途を確定させたうえで、水膨れした歳出に切り込まないと、財政再建の一歩を踏み出せない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130901k0000m070108000c.htmlより、
社説:軽減税率 欧州型の制度設計急げ
毎日新聞 2013年09月01日 02時32分

 消費増税の是非や時期、経済に与える影響を抑える対策などを話し合う集中点検会合が1週間にわたり行われた。経済団体や地域の代表、社会保障の専門家、エコノミストら60人が意見を展開し、出席者の多くが現行の消費税5%から来年4月には予定通り8%に引き上げるべきだと主張した。
 ただ、生活必需品に対する軽減税率の導入に向けた道筋は明確になっていない。私たちは8%に増税する段階で軽減税率を導入すべきだと主張してきたが、自公両党の協議で見送られ、2015年10月に10%に増税される段階で導入を目指すことになった。
 欧州では消費税にあたる付加価値税が20%を超す高い税率となっている国が多いが、食品や新聞、雑誌、書籍の税率をゼロや数%に抑えている国が大半だ。日本も将来2ケタの税率になることを見込めば、軽減税率の導入はぜひとも必要だ。いま、来年4月の増税の是非にばかり焦点があたっているが、10%段階での軽減税率導入もできるだけ早く具体的な議論を進めなければ、制度設計が間に合わなくなる。
 点検会合では、全国農業協同組合中央会や全国漁業協同組合連合会の代表が、農産物や水産物への軽減税率の適用を要望した。増税に反対する主婦連合会は、仮に増税するなら増税の影響を強く受ける低所得者への対策として軽減税率が必要だと主張した。
 日本新聞協会も、政治や経済、社会など、さまざまな分野の情報を国民が手軽に入手できる環境が重要だとして、新聞への軽減税率の適用を求めてきた。欧州では、新聞など活字に対しても「民主主義にとって不可欠であり、価格が安いことが購読を促し、国民の知る権利に資する」として、生活必需品に含める考え方が一般的だ。
 英国は1973年に付加価値税が導入された時点から新聞、書籍、雑誌にはゼロ税率を適用しており、歴代政権に「知識には課税しない」という考え方が受け継がれている。フランスは第二次世界大戦でナチスドイツに占領され、解放後、表現と活字メディアの自由が叫ばれ、政府は新しい新聞の登場を推進し、新聞業界の多様性のために支援を続け、軽減税率が適用されている。
 欧州で付加価値税の税率の引き上げがあまり抵抗なくできるのは、生活必需品に軽減税率が導入されているからだ。日本も将来、増え続けることが確実な社会保障費に対応する財源として消費税が期待されている。先を見据えれば、軽減税率の導入に向けた作業を本格化させることが急務だ。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013083101001805.htmlより、
予定通り増税容認,有識者の7割 消費税の点検会合終了
2013年8月31日 21時20分

 消費税率引き上げの是非を有識者に聴く政府の「集中点検会合」は31日、最終日の議論を終えた。7回に及んだ会合で計60人の有識者が意見表明。出席者への取材によると、社会保障の充実など条件付きも含めて予定通りの増税を容認したのは7割超の44人で、景気悪化を懸念する声や低所得者向け対策を求める意見も目立った。増税時期の先延ばしや税率上げ幅の変更などの見直し案は11人。増税反対は3人で、2人は賛否を明確にしなかった。
 安倍晋三首相は週明けにも点検会合の報告を受け、経済指標も踏まえて9月下旬~10月上旬に増税を実施するかどうか結論を出す。(共同)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS3101V_R30C13A8MM8000/より、
消費税「予定通り増税を」7割超 政府の点検会合終了
2013/8/31 20:53

 消費増税の影響を検証する政府の集中点検会合が31日終了した。有識者60人のうち、7割超の44人が予定通り消費税率を2014年4月に8%に引き上げることに賛成だった。一方で景気への悪影響を緩和するため、税率の上げ幅を変えるべきだとの意見も出た。安倍晋三首相は今後発表される最新の経済指標も踏まえ、10月上旬までに消費税率の引き上げを最終判断する。
 31日は6日間で計7回にわたった点検会合の最終日で経済・金融をテーマに経済学者やエコノミスト、金融機関の関係者ら9人から消費増税の影響や是非を聞いた。
 予定通りの引き上げに賛成だったのは6人。賛成の理由として「消費税引き上げで社会保障制度を持続可能なものにすることが財政再建の第一歩」(吉川洋東大教授)と財政健全化に不可欠との意見が大勢を占めた。
 ただ、消費増税による景気への悪影響を抑えるため、「補正予算などの対策を打ち、ショックを和らげることが大事だ」(JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミスト)と手厚い対策を求める声も相次いだ。
 消費増税が安倍政権の掲げるデフレ脱却の足かせとなるとして、税率の上げ幅を変更するのが望ましいとしたのは2人だった。内閣官房参与の本田悦朗静岡県立大教授は「来年4月はインフレ期待の形成に非常に重要な時期だ」と指摘し、14年4月は1%あるいは2%の引き上げにとどめ、その後は1%ずつ引き上げるよう提案した。
 6日間の点検会合全体では上げ幅変更などを求めたのは本田教授や内閣官房参与の浜田宏一米エール大名誉教授ら8人で、増税の中止や無期限延期を6人が求めた。
 安倍首相は慎重派の意見や経済指標などにも配慮し、最終判断へ向けて慎重に検討する。点検会合の結果は甘利明経済財政・再生相が9月2日にも安倍首相に報告する。甘利経財相は31日、「60人の意見を簡潔にまとめて報告し、首相が適切に判断できるように材料の一つとする」と述べた。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130831/k10014187091000.htmlより、
山口代表「消費税の決断は今」
8月31日 20時34分

公明党の山口代表は秋田県大館市で講演し、消費税率の引き上げについて、「経済の数字もよくなっており、『決断をするのは今だ』と思っている」と述べ、法律どおり来年4月に引き上げるべきだという考えを重ねて示しました。
この中で山口代表は、消費税率の引き上げについて、「あれだけ議論して引き上げを決め、経済の数字もよくなっているので、『消費税の決断をするのは今だ』と心の中では思っている。安倍総理大臣はいろいろなことを考え合わせながら決めてほしい」と述べ、法律どおり来年4月に引き上げるべきだという考えを重ねて示しました。
また、山口氏は、安倍総理大臣が政府と労使が協調して景気回復に向けた課題に取り組むため、政府と経済界や労働界の代表による会議を設置するとしていることについて、「政労使の3者の代表が話し合うことで、結果として給料が増え、消費税率が上がってもきちんと生活することができる環境を作っていきたい」と述べました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130831/k10014186571000.htmlより、
消費税「集中点検会合」最終日
8月31日 19時24分

消費税率の引き上げを巡る政府の「集中点検会合」は、最終日の31日、経済や金融の専門家9人が意見を述べ、財政健全化に向けて予定どおり引き上げるべきだという意見が相次ぐ一方、内閣官房参与を務める静岡県立大学の本田悦朗教授は、デフレから脱却するために緩やかに税率を引き上げるべきだという考えを示しました。
政府は、消費税率を法律に従って来年4月に8%に引き上げるかどうか、安倍総理大臣の判断の参考にするため、今月26日から「集中点検会合」を開いていて、最終日の31日は、経済や金融を専門とする大学教授やエコノミストなど9人が意見を述べました。
このうち経済学が専門の東京大学大学院の吉川洋教授は、「消費税率は法律どおりに引き上げるべきだ。消費税は社会保障の財源で、財政再建の第一歩でもあり、日本経済の成長プロセスは底堅いとみているので、予定どおりにやったほうがいい。税率を毎年1%ずつ上げていくのは頭の体操としてはよく分かるが、少しでも先送りしていると思われるようなことをすべきではない」と述べました。
全国銀行協会会長で三井住友銀行の國部毅頭取は「財政の健全化という中長期的な課題に対応するために、予定どおり消費税率を引き上げるべきだ。駆け込み需要の反動や購買力の低下が出てくるとは思うので、対策をとって経済に対する悪影響をできるだけ少なくすることが必要だ」と述べました。
一方、内閣官房参与を務める静岡県立大学の本田悦朗教授は「来年4月はインフレ期待の形成に非常に重要な時期なので、予定どおり3%でなく、1%か2%引き上げ、その後、1%刻みに引き上げてはどうかと提案した。15年間、デフレで苦しんできたので、まずはデフレを脱却することが重要だ」と述べました。
6日間にわたる「集中点検会合」で出された60人の有識者の意見は報告書に取りまとめられ、来月3日に甘利経済再生担当大臣が安倍総理大臣に提出することにしています。
安倍総理大臣は、この報告書に加え、来月9日に発表される、ことし4月から6月のGDP=国内総生産の改定値など、今後発表される経済指標を踏まえ、10月上旬までに法律に従って消費税率を引き上げるかどうか最終判断する見通しです。

60人のうち44人が賛成
政府の「集中点検会合」は31日まで6日間連続で行われ、金融や社会保障などの有識者60人が意見を述べました。
NHKが、会合を終えた有識者60人に個別に取材したところ、法律どおり来年4月から消費税率を引き上げることに賛成する考えを示したのは44人に上りました。
政府は、有識者の人選にあたって、幅広い国民の意見を聴くためになるべく考え方に偏りがないよう配慮したとしていますが、結果的に予定どおりの引き上げを支持する人が多くなりました。
ただ、賛成の立場の有識者からは、所得が低い人への負担を減らす措置や、景気の腰折れを防ぐための減税や補正予算など、経済対策を行うよう求める意見が多く出されました。
一方、予定どおりの引き上げに慎重な有識者からは、「来年から1%ずつ5年間かけて引き上げるべきだ」という意見や、「引き上げの開始を延期すべきだ」という意見が出されたほか、賛否を明確にしない有識者もいました。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013083100249より、
消費増税「決断、今でしょ」=山口公明代表

 公明党の山口那津男代表は31日、秋田県大館市で講演し、消費税増税に関して「(経済指標の)数字も良くなっている。決断をいつやるの? 今でしょ。私は心の中で思っている」と述べ、予定通りに来年4月から税率を8%に引き上げるべきだと強調した。
 また、「消費税が上がっても生活がちゃんとできるよう、経済がしっかりと足取りを強く重ねていく時代をつくりたい」と語り、増税に伴って景気が腰折れしないよう、経済対策を打ち出す必要があると指摘した。(2013/08/31-19:23)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013083101001595.htmlより、
公明・山口代表「今でしょ」 消費税増税、講演で強調
2013年8月31日 18時15分

 公明党の山口那津男代表は31日、秋田県大館市で講演し、消費税を2014年4月に予定通り8%に引き上げるべきだとの考えを重ねて示した。「アベノミクスで日本経済は少しずつ良くなっている。このチャンスを逃すと、消費税増税の決断をいつするのか。今でしょ」と述べた。
 公明党が参院選公約に掲げた、企業収益を賃金に反映させるための政労使3者協議に触れ「年末から来年にかけて3者が話し合いを重ね、給与が少しずつ増えて消費税が上がっても生活できるようにする」と強調した。(共同)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013082702000134.htmlより、
東京新聞【社説】消費増税の是非 民意は「反対」が大勢だ
2013年8月27日

 政府は、来年四月から消費税を5%から8%に引き上げるかどうかを判断する参考のため、有識者から意見聴取を始めた。報道各社の世論調査で「反対」が大勢を占めた民意こそ重視すべきだ。
 消費税増税法は、来年四月に8%、再来年十月には10%に引き上げを定めているが、付則で経済状況次第で増税を見送る「景気条項」もある。安倍晋三首相は、増税した場合にデフレ脱却が遠のくなどの景気への悪影響はどうか、逆に増税予定を変更した場合に財政再建への姿勢が問われ、金融市場が混乱することはないかなどの意見を求めている。
 有識者の顔ぶれは、財界やエコノミスト、経済学者のほか、幅広い業界や団体からの六十人に及ぶ。それぞれの立場から多様な意見を求めるのは有意義だとしても、ともすれば自己の利益にかなった思惑先行となる懸念がある。
 増税賛成を表明している経団連なら、増税しても景気が落ち込まないよう法人税減税や投資減税を求めよう。同様に、建設や不動産業界は公共事業の拡大を、農協なら補助金をといった具合である。そうなれば財政再建どころか財政バラマキで逆行となる。財務省の御用学者といわれる大学教授や同省から天下りを受け入れたシンクタンクなどの意見も、推して知るべしである。
 明らかなのは、消費税を8%に引き上げた場合に、増税分と厚生年金、国民年金保険料の引き上げを合わせ、国民負担は年九兆円も増えることだ。これは一九九七年に消費税を3%から5%に引き上げた時の、増税と医療費負担が重なった負担増と同水準である。
 しかも当時より経済規模(名目GDP)は9%も縮小している。相次ぐ物価上昇が家計を直撃する中で景気へのショックは極めて大きいはずだ。「十五年デフレ」の起点となった九七年消費税増税の二の舞いになる恐れは強い。
 報道機関が意見聴取に合わせ実施した世論調査では「予定通りに消費税増税を実施すべきか」に対し、共同通信社と全国紙三紙ともに反対が賛成を上回った。共同では「予定通りの増税」は22・5%しかなく、現状維持と増税の時期や税率幅の見直しを合わせると73・8%に上った。
 そもそも消費税増税は、社会保障との一体改革として決まったのであり、社会保障の抜本改革なしの増税は許されないはずだ。民意は消費税増税をする環境にないと判断しているのである。