尖閣国有化1年 「あまりに多くを失った」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013091902000164.htmlより、
東京新聞【社説】日中対話の糸口 “内向き”では進まない
2013年9月19日

 政府が沖縄県・尖閣諸島を国有化して一年が過ぎ、ようやく日中関係改善の糸口らしきものが見え始めた。対話へとつながるよう双方とも、過度に排外的なナショナリズムをあおるべきではない。
 歴史を振りかえれば、昨日は八十二年前に、旧日本軍が中国東北部侵略のきっかけとなる柳条湖事件を起こした日である。
 日中双方の先人たちの血のにじむような努力で、今の日中関係がある。だが、一年以上も「国交正常化以降、最悪の関係」といわれるような状態が続いているのは不幸なことである。
 改善の兆しはうかがえる。
 今月初めにロシアで開かれた二十カ国・地域(G20)首脳会合の場で、安倍晋三首相は中国の習近平国家主席を呼び止めて握手し、関係改善の意欲を伝えた。
 終戦の日に首相は、靖国神社を参拝しなかった。首相自ら対話の糸口をつくろうと動いていることは評価できる。
 中国が戦略的互恵関係を重視するのであれば、日本側からのシグナルに敏感に反応し、対話に応じる姿勢を見せてほしい。
 これほど事態が好転しない最大の理由は、日中双方で内向きな強硬姿勢がやまないからだ。
 安倍政権は、憲法改正による集団的自衛権行使容認への意欲を露骨にしている。
 尖閣沖での中国公船によるしつような挑発行動や、無人機による監視活動などは目にあまる。
 何よりも、両国の指導者は偶発的な武力衝突を絶対に起こしてはならないという強い政治の意志を示してほしい。
 火種となった尖閣問題で日本政府は「領有権問題はない」と繰り返すだけでは事態打開はできない。外交上の「係争地」として話し合いに踏み出してほしい。
 中国側も「中国の領土と主権を損なう一切の行為を停止せよ」(外務省)と、強硬で一方的な言い方を続け挑発を強めるならば、対話の糸口すらつかめない。
 柳条湖事件の前、日本では「満蒙(まんもう)はわが国の生命線である」と、過激な対中強硬論が大勢を占めた。
 中国では昨年、柳条湖事件の日に百二十五の都市で史上最悪の反日デモが吹き荒れ、軍内には「戦争準備」の声すらあった。
 歴史に学び、排外的で危険な状態を再びつくりだしてはならない。振り上げた拳をおろせぬ感情やメンツの対立に終止符を打ち、冷静に対話に踏み出してほしい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130911/plc13091103320005-n1.htmより、
産経新聞【主張】尖閣国有化1年 新たな威嚇に備え強めよ
2013.9.11 03:32 (1/2ページ)

 政府が尖閣諸島(沖縄県石垣市)を国有化してから、11日で1年を迎えた。尖閣周辺における中国の挑発行為は一段とエスカレートしている。
 9日には、中国が尖閣付近に無人機を飛行させたことが確認された。尖閣奪取を狙う中国は今後もあの手この手の威嚇で揺さぶりをかけてこよう。尖閣など国境の守りを万全にしていかなければならない。
 無人機飛来に先立つ8日には、中国軍の爆撃機が沖縄本島-宮古島間の公海上空を往復した。いずれも日本の防空識別圏に入り、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)している。
 さらに10日には、中国海警局の船8隻が、海上保安庁の巡視船の退去要請を無視して、尖閣付近の領海に侵入した。
 2020年夏季五輪の東京開催決定に日本が沸いている隙を突いたかのような出来事だ。対日圧力を強める計画的な動きであり、極めて遺憾である。中国が1964年の東京五輪の開催期間中に、初の核実験を行った国であることも忘れてはならない。
 今回、警戒すべきは無人機の投入だ。新たな威嚇手段といっていい。中国国防省は9日の飛行は定例訓練だとする談話を出した。実際には、無人機を尖閣の監視、測量に使うことで、領有権の主張を強める意図があるようだ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130911/plc13091103320005-n2.htmより、
2013.9.11 03:32 (2/2ページ)
 中国の無人機は、これまでにも尖閣付近を飛行した疑いがあり、これからも繰り返し飛んで来る可能性は高い。外務省は中国側に自制を申し入れたが、簡単に受け入れるような国ではあるまい。
 無人機への日本の備えは十分ではない。小野寺五典防衛相は、無人機が領空侵犯した場合の対応の検討に着手する考えを示した。現行のスクランブルの態勢で対処するのは難しいからだ。
 例えば無人機に無線やサイン、信号弾などの警告が通用するかという問題がある。尖閣領空の長時間侵犯に際し、操縦手がカメラで監視していることを想定しての警告射撃や、撃墜措置、操縦妨害の可否も含めて早急に対応策を決めなくてはならないだろう。
 新しい挑発手段の登場で、尖閣の守りは一層、厳しいものになりかねない。無人機のほかにも、中国の海上民兵による尖閣占拠や艦船搭載ヘリコプターによる領空侵犯などさまざまな事態に備えて、防衛態勢の総点検が必要だ。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59560590R10C13A9EA1000/より、
日経新聞 社説 「耐震力」高い日中関係をどう築く
2013/9/11付

 対立している国同士の関係を完全に修復しようと思えば、障害になっている問題を解決するしかない。だが、すぐにはそれが難しいときはどうするか。
 互いに恩恵を得やすい経済や文化の協力を広げ、領土などの対立が続いても関係全体が破綻しないようにするのが次善の策だ。日本と中国に必要なのも、そんな「耐震力」の高い関係づくりである。

協力の裾野を広げよう
 政府が尖閣諸島を国有化してから、1年がすぎた。中国はいまでもひんぱんに監視船を尖閣周辺に送り、揺さぶりをかけている。
 首脳や閣僚の会談も止まったままだ。安倍晋三首相と中国の習近平国家主席が先週、ロシアで初めて会話を交わしたが、雪解けにつながる兆しはない。
 中国は関係の修復の条件として、尖閣の領土問題が存在することを認め、その棚上げに応じるよう日本に求めているという。
 日本側としては受け入れられない。いったん領土問題があることを認めれば、その場しのぎにはなっても、やがて中国から領土交渉を求められ、関係はさらに緊迫しかねないからだ。
 日本がまずやるべきなのは、尖閣の警備をさらに固めることだ。海上保安庁の体制を拡充し、海上自衛隊との連携を強める。米国とも、いざというときの対応を入念に擦り合わせてほしい。
 国際世論を味方につける努力も肝要である。この意味でも、ぎくしゃくしている韓国との関係改善は重要だ。
 「第2次世界大戦後の秩序を日本が変えようとしている」。尖閣対立に関連して中国はこう宣伝し、日本の歴史問題に転化しようとしている。
 日本は冷静に反論し、正しい事実を世界に発信するときだ。逆に、政治家が過去の歴史を否定するような言動に出れば、中国の宣伝を利するだけである。
 日中の対立が長引くにつれ、尖閣周辺で思わぬ衝突が起き、危機につながる恐れもある。
 両国の首脳や防衛当局者、現場司令官を結ぶホットラインを設けるなど、危機管理体制を早急に整えなければならない。中国側もこうした協議には、前向きに応じるべきだ。
 そのうえで、長期にわたって日中関係の「耐震力」を高めていくには、協力の裾野を広げることだ。具体的には、両国をつなぐ協力のレールを複線化、複々線化し、領土や歴史の対立で外交のレールが細っても、全体の協力が滞らないようにすることである。
 その大きな柱が経済であることは言うまでもない。尖閣購入の直後、中国各地で反日デモが吹き荒れ、多くの日本企業が、中国独特のリスクを痛感させられた。
 あれから約1年たっても、尖閣対立の影響はなお続いている。中国内では日本車の販売が低迷し、観光客の行き来も落ち込んだままだ。それでも注目したいのは、日中の経済交流が少しずつ回復しようとしていることだ。
 ユニクロは今月末、同社としては世界最大の店舗を上海市でオープンする。日立製作所は7月、中国で4番目となるエレベーター工場を、内陸の四川省成都市で本格稼働させた。

政府も対中事業支援を
 再び中国市場の取り込みをめざす日本企業の動きも見えてきた。あくまで中国側の統計ではあるが、1~7月の日本からの直接投資(金融を除く)は、前年同期に比べ9%増えている。
 こうした経済のつながりは、日中関係の底割れを防ぐうえでも貴重だ。政府としても、日本企業の対中ビジネスを戦略的に支援していくべきだ。日中韓自由貿易協定(FTA)の締結に向けた作業の加速もそのひとつである。
 内部に混乱の火種を抱える中国との付き合いは、それでも予見しがたいものがある。特に気がかりなのは、中国内の権力闘争が対日政策に及ぼす影響だ。
 昨年、重慶市のトップだった薄熙来氏が失脚し、最近では彼の後ろ盾だったとされる前党政治局常務委員の周辺にも、汚職捜査のメスが入ったという。
 権力闘争が激しくなれば、中国首脳部は政敵に足を引っ張られないよう、日本にいっそう厳しい態度をとるかもしれない。日本側は中国の内政の動きにも、細心の注意が必要だ。
 日本は領土では譲れない。同時に、日中は引っ越しができない隣人でもある。であればこそ、尖閣の対立が全体を吹き飛ばすことがないよう、重層の関係を築く努力を急がなければならない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130911k0000m070094000c.htmlより、
社説:尖閣国有化1年 焦らず信頼積み上げよ
毎日新聞 2013年09月11日 02時30分

 沖縄県・尖閣諸島を日本政府が国有化して1年がたった。
 安倍晋三首相と中国の習近平国家主席はロシアでの主要20カ国・地域(G20)首脳会議の場で、初めて5分間だけ立ち話をしたが、正式な首脳会談の見通しは立っていない。1972年の国交正常化以来最悪と言われる日中関係は、改善の糸口すら見えない。尖閣周辺の海や空では、不測の事態を招きかねない緊張状態が続いている。日中関係は、本来のあるべき姿から随分と遠いところに来てしまったようにみえる。

対日強硬の複雑な事情
 日中双方の指導者はこの機会に、自らの言動を真摯(しんし)に見つめ直してほしい。国内で偏狭なナショナリズムが高まらないよう指導者としてコントロールに努めただろうか。相手国の主張や事情を正確に理解しようとする努力は十分だっただろうか。
 特に、ここ1年に中国側で相次いで起きたことは、受け入れられるものではない。昨年8月に香港の民間抗議船の乗組員が尖閣に上陸し、間もなくして中国各地で大規模な反日デモが約1カ月続いた。
 中国公船による尖閣諸島周辺の領海侵入が頻発し、1年間で63日、216隻に上った。今年1月には中国海軍艦艇から海自護衛艦に対して射撃用火器管制レーダーが照射されるなど、一触即発の事態も起きた。
 こうした行動は、日本による尖閣の実効支配を力によって変更しようとする試みであり、米国などからも憂慮する発言が出ている。
 さらに中国は尖閣を歴史問題と絡める戦略を強めてきた。李克強首相は5月にドイツ・ポツダムでの演説で、第二次大戦中に米英中首脳が「日本が盗み取った中国東北地方や台湾などの島々を中国に返還する」と定めたカイロ宣言や、カイロ宣言の履行を明記したポツダム宣言に触れて、「第二次大戦の勝利の成果を破壊、否定してはいけない」と尖閣を念頭に日本をけん制した。
 しかし、そもそも日本が尖閣を沖縄県に編入したのは1895年で、それ以前の約10年間、尖閣にどの国の支配も及んでいないことを確認している。カイロ宣言がいう台湾に付属する島々に尖閣が含まれるという証拠はない。そして中国が尖閣の領有権を主張し始めたのは、1971年になってからだ。
 中国が対日強硬姿勢を強めるようになったのは、尖閣国有化が一つのきっかけだが、背景は複雑だ。
 中国は、自国の安全保障や海洋権益獲得のため、沖縄、台湾、フィリピンなどを結ぶ対米防衛ラインの第1列島線を超えて、伊豆諸島、グアムなどを結ぶ第2列島線へ、さらに西太平洋へ進出しようという戦略を立て、尖閣諸島をその足がかりにしようとしているとみられている。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130911k0000m070094000c2.htmlより、
 習体制への移行にあたり、中国共産党内で激しい権力闘争が起き、尖閣問題が国内の引き締めに使われたという事情も指摘されている。
 78年に当時のトウ小平副首相が、尖閣問題について「棚上げしても構わない」と言ったのには、韜光養晦(とうこうようかい)(時が来るまで、力を蓄えること)という外交方針があった。しかし2010年に中国の国内総生産(GDP)が日本を抜いて世界第2位となり、大国意識が強まった中国では、この方針を維持するか修正するかで議論があるといわれている。
 こうしたさまざまな要素があいまって尖閣問題の解決策や日中関係の改善を難しいものにしている。

東京五輪をきっかけに
 ただ、前向きな変化の兆しもないわけではない。習主席は安倍首相との立ち話で「戦略的互恵関係を推進したい」と述べた。楊潔篪国務委員は論文で、釣魚島(尖閣諸島)について「周辺諸国との紛争の対話と交渉を通じた適切な処理と解決」に言及した。注目すべき動きだ。
 中国は、首脳会談に応じる条件として、尖閣について領土問題の存在を認めたうえで棚上げするよう求めているが、自国の主張が受け入れられなければ話し合いに応じないという態度は、もう改めるべきだ。
 そして日本も「対話のドアは常にオープンだ」と言うだけでなく、中国側の態度の変化を促すような雰囲気作りにもっと汗をかいてほしい。
 安倍首相が、歴史認識で「侵略の定義は定まっていない」と発言したことは、中国側の不信感を招いた。中国側はもちろんだが、日本側も細心の注意を払って対応してほしい。
 日中間で新しい時代に対応した尖閣の安定的なシステムを作り、東シナ海を再び静かな海にするには、おそらく時間がかかるだろう。まずは日中双方が、信頼関係を焦らず着実に積み上げ、話し合いができる環境づくりに取り組んでほしい。
 7年後には東京で20年夏季五輪が開かれる。その2年前には韓国で18年平昌(ピョンチャン)冬季五輪がある。日韓両国のオリンピック委員会は互いの五輪成功に向け協力を確認した。日本が08年北京五輪から学ぶこともあるだろう。日中、日韓の対立を東京五輪開催をきっかけに、改善の方向に転じるようにしたい。
 尖閣を巡って角を突き合わせているだけでは、中国も日本も世界第2位、第3位の経済大国としての責任を果たすことはできない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130908/plc13090803190002-n1.htmより、
産経新聞【主張】大統領の尖閣発言 日本支持に行動で応えよ
2013.9.8 03:18 (1/2ページ)

 オバマ米大統領が首脳会談で安倍晋三首相に尖閣諸島(沖縄県石垣市)の問題で、「力による現状変更」に反対する見解を伝えた。
 軍事力を背景に尖閣奪取を図ろうとしている中国を牽制(けんせい)し、日本の立場への強い支持を示したものだ。同盟国としての確固たる姿勢の表明を高く評価したい。
 会談で安倍首相が日米同盟の強化に向け、米軍普天間飛行場問題など諸懸案に取り組む決意を示したのも妥当だ。大統領発言に安堵(あんど)するのではなく、日本が自らの防衛努力を重ねることが、何にも増して重要である。
 「力の行使による現状変更は何も正当化しない」との考え方は、安倍首相が2月の施政方針演説にも盛り込んだ日本の主張の根幹といえる。開かれた海での航行の自由などの考え方とともに、日本の立場への理解と協力を求めるため米国や国際社会に訴えてきた。
 ケリー米国務長官が4月の来日時に「現状を変更しようとする一方的な行動に米国は反対する」と述べ、6月には日米豪防衛担当閣僚会談も同様の見解で一致するなど、こうした考え方は日米に浸透していた。
 ただオバマ大統領は2月、安倍首相との首脳会談で「日米協力が地域の安定につながる」との見解にとどめ、その後も日中双方に平和的解決を求める抑制的な姿勢をみせていた。今回、大統領が「力による現状変更」の表現を初めて用い、日本の立場の支持に踏み込んだ意義は大きい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130908/plc13090803190002-n2.htmより、
2013.9.8 03:18 (2/2ページ)
 6月の米中首脳会談では習近平国家主席が「尖閣は核心的利益」との認識を示したのに対し、大統領は「日本は米国の同盟国」で「成熟した民主主義国」であると中国にくぎを刺していた。
 共通の価値観に基づき、地域の平和と安定を守る姿勢をオバマ大統領は示した。日本には、いかに行動で応えていくかが問われている。すでに両政府間の課題となっている「日米防衛協力の指針」の見直しでは、米軍に対する日本の支援拡大が焦点だ。
 共同行動中の米艦船を守るため、集団的自衛権行使を容認する憲法解釈の変更が急務である。
 米軍の新型輸送機オスプレイを使った初の日米共同訓練が来月、本土で行われる。沖縄の負担軽減と同時に、日米共同の対処能力を高めていくことも重要だ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 9月 7 日(土)
尖閣1年―あまりに多くを失った

 戦争の記憶を呼び起こす8月に続き、9月は中国との関係を振り返る季節である。
 18日は満州事変(1931年)が始まった日であり、29日は日中国交正常化(72年)の記念日。また、3日は中国では抗日戦勝記念日とされる。日本が降伏文書に署名した翌日の祝賀(45年)にちなむ。
 そこに、9月11日が加わった。昨年のこの日、日本政府は尖閣諸島の3島を国有化し、中国政府は猛反発した。あれから1年。日中関係は冷え切り、非難と抗議の応酬が続いた。
 見過ごせないのは、中国側が尖閣を歴史問題と関連づけて論じていることだ。
 中国の李克強(リーコーチアン)首相は5月、第2次大戦中に米英中首脳が発したカイロ宣言にふれ、「日本が盗み取った東北(旧満州)や台湾などの島々を中国に返さなくてはならないと明確に定めた」と述べた。尖閣を念頭に置いた発言であることは明らかだ。
 8月15日には、中国共産党機関紙・人民日報が尖閣について「第2次大戦後の日本の領土処理、国際秩序問題をどう扱うかに関わる」と論じた。島を不法に占拠する日本は、戦後の国際秩序に逆らっている――。そう印象づける意図さえにじむ。
 だが、こうした中国の言い分は説得力に欠ける。
 そもそも敗戦直後の台湾接収にあたり、当時の中華民国政府は尖閣の引き渡しを求めなかった。中国が領有の主張を始めたのは、それから20年以上もたってからだ。
 中国が「歴史」を言い募るのは、日本の侵略や植民地支配と絡めて国際世論を味方に引き込む狙いからだろう。尖閣は別問題だと、日本政府は世界に向け丁寧に説明する必要がある。
 一方、中国の理不尽な主張を許す隙が日本側にあるのも事実だ。この春、安倍首相が「侵略の定義は定まっていない」と発言し、欧米からも強い疑念の声があがったのはその典型だ。
 この間、日中両国はあまりに多くのものを失った。
 首相は一昨日、ロシアでのG20首脳会議前に中国の習近平(シーチンピン)国家主席と言葉を交わした。5分間とはいえ、この1年、首脳同士の接触がなかったことを考えれば一歩前進だ。
 日本政府はさらに粘り強く対話を呼びかけるべきだ。まずは経済や環境など協力可能な分野で、接点を広げたい。
 中国には、改めて自重を求める。歴史問題でナショナリズムをあおれば、自らの手足を縛る。習指導部にも、その愚かさは分かっているはずである。

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