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日別アーカイブ: 2013年9月12日

http://mainichi.jp/select/news/20130913k0000m010085000c.htmlより、
消費税:来年4月8%…首相、10月1日に表明へ
毎日新聞 2013年(最終更新 09月12日 23時03分)

  安倍晋三首相は12日、現行5%の消費税率について消費増税法に基づき、予定通り来年4月に8%に引き上げる方針を固めた。増税による景気の失速を避けるため、3%の増税分のうち、2%分に相当する5兆円規模となる大型の経済対策を合わせて実施する方向で調整している。首相は10月1日に日銀が発表する企業短期経済観測調査(短観)を確認した上で、同日中に記者会見し、増税方針と経済対策を同時に表明する方針だ。

 ◇経済対策、5兆円財源カギ
 安倍政権の経済政策「アベノミクス」により、各種経済指標は好転している。判断指標となった4〜6月期の実質国内総生産(GDP)は、改定値で年率3.8%増。増税の目安とされた経済成長率「名目3%、実質2%」を上回った。2020年夏季五輪の東京招致の成功という「第四の矢」の後押しも受け、首相は増税の意向を固めた。
 首相は10日、首相官邸に麻生太郎財務相、甘利明経済再生担当相らを集め、経済対策の中身を今月中に取りまとめるよう指示した。その際、示した文書では「消費税率の引き上げにより、景気を腰折れさせるようなことがあってはならない」と明記。政府高官は「消費税率を引き上げても、景気がよくないと財政再建につながらない」と述べ、経済対策の重要性を訴える。
 菅義偉官房長官は12日の記者会見で、消費増税に伴う経済対策について「消費税を引き上げる場合は経済への影響もあるため十分な対策が必要だ」と強調。記者団から「経済対策の規模も消費増税の判断の一つになるか」と問われると、「もちろんそうだ」と述べ、大規模な対策が不可欠との認識を示した。
 14年4月と15年10月の消費税率引き上げを定めた消費増税法は、民主党政権下の12年8月に成立した。すでに定められた増税について、首相は8月末に6日間かけて「集中点検会合」を開き、有識者ら60人に改めて増税の「是非」を問うてきた。7割の出席者が予定通り14年4月の税率引き上げに賛成を表明した。
 首相が増税実行に熟慮を重ねてきたのは、アベノミクスでせっかく上向いてきた景気への影響を懸念したからだ。財政再建を優先する財務省への反発もあり、首相は経済政策の中身を見極める方針。10月の臨時国会も「成長戦略実行国会」と位置付け、6月に発表した「日本再興戦略」に基づく産業競争力強化法案の早期成立を目指す。

http://mainichi.jp/select/news/20130913k0000m010085000c2.htmlより、
 ただ、経済対策が5兆円を超える規模となれば、増税効果は限定的になりかねない。経済官庁からは「増大し続ける社会保障費に対応するための増税なのに、経済対策で借金を増やすことに国民の理解が得られるのか」との懸念ももれる。政府関係者は経済対策を重視する首相官邸の姿勢について「財務省の言いなりに上げるのではなく、あくまで政治主導で首相が決めたことをアピールする」と解説した。【横田愛、宮島寛】

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco&k=2013091200901より、
経済対策5兆円、作業本格化=負担軽減と財源確保が焦点-政府

 安倍晋三首相が2014年4月に予定通り消費税率を5%から8%へ引き上げる意向を固めたことを受け、政府は12日、増税による景気の腰折れを回避するため、13年度補正予算案を含む経済対策の策定作業を本格化させた。消費税収2%分に相当する5兆円規模の対策を打ち、増税による景気への悪影響を抑え込む考えだ。低所得者向けの現金給付措置など施策の選定を急ぐが、財源確保も含め難航も予想され、国債の追加発行を迫られる可能性がある。
 安倍政権は長引くデフレからの脱却を最重要課題に掲げる。消費増税で新たに生じる国民負担が回復傾向にある経済を萎縮させかねないと判断。財務省が想定していた「2兆円」を大きく上回る5兆円規模の対策を求めた。
 政府・与党では月内の対策取りまとめに向け、自民、公明両党の税制調査会が民間企業に設備投資や雇用増を促す法人税減税などの検討を始めている。今回、対策規模が大きく膨らんだことで、法人実効税率の引き下げや所得税減税を求める声が勢いを増しそうだ。(2013/09/12-21:10)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2013091200867より、
増税で経済対策「本末転倒」=みんな代表

 みんなの党の渡辺喜美代表は12日、安倍晋三首相が消費税率を2014年4月から8%に引き上げ、5兆円規模の経済対策を合わせて実施する方針を固めたことについて、「増税で景気が腰折れすることが分かっているのであれば、なぜ増税するのか。増税しておいて財政支出を増やすなど、本末転倒も甚だしい」と批判するコメントを出した。
 渡辺氏はコメントで「公式発表前にそうした報道が出回るのは、増税官僚の相場観づくりにほかならない」と指摘。「増税の判断はアベノミクス効果が確認できる2年後まで凍結すべきだ」と強調した。(2013/09/12-20:05)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013091201001806.htmlより、
消費増税対策に5兆円超 高速料金の割引延長
2013年9月12日 20時00分

 政府、与党は12日、安倍首相が消費税率を来年4月に予定通り8%に引き上げる方針を固めたことを受け、増税に備えた経済対策づくりを加速させた。対策では、13年度末で終了見込みの国費による高速道路料金の割引制度の延長を検討。インフラの老朽化対策や耐震工事など14年度予算の概算要求に盛り込んだ公共事業の一部を前倒しで実施する方針で、予算措置と減税の総額は5兆円を上回る可能性が高い。
 安倍首相は10月1日に来年4月の増税方針と経済対策を表明するが、15年10月に予定されている10%への税率上げに関しては、今後の経済情勢を見極めて判断する考えを示すとみられる。(共同)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130912/k10014494071000.htmlより、
新たな経済対策 5兆円規模で調整
9月12日 19時23分

政府は、今月末をめどに取りまとめる新たな経済対策について、法律どおり消費税率を来年4月から8%に引き上げることを想定し、少なくとも5兆円規模とする方向で調整に入りました。
安倍総理大臣は、経済対策の内容も見極め、景気の腰折れがないと判断できれば、来月1日にも法律どおりの消費税率引き上げを決断することにしています。
安倍総理大臣は、法律どおり消費税率を来年4月から引き上げる方向で検討しており、これに合わせて、経済成長を確かなものとするため、今月末をめどに新たな経済対策を取りまとめるよう関係閣僚に指示しています。
新たな経済対策は麻生副総理兼財務大臣と甘利経済再生担当大臣を中心に検討が進められており、来年4月に消費税率を5%から8%に引き上げることを想定し、景気の腰折れを防ぐため、少なくとも消費税率2%分に相当する5兆円規模とする方向で調整に入りました。
具体的には、補正予算案を編成するなどの財政出動をはじめ、企業の設備投資を促すための投資減税といった税制改正が検討されており、政府内では「新たな経済対策が一時的な景気刺激策で終わらないよう、法人税の実効税率の引き下げを盛り込むべきだ」という意見も出ています。
安倍総理大臣は、日銀の短観=企業短期経済観測調査など、今後発表される経済指標に加え、新たな経済対策の内容も見極め、景気の腰折れがないと判断できれば、来月1日にも法律どおり消費税率を来年4月から8%に引き上げることを決断することにしています。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013091290143414.htmlより、
消費税 来年4月8% 首相決断 社会保障目的どこへ
2013年9月12日 14時34分

 安倍晋三首相は十二日、二○一四年四月から予定通り消費税率を5%から8%に引き上げる方針を決めた。最近の各種経済指標が堅調だとして、増税の環境はほぼ整ったと判断した。増税に伴う景気の落ち込みを避けるため、五兆円規模の経済対策を合わせて実施する方向。ただ、五兆円は消費税2%分に相当し、社会保障に充てるはずの増税の目的が大きく損なわれる。
 首相が増税の是非を判断するのに重視したのは、四~六月期の国内総生産(GDP)改定値。九日発表の改定値は、名目で年率換算3・7%増、実質で3・8%増。消費税増税法の付則で税率引き上げの目安となっている経済成長率(名目3%、実質2%)を上回った。
 政府・与党で予定通り増税を容認する意見が大勢を占めていることも考慮した。また、二〇二〇年東京五輪の開催が決まったことで、一定の経済効果が見込めることも判断材料となった。
 首相は十月一日に発表される完全失業率や日銀の企業短期経済観測調査(短観)の内容を確認した上で、同日中にも増税方針と経済対策を表明する方針。
 ただ、消費税増税に伴う低所得者対策はまだ決まっていない。
 政府・与党は食料品などの生活必需品に関し、税率を低くする軽減税率を導入する準備が整っていないとして、現金を配る「簡素な給付措置」を実施する方針だが、具体的な内容は未定だ。
 政府は八月下旬、有識者から意見を聞き、消費税増税を実施した場合の景気への影響を検証する「集中点検会合」を開催。増税を容認する有識者からも、低所得者対策の充実などを求める意見が相次いだ。
 菅義偉(すがよしひで)官房長官は十二日午前の記者会見で、消費税率引き上げは正式決定していないとしつつも、増税に伴う経済対策について「規模や中身を麻生太郎財務相と甘利明経済再生担当相で詰めている」と説明。正式決定後には、首相が自ら記者会見して発表することを明らかにした。(東京新聞)

http://mainichi.jp/select/news/20130912k0000e020189000c.htmlより、
消費増税:景況感回復が後押し 大型対策にバラマキ批判も
毎日新聞 2013年(最終更新 09月12日 14時21分)

 安倍晋三首相が消費税率を予定通り、来年4月に引き上げる意向を固めた背景には、景気回復を示す経済指標が次々と発表されていることがある。2013年4〜6月期の実質国内総生産(GDP)の改定値が高水準となったのをはじめ、企業の設備投資も上向く兆しを見せている。景況感の回復がはっきりする中、増税を見送れば、日本の財政再建への取り組み姿勢が疑われ、国債が暴落(金利は上昇)しかねないと判断した。景気の腰折れ懸念は、大規模な経済対策で一掃する考えだ。
 消費増税法の付則は、増税できる経済成長率の目安を名目3%、実質2%としているが、財務省の統計では4〜6月期のGDP改定値はこれを大きく上回った。最大の不安材料とされる設備投資も、4〜6月期には3四半期ぶりにプラス転換。7月の有効求人倍率(季節調整値)が0.94倍と、リーマン・ショック前の08年5月(0.95倍)以来の高水準となるなど、雇用環境も改善している。
 大規模な経済対策を打つのは、政府が「消費増税による反動減の幅は2兆円弱。2兆円以下では埋め戻しにしかならず、成長軌道に経済全体を復帰させていく経済対策には不十分」(甘利明経済再生担当相)と見ているためだ。
 経済対策の柱は、公共事業の積み上げや低所得者向けの現金給付などを盛り込んだ補正予算と、法人向け減税などになる見通し。ただ、消費増税に対する意見を有識者・専門家に聞く政府の「集中点検会合」では、「増税後の景気落ち込みを緩和するには、5兆円規模の経済対策が必要」(岩田一政・日本経済研究センター理事長)との意見も出された。昨年度の剰余金は1.3兆円で、今年度の景気回復による増収を加えても5兆円には届かない。経済対策の規模の拡大は新規国債の発行に直結するだけに、「バラマキ」批判を招く可能性もある。【丸山進】

http://mainichi.jp/select/news/20130912k0000e010187000c.htmlより、
消費増税:首相、来年4月予定通り8%へ引き上げ固める
毎日新聞 2013年(最終更新 09月12日 14時13分)

 ◇5兆円規模 大型経済対策も
 安倍晋三首相は、現行5%の消費税率を、来年4月に8%へ予定通り引き上げる方針を固めた。景気の回復傾向が各種の経済指標で裏付けられ、増税環境は整ったと判断した。首相は増税による景気の腰折れを防ぐため、大規模な経済対策を併せて行う方針で、3%増税分の2%分にあたる5兆円規模とする方向で検討している。
 首相は10月1日に日銀が発表する9月の企業短期経済観測調査(短観)を見極めたうえで、同日中に記者会見し増税方針と経済対策を同時に発表する方針だ。
 消費増税法は付則で税率上げの条件として「経済状況の好転」を挙げているが、9日に発表された4〜6月期の実質国内総生産(GDP)改定値が年率換算で前期比3・8%増と高い伸びを示すなど、景気関連の指標は軒並み改善している。2020年夏季五輪の東京開催が決まり、「五輪特需」が見込まれることも首相の決断を後押ししたとみられる。
 首相は10日、麻生太郎財務相、甘利明経済再生担当相と会談し、成長戦略第2弾などを含めた新たな経済対策をまとめるよう指示。11日には、自民党の野田毅税調会長にも「景気の腰折れを避ける配慮」を指示した。
 首相ブレーンの浜田宏一、本田悦朗の両内閣官房参与は、増税の延期や税率の上げ幅を年1%ずつにする案を主張しており、実質的な上げ幅を本田氏らが主張する1%に近づけ、景気への影響を少なくする狙いがある。
 すでに実施が決まっている企業向けの設備投資減税、住宅購入者への現金給付、低所得者向けの給付措置などに加え、法人税率引き下げや賃上げした企業への減税拡充などが検討される模様だ。
 自民党幹部は12日、「首相や甘利氏の想定は5兆円規模」と語った。ただ、自民党税調や財務省には、大規模な経済対策は、財政再建に逆行しかねないことや、消費税について「全額を社会保障に使う」とした参院選公約との整合性から慎重論が強く、政府・与党内の調整は付いていない。首相は最終判断に向けて、与党や世論の動向をにらんで落としどころを探る意向とみられる。【古本陽荘】

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013091200090より、
消費税、来年4月に8%=経済対策5兆円で下支え-安倍首相、来月1日にも表明

 安倍晋三首相は12日、現行5%の消費税率を、消費増税関連法に沿って2014年4月に8%に引き上げる意向を固めた。各種経済指標が堅調なことから、増税の環境は整ったと判断した。増税による景気の失速を避けるため、5兆円規模の経済対策を合わせて実施する方針だ。
 増税の是非を判断するに当たり、首相は4~6月期の国内総生産(GDP)改定値を最重視していた。9日発表のGDP改定値は、名目で年率換算3.7%増、実質で3.8%増となり、消費増税関連法付則18条に増税の目安として明記された経済成長率(名目3%、実質2%)を上回った。
 11日発表の7~9月期の大企業全産業の景況判断指数や、8月の国内企業物価指数も改善。首相は10月1日に発表される完全失業率や日銀の企業短期経済観測調査(短観)の内容を確認した上で、同日中にも記者会見して増税を表明する。(2013/09/12-10:08)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013091201000770.htmlより、
消費税率、来年4月8%に 首相、10月1日表明へ
2013年9月12日 09時34分

 安倍晋三首相が、来年4月に消費税率を5%から8%へ予定通り引き上げる方針を固めたことが12日分かった。政府は、増税による景気腰折れを防ぐため、税率上げ幅3%のうち2%分に当たる5兆円規模の経済対策をまとめる方向で本格検討に入った。首相は10月1日に増税方針と経済対策を表明し、財政再建とデフレ脱却を両立させる姿勢を示す構えだ。
 景気関連の指標が軒並み改善し、消費税増税法の付則で税率上げの条件となっている「経済状況の好転」がほぼ確認されたと判断した。国の財政悪化が深刻化し、社会保障の財源確保が急務となっており、政府、与党内で増税容認の意見が多いことも考慮した。(共同)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130912/k10014473741000.htmlより、
新経済対策は法人税減税焦点に
9月12日 7時30分

安倍総理大臣が取りまとめを指示した新たな経済対策を巡って、政府内では、景気の腰折れを防ぐため、法人税の実効税率の引き下げを求める声があるのに対し、財政再建の観点から慎重に対応すべきだという意見もあり、法人税の取り扱いが焦点の1つとなる見通しです。
安倍総理大臣は、来月1日にも、消費税率を法律どおり来年4月に8%に引き上げるかどうか、最終判断することにしており、経済成長を確かなものとするため、今月末をめどに、新たな経済対策を取りまとめるよう指示しました。
これを受けて、政府は、甘利経済再生担当大臣と麻生副総理兼財務大臣を中心に、消費税率を引き上げた際に、景気の腰折れを防ぐため、必要な財政措置や税制改革などの検討を進めることにしています。
このうち税制改革について、政府内では、甘利大臣が「設備投資の先のものまで含めて広範な対策を取るべきだ」と述べるなど、法人税の実効税率の引き下げを求める声が出ています。
これに対し、麻生副総理は、民間主導の経済成長を目指すには、企業の設備投資を促す投資減税を行うほうが効果的で、法人税率の引き下げは財政再建の観点からも慎重に対応すべきだとしています。
このため、新たな経済対策の取りまとめに向けては、投資減税の拡充策に加え、法人税の取り扱いが焦点の1つとなる見通しです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130910/k10014432741000.htmlより、
今月末めどに新経済対策を指示
9月10日 17時18分

安倍総理大臣は閣議のあとの閣僚懇談会で、消費税率を引き上げるかどうかの最終判断の前に経済成長を確かなものとするため、甘利経済再生担当大臣や麻生副総理兼財務大臣を中心に今月末をめどに新たな経済対策を取りまとめるよう指示しました。
この中で、安倍総理大臣は「今後、成長を確かなものとし、その果実を全国津々浦々に届けるため、経済運営に万全を期していく必要がある。そのため、今月末をめどに成長戦略を含めた力強い施策を『経済政策パッケージ』として、甘利経済再生担当大臣と麻生副総理兼財務大臣を中心にまとめてもらいたい」と述べ、今月末をめどに新たな経済対策を取りまとめるよう指示しました。
また、安倍総理大臣は、来年4月に法律にしたがって消費税率を引き上げるかどうかについて「引き上げる場合には経済への影響もあるため、十分な対応策が必要になる。引き上げにより、景気を腰折れさせるようなことがあってはならない。来月上旬に最終判断するが、その際には安倍政権の最重要課題であるデフレ脱却、経済再生と財政再建の両立という道筋が確かなものか、しっかりと見極めて判断したい」と述べました。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013091202000152.htmlより、
東京新聞【社説】桐生悠々を偲んで 嵐に鳴く蟋蟀のように
2013年9月12日

 参院選での「ねじれ」解消を受け、安倍内閣本格始動の秋です。競い合うように鳴く虫たちの音。何かを告げるようで、胸騒ぎを覚える人もいるのでは。
 <蟋蟀(こおろぎ)は鳴き続けたり嵐の夜>
 明治後期から昭和初期にかけて健筆をふるった反骨のジャーナリスト、桐生悠々(きりゅうゆうゆう)の作句です。
 悠々は、本紙を発行する中日新聞社の前身の一つである新愛知新聞や、長野県の信濃毎日新聞などで、編集、論説の総責任者である主筆を務めました。
 海外にも視野を広げた豊富な知識に基づいて藩閥政治家、官僚、軍部の横暴を痛撃する姿勢は、今も報道に携わる者の手本です。

◆報道の使命を詠む
 冒頭の句が世に出たのは一九三五(昭和十)年二月でした。
 悠々は、信毎時代の三三(同八)年、「関東防空大演習を嗤(わら)ふ」と題した論説で、敵機を東京上空で迎え撃つことを想定した陸軍演習の無意味さを批判します。
 日本全国が焦土と化した歴史を振り返れば、悠々の指摘は正鵠(せいこく)を射たものですが、在郷軍人会の怒りに触れ、信毎を追われます。
 悠々が戻ったのは新愛知時代に住んでいた今の名古屋市守山区でした。ここで個人誌「他山の石」を発行して、糊口(ここう)をしのぎます。<蟋蟀は…>はこの「他山の石」に掲載されたものでした。
 昭和十年といえば、中国東北部を占領した六年の満州事変、海軍の青年将校らが当時の犬養毅首相を殺害した七年の五・一五事件、国際的な孤立へと突き進んだ八年の国際連盟脱退と続く、軍部台頭の流れの真っただ中です。
 <嵐の夜>からは、そうしたきな臭い時代背景を読み取ることができます。その中にあっても<鳴き続け>る<蟋蟀>には、ジャーナリストとしての使命感や意地が込められているようです。

◆一大軍縮見る前に
 悠々は四一(同十六)年九月、太平洋戦争の開戦三カ月前に六十八歳で亡くなります。その間際まで、「他山の石」を舞台に、発行停止処分を度々受けながらも、軍部や戦時の外交・内政への批判を旺盛に続けました。
 亡くなる前、悠々自身が発送した「廃刊の辞」も発行停止処分となり、その通達が通夜の席に届けられたといいます。
 「戦後の一大軍縮を見ることなくして早くもこの世を去ることは如何(いか)にも残念至極」という部分が当局を刺激したのでしょう。
 それから七十年余り。悠々が見たいと切望した一大軍縮は戦後、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」ことをうたった、新憲法の九条に結実します。
 その後、憲法解釈により、自衛のための必要最小限度の実力部隊である自衛隊が誕生しましたが、専守防衛に徹し、節度ある防衛力の整備に努めてきました。
 かつての戦争の反省に立った新憲法の平和主義は、日本の新しい「国のかたち」ともいえます。
 これを根本的に変えようというのが、安倍晋三首相率いる自民党の憲法草案です。自衛隊を「国防軍」に改組し、現行憲法では禁じられている集団的自衛権も行使できるようにするものです。
 憲法改正に至らなくても、自衛隊を強化し、内閣法制局長官を交代させてでも政府の憲法解釈を変え、集団的自衛権の行使を認める。これが安倍内閣の狙いです。
 イラク戦争のような米国の誤った戦争に引きずり込まれることがあっては、断じてならない。
 政府が策定作業を進める「特定秘密保護法案」も見過ごせません。安全保障上の秘密を漏らした公務員を最高十年の懲役刑に処すものですが、知る権利の制限につながりかねない内容は、弾圧の治安維持法と重なります。
 こうした動きは、戦前から戦中にかけてと全く同じではないにしろ、きな臭さを感じさせます。
 もし、権力者が国民を間違った方向に誘導するのなら、警鐘を鳴らすのは私たち報道の役目です。
 特に新聞は、政府のお先棒を担ぐようなことが再びあっては決してなりません。権力者の宣伝機関に堕し、偽りの情報を大本営発表の名の下に流して読者を欺いた、戦前から戦中にかけての誤りを繰り返してはならないのです。

◆言うべきこと言う
 悠々は「言わねばならないことを言うのは義務の履行」であり、「義務の履行は多くの場合、犠牲を伴う」とも書き残しています。身をもって導き出した教訓です。
 もし今が再び<嵐の夜>であるならば、私たちの新聞は<蟋蟀>のように鳴き続けなければなりません。それこそが私たち報道に携わる者の義務の履行です。
 一昨日の九月十日は悠々の没後七十二年の命日でした。大先輩の業績を偲(しの)び、遺訓を胸に刻む。そんな日にしたいと思うのです。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013091802000141.htmlより、
東京新聞【社説】シリア条約加盟 内戦停止へつなげたい
2013年9月18日

 シリアの化学兵器禁止条約への加盟は、外交の成果であり、シリア政府は約束通り、毒ガス廃棄を誠実に履行せねばならない。国際社会は、これを機に内戦の停止へとさらに圧力をかけるべきだ。
 今月初旬、ロシアのラブロフ外相が「シリア政府に保有化学兵器を国際管理下に置くように提案した」と発表した時、それがうまくゆくと考えた人はたぶんいなかっただろう。
 だが直後の国連事務総長の賛意、さらに米国の、こぶしを振り上げつつの同意によって事態は急進展した。
 米ロのつくった合意は、こうだ。両国は化学兵器禁止機関(OPCW)に対し、シリアの化学兵器の速やかな廃棄と厳密な検証に向けた原案を提出。その執行を進める国連安保理決議を経て、十一月までに現地査察を終え、毒ガスと生産設備の廃棄を来年半ばまでに完了する。
 理想に過ぎるかもしれないが、やらねばなるまい。
 そのためには、米ロ合意にもあるように、シリアが化学兵器の名称、種類、量、保管場所・状況、また製造機関の所在など一切を出さねばならない。
 それができなければ、アサド政権は武力行使逃れのために時間稼ぎをしたと非難されるのはもちろん、これまで以上の国際不信にさらされるに違いない。そうなれば保証人たるロシアはメンツを失うし、米国は再びこぶしを振り上げよう。
 綱渡りのような過程には、やはり米ロなどの圧力が必要だ。
 シリアの内戦とは、政府側が生き残るか、それとも反政府勢力が生き残るか、というまさに死闘である。
 しかも政府側にも反政府側にも武器弾薬は外部から供給されている。米ロも絡む、いわば代理戦争である。しかし、もし代理戦争であるならば、外から戦争を終わらせることも可能なはずである。
 二年を超す内戦ではそれぞれの支配地域がはっきりしてきた。遅すぎただろうが、それは休戦、停戦の時期が近づいたことを意味してもいる。
 シリア情勢は国内、国外とも複雑である。根深い宗派の対立や、またアルカイダ系の武装組織が入り込んでもいる。
 だが、今もっとも必要なのは市民の犠牲を増やさないことだ。国際的な停戦協議が必要なことは言うまでもないし、今こそ国際的圧力を有効に働かせるべきである。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130917/erp13091703170002-n1.htmより、
産経新聞【主張】化学兵器合意 ロシアは履行に責任持て
2013.9.17 03:16 (1/2ページ)

 米露がシリアの化学兵器全廃を目指す枠組みで合意した。シリアに完全履行させるには、非協力や妨害を許さない国際圧力が不可欠である。
 とりわけ重要なのは、ロシアのプーチン大統領がアサド政権の後ろ盾として、そして今回の合意のそもそもの発案者として、その実現に責任ある行動を取ることだ。
 合意を裏打ちする強力な国連安保理決議の採択を主導するなど、合意がシリアをかばう弥縫(びほう)策でなかったことを見せてほしい。
 もしも、合意通りに1000トン以上とみられる化学兵器を10カ月足らずで廃棄できれば、軍備管理史上、画期的な成果となる。
 実際、1997年発効の化学兵器禁止条約は保有国に原則10年以内の廃棄を求めているのに、大量に持っていた米露両加盟国はなお作業を終えていない。
 だが、シリアでは悠長であってはならない。全廃機運があるうちに決するスピードが勝負だ。
 近く調査のため専門家が現地に派遣される。シリアによる早々の条約加盟も前向きな一歩だ。
 ただし、化学兵器が隠匿されたり査察が妨げられたりすることも想定しておくべきだ。内戦下の査察や廃棄は危険を伴う。護衛の外国部隊が必要となった場合には、政権側の抵抗もあり得る。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130917/erp13091703170002-n2.htmより、
2013.9.17 03:16 (2/2ページ)
 アサド政権に有無を言わせないためにも、強い安保理決議が必要だ。速やかに全会一致かそれに近い形で採択し、国際社会の総意として突きつけるべきだ。
 米露は決議に、平和を脅かす行為への措置を定めた「国連憲章7章に基づく」との文言を含めることで合意した。ロシアは「軍事行動に関するものではない」と言うが、含みを持たせたものだとの認識を米国と共有すべきだ。
 オバマ米大統領は「外交努力が失敗すれば、行動の用意がある」との声明を出した。当然である。米国は、合意不履行などに備え武力行使の構えを崩してはならないと重ねて強調しておきたい。
 米露両外相は、シリアに関する国際会議の準備のため、今月末に再び会談することを決めた。
 化学兵器廃棄が実現したとしても、惨劇は終わらない。近隣諸国も巻き込んだ宗派戦争の様相を強めるシリア内戦は、交渉で停戦させるほかない。廃棄への取り組みが、和平達成への糸口となるよう米露は努力してもらいたい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59774450W3A910C1PE8000/より、
日経新聞 社説 米ロ合意をシリアの内戦終結につなげよ
2013/9/16付

 米国のケリー国務長官と、ロシアのラブロフ外相が、シリアが保有する化学兵器を廃棄する枠組みで合意した。化学兵器を国際管理下に置き、2014年前半までにすべて廃棄する。
 米国による軍事介入はひとまず回避された。米ロが土壇場で歩み寄り、外交による打開策を見いだしたことは評価したい。国際社会が結束し、アサド政権に合意を確実に履行させることが重要だ。
 アサド政権は1000トン以上の化学兵器を、分散させて持っているとされる。廃棄は政権が正しく情報を申告し、査察に協力することが前提となる。そのためには、合意の履行を義務付ける国連安全保障理事会の決議が欠かせない。
 加えて、内戦下での作業は困難が伴う。関連施設は必ずしも安全な場所にあるとは限らない。査察要員をどう守るのか。化学兵器を安全な場所までどう運び出し、破壊するのか。検討しなければならないことは多い。
 今回の合意がアサド政権の延命を助ける結果になってはいけない。シリアの内戦では10万人以上が死亡し、200万人以上が国を逃れた。軍事介入が回避されたとしても、内戦が続く状況は変わらない。弾圧を続けるアサド政権が責任を免れるわけではない。
 急がなければならないのは、惨状に終止符を打つことである。シリア情勢がここまで混迷したのは、国際社会の足並みがそろわず、有効な手を打ててこなかったためだ。米ロは今回の歩み寄りを、内戦の終結へとつなげてほしい。
 米ロ合意は「世界の警察」を任じてきた米国の影響力の低下を、際立たせる結果にもなった。
 オバマ大統領がいったん軍事介入を決断したのは、アサド政権が化学兵器を使ったことが理由だったはずだ。ところが、いつの間にか争点は化学兵器廃棄にすり替わり、米ロ合意でも使用問題は事実上、不問に付されてる。
 新たな戦争が避けられたのは喜ばしい。ただ、優柔不断なオバマ政権の態度は、長い目で見れば世界の安定を脅かす危うさもはらんでいる。
 世界の安全保障は米国の影響力に頼るところが少なくない。アジア太平洋でも北朝鮮は核とミサイルの開発をやめず、中国は軍拡を加速している。シリア危機をめぐるオバマ政権の迷走によって、アジアなどでも混乱が増すことはあってはならない。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 9月 12 日(木)付
シリア問題―全面停戦への道を探れ

 化学兵器疑惑の渦中にある中東のシリアをめぐり、国際的な取り組みが加速している。
 アサド政権が保有している化学兵器を、国際管理のもとに置く。こうした新構想をロシアが示し、シリアは受け入れた。
 これで米国による空爆は、当面先送りされる。大国の性急な軍事行動の余波を心配していた国際社会にとっては、かすかな希望の光が差したといえる。
 だが、アサド政権の出方と、米ロなどの動き次第で、シリア情勢の火だねはいつでも再燃しかねない。
 そもそもシリアの化学兵器を本当に管理下に置けるのか。これまで保有を公式に認めてもいないアサド政権が正直に申告するのか。疑念は尽きない。
 国連安全保障理事会では新たな駆け引きが始まった。シリアが従わない場合の制裁を明示した決議を米国やフランスはめざし、ロシアが抵抗している。
 この2年半、シリア問題に行動を起こせずにきた安保理が初めて機能不全から脱することができるのか。外交的解決を図る最初の関門はそこにある。
 米欧は、人道介入の必要性を訴えて安保理の結束を求めてきた。一方のロシアと中国は、国家主権の尊重を唱え、内政干渉を嫌う主張を続けてきた。
 21世紀の世界の危機管理をめぐる根源的な確執であり、シリア問題の行く末は国連外交の重要な先例となろう。
 いま再び集中論議の舞台となる安保理は今度こそ、足並みをそろえて危機に立ち向かう有効策を編み出さねばならない。
 米国務長官とロシア外相がきょう、ジュネーブで会うほか、米英仏も協議を急ぐ。
 オバマ米大統領はこうした外交調整のかたわら、空爆に踏み切る態勢はゆるめず、圧力をかけ続ける構えを示している。緊迫の度合いは変わっていない。
 当事者のアサド政権は、有言実行するほかない。化学兵器の保管場所を完全公開し、国際監視のもとで放棄すべきだ。時間稼ぎや妨害は許されない。
 忘れてはならないのは、化学兵器がどう使われたかという問題以前に、果てしない内戦で、すでに10万人が殺され、200万人が家を追われ、今も戦火が続いていることである。
 「今世紀の最大の惨劇」(国連難民高等弁務官)といわれながら、シリアの難民たちは「世界は私たちを見捨てた」と訴え続けてきたのだ。
 いまやっと盛り上がった機運を逃すことなく、国際社会は全面的な停戦実現への道こそを模索すべきだろう。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130912/mds13091203240001-n1.htmより、
産経新聞【主張】シリアの化学兵器 武力行使圧力を緩めるな
2013.9.12 03:24

 シリアのアサド政権が化学兵器攻撃を行ったとされる問題への対応は、同国化学兵器を国際管理下に置いて解体するとのロシア提案を軸に当面、動くことになった。
 国際社会は、管理、解体に加えて化学兵器禁止条約加盟をも受け入れるとしたアサド政権の表明を、単なる口約束や、米国などによる懲罰攻撃を回避する時間稼ぎにさせてはならない。
 政権が一連の条件を受諾し化学兵器の保管場所を正直に申告することや、それを査察し破壊する専門家チームを派遣することなどをうたう国連安保理決議を、速やかに採択しなければならない。
 米国などは、ロシアやアサド政権に姿勢転換を促した懲罰攻撃への態勢を維持し、軍事圧力を継続することで、政権側を化学兵器放棄へ追い込んでいくべきだ。
 オバマ米大統領は10日の国民向け演説で、「武力を行使することなく、化学兵器の脅威を除去し得る潜在的可能性がある」と、ロシア提案に一定の評価を与え、それに沿って外交交渉を進めるべく、議会に武力行使容認決議案の採決も延期するよう要請した。
 この構想でシリアから化学兵器が一掃されれば、内戦の混乱下で化学兵器が反政府勢力の一角を占める国際テロ組織、アルカーイダ系の組織の手に落ちてしまったらという悪夢は避けられる。
 そして、化学兵器を含む大量破壊兵器は絶対に使ってはならないとの国際規範が何とか守られる長期的な意義は大きい。
 だが、構想の具体化は困難で長い過程となる。シリアは大量の化学兵器を数十カ所に分散配置し、しかも移動させているという。政権側の申告に従って、それらの所在を確認し、危険な兵器を焼却などして破壊する必要がある。
 そんな膨大な作業は内戦下では容易ではなかろう。政権側や反政府側の妨害も懸念される。
 こうした障害を取り除くためにも、安保理決議は専門家チームに強い権限を与え、国際社会の支援態勢を整える必要がある。
 そのプロセスへの国際社会の関与を停戦交渉へつなげてほしい。アサド政権の後ろ盾のロシアに求められるのは説得役である。
 安倍晋三首相は、ロシア提案を前向きと評価し支持を示した。化学兵器放棄や、内戦終結への外交努力なら、日本にできることもそれなりにあるはずだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59602320S3A910C1EA1000/より、
日経新聞 社説 シリアの危機打開へこの機を逃すな
2013/9/12付

 米国によるシリアへの軍事介入が回避される可能性が出てきた。オバマ米大統領は国民向けの演説で、シリアの化学兵器を国際監視下に置いて廃棄するというロシアの提案を評価し、外交努力を優先する方針を表明した。
 米ロの歩み寄りを歓迎したい。国際社会はこの機を逃さず、提案を実行に移さなければならない。
 米国はシリアのアサド政権が化学兵器を使ったと断定し、軍事介入の準備を進めてきた。これに対し、ロシアは国連安全保障理事会の決議なしでの攻撃に反対し、国際社会の亀裂は深まっていた。
 軍事介入を主導してきたオバマ大統領の方針転換は指導力を問われる事態になりかねない。しかし、米国内でも介入への反対論は根強い。米議会での武力行使の承認手続きも行方が見通せない。
 攻撃にシリアが反撃すれば、混乱が周辺地域に拡大する懸念もある。オバマ大統領がロシアの提案を、「武力を使わずに化学兵器の脅威をなくす可能性を秘める」と評価したのは妥当だ。
 問題は実効性だ。シリアのムアレム外相は提案受け入れを表明し、「化学兵器を全廃する」と述べた。化学兵器の保有を認めてこなかったシリアが一転、国際管理の受け入れを認めたのは前進だ。
 ただし、攻撃を回避するための方便に使わせてはならない。国際社会が迅速に動く必要がある。誰がどのように管理や廃棄にあたるのか、国際的な枠組みを早急に整えなければならない。
 化学兵器の保有量や製造・保管施設を正しく公表し、確実に引き渡すよう国連安保理決議で定めることが大切だ。化学兵器禁止条約への加盟も求める必要がある。
 シリア情勢をめぐる安保理決議はアサド政権寄りのロシアや中国が拒否権を行使し、一度も採択されていない。ようやく見えてきた危機打開のチャンスである。常任理事国には駆け引きを繰り返す余裕はない。
 アサド政権による化学兵器の使用を封じることは重要だ。今回の軍事介入の動きは、化学兵器でシリアの多数の市民が死亡したとされる事件がきっかけだ。経緯を調べ、責任を問うことも忘れてはならない。
 シリアの内戦では10万人が死亡し、200万人が難民となった。軍事介入が回避できても、内戦が続く状況は変わらない。その終結こそが国際社会の役目である。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130912k0000m070129000c.htmlより、
社説:シリア情勢 米露協調で打開めざせ
毎日新聞 2013年(最終更新 09月12日 02時32分)

 軍事行動の足音は当面遠のいたようだ。ロシアがシリア・アサド政権の化学兵器を国際管理下で廃棄することを提案し、米国が原則的に受け入れたためだ。オバマ大統領は10日(日本時間11日)の演説で、シリア攻撃の是非を審議している米議会に対し外交交渉中は採決しないよう求めたことを明らかにした。
 とりあえずは朗報である。オバマ大統領によると、アサド政権は化学兵器の保有を公式に認め、今まで参加していなかった化学兵器禁止条約に署名するという。アサド政権は首都ダマスカス近郊で先月21日に使われたという化学兵器への関与は否定しつつ、友好国ロシアの顔を立てて一定の柔軟姿勢を示したのだろう。
 米露の協力を歓迎したい。ロシアと中国はこれまで、シリアに関する国連安保理決議案に拒否権を行使し続けた。プーチン露大統領は米国が国連決議なしに攻撃すれば「シリアを支援する」と明言した。このため米露の軍事衝突さえ懸念されていたが、一転して米露は共同作業の局面に入ったわけだ。
 旧ソ連の衛星国家ともいわれたシリアは歴史的にロシアとの関係が深い。ロシアはシリアへの大口武器供給国であり、地中海に面した同国の港を軍港に使っている。本来ならロシアこそシリア情勢の改善に努めるべきなのに、米国の武力行使の瀬戸際に来てやっと重い腰を上げた印象がある。米露は化学兵器の問題を突破口として協調の分野を広げ、シリアの惨状を改善してほしい。
 同国の人道危機は想像を絶するほど深刻に広がっている。人口2000万人強の国で内戦の死者が11万人に達し、人口の1割に当たる200万人が難民と化している現状は放置できない。人道危機の解決こそ最大の課題だ。アサド政権と反体制派が参加する国際会議構想は宙に浮いたままだが、米露は構想実現に今一度努力してもよかろう。
 対処すべき問題は多い。化学兵器をめぐる安保理決議についてロシアと米英仏の意見対立もあるし、12日の米露外相会談の行方も予断を許さない。どう内戦を終わらせるかという青写真も描けていない。
 オバマ外交の試金石だろう。米国の世論調査ではシリア攻撃への反対が賛成を上回る。上下両院とも軍事行動の承認は容易ではない。見方によっては、「伝家の宝刀」(武力行使)に手をかけたまま動けないオバマ大統領にロシアが「助け舟」を出したともいえる。この機会を生かしオバマ政権は当面、外交解決に全力を挙げるべきだ。
 無論、米露だけの問題ではない。どうすればシリア危機を解決できるのか。もう一度、国際社会が懸命に知恵を絞る時でもあるはずだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130912ddm003030110000c.htmlより、
クローズアップ2013:米、対シリア迷走極め 攻撃回避に方針転換
毎日新聞 2013年09月12日 東京朝刊

 オバマ米大統領は10日、化学兵器使用を理由にシリアのアサド政権を軍事攻撃する方針を一転させ、国連を通じた事態打開を目指す意向を打ち出した。米世論・議会で攻撃反対が強まる中、外交決着に望みをつないだが、その迷走ぶりは、10万人超が死亡したシリア内戦に対する総合的戦略の欠如を際立たせた。一方、アサド政権はロシアの支援で「化学兵器全廃」を約束し当面の攻撃を回避、国際社会も歓迎するが、廃棄の実効性には疑問も根強く「時間稼ぎに過ぎない」との指摘も出ている。

 ◇「外交解決」も不透明
 「軍事圧力は維持するが、外交解決が圧倒的に望ましい」。オバマ大統領は10日のテレビ演説で、シリア問題への対処における「外交優先」への転換を明言。ロシアが9日に提案した国際管理下でのアサド政権の化学兵器廃棄案を受け、その実現に必要な国連安全保障理事会の決議採択を目指すと表明した。
 オバマ大統領によると、アサド政権の化学兵器を国際管理下に置く構想は、6日にロシアのプーチン大統領との会談で検討した。ケリー国務長官は10日、米露首脳会談を受けロシアのラブロフ外相と協議を深めたと証言。オバマ政権が当面の攻撃回避に向け水面下の外交も進めてきた実態が浮き彫りになった。
 オバマ政権による今回の攻撃計画は、8月21日にシリアの首都ダマスカス郊外で発生した化学兵器によると見られる攻撃を受け浮上。「数百人の子どもを含む1000人以上」(オバマ大統領)が死亡した悲惨な事件だが、米国の対応は当初からぶれ続けた。
 発生直後はオバマ大統領も攻撃には慎重姿勢で23日には「国連の付託なしに攻撃すれば国際法の支持を得られるのかという疑問が生まれる」と発言した。
 だが最大の同盟国・英国やフランスが「アサド政権の犯行」と断定、米国も追従し、8月下旬には急速にシリア攻撃論が強まった。
 しかし、8月29日、大誤算が生じる。英下院が攻撃参加を拒否したのだ。オバマ政権は英国の軍事支援を失った。米国内でも「化学兵器使用が防げるのか」「反体制派内のイスラム過激派勢力を利する」といった攻撃懐疑論、反対論が噴出。このためオバマ大統領は8月31日、攻撃の議会承認を求める異例の方針を表明した。
 しかし、逆風はやまなかった。各種世論調査では米国民の過半数が攻撃反対。上院外交委員会は4日に攻撃承認決議案を採択したが、来年に全議員が選挙を控え世論動向により敏感な下院では6日段階で「通過は困難」(米メディア)だった。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130912ddm003030110000c2.htmlより、
 今後、オバマ政権は安保理を通じてシリアの化学兵器の完全廃棄を目指す。1990年代にイラク・フセイン政権(当時)が大量破壊兵器の査察を妨害した経験から「迅速で検証可能な措置」(ケリー長官)を取るため、査察義務不履行時などの武力行使を容認する安保理決議の獲得を模索する。だが、アサド政権の化学兵器使用すら認めないロシアの反発は必至。オバマ大統領が「まひ状態」と再三切り捨てた安保理で事態打開の保証はない。
 オバマ政権の内幕に詳しい米紙ワシントン・ポストのボブ・ウッドワード記者は「大統領はシリアに関して何の計画もない」と酷評。同紙は10日(電子版)の社説で「オバマ氏はシリアと中東地域に関する一貫した政策を明示する必要がある」と訴えた。【ワシントン白戸圭一】

 ◇化学兵器の廃棄、道険しく
 「一極集中主義に対するロシアや中国の勝利が、より公正で繁栄した世界につながる」。国営シリア・アラブ通信によると、シリアのハルキ首相は10日の閣議で米国主導の国際社会に疑問を呈し、露中の役割に期待感を表明。シリアの化学兵器を国際管理し全廃するロシア案にも「戦争の脅威を除くために協力する」と強調した。ロシアとの共闘で、間近に迫っていたと見られた米国などの攻撃を当面回避できたことへの「感謝」の表明ともとれる発言だ。
 アサド政権は旧ソ連時代から武器の輸入などでロシアと関係を築いてきた。2011年3月に民主化要求運動を武力弾圧し、紛争が内戦化して国際社会の批判の矢面に立ってからも、外交、軍事、経済面などで支援を受ける頼れる後ろ盾だ。国連安保理ではシリアに関する決議案が、常任理事国である露中の拒否権行使によって3度否決されている。
 アサド政権は10日に化学兵器全廃案を急きょ受け入れたが、その背景には、ロシアの後押しとともに、戦局が米国などの攻撃で一変し、反体制派の攻勢で政権中枢が脅かされるとの切迫感があったと見られる。
 元エジプト陸将で共和国政治安全保障研究所のサメフ・エルヤザル所長は「周辺海域に展開する米海軍の規模から攻撃が大規模化するのを予想し、政権存続のために妥協を急いだ」と指摘する。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130912ddm003030110000c3.htmlより、
 ただシリア全土では200万人以上の難民、400万人超の避難民を生んだ激しい戦闘が続いており、化学兵器を廃棄する手続きは難航が予想される。仏情報機関やNGO「核脅威イニシアチブ」の推定によると、アサド政権が保有するサリンやVXガスなど化学兵器の保有量は1000トンを超える。生産や保管などの関連施設は少なくとも10カ所あるとされるが、不透明な部分も多い。核兵器とは違って製造も比較的容易で、仮に廃棄しても将来的に再び製造を始める可能性もある。
 反体制派主要組織「シリア国民連合」幹部のアフマド・ラマダン氏は「化学兵器の一部は引き渡すかもしれないが、隠蔽(いんぺい)や時間稼ぎをする恐れがある」と指摘している。【カイロ秋山信一】

http://mainichi.jp/opinion/news/20130912k0000m070134000c.htmlより、
記者の目:田中正造没後100年=足立旬子(科学環境部)
毎日新聞 2013年09月12日 00時20分

 「公害の原点」と呼ばれる栃木県・足尾銅山の鉱毒事件で、被害者救済に半生をささげた政治家、田中正造(1841〜1913年)が亡くなって今年でちょうど100年。
 「真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」
 「デンキ開けて世間暗夜(あんや)となれり」
 経済成長優先の近代文明を鋭く批判した言葉は、100年たっても色あせない。それどころか、東京電力福島第1原発事故後、正造の生き方や思想が再評価されている。
 足尾銅山では、明治政府の富国強兵政策の下、外貨獲得の柱として銅の大増産が古河財閥によって進められた。山の木々は燃料用に伐採されたうえ、製錬時に出る有毒ガスのため枯れて、大雨のたび、鉱毒を含んだ土砂が下流の渡良瀬川沿岸に流れ出た。稲は立ち枯れ、魚は死滅、人々は健康被害に苦しんだ。沿岸住民は「押し出し」と呼ばれる請願運動を繰り返し、国会議員の正造は、国会で国に銅山の操業停止や対策を迫った。しかし、日露戦争に突き進む国は銅生産を優先したため、天皇に直訴を試みた。
 盛り上がる世論を鎮めるため、国は鉱毒を沈殿させる名目で最下流域の旧谷中村(栃木県)に遊水地建設を計画した。正造は谷中村に移り住み、最期まで住民とともに反対運動を展開したが、村は強制的に破壊され、遠くは北海道へ移住を余儀なくされた。
 鉱毒の被害地では、田畑の土の上と下を入れ替える「天地返し」や、汚染された表土を削り取って積み上げる「毒塚」が作られた。命を育む大地が汚染され、何の罪もない人々が故郷を追われた。弱い立場の人たちにしわ寄せがくる構図は原発事故も同じだ。

 ◇「自然を征服」は人間のおごり
 正造が批判したのは、何でもカネに換算する価値観だ。科学技術の力で自然を征服できると考えるのは人間のおごりだと主張した。また「少しでも人の命に害があるものを、少しぐらいは良いと言うなよ」と、人命の尊重が何にも勝ると訴えた。軍備を全廃し、浮いた費用で世界中に若者を派遣し、外交による平和を構築することも唱えた。正造の思想に詳しい小松裕熊本大教授(日本近代史)は「ガンジーよりも早く、非暴力、不服従を実践した」と評価する。
 だが、軍国主義の時代に戦争に反対し、経済成長ではなく、人命を優先せよとの正造の訴えを支持する人は一部だった。運動の資金調達に奔走している最中、渡良瀬川沿岸で倒れ、支援者の家で亡くなった。終焉(しゅうえん)の地の8畳間を代々保存する庭田隆次さん(79)は「今はたくさんの人が見学に来るが、見向きもされない時代も長かった」と話す。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130912k0000m070134000c2.htmlより、
 正造の警句は生かされず、約50年後、今度は水俣病が発生した。化学工場のチッソ水俣工場(熊本県水俣市)で、廃液に含まれていた水銀が不知火海を汚染し、汚染された魚を多く食べた人たちが中枢神経を侵された。しかしチッソも国も生産を優先して対策を怠り、被害が拡大した。
 2020年五輪は東京で開催されることが決まった。だが、福島第1原発の汚染水漏れについて「状況はコントロールされている」と説明した安倍晋三首相に、福島の漁業者や避難生活を送る人々から厳しい目が向けられていることも忘れてはならない。

 ◇国民にも向かう厳しいまなざし
 私財を運動に投じた正造の全財産は、信玄袋に入った大日本帝国憲法と聖書、日記帳、石ころなどわずかだった。死の間際に「見舞客が大勢来ているようだが、うれしくも何ともない。正造に同情してくれるか知らないが、正造の事業に同情して来ている者は一人もない」と言い残したという。また「俺の書いたものを見るな。俺がやってきた行為を見よ」とも言っていた。
 正造と鉱毒事件を研究する「渡良瀬川研究会」の赤上剛副代表(72)は「正造の事業とは鉱毒事件解決だけではない。憲法に基づき、国家が国民の生命と生活をきちんと守るよう、政治も含め社会の仕組みを変えようとした」と話す。
 厳しいまなざしは、国民にも向けられた。採石のため山容が変わるほど削られた霊山「岩船山」(栃木県)を引き合いに「今の政治に今の国民を見る」と嘆いた。
 今月4日の正造の命日に、出身地の栃木県佐野市で法要が営まれた。始まってすぐに雨が激しくなり、雷が何度も鳴り響いた。100年たって日本は経済大国になったが、山や川が荒らされ、人の命が軽んじられている。政治家は、国民は、何をやっているのかと、正造が咤(しった)しているように感じた。一人一人が何ができるかを考え、行動を起こせ−−。雷鳴が胸に刺さった。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013090202000123.htmlより、
東京新聞【社説】田中正造、百年の問い 足尾鉱毒と福島原発
2013年9月2日

 田中正造。足尾鉱毒と生涯をかけて闘った。四日はその没後百年。正造翁が挑んだものは、水俣病や福島原発の姿を借りて、今もそこにあるようです。
 渡良瀬遊水地の三つの調整池のうちただ一つ、普段から水をたたえた谷中湖は、巨大なハートのかたち=写真、堀内洋助撮影=をしています。
 そのちょうど、くびれの部分が、旧栃木県谷中村の名残です。前世紀の初め、遊水地を造るために廃村にされながら、そのあたりは水没を免れました。
 ヨシ原と夏草に埋もれたような遺跡の奥に分け入ると、延命院というお寺の跡に、古びた赤い郵便受けが立っていて、その中に一冊のノートが置かれています。

◆「連絡ノート」は記す
 谷中村の遺跡を守る会の「連絡ノート」。ご自由にあなたの思いを書き込んでくださいと一九九四年に置かれて以来、十七冊目になりました。前夜の雨に湿ったノートをめくってみます。
 <5月19日。福島の原発や避難区域に指定されている集落が第二の谷中村にならないことを、ただただ願うばかりです>。東京都品川区の人。
 <6月30日。日本近代の公害の原点、谷中の歴史を学び、水俣と谷中を結び、真の文明を未来へつないでいくことを約束します。水俣病事件の受難者に寄り添いながら>。熊本県水俣市の人。
 どちらも丁寧な筆跡でした。
 原点の公害。それが足尾鉱毒事件です。
 現在の栃木県日光市にあった足尾銅山は明治期、東アジア一の産出量を誇っていた。当時の銅は主要輸出品。増産は国策だった。
 ところが、精錬時の排煙、精製時の鉱毒ガスが渡良瀬川上流に酸性雨を降らし、煙害が山を荒らした。そのため下流で洪水が頻発し、排水に含まれる酸性物質や重金属類などの鉱毒があふれ出て、汚染水が田畑を荒らし、人々の暮らしと命を蝕(むしば)んだ。
 栃木県選出の衆議院議員として、それに立ち向かったのが、田中正造でした。
 正造は明治憲法に保障された人権を愚直なまでに信奉し、十一年に及ぶ議員活動の大半を鉱毒問題に費やした。
 議員を辞職したあとも、困窮する住民の救済を訴え、一命を賭して明治天皇に直訴した。活動に私財を投じ、死後残した財産は、河原の石ころと聖書、憲法の小冊子。清貧の義民は、小学校の教科書にも紹介されて名高い。

◆重なるふるさと喪失
 時の政府はどうでしょう。
 煙や排水を止めさせて、根本解決を図ろうとはせずに、夏になると田んぼを真っ白に覆ったという鉱毒を巨大な溜池(ためいけ)を造ってその底に沈殿させ、封じ込めようと考えました。それが谷中湖です。
 足尾閉山から今年でちょうど四十年。湖底に積もった毒が、取り除かれたわけではありません。東日本大震災の影響で、渡良瀬川下流から基準値を超える鉛が検出されたのも、偶然とは思えません。
 国策の犠牲、大企業や政府の不作為、ふるさとの喪失、そして汚染水…。渡良瀬、水俣、そして福島の風景は重なり合って、この国の実像を今に突きつけます。
 田中正造よ、よみがえれ、そう念じたくもなるでしょう。でも、私たちが求めるものは、それだけですか。
 去年正造の伝記小説「岸辺に生(お)う」を上梓(じょうし)した栃木県在住の作家水樹涼子さんは「万物の命を何よりも大切に思う人でした」と、その魅力を語ります。同感です。
 晩年の日記に残る鮮烈な一節。「真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」
 それだけではありません。「少しだも/人のいのちに害ありて/すこしぐらいハ/よいと云(い)ふなよ」という狂歌などにもそれは明らかです。

◆私たち自身で出す答え
 お金より命が大事、戦いより平和が大事…。原点の公害を振り返り、今学び直すべきことは、何よりも命を大切にしたいと願う、人間の原点なのではないか。
 「みんな正造の病気に同情するだけで、正造の問題に同情しているのではない。おれは、うれしくも何ともない」
 長年封印されてきたという正造最期の言葉です。
 意外でも何でもありません。そもそも誰の問題か。百年の問いに答えを出すべきは、私たち自身なのだということです。