原発事故不起訴 「誠実な捜査尽くしたか」

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130913/k10014528681000.htmlより、
原発事故の責任 不起訴理由を説明
9月13日 20時54分

福島第一原子力発電所の事故を巡って告訴・告発されていた東京電力の旧経営陣などが不起訴となったことを受け、福島県の住民などで作る告訴団が13日、東京地方検察庁を訪れ、担当の検察官から不起訴の理由について説明を受けました。
福島第一原発の事故を巡って告訴・告発されていた東京電力の旧経営陣などについて、東京地検は今月9日、「今回の規模の地震や津波を予測するのは困難だった」と結論づけ、全員を不起訴にしました。
これを受け、福島県の住民や弁護士らで作る告訴団の代表が13日午後、東京地検を訪れ、担当の検察官から1時間半にわたって不起訴とした理由などについて説明を受けました。
このあと、説明内容を報告する集会が開かれ、告訴団の弁護士らは「東京電力が対策を先送りした論理を検察もそのまま採用していた。初めから不起訴ありきで、起訴しない理由を探すための捜査だったことを確信した」と述べて、検察の判断を批判しました。
告訴団は、今月末に福島県でも集会を開いたうえで、来月にも検察審査会への申し立てを行うことにしています。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130913k0000m070104000c.htmlより、
社説:原発事故不起訴 責任免れたわけでない
毎日新聞 2013年09月13日 02時31分

 東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷容疑などで告訴・告発されていた政府関係者や東電幹部ら42人について、東京地検が不起訴処分とした。
 菅直人元首相、勝俣恒久東電前会長、班目春樹元原子力安全委員長らが含まれる。
 告訴・告発人らは処分を不服として、検察審査会に審査を申し立てる方針だ。強制起訴すべきか否か、市民が改めて判断する。刑事責任を免れると決まったわけではない。
 また、現在進行形の事故について継続した新たな検証作業が必要だ。その意味で、告訴・告発された当事者は、刑事責任とは別に今後も事故と向き合っていく責任がある。真相の解明や再発防止のため、積極的に作業に協力していくべきだ。多大な被害に遭った福島県民をはじめとする国民への説明責任も残る。そう肝に銘じてもらいたい。
 業務上過失致死傷容疑で刑事責任を問う場合、▽事故の予見可能性はあったのか▽予見できたとすれば避ける手立てを尽くしたのか−−などが起訴できるか否かのポイントだ。
 地検は、電源を全て失い、原子炉を冷却できなくなるような規模の津波を具体的に予測するのは困難だったと結論づけた。
 事故をめぐり、国会の事故調査委員会は昨年7月、根源的な原因は「『自然災害』ではなく明らかに『人災』である」と断定した報告書を公表した。地震や津波対策を立てる機会が過去に何度もあったのに、政府の規制当局と東電が先送りしてきたことを強く批判もした。
 こうした観点から見れば、全員を不起訴とした結論が妥当なのか疑問が出ても不思議ではない。また、全電源喪失は津波以外の原因でも起こり得るが、地検の捜査はもっぱら津波対策に焦点が当てられたようだ。
 大規模システムに絡む事故では、さまざまな判断に多数の人がかかわる。それだけに特定の人の刑事責任を問うには高いハードルがある。個人ではなく企業や法人・団体を罰することを含め、刑事責任のあり方についての議論も必要だ。
 検察審査会に申し立てられた場合、検察審査員は、検察官に対し必要な資料の提出や会議での意見陳述を求めることができる。市民の目線で審査を尽くしてほしい。
 一方、捜査と別に行うべき検証について、国会事故調は、国会に第三者機関を設置し検証作業を続けるよう提言した。未解明部分の事故原因の究明、事故の収束に向けたプロセス、被害の拡大防止などのテーマについて、民間中心の専門家で調査を進めるべきだとしている。政府・国会はしっかり対応するのが筋だ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013091102000163.htmlより、
東京新聞【社説】原発事故不起訴 誠実な捜査尽くしたか
2013年9月11日

  福島第一原発の事故で、検察当局は東京電力幹部らを全員、不起訴とした。巨大地震は想定外と判断した結果だろう。だが、本当に人災の側面はなかったか。誠実な捜査が尽くされたか問われよう。
 子どもからお年寄りまで、約一万四千人もの原発事故の被災者らが、告訴・告発した前代未聞の事案である。相手は当時の東電幹部や原子力安全委員会、政府関係者ら計四十二人である。
 住民の避難を遅らせ、多数の住民を被ばくさせたり、病院から避難した入院患者らを死亡させた。だから、業務上過失致死傷罪などの罪に当たると訴えていた。
 だが、検察当局は東日本大震災に伴う原発事故は、当時の知見では予見することができず、同時に個人の刑事責任を問うことはできないとの結論に至った。東電関係者ばかりでなく、地震や津波の専門家などからも聞き取りを積み重ねた判断だった。
 確かに刑事立件には高いハードルがあると、当初から言われていた。(1)事故を予見できたか(2)原発事故による被害といえるか(3)責任を特定の個人に負わせられるか-。それらを立証する必要があるからだ。今回の不起訴判断を踏まえたうえで、指摘したいのは、検察当局が誠実で精緻な捜査を尽くしたかどうかだ。
 国会事故調査委員会は「事故は人災だ」と明言した。二〇〇八年に東電自身が津波の高さを最大で一五・七メートルと試算していたのがポイントだ。にもかかわらず、福島第一原発の想定津波の高さは、わずか六メートルにすぎない。
 大震災前に予測されていた地震はマグニチュード(M)8・3規模で、そのレベルでも一〇メートルを超える津波が来ることは、容易に想定できたのではないか。しかし、東電は何の対策もとらなかった。これを見逃していいのか。
 結果的に原発をのみこんだ津波は一五・五メートルで、建屋は水につかり、全電源が失われた。電源喪失の対策も、いくつも手があったはずだ。外部電源の耐震性を強化したり、非常用ディーゼル発電機とバッテリーを分散して、高い場所に設置するなどの防護措置だ。これも東電は放置していた。
 検察当局の「予見可能性がない」とする立場には疑問が残る。そもそも、検察は東電を強制捜査していない。すべての証拠を収集し、関係資料を押収すべきでなかったか。「天災」の予断を持っていたなら、被災者の怒りを買う。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130910/k10014415351000.htmlより、
原発事故不起訴「捜査尽くした」
9月10日 4時6分

福島第一原子力発電所の事故を巡り、告訴・告発されていた東京電力の旧経営陣などについて検察は9日、全員を不起訴にしました。
検察は「捜査を尽くした」と強調していますが、告訴団は捜査が不十分だと批判していて、検察審査会に申し立てる方針です。
福島第一原発の事故を巡り、福島県の住民などが告訴・告発していた東京電力の旧経営陣など42人について東京地方検察庁は9日、全員を不起訴にし、その理由を説明する記者会見を2時間余りにわたって行いました。
この中で堺徹次席検事は「今回の規模の地震や津波を予測するのは困難で刑事責任は問えない」と結論づけたことについて「無罪判決を覚悟してでも起訴すべきだという考えもあるかもしれないが、幅広く専門家の意見を聞いて必要な捜査を遂げたうえでの判断だ」と述べ捜査を尽くしたと強調しました。
これについて国会の事故調査委員会の委員を務めた野村修也弁護士はNHKの取材に対し「告訴した側はより踏み込んでほしかったと思うだろうが、刑事罰を科すかどうかの判断なので厳格になされなければならない」と理解を示しています。
一方、告訴団は「東京電力側の言い分をうのみにした捜査で不十分だ」と批判して検察審査会に申し立てる方針で、地震や津波を予測できなかったとする検察の結論が妥当かどうか今後、検察審査会で審査されることになります。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130909/k10014394291000.htmlより、
原発事故の責任問わず 菅元首相ら全員不起訴
9月9日 13時53分

東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡って告訴・告発されていた東京電力の旧経営陣や菅元総理大臣など40人余りについて、検察は刑事責任を問うことはできないと判断し、全員を不起訴にしました。
不起訴となったのは、法人としての東京電力と勝俣前会長や清水元社長ら旧経営陣、当時の原子力安全委員会の班目元委員長ら原発の規制当局幹部、それに政府の責任者だった菅元総理大臣など40人余りです。
検察は福島第一原発事故について、福島県の住民グループなどの告訴・告発を受け、刑事責任を問えるかどうか1年にわたって捜査を続けてきました。
その結果、事前に十分な津波対策が施されていなかったことについて、「専門家の間でも今回の規模の地震や津波は全く想定されておらず、具体的に津波の発生を予測するのは困難だった。東京電力は平成20年に高さ15メートルを超える津波の試算もしていたが、巨大津波の発生は1万年から10万年に1回程度と考えていて、直ちに津波の対策工事を実施しなかったことが社会的に許されない対応とまでは言えない」と結論づけました。
一方、菅元総理大臣は告発の中で、震災翌日に行った現地視察が事故の拡大を防ぐための作業を遅れさせたと指摘されましたが、検察は「作業の遅れは準備に時間がかかったためで、視察は何ら影響を与えなかった」と判断しました。
不起訴処分に対し告訴・告発したグループは納得できないとして、検察審査会に申し立てる方針で今後、刑事責任を問うかどうかの判断は検察審査会を構成する市民に委ねられることになります。

菅元首相「当然の結果」
民主党の菅元総理大臣は談話を発表し、「総理大臣として事故の拡大を防止し、住民の被害を軽減するため、陣頭指揮に当たった。不起訴処分はこの事実を踏まえて下されたものであり、当然の結果だと受けとめている。これで原発の問題が終わったわけではなく、今後もこの問題に取り組んでいく」としています。そのうえで談話では、検察の事情聴取に応じなかったことについて、「行政府のすべての事務を所掌する総理大臣が告発された場合、その所掌事務に関して行政府の一員である検察官から取り調べを受けたり、事情を聴かれたりするのは相当でないと考えた」としています。
また、東京電力は「原発事故によって福島県民をはじめ多くの方々に大変なご迷惑とご心配をおかけしたことに改めて心からおわび申し上げます。今回の不起訴については検察当局のご判断であり、当社としてはコメントを控えさせていただきます」としています。

告訴・告発のグループ「名ばかり捜査だ」
検察の不起訴処分を受けて東京電力の旧経営陣を告訴・告発していた福島県の住民グループが会見を開き、代表を務める河合弘之弁護士は、「検察は強制捜査もせず、どうやって捜査を工夫し、地元の人たちの悲しみを救うのかという前向きな考えが全くなかった。任意で提出された資料や学者の意見だけで判断すれば不起訴になるのは当然で、名ばかり捜査としか言いようがない」と批判しました。
そのうえで、不起訴処分を不服として近く検察審査会に申し立てるとともに、福島県警に改めて刑事告発をする方針を明らかにし、「今も被ばくに苦しみ、怒りを体で感じている福島の市民や警察官に判断をしてもらいたい」と述べました。

検察のこれまでの捜査
東日本大震災から1年余りがたった去年6月、甚大な被害を招いた原発事故について、福島県の住民などが東京電力の旧経営陣らの刑事責任を問うよう求める告訴状や告発状を検察当局に提出しました。
この告訴団には、全国の1万4000人以上が加わりました。
さらに、別の団体からは、事故後の対応を巡って菅元総理大臣など政府責任者に対する告発も行われました。
これを受けて検察当局は、去年8月、捜査を開始。
しかし、検察にとって自然災害をきっかけに起きた深刻な原子力災害の捜査は初めてで難しいものとなりました。
事故原因の特定に欠かせない本格的な現場検証が高い放射線量に阻まれてできませんでした。
現地を指揮し、ことし7月、病気で亡くなった福島第一原発の吉田昌郎元所長からも体調不良のため話を聞けませんでした。
こうしたなか、検察は、東京電力の勝俣前会長や当時の原子力安全委員会の班目元委員長らの任意の事情聴取を重ね、捜査を進めていきました。
刑事責任を問うには、東日本大震災クラスの津波を現実的な危険として予測できていたことの証明が必要です。
このため、地震や津波の専門家からも幅広く意見を聞いて、当時の共通認識として、どれぐらいの規模の津波の対策が必要とされていたのか詰めていきました。
さらに、菅元総理大臣など当時の政府の責任者にも震災直後の対応について説明を求めました。
これに対し、菅元総理大臣から、先月、「対応に問題はなかった」とする意見書が提出され、検察は直接の事情聴取を見送りました。
告訴・告発されたうち、いくつかの容疑の時効が半年後に迫るなか、検察は、今後、検察審査会に申し立てられる可能性も考慮して、このタイミングで捜査を終結させ不起訴という結論を出しました。

検察の捜査のポイントと判断
検察の捜査のポイントと判断をまとめました。
東京電力の旧経営陣らに対する告訴・告発の中心となった業務上過失致死傷罪を適用するには、主に2つの要件を満たす必要がありました。
1点目は、東日本大震災クラスの地震や津波の発生を具体的に予測できていたか。
2点目に重大な被害を防ぐ対策を取ることが可能だったかです。
まず、巨大地震や津波による深刻な原発事故を事前に予測できたのかという点です。
これについては過去10年、巨大な地震や津波の可能性を指摘する研究結果もありました。
平成14年には、政府の地震調査研究推進本部が、福島県沖を含む日本海溝の近辺で30年以内にマグニチュード8クラスの地震が発生する可能性が20%程度あるという長期的な評価を発表しています。
また、東京電力は平成20年には、今回押し寄せた津波と同じ規模の最大で15.7メートルの津波が想定されるとみずから試算していました。これについて、東京電力は「仮に算出した数字で実際には起こらないと考えていた」などと釈明しています。
この点について検察は「これまでに巨大な地震や津波を予測したものは裏付けるデータが十分でないという指摘もあり、精度の高いものと認識されていたとはいえず、専門家の間で今回の規模の地震や津波が具体的に予測できたとまでは認められない」と判断しました。
次に被害を防ぐ具体的な対策を取ることができたのかという点です。
告発した住民たちは、巨額の費用がかかる防潮堤の建設が仮に難しかったとしても、非常用のディーゼル発電機を高い場所に移設するなどしておけば、すべての電源を失うことはなかったはずだと指摘しています。
この点についても、検察は「実際の津波は東京電力の試算とは異なる方向から押し寄せており、仮に試算に基づいて防潮堤を設置しても防ぐことができたとは認められない」と否定しました。
そのうえで、「東京電力は巨大地震の発生確率は1万年から10万年に1回程度と考えており、直ちに津波の対策工事を実施しなかったことが社会的に許されない対応とまではいえない」としています。
一方、菅元総理大臣など当時の政府の責任者は地震が起きてからの対応に過失があったかどうか問われました。
特に菅元総理大臣は告発の中で、震災翌日の早朝にみずから福島第一原発を視察したことが事故の拡大を防ぐための作業が遅れた一因となったと批判されていました。
菅元総理大臣は先月、検察に提出した意見書で、「自分はむしろ作業を積極的に進めさせた」などと説明し、刑事責任を否定していました。
これについて検察当局は「事故拡大を防ぐ応急措置の実施義務は東京電力が負っている。作業に遅れが出たのも作業員が被ばくしないようにするための準備に時間がかかったためで、菅元総理大臣の視察は作業に何ら影響を与えていない」と判断しました。

【柳田邦男さん「組織罰の議論を」】
政府の事故調査・検証委員会の委員を務めた作家の柳田邦男さんは「日本の法律で、特定の個人を起訴するには個人の責任と事故の因果関係を明確に認定しなければならないという厳しい条件があり、政府や行政、専門家、そして事業者である東京電力が絡んだ複雑な事故で特定の個人の責任という形で追及することは難しく、予想された結果と言える。検察の判断では、巨大津波が福島を襲うということが、当時の学会の通念に至っていなかったとしているが事故調査の立場からは、学会全体の見解でなくても先端的な研究をしている人が指摘していれば、十分な対策をすべきでなかったかということが言える。被害者の立場に立てば、多くの方が避難先などで亡くなり、今なお何万人もの人が帰れないという現実を前にして誰も責任を取らないのはなぜなのかという、非常に納得できない感情を持つと思う。今後は、欧米で導入されている「組織罰」という考え方を参考に、個人の責任を問えなくても、責任の所在を明らかにする方法を議論していく必要があると思う」と話しています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130909/k10014382911000.htmlより、
原発事故 東電や菅元首相など不起訴へ
9月9日 0時10分

東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡って、福島県の住民などから告訴・告発されていた、東京電力の旧経営陣や菅元総理大臣など40人余りについて、検察当局は、刑事責任を問うことはできないと判断し、近く不起訴とする方針です。
不起訴となるのは、福島第一原発の事故について福島県の住民グループなどから告訴・告発されていた、法人としての東京電力と勝俣前会長や清水元社長ら旧経営陣、当時の原子力安全・保安院や原子力安全委員会の幹部、それに政府の責任者だった菅元総理大臣など40人余りです。
検察当局は、巨大な津波を事前に予測できたのかという点を中心に、当事者のほか、多くの地震や津波の専門家にも意見を求め、およそ1年にわたって捜査を進めてきました。
その結果、「東日本大震災規模の地震や津波を現実的な危険として予測できていたとは言えず、対策を講じる義務があったとは言えない。地震後の対応も含め、刑事責任を問うことはできない」と判断し、近く全員を不起訴とする方針です。
一方、告訴・告発していた福島県の住民グループは直ちに検察審査会に申し立てる方針で、原発事故で関係者の刑事責任が問われるかどうかは、今後、検察審査会を構成する市民の判断に委ねられることになります。

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