消費税8% かすむ社会保障目的

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130920/fnc13092003140000-n1.htmより、
産経新聞【主張】消費税8%へ 成長と財政再建の両立を 十分な景気対策欠かせない
2013.9.20 03:13 (1/4ページ)

 年1兆円規模で増え続ける社会保障財源をどのように手当てし、国の財政立て直しに結び付けるのか。昨年8月に民主、自民、公明の3党で成立させた消費税増税法は、この問いに対する答えだ。
 安倍晋三首相が来年4月から消費税率を3%引き上げて8%とする方針を固めた。最近の経済指標は景気の好転を示しており、法律通りに増税を実施する環境が整ったと判断したためだ。

 《国民の理解得る説明を》
 安定的な社会保障財源の確保に加え、財政再建に一歩を踏み出す首相の決断を支持する。首相は10月1日に正式表明する見通しだ。その際には改めて社会保障財源に充てる消費税増税の必要性を訴え、国民の理解を得るべきだ。
 増税で景気を腰折れさせてはならない。デフレ脱却に伴う経済成長と財政再建を両立させることに全力を挙げてほしい。
 首相は増税をめぐって「最終的には私の責任で決める。経済指標を踏まえて適切に判断する」と強調してきた。指標で最も重視する今年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で3・8%増と高い伸びとなった。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130920/fnc13092003140000-n2.htmより、
2013.9.20 03:13 (2/4ページ)
 企業の設備投資が1年半ぶりにプラスを記録したことは特に重要だ。「アベノミクス」で堅調に推移する個人消費に加え、企業も設備投資に前向きな姿勢に転じたことは、持続的な景気回復にもつながる。増税に耐えうる経済的な情勢は整いつつある。
 消費税増税をめぐって有識者から幅広く意見を聴取した集中点検会合では、出席者の7割超が予定通りの実施を求めるなか、デフレからの脱却を優先して日本経済に負担を強いる消費税増税の先送りを求める意見もあった。
 平成9年4月に消費税率を3%から現行の5%に引き上げた際、特別減税の打ち切りや社会保険料の引き上げも加わり、現在まで続くデフレを招く原因になったとの批判がある。これを念頭に置いた見方だろう。
 しかし当時の経済動向をみると、同年4~6月期のGDPは大きく落ち込んだが、続く7~9月期はプラス成長を達成した。日本経済は増税の影響を乗り越えつつあったが、その後のアジア通貨危機や金融危機が響いて後退したとみるべきではないか。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130920/fnc13092003140000-n3.htmより、
2013.9.20 03:13 (3/4ページ)
 来年4月から法律通りに消費税率を8%に上げれば、今年度末までに発生する増税前の駆け込み需要の反動で、来年4~6月期の景気の落ち込みは避けられまい。これを、いかに短期でプラス成長に戻すかが重要だ。
 それには十分な景気対策が欠かせない。政府・与党では法人税減税などの検討を進めている。デフレ脱却への取り組みも必要だ。
 増税の際には日銀による一段の金融緩和も検討してほしい。政府・日銀が一体となった対策を考えるべきである。
 ただ、公共事業の上積みを含め「5兆円超」などと、対策の歳出規模ばかりが先行しているのは問題だ。増税対策に名を借りたバラマキは許されない。
 消費税は社会保障財源に充当することが明記されている。国債発行に依存する社会保障制度の安定と充実を図り、財政再建につなげるという増税の目的を忘れてはならない。

 《軽減税率導入も必要だ》
 消費税は来年4月に続き、27年10月に再び2%引き上げて10%にすることが法律で決められている。まず8%に引き上げて経済的な影響を見極め、再増税の可否を判断すべきだ。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130920/fnc13092003140000-n4.htmより、
2013.9.20 03:13 (4/4ページ)
 増税にあたってはコメ、みそなどの基礎的な食料品や新聞、雑誌などへの課税を減免する軽減税率の導入も不可欠だ。欧州の付加価値税は20%前後と高いが、軽減対象を広く認めて国民生活への負担を緩和している。こうした先行事例も参考にしてほしい。
 政府は国・地方の基礎的財政収支の赤字を27年度に半減し、32年度には黒字化する財政再建目標を立てている。消費税率を予定通りに10%に引き上げれば赤字半減は可能だが、それでも黒字化は達成できない恐れが強い。
 財政健全化は安定的な経済成長の基盤である。とくに高齢化などで年1兆円規模で増加する社会保障費などの削減は欠かせない。
 安倍政権は、歴代内閣が苦慮してきた消費税増税に取り組む。多くの課題を克服して、財政再建を果たしてほしい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59939290Q3A920C1EA1000/より、
日経新聞 社説 経済対策は効果と節度のある中身に
2013/9/20付

 5%の消費税率を2014年4月に8%まで引き上げるとともに、5兆円規模の経済対策を打ち出す方向になった。約8兆円に上る国民の負担増を和らげ、景気の腰折れを回避する狙いがある。
 財政再建の重要な一歩を踏み出す消費税増税を確実に実行しなければならない。その軟着陸を目指す一定の対策は要るだろう。
 だが不要不急の公共事業などをいたずらに膨らませるのでは、財政再建の実があがらなくなる恐れがある。必要性が高く経済効果が大きい施策を選別すべきだ。
 経済対策のひとつの柱は法人課税の軽減である。企業にも課している復興増税を1年早く廃止し、国税と地方税を含めた法人実効税率を14年度に38.01%から35.64%に下げる見通しになった。
 設備投資や賃上げなどを促す期限つきの政策減税も盛り込む。景気のてこ入れには一定の役割を果たしそうだが、持続的な効果は期待できない。特定の業種や企業に恩恵が偏るという問題も残る。
 幅広い国内企業の活力を引き出し、海外企業も呼び込むには、成長戦略としての実効税率引き下げが欠かせない。そこに踏み込む安倍政権の決断を評価したい。
 「被災地の復興と直接関係のない事業も復興増税で賄われている」との批判は根強い。本当に必要な復興事業を選別し、法人税だけでなく所得税の復興増税を早めに終える努力もしてほしい。
 実効税率を35%強まで下げたとしても、主要国の標準といわれる25~30%をなお上回る。安倍政権はさらなる引き下げを15年度以降の検討課題とする考えだ。
 主要国に比べて高いのは地方税の実効税率である。土地にかかる固定資産税などの負担を増やし、法人事業税や法人住民税を軽減すべきだという識者は多い。
 国税である法人税の租税特別措置を整理し、課税ベースを広げながら税率を下げる余地もあるのではないか。こうした抜本的な税制改革に着手するときだ。
 もうひとつの柱になりそうなのが防災・減災などの公共事業である。老朽化したインフラの更新や公共施設の耐震化にある程度の支出は必要だが、予算の無駄遣いは厳に慎まねばならない。
 消費税増税の影響を相対的に強く受ける低所得者や住宅取得者への現金給付は理解できる。ばらまきに終わらないようなやり方を慎重に検討してもらいたい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59890140Z10C13A9EA1000/より、
日経新聞 社説 高齢者医療に消費税財源を
2013/9/19付

 野田政権のときに民主党が自公両党と合意した社会保障・税一体改革は、消費税増税で医療や年金のほころびをつくろい、制度の持続性を高めるのを目的にした。
 2014年4月の最初の税率上げまで半年あまりに迫ったが、安倍政権はこと医療制度について確たる方針を示していない。喫緊の課題は増大する高齢者医療の財源確保だ。増税分の一部をあて、企業の健康保険組合からの保険料召し上げに歯止めをかけるべきだ。
 08年に自公政権が導入した後期高齢者医療制度は、75歳以上への給付費の構成を(1)国の借金を含めた税財源5割(2)支援金名目で健保組合などに拠出させる保険料4割(3)高齢者本人が払う保険料1割――とするのを原則にした。
 問題は(2)だ。全1431健保組合の12年度決算によると、後期高齢者への支援金は計1兆5千億円に達した。65~74歳の前期高齢者が使う医療費への納付金などを含めると、じつに保険料収入の46%が召し上げられている。
 各健保組合は加入者と家族に病気予防を指南したり、安いジェネリック医薬品(後発医薬品)の使用を促したりして医療費の節約につとめている。だが収入の半分近くを有無を言わさず拠出させられる現状では、努力を重ねても健保財政は苦しさを増すばかりだ。
 現役世代にくらべ罹患(りかん)率が高い後期高齢者の医療費を保険原理で賄うのには限界がある。単純にいえば、保険料を払う人は多く、保険金をもらう人が少ないのが保険原理が有効に機能する条件だからだ。だからこそ税財源の投入に意味がある。
 先月解散した政府の社会保障制度改革国民会議は、健保組合からの召し上げをさらに増やすよう政権に求めた。厚生労働省はそのための法案を15年に国会に出す。
 健保組合の存続が危うい。政権は消費税増税の目的を思い起こすべきだ。国民会議が打ち出した病床再編名目の基金を介して増税分を民間病院にばらまく案は、真っ先に見直すべき対象になろう。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130919k0000m070109000c.htmlより、
社説:消費増税対策 ばらまきは本末転倒だ
毎日新聞 2013年09月19日 02時33分

 来年4月に消費税率を現行の5%から8%に引き上げることを前提に、安倍政権が5兆円規模の経済対策を検討している。高齢化で社会保障費が膨らむなか、財政が破綻しないよう国民全体で負担を分け合うギリギリの選択肢が消費増税だ。増税による景気の腰折れを避ける名目で財政を大盤振る舞いするなら本末転倒だ。しかも旧来型の自民党の景気対策である公共事業のばらまきにつぎ込むなら、なおさら何のための増税かわからなくなる。
 安倍内閣はアベノミクスで三本の矢を打ち出した。大胆な金融緩和、機動的な財政出動、成長戦略だ。第二の矢である財政出動により、2012年度補正予算と13年度当初予算で公共事業を大幅に増額させた。
 安倍晋三首相はさらに来年の通常国会に13年度補正予算案を提出する構えで、9月中に経済対策をまとめるよう指示した。それを踏まえ10月初めに消費増税の最終判断をするという。だが、財政の拡大はどこかで歯止めをかけなければならない。これを続けると来年後半にまた大型の財政出動を迫られる。
 確かに、消費税率が上がれば、企業や消費者が使えるお金が少なくなり、景気の足を引っ張る。このため低所得者や住宅購入者への現金給付、中小企業向け政策減税の拡充や設備投資減税が検討されている。こうした対策は必要だろう。
 問題は、増税対策をテコに、災害に備えた道路整備など「国土強靱(きょうじん)化」のための公共事業を積み上げる動きだ。「経済対策は少なくとも○兆円」といった声が与党から聞かれる。金額確保を先行させる「ばらまき」の発想で、もはや時代錯誤だ。
 バブル崩壊後の1990年代、政府は国債を発行して借金で大型経済対策を行い、公共事業を増額した。しかし、デフレは深刻化し、財政は悪化の一途をたどった。それを繰り返してはならない。必要な防災事業は経済対策で膨らませるのではなく、計画を立てて実施すればいい。
 経済対策の財源には、前年度に使い残したお金や、景気回復で今年度の税収が増える分などを充てる見通しだが、これは本来、財政の立て直しに使うお金だ。経済対策に回すのは最小限にすべきだ。
 景気は回復の動きを続けている。個人消費は堅調で、設備投資も持ち直してきた。秋の臨時国会には、企業の事業再編やベンチャー投資を促す税制改正を盛り込んだ法案が提出される。規制緩和を含めアベノミクスの第三の矢である成長戦略に全力を挙げ、景気回復を長続きさせることが必要だ。旧来型の景気対策から脱し、成長戦略を実らせることが安倍政権の最大の課題だ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 9月 18 日(水)付
消費増税対策―何でもありは許されぬ

 あまりに節度を欠いているのではないか。
 来春に予定される消費増税に合わせて、安倍政権が検討中の経済対策のことだ。
 「国費5兆円超」が当然視され、公共事業の大幅積み増しから法人税率の引き下げまで、何でもありの様相である。
 消費税率を1%上げると、税収は年に約2・7兆円増える。5%から8%への増税で負担増は8兆円に達する。デフレ脱却への流れが途切れないよう、一定の対策は必要だ。
 しかし、消費増税の目的を忘れてはならない。
 国債の発行、つまり借金に頼る社会保障分野に消費税収をあて、制度の安定・充実と財政再建を目指すのが狙いである。
 増税対策でも、必要性を吟味し、限られた財源を有効に使う姿勢が欠かせない。
 「国内総生産(GDP)の1%分の景気対策が必要」「消費税2%分の対策を打ち、負担増を実質1%に抑える」――。こんな「金額ありき」の発想は、もうやめにしたい。
 必要な対策は何か。
 民間主導の経済成長のカギを握るのは、GDPの6割を占める個人消費の動向だ。
 消費増税の負担が大きい低所得者を中心に一時金を給付し、消費の急激な落ち込みを防ぐ。景気への波及効果が大きい住宅の駆け込み需要とその反動を抑える工夫も必要だろう。
 あわせて、収益が好調な企業が雇用を増やし、賃金を引き上げるよう、仕組みを整える。雇用や賃金を増やした企業の法人税を軽くする制度があり、その適用基準をゆるめたり減税額を増やしたりするのは一案だ。
 企業自体の成長につながる設備投資や研究開発投資を促す税制の拡充も検討したい。
 法人税率そのものの引き下げはどうか。
 安倍政権は、「パンチ不足」と評判が芳しくない成長戦略の目玉にしたい考えのようだ。
 ただ、法人税を納める前提となる黒字の企業は全体の3割程度。なにより、政府の統計によると、法人全体で現金と預金だけで約150兆円をため込んでいると推計されている。
 なぜ企業はおカネを使わないのか。ここにメスを入れないまま法人税率を下げても、企業がますます資金を抱え込むだけになりかねない。
 既存業者を守っているだけの規制を見直し、新たな市場をつくる取り組みは尽くしたのか。財政への影響が大きい法人税率引き下げに飛びつく前に、やるべきことがある。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 9月 18 日(水)付
国会―いつまで休むつもりか

 先が見えない福島第一原発の汚染水漏れやシリア情勢。世の中の動きはめまぐるしいのに、そこだけ時間が止まったような場所がある。国会である。
 7月の参院選後、議長らを選ぶための臨時国会が6日間だけ開かれた。だが、実質審議は3カ月近く行われていない。
 安倍政権は、臨時国会の召集を10月15日に予定している。10月初めの消費税率引き上げの最終判断、7日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議や環太平洋経済連携協定(TPP)会合など、政権の重要課題や外交に区切りをつけてから国会に臨む考えのようだ。
 汚染水問題はもちろん、国会が急いで取り組むべき課題は多い。そんな悠長なことを言っている場合ではない。
 まずは通常国会の会期末、首相問責決議をめぐる混乱で廃案になった電気事業法改正案などの審議のやり直しがある。安倍首相が明言した再生可能エネルギーの普及のためにも、成立を急ぐべきだ。
 シリア情勢にしても、化学兵器に関する米ロ合意をどう評価するか、日本としてどんな人道支援をしていくのか、質疑を通じて政府の考えを明らかにしていく必要がある。
 国会そのものにかかわる課題も山積だ。司法に抜本的な見直しを求められている選挙制度や国会審議の改革だ。
 首相が自民党の石破幹事長に、衆院議長のもと選挙制度改革の諮問機関の設置を検討するよう指示したのは6月だ。閉会中でも各党の代表者で話し合いができるのに、いまだに進展はない。
 野党は、汚染水問題での閉会中審査にとどまらず、臨時国会の召集要求も検討するという。憲法はいずれかの院の4分の1以上の要求があれば、内閣は国会の召集を決定しなければならないと定めている。野党が要求をためらう理由はない。
 もとより10月15日開会では年内の日程は窮屈だ。衆参のねじれが解消したのをいいことに、賛否が割れる特定秘密保護法案などの審議を駆け足ですまそうと政権が考えているなら本末転倒だ。
 確かに、今月下旬には国連総会もあり、外交日程は目白押しだ。国会審議を理由に、首相らの外遊がいたずらに制約されるのは避けねばならない。そこは、かつて民主党も提案した副大臣らの代理答弁や審議日程の工夫で乗り切れるはずだ。
 「いつまで休んでいるつもりか」という国民の視線は、厳しくなるばかりだ。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013091390070910.htmlより、
消費税 来春8% かすむ社会保障目的
2013年9月13日 07時09分
 
 安倍晋三首相は十二日、二○一四年四月から予定通り消費税率を5%から8%に引き上げる方針を決めた。増税に伴う景気の落ち込みを避けるため、消費税2%分に相当する五兆円規模の経済対策を併せて実施する。増収分は社会保障費に充てるという増税の目的が事実上、変質する。経済対策も公共事業が中心になるとみられ、国民から幅広く集める消費税の還元先が特定業者に偏る「還元格差」が生じることも考えられる。
 消費税増税法は、少子高齢化に伴って予算額が膨張し続ける年金や医療、介護などの社会保障制度を維持・安定させる目的で制定された。成立当時の野田佳彦首相、現在の安倍晋三首相も「増収分は全額、社会保障費に充てる」と明言してきた。
 来年四月の消費税率の引き上げでも、政府は八兆円程度の税収増を全額、社会保障に充てると説明するが、経済対策が実施されれば、増税で生じた財源のゆとりで賄うことになる。
 本来なら、そのゆとりは財政赤字を減らしたり、社会保障に使うべきで、社会保障制度を維持・安定させるという増税の目的とは矛盾する。
 しかも、経済対策は四月の増税に伴う景気の落ち込みを避けるため「即効性が必要で、従来型の公共事業中心にならざるを得ない」(官邸筋)といわれる。消費税は国民が一律に負担するのに、それに伴う「痛み」を軽減する経済対策が公共事業中心になれば、建設業界ばかりが大きな恩恵を受ける。
 消費税増税法は増税分を全額、社会保障の財源にすると定めているのに、なぜ、こんなことができるのか。
 同じ増税法に抜け道が隠されている。
 付則に「成長戦略や防災および減災に資する分野に資金を配分する」と明記され、公共事業などへの「流用」の根拠となる。増税法が成立した際、自民、公明、民主三党以外の中小野党が「消費税増税は公共事業の打ち出の小づちになる」と批判したが、これが現実となりつつある。(東京新聞)

http://mainichi.jp/opinion/news/20130913ddm003010160000c.htmlより、
クローズアップ2013:消費増税、来月1日発表へ 経済対策、財源見通せず
毎日新聞 2013年09月13日 東京朝刊

 安倍晋三首相が来年4月に消費税率を8%に法律通り引き上げる方針を固めたことに伴い、増税による経済へのマイナス影響を緩和するため、5兆円規模の経済対策が政権内で浮上した。首相は10月1日に記者会見し、増税方針と経済対策を同時に表明する方針だ。公共事業を中心とした補正予算や、企業向けの設備投資減税などを組み合わせた内容となる見通しだが、「新規の国債発行(借金)をせずに5兆円の財源を確保するのは難しい」(財務省幹部)のが国の台所事情。また、軽減税率の導入検討など積み残した課題もある。

 ◇財務省、国債増発をけん制
 「今回の引き上げで実質GDP(国内総生産)の約1%分、金額では約5兆円弱の経済の下振れが想定される」。岡村正・日本商工会議所会頭がこう述べるなど、8月下旬の消費増税に関する集中点検会合では、景気下支えの対策を求める声が相次いだ。
 消費税率が現在の5%から8%に引き上げられると、約8兆円の税収増が見込めるものの、企業や家庭はそれだけ負担増になる。
 経済対策の規模5兆円は増税幅3%のうち、ざっと2%。2013年度補正予算案と14年度予算案の一体的な運営や、税制改正などを組み合わせたものになりそうだが、具体案の検討はこれからだ。今後、さまざまな対策が盛り込まれれば、5兆円を上回る可能性もある。
 経済対策の財源として考えられるのは、12年度予算の使い残しにあたる剰余金1・3兆円や、13年度予算の予備費と借金返済に充てる国債費で金利を高めに設定したことによって生じる「国債費の不用額」などで1兆円程度。これら2兆円強に加え、景気回復で今年度の税収増も期待できるが、法人税は企業の9月中間決算の動向を見て見積もるため、財務省は「経済対策の規模を示せるようになるのは11月以降」と説明してきた。
 財源の見通しがつかない中、同省幹部は「経済対策の規模が膨らんで国債増発に追い込まれれば、財政健全化を目指す増税と本末転倒になりかねない」と懸念を隠さない。安倍首相のブレーンでもある浜田宏一内閣官房参与も、増税と同時に補正予算などの経済対策を取ることについて「右でお金を取って左でお金を渡す、まったくばかげた話」と批判的だ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130913ddm003010160000c2.htmlより、
 国の借金残高は6月末に1000兆円を突破してGDPの約2倍となり、先進国では最悪の水準。政府が8月に閣議了解した「中期財政計画」では、14、15年度の新規国債発行額は「前年度を上回らないよう最大限努力する」としており、安倍首相も今月の主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で国際社会に説明したばかりだ。山口俊一副財務相は12日の記者会見で、「(新規国債の増発は)市場の信認なども考えた場合には当然控えるべきだ」と、追加の国債発行をすべきでないと強調した。【丸山進】

 ◇低所得者対策積み残し 軽減税率、具体化が急務
 来春の消費増税は、毎年1兆円規模で増え続ける社会保障費の財源を確保することが目的だ。ただ、薄く広く課税する消費税は、低所得者への影響が大きい。日本の消費税にあたる海外の付加価値税では、食料品など生活必需品で軽減税率を導入している国が大半だ。政府も、15年秋の消費税率10%への引き上げ時に導入を検討するとしているが、具体的な議論を早期に進める必要がある。
 政府は消費税率を8%に引き上げた際の負担軽減策として、年収510万円以下でローンを使って住宅を購入する人に対して最大30万円を給付することを決定済み。住宅ローン減税の補完措置だ。また、低所得者世帯に現金を渡す「簡素な給付措置」では、住民税が非課税の世帯を対象に1人あたり1万円を支給する案を軸に検討している。与党が月内に結論を出す方針だが、現金支給は1回のみだ。生活必需品への軽減税率適用に比べると、低所得者対策の抜本策とは言い難い。
 自民、公明両党がまとめた13年度税制改正大綱では「(15年10月予定の)消費税率の10%引き上げ時に、軽減税率制度を導入することをめざす」としている。
 今年12月の14年度税制改正大綱の策定までに、軽減税率を適用する対象や、税率、税収減に対応するための財源などの課題を協議するというが、具体的な議論は遅れている。
 欧州連合(EU)諸国など付加価値税を導入している27カ国の税率は平均で21・2%だが、食料品に対する税率は平均11・3%と約半分で軽減税率は広く普及している。第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは「消費税の逆進性緩和のために、増税の影響を受ける低所得者への対策は必要だ」と話している。【葛西大博】

http://mainichi.jp/opinion/news/20130913k0000m070103000c.htmlより、
社説:動かぬ国会 いつまで夏休みですか
毎日新聞 2013年(最終更新 09月13日 02時30分)

 次期国会に向け、ようやく政党が動き始めた。自民、公明、民主3党の幹事長会談で与党は「国会改革」「衆院選挙制度」「社会保障」の3テーマ別に協議を民主党に要請した。政府・与党は来月15日ごろの臨時国会召集を検討している。
 安倍晋三首相は東京五輪招致にあたり福島第1原発汚染水問題の解決を国際公約した。早急に取り組みを点検し、情報を開示することは国会の使命だ。課題が山積する中で国会の夏休み状態が続くことは異常であり、これでは「怠慢の府」だ。主要課題での政党協議や国会での審議を早期に始めなければならない。
 首相や閣僚の国会での出席日程の短縮など国会改革について民主党は協議自体には理解を示したという。国会の日程攻防への偏重が外交など政治の機能を妨げる弊害は与野党の共通認識となりつつある。できることから具体的成果を示してほしい。
 一方で衆院選挙制度については実務者協議をどう進めるかはあいまいで、民主党が3党協議から離脱した社会保障制度改革についても同党の復帰をめぐり平行線をたどった。
 選挙制度改革については首相が有識者による第三者機関設置の検討を提案している。衆院「1票の格差」是正問題は急場しのぎの「0増5減」の改定ですら膨大な時間を費やし、定数削減も放置したままである。
 議員自ら改革を行う姿勢が見えない以上、何らかの基本原則を確認したうえで第三者の手に委ねるしかあるまい。社会保障制度改革にしても協議から離脱している民主党の対応は無責任に過ぎる。野党第1党としての責任を共有すべきだ。
 それにしても解せないのは、原発汚染水問題をめぐり、いまだに早期召集はおろか、閉会中の委員会による審査すらセットされないことだ。
 与党は野党の追及をおそれ、民主党は政権時代の負い目がありこれまで論戦に及び腰だったとみられる。国家の危機管理に加え、首相の国際公約という重みを与野党ともわきまえていないのではないか。
 国会が審査、調査すべき課題は多い。消費増税も決定前に国会で論点を明らかにするのが本来の姿だ。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)も交渉に関する情報がほとんど明らかにならず、与党議員からも疑問の声が起きている。守秘義務があるとはいえ全体状況や主要事項への姿勢すら判然としないようでは今後の国内調整にもマイナスだろう。
 今夏の国会議員の海外訪問ラッシュもピークは過ぎたようだ。通年国会の必要性すら言われる中で6月末からの論戦不在では非常事態への対応能力が問われる。いいかげんに夏休みを終えてほしい。

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