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日別アーカイブ: 2013年9月14日

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 9月 21 日(土)付
首相と汚染水―正しい現状認識で臨め

 きのう未明、福島第一原発のある福島県浜通りを震源に、最大震度5強の地震があった。
 約1千基もある放射能汚染水の貯蔵タンクは無事だったが、ひやりとした人も多かったのではないか。
 前日、現地を視察した安倍首相は汚染水の影響について、一定範囲内で「完全にブロックされている」と繰り返した。
 だが、こうした認識は甘いと言わざるを得ない。重い危機感をもって、汚染水の大量流出といった不測の事態の防止に全力を挙げるべきである。
 象徴的なのは、「状況はコントロールされている」と言い切った安倍首相の言葉だ。
 五輪の招致演説で世界に発信されたが、直後に東京電力幹部の一人が、事態は制御されていないと否定した。
 今週開かれた国際原子力機関(IAEA)総会では、中国が現状に強い懸念を示すなど、疑問の声が相次いだ。出席した山本科学技術担当相も公式な演説では「コントロールされている」との表現は封印した。
 言葉じりにこだわっているのではない。
 「コントロールする」「完全にブロックする」という目標と、「コントロールされている」「完全にブロックされている」という現状認識との混同を危惧しているのである。
 どれほどの汚染水が地下のどこを通って海に出ているのか。推定しかできない現状は「コントロール」にはほど遠い。
 首相の言葉は重い。甘い現状認識が発信されると、対処の手がゆるみかねない。
 反省材料が野田民主党政権の時代にある。2年前の12月の「事故収束宣言」である。
 核燃料が溶けた炉心に連続的に水を注ぐ当面の応急措置ができたに過ぎないのに、仰々しく区切りを宣言してみせた。
 その結果、汚染水の問題は政治の論議や多くの一般市民の関心から遠くなった。メディアも問題の深刻さを十分伝えきれなかったことは反省点だ。
 IAEA総会では「汚染水がたまる問題は当初からあった。なぜ2年間も解決策が探られてこなかったのか」と、もっともな指摘があった。
 英科学誌ネイチャーは「日本政府の従来の行動や情報公開の姿勢からすると、東電に代わって前面に出ても変わりないかも知れない」と厳しい論調を示している。
 現状は楽観を許さない。安倍政権は、危機感と情報を内外で共有し、世界の知見と支援を結集する努力が求められている。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130921k0000m070133000c.htmlより、
社説:首相廃炉要請 パフォーマンスは無責任
毎日新聞 2013年09月21日 02時32分

 東京電力福島第1原発を視察した安倍晋三首相が5、6号機の廃炉決定を東電に要請した。原発事故の実情を考えれば廃炉自体は当然のことだ。遅すぎる決断と言ってもいい。
 しかし、この時点で廃炉要請する意味については疑問が大きい。政府が今、緊急に取り組むべき課題は、汚染水対策や短期的な事故処理である。ところが、今回の廃炉要請がこの課題にどうプラスに働くのか、見えてこない。
 5、6号機は冷温停止状態にある。廃炉決定したとしても当面は同様の維持管理が必要で、費用や人材に余裕が生まれるとは思えない。むしろ、廃炉が始まれば、多くの人材や費用が必要となるだろう。
 茂木敏充経済産業相は「廃炉により空きスペースができ、汚染水のタンクを増設したり機材を持ち込んだりできる」と語っているが、いつの話をしているのだろうか。事故を起こしていない原発でも廃炉に何十年もかかることは担当相なら承知しているはずだ。5、6号機を使った作業訓練を検討する意味はあるが、事故処理にすぐ役立つわけではない。
 結局のところ、今回の廃炉要請は、困難な現状から目をそらすためのパフォーマンスと疑わざるを得ない。これでは、国内はもちろん、国際社会を納得させることは無理だ。
 しかも、廃炉決定により、コスト負担も課題として浮上する。これまでの仕組みで東電が廃炉を決めると一度に巨額の損失が生まれる。経産省は会計制度を年内にも改正し、廃炉コストを長期間に分散できるようにし、費用を電気料金でまかなえるようにする計画だ。
 今回の要請は、そのタイミングをにらんだものとも考えられるが、首相が廃炉を要請する以上、税金の投入を求められてもおかしくない。いずれにしても、国民の負担に直結する以上、首相は、もっときちんと説明すべきではないか。
 安倍首相は、タンク内の汚染水について「2014年度中に浄化を完了する」との東電社長の言葉も紹介した。首相側からの期限設定の要請に応じた形だが、今後増設するものを含め放射性物質除去装置がフル稼働し、地下水流入量も減らせるとの仮定に立った話だ。汚染水対策が終わるわけでもない。現場が「制御されている」というイメージ作りのために無理な計画を立てることになればかえって事態は悪化するだろう。
 安倍首相は「国が前面に立って」「私が責任者として」対策に当たると繰り返している。そうであるなら、廃炉要請でごまかしたりせず、汚染水対策や事故処理に直結する具体策を、政府自らが出していってもらいたい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59762230V10C13A9PE8000/より、
日経新聞 社説 想定外に備えた総合策で汚染水にあたれ
2013/9/15付

 戦力の逐次投入に陥ってはいないか。東京電力と政府の汚染水対策をみていて、もどかしい。
 政府は国費を470億円投入すると決めたが、名目は研究開発費で、凍土壁など技術的に難しい対策にしか使えないという。急を要するのは汚染水を漏らさず管理できるタンクの増設だが、対象外だ。国の本気度も現時点ではそこまでということらしい。
 赤字経営の東電が対策を小出しにしたことが汚染水問題の傷口を広げた。政府が同じ轍(てつ)を踏むのは避けるべきだ。
 安倍晋三首相は国際オリンピック委員会(IOC)の総会で「汚染水問題は制御できている」と話した。この言葉が素直に胸に落ちた国民は少なかったのではないか。いま必要なのは外見を取り繕う言葉ではなく、具体的で多重性のある総合対策だ。
 まず地下トレンチなどから海への流出を止めるのが第一だ。次にできるだけ早く凍土壁で原子炉建屋などを囲い、炉心冷却法を見直すなどして、汚染水の発生を抑え込む必要がある。その間は汚染水は浄化したうえでタンクにため続けるしかない。
 ただ凍土壁などは技術的に実証されていない。技術的な失敗や地震や台風による想定外の事態にも備え、次の手も用意する必要がある。後手に回れば信頼をさらに損なうだけだ。不足の恐れがある人材の確保策も含め、対策の全体像を早く示すことが重要である。
 政府がこれまでより前に出たのはいい。しかし根回しなど役所の流儀が幅をきかせれば意思決定に時間がかかり情報公開も滞りかねない。非常事態であることを考えれば、指揮命令系統を短く明確にし、現場への権限移譲が要る。
 それにしては政府内に対策チームや会議が乱立気味だ。関係者が一堂に会する組織をつくり、情報をしっかり共有することが大事ではないか。
 政府の対策責任者(廃炉・汚染水対策チーム長)は茂木敏充経産相だが、経産相はほかにも多くの重要案件を抱え多忙だ。緊急時にも任せきれるのか。安倍首相にはよく考えてもらいたい。
 海外への情報公開も不足している。迅速な説明を怠れば、海外で風評の被害を広げるばかりだ。
 汚染水問題の解決は首相発言によって事実上の国際公約になった。世界が日本政府の決意と実行力のほどを注視している。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130914/k10014533461000.htmlより、
汚染水対策技術 国内外で収集
9月14日 4時25分

東京電力福島第一原子力発電所で汚染水の問題が深刻化していることを受けて、経済産業省は、対策に役立つ技術などを国の内外から集め、ことし11月をめどに取りまとめることになりました。
福島第一原発では、山側から敷地に流れ込む地下水の影響で汚染水が1日400トンずつ増え、これに対応するために増設された山側のタンクでは先月、汚染水漏れが起き、一部が海に流れ出たおそれがあります。
問題が深刻化していることから、13日に開かれた経済産業省の専門家会議では、汚染水の貯蔵や処理について、海外も含め対策に役立つ技術を集めることを決めました。
具体的には、汚染水が漏れにくいタンクの施工方法や漏れた場合でも早く正確に検知できる技術、それに現在、計画している処理装置では取り除くことができないトリチウムという放射性物質の処理についても技術を求めるとしています。
経済産業省は近くホームページなどで必要とする技術を公表し、ことし11月をめどに取りまとめる予定です。
また、13日の専門家会議で東京電力は将来、汚染水をためるタンクがどれくらい必要になるか試算を提出しました。
それによりますと、今のまま対策を取らなかった場合、平成33年度には、現在の5倍余りの170万トンに増えますが、山側で地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」や建屋の周りの地下を氷の壁で覆う「凍土壁」など、計画しているすべての対策を実施した場合は、およそ70万トンに抑えられるとしています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130914/k10014534241000.htmlより、
首相 来週福島第一原発視察へ
9月14日 4時10分

安倍総理大臣は、東京電力福島第一原子力発電所の汚染水問題の現状を直接、確認したいとして、来週19日に福島第一原発を視察する方向で調整に入りました。
福島第一原発では、先月、タンクから高濃度の汚染水300トン余りが漏れ、一部が原発の港の外の海に流出したおそれがありますが、3週間以上たった今も原因は分かっていません。
こうしたなか、安倍総理大臣は、汚染水問題の現状を直接、確認したいとして、来週19日に福島第一原発を視察する方向で調整に入りました。
安倍総理大臣は、汚染水をためてあるタンクなどを視察するほか、東京電力の関係者などから、現在取っている対策などの説明を受けることを検討しています。
安倍総理大臣は、先にアルゼンチンで開かれたIOC=国際オリンピック委員会の総会で、汚染水問題について、「状況はコントロールされている」と表明し、これに対し、野党側からは、状況がコントロールされている根拠や今後の対応を国民に明確に説明すべきだという意見が出ています。
こうしたなか、安倍総理大臣としては、みずから現場を視察することで、政府が前面に立って汚染水問題の解決に取り組む決意を示すねらいもあるものとみられます。
安倍総理大臣が、福島第一原発を訪れるのは、就任直後の去年12月29日以来、2回目です。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130914/k10014533451000.htmlより、
トリチウム濃度 大幅上昇続く
9月14日 4時10分

東京電力福島第一原子力発電所でタンクの汚染水が漏れた問題で、周辺に掘った観測用の井戸の地下水ではトリチウムという放射性物質の濃度が大幅に上がり続けていて、12日に採取した水では国の基準の2倍以上に達しました。
東京電力は地下水の汚染の広がりについて監視を強めています。
福島第一原発では先月、山側のタンクから高濃度の汚染水300トン余りが漏れ、東京電力が問題のタンクのおよそ20メートル北側に観測用の井戸を掘って地下水への影響を調べています。
この井戸で12日に採取した地下水からは、これまでで最も高い1リットル当たり13万ベクレルのトリチウムが検出されました。
国の海への放出の基準は1リットル当たり6万ベクレルでその2倍以上に当たります。
この井戸のトリチウムの値は、今月10日に1リットル当たり6万4000ベクレルだったのが、翌日には9万7000ベクレルと、このところ大幅な上昇が続いています。
一方、問題のタンクから10メートル余り南側にある井戸の地下水ではトリチウムの濃度は1リットル当たり290ベクレルで、やや下がる傾向がみられています。
東京電力は先月のタンクからの汚染水漏れの影響とみて監視を強める一方で、原因は断定はできないとして、過去に起きた配管からの水漏れなどの影響がないか調べています。

汚染水の海への流出は1日約200トン
また、福島第一原発から海に流出している1日当たりの汚染水の量について、東京電力は、最新の地下水のデータなどから、これまでより100トン少ない200トン程度になるという推定の値を公表しました。
福島第一原発では、山側から流れてくる大量の地下水の一部が建屋周辺の地下のトンネルから漏れ出した汚染水などと混じり、海に流出していることが明らかになっています。
これまでの東京電力の解析から、1号機から4号機の建屋とその南側の建物がある南北800メートルの範囲では、1日当たり山側から1000トンの地下水が流れ込み、このうち400トンが建屋の中に流入し、残る600トンのうち300トン程度が汚染水となって海に流出しているという概算が示されていました。
これに対し、新たな解析では、山側から流れ込む地下水の量は1日当たり800トンに下方修正され、このうち400トンが建屋の中に流入しているという推定は変わらず、汚染水となって海に流出している量はこれまでより100トン少ない200トンになるとしています。
東京電力は「地下水の汚染状況などを詳しく調べるために増やした井戸の観測データや専門家からの指摘を受けて解析した結果、山側からの地下水の全体の量が少なく見積もられたことが今回の推定値に影響している」としています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130914/k10014533881000.htmlより、
東電 海のセシウム濃度を2年近く低く公表
9月14日 4時10分

東京電力は、福島第一原子力発電所の近くの海で、2年近くにわたって放射性セシウムの濃度を誤った方法で測定し、実際より低く公表していたことが分かりました。
これは、福島第一原発の汚染水による海の汚染を監視するため、13日に初めて開かれた原子力規制委員会の専門家チームの会合で明らかにされました。
東京電力は、原発南側の放水口の近くの海で測定した、海水1リットルに含まれる放射性セシウム137の濃度について、おととしの5月から2年近くにわたって、1から10ベクレル程度と公表していました。
ところが、原子力規制庁の職員に指摘され正しく測り直した結果、公表していた値は、1リットル当たり実際より数ベクレル程度低かったことが分かりました。
東京電力は「測定時に周辺の放射線の影響を誤って見積もったために正しく測れていなかった」と説明していて、ことし6月以降は改善して公表しているということです。
会合に参加した専門家からは「初歩的なミスだ」「東京電力に任せず規制委員会も測定すべきだ」といった批判や意見が相次ぎました。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 9月 14 日(土)付
原発と国会―事故調の提言を生かせ

 衆院経済産業委員会のメンバーが福島第一原発を視察し、漁業関係者とも意見交換した。
 国会議員が現場に足を運び、自ら状況を確認することは有益だ。問題はそれを国会審議にどう生かすかだろう。
 五輪の東京招致にも配慮して延期したとされる閉会中審査は今月27日に開かれる見通しになったが、あまりに遅い。
 与野党は党利党略を超えた実のある議論で、国民の厳しい声にこたえなければならない。
 むろん原発をめぐる国会の仕事はこれだけではない。忘れてならないのは、国会原発事故調査委員会の報告書だ。
 衆参両院の全会一致で事故調が発足したのは、11年12月。憲政史上初の国政調査権をもつ独立組織だった。
 専門家らで構成する事故調は約半年で厚さ3センチに及ぶ報告書をまとめた。事故の根本原因を「人災」と結論づけたうえで、七つの提言が示された。
 だが、提言が十分に生かされているとは言い難い。例えば、事故調の後継組織とも言うべき独立調査委員会の設置だ。
 事故調による原因究明は、原子炉建屋内の検証が困難で、未解明な部分も残った。このため提言は、今後の被害防止や廃炉対策も含め、継続的な調査・審議を続けるための組織として、第三者による「原子力臨時調査委員会」(仮称)を設けるよう求めた。
 もし、国会が速やかに原子力臨調を立ち上げていたら、汚染水問題についても早い段階から指摘し、政府や東電に必要な対策を促せたかもしれない。
 規制当局を監視する委員会を常設する提言については、今年1月に衆院内に原子力問題調査特別委員会が設置された。
 しかし、事故調が求めたような実質的な審議はほとんど行われていない。むしろ、原発再稼働を急ぐ自民党議員が原子力規制委員会たたきに利用しようとするなど、本来の趣旨とは逆の動きすら見られた。
 昨年9月、事故調の元スタッフや学生らを中心に、「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」が結成された。報告書に書かれた事実や論点を学び、議論する勉強会を開いている。そんな地道な活動に比べると、国会がなんとも小さく映る。
 事故調提言の実現へ、具体的な計画を早急にまとめる必要がある。原子力臨調ができれば、政府の対策に対する検証やリスクの洗い出し、対案の提示などの可能性も広がる。
 国権の最高機関として、託された義務を果たしてほしい。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130912/k10014473191000.htmlより、
トリチウム倍増で対策検討
9月12日 7時18分

東京電力福島第一原子力発電所でタンクの汚染水が漏れた問題で、周辺に掘った観測用の井戸の水から検出されたトリチウムという放射性物質が1リットル当たり6万4000ベクレルと1日で倍以上に上昇していることが確認され、東京電力は汚染の広がりを防ぐ対策を検討しています。
福島第一原発では先月、タンクから高濃度の汚染水300トン余りが漏れ、東京電力が問題のタンクのおよそ20メートル北側に観測用の井戸を掘って地下水への影響を調べています。
この井戸の水から検出されたトリチウムという放射性物質は、今月9日には1リットル当たり2万9000ベクレルだったのに対し、10日は6万4000ベクレルと倍以上に上がっていました。
さらに、観測用の井戸を掘った際に採取した土を調べたところ、最大で1時間当たりおよそ0.1ミリシーベルトのベータ線と呼ばれる種類の放射線が検出されました。東京電力ではいずれも漏れた汚染水の影響が広がっている可能性が高いと見ていますが、この付近では先月、汚染された地表付近の土をいったん取り除いていることや、問題のタンクから見て地下水の下流側ではないことから、詳しい原因は分からないとしています。
東京電力では汚染水が増えるのを抑えるため、別の井戸から建屋に流れ込む前の地下水をくみ上げて海に放流する計画ですが、地下水に汚染が広がっていると見られることから影響が懸念されています。東京電力は観測用の井戸を増やすなどして汚染の原因や広がりを調べるとともに、地下水を海に放流するための井戸への流入を防ぐ対策を検討することにしています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130909/k10014405181000.htmlより、
首相の汚染水説明に「理解を」
9月9日 18時42分

菅官房長官は、午後の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所の汚染水問題を巡り、安倍総理大臣がIOC=国際オリンピック委員会の総会で「状況はコントロールされている」などと説明したことについて、原発の港湾内の放射性物質の濃度が基準値以下になっていることなどを挙げて理解を求めました。
福島第一原発の汚染水問題を巡り、安倍総理大臣は2020年のオリンピックとパラリンピックの東京開催を決めたIOCの総会のプレゼンテーションで、「状況はコントロールされており、全く問題はない」と述べました。
これについて、菅官房長官は記者会見で、「汚染水問題は原因をしっかりと見極めて、早期の解決を実現するために技術や知見を結集し、政府が前面に立って取り組んでいく」と述べ、政府が責任を持って対応していく考えを強調しました。
そのうえで菅官房長官は「汚染水が漏れたとされる湾内にシルトフェンスと呼ばれる特殊なカーテン状のフェンスを設け、外に出さないようにしている。放射性物質の濃度は基準値以下で、湾の外では検出できないぐらいの値だ。これを『コントロールしている』と言うのは当然ではないか」と述べ、理解求めました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130908/k10014371261000.htmlより、
首相 汚染水問題「政府の責任で対策」
9月8日 0時56分

安倍総理大臣はIOC総会での最後のプレゼンテーションで、東京電力福島第一原子力発電所の汚染水問題について「状況はコントロールされており、全く問題はない」と述べるとともに抜本的な解決に向けて政府が責任を持って対策を進めていると強調し、理解を求めました。
この中で安倍総理大臣は福島第一原発の汚染水問題に懸念が出ていることについて「状況はコントロールされており、東京に決してダメージは与えない」と述べました。
安倍総理大臣はこの後の質疑でさらに詳しい説明を求められたのに対し、「汚染水による影響は、福島第一原発の港湾内の0.3平方キロメールの範囲内で完全にブロックされている。福島の近海で行っているモニタリングの数値は最大でもWHO=世界保健機関の飲料水の水質ガイドラインの500分の1だ。また、わが国の食品や水の安全基準は世界で最も厳しいが、被ばく量は日本のどの地域でもその100分の1だ。健康問題については今までも現在も将来も全く問題ない」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は汚染水対策について「抜本解決に向けたプログラムを私が責任を持って決定し、すでに着手している。責任を完全に果たしていく」と述べ、抜本的な解決に向けて政府が責任を持って対策を進めていると強調し、理解を求めました。
安倍総理大臣はプレゼンテーションのあとの記者会見で「福島の課題や問題に対する答えはできた。懸念は完全に払拭(ふっしょく)できたのではないかと思う。会場の皆さんからは私が質問に答えたあと、拍手をもらうことができた。私たちは福島と東北を復興させていくことで、世界からの支援に応えていきたい」と述べました。

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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 9月 16 日(月)付
危機から5年―マネー頼みの矛盾なお

 「100年に一度」の大不況を引き起こした米大手証券リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)から15日で5年がたった。
 震源地の米国経済は徐々に回復してきたが、一方で新興国の経済は変調をきたしている。
 なによりマネー資本主義の矛盾があらわになり、低成長と雇用喪失が世界中に格差と貧困を拡散させた。この難題を克服する手立てはあるのか。世界は、なお手探りのままだ。
 振り返れば、リーマン危機にとどめを刺される形で住宅バブルがはじけた米国と、対米投資の多い欧州で金融危機と経済収縮の連鎖が起きた。さらに、欧州では銀行救済にギリシャの財政粉飾が重なり、財政と金融の複合危機に発展する。
 ここを支えたのが新興国の内需拡大、とくに4兆元(約60兆円)の景気対策を打った中国だった。
 ところが、それが不動産バブルや過剰な投資を加速させ、中国内の金融システムを揺さぶる懸念が生じている。米中間でバブルがリレーされていたと見ることもできる。
 中国の金融安定には銀行への資本注入なども必要になろう。バブルの調整が急激で深刻になれば世界が動揺する。国際社会との協力が求められる。
 先進国が頼った金融緩和の後始末も難しい。米国の量的緩和で新興国へあふれ出たマネーは逆流しつつある。米連邦準備制度理事会(FRB)は、緩和縮小でバブル防止に筋道をつけたいようだが、世界全体への目配りも欠かせない。
 世界経済はいびつさの度合いを深めている。とりわけ企業収益や株価の回復と、雇用の低迷とのギャップが際だつ。
 グローバル競争の激化が、人件費を減らして収益をあげる流れを加速させている。ことに先進国では、産業界が雇用を創出し、生活水準を底上げする機能は衰えるばかりだ。
 格差や貧困を是正するのは、所得の再分配を担う政府の仕事だが、どの国も財政に余裕はない。これで本当の経済再生は可能なのか。
 前向きな動きとして注目されるのは、ユーロ加盟の有志国が導入を決めた金融取引税だ。危機の処理コストを金融界に負担させ、同時に過剰な投機も抑える狙いがある。
 グローバル企業の国境をまたいだ税逃れ対策で、各国が結束する機運も生まれている。
 マネーの流れに網をかけ、地に足のついた経済構造をつくるために、世界は足並みをそろえなければならない。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130915/fnc13091503140000-n1.htmより、
産経新聞【主張】リーマン5年 危機克服にG20連携保て
2013.9.15 03:14

 世界経済を揺さぶった米大手証券、リーマン・ブラザーズの経営破綻から、5年がたった。
 経済グローバル化の下で日本を含む主要国に燎原(りょうげん)の火のごとく広がった危機に対し、火元の米国をはじめ各国は、思い切った金融緩和と財政出動など政策を総動員した。1929年の世界恐慌の再来を食い止められたことは、危機対処の成功例といえる。
 しかし、そうした政策の後遺症には各国ともなお苦しんでいる。新たな危機につながる火種は消えておらず、油断は禁物だ。
 危機の再燃を未然に防ぐため、各国は政策連携の実効性を高めることが求められている。
 米金融危機を発端としたリーマン・ショックは、「市場が蒸発した」と評されるほど世界経済を直撃した。米大手金融機関の相次ぐ破綻や救済合併に続き、自動車最大手のゼネラル・モーターズ(GM)の倒産などに発展した。まさしく危機の連鎖だった。
 リーマン危機は各国社会にも暗い影を落とした。日本では「派遣切り」が横行し、派遣労働規制が強化された。米ウォール街で始まった反格差社会デモが世界各地に拡大するなど、社会の断裂と「二極化」の現象をもたらした。
 窮地を救ったのが、先進各国による金融緩和と財政出動による景気浮揚策である。米連邦準備制度理事会(FRB)は、空前の規模の量的緩和に踏み切った。日本や欧州も金融緩和で協調し、市場にドル資金を供給し続けた。
 その余剰資金がインドなどの新興国に流入し、不動産バブルを引き起こした。今、景気回復を理由にしたFRBの量的緩和縮小モードが、新興国からの資金引き揚げと通貨安を招いている。景気減速が顕著な中国を含め、新興国経済への目配りは欠かせない。
 大規模な支出を余儀なくされた各国財政の立て直しも喫緊の課題だ。リーマン危機を機に生まれた20カ国・地域(G20)首脳会合はこの6日、成長強化と財政健全化の両立が世界経済に必要だとする宣言を採択した。安定的な経済成長のためにも財政赤字拡大を防止する取り組みが問われている。
 世界金融危機を防ぐ体制作り、特にG20の再活性化は急務だ。その意味で、今回のG20首脳会合で中露など新興5カ国が通貨安定基金創設で合意したのは前進だ。地道な積み重ねを続けたい。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130915k0000m070102000c.htmlより、
社説:リーマン5年 教訓はどこへ行った
毎日新聞 2013年09月15日 02時30分

 世界を震撼(しんかん)させた米大手証券、リーマン・ブラザーズの破綻から丸5年となる。破綻に端を発した危機は、震源の米国だけでなく日本など多数の国を巻き込み、近年経験のない経済の急降下をもたらした。
 二度と同じ過ちを犯してはならない。そう誓い、さまざまな手を打つはずだったが、5年が経過した今、世界の金融はどうだろう。
 いざという時の備えとなる自己資本は大手銀行でより手厚くなった。不良債権の処理も進んだ。だが残念ながら、教訓が生かされたとはとても言い難い現状だ。
 リーマンの破綻後、米国は、大手金融機関が過大なリスクを抱えることのないよう、大胆な規制改革に踏み出した。ところが、法律の策定過程で、改革はトーンダウンしていく。2010年7月、ようやく2300ページに及ぶ金融規制改革法ができた。しかし、銀行が自己資金でリスクの高い金融取引を行うことを原則禁じた中核部分を含め、法律の半分以上がいまだに施行されていない。
 金融界の猛反発や、規制対象の線引きが複雑なことなどが背景にあるというが、あれほどの危機を引き起こしたのである。この変化の遅さ、小ささは到底、納得がいかない。
 中央銀行が行う金融政策についても教訓が生かされたとは言い難い。それどころか新たな危機の芽が世界の各所で育ちつつあるようだ。
 極端な金融緩和が長く続くと、あふれた資金がリスクを度外視した投機に向かう。リーマン破綻に至る過程では、そうした投機資金が米国や英国で住宅バブルを生んだ。
 銀行の業務を規制したり、監視を強化したりしても、市場に流入するマネーの過剰を放置すれば、規制や監視の目をくぐり抜けた資金がゆがみを醸成し、経済を不安定にする。
 ところが米国や日本など先進国では、再び大規模な金融緩和が長期化の様相を見せている。
 今回ゆがみはまず、インドやブラジルなど新興国で見られた。緩和マネーの一部が新興国の通貨や資産価格を乱高下させ経済を不安定化させたのだ。マネーは今度は米国に逆流を始め、住宅など資産バブルの再来を警告する声がすでに聞かれる。
 リスクの懸念が指摘されながら、危機につながることはないと過信し、問題を放置する。この失敗もリーマン・ショック後に反省したはずだった。だが、ユーロ圏をみても、日本でも、膨らんだ国の借金への抜本策は遅々として進まない。
 金融の安定があってこその経済成長であることを忘れてはならない。日本も含め各国の政治指導者は、あの衝撃と痛みを今一度、思い起こす必要がある。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013091402000144.htmlより、
東京新聞【社説】リーマン5年 負の遺産の解消目指せ
2013年9月14日

 史上最大の倒産で大恐慌の再来も懸念された米証券大手リーマン・ブラザーズ破綻から十五日で五年を迎える。危機は変容して続いており、負の遺産解消とともに新たな課題に目を向けるべきだ。
 米国の不動産バブルの崩壊をきっかけに、負債総額約六千億ドル(約六十兆円)に上る倒産劇、いわゆるリーマン・ショックが起きたのは二〇〇八年九月十五日だった。これをきっかけに世界同時不況に陥り、一時は一九二〇年代の大恐慌の再来危機が叫ばれた。米国をはじめ欧州、日本、さらに中国までもが前例のない金融緩和や大規模な財政出動などの対策を打ち、何とか奈落の底に落ちることは回避した。
 しかし、世界から消えた金融資産は二千七百兆円、主要国が対策に費やした財政資金は二千兆円に達するとの見方がある。その後遺症や副作用は今なお世界を覆っているのが実情である。
 例えば、米国は経済の回復に伴い、これまで大量の資金を市場に流してきた「量的緩和」の縮小を模索しており、インドやロシアなど新興国に流出していた投資資金が米国へ還流する動きが出ている。新興国では通貨の暴落が起き、インフレから経済危機も警戒されている。
 四兆元(約六十兆円)もの大規模な景気対策で経済悪化を食い止めた中国は、米国に代わり世界経済をけん引したが、不動産バブルや都市と地方間の格差問題などで不透明感が強まっている。
 欧州では金融危機が債務危機に姿を変え、ギリシャからイタリア、スペインなど南欧各国に広まった。通貨はユーロに統一しながら財政政策は国ごとに異なるというユーロ圏の矛盾が露呈した。
 だが、何よりリーマン・ショックがあぶり出したものは、収益や報酬ばかりに目がくらんだウォール街など金融界の強欲主義であり、富める者と貧しい者の格差が一層拡大する「米国型資本主義」の限界である。米国経済を支えた中間層が消失し、1%の富める者が99%を搾取するようないびつな社会を浮き彫りにした。
 「富める者が富めば貧しい者にも富が自然に浸透する」というトリクルダウン理論の誤りは実証されたのに、安倍政権の成長戦略は相変わらず大企業や富裕層優先の発想である。これでは格差の拡大、固定化が進むばかりだ。
 米国を周回遅れで追うような政策ならば、アベノミクスの先行きは危うい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59717010U3A910C1EA1000/より、
日経新聞 社説 リーマンが問う危機の芽つむ努力
2013/9/14付

 米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻から15日で5年がたつ。100年に一度といわれた深刻な金融危機に発展し、マネーの収縮と需要の蒸発が世界中に広がった記憶はまだ生々しい。
 グローバル化や市場化が進み、経済の相互依存関係が深まる今の世界で、バブルや国際不均衡の拡大を放置するリスクはあまりにも大きい。それがリーマン・ショックから学んだ教訓だろう。

後遺症に苦しむ世界
 惨事を繰り返さぬために、私たちは何をすべきか。バブルや国際不均衡の制御が難しいのは確かだが、それでも危機の再発を防ぐ知恵を絞らざるを得ない。
 リーマン・ショックの引き金は米国の住宅バブル崩壊だった。そのバブルを醸成したのは低金利政策の長期化と、アジアが抱える過剰貯蓄の流入だといわれる。
 信用力の低い個人向けの住宅融資が焦げつき、これを組み込んだ証券化商品の価格が急落した。巨額の損失を被った金融機関の信用不安が実体経済の悪化に連鎖し、世界経済は2009年に戦後初めてのマイナス成長に沈む。
 モノの取引量をはるかに上回るマネーが、有利な運用先を求めて瞬時に国境を越える。金融取引が複雑化し、債権や債務の実態もつかみづらくなっている。
 世界のどこかで問題が起きれば、予想以上の速度や深度で危機が広がりかねない。5年前に目の当たりにしたのは、そんな21世紀の「新型危機」の怖さである。
 主要国は大胆な金融緩和と財政出動で苦境を脱したが、今も後遺症に苦しむ。米国をはじめとする先進国の緩和マネーは、新興国の経済を揺さぶり続けている。
 欧州の財政悪化は債務危機に発展した。危機後の世界経済をけん引した中国の過剰投資は、銀行外取引「影の銀行」の膨張を招いた。日本は危機前の名目国内総生産(GDP)を回復していない。
 米連邦準備理事会(FRB)のグリーンスパン前議長はかつて「陶酔感の蓄積を抑えるのは極めて難しい」と語った。バブルの予測や管理は困難で、はじけた後にどう対処するかを考えた方がいいというのが米国の主流だった。
 リーマン・ショックはその認識が甘かったことを立証した。危機の芽をつむ努力が一段と重要な時代になったとみるべきだ。
 「現代史で最も長期化している危機からの出口を見いだすため、すべての努力を集中することが極めて重要だ」。日米欧に新興国を加えた20カ国・地域(G20)は5~6日の首脳会議でこう宣言した。主要国が真っ先に問われるのは健全なマクロ経済運営だろう。
 先進国の金融緩和は景気を下支えしているが、投機資金の拡大がバブルを膨らませる危険をはらむ。緩和の効果に頼り切るのではなく、税制改革や規制緩和を通じた成長基盤の強化を急ぐべきだ。もちろん中長期的な財政再建の取り組みも忘れてはならない。
 当面の焦点は米国の金融政策運営である。景気の回復を条件に量的金融緩和の縮小に動くのは理解できるが、新興国からの資金流出が新たな危機を誘発しないよう、細心の注意を払ってほしい。
 新興国の構造改革も欠かせない。通貨制度の見直しや対外収支の改善、国内市場の育成に取り組むべきだ。外貨を融通し合う通貨スワップ協定など、緊急時の安全網を整備しておく必要もある。

活力保てる金融規制を
 効果的な金融規制の実行も重要だ。巨大な金融機関が目先の利益を追求し、リスクの高い投資業務に傾斜しすぎるようでは、金融システムの安定を保てない。
 世界的には金融機関により多くの自己資本を積むよう求める「バーゼル3」が始まった。ヘッジファンドの監督強化や金融派生商品の市場改革も本格化する。
 米国では金融規制改革法が成立し、金融機関の有価証券売買業務が制限された。英国も銀行業務と証券業務の兼営を見直すなど、独自の規制を導入する方向だ。
 こうした規制で過度の投機を抑えるのは重要だが、金融機関や金融取引の手足を縛りすぎるのでは困る。経済の活力をそがないような適切な対応を望みたい。
 日本の課題も明白だ。物価目標を柔軟に運用し、バブルの膨張を避けながらデフレ脱却を目指す。消費税増税と社会保障改革を柱とする財政再建を進める。それが世界経済の安定にもつながる。
 自動車や電機に頼りすぎた産業構造を多軸化し、規制緩和や自由貿易をテコに成長力を高める必要もある。こうした政策に安定政権の力を結集してもらいたい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013091402000143.htmlより、
東京新聞【社説】原発被災者救済 切なる声受け止めたか
2013年9月14日

 原発被災者の生活を国が支える「子ども・被災者支援法」を生かす前提となる基本方針案が、やっと示された。だが、案づくりで肝心の被災者の声が十分に反映されたのか。はなはだ疑問だ。
 昨年六月にできた支援法を具体化し、被災者の要望に応えていくには、まず政府が基本方針をつくる必要があった。ところが、担当の復興庁が基本方針を決めかね、ずっと先延ばしされてきた。
 被災者らにとっては頼みの綱ともいえる法なのに、成立から一年以上たってもこうした事態が続いていた。我慢も限界に達して、八月には国を相手取り訴訟を起こした被災者もいる。
 ここにきて基本方針案が示されたことは前進と言えなくもない。案では、放射線量の基準は定めぬまま、避難指示区域などを除く福島県東部の三十三市町村を「支援対象地域」とした。県西部や近隣他県などは「準支援対象地域」として支援へ含みを持たせた。
 ただ、その中身は、被災者・避難者の住宅、仕事の確保や健康不安への対応など、すでに各省庁や自治体が行ってきた支援策を寄せ集めた感が否めない。
 何よりも見逃せないのは、方針案づくりのみちすじである。支援法に、こう定めてあるからだ。
 ▽基本方針をつくる前に、原発事故の影響を受けた住民や避難者の意見を反映させる機会を設けるように▽さまざまな施策の内容についても、被災者の意見を反映させるように-と。
 それが十分になされていない。方針案を公表した八月三十日当日から、いきなりパブリックコメント(国民に意見を求める手続き。当初は十五日間。途中で二十五日間に延長)を募った。いかにも性急で帳尻合わせに映る。
 福島などで説明会も開いたが、これで、被災者らの意見を反映させたとして済ませるつもりだろうか。会場からは「方針案決定の経緯がわからない」「撤回して」などと不満の声が上がった。
 福島県や首都圏からの被災者、自主避難者は、今も全国に散っている。「これまで直接声を聴いてくれる公の場は、まずなかった」と被災者らは訴えている。
 超党派、全会一致で成立した議員立法である。見直しもできる。国会議員も責任を共有し、意見を聴く場を今からでもより多く持つよう、働き掛けるべきだ。
 一人でも多くの被災者のまなざしや声と向き合ってこそ、支援のあり方に真心がこもるはずだ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 9月 6 日(金)付
原発被災支援―肉声を聴いてこそ

 原発事故の被災者への具体的な支援策をまとめた「基本方針案」が、ようやく示された。
 基本方針を作ることは、昨年6月にできた「子ども・被災者支援法」に定められていた。
 ところが復興庁は先送りを続け、先月とうとう被災者たちから「不作為は違法だ」と訴訟を起こされていた。やっと重い腰を上げたことは評価したい。
 ただ、見すごせないことがある。この法律には、方針を作る前に被災者の意見を聴くと定められている。
 なのに復興庁は、閣議決定の前にたった2週間、パブリックコメント(市民の意見)を募るだけで済まそうとしている。この1年余り、被災者の声をじかに聴く機会は設けなかった。
 同法は、超党派の議員立法でできた。これまでは各省庁や福島県がバラバラに支援策に取り組んできた。これを、地元にとどまった人、避難した人、地元に帰る人それぞれの視点から何が必要か見直し、全体計画をつくる。そんな目的の法律だ。
 基本方針案は、福島の33市町村を支援対象地域とし、県外をふくむほかの地域は施策ごとに準支援対象地域を設ける。放射線量を減らす取り組みへの支援や被災者の医療、住宅や就業の支援など、広範な分野が網羅されている。
 なかには民間団体を活用した県外避難者への相談対応といった新事業もある。が、全体に今ある支援策をまとめただけの印象はぬぐえず、「要望が多いのに反映されていない」と支援団体が指摘する項目も多い。
 たとえば、福島県外にも線量が高い地域がある。どこでも十分な健診を受けられるようにしてほしいという要望は強い。避難生活が長引く中、借り上げ住宅の期間延長や住みかえ、離れて暮らす家族と会う交通費の補助拡充を求める声も多い。
 国会審議の過程で、立法の中心になった議員は「パブコメなどでなく、当事者の声を直接聴く場を」と念を押していた。
 被災者の間には、避難の必要性をめぐる対立さえある。だからこそ、さまざまな立場の人から丁寧に意見を聴いて支援策を練らないと、しこりを残すことになりかねない。
 東日本大震災復興支援財団は福島県内外で会合を催し、被災者数百人の声を聴き取った。被災者の声を吸い上げる仕組みや対話の場を望む声も多かった。
 民間にできることが復興庁にできないはずはない。パブコメですませず、これからでも被災者を集めて声を聴き、施策の充実につなげるべきだ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013082302000131.htmlより、
東京新聞【社説】被災者支援法 国の不作為厳しく裁け
2013年8月23日

 「原発被災者支援法」に基づく支援を受けられないのは違法として、ついに被災者たちが国を訴えた。成立から一年以上がたつのに支援は今もないに等しい。司法はこの怠慢を厳しく裁くべきだ。
 国や東京電力から何の補償もなく、被ばくの影響を心配しながらの暮らし…。東京地裁に提訴した原告の一人、造園業を営む伊藤芳保さん(50)=栃木県那須塩原市=は我慢の限界だった。
 原発事故から半年がたった頃、地元がホットスポットになっていることを知り、大学の専門家に測定を依頼すると、寝室や高校生の娘の部屋の放射線量が毎時〇・五マイクロシーベルト近くと高い。被ばくの影響を心配し、妻と娘だけでも避難させたいと、線量が低めだった隣町にアパートを借りて住まわせた。家賃など費用はすべて自己負担だ。
 本来は国がやるべきことなのに、苦しみばかりが押しつけられる。原告の十九人は事故当時、国が決めた避難指示区域外にある福島県郡山市や福島市、隣県などに住み、事故後も住み続けているか、県外に自主的に避難した人たち。その主張はいたって明快だ。
 被災者の医療や生活を支える支援法は昨年六月に成立した。なのに政府が肝心な「基本方針」を策定しないのは違法であるとし、自分たちが法に基づく支援を受ける立場にあることの確認を求めている。法の付則は成立から一年以内に基本方針を作ることを求めている。訴えられるのは当然だろう。
 法の支援は原発事故によって「一定の基準」以上の放射線量になった地域に住む人を対象にしているが、この基準の線引きが壁になってきた。原告は一般人の年間許容線量一ミリシーベルトを基準にし、それを超える地域を対象にすべきと主張する。法律が成立した時点の線量に基づけば、原告は全員対象になる。条文に「放射線が健康に及ぼす危険は科学的に十分解明されていない」と明記している趣旨を酌めば、不安を与えないような幅広い救済を目指すべきだ。
 政府が被災者と法廷で争うのは間違っていないか。やるべきは基本方針を決めるために一刻も早く、被災者と協議を始めることだろう。請求額が一円なのも、政府に不作為の罪を問うためだ。
 前例のない原発事故だからこそ、被害の救済も前例のない難しさがあるだろう。しかし、救済を放置してきた政治は許せるものではない。被災者の思いに司法は寄り添ってほしい。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/130916/trd13091603170003-n1.htmより、
産経新聞【主張】稼働原発ゼロ 長期化回避へ国は決意を
2013.9.16 03:17

 またもや「原発ゼロ」である。国内の50基中、唯一稼働していた関西電力の大飯原発4号機が、発電を停止して定期検査に入った。
 稼働原発ゼロ状態は、昨年5月に北海道電力の泊原発3号機が定期検査で止まった後、7月に大飯原発3号機が再稼働するまでの2カ月間に続く再来である。国家レベルの異常事態としての認識が必要だ。
 2年半前の東日本大震災で、定期検査を終えても再稼働ができない原発が増え続け、政権が民主党から変わった後も、その流れを改めることができないまま現在の状況に立ち至った。
 福島事故を受けて原発全廃を宣言したドイツでさえ約半数の9基が稼働している。日本は、近隣国からの電力供給を受けられない。ドイツに比べてエネルギー資源も極めて乏しい。原発ゼロ状態はエネルギー安全保障上も非常に危うい状態だ。
 今回の原発ゼロは前回より長引くだろう。7月に施行された原発の新規制基準に照らしての安全審査が、四国電力の伊方原発3号機や九州電力の川内原発1、2号機などで始まっているが、原子力規制委員会の承認が得られても、再稼働には地元の同意が必要だ。
 原発の長期停止は、さまざまな問題を引き起こす。その一例が、海外に支払われている火力発電の燃料代だ。年間約4兆円は、消費税率1・5%引き上げに相当する巨費である。国富の流出は、日本の成長戦略を脅かす。
 原発停止に対する国民の感覚まひもまた危うい。社会の機能を損なう大停電が起きていないのは、各電力会社が懸命に火力発電を続けている結果だが、設備の耐久力も限界に近い。火力に依存した電力供給の綱渡りだ。その綱もいつ切れるか分からない。
 火力依存で、二酸化炭素の排出量も増えている。原発事故から3年目に入ってもこのありさまでは、世界の同情も薄れ、批判の声も起き始めよう。
 稼働原発ゼロ状態に、一日も早く終止符を打たねばならない。そのためには原子力規制委の意識改革が必要だ。運転しながらの安全確認も可能なはずだ。
 それにもまして国の決意が重要だ。安倍晋三首相は、日本における原発の必要性を国民に丁寧に説明すべきである。エネルギーに事欠く国に発展はあり得ない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130914k0000m070114000c.htmlより、
社説:原発ゼロ再び エネルギー改革全力で
毎日新聞 2013年09月14日 02時30分

 関西電力の大飯原発4号機(福井県)が15日に定期検査で停止し、日本で稼働中の原発が再びゼロになる。前回ゼロになったのは、2012年5〜7月。それから1年以上を経て感じるのは、国のエネルギー政策の見通しが、いまだにはっきりしないもどかしさだ。
 汚染水問題をみれば原発事故は収束から程遠い。優先すべきは原発再稼働より福島対応であることは明らかだ。それを認識した上で、2度目の原発稼働ゼロを、日本のエネルギー政策を改めて考え、抜本的な改革を全力で進めるきっかけにしたい。

 ◇まず脱依存の目標を
 私たちはこれまで、なるべく早い時期に恒久的な原発ゼロを実現しようと主張してきた。地震国の日本で原発を動かすことのリスクがあまりに大きいと考えるからだ。
 ひとたび原発事故が起きれば、これほどの災害に見舞われる。汚染水対策や除染の問題、家や仕事、農地を奪われた人々の実情を見れば、事故のコストは容認できない大きさだ。原発を動かせば必ず増えていく核のゴミの最終処分のめどもまったく立っていない。このまま原発を動かし続ける選択は、将来世代にツケを回すことにほかならない。
 このところ原発が2基しか動いていなかったことを思えば、原発なしでは電力が足りないとの指摘には説得力がない。一方で、再生可能エネルギーの育成には時間がかかり、この間、火力発電のたき増しは避けられない。これが燃料費の負担増大につながり、経済を圧迫するとの懸念を払拭(ふっしょく)するのは難しい。火力発電による二酸化炭素の排出増加にも無関心ではいられない。
 こうしたことから、一定の期間、限られた原発を動かさざるを得ない状況はあるだろう。しかし、その場合も、原子力規制委員会の安全審査をよりどころに、漫然と原発を再稼働していくのでは、エネルギー改革を進めることはできない。
 安倍晋三首相は原発再稼働に意欲を見せる一方で、2020年夏季五輪の東京開催決定を受けた記者会見では「原子力比率を引き下げる」「今後3年程度の間に再生可能エネルギー普及と省エネルギー推進を最大限加速させる」と表明している。
 その実現に大事なのが、中期的なエネルギー政策の方針を示す政府の「エネルギー基本計画」だ。ところが、年末までに策定する計画には全電源に占める原発比率などの数値目標は盛り込まれない見通しだ。
 自民党は電源構成の目標を「10年以内に確立する」とし、茂木敏充経済産業相は「7年後」という意向を示している。原発の再稼働や再生エネ導入の行方を見てから決めるというが、先に目標を決めるべきだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130914k0000m070114000c2.htmlより、
 首相の発言通り再生エネの導入を最大限加速するには、そのコストの引き下げや、安定性を増すための蓄電技術の開発、電力需要を平準化するためのシステム開発などに官民で取り組む必要がある。しかし、政府の原発政策が定まらなければ、民間は設備投資などをためらうだろう。需要があやふやでは、リスクが大きいからだ。それでは大きな進展は期待できない。
 小泉純一郎元首相も、「今ゼロという方針を打ち出さないと将来ゼロにするのは難しい。総理が決断すればできる」と毎日新聞の取材に語っているが、その通りではないか。

 ◇「乾いた雑巾」は誤りだ
 実際、具体的目標が決まらないことの弊害は表れている。再生エネの成長を促す「固定価格買い取り制度」が始まって1年になるが、将来の主力電源と期待される風力発電の導入が進まない。環境影響評価(アセスメント)に時間がかかることや、農地法の規制で風車が建てにくいといった要因が背景にある。電力会社も導入に消極的だ。目標を決め、官民が本気で取り組む姿勢がはっきりすれば、合理的な規制緩和や送電網の整備が進むのではないか。
 省エネも政策次第でさらに進められる。今夏の日本は1898年以降で4位の暑さだったが、東京都の集計によれば、東京電力管内の日々のピーク電力の平均値(7〜8月)は2010年比で約17%減り、11年、12年と同水準の削減が継続した。照明の照度を落としたりLEDへ転換したりするなど、無理のない節電・省エネが定着したと考えられる。
 都は10年度から、大規模なオフィスビルや工場に温室効果ガスの排出総量削減を義務づけ、排出量取引制度を導入した。都内の年間電力消費量は11年度、12年度ともに10年度比で1割削減された。省エネが進んだ日本は「乾いた雑巾」で、もう絞れないという考え方は誤っている。
 ビルの断熱性能を高める、ピーク時間帯の電気料金を高くして需要削減を図るなど、まだ打てる対策は多い。エネルギー消費量を減らしつつ、経済発展や生活の質の向上を図ることは十分に可能だ。
 福島の原発事故から2年半。多くの人が原発に依存した社会に危機感を抱き、それまでとは違う暮らし方を模索してきた。原発稼働が再びゼロになるのをきっかけに原点に立ち返り、私たち一人一人が原発に頼らない社会を思い描き、その実現に向けて行動する時ではないか。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130914ddn003040027000c.htmlより、
クローズアップ2013:原発なき冬、現実味 福井・大飯4号機あす停止 再稼働時期、見通せず
毎日新聞 2013年09月14日 大阪朝刊

 関西電力大飯原発4号機(福井県おおい町)の運転停止で15日、日本は再び「稼働原発ゼロ」になる。電力各社は原発再稼働を目指すが、安全審査のハードルは低くない。関電管内は東日本大震災後、初めて原発ゼロの冬を迎える可能性がある。厳しい電力需給の中、電気料金の再値上げも現実味を帯びている。【江口一、岡田英、鈴木一也】

 「事前確認はあくまで事前確認。ゼロからのスタートだ」。17日に再開される大飯原発の安全審査。原子力規制委員会の姿勢を、関係者はこう明かした。
 大飯3、4号機は7月の規制基準施行前から稼働していたため、規制委が重要項目に絞った法定外の「事前確認」を4月から実施。7月に「安全上重要な問題はない」として定期検査までの稼働を認められた。
 こうした経緯から「再稼働の安全審査は短時間ですむ」との臆測もあったが、規制委の関係者は「一つずつ手順を踏む。省略はしない」と強調する。
 今後の審査では「地下構造の把握」が大きな問題になりそうだ。
 原発の規制基準は、地震・津波対策強化のため、敷地内の「未知の地下構造」をあぶり出す調査を義務付けた。関電は、大飯原発の敷地内の地震記録が不足していたため、同じ若狭湾沿岸の高速増殖原型炉「もんじゅ」の調査結果を利用したが、規制委から批判された経緯がある。改めて調査中の関電が規制委を納得させる結果を示せるか、注目される。
 また原発周辺には、非常用取水路を横切り、「活断層でない」と判断されたF−6破砕帯とは別に三つの活断層があり、その3連動を前提とした耐震評価も精査が必要だ。
 規制委の田中俊一委員長は「クリアすべき課題はたくさんある」と話す。
 他原発の安全審査が本格化し、スケジュールが過密になっており、再稼働の時期は見通せないのが現実だ。

 ◇供給減必至、鍵は節電 規制委「ゼロから安全審査」
 東日本大震災後初めて原発ゼロの冬を迎える公算が大きい関電管内は厳しい電力需給が見込まれる。関電は火力発電や他の大手電力からの受け入れを増やして乗り切ろうとするが、燃料費の増加で収益悪化は不可避。数値目標付きの節電要請も視野に入ってくる。
 「大飯がなければ大変なことになっていた」。関電の八木誠社長は13日、東京都内の記者会見で今夏の需給を振り返った。冬のピーク時の需要は夏に比べて1、2割程度低いが、昨冬も大飯2基が稼働していたため、最大需要(2432万キロワット)を記録した日も供給力は2656万キロワットで224万キロワットの余裕があった。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130914ddn003040027000c2.htmlより、
 今冬は、大飯2基分の出力(計236万キロワット)がなければ、原発の余剰電力で夜間にくみ上げた水を昼間に放流し発電する揚水発電分も減る。関電は以前、大飯2基の停止で揚水が約200万キロワット減ると試算していたが、他社からの電力受け入れを増やすことはできる。それでも「供給力が昨冬より減るのは確実」(同社幹部)という。
 鍵を握るのは節電だ。昨冬は余裕があるとして数値目標付き節電を見送ったが、2010年比約6%の節電を達成。今夏も数値目標なしで約10%節電できたが、需要抑制をより強く訴えるため2年ぶりに数値目標を設ける可能性もある。
 寒さがピークとなる来年2月までに原発再稼働が期待できる四電や九電から電力を購入すれば、費用増で業績の悪化は避けられず、電気料金の再値上げも現実味を帯びてくる。関西経済連合会の角和夫副会長(阪急阪神ホールディングス社長)は「(再値上げされると)中小企業をはじめ、多くの企業が大変な事態になる」と警戒する。

 ◇使用率96%記録
 関西電力管内の13日の電力使用率(供給力に対する需要の割合)は、午後2時台に96%を記録した。想定以上に気温が上昇し、冷房需要が増えたためとみられる。使用率96%は、7月1日からの政府の節電要請期間中では8月22日に続き2度目の最高値。南港火力発電所2号機(大阪市住之江区、出力60万キロワット)などが点検作業のため停止していたほか、揚水発電も減らしていたため、使用率が高くなった。【鈴木一也】

 ◇伊方など6基先行 高浜など6基出遅れ
 再稼働に向けて安全審査を申請した6原発12基は、6基が先行、6基が出遅れという状況だ。
 早期再稼働の「最有力候補」とみられているのが四国電力伊方3号機(愛媛県)。規制基準で義務付けられている事故時の前線基地「緊急時対策所」を唯一完成させた。放射性物質が侵入した場合、除去しきれず、作業員が全面マスクを着用しなければならないことが問題視されたが、四電が今月10日、フィルターを二重化してマスクを不要にする計画を提示すると、規制委の更田豊志(ふけたとよし)委員は「劇的に改善した」と評価。地下構造の調査も「よく把握されている」(規制委の島崎邦彦委員長代理)とされる。
 次いで準備が整っているのが九州電力の川内1、2号機(鹿児島県)と玄海3、4号機(佐賀県)、北海道電力泊3号機(北海道)の5基。ただ、いずれも「地下構造調査が不十分」と指摘された。規制委はこれら6基を対象に設備配置状況を現地で確認する。13日に伊方に入ったのをはじめ、20日に川内、27日に玄海、10月に泊を予定している。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130914ddn003040027000c3.htmlより、
 残る6基は対策の遅れや準備不足で後回しにされた。泊1、2号機は重大事故時の解析で構造の異なる3号機のデータを流用、規制委は審査を保留した。関電高浜3、4号機(福井県)は敷地の高さ(3・5メートル)を超える津波が来るとする福井県の試算(約3・7メートル)を反映しておらず、設備面の審査が停止。規制委の田中委員長は「規制委はそんなに甘ちゃんじゃない」と訴えた。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130908/dst13090803180002-n1.htmより、
産経新聞【主張】大飯原発 再稼働に向け審査を急げ
2013.9.8 03:17 (1/2ページ)

 原子力規制委員会が関西電力大飯原発3、4号機の安全審査に入ることを決めた。敷地下の地層は「活断層ではない」との判断をようやく下したためだ。
 調査開始から判定まで10カ月もかかった規制委の姿勢には問題がある。今後は迅速な審査に努めてもらいたい。
 すでに大飯3号機は定期検査のために稼働を停止し、4号機も15日には運転を止める。これによって日本は、再び「原発ゼロ」という異常事態を迎える。残暑が続く中での原発停止で電力危機が再燃する懸念もある。
 この払拭には、原発の早期再稼働が欠かせない。規制委が安全性を確認した原発は、ただちに運転を再開する必要がある。政府は地元に対する説明を含めて万全の体制であたってほしい。
 規制委が昨年11月に調査を始めた大飯原発では、重要施設の「非常用取水路」の真下を横切る断層の評価が焦点だった。規制委は活断層のリスクを重視する調査メンバーの意見に左右され、幅広い科学的な知見を求めなかった。専門家でさえ首をかしげるほど大がかりな掘削調査をしたことも判定まで時間を要した原因の一つだ。
 敦賀原発や東通原発などでも活断層の評価が進められている。規制委は今回の判定を機に科学的な議論に徹するように改め、評価作業の合理化を進めるべきだ。
 関電管内では8月下旬、気温上昇に伴う電力需要増と発電所トラブルで供給予備率が急低下し、他電力からの緊急融通で乗り切ったばかりだ。大飯原発の稼働停止で合計200万キロワット以上の供給能力が失われる。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130908/dst13090803180002-n2.htmより、
2013.9.8 03:17 (2/2ページ)
 7月に施行された新安全基準に基づき、四国電力の伊方原発や九州電力の川内原発なども規制委に安全審査を申請している。伊方では近く、現地調査も始まる。規制委は迅速に審査を進め、原発の早期再稼働で安定的な電力供給を確保しなければならない。
 ほとんどの原発が運転を停止する中で、火力発電所向けの輸入燃料の価格が上昇し、今月からは北海道と東北、四国の3電力が家庭用電気料金を引き上げるなど、値上げの動きが広がっている。
 再稼働が遅れれば追加値上げも予想される。料金引き上げは国際競争力を低下させ、回復傾向にある日本経済にも悪影響を与えることを忘れてはならない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130908k0000m070103000c.htmlより、
社説:大飯原発 引き続き厳格な評価を
毎日新聞 2013年09月08日 02時30分

 関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の重要施設を横切る断層について、原子力規制委員会の有識者調査団は「活断層ではない」との見解で一致した。活断層であれば廃炉にもつながりかねず、関電は胸をなで下ろしているかもしれない。
 だが、これで大飯原発の安全性にお墨付きが与えられたわけではない。関電も規制委も引き続きリスクの判断を慎重に行ってもらいたい。
 大飯原発は3号機が今月3日に停止、4号機も15日に停止し、日本で稼働中の原発は再びゼロになる。関電は早期再稼働を目指し7月に安全審査を申請したが、原子炉冷却に必要な施設の直下を断層が横切っているため、審査は中断されていた。
 規制委は有識者調査団の見解を受け、定期検査後の再稼働に向けた安全審査を再開することを決めたが、重要な課題は残されている。
 ひとつは、原発敷地内の「未知の地下構造」だ。その特徴によって、地震動が増幅されるなど予想外のことが起きることがあるため、新規制基準が調査を義務づけた。規制委は関電の分析が不十分だと指摘している。原発周辺には今回の断層とは別に三つの活断層があり、連動を前提とした耐震評価も精査が必要だ。
 こうしたリスクの評価で気になるのは関電の消極的な姿勢だ。活断層の3連動については、規制委から再三、試算するよう求められながら、「連動しない」との主張にこだわってきた。関電は高浜原発でも津波高の想定不足を規制委から指摘され、上方修正している。危険性の軽減に電力会社自らが積極的に取り組む姿勢がなければ、信頼は得られない。
 有識者調査団の評価では、リスク認定の難しさも改めて浮き彫りになった。原発の建設工事で地層の一部が削り取られており、断層の活動年代を知ることを難しくしていた。また、専門家同士の間で見方に食い違いも生じた。検討対象となった断層が敷地内をどう走っているかについても最終合意されていない。
 関電が当初、想定した場所に断層が見つからないなど、建設時の調査がずさんだったことも分かった。
 活断層や地震、津波などのリスクを確実に判定することは難しい。再稼働は、「安全か否か」ではなく、「どこまでリスクを受け入れるか」で判断せざるをえない。だからこそ、地元の了解も重要な要素だ。
 活断層の調査を誰が実施するのかも今後の課題だ。これまでは電力会社に任されてきたが、調査の客観性を担保するのなら規制委が自ら調査にあたることも考えた方がいい。少なくとも調査計画案は規制委が独自に作るべきで、そのための体制強化も進めてほしい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59234610T00C13A9EA1000/より、
日経新聞 社説 需給見据え安全確認した原発の再稼働を
2013/9/3付

 関西電力の大飯原子力発電所3、4号機が15日までに、定期検査のために運転を停止する。国内で稼働する原発は1年2カ月ぶりにゼロになる。
 電力需給はまだ厳しい。原発を代替する火力発電用の燃料費も増え続けている。新規制基準に沿って安全が確認できた原発を着実に再稼働させていく必要がある。
 国内の原発は昨年5月、すべて停止した。大飯原発は政府が夏場の電力不足の回避を理由に、暫定基準で再稼働を決め、昨年8月に運転を再開した。
 今回の停止は13カ月以内の定期検査を義務付ける規制に沿った措置だ。稼働の基準を定めた新規制基準が施行された以上、大飯原発だけを特別扱いはできない。
 福島第1原発の事故から3度目の夏、和らいできたように見えた電力の需給は依然、綱渡りであることを思い知らされた。
 全国で猛暑が続き、8月22日には関電の供給区域で、供給力に対する需要の割合を示す電力使用率が96%に上昇した。これは政府が警報を発する一歩手前の水準だ。
 関電は中部電力や中国電力など周辺の4電力会社から緊急に電力を送ってもらいしのいだ。同じ日、関電を含め全国6社の使用率が90%を超えた。
 電力各社は原発を補うため、火力発電所をフル運転させている。長期間運転を止めていた古い設備を使うケースもあり、酷使でトラブルが頻発した。9月に入ったとはいえ残暑が続く。需給にまだ気を緩めるわけにはいかない。
 原油や液化天然ガス(LNG)などの2012年度の輸入費は、事故前より約3兆円増えた。13年度は増加分が3兆8000億円に膨らむ見込みだ。
 北海道電力、東北電力、四国電力の3社は1日から家庭向けの電気料金を平均7~8%引き上げた。値上げした電力会社はこれで6社となる。国富の流出と国民負担の増大は、回復の兆しが出てきた景気に水をさしかねない。
 福島原発での相次ぐ汚染水問題は国民に強い不安を広げている。国をあげて事故処理に取り組み、信頼を回復させることがなによりも大切だ。
 同時に安全が確認できた原発は使わざるをえない。そのための新規制基準だ。すでに4社が計12基の再稼働を申請した。原子力規制委員会の審査も始まった。この作業の円滑な実施が必要だ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130903k0000m070110000c.htmlより、
社説:原発汚染水対策 首相の危機管理を問う
毎日新聞 2013年(最終更新 09月03日 06時18分)

 東京電力福島第1原発の放射性汚染水問題が、深刻度を増している。300トンもの汚染水漏れが発覚した地上タンクと同型のタンク周辺で、高い放射線量が検出された。海洋への汚染水流出も続く。海外メディアも、2年半前の事故以来最大の危機として伝えている。事故は収束していないどころか、極めて緊迫した状況にある。国家としての危機管理能力が問われる事態だ。
 安倍晋三首相は汚染水対策について「東電任せにせず、国として緊張感を持って対応していく」と述べているが、これまでの対策からは、首相の顔が見えてこない。

 国内外の懸念に応えよ
 安倍首相は、就任直後から原発再稼働を掲げ、成長戦略の一環として原発輸出の「トップセールス」にまい進してきた。だが、最優先すべき課題は第1原発の事故処理であり、汚染水対策であるはずだ。汚染水問題が解決できなければ、日本の原発技術の安全性をいくら強調しても、絵に描いた餅になる。原子力災害対策本部長として、対策の陣頭に立つことこそ首相の役割だ。
 汚染水は毎日、増え続けている。壊れた原子炉建屋に1日400トンの地下水が流れ込み、溶け落ちた核燃料と接触しているためだ。東電は、この高濃度汚染水からセシウムを除去し、敷地内でタンクなどにためている。低レベルの汚染水も含めた貯蔵量は40万トンを超える。一方で、汚染された地下水の一部は海に流出している。
 東電は、セシウムを除去した汚染水を62種類の放射性物質を取り除く多核種除去装置「ALPS」で再度処理する計画だ。ところが、試運転で設備の水漏れが見つかり、稼働が遅れている。タンクを増設し、増え続ける汚染水をためる自転車操業方式の対応は、破綻寸前にある。
 タンクからの汚染水漏れ発覚後、経済産業省は局長級ポストの「汚染水対策監」を新設し、第1原発に駐在する職員を増やすことを決めた。東電も社長直轄の対策本部を設置した。国内外の専門家を招くという。こうした体制強化に一定の効果はあるだろうが、対症療法に過ぎない。汚染水漏れなどのトラブルは、これからも起きることだろう。
 政府は近く、汚染水問題の総合的な対策を公表する。ALPSの増設や、地下水を建屋流入前にくみ上げて海に流す「地下水バイパス」の実施が課題となっている。建屋周囲の土を凍らせて地下水を遮る「凍土遮水壁(地下ダム)」は、今年度予算の予備費を投入するという。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130903k0000m070110000c2.htmlより、
 地下ダムの必要性は、事故直後から指摘されていた。予算不足や人手不足を理由に、汚染水対策が停滞することは許されない。東電を事実上国有化した政府が、今後は対策の指揮命令系統を握る必要がある。東電に対策を指示するだけでは、問題は解決しないことを認識すべきだ。経産省や原子力規制委員会など関係機関は連携を密にし、目の前の危機に全力で立ち向かってほしい。
 国内外で高まる海洋汚染への懸念に対しても、東電に代わり、政府が前面に立って説明を尽くすことが求められる。東電のこれまでの対応を見ると、隠蔽(いんぺい)体質は変わっておらず、社会的な信用は失墜している。

 ◇国会の早期召集検討を
 国家の危機管理に関わるという認識がなお不足している点では、動きがみえない国会も同様である。
 事態が底なしの状況をみせつつある中、臨時国会召集が予定される10月までの審議放置など論外だ。次期国会を「汚染水国会」と位置づけるくらいの覚悟で与野党は早期召集も含めた対応に動くべき局面である。
 野党側は汚染水問題をテーマに関係閣僚が出席する衆院経済産業委員会の国会会期外の閉会中審査を要求した。だが結局、日程はセットされず近く現地を視察する方向となった。何とも悠長な対応である。
 国会質疑は政府に当事者意識を持たせ、とりわけ原発事故に関しては必要な情報を国民に開示する意味がある。汚染水流出を踏まえ監視、点検体制をどう構築し、抜本解決に何が必要かを早急に徹底議論すべきだ。たとえば「地下水バイパス」計画は、多角的に審査したうえで政治が判断を下すべき課題だろう。
 気になるのは、ヤマ場を迎える東京五輪招致への影響などを危ぶみ、オープンな議論を手控えるような雰囲気が政界にあることだ。むしろ説明不足が日本への不信を強めかねないという発想に転換すべきだ。参院選の関係で6月に通常国会が延長せず閉幕し、審議空白期が長引きかねないことを考えれば、早急な審議実施は当然である。
 野党も与党への追及姿勢や野党間の違いばかり強調するような手法は取るべきでない。むしろ野党間で政策の共通点を探り、建設的な対案を与党に提示するような工夫が必要だ。政党の力量が問われている。
 今月15日には、定期検査に入るため、関西電力大飯原発4号機(福井県)が運転を停止する。国内で稼働している原発は昨年7月以来、再びゼロになる。地震国日本で、原発に依存したエネルギー政策に逆戻りはできない。汚染水問題は、その現実を改めて突きつけている。