原発被災者支援法 「切なる声受け止めたか」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013091402000143.htmlより、
東京新聞【社説】原発被災者救済 切なる声受け止めたか
2013年9月14日

 原発被災者の生活を国が支える「子ども・被災者支援法」を生かす前提となる基本方針案が、やっと示された。だが、案づくりで肝心の被災者の声が十分に反映されたのか。はなはだ疑問だ。
 昨年六月にできた支援法を具体化し、被災者の要望に応えていくには、まず政府が基本方針をつくる必要があった。ところが、担当の復興庁が基本方針を決めかね、ずっと先延ばしされてきた。
 被災者らにとっては頼みの綱ともいえる法なのに、成立から一年以上たってもこうした事態が続いていた。我慢も限界に達して、八月には国を相手取り訴訟を起こした被災者もいる。
 ここにきて基本方針案が示されたことは前進と言えなくもない。案では、放射線量の基準は定めぬまま、避難指示区域などを除く福島県東部の三十三市町村を「支援対象地域」とした。県西部や近隣他県などは「準支援対象地域」として支援へ含みを持たせた。
 ただ、その中身は、被災者・避難者の住宅、仕事の確保や健康不安への対応など、すでに各省庁や自治体が行ってきた支援策を寄せ集めた感が否めない。
 何よりも見逃せないのは、方針案づくりのみちすじである。支援法に、こう定めてあるからだ。
 ▽基本方針をつくる前に、原発事故の影響を受けた住民や避難者の意見を反映させる機会を設けるように▽さまざまな施策の内容についても、被災者の意見を反映させるように-と。
 それが十分になされていない。方針案を公表した八月三十日当日から、いきなりパブリックコメント(国民に意見を求める手続き。当初は十五日間。途中で二十五日間に延長)を募った。いかにも性急で帳尻合わせに映る。
 福島などで説明会も開いたが、これで、被災者らの意見を反映させたとして済ませるつもりだろうか。会場からは「方針案決定の経緯がわからない」「撤回して」などと不満の声が上がった。
 福島県や首都圏からの被災者、自主避難者は、今も全国に散っている。「これまで直接声を聴いてくれる公の場は、まずなかった」と被災者らは訴えている。
 超党派、全会一致で成立した議員立法である。見直しもできる。国会議員も責任を共有し、意見を聴く場を今からでもより多く持つよう、働き掛けるべきだ。
 一人でも多くの被災者のまなざしや声と向き合ってこそ、支援のあり方に真心がこもるはずだ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 9月 6 日(金)付
原発被災支援―肉声を聴いてこそ

 原発事故の被災者への具体的な支援策をまとめた「基本方針案」が、ようやく示された。
 基本方針を作ることは、昨年6月にできた「子ども・被災者支援法」に定められていた。
 ところが復興庁は先送りを続け、先月とうとう被災者たちから「不作為は違法だ」と訴訟を起こされていた。やっと重い腰を上げたことは評価したい。
 ただ、見すごせないことがある。この法律には、方針を作る前に被災者の意見を聴くと定められている。
 なのに復興庁は、閣議決定の前にたった2週間、パブリックコメント(市民の意見)を募るだけで済まそうとしている。この1年余り、被災者の声をじかに聴く機会は設けなかった。
 同法は、超党派の議員立法でできた。これまでは各省庁や福島県がバラバラに支援策に取り組んできた。これを、地元にとどまった人、避難した人、地元に帰る人それぞれの視点から何が必要か見直し、全体計画をつくる。そんな目的の法律だ。
 基本方針案は、福島の33市町村を支援対象地域とし、県外をふくむほかの地域は施策ごとに準支援対象地域を設ける。放射線量を減らす取り組みへの支援や被災者の医療、住宅や就業の支援など、広範な分野が網羅されている。
 なかには民間団体を活用した県外避難者への相談対応といった新事業もある。が、全体に今ある支援策をまとめただけの印象はぬぐえず、「要望が多いのに反映されていない」と支援団体が指摘する項目も多い。
 たとえば、福島県外にも線量が高い地域がある。どこでも十分な健診を受けられるようにしてほしいという要望は強い。避難生活が長引く中、借り上げ住宅の期間延長や住みかえ、離れて暮らす家族と会う交通費の補助拡充を求める声も多い。
 国会審議の過程で、立法の中心になった議員は「パブコメなどでなく、当事者の声を直接聴く場を」と念を押していた。
 被災者の間には、避難の必要性をめぐる対立さえある。だからこそ、さまざまな立場の人から丁寧に意見を聴いて支援策を練らないと、しこりを残すことになりかねない。
 東日本大震災復興支援財団は福島県内外で会合を催し、被災者数百人の声を聴き取った。被災者の声を吸い上げる仕組みや対話の場を望む声も多かった。
 民間にできることが復興庁にできないはずはない。パブコメですませず、これからでも被災者を集めて声を聴き、施策の充実につなげるべきだ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013082302000131.htmlより、
東京新聞【社説】被災者支援法 国の不作為厳しく裁け
2013年8月23日

 「原発被災者支援法」に基づく支援を受けられないのは違法として、ついに被災者たちが国を訴えた。成立から一年以上がたつのに支援は今もないに等しい。司法はこの怠慢を厳しく裁くべきだ。
 国や東京電力から何の補償もなく、被ばくの影響を心配しながらの暮らし…。東京地裁に提訴した原告の一人、造園業を営む伊藤芳保さん(50)=栃木県那須塩原市=は我慢の限界だった。
 原発事故から半年がたった頃、地元がホットスポットになっていることを知り、大学の専門家に測定を依頼すると、寝室や高校生の娘の部屋の放射線量が毎時〇・五マイクロシーベルト近くと高い。被ばくの影響を心配し、妻と娘だけでも避難させたいと、線量が低めだった隣町にアパートを借りて住まわせた。家賃など費用はすべて自己負担だ。
 本来は国がやるべきことなのに、苦しみばかりが押しつけられる。原告の十九人は事故当時、国が決めた避難指示区域外にある福島県郡山市や福島市、隣県などに住み、事故後も住み続けているか、県外に自主的に避難した人たち。その主張はいたって明快だ。
 被災者の医療や生活を支える支援法は昨年六月に成立した。なのに政府が肝心な「基本方針」を策定しないのは違法であるとし、自分たちが法に基づく支援を受ける立場にあることの確認を求めている。法の付則は成立から一年以内に基本方針を作ることを求めている。訴えられるのは当然だろう。
 法の支援は原発事故によって「一定の基準」以上の放射線量になった地域に住む人を対象にしているが、この基準の線引きが壁になってきた。原告は一般人の年間許容線量一ミリシーベルトを基準にし、それを超える地域を対象にすべきと主張する。法律が成立した時点の線量に基づけば、原告は全員対象になる。条文に「放射線が健康に及ぼす危険は科学的に十分解明されていない」と明記している趣旨を酌めば、不安を与えないような幅広い救済を目指すべきだ。
 政府が被災者と法廷で争うのは間違っていないか。やるべきは基本方針を決めるために一刻も早く、被災者と協議を始めることだろう。請求額が一円なのも、政府に不作為の罪を問うためだ。
 前例のない原発事故だからこそ、被害の救済も前例のない難しさがあるだろう。しかし、救済を放置してきた政治は許せるものではない。被災者の思いに司法は寄り添ってほしい。

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