除染完了先送り 「国は生活再建に責任を」

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO60070130T20C13A9PE8000/より、
日経新聞 社説 帰還促す現実的な除染計画に
2013/9/23付

 福島第1原子力発電所の周辺で除染が進んでいない。原発に近い11市町村の除染は国が直轄で実施し、来年3月末までに終える予定だった。だが7市町村でそのメドが立たず、環境省は今年末までに計画を見直すとした。
 除染が遅れているのは、汚染土を運ぶ仮置き場や中間貯蔵施設を確保できず、住民の合意を得るのに手間取っているためだ。長期的に被曝(ひばく)線量を年1ミリシーベルト以下にするとした目標も、自治体などから「目標が高すぎて非現実的だ」と批判が出ている。
 住民の帰還や復興には除染が欠かせず、国が責任をもって加速しなければならない。一方で、森林や原野を含めて徹底的に除染するとなると、費用が巨額に膨らむ。線量がある程度下がった地域では、住民の健康管理や被曝を減らす対策に力点を移し、現実的な計画に練り直すべきだ。
 まず住宅地や農地の除染を急ぎたい。福島県飯舘村では宅地の3%、農地の1%しか除染がすんでおらず、住民の帰還や生活再建の足かせになっている。
 中間貯蔵施設を早く造る必要もある。環境省は大熊町などを候補地に挙げた。地元に安全性や必要性を丁寧に説明し、計画通り2015年の稼働をめざすべきだ。
 住民の帰還の目安となる年間被曝線量を20ミリシーベルト以下、長期的に1ミリシーベルト以下とした目標も、それで妥当なのか改めて議論が要る。
 年20ミリシーベルトは国際機関が「健康影響を回避する出発点」と定めた数字であり、それを満たすだけでは住民の不安を拭えない。日々の被曝線量をチェックし、放射線が高い場所に近づかないようにするなど、被曝管理が重要になる。
 除染一辺倒の対策ではなく、住民に線量計を配ってデータを集め、相談窓口や健康診断の体制を拡充する支援策が欠かせない。
 原子力規制委員会は専門家チームを設け、住民の健康管理に関する支援策づくりを始めた。環境省はそれも踏まえ、住民が安心して帰還できる計画を作ってほしい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 9月 13 日(金)付
除染・賠償―避難者に判断材料を

 原発事故で、国が除染を担う福島県の11市町村について、環境省が作業計画を見直した。
 今年度末までに完了する予定だったが、守れそうなのは、すでに作業を終えた田村市を含めて4市町村だけ。7市町村については、インフラの復旧状況などを踏まえ、年内に新たな計画をまとめる。
 一度除染した場所の追加的な除染や、縁から20メートルを原則としてきた森林除染の拡大を、個々の場所の状況に応じて認める考えも打ち出した。
 当初の計画が破綻(はたん)したのは、除染で生じた廃棄物を運び込む中間貯蔵施設の建設にメドが立たず、市町村ごとに設ける仮置き場も十分確保できていないことが大きい。
 除染への不信からカギとなる施設の建設が進まず、避難生活が長びく――。こうした悪循環を断つには、地元との対話を重ね、理解を得るしかない。どこまで除染を進めるか、詰めた議論も必要になろう。政府の責任は重い。
 大震災と原発事故から2年半がたち、避難者の忍耐は限界に近づきつつある。
 11市町村では、今後の放射線量の見通しに沿って、避難区域の再編が行われた。国が除染を進めているのは、線量が比較的低い避難指示解除準備区域と、それに次ぐ居住制限区域だ。十分な線量低下が見込めない帰還困難区域では実験的な除染にとどまっている。
 本当に自宅に戻れるのか。戻れるならいつごろか。戻れない場合や、新たな場所で再出発したい人は、どのような支援が得られるのか。
 政府はこれらの点について全体像を示し、避難者が生活再建について判断できる環境を早く整えるべきだ。
 とりわけ関心が高いのは、金銭面だろう。自宅などの不動産に対しても東京電力による賠償の支払いが始まったが、古い家屋の所有者を中心に「あまりに額が少なく、今後の青写真を描けない」との声が強い。
 賠償の基準を決める政府の損害賠償紛争審査会は上積みする方針を打ち出したが、ほかにも課題は多い。
 避難指示が解除された場合、いつごろまで賠償を受けられるのか。帰還困難区域など、なかなか戻れない場合の賠償をどう考えるのか。基準作りを急いでほしい。
 汚染水問題などの混乱がいつまで続くのかも、避難者の判断を左右する。政府は避難者の視点に立って、それぞれの課題に向き合わねばならない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130912k0000m070128000c.htmlより、
社説:除染完了先送り 国は生活再建に責任を
毎日新聞 2013年09月12日 02時30分

 国が直轄で実施している福島県内11市町村の除染事業のうち7市町村の完了目標を環境省が延期した。新たな目標は地元自治体と協議した上で年内をめどに決めるという。
 除染がいつ終わるかによって、住民の帰還や復興計画は大きく左右される。見通しの甘さが住民の生活設計を狂わせてしまうことを、政府はもっと真剣に考えてほしい。
 この先、単なる先送りを繰り返すことは許されない。政府は、住民の生活再建を最優先に考え、責任を持って除染の工程表を見直してもらいたい。
 直轄除染の対象は住民が避難している除染特別地域だ。このうち、年間の放射線被ばく線量が20ミリシーベルト以下の「避難指示解除準備区域」と、20ミリシーベルト超〜50ミリシーベルト以下の「居住制限区域」について、住宅や農地、道路や生活圏の森林の除染を今年度末までに終わらせることにしていた。
 だが、震災から2年半がたった今も、除染は大幅に遅れている。
 飯舘村では宅地で実施済みの部分が計画の3%にとどまる。村の担当者によれば、住民に国の除染方法への不信感があることが一因という。他の市町村でも、汚染された土壌の仮置き場が確保できないなどの問題があり、昨年度の国の復興予算で計上された除染事業費の7割近くが使われなかった。仮置き場の先の「中間貯蔵施設」の見通しが立っていないことも、除染の進行を阻む要因になっている。
 政府は、人々の心情を親身になってくみ取り、地域の実情にあった対策を立てていく必要がある。
 ただ、その場合にも、時間や費用に限りがあることは考えなくてはならない。除染対象地域を、すべて一律に除染していくことが合理的かどうかを、再検討する必要がある。
 たとえば、汚染の度合いが低いところを集中的に除染し、学校や交通機関などのインフラを整備して、生活しやすくすることを優先するというのも一つの考えだろう。
 除染をしたとしても線量が高い場所については、地域の人々と話し合いながら除染以外の選択肢を考えていくことも必要ではないか。そのためには、政府が責任を持ち、覚悟をもってのぞむことが欠かせない。
 政府は、帰還の目安となる年間被ばく線量(自然放射線は除く)を20ミリシーベルト以下、除染の長期目標を同1ミリシーベルト以下としている。今回の除染工程表の見直しにあたっても、この数値は変わっていない。1ミリシーベルトの達成目標時期もはっきりしないままだ。
 除染の効果などがある程度わかってきた今、こうした数値の妥当性や達成目標時期についても、改めて検討すべき時ではないだろうか。

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