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日別アーカイブ: 2013年9月26日

http://khgk.seesaa.net/article/375859512.htmlより、
「国本平和学習会」からのお知らせ

☆毎月第4木曜日に定例学習会を開催しています。
☆時間は、午後7時~午後8時(延長:午後9時まで)
ただし、2013年度より、当分の間、午後6時~午後7時に変更します。
☆学習教材として『日本国憲法』(童話屋、300円)と
 『あたらしい憲法のはなし』(童話屋、300円)を使用しています。
☆会場は「国本地区市民センター」です。所在は「検索」などで確認して下さい。
☆誰でも参加できます。(参加無料)
☆平和、文化、教育問題についての発言者、戦争体験の発表者を募集しています。
☆会員募集中です。(年会費:1000円)
☆ブログ:http://khgk.seesaa.net/

下記の通り、第109回学習会を開催します。

第109回学習会
日時:2013年10月24日(木) 午後6時~7時
会場:国本地区市民センター 2階 集会室
内容:改正を考える
1.教材学習
 『日本国憲法』 改正(50~51頁)
 『あたらしい憲法のはなし』 改正(73~75頁)
2.自由討論
3.その他

☆次回予定
第110回学習会
日時:2013年11月28日(木) 午後6時~7時
会場:国本地区市民センター 2階 集会室
内容:最高法規を考える
1.教材学習
 『日本国憲法』 最高法規(51~52頁)
 『あたらしい憲法のはなし』 最高法規(76~77頁)
2.自由討論
3.その他

詳しくは、事務局(今井)まで、お問い合わせ下さい。
☆TEL:028-902-4200
☆FAX:028-902-4221
☆Email:05a21@goo.jp

☆学習教材について
「憲法を生かす会・栃木」のHPに、どちらも全文掲載されています。
http://www2.ucatv.ne.jp/~kenpou.snow/niken2.htm

また東京新聞のHPに、2013年4月19日から「憲法と、」が連載されています。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/kenpouto/

同紙HPには「試される憲法」が掲載されています。
【日本国憲法の誕生から60年。日本の“かたち”を決する、還暦を迎えた最高法規を改めようという動きが顕著になっています。これからの時代、憲法はどうあるべきなのでしょうか。不戦の誓いを掲げた9条を中心に、各分野の人たちが憲法を考え、語ります。】(2007年12月29日終了)
http://www.tokyo-np.co.jp/hold/2007/consti/

さらに「憲法を歩く 施行60年」が掲載されています。
【戦後最長の好景気を更新中と言われても、多くの働く人々にその実感はないだろう。国内企業全体の利益は昨年、史上最高を記録したが、その陰で困窮する労働者が急増している。「生存権」を保障した憲法は、その方策として「勤労の権利と義務」を掲げる。だが、労働環境の劣化は生存権すらも脅かしている。第四部では「貧困と労働」の現場を歩いた。】(2007年12月28日まで)
http://www.tokyo-np.co.jp/hold/2007/kenpou/

なお「はじめての憲法」逐条解説のHPは、
http://www009.upp.so-net.ne.jp/law/kenpou.html
あ な た は 憲 法 の 条 文 を 一 つ で も 知 っ て い ま す か ?
 戦後60余年を迎え、憲法改正について踏み込んだ議論がはじまっています。 性急な憲法改正への動きの中、その中心にいなければならないはずの国民が、どこにも見当たりません。憲法とは誰のためのものでしょうか? 戦争の放棄を誓った憲法前文や第9条をどう考えればよいのでしょうか? 日本国憲法は、いまも世界中の人々が求めてやまない理想をかかげています。憲法には何がきざまれ、それがどのような意味を持ち、私たちに何を語りかけているのでしょうか?
 当サイトでは、抽象的な憲法議論の紹介を中心とはせず、憲法の条文を一つ一つ紹介しながら、どのような意味や議論があるのかを、逐条解説の形で簡単に解説しています。まずは条文だけでも読んでみて下さい。連日報道される憲法改正の議論が、もっと身近で興味の持てるものになれば幸いです。

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http://mainichi.jp/opinion/news/20131001k0000m070106000c.htmlより、
社説:経済対策 財政規律どこへ行った
毎日新聞 2013年10月01日 02時33分

 来年4月の消費増税の影響を緩和するため、安倍晋三政権が検討してきた経済対策がまとまった。企業向け政策減税や復興特別法人税の廃止前倒し、公共事業、低所得者対策が柱だ。増税後の来年4〜6月に、消費が大きく冷え込む「反動減」が見込まれる。その影響を穴埋めし、さらに経済の底上げを狙って経済対策は5兆円を超す規模となる。
 増税前の1〜3月には駆け込み需要があり、景気は一時的に急伸する見込みだ。反動減はそれとならして考えるべきだ。反動減だけに着目して財政出動を膨らますのは、財政規律が緩んでいるとしか思えない。
 安倍政権は発足直後に編成した2012年度補正予算と13年度当初予算で、公共事業を大幅に増やした。アベノミクスの第一の矢の「大胆な金融緩和」が効果を出すのに時間がかかるため、第二の矢の「機動的な財政出動」で、即効性のある公共事業にお金をつぎ込み、景気を上向かせる狙いだった。
 今回の経済対策で、年末に編成する13年度補正予算案と14年度当初予算案でも公共事業に傾注する安倍政権の姿勢が鮮明になった。防災や減災に加え、東京五輪を見据えた物流ネットワークの整備も公共事業を拡大する旗印になる。だが、公共事業を全国にばらまく施策は景気への波及効果に乏しいことは明白だ。
 1990年代、バブル崩壊後の経済対策で公共事業を拡大し、財政が危機的状況となる原因となった。いま日本経済は回復に向け動いている。財政出動のアクセルを緩め、第三の矢の「成長戦略」に今まで以上に重点を移すべきだ。
 経済対策には、成長戦略の具体策も盛り込まれたが、企業への減税策が中心となった。生産性の高い設備への投資を優遇する税制や事業再編を促進する税制を設ける。賃金を増やすよう仕向ける税制優遇策も拡大する。ただ、これで投資や賃上げをどれだけ引き出せるかは不透明だ。幅広い企業に減税の恩恵を及ぼそうとして税制も複雑になってしまう。
 東日本大震災の復興財源に充てる復興特別法人税の1年前倒しの廃止も固まったが、税収9000億円分の穴が開く。成長戦略の目玉が少なく、財政を後回しにして減税に走りすぎている感は否めない。
 企業は経費削減や経済環境の好転で全体として業績回復が進む。それでも経営者が賃上げや投資に慎重なのは、売上高がなかなか伸びないからだ。企業が新たな分野に投資できるよう政府が成長戦略を加速し、農業、保育・介護などで規制緩和の成果を見せることがどうしても必要だ。雇用拡大につながる柔軟な制度への取り組みも大事になる。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013092602000141.htmlより、
東京新聞【社説】復興法人税問題 出発点が間違っている
2013年9月26日

 安倍晋三首相が復興法人税を一年前倒しで廃止する検討を指示した。消費増税した場合に景気腰折れを防ぐ経済対策の一つという。弥縫(びほう)策を重ねるよりも消費増税を先送りすれば済む話ではないか。
 法人税に上乗せした復興特別税は昨年度から三年間の時限措置だが、首相は本年度末で廃止する意向を示し「(法人税減税で)企業収益拡大を図り、賃金増や雇用増につながる景気の好循環を生み出す」と説明した。廃止による減税規模は九千億円程度。公共事業の積み増しや企業向けの投資減税と合わせ、総額五兆円に上る経済対策の柱という位置付けだそうだ。
 おかしな話である。消費税を3%引き上げると国民負担は八兆円も増える。国内総生産(GDP)の六割を占める個人消費が大きく落ち込む見通しなのだから、法人税を数%引き下げたところで企業は雇用を増やしたり賃金を上げるだろうか。積極的に設備投資をするだろうか。
 そもそも五兆円もの経済対策が必要になるなら、それは消費増税法の景気条項で定めた、引き上げの条件である「経済の好転」とまではいえないはずだ。腰折れの懸念がある状況では増税をすべきではないのである。安倍首相はデフレ脱却を最優先に掲げるならば、消費増税を先送りすべきだろう。
 この「出発点」で誤った方向に向かっているから、泥縄式に数字合わせのような対策づくりに追われている。3%の引き上げは経済へのショックが大きすぎて一九九七年の消費増税ショックの再現になりかねない。ならば2%に相当する五兆円規模の対策が必要だろうと、数字が先にありきなのだ。
 中身も、右手で消費増税しながら、左手では公共事業でバラまくといった最悪の財政政策である。増税の趣旨と異なり、財政再建にも逆行する。増税が自己目的化した財務省にとっては、権力の源泉となる「配分の原資」が増えれば万々歳なのだろう。
 仮に消費増税が避けられないというならば、真っ先に行うべきは消費の落ち込みを抑える所得税減税のはずだ。復興法人税の前倒し廃止は、国民の連帯よりも企業収益の方が大事という発想である。
 たとえ代替財源があっても国民の理解は到底得られまい。経団連会長は「非常に喜ばしい」と歓迎の意を示したが、志の低さを恥ずべきである。こんな経済対策をしてまで消費増税はすべきなのか。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130926k0000m070128000c.htmlより、
社説:復興法人税廃止 不公平感埋める説明を
毎日新聞 2013年09月26日 02時32分

 安倍晋三首相は東日本大震災の復興財源である復興特別法人税を1年前倒しで廃止すると明言した。来年4月に消費増税することを前提とした経済対策の柱にする意向だ。
 復興増税は個人の所得税にも上乗せされている。「法人税だけ廃止するのは不公平だ」との声が与党からも上がっている。安倍首相は企業を支援し賃金を上昇させると強調しているが、保証はあるのだろうか。この疑問を解消する説明が足りない。
 復興に必要なお金は25兆円と見込まれている。このうち10.5兆円を企業と個人が負担し、歳出削減や政府の保有株売却といった税外収入などで14.5兆円を捻出する計画だ。法人税は2014年度まで3年間、所得税は37年まで25年間増税することになっている。法人税の増税を1年前倒しで打ち切れば、企業にとって9000億円の負担減になる。国税と地方税を合わせた法人に対する実効税率は東京都の場合、38.01%から35.64%に下がる。
 復興増税は国民全体で被災地の復興を進めるものだ。課税対象を広くし、より公平感のあるものにしようとまとめられた。法人税だけ廃止されることに「企業優遇だ」との批判が出るのはもっともだ。個人に影響の大きい消費増税の対策としてであればなおさらだ。
 安倍首相は法人減税を賃上げや雇用拡大の即効薬と位置づけ、「企業が活力を維持することによって、必ず賃金に反映させるようにしていく」と強調する。減税が所得増に結びつけば消費が増え、企業の売上高も上がり、景気の本格的回復に向かうとの主張だ。
 アベノミクスで大胆な金融緩和を行い、円安が進み輸入品を中心に物価が上がっている。消費増税も予定されているなかで、賃金が今のままなら家計は苦しくなり、アベノミクスは行き詰まる。所得税減税すべきだとの主張もある。だが、安倍首相は企業支援を優先させる考えだ。
 規制緩和などを通じて投資や雇用拡大をしやすい環境にするのが本来の政策だ。企業が減税分をため込んだり、海外投資を増やしたりすれば日本経済への恩恵は限られる。減税されるお金を何に使うかは企業に委ねられるはずだ。どうやって賃金や設備投資に回させる仕組みにするのか、納得のいく説明が必要だ。
 復興財源は9000億円足りなくなるが、25兆円に影響させない考えだ。被災地を考えれば当然と言える。今年度税収が増える分などを回すようだが、本来は財政再建のためのお金だ。それを使うなら、持続的な景気回復につなげる筋道を具体的に描くべきだ。減税を一時だけの景気テコ入れ策にしてはならない。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130925/fnc13092503180000-n1.htmより、
産経新聞【主張】復興法人税廃止 被災地への影響を避けよ
2013.9.25 03:17

 政府・与党が復興特別法人税を1年前倒しで廃止する方向で検討に入った。来年4月の消費税増税を控え、安倍晋三政権が景気の腰折れを防ぐ経済対策の一環と位置付けているものだ。
 与党内には復興財源への影響を懸念して反対する声もあるが、日本企業の競争力向上にもつながる。前倒し廃止は必要だろう。
 経済対策には、企業に対して賃金の引き上げや設備投資を促す減税も盛り込む方針だ。法人税減税で恩恵を受ける産業界は、日本経済の成長に向けて賃上げや投資拡大に取り組む責務がある。
 所得税と法人税は現在、東日本大震災の復興に充てるため期限付きで増税されている。復興法人税は来年度末に廃止予定だったが、これを今年度末に1年前倒しすることで調整中だ。法人税は約9千億円の減税が見込めるという。
 安倍首相は一方で、復興財源規模を19兆円から25兆円に拡大し、被災地の復興を加速させる考えを示してきた。首相が「前倒し廃止は、復興財源の確保が前提だ」と強調しているのは当然だ。
 与党内には復興財源の減少などを心配し、前倒し廃止に反対の意見もある。廃止にあたっては、景気回復に伴う税収の上振れ分を復興財源に必ず充当することを明記するなどの工夫が欠かせない。
 被災地の復興に影響させないとの基本方針を、安倍首相がしっかりと示し、国民の理解を求めなければならない。
 安倍政権が進める成長戦略でも、企業による投資を喚起して日本経済を活性化させることを目指している。復興法人税の前倒し廃止は、日本をデフレ経済から抜け出させることにもつながる。
 企業も余剰資金をため込んでばかりいては成長は見込めない。政府は経済界や労働界と雇用問題などを話し合う政労使協議を始めたが、賃上げする余裕のある企業は従業員に対する配分原資を増やすなど、企業自らが積極的な行動に移すことが求められる。
 一方、国税と地方税を合わせた日本の法人実効税率は、主要国と比べても高い水準にある。復興法人税を廃止しても実効税率は30%台半ばと高止まりしたままだ。
 経済界には引き下げを求める声が根強い。日本企業の国際競争力を強化し、雇用拡大などを進めるためにも法人税率を中期的に引き下げることも課題だ。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO60196670W3A920C1EA1000/より、
日経新聞 社説 「限定正社員」を意義ある制度にするには
2013/9/26付

 勤務地や職務が限られたり、労働時間が短かったりする「限定正社員」を普及させようという動きがある。規制改革会議の答申を受けて今月、厚生労働省が有識者懇談会を設けて議論が始まった。
 限定正社員という雇用形態は、これまでも勤務地を特定の事業所に限った社員などの例がある。
 一般の正社員は会社に命じられた勤務地や職務で働き、残業もある。これに対して限定正社員は勤務地、職務などのどれかが「限定」されるため、正社員と同じ賃金は見込みにくい。しかし、契約期間が制限される非正規社員と比べ、処遇や雇用は安定的になる。
 正社員ほどの待遇ではなくても限定正社員という器は非正規社員の処遇改善に役立つ。単身赴任や長時間労働を強いられる正社員のあり方を見直す契機にもなる。働き方が多様化するなか、限定正社員は選択肢を広げる意義がある。
 ただし、普及のために留意しなければならないことがある。雇用保障をめぐる点だ。
 一般の正社員は解雇に厳しい制限があるが、限定正社員は雇用保障が緩いとされている。事業所の閉鎖などで勤務地が消滅したり、その職種がなくなったりした場合、解雇がやむを得ない場合もあるとされる。経団連はその点を法律に明記するよう求めている。
 これに対し連合は、限定正社員が、解雇されやすい仕組みを広げるとして強く反発している。
 解雇に道を開く規定を法で定めれば、働く人の不安が増すのは当然だ。労働組合側は一般の正社員が限定正社員に切り替えられ、雇用が不安定になると警戒する。
 このため限定正社員を普及させるには、解雇ルールを法律で定めるのではなく、各企業がそれぞれこの雇用形態の制度をつくっていくことが現実的だ。賃金をはじめとする労働条件や職務の決め方などを、労使でよく話し合ってもらいたい。労組側も限定正社員を、非正規社員の処遇改善の手段として前向きにとらえるべきだ。
 限定正社員になる人は契約を結ぶ前に、賃金や雇用保障などの説明を十分に受けられるようにしなければならない。有識者懇談会はその手立てを検討してほしい。
 限定正社員が雇用契約を打ち切られる場合に備え、再就職支援も重要だ。職業訓練や職業紹介を民間開放で充実させるなど、ほかの仕事に移りやすい労働市場づくりに並行して取り組む必要がある。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130606k0000m070116000c.htmlより、
社説:正社員改革 多様な働き方への課題
毎日新聞 2013年(最終更新 06月06日 02時55分)

 雇用には問題が多い。給料が低く生活が不安定な非正規雇用が増え、若い世代が結婚や子育てできない原因になっている。その一方で長時間労働を強いられ疲弊している正社員は多い。経営側にとっては解雇規制が厳しいため非正規雇用を増やさざるを得ず、その分正社員がしわ寄せを受けているという構図だ。
 正社員か非正規かという硬直した現状を変えるため、政府の規制改革会議が打ち出したのが「限定正社員(ジョブ型正社員)」だ。何を「限定」するのかと言うと、勤務地や労働時間や職務の内容だ。日本の雇用制度は一般的に人事権の裁量が広く認められ、いったん正社員として採用すると勤務地も仕事の内容も量も会社側が決められる。合理的な理由があれば賃金や退職金の変更もできる。その代わり労働者は安易に解雇されないよう守られている。
 「限定正社員」は会社側の人事権の裁量を小さくする一方で解雇規制を一部緩めるもので、諸外国の雇用制度はむしろこちらに近い。国内でも流通業などでは既に導入しているが明確なルールはない。職務を限定し、その職務がなくなれば解雇できることにして非正規雇用から正社員への転換を企業に促すねらいがある。正社員の中にも自分に合った仕事を決められた勤務時間だけ行うことを望む人は多いかもしれない。子育てが必要な期間は勤務時間を限定したり、親の介護が必要な場合には勤務先を選べたりすることで離職せずにすむ人も大勢出てくるだろう。
 限られた職務に専念できることで自らの専門性を高め、それを客観的に評価する仕組みを労働市場に作ることができれば、雇用の流動性を高めることにもつながる。より付加価値の高い商品やサービスを開発するためには、なんでも広く薄くできる社員がたくさんいるよりも、職務や分野ごとに専門性の高い社員がいることを求める企業は増えていくのではないか。
 もちろん、懸念がないわけではない。安易な解雇や賃金カットに利用され、職場での差別がはびこることを心配する声は多い。職務に着目した雇用制度を整備することが目的であり、現に職務があるのに解雇するようなことは許してはならない。
 生活を大事にしながら多様で柔軟な働き方を実現するためには、労働者側の意向を尊重した仕組みが必要だ。子育てや介護をしている期間は限定正社員となり、それが一段落したら正社員に戻れるような柔軟な運用も可能にすべきだ。職務の内容や能力に応じた人事・処遇制度は経営者にも労働者にも恩恵をもたらすものでなくてはならない。緻密な制度設計と労使の信頼が必要だ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013052202000142.htmlより、
東京新聞【社説】限定正社員 悪いところ取りは困る
2013年5月22日

 政府が成長戦略に盛り込む雇用改革で、正社員に準じた「限定正社員」を導入する議論が進んでいる。勤務地や職種を限定した正社員のイメージだが「解雇しやすい正社員」が広まらないか心配だ。
 正社員は給料が高いうえ仕事の生産性が低くても解雇できない。だから非正規雇用が増える。正社員を解雇しやすくしたり、転職を後押しすれば、経済成長に結びつく-。
 政府の産業競争力会議や規制改革会議の議論を要約すれば、こういうことだろう。
 経済最優先、働く人より企業経営者重視の姿勢が鮮明なのである。当初は、解雇規制を緩めて企業が金銭解決で労働者を解雇できる方策を検討していた。しかし、国民や野党の反発が強く、政府・与党は参院選で不利になるのを恐れ、先送りを決めた。
 残った具体策が、正社員と非正規の中間ともいえる「限定正社員」の普及である。
 勤務地や職種を限定する代わりに、正社員より賃金は安い。こういった制度自体は、すでに多くの企業が取り入れているものだ。正社員は不本意な転勤や長時間の残業を拒めず、子育てや介護との両立はむずかしいので、働く側からすれば、限定正社員に一定の利点は見いだせるかもしれない。
 だが、経営側は正社員と同様の雇用保障では導入するメリットは少ないため、経団連は従来の正社員よりも解雇しやすい規定を要望している。例えば、製造業が工場を閉じるような場合には、工場従業員を自動的に解雇できる、といったイメージである。要するに、正社員でありながら賃金は安く、解雇はされやすいという「悪いところ取り」になりかねない。
 こうした働き方がいったん始まると、徐々に拡大していく可能性は否定できない。それは非正規労働が、今では労働者の35%にまで広まった事実から明らかである。政府は、限定正社員の就業規則のモデルを来年度以降に決める方向だが、企業にだけ都合よいルールにならないよう歯止めが必要だ。
 確かに、企業に雇用調整助成金を支払って余剰人員まで抱え込ませている現状は、競争力をそいでいる面がある。必要なのは、労働力が不足している分野を成長産業に育て、転職のための教育訓練に力を入れ、労働力の移動を促していくことだ。
 働く人を単にコストとしかみない経営の片棒を担ぐような成長戦略なら作らない方がましである。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130926k0000m070130000c.htmlより、
記者の目:東京五輪招致=竹内良和(社会部)
毎日新聞 2013年09月26日 00時58分

 ◇社会の質を変える力に
 2020年夏季五輪開催地決定に向け、大詰めの招致レースを取材した。開催地に決まった東京には期間中、延べ約1000万人が訪れ、経済効果は3兆円に及ぶとされる。「世紀の祭典」が子供たちに与える夢も大きいだろう。この国の閉塞(へいそく)状況を打開するチャンスとして期待は高まる。一方で、最後まで開催理念が見えず、「なぜ、東京で開くのか」という疑問をぬぐい切れなかった。五輪を通じ、改めて東京と日本の未来像をしっかり描く必要がある。
 東京のライバルだったトルコ・イスタンブールは「イスラム圏初の開催」という新鮮な理念を掲げたが、反政府デモで失速、スペイン・マドリードも経済不安がつきまとった。東京が大会運営能力の高さのPRで押し切れたのは、多分に幸運だったといえる。
 「交通網が整備され、誰もが時間通りに目的地に到着できる」「昨年、現金3000万ドル以上が落とし物として東京の警察署に届けられた」「フェアプレーを尊ぶ日本のファン」。アルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会の最終プレゼンテーション(招致演説)で、東京の登壇者は熱弁を振るった。
 どれもが日本の素晴らしい長所だ。世界各国のIOC委員が東京の演説に聴き入る姿に、日本人の一人として誇らしさも感じた。だがこれらは開催理念にはなり得ない。

 ◇あやふやな理念、総会直前に露呈
 総会直前になり、理念のあやふやさが露呈した。現地の記者会見では、海外メディアから東京電力福島第1原発事故の汚染水漏れ問題に懸念を示す質問が集中した。東京招致委員会の竹田恒和理事長は「福島から250キロ離れており、皆さんが想像する危険性は東京にない」と弁明。福島県民から「東京が安全ならいいのか」と反発を買った。東日本大震災からの「復興五輪」を掲げた東京の本心を疑われかねない一幕だった。
 結局、招致演説ではマイナス印象を与えかねない原発事故や震災の実相にはほとんど触れず、安倍晋三首相も「(第1原発の)状況はコントロールされている」と強弁した。理念が置き去りにされたまま、祝賀ムードに沸く国内の風潮には違和感を抱く。
 20年五輪と、高度経済成長期に開かれた1964年東京五輪を重ね合わせた人も多いはずだ。「アジア初」だった前回は、戦災からの復興を遂げた街に東京タワーや首都高速が姿を現し、東海道新幹線も開通した。カー(自動車)、クーラー、カラーテレビが「新三種の神器」として庶民の憧れだった時代だ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130926k0000m070130000c2.htmlより、
 だが、今度は「成長社会」ではなく「成熟社会」で五輪が開かれる。インフラが整う一方、少子高齢化が進み、膨張を続けた東京の人口も、五輪があるころをピークに減少に転じると予測されている。
 五輪を当て込み、都内では早くも鉄道や道路の新たな整備を求める声が上がり始めた。成田と羽田両空港を結ぶ「都心直結線」の構想が注目を集め、競技会場が集中する江東区では地下鉄新線整備への思惑も広がる。だが都心で大型事業が進めば、建築資材や作業員が慢性的に不足する被災地の復興の足を引っ張りかねない。「またも東京の独り勝ちか」。宮城のある経済人は指摘する。これも「復興五輪」の理念のあいまいさが生んだ皮肉の一例だろう。

 ◇スポーツ基盤に地域社会を復活
 成熟社会の下で開かれる東京五輪を通じて、どんな未来を描けばいいのか。被災地の仙台市に本拠を置くJリーグ・ベガルタ仙台の白幡洋一社長は「スポーツをプラットフォーム(基盤)に、コミュニティー(地域社会)とコミュニケーションを復活させたい」と提案する。
 岩手、宮城、福島の3県では今も約23万人が避難生活を強いられ、仮設住宅で孤立している人も多い。その被災地は、五輪の外国人選手団の合宿地やサッカーの予選会場になる。世界のアスリートが集う機会を生かして誰もがスポーツに親しむ土壌をつくり、震災や高齢化で失われてしまった地域や人の絆を取り戻したいとの考えだ。
 大都市での孤立も深刻だ。若者のひきこもりや、高齢者の孤独死が相次いでいる。日本中で、五輪をきっかけに、地域社会を再生する取り組みがあっていい。大手広告代理店の調査によると、スポーツに打ち込む人ほど地域活動に熱心だという。
 スポーツには、人々を結びつけ、社会の質を変える力があるはずだ。ぼんやりした期待感に酔いしれているだけではなく、開催地として成熟社会にふさわしい理念を掲げていきたい。