医療・介護の負担 「年齢」から「所得」を軸に

http://sankei.jp.msn.com/life/news/130927/trd13092703090001-n1.htmより、
産経新聞【主張】介護保険改革 2割負担は妥当な判断だ
2013.9.27 03:08 (1/2ページ)

 一律1割となっている介護保険の自己負担割合を、一定の収入のある人は2割にする改革案を厚生労働省がまとめた。
 基準額は、年金だけの単身者の場合、年収「280万円以上」か「290万円以上」とした。高齢者の5人に1人が対象になるという。来年の通常国会に法案を出し、平成27年度からの実施を目指す。
 高齢化に伴いサービス利用者が増え続け、介護給付費は毎年大きく膨らむ。支払い能力のある人が応分の負担をするのは当然だ。引き上げは妥当な判断といえる。
 厚労省は、一定以上の預貯金や不動産を所有する人について、特別養護老人ホーム(特養)の食費や部屋代の補助縮小も提案した。特養に入所できるのは「要介護3~5」の中重度者に絞る。
 一連の負担増やサービス縮小には、利用者離れを招き、「高齢者の自立」という理念に逆行するという批判もある。
 だが、財政が行き詰まって制度自体が破綻しては元も子もない。総人口の4割が高齢者となる時代をにらみ、今のうちから介護保険制度のスリム化に着手しておかねばならない。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/130927/trd13092703090001-n2.htmより、
2013.9.27 03:08 (2/2ページ)
 高齢者の不安や反発が広がることも予想される。厚労省は高齢者の暮らしぶりや介護実態を勘案して基準額を定めたという。これが適切な額だというなら、根拠となる具体的な数字を示して納得のいくよう説明してほしい。
 豊かな高齢者に負担増を求める一方で、低所得の高齢者の保険料減免を拡充する考えも併せて示している。大きな疑問は、その対象が高齢者全体の3割と、負担増となる人より多くなることだ。
 消費税増税に加えての負担増となるだけに反発を和らげたいのだろうが、過剰の印象は否めない。そもそも今回の改革には、上がり続ける保険料を抑制し、若い世代との「負担の公平性」を高める目的があったはずではないか。
 今後、75歳以上の人口が急増し、1人暮らしや高齢者のみの世帯が増える見通しだ。政府は在宅医療や自宅での介護を推進していく方針だが、地域にも家庭にも支え手がいない事例も目立つ。働き盛りが介護のための離職に追い込まれるケースも少なくない。
 介護保険改革と同時に、高齢者と介護する人の両方の暮らしが成り立つよう、政府は必要な対策を講じていく必要がある。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013092002000159.htmlより、
東京新聞【社説】軽度者の介護 予防軽視にならないか
2013年9月20日

 高齢者の日常生活を支える介護保険には、介護度が軽い人向けのサービスがある。これを保険制度から離し市町村に委ねることになりそうだ。予防介護は大きな柱だが、その理念が後退しないか。
 介護の必要度の低い高齢者を早い段階から支え、重症化を抑え、自立した生活を送ってもらう。そのため予防重視は二〇〇六年の改革で介護保険の重要な柱になった。それを撤回してしまうのか。
 厚生労働省は、社会保障制度改革国民会議の提言を受け、予防介護サービスを保険給付から市町村の事業に移すことを検討中だ。対象は軽度の要支援1と2で約百五十四万人いる。
 要支援者が求める支援は掃除や買い物、配食、見守りなど多彩だ。厚労省は「自治体の方が地域ニーズに応えられる」と言うが、要支援者の急増で保険財政が今後厳しくなるとの事情がある。狙いは給付費抑制だ。国民会議も効率化・重点化策として挙げている。
 介護保険のサービスは一定の報酬を保証した専門職の介護事業者が提供するが、厚労省が自治体に求めるのはNPOや住民などのボランティアに担ってもらうことで費用を抑える事業だ。
 自治体はニーズを知りメニューをそろえる力量が問われる。受け皿の担い手がいなければ地域づくりにも取り組まねばならない。
 地域で住民の互助が地域をつくり高齢者の介護を支える方向は求められている。だが、実現には時間がかかる上、自治体の力量にも差がある。地域間で提供されるサービスに差がでかねない。
 「軽度の切り捨て」「予防軽視」にならないか心配になる。
 予防に役立たなければ重症化が進みかえって医療や介護の費用がかかる。厚労省は受け皿づくりへの十分な支援をすべきだ。
 厚労省は事業を保険財源で賄う考えだ。保険は、保険料を払った個人に約束した給付を保証する仕組みが原則である。介護保険のサービスに使われるから保険料を負担している。介護分野に使うとはいえ、介護保険から外す自治体の事業に充てることはその原則に反しないか。
 以前、年金財源を本来の年金給付とは別の保養施設建設に充てる“目的外使用”が問題化した。使用目的を広げるのなら保険料負担をする国民の理解が要る。
 なるべく介護を受けず自立して地域で生活することが多くの高齢者の願いだろう。安心できるサービス提供を目指してもらいたい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59789500X10C13A9PE8000/より、
日経新聞 社説 持続可能な介護保険へ応分の負担を
2013/9/17付

 介護保険は2000年度に始まった新しい制度だが、高齢化が進むなか、新たな対応を迫られている。介護費用は13年度予算で9.4兆円と、00年度の2.6倍に膨らんだ。制度の持続可能性を高めるには、利用者に応分の負担を求めるなど、着実な見直しが欠かせない。
 政府の審議会でこのほど、本格的な議論が始まった。8月にまとまった社会保障制度改革国民会議の報告書と、その実現への道筋を示したプログラム法案骨子を受けたものだ。
 国民会議の報告書は、低所得者に対する保険料の軽減の拡充などを打ち出す一方、「一定以上の所得のある利用者負担は引き上げるべきだ」などと負担増も求めた。
 利用者の自己負担割合は、00年の制度創設時から1割にとどめられている。一口に高齢者といっても収入などは様々だ。医療保険では3割負担の高齢者もいる。介護保険でも過去に2割負担が検討されたが、実現しなかった。
 生活に過度に影響しないよう、負担引き上げの対象範囲は慎重に決める必要があるが、もはや先送りはできない。政治にも一歩、前に踏み出す決断を求めたい。
 報告書は、利用者のなかでも比較的症状が軽い「要支援」の人へのサービスのあり方を抜本的に見直すことも提言している。厚生労働省はこのほど、15年度から段階的に市町村の事業に移す案を審議会に示した。
 財源が介護保険から出るのは同じだが、サービスの内容や料金などは自治体の裁量となる。介護事業者だけでなくボランティアなどにも担い手を広げ、地域の実情に合わせて効率的にサービスを提供できるようになれば、コストの増加を抑える効果が期待できる。
 だが地域間格差が生じたりサービスが低下したりすれば、かえって介護が必要な人が増えかねない。どのように地域の受け皿を増やし、高齢者の生活を支えるか。具体策を練ってほしい。「要支援」と認定されている人は約150万人いる。十分な説明と丁寧な移行措置が必要だ。
 介護が必要になりやすい75歳以上の高齢者は、現在の約1500万人から25年には約2200万人に増える。将来に備え、財源の確保や、より効率的にサービスを提供していくことが欠かせない。10年先を見越した議論が、今こそ求められる。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130917k0000m070084000c.htmlより、
社説:医療・介護の負担 「年齢」から「所得」を軸に
毎日新聞 2013年09月17日 02時35分

 介護保険の総費用は8兆円を突破し制度開始時の2.3倍となった。今後も高齢者人口は増え続けるため、厚生労働省は一律1割となっている介護サービスの自己負担を高所得世帯は2割へと引き上げる方向で検討している。自営業者らが入る国民健康保険(国保)も負担上限を来年度から引き上げ、さらには医療費の自己負担が上限額を超えた分を払い戻す高額療養費制度でも高所得者の負担増を検討している。
 すでに70〜74歳の医療費の自己負担も1割から2割へと引き上げることが閣議決定されており、消費増税に加えて相次ぐ負担増にうんざりする人は多いはずだ。しかし、膨張し続ける社会保障費を抑制しつつ財源を確保していかなければ高齢化の急坂を上り切ることはできまい。
 国保や高額療養費では高所得者の負担増とともに低所得層の負担を軽くすることにも注目すべきだ。これまで社会保障制度は給付や負担の基準を「年齢」で線引きしてきたが、年齢ではなく「所得」の水準で線引きしようというのである。
 高齢層には生活保護の受給者や年金だけでかろうじて生活している人が増えているが、その一方で富裕層が多いのも事実だ。1500兆円に及ぶ個人金融資産の6割を60歳以上が持っているといわれ、税制上も企業年金を含む公的年金には一定額まで控除が認められるなど優遇されている。社会保障の支え手である若年層に生活困窮者が増えており、年齢で区別した制度が現状に合わなくなっているのは明白だ。
 これまで所得を問わず高齢者に手厚かったのは、まだ年金が整備されていなかったため高齢になると子どもの扶養に頼る人が多かったこと、平均寿命が現在よりも短く高齢者の負担が少なくても制度の存続に影響がなかったことなどが指摘される。戦中戦後の苦境を生きてきた世代の老後を豊かなものにしたいという国民的合意もあっただろう。
 だが、団塊世代が65歳を超え、今後は高度成長やバブルを経験した世代が次々に高齢者入りしていくことになる。教育も十分に受け、親からの相続財産も以前に比べれば多い世代である。
 もともと日本に比べて国民負担率が高く、高福祉を実現してきた欧州各国はユーロ危機を背景に高齢者の給付減・負担増、支え手である次世代の立て直しに懸命に取り組んでいる。
 日本でも社会保障と税の共通番号が導入されるが、さらに所得や資産の把握に努め、税制も含めて公平性を確保しなければならない。国民が意識を変え、政治が決断しないと日本だけが立ち遅れることになりかねない。

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