米国とイラン 「対話の機運を逃すな」

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO60603650U3A001C1EA1000/より、
日経新聞 社説 米イランは和解に踏み出せ
2013/10/4付

 対話の機運を逃さず、和解へ踏み出す時である。
 米国のオバマ大統領と、イランのロウハニ大統領が電話で会談し、イランの核開発問題について外交解決を目指すことで一致した。米イラン首脳が直接、言葉を交わすのは、1979年のイラン革命をきっかけに、両国が国交を断絶して以来初めてだ。
 米国はイランを「悪の枢軸」と非難し、イランは米国を「大悪魔」と呼んできた。30年を超えて憎み合う関係を終わらせることが、中東の安定に不可欠である。
 オバマ大統領は核問題について「包括的な解決は可能だ」と語り、ロウハニ大統領も「成果を早期に出したい」と述べた。対立の根にある核問題の克服に強い意欲を示したことを歓迎する。
 重要なのは具体的な行動だ。イランは国連安全保障理事会の決議を無視してウラン濃縮活動を続けている。国際原子力機関(IAEA)が求める軍事施設の査察にも十分協力していない。
 イランは核技術の軍事利用の意図がないことをはっきり見せなければならない。米欧など6カ国とイランは15日、ジュネーブで核問題の実務者協議を開く。イランはこの場で、保有する濃縮ウランの扱いについて国際社会の疑念を取り払う方策を示す必要がある。
 米国とイランの関係改善には、それぞれの国内に根強い抵抗がある。それでも、両国の歩み寄りが実現すれば中東の緊張緩和に大きな波及効果が期待できる。イランはシリアの同盟国で、イスラエルと対立するパレスチナのイスラム勢力への支援も続けている。
 シリアの内戦収拾や、中東和平の実現にイランの協力は欠かせない。世界有数の産油国であるイランの国際社会への復帰は、原油の供給安定にも好影響をもたらす。
 日本はイランと独自の関係を維持してきた。安倍晋三首相は国連総会出席のために訪れた米国で、ロウハニ大統領と会談した。イランに国際社会との対話を促すことが日本の役割である。

http://mainichi.jp/opinion/news/20131003k0000m070155000c.htmlより、
社説:米・イラン そろそろ融和を考えよ
毎日新聞 2013年10月03日 02時38分

 国交断絶が30年以上も続く米国とイランの関係改善への期待感が高まっている。イランのロウハニ新大統領が国連総会の演説で、核兵器開発疑惑の解消に積極的な姿勢を見せ、同大統領とオバマ米大統領の電話協議も実現したからだ。
 双方の融和が進めば、米国の同盟国イスラエルがイランの核関連施設を空爆する危険性も、当面は遠のくだろう。化学兵器をめぐる交渉を通じて米国のシリア攻撃が棚上げになったのに続き、中東が緊張緩和に向かうなら歓迎すべきことである。
 もともとイランは中東きっての親米国だったが、1979年の故ホメイニ師(最高指導者)によるイスラム革命後、米国を「大悪魔」と呼ぶ国に一変した。直後に起きた在イラン米大使館占拠人質事件は400日以上に及び、屈辱を味わった米国民にはイランとイスラムをめぐる深刻な「トラウマ」が残った。
 これが米政界、ひいては世界に大きな影響を与えるのだが、雪どけの機運がなかったわけではない。クリントン政権は90年代末、ハタミ・イラン大統領が説く「文明間の対話」に強い関心を示し、控えめながらイランと文化交流を進めた。
 石油産業と縁が深いブッシュ政権も、産油国イランとの関係改善をうかがった。2001年の米同時多発テロ後、イランを「悪の枢軸」と呼んだブッシュ大統領も、翌年の訪日では対イラン関係で日本の仲介を求めている。米国には「トラウマ」もあるが、少なからぬ企業がイランとの交易を望んでいるのも確かだ。
 対イラン関係が良好な日本も、米国の圧力により油田の利権を手放した。米・イランの関係改善は日本の利益にもつながるはずである。
 そろそろ両国は対立から融和に踏み出してもいい。イランは伝統的にシリアと親しく、フセイン政権後に発足したイラク政府との関係も緊密だ。イランと米国がいがみ合えば中東は一向に落ち着かないという判断もオバマ大統領にはあるだろう。
 イスラエルは「地図から消される」とか、ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)は「作り話」などと公言したイランの強硬派、アフマディネジャド前大統領は去った。だが、米・イランの関係改善を阻むもう一つの障害、核疑惑の行方は不透明だ。国連安保理常任理事国(米英仏露中)とドイツは今月中旬、イランとの核協議を再開するが、濃縮ウランの国外搬出案も含めて、イランがどんな具体策を打ち出すかが焦点になる。
 本当に核兵器を製造する意図がないなら国際社会が納得できる対応をすべきである。国連制裁に疲れての苦しまぎれの演出なら、イランの信用はさらに下落するだけだ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013093002000116.htmlより、
東京新聞【社説】イラン核開発 交渉進展の好機逃すな
2013年9月30日

 国連総会を舞台にして、イランの核開発をめぐる外交が活発化している。イランのロウハニ大統領は核兵器を保有する考えはないと明言し、経済制裁を科した欧米との関係修復にも動きだした。
 ロウハニ大統領は国連総会演説で「核開発は平和目的であり、国防のために核兵器が存在する余地はない」と述べ、欧米と対決したアハマディネジャド前大統領とは異なる融和姿勢を打ち出した。
 さらにオバマ米大統領とは電話で会談した。両国首脳の対話は一九八〇年の断交以来初めて。和解への一歩を踏みだしたといえる。ザリフ外相は安全保障理事会の常任理事国にドイツを加えた六カ国の外相との協議に臨み「一年以内の核問題交渉妥結を目指す」と述べた。
 イランは米国や英仏などによる制裁で経済事情が悪化。原油や天然ガスの輸出収入は半減し、通貨リアルの下落、40%を超すインフレにより市民生活の混乱と失業者増加が続く。
 外交を転換したのは、国民が穏健路線と制裁解除取り付けを求め、イスラム教高位指導者も支持しているためだ。
 欧米側はイランの核兵器製造を防ぐため、保有する20%の濃縮ウランを核燃料に転換し、さらに5%濃縮ウランは第三国に搬出することを求めている。併せて起爆実験をした疑いがあるパルチンの軍事施設について、国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れも要求している。
 イランと六カ国は十月中旬に核問題協議を再開するが、ようやく訪れた交渉進展の好機を逃してはならない。イラン側は原子力発電など平和利用の権利を主張するが、それにはまず、疑惑を晴らす具体的な行動を取るべきだ。
 イスラエルはイランの核開発が「一線を越えた」場合は、核施設を空爆する可能性を繰り返し示している。またイランはシリアのアサド政権を支持しており、内戦の沈静化に大きな役割を担う。
 イランの核問題打開に道筋を付けないと、中東全体がいっそう不安定になろう。関係国による迅速で、粘り強い外交努力が必要だ。
 日本はイラン産原油の輸入を削減して制裁に加わっているが、以前は交流も活発だった。安倍晋三首相はニューヨークでロウハニ大統領と会談した。今後も、唯一の被爆国として核の平和利用を訴えるとともに、米とイランの関係修復に向けた橋渡しをしたい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 9月 29 日(日)付
米国とイラン―対話の機運を逃すな

 世界の和平と安定に影響力をもつ大国同士でありながら、35年近く絶縁状態を続けている。米国と中東のイランは、そんないびつな関係にある。
 欧米の自由主義と厳格なイスラム教シーア派。両国が背負う文明の衝突は冷戦期から世界に数々のひずみを生んできた。
 その首脳同士が、電話で直接会話を交わした。1979年のイラン革命での断交以来、初めてのトップ対話である。
 わずか15分とはいえ、かつて「大悪魔」「悪の枢軸」と憎しみ合った宿敵の間柄だ。友好の意思を確かめた意義は大きい。
 だが、むろん、この一歩は外交儀礼に過ぎない。実質的な関係の進展はまだ何もない。国際社会全体で、対話の芽を育てる辛抱強い構えが必要だ。
 両国の対立は、諸悪の根源といっていい。イランが反米に転じた革命後、抗争は激化し、80年代のイラン・イラク戦争で米国はイラクに肩入れした。
 それがのちにフセイン政権を強大化させ、米自身が打倒したのが03年のイラク戦争だった。世界に残した傷は深かった。
 反イラン政策が自らの首を絞める。その構図は原油市場にも通じている。大産油国イランへの禁輸制裁は、米欧の石油大手の市場開拓にも足かせとなり、日本も油田権益を手放した。
 一方のイランの疲弊も深い。テロの輸出ともいわれた極端なイスラム主義と反米政策のため孤立し、経済は細った。国民生活の困窮がこの夏、対話重視型の大統領を選んだ主因だ。
 不毛な争いをやめるのが理にかなうことは明らかだ。双方の国内では今後も保守派が歩み寄りに抵抗するだろう。それでも今の不安定な世界には、この対話の機運を逃す余裕はない。
 最大の争点は核問題である。イランの疑惑は、周りのサウジアラビアなどに連鎖する核開発のドミノ現象を起こしている。
 イスラエルが軍事行動を起こせば、地球規模のテロ戦争にもなりかねない。そんな悪夢を防ぐ責務が、両首脳にはある。
 イランがもし米国と歴史的な和解を果たすことがあれば、それは北朝鮮にも核放棄を迫る強力なメッセージとなろう。
 まずは、核をめぐる国際交渉の前進を図ることが大切だ。濃縮ウランの国外処理などでは、ロシアが果たす役割が大きい。
 折しも、シリア問題をめぐる国連安保理決議が米ロの粘り強い交渉と合意で実現した。
 イランは、シリアのアサド政権の最大の後ろ盾でもある。米ロは引き続き、暗雲を吹き払う外交力を発揮してもらいたい。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130929/amr13092903180001-n1.htmより、
産経新聞【主張】米イラン首脳対話 歴史的和解の一歩とせよ
2013.9.29 03:16

 国交断絶が30年以上も続いている米国とイランの大統領が断交以来初めて電話で協議した。
 オバマ米大統領は協議について「困難な歴史を乗り越える展望を示すものだ」と述べ、関係改善に意欲を見せた。歴史的和解の第一歩となることを期待したい。
 関係改善には、イランの核問題の平和的解決に向けた前進が欠かせない。イランは、核兵器を持たないという約束が口先だけではないことを示さなければならない。
 イランのロウハニ新大統領は国連総会演説のため訪米した。米側は当初、両大統領の直接接触を模索した。イラン側は国内事情を理由に断り、ロウハニ師の米国滞在中の電話協議となった。
 首脳間の直接対話は、穏健派のハタミ元大統領の時代にも実現しなかった。最高指導者のハメネイ師は今回、「英雄的な柔軟性」を口にし、ロウハニ師の対米姿勢の軟化に一定の支持を与えているとみていいだろう。
 核問題をめぐり、両大統領はすでに書簡のやりとりをしている。首脳同士の信頼醸成は、関係改善を目指す上で有用だ。
 米国は、イラン・イスラム革命の1979年に発生したテヘランの米大使館占拠事件をきっかけに翌年、イランと断交した。
 米側は、イランを北朝鮮などと並ぶ「悪の枢軸」と位置づけもし、イラン側では米国はなお「大悪魔」である。関係改善の道は容易ではあるまい。
 ロウハニ師は融和路線を強調し、総会演説でイランに核兵器保有の意思はないと表明した。米・イラン外相会談も実現させた。
 こうした言動が、国連や欧米による経済制裁の緩和を狙った演出であっては困る。
 核問題を話し合う米英仏独露中の6カ国とイランは国連本部で外相級協議を行った。10月中旬の実務者協議でイランは、核兵器疑惑を晴らすための具体案を示さなければならない。
 両国関係の改善は中東の情勢全体にも大きな影響を与える。
 国連安保理は、シリアの化学兵器全廃を義務づける決議案を全会一致で採択した。国際社会は内戦の終結も目指さねばならない。シリアのアサド政権に影響力を持つイランの果たすべき役割は小さくない。その意味からも、米・イランの歩み寄りは不可欠である。

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