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國本村忠魂碑

【2010年9月18日】本日、郵便により宇都宮市長・佐藤栄一氏から最終回答書(宮広第451号、平成22年9月17日)を受領しました。全文は下記の通りです。

○○○○様
                       宇都宮市長 佐 藤 栄 一 ㊞
 このたびは,市政への貴重な御意見をいただき,ありがとうございました。
  皆様からいただいた御意見は,わたくしが直接拝見させていただくとともに,必要に応じて所管部署に状況の説明や対応策の検討などを指示しております。
 わたくしは,あらゆる機会をとらえ,市民の皆様の御意見を伺いながら,市民の皆様の視点に立った,まちづくりを進めてまいりたいと考えております。
 これからも,だれもが行ってみたい街,移り住みたい街,住みつづけたい街を目指して,常に「おもてなしの心」と「スピード」に心がけ,職員と一丸となって実践してまいります。
 どうぞ,今後とも宇都宮がさらに飛躍できますよう,一層のお力添えをお願い申し上げます。
 お申し出の内容につきましては,下記のとおりお答えいたします。
                  記
 平成22年3月24日に回答いたしました内容は次のとおりです。
 記念碑等の所有権につきましては,前回,回答いたしましたとおり,戦前民有地に在郷軍人組織などが中心となり地元住民により建立したものと考えられることや,旧国本村との合併後に土地だけの寄附を受けた経緯があることから,市に所有権はなく,建立当初より遺族会に所有権があるものと考えております。[所管課:管財課]

さて、上記で「記念碑等」とは、大正15年5月に國本村が建立した忠魂碑(大)、戦役記念碑(中)及び、昭和4年4月に建立した戦役記念碑(小)と大谷石の土台と石柱、並びに大正15年に在郷軍人会國本村分会の労力奉仕により植樹された銀杏や桜の木等のことです。
また「建立当初」とは大正15年5月のことであり、当時「遺族会」なる団体は存在していません。しかも遺族会について問い合わせたところ「詳細などにつきましては情報を持ち合わせておりません」(宮広第141号、平成22年5月21日)と回答しています。

昭和3年11月10日発行の『國本村誌』(原本は宇都宮大学図書館所蔵)129頁以下に、在郷軍人会については下記の記述があります。
大正十五年
忠魂碑及戦役記念碑ヲ建設ニ関シ分会員各班毎ニ労力奉仕ニ地ナラシ樹木ノ植ヱ付等ヲナス
(注:旧字体の一部を新字体に替えています。以下同様)

忠魂碑については下記の記述があります。
忠魂碑
明治十年西南役以来我郷の士卒が国家の干城として出征し、皇威を世界に発揚せられたる士を永久に記念せんが為め、本村は村会一致を以て去る大正十五年是れが忠魂碑を建設の起工をなせり。今其の経過の概況を記さん。
大正十五年一月一日委員会を開き建設に関する協議をなせり。其の後幾多の審議の結果遂に建立せり
然して碑文は本県出身侍従武官長の要職に居る奈良武次大将閣下の揮毫に依るものにして、碑の裏面は師範学校教諭後藤頼助先生の書なり。
此の工事総経費を挙ぐれば左の如し。
 一金壱千五拾弐円八拾四銭(注:1052円84銭)
工事竣工完成したるを以て本年九月二十日午前十時より厳かに除幕式を挙行せり。

忠魂碑(大)に刻印された戦病傷死者は、明治十年西南役、明治二十七八年日清戦役、明治ニ十九年台湾守備、明治三十七八年日露戦役の10名です。戦役記念碑(中・小)には國本村従軍者が刻印されています。建設委員には、当時の村長・根本金次、助役・高橋左京ほか全村会議員(在郷軍人会分会長・渡邊武雄を含む)の名が刻印されています。忠魂碑等(大・中・小)のどこにも遺族会の名も氏名も見当たりません。当たり前です。当時、まだ遺族会は結成もされていないのですから。
國本村が建立した忠魂碑や在郷軍人会が植樹した記念の樹木が、どうして遺族会の所有物になるのでしょうか?
どうして大正15年5月の「建立当初より遺族会に所有権がある」と考えることが出来るのでしょうか?
本件に関して、何度も問い合わせましたが、具体的な事実や根拠は何も示されていません。
最終回答書を読めば、佐藤栄一市長のバカ丸出しと言わざるを得ません!

実は昨(2009)年11月頃、県道(宇都宮大沢線・通称「新里街道」)拡張工事に伴い、この忠魂碑等の移設工事が実施されました。忠魂碑等(大・中・小)だけがコンクリートの土台に据えられましたが、順番が中・大・小に変っていました。大谷石の土台や石柱、銀杏や桜などの樹木は全て破壊・伐採されました。この工事の発注者は国本地区遺族会です。栃木県宇都宮土木事務所の担当者によると、地権者・宇都宮市の担当者の説明により「損失補償金」は忠魂碑等の所有者とされた遺族会に支払われました。
ところで、國本村は戦後、宇都宮市に合併されました。その後、銀杏は「宇都宮市の木」に指定されています。現在、銀杏の根元が残っているため、新芽が生え、緑の冠を被っている状態です。
ところが現地は今「ごみ置き場」になっています。このまま放置していて良いのでしょうか!
少なくとも、県知事(前宇都宮市長)及び佐藤市長は事情を知らされていない地元住民に対して本件工事経過について説明会を実施すべきだと思います。私も間に合えば、住民監査請求をして事実解明をしておきたいと考えています。

≪追記≫
【2010年9月21日】監査委員事務局に確認したところ、本件の請求期限は9月30日であるとの回答を得ました。また事務局によると請求受理の際、請求内容について規定の要件確認があるようです。住民監査請求に向けて準備を進めています。

【2010年9月22日】監査委員事務局に住民監査請求(正式には「宇都宮市職員措置請求書」)を提出してきました。事務局では請求内容を確認の上、収受しました。後日、監査委員により受理・不受理が決まるようです。

【2010年9月24日】監査委員事務局より「補正の要あり」との連絡があり、補正の上、再提出してきました。事務局としては、10月上旬にも監査委員会を開くよう調整しているとのことでした。

【2010年9月30日】監査委員事務局より10月18~25日の予定を聞かれました。私が陳述するか、公開を希望するか問われましたので、是非そうしたい旨、答えておきました。

【2010年10月1日】午後1時頃、たまたま現地を確認したところ、40~50センチメートルほど伸びていた銀杏の若芽が全て刈り取られていました。銀杏の切り株の上には、竹箒、塵取り、ネット、コンクリートブロックなどが置かれていました(写真あり)。県の土木事務所の担当者に確認したところ、若芽伐採の申請や許可はなかったとの回答を得ました。ただし、若芽が勝手に伐採されても、担当者としては特に対応する気は無いようです。また、現地(県有地)が「ごみ置き場」として利用されていることも容認しているようです。担当者にとっては道路拡張工事が最優先ですから、地元住民が銀杏の木の再生を願っていることなどには全く関心が無いようです。さらに、驚くべき事実が判明しました。県の担当者が移設工事前に現地調査をした際、忠魂碑に刻印された文字を読み取れず、これらの石碑が大正15年5月に國本村が建立したことを確認できなかったという釈明がありました。現地調査担当者が文盲であったとは思えませんが、信じがたい手落ち調査で、これでは真正な所有者が誰であるか、正当な判断ができるはずもありません。
いったい誰が銀杏の若芽を切り取ったのでしょうか?
「ごみ」として処分されてしまったのでしょうか?
実は、地元の国本地区連合自治会長(新任)に若芽の活用法について相談していたのですが、若芽を丸刈りされてしまったので誠に残念無念です。とりあえず器物損壊事件として、警察にも通報しておきました。警察官が自宅を訪れ事情聴取されましたので、詳しく本件の事情を説明しておきました。

【2010年10月5日】午後5時頃、監査委員事務局より連絡があり、請求が受理されました。18日午前10時15分より30分以内で私が陳述する予定です。後日、正式な通知があるようです。

【2010年10月8日】監査委員事務局より正式な通知(宮監第102-1号、平成22年10月7日、「宇都宮市職員措置請求の受理並びに証拠の提出及び陳述について」)を受領しました。
監査委員は、五井渕治夫・佐藤千鶴子・中山勝二・熊本和夫の4氏です。
日時は18日午前10時15分~45分、場所は宇都宮市監査委員室(本庁15階)です。

【2010年10月15日】市長より回答書(宮広第516号、平成22年10月14日)を受領しました。回答内容は下記の通りです。

 宮広第451号(9月17日付)(3月24日の回答内容)につきましては、市長に説明後に回答したものであります。[所管課:管財課]

【2010年10月18日】予定通り「陳述」をしてきました。上記の回答書の他、工事前の現場写真2枚を追加資料として提出しておきました。陳述について監査委員からの質問はありませんでした。

【2010年10月19日】1日の通報に対して栃木県宇都宮土木事務所長より回答書「銀杏の若芽の刈取りについて」(宇土号外、平成22年10月18日)が届きました。回答内容は下記の通りです。

 お問合せの銀杏につきましては、歩道工事の予定地内に存在していたため、所有権者へ補償することにより処理が完了しております。
 また、現地に残っております銀杏の切り株につきましては、近々歩道工事を実施するにあたり、掘り起こし処分する予定です。(問い合わせ先 整備部整備第1課 TEL028-626-3175)

【2010年11月5日】自治会の回覧が回ってきました。「道路工事のお知らせ」です。
1.工事名  道路改良工事 大沢宇都宮線その1(安全道交)
2.路河川名 主要地方道 大沢宇都宮線
3.施行場所 宇都宮市 国本地内(裏面に位置図、工事区間に赤線)
4.施行期間 平成22年10月14日~平成23年2月25日
5.発注者  栃木県宇都宮土木事務所 整備部整備第1課(℡028-626-3162)
6.施工者  株式会社美雪興業(℡028-665-1618)
この位置図を見る限り、銀杏の切り株処分は含まれていないようです。

【2010年11月9日】上記の回答書「銀杏の若芽の刈取りについて」につき疑問があるため栃木県庁に問い合わせていたところ、県土整備部道路整備課長より回答書(道整号外、平成22年11月5日)が届きました。回答の要点は下記の通りです。
①3月3日の説明では、切り株の取り扱いについては「地元の総意としての要望があり、かつ保管される場所が確保されれば切り株を伐根することは可能である」旨の回答をしたと聞いております。先般宇都宮土木事務所に対し、地元の意向を確認のうえ対処するよう依頼したところです。
②「道路計画の段階において、丁寧な説明が必要であった」旨は3月18日付回答したとおりです。今後地元の意向を確認する等の対応を考えております。
③忠魂碑及び銀杏の所有者の確認については、被補償者及び土地所有者である宇都宮市に確認をしたと聞いております。(道路整備課 県道担当 電話028-623-2411)

【2010年11月18日】宇都宮市監査委員から監査結果について通知(宮監第131号、平成22年11月17日)を受領しました。監査結果(別紙、A4版5頁)によれば、國本村誌の記述及び国本地区住民からの聞き取りからは、「忠魂碑等及び樹木の所有者についての確証は得られなかった。」
その他、國本村と宇都宮市が合併後、「宇都宮市が管理を行ってきた事実は見当たらない」等の事由により、「宇都宮市が忠魂碑等及び樹木の所有権を有しているとはいえず、管理する義務もない。」
よって、「宇都宮市が忠魂碑等及び樹木の管理を違法又は不当に怠った事実はない。」
結論として、住民監査請求には「理由がないものと判断し、棄却する。」
私には到底納得のいく判断とは思えないので、住民訴訟を提起する予定です。
なお、本日「市長へのメール」を下記の通り、送信しておきました。

本日、監査委員から監査結果(宮監第131号、11月17日付)を受領しました。
ただし、説明責任(大正15年、建立当初より遺族会に所有権がある)については、監査対象外となりました。ただし、監査の結果、確認された事項には以下の項目が含まれます。
大正15年 忠魂碑及び戦役記念碑(大)が建立された。樹木が植栽された。敷地は民有地であった。
昭和 4年 同土地内に戦役記念碑(小)が建立された。
昭和25年 国本地区遺族会が設立された。
昭和57年 宇都宮市に対し、同土地の寄附があった。
平成21年 宇都宮市は同土地の一部を分筆し、栃木県に売却した。国本地区遺族会により忠魂碑等が残地に移設され、樹木が伐採された。
また、監査委員の判断には、國本村誌の記述及び国本地区住民からの聞き取りからは、忠魂碑等及び樹木の所有者についての確証は得られなかった旨明記しています。
上記の監査委員認定の事実及び判断によれば、3月24日付及び9月17日付回答は虚偽回答であり、市民や住民を愚弄するものではないか!
市長として誠意ある説明責任を果たしてほしい。
それとも、今後もこの回答を正式回答として維持するつもりですか?
いったい、いつ遺族会は忠魂碑等及び樹木の所有権を得たのか?
明快な回答(根拠法令等を必ず付記願います)を求めます。

【2010年11月19日】住民監査請求の監査結果が宇都宮市公式HPに公開されました。
http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/johokokai/kansa/001766.html

住民監査請求監査の結果(平成22年11月19日)(平成22年9月24日提出)(PDF 182.3 KB)
http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/dbps_data/_material_/localhost/zyuuminnkannsaseikyuu.pdf(付記:下記に変更されています)
http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/dbps_data/_material_/localhost/kansaiinjimukyoku/jumin/H221119.pdf
宇都宮市監査委員告示第8号
地方自治法第242条第1項の規定により、平成22年9月24日に提出された宇都宮市職員措置請求について監査した結果を、同条第4項の規定により、次のとおり公表する。
平成22年11月19日
(以下略)

【2010年12月3日】市長より回答が無いため、催告メールを送りました。
また、宇都宮地裁で訴状の書き方について初歩的な教示を受けましたので、本人訴訟を行うよう準備中です。少なくとも、訴状だけは提出したいと考えています。(因みに、宇都宮地裁には住民訴訟の記載例が無く、情報公開条例に基づく「非公開決定処分」取消請求の記載例を参考にするよう資料を提供して頂きました。)

【2010年12月10日】市長より下記の通り、回答メールを受信しました。

平成22年12月10日
  宇都宮市長 佐藤 栄一
【御意見に対する回答】
 市有地の記念碑につきましては,平成22年3月24日付けメール及び9月17日付け文書宮広第451号によりお答えしたとおりです。
 同様の質問におきましては,これまでと同じ回答となりますことから,今後,この事案につきましての御回答はいたしかねますので,御了承ください。[所管課:管財課]

【2010年12月16日】宇都宮市長及び管財課職員を被告として住民訴訟を提起しました。事件番号は平成22年(行ウ)第17号事件です。担当は宇都宮地裁・第1民事部合議係です。貼用印紙代13000円、民事予納金7000円を納めてきました。

【2010年12月27日】宇都宮地裁に訴状の補正につき確認したところ、何点か確認したい旨、書面で通知するとの回答がありました。

【2011年1月25日】宇都宮地裁より「事務連絡」(平成23年1月24日付)が届きました。下記の2点について訂正・補充書面を2月10日までに提出するよう求められました。
①請求の趣旨について訂正するよう指示がありました。その際、損害賠償請求金額を明記するよう指示がありました。②管財課職員の氏名を特定するよう指示がありました。

①について、私は損失補償及び原状回復費用の合計額を相当と思います。損失補償額については、個人情報なので開示できない旨、県の担当者から口頭で回答を得ています。原状回復については、移設工事を実施した業者に見積りを依頼しておきましたが、相手先や期日など諸事情を考慮して回答するとのことでした。期日までに請求金額の確定は困難ではないかと思われます。②について、県庁と市役所に電話で聞いたところ、本件土地売買当時(至現在)の宇都宮市管財課長は篠原信男氏でした。今までは不明でしたが、今回は市役所の回答は即答でした。県では調査の上で回答するとのことでした。(本件に関して宇都宮地裁書記官に電話で報告しておきました。出来ることなら、訂正・補充書面は期日までに提出する予定です。後日、県の調査では、市の担当者は特定できないとの回答でした。)

【2011年1月26日】25日に見積りを依頼した業者から連絡があり、「当社では応じられない」旨、回答がありました。止むを得ず、他社(複数)に見積りを依頼しましたが、今のところ、まだ回答はありません。(本件に関して宇都宮地裁に報告しておきました。)

【2011年2月4日】道路工事中の現場監督の話によると、銀杏の切り株処分は来週中(7日以降)にも実施するとのことです。そのため、「ごみ置き場」を別の場所に移設してありました。

【2011年2月7日】銀杏などの切り株処分が業者(美雪興業)により実施されました。事前に地元の意向を確認することになっていましたが、国本地区連合自治会長に問合わせたところ、「急な話で役員会に諮る時間もなかったので、私(連合会長)の一存で了承した」旨返答したとのことでした。
なお、見積りの回答に日にちがかかるようなので、請求金額確定のため、宇都宮地裁に書面提出期日を18日まで延期して頂きました。(8日にも、延期は止むを得ない旨、再確認して頂きました。)

【2011年2月14日】依頼した業者からの見積りが出揃いましたので、私の責任で適切と思われる積算金額を損害賠償請求額として提示した訂正・補充書面を作成し、18日までに裁判所に提出する予定です。(本件に関して宇都宮地裁書記官に報告しておきました。)

【2011年2月17日】本日、宇都宮地裁に訴状訂正申立書、準備書面(1)を提出してきました。

【2011年3月5日】本日、宇都宮地裁より平成23年3月4日付「期日呼出状」が届きました。
口頭弁論期日は4月14日(木)午前10時、場所は第301号法廷です。

【2011年4月8日】本日、宇都宮地裁より被告らの「答弁書」2通が届きました。

【2011年4月14日】本日、予定通り、第1回口頭弁論が開催されました。なお、原告から準備書面(2)を提出しました。次回は5月19日(木)午前10時に開催されます。

【2011年5月19日】本日、予定通り、第2回口頭弁論が開催されました。なお、原告から準備書面(3)を提出しました。次回は6月30日(木)午前11時に開催されます。

【2011年6月30日】本日、予定通り、第3回口頭弁論が開催されました。なお、原告から準備書面(4)を提出しました。次回は9月1日(木)午前11時に開催されます。

【2011年9月1日】本日、予定通り、第4回口頭弁論が開催されました。次回は10月20日(木)午後1時30分に開催されます。

【2011年10月20日】本日、予定通り、第5回口頭弁論が開催されました。なお、原告から準備書面(5)を提出しました。次回は11月24日(木)午前10時30分に開催されます。

【2011年11月24日】本日、予定通り、第6回口頭弁論が開催されました。なお、原告から証拠申出書を提出しました。次回は12月15日(木)午前11時30分に開催されます。

【2011年12月15日】本日、予定通り、第7回口頭弁論が開催されました。なお、原告から証拠説明書を提出しました。次回は2012年1月19日(木)午後1時30分に開催されます。

【2012年1月19日】本日、予定通り、第8回口頭弁論が開催されました。なお、原告から準備書面(6)・(7)、証拠説明書を提出しました。次回は2月23日(木)午後2時に開催されます。決定により篠原信男管財課長(当時)への証人尋問が行われます。

【2012年2月23日】本日、予定通り、第9回口頭弁論(証人尋問)が開催されました。なお、原告から準備書面(8)を提出しました。次回は3月29日(木)午前10時30分に開催されます。最終弁論になります。

【2012年3月29日】本日、予定通り、第10回口頭弁論が開催されました。なお、原告から訴状訂正申立書、準備書面(9)・(10)などを提出しました。次回は5月17日(木)午後1時15分に判決言渡となります。判決内容によっては控訴、及び宇都宮地検に虚偽有印公文書作成罪などの告発を準備しています。

【2012年5月17日】本日、判決言渡(主文のみ)がありました。原告全面敗訴でしたが、判決書を入手していないので後日控訴します。また、21日(月)に刑事告発を予定しています。

【2012年5月21日】本日、宇都宮地検に口答で刑事告発してきました。担当の大山検事によると、提出された証拠等を検討し、6月中には調書作成の予定です。なお、18日(金)に判決書を入手しましたので、書記官によると、6月1日(金)が控訴期限となります。

【2012年5月30日】本日、宇都宮地裁に東京高裁宛の控訴状を提出してきました。貼用印紙84000円、切手6000円を納めてきました。控訴理由書を50日以内に提出する予定です。

【2012年7月3日】本日、告発調書ではなく、宇都宮地検に告発状の提出となりました。宇都宮市長・佐藤栄一氏ら関係者5人に対して、①虚偽有印公文書作成・同行使罪、②有印私文書偽造・同行使罪、③偽証罪で告発しました。(実際は担当の大山検事が文案を作成し、一部補正して、告発状にしたものです。)

【2012年7月10日】本日、宇都宮地検より「告発状を受理した」との連絡を受けました。

【2012年7月23日】本日、東京高裁第4民事部書記官より「訴訟進行に関する照会書」のFAXを受信しました。事件番号は平成24年(行コ)第270号、使用法廷は817号法廷(8階)です。「照会事項と回答」に記入し、FAX返信しておきました。控訴理由書は提出済みです。

【2012年7月27日】本日、東京高裁より事務連絡があり、第1回口頭弁論期日が9月4日(火)午後2時に指定されました。

【2012年8月24日】本日、東京高裁より宇都宮市長の答弁書及び事務連絡が送達されました。事務連絡によると、訴訟物の価格は算定不能、控訴手数料は1万9500円と算定されました。過貼分の還付申請が出来るので、手数料還付申立書をFAX送信しておきました。(後日、差額の還付を受けました。)

【2012年9月4日】本日、東京高裁で第1回口頭弁論が開催されました。次回期日は10月23日(火)午後2時に指定されました。

【2012年10月23日】本日、東京高裁で第2回口頭弁論が開催されましたが、いきなり弁論終結。次回は判決言渡で期日は11月27日(火)午後1時20分です。不当な訴訟指揮に対し弁論再開申立の予定です。(10月28日付口頭弁論再開申立書及び追加予定準備書面(13)、11月2日付証拠説明書を提出済みです。)

【2012年11月27日】本日、東京高裁で判決言渡が行われました。判決では事実認定で一部前進があったものの、予期した通りの結果でしたので、即日、上告手続をして来ました。貼用印紙26000円、切手5600円を納めてきました。(後日、書記官に確認したところ、上告理由書等の提出期限は2013年1月21日です。)

【2012年12月15日】本日、宇都宮地検・緒方広樹検事から7月3日付告発に対する「処分通知書」を受取りました。すべて不起訴でしたので、理由を確認したうえで検察審査会に審査申立をする予定です。

【2013年1月10日】本日、宇都宮検察審査会に審査申立書を提出し、同事務局が受理しました。受理番号は平成25年第1~5号です。

【2013年1月21日】本日が期限の上告理由書、上告受理申立て理由書等を東京高裁第4民事部に提出して来ました。

【2013年3月29日】本日、最高裁第1小法廷の書記官より平成25年3月27日付「記録到達通知書」が届きました。事件番号は、平成25年(行ツ)第103号及び平成25年(行ヒ)第138号です。

【2013年5月9日】本日、最高裁第1小法廷の書記官より平成25年5月8日付「調書」(決定)の正本が届きました。決定の内容は、下記のとおり、全面敗訴ですが、私見では明らかに不当判決です。宇都宮市長及び裁判官諸氏の高慢無知(或いは厚顔無恥)には今更ながら恐れ入るばかりです。なお、未使用の予納切手4900円分が返還されました。即日、受領書を郵送しておきました。

 裁判官全員一致の意見で、次のとおり決定。
第1 主文
 1 本件上告を棄却する。
 2 本件を上告審として受理しない。
 3 上告費用及び申立費用は上告人兼申立人の負担とする。
第2 理由
 1 上告について
   民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は、理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。
 2 上告受理申立について
  本件申立ての理由によれば、本件は、民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。
 平成25年5月8日
    最高裁判所第一小法廷
      裁判所書記官  佐 野 真 一㊞

【2013年6月16日】本日、宇都宮検察審査会より、宇検審第62号、平成25年6月14日付「議決の要旨について(通知)」を受取りました。
申立書記載罪名、検察官裁定罪名は、虚偽有印公文書作成・同行使、有印私文書偽造・同行使、偽証です。議決年月日、議決書作成日は平成25年6月13日です。
議決の趣旨は、不起訴相当です。
議決の理由は、下記の通りです。
 本件は、旧國本村の忠魂碑に関連する宇都宮市側の対応をめぐり、前記罪名に触れる行為があったとして、申立人が市側を告発した事案であるが、当検察審査会は、本件不起訴記録並びに審査申立書及び審査申立人が提出した資料等を精査し、慎重に審査した結果、いずれも故意があったとする明確な証拠を見いだせず、検察官が被疑者らを不起訴とした各裁定にはいずれも納得できる。そして、他に、検察官のなした各不起訴処分の裁定を不相当とする諸般の事情の発見には至らなかったことから、前記趣旨のとおり議決した。

 この議決内容には驚かされます。少なくとも虚偽有印公文書作成・同行使については、故意の証拠及び諸般の事情が、宇都宮市長・佐藤栄一氏の平成22年9月17日付回答書自体に明記されています。同書は平成22年3月24日のメール回答の内容を訂正又は撤回することなく有印公文書で確認したものです。
つまり、本件忠魂碑に関して市長との質疑応答は19回にも及ぶものでありましたが、その遣取の中で、3月24日のメール回答の内容が歴史的事実に反するので、これを訂正又は撤回すべきだと何度も指摘したにもかかわらず、この指摘を無視して、上記回答書を送り付けてきたのですから故意は明白ではないですか。
歴史的事実とは、少なくとも①本件忠魂碑は大正15年5月の建立であった、②国本地区遺族会は戦後(一説には昭和25年)に結成されたことです。この事実関係で、どうして「建立当初より遺族会に所有権があるもの」と考えられるのか、地元住民は勿論、一般市民の常識で考えても、それは有り得ない!
3月24日時点ではこの事実関係を承知していなかったと言い逃れることは出来るかも知れないが、9月17日時点ではこの歴史的事実を何度も指摘された後ですから承知していなかったとの言い逃れは通用しない。
故意の証拠や事情は、誰が見ても明白ではないですか。

2013年5月9日、最高裁第1小法廷の書記官より平成25年5月8日付「調書」(決定)の正本が届きました。決定の内容は、下記のとおり、全面敗訴ですが、私見では明らかに不当判決です。宇都宮市長及び裁判官諸氏の高慢無知(或いは厚顔無恥)には今更ながら恐れ入るばかりです。

 調書(決定)

事件の表示:平成25年(行ツ)第103号
      平成25年(行ヒ)第138号
決定日:平成25年5月8日
裁判所:最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官:山 浦 善 樹
    裁判官:櫻 井 龍 子
    裁判官:金 築 誠 志
    裁判官:横 田 尤 孝
    裁判官:白 木   勇
当事者等:別紙当事者目録記載のとおり
原判決の表示:東京高等裁判所平成24年(行コ)第270号(平成24年11月27日判決)

 裁判官全員一致の意見で、次のとおり決定。
第1 主文
 1 本件上告を棄却する。
 2 本件を上告審として受理しない。
 3 上告費用及び申立費用は上告人兼申立人の負担とする。
第2 理由
 1 上告について
   民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は、理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。
 2 上告受理申立について
  本件申立ての理由によれば、本件は、民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。
 平成25年5月8日
    最高裁判所第一小法廷
      裁判所書記官  佐 野 真 一㊞
        -1-

 当事者目録        

上告人兼申立人  ○ ○ ○ ○
被上告人兼相手方 宇都宮市長 佐 藤 栄 一

        -2-

 これは正本である。

  平成25年5月8日

    最高裁判所第一小法廷

      裁判所書記官 佐 野 真 一 ㊞
                               最高裁 12-000321

「國本村忠魂碑」住民訴訟の控訴審判決(東京高裁)を公開します。
正本(平成24年11月27日、東京高等裁判所第4民事部、裁判所書記官 本橋真生夫)は
下記の通りです。

 
平成24年11月27日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 新井弘明
平成24年(行コ)第270号 損害賠償等請求控訴事件
(原審・宇都宮地方裁判所平成22年(行ウ)第17号)
口頭弁論終結日 平成24年10月23日

             判    決

   宇都宮市・・・・・
      控 訴 人                   ○ ○ ○ ○

   宇都宮市旭1丁目1番5号
      被 控 訴 人           宇都宮市長 佐 藤 栄 一
      指 定 代 理 人                    飯 田 健 雄
      同                                 田 村 好 昭
      同                                 杉 山 敬 宏

             主    文

   1 本件控訴を棄却する。
   2 控訴費用は控訴人の負担とする。

             事実及び理由

第1 控訴の趣旨
 1 原判決主文第3項を取り消す。
 2 被控訴人は、佐藤栄一に対し、1103万4131円を請求せよ。

第2 事案の概要(用語の略称及び略称の意味は、原判決に従う。)
 1 本件は、宇都宮市の住民である控訴人が、同市の市長佐藤栄一及び管財課長
  であった篠原信男は、本件忠魂碑施設が宇都宮市の所有であるのに国本地区遺
  族会の所有であるとしてその管理を怠った結果、栃木県が行う道路拡張工事に
  伴って同施設が移設のために破壊されるなどして、宇都宮市に同施設の原状回
  復に要する費用相当額の損害及び移設に伴う損失補償料相当額の損害が生じた
  と主張して、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、被控訴人及び一審

                 -1-

  被告市管財課長に対し、本件忠魂碑施設の原状回復を求めるともに、上記損害
  の合計額1103万4131円につき、佐藤栄一及び篠原信男に対して、損害
  賠償の請求をするよう求める事案である。
   原判決は、一審被告市管財課長に対する訴え及び被控訴人に対する訴えのう
  ち原状回復を求める部分は、いずれも不適法であるとして却下し、被控訴人に
  対するその余の請求は理由がないとして棄却した。これに対して、控訴人は、
  被控訴人に対する佐藤栄一に損害賠償請求をするよう求める部分につき控訴を
  提起した。
 2 前提事実、争点及びこれについての当事者の主張は、該当部分を以下のとお
  り改め、次項に当審における控訴人の主張を付加するほか、原判決「事実及び
  理由」中の第2の1及び2に記載のとおりであるからこれを引用する(ただし、
  「原告」を「控訴人」、「被告市長」を「被控訴人」とそれぞれ読み替える。)。
  (1) 原判決2頁14行目の「後記の本件忠魂碑施設の移設前」を「平成16年
   11月29日」と改める。
  (2) 原判決2頁14行目の「作られた。」を「作られた(甲9、乙8)。」と改
   める。
  (3) 同3頁10行目冒頭から18行目の「(2)」までを削る。
  (4) 同3頁18行目及び20行目の「及び被告市管財課長」をいずれも削る。
  (5) 同3頁22行目の「同施設の移設について」を「同施設の管理を怠ったこ
   とにより、その移設の際に」と改める。
  (6)同4頁5行目の「被控訴人」から6行目末尾までを「佐藤栄一は、本件忠
   魂碑施設の管理を怠ったとして損害賠償責任を負うものではない。」と改め
   る。

 3 控訴人の主張
  (1) 國本村が本件忠魂碑施設を建立し、宇都宮市は、國本村を編入したことに
   より、その所有権を承継した。

                 -2-
   (2)本件忠魂碑施設の所有者である宇都宮市は、適切に移設を実施すべきであ
   るのに、本件忠魂碑施設の移設は移設前に存した宇都宮市の木と指定されて
   いる銀杏の木を伐採し、同市の名産である大谷石の土台や石柱を除去し、忠
   魂碑等の配置を変更して、歴史的遺産としての上記施設の経済的文化的価値
   を著しく毀損させたから、宇都宮市長の佐藤栄一は不法行為責任を負う。

第3  当裁判所の判断
 1 控訴人は、本件忠魂碑施設の所有者である宇都宮市の市長である佐藤栄一が
  その管理を怠ったとして、被控訴人に対し佐藤栄一に不法行為に基づく損害賠
  償請求をするよう求めるものである。佐藤栄一の不法行為責任の有無について
  検討する。
 2 前提事実、後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
   (1)  國本村の村長は、大正14年度、忠魂碑建設費800円を予算として村議
   会に提案し、忠魂碑並びに戦役記念碑建設費1400円を予算として村議会
   に提案し、大正15年度、忠魂碑並びに戦役記念碑建設諸費として930円
   を予算として村議会に提案し、これらが承認された。(甲14、15、16、
   17)
  (2) 國本村は、大正14年12月18日に開催された同村議会において、忠魂
   碑及び戦役記念碑1基の建設を決した。これらの建設に当たり、同村議会の
   中から建設委員が選出され、それに村長、助役も加わって構成された建設委
    員会が、開催され、建設に関する協議が行われた。(甲10、13、23、
   乙1)
  (3) 國本村は、大正15年5月ころ、同村の旧家である岩崎家から敷地の提供
   を受け、同地に忠魂碑1基及び戦役記念碑1基を建立し、大正14年度予算
   から忠魂碑戦役記念碑建設費として1400円51銭を支出し、大正15年
   度予算から忠魂碑並びに戦役記念碑建設費として1052円84銭を支出し
   た。(甲21、22、乙9)

                 -3-

  (4) 在郷軍人会國本村分会は、上記建設に当たり、労力奉仕として地ならしを
   行い、忠魂碑1基及び戦役記念碑1基の周囲に銀杏や桜の木などを植樹した。
   (乙1)
  (5) 國本村は、昭和3年度予算から記念碑建設費として244円97銭を支出
   し、上記忠魂碑及び戦役記念碑の隣に戦役記念碑1基を建設した。(甲18)
  (6) 昭和25年ころ、国本地区遺族会が作られた。同遺族会と敷地所有者は、
   協力して落ち葉の処理や樹木の剪定を行うなどして本件忠魂碑施設を管理し
   てきた。(乙9)
  (7) 宇都宮市は、昭和29年11月1日ころ、市町村合併により、國本村を編
   入した。市町村合併によって引き継がれる財産は、現在では地方自治法15
   9条1項に規定されており、過去においても大規模なものについては何らか
   の引継ぎがされるのが通例であったが、本件忠魂碑施設についての引継ぎは
   なかった。(証人篠原信男)
    なお、宇都宮市は、國本村編入以降、本件忠魂碑施設について維持管理行
   為をしたことはなかった。
  (8) 宇都宮市は、昭和57年4月14日、本件忠魂碑施設の敷地の所有者岩崎
   長衛から同敷地の寄附を受けた。同寄附申込書、寄附受入書及び寄附受領書
   には、寄附財産としては土地の項目に記載があるにとどまり、建物及びその
   他の財産の項目には斜線が引いてあって、寄附の条件はなしとの記載がある。
   (甲28、乙3、4、7)
  (9) 宇都宮市は、國本村編入後本件忠魂碑施設の敷地の寄附を受けるまでの間
   に、同敷地所有者との間で、何らの使用権を設定していないし、固定資産税
   の減免を行った事実もない。(証人篠原信男)
 (10) 栃木県は、平成21年8月5日、国本地区遺族会との間で、大沢宇都宮線
   交通安全施設工事(本件道路工事)に伴う本件忠魂碑施設の移設について、
   「物件移転等通常受ける損失補償料」として、栃木県が同遺族会に328万

                 -4-

   1519円を支払うこと、同遺族会は、平成22年3月25日までに同施設
   の移設を完了することを内容とする損失補償契約を締結した。(甲25)
    栃木県は、平成21年9月ころ、宇都宮市に対し、本件道路工事に伴い、
   本件忠魂碑施設の敷地の一部(144.23㎡中78.20㎡)の売払を提
   示し、宇都宮市は、栃木県に対し、これを代金261万9700円で売却し
   た。(甲24)
    その後、本件忠魂碑施設は上記敷地の残地に移設され、銀杏や桜の木等の
   樹木は伐採された。(甲9、27、乙2)
 (11) 宇都宮市は、平成12年に市有地上にあった忠霊塔(第2次世界大戦によ
   る戦没者を慰霊する施設)を移設する必要が生じた際、忠霊塔の所有権の帰
   属について顧問弁護士に相談した。宇都宮市は、忠霊塔の所有権は管理をし
   ていた国本地区遺族会が時効取得したとして、同遺族会と移転補償契約を締
   結した。(甲9)
 3(1) 以上の認定事実によれば、國本村が本件忠魂碑施設を建設して、その所有
   権を取得したことが認められる。昭和29年、宇都宮市は國本村を編入した
   が、通常、編入される自治体の財産は編入する自治体に承継されることから
   すると、本件忠魂碑施設の所有権は、特段の事情のない限り、國本村から宇
   都宮市に承継されたものと推認されるところである。この点に関する控訴人
   の主張は、十分に首肯されるものというべきである。
    ところで、本件忠魂碑施設の管理状況等についてみると、宇都宮市に編入
   されるまでの間の國本村における本件忠魂碑施設の管理状況は必ずしも明ら
   かではないが、少なくとも昭和25年ころには国本地区遺族会が敷地所有者
   とともに本件忠魂碑施設を維持管理しており、その後も同様に維持管理して
   きたことが認められる。
    また、前記認定事実によれば、①宇都宮市は、國本村編入後本件忠魂碑施
   設の敷地の寄附を受けるまでの間に、同敷地所有者との間で、何らの使用権

                 -5-

   を設定しておらず、固定資産税の減免等を行った事実がないこと、②市町村
   合併の際には、一定規模以上の財産については何らかの引継ぎがされるのが
   通例であるが、本件忠魂碑施設については何らの引継ぎがされていないこと
   (本件訴訟において、本件忠魂碑施設本体に関する会計書類等は提出されて
   いない。)、③宇都宮市は、本件忠魂碑施設の敷地の寄附を受けた前後を通
   じて、本件忠魂碑施設について維持管理行為をした形跡が存しないことが認
   められる。
  (2) これらの事実に照らすと、宇都宮市は、本件忠魂碑施設について、その施
   設管理の実態等から、宇都宮市がその所有権を有するのか、国本地区遺族会
   が時効取得、払下げ等によりその所有権を有するのか判然としないとの認識
   持っていたものと認められる。このことは、宇都宮市が、平成12年に市有
   地上にあった同種施設である忠霊塔の移設に際し、弁護士の意見を聞いて、
   その所有権はこれを管理している国本地区遺族会が有するものとして処理し
   たことからも推認される。
   (3) 控訴人は、宇都宮市が國本村を編入したことにより、本件忠魂碑施設の所
   有権を承継したから、所有者としてこれを適切に管理する義務があるのにこ
   れを怠ったと主張する。
    前記のとおり、國本村は本件忠魂碑施設を建設し、その所有権を取得した
   が、その後の本件忠魂碑施設の管理状況、所有権の移転等の経緯が必ずしも
   明らかではないことから、国本地区遺族会が時効取得等によって所有権を取
   得した可能性も否定しきれないといい得る。そして、宇都宮市は、本件忠魂
   碑施設の管理の状況や経緯等から、同種施設の権利関係に関する検討結果等
   も踏まえて、国本地区遺族会がその所有権を有しているものとして認識・判
   断した上、その移設に関する対応をしたものと認められる。
    そうすると、平成16年11月29日以降宇都宮市長の職にある佐藤栄一
   は、本件忠魂碑施設の所有権が国本地区遺族会に存すると認識し、その所有

                 -6-

   者として上記施設を管理しなかったことについて、過失があったとは認めが
   たいというべきである。
  (4)  また、控訴人は、前記第2の3(2)において、宇都宮市長の佐藤栄一は本件
   忠魂碑施設の移設に当たって歴史的遺産としての同施設の経済的文化的価値
   を著しく毀損させた不法行為責任を負うと主張する。しかし、仮に宇都宮市
   に本件忠魂碑施設の所有権があったとしても、移設前後で本件忠魂碑施設の
   形態に変化はあるが、本件忠魂碑施設の同一性に変化はないので、財産的損
   害の発生はうかがわれないし、本件忠魂碑施設の有りように関する経済的文
   化的価値はすぐれて主観的なものであるから、宇都宮市に本件忠魂碑施設移
   設に当たっての不法行為によって填補されるべき損害が発生しているという
   ことはできない。
    したがって、佐藤栄一は、本件忠魂碑施設の管理について、不法行為責任
   は負わないというべきである。
 4 なお、控訴人は、被控訴人本人、証人松本章市の尋問を申請するが、既に説
  示したとおりであって、その必要性が認められないので却下する。
   以上によれば、被控訴人に対し佐藤栄一に損害賠償請求をするよう求める控
  訴人の請求は理由がない。

第4 結論
   そうすると、これと結論において同旨の原判決は相当であり、本件控訴は理
  由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。

     東京高等裁判所第4民事部

          裁判長裁判官   小 池   裕

 
                  -7-

 
               裁判官   都 築 民 枝

               裁判官   浅 見 宣 義

 
                  -8-

こ れ は 正 本 で あ る。
  平成24年11月27日
   東京高等裁判所第4民事部
      裁判所書記官 本 橋 真生夫 ㊞

                              東京(高) 10-055006

【控訴人による付記】
上記判決により原判決「事実及び理由」第2の1及び2は次のとおり改定された。

 1 前提事実(括弧内に証拠等を記載した事実以外は争いがない。)
  (1) 控訴人は宇都宮市の住民である。
    佐藤栄一は、平成16年11月29日から宇都宮市長の職にあり、
   篠原信男は、平成20年4月ころから平成23年3月31日までの間、宇都
   宮市の管財課長であった。
  (2) 大正15年5月ころ、当時の國本村内の私有地(現在の宇都宮市宝木本町
   2549番8)に、本件忠魂碑施設の一部である忠魂碑1基及び戦役記念碑
   1基が建設され、昭和4年4月ころ、戦役記念碑1基が建設された。
  (3) 昭和25年ころ、国本地区遺族会が作られた(甲9、乙8)。
  (4) 宇都宮市は、昭和29年11月1日ころ、國本村を編入した(甲20)。
  (5) 本件忠魂碑施設は、忠魂碑1基及び戦役記念碑2基が大谷石の土台の上に
   建てられ、周囲に銀杏や桜などの樹木が植えられ、さらにその周囲が大谷石
   の石柱で囲まれた状態となっていたが、平成21年ころ、栃木県が行った大
   沢宇都宮線交通安全施設工事(以下「本件道路工事」という。)に伴い、本
   件忠魂碑施設を移設する必要が生じ、同施設は、大谷石の土台及び周囲の石
   柱が撤去され、銀杏や桜などの樹木も伐採された上、別の場所に移設された
   (甲2、甲3、甲25、乙2、弁論の全趣旨)。
  (6)控訴人は、平成22年9月24日、宇都宮市監査委員に対し、佐藤栄一及
   び篠原信男に本件忠魂碑施設の原状回復費用の負担を求めるとともに、原状
   回復が不可能な場合には損害賠償を請求するよう求める旨の監査請求を行っ
   た。
    宇都宮市監査委員は、同年11月17日、本件忠魂碑施設の所有権が宇都
   宮市にないとの理由により、控訴人の監査請求を棄却した。
  (7)控訴人は、同年12月16日、本件訴えを提起した。

 2 争点及びこれについての当事者の主張
   被控訴人の違法な財務会計行為
   (控訴人の主張)
    被控訴人は、本件忠魂碑施設が宇都宮市の所有であるにもかかわらず、過
   失により、その所有権が国本地区遺族会に属するものと判断し、同施設の管
   理を怠ったことにより、その移設の際に、所有権に基づく権利を行使しなか
   った。そのため、本件忠魂碑施設は、本件道路工事に伴って破壊され、宇都
   宮市は、原状回復に要する費用相当額775万2612円及び損失補償料相
   当額328万1519円の合計額1103万4131円の損害を被った。
    (被控訴人の主張)
     本件忠魂碑施設は、国本地区遺族会が60年にわたり維持管理してきたも
    のであり、宇都宮市の所有ではない。
     宇都宮市は、本件忠魂碑施設の移設に関与しておらず、本件道路工事に伴
   う栃木県から国本地区遺族会に対する損失補償料の支払にも関与していない。
    したがって、佐藤栄一は、本件忠魂碑施設の管理を怠ったとして損害賠償
   責任を負うものではない。

「國本村忠魂碑」住民訴訟の判決(宇都宮地裁)を公開します。
正本(平成24年5月18日、宇都宮地方裁判所第1民事部、裁判所書記官 小寺隆志)は
下記の通りです。
平成24年5月17日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 小 寺 隆 志
平成22年(行ウ)第17号 損害賠償等請求事件
口頭弁論終結日 平成24年3月29日

             判    決

   宇都宮市・・・・・
      原  告                   ○ ○ ○ ○

   宇都宮市旭1丁目1番5号
      被  告             宇都宮市長 佐 藤 栄 一
                       (以下「被告市長」という。)
      同指定代理人                  飯 田 健 雄
      同                              田 村 好 昭
      同                              杉 山 敬 宏

   同所
      被  告             宇都宮市管財課長 三好俊也
                    (以下「被告市管財課長」という。)

             主    文

   1 原告の被告市管財課長に対する訴えを却下する。
   2 原告の被告市長に対する訴えのうち、原状回復を求める部分を却下する。
   3 原告の被告市長に対するその余の請求を棄却する。
   4 訴訟費用は原告の負担とする。

             事実及び理由

第1 請求
 1 被告らは、宇都宮市宝木本町2549番8に建立された忠魂碑施設の原状回
  復をせよ。
 2 被告らは、佐藤栄一及び篠原信男に対し、1103万4131円を請求せよ。

                  -1-

第2 事案の概要
   本件は、宇都宮市の住民である原告が、同市の市長佐藤栄一及び管財課長で
  あった篠原信男は、同市宝木本町2549番地8の土地上にあった忠魂碑施設
  (以下「本件忠魂碑施設」という。)は、宇都宮市の所有であるのに、国本地
  区遺族会の所有であると判断してその管理を怠り、栃木県が行う道路拡張工事
  に伴って、同施設が移設のために破壊されたことにより、宇都宮市に同施設の
  原状回復に要する費用相当額の損害及び移設に伴う損失補償料相当額の損害が
  生じたと主張し、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、被告市長及び
  被告市管財課長に対し、本件忠魂碑施設の原状回復を求めるともに、上記の合
  計額1103万4131円につき、佐藤栄一及び篠原信男に対して、損害賠償
  の請求をするよう求めている事案である。
 1 前提事実(括弧内に証拠等を記載した事実以外は争いがない。)
  (1) 原告は宇都宮市の住民である。
    佐藤栄一は、後記の本件忠魂碑施設の移設前から宇都宮市長の職にあり、
   篠原信男は、平成20年4月ころから平成23年3月31日までの間、宇都
   宮市の管財課長であった。
  (2) 大正15年5月ころ、当時の國本村内の私有地(現在の宇都宮市宝木本町
   2549番8)に、本件忠魂碑施設の一部である忠魂碑1基及び戦役記念碑
   1基が建設され、昭和4年4月ころ、戦役記念碑1基が建設された。
  (3) 昭和25年ころ、国本地区遺族会が作られた。
  (4) 宇都宮市は、昭和29年11月1日ころ、國本村を編入した(甲20)。
  (5) 本件忠魂碑施設は、忠魂碑1基及び戦役記念碑2基が大谷石の土台の上に
   建てられ、周囲に銀杏や桜などの樹木が植えられ、さらにその周囲が大谷石
   の石柱で囲まれた状態となっていたが、平成21年ころ、栃木県が行った大
   沢宇都宮線交通安全施設工事(以下「本件道路工事」という。)に伴い、本
   件忠魂碑施設を移設する必要が生じ、同施設は、大谷石の土台及び周囲の石

                  -2-

   柱が撤去され、銀杏や桜などの樹木も伐採された上、別の場所に移設された
   (甲2、甲3、甲25、乙2、弁論の全趣旨)。
  (6)原告は、平成22年9月24日、宇都宮市監査委員に対し、佐藤栄一及び
   篠原信男に本件忠魂碑施設の原状回復費用の負担を求めるとともに、原状回
   復が不可能な場合には損害賠償を請求するよう求める旨の監査請求を行った。
    宇都宮市監査委員は、同年11月17日、本件忠魂碑施設の所有権が宇都
   宮市にないとの理由により、原告の監査請求を棄却した。
  (7)原告は、同年12月16日、本件訴えを提起した。

 2 争点及びこれについての当事者の主張
  (1) 被告市管財課長を被告とする訴えの適法性
   (原告の主張)
    被告市管財課長は、地方自治法242条の2第1項4号に定める「職員」
   に当たるから、被告とすることができる。
   (被告市管財課長の主張)
    被告市管財課長は、被告市長から事務の委任を受けておらず、宇都宮市が
   有する債権を行使する権限を有していないから、本件訴えにつき、当事者適
   格がない。
   (2)被告市長及び被告市管財課長の違法な財務会計行為
   (原告の主張)
    被告市長及び被告市管財課長は、本件忠魂碑施設が宇都宮市の所有である
    にもかかわらず、過失により、その所有権が国本地区遺族会に属するものと
   判断し、同施設の移設について、所有権に基づく権利を行使しなかった。そ
   のため、本件忠魂碑施設は、本件道路工事に伴って破壊され、宇都宮市は、
   原状回復に要する費用相当額775万2612円及び損失補償料相当額32
   8万1519円の合計額1103万4131円の損害を被った。
    (被告市長の主張)

                  -3-

     本件忠魂碑施設は、国本地区遺族会が60年にわたり維持管理してきたも
    のであり、宇都宮市の所有ではない。
     宇都宮市は、本件忠魂碑施設の移設に関与しておらず、本件道路工事に伴
   う栃木県から国本地区遺族会に対する損失補償料の支払にも関与していない。
    したがって、被告市長は、本件忠魂碑施設が移設されたことについて、原
   状回復義務を負うものではなく、損害賠償責任を負うものでもない。

第3  当裁判所の判断
 1 原状回復を求める訴えの適法性について
   本件訴えのうち、原告が被告らに対し本件忠魂碑施設の原状回復を求める部
  分は、原告が自己の具体的な権利・利益が侵害されたことを理由とするもので
  はなく、地方公共団体の住民の資格で提起しているものであり、住民訴訟と解
  される。
   しかしながら、住民訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に
  限り、提起することができるとされているところ(行政事件訴訟法42条)、
  地方自治法242条の2第1項各号は、原状回復を求める訴えを予定していな
  い。
   したがって、原告の訴えのうち、被告らに対し原状回復を求める訴えは不適
  法である。
 2 争点(1)(被告市管財課長を被告とする訴えの適法性)について
   地方自治法242条の2第1項4号に定める「執行機関又は職員」とは、当
  該訴訟で求められている損害賠償等の請求を行う権限を有する行政庁とその補
  助機関を指すものと解される。
   しかしながら、証拠(証人篠原信男)及び弁論の全趣旨によれば、宇都宮市
  の管財課長は、宇都宮市の市有財産を総合的に管理する部局の課長に過ぎず、
  本件全証拠によっても、原告が本件訴訟で求めている損害賠償請求を行う権限
  を有しているものとは認められない。

                 -4-

   そうすると、本件訴えのうち、被告市管財課長を被告として損害賠償請求を
  求める部分も不適法である。
 3 争点(2)(被告市長及び被告市管財課長の違法な財務会計行為)について
   (1) 地方自治法242条の2の定める住民訴訟の対象は、同法242条1項所
   定の地方公共団体の執行機関又は職員による同項所定の違法な財務会計上の
   行為又は怠る事実に限られることに鑑みると、原告の主張するところは、本
   件忠魂碑施設は宇都宮市の所有であり、被告らは所有権に基づく権利を行使
   して、国本地区遺族会が同施設を移設するのを阻止すべき財務会計上の作為
   義務があったのにこれを怠った、また、宇都宮市が所有者として栃木県との
   間で損失補償契約を締結すべきであったのにこれを怠ったと主張するものと
   解される。
  (2) そこで、本件忠魂碑施設の所有権の帰属についてみるに、前提事実と証拠
   (甲4ないし甲7、甲9、甲14ないし甲23、甲25、乙1、乙3、乙4、
   乙6ないし乙9(乙8及び乙9は、その方式及び趣旨により公務員が職務上
   作成したものと認められるから真正な公文書と推定される。)、証人篠原信
   男)によれば、次の事実が認められる。
   ア 國本村誌には、「本村は村會一致を以て去る大正十五年是れが忠魂碑を
    建設の起工をなせり。」「大正十五年一月一日委員會を開き建設に関する
    協議をなせり。」との記述及び工事総経費として1052円84銭との記
    述がある。
   イ 國本村議会の議事録には、大正14年12月18日に開催された同村議
    会において、忠魂碑及び戦役記念碑1基の建設を決し、これらの建設に当
    たり、國本村議会の中から建設委員が選出された旨の記述があり、また、
    大正15年度國本村歳入出予算追加更正案には、忠魂碑及び戦役記念碑1
    基の建設諸費として930円が計上された旨の記述がある。
   ウ 大正15年5月ころ、國本村に忠魂碑1基及び戦役記念碑1基が建立さ

                  -5-

    れ、國本村は、同年ころ、忠魂碑1基及び戦役記念碑1基の建設に当たり、
    その費用1052円84銭を支出した。
     在郷軍人会國本村分会は、上記建設に当たり、労力奉仕として地ならし
    を行い、忠魂碑1基及び戦役記念碑1基の周囲に銀杏や桜の木などを植樹
    した。
   エ 昭和4年4月ころ、上記忠魂碑及び戦役記念碑の隣に、戦役記念碑1基
    が建設された。
   オ 昭和25年ころ、国本地区遺族会が作られ、その後、同遺族会は、本件
    忠魂碑施設について、敷地の所有者であった岩崎長衛らと協力し、落ち葉
    の処理や樹木の剪定を行うなどして同施設を管理してきた。
   カ この間、宇都宮市は、昭和29年11月1日ころ、國本村を編入し、昭
    和57年4月26日ころ、岩崎長衛から、本件忠魂碑施設敷地の寄附を受
    けたが、同施設の管理を行ったことはなかった。
   キ 栃木県は、平成21年8月5日、国本地区遺族会との間で、大沢宇都宮
    線交通安全施設工事(本件道路工事)に伴う本件忠魂碑施設の移設につい
    て、「物件移転等通常受ける損失補償料」として、栃木県が同遺族会に3
    28万1519円を支払うこと、同遺族会は、平成22年3月25日まで
    に同施設の移設を完了することを内容とする損失補償契約を締結した(以
    下「本件損失補償」という。)。
     栃木県は、平成21年9月ころ、宇都宮市に対し、本件道路工事に伴い、
    本件忠魂碑施設の敷地の一部(144.23㎡中78.20㎡)の売払い
    を提示し、宇都宮市は、栃木県に対し、これを代金261万9700円で
    売却した。
   ク 宇都宮市管財課長であった篠原信男は、上記移設の当時、宇都宮市が本
    件忠魂碑施設を所有しているとする根拠となる文書が見当たらないとの認
    識のもとに、同施設は宇都宮市の所有ではないと判断した。

                  -6-

  (3) 原告は、本件忠魂碑施設は、宇都宮市の所有であり、宇都宮市長であった
    佐藤栄一及び宇都宮市の管財課長であった篠原信男には、所有権に基づく権
    利を行使して同施設の移転を阻止するべきであったのにこれを怠ったと主張
   するところ、前記認定の國本村誌の記述に反する証拠は見当たらないのであ
   り、その他(2)で認定した事実と併せると、本件忠魂碑施設は、國本村が建設
      して所有権を取得し、昭和29年に國本村が宇都宮市に編入されたことに伴
   い、宇都宮市の所有となった可能性がある。
    しかし、國本村誌は、國本村青年団の作成であることが窺われるものの、
   それ以上に、作成者や作成経緯を明らかにする証拠はない上、本件忠魂碑施
   設は国本地区遺族会が永年にわたって管理を続けてきたものであることに照
   らすと、國本村誌の前記の記述及び上記(2)で認定した事実をもって、直ちに
   同施設が宇都宮市の所有であったと認定するに足りる証拠があるということ
   はできない。
    そして、この点を措いてみても、本件忠魂碑施設の移設は、栃木県による
   本件道路工事のため、移設する必要が生じたことによるものであり、同工事
   が必要性に欠け、あるいは場所の選定について合理性を欠いていたというよ
   うな事情は窺われず、同施設の移設については、その必要があったものと認
   められる。
    そして、上記認定事実によれば、本件忠魂碑施設は、昭和25年に国本地
   区遺族会ができた後は、同遺族会が管理をしてきたものであるところ、同遺
   族会は、本件道路工事のために同施設の一部を移設することを了解していた
   ものであり、他にも、同施設について利害関係を有する者で移設について反
   対する者が存在したというような事情は認められないのであり、これらの諸
   点に照らすと、同施設の所有権が宇都宮市にあったとする原告の主張を前提
   としても、宇都宮市長である佐藤栄一及び宇都宮市管財課長であった篠原信
   男には、同施設の移設について、妨害排除請求権等の所有権に基づく権利を

                  -7-

   行使し、移設を阻止すべき作為義務があったということはできない。
  (4) 原告は、宇都宮市は本件忠魂碑施設の所有者として栃木県との間で損失補
   償契約を締結すべきであったのにこれを怠ったと主張する。
    しかしながら、既に認定説示したとおり、本件忠魂碑施設が宇都宮市の所
   有であったと認定することはできないし、同施設は国本地区遺族会が管理を
   してきたことに照らすと、宇都宮市長佐藤栄一が栃木県に対し、同施設の宇
   都宮市の所有権を主張して損失補償の契約を締結しなかったことに過失があ
   ったということはできない。
    なお、宇都宮市の管財課長が上記損失補償契約を締結する権限を有してい
   たと認めることはできないから、篠原信男に対し損害賠償を請求するよう求
   める原告の請求も理由がない。

第4 結語
   以上によれば、原告の被告市管財課長に対する訴え及び被告市長に対する訴
  えのうち原状回復を求める部分は、いずれも不適法であるからこれを却下し、
  被告市長に対するその余の請求は理由がないからこれを棄却することとし、主
  文のとおり判決する。

     宇都宮地方裁判所第一民事部

          裁判長裁判官   端 ニ 三 彦
                 裁判官   山 本 明 子
  裁判官有冨正剛は、転補につき、署名押印することができない。
          裁判長裁判官   端 ニ 三 彦

               -8-

こ れ は 正 本 で あ る。
  平成24年5月18日
   宇都宮地方裁判所第1民事部
    裁判所書記官 小 寺 隆 志 ㊞
                              宇都宮 10-010115

http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/dbps_data/_material_/localhost/kansaiinjimukyoku/jumin/H221119.pdfより、
宇都宮市監査委員告示第8号

地方自治法第242条第1項の規定により、平成22年9月24日に提出された宇都宮市職員措置請求について監査した結果を、同条第4項の規定により、次のとおり公表する。
平成22年11月19日
宇都宮市監査委員 五井渕 治夫
同 佐藤 千鶴子
同 中山 勝二
同 熊本 和夫

宇都宮市職員措置請求監査結果

第1 請求の受付
1 請求人
住所 (略)
氏名 (略)

2 請求書の提出日
平成22年9月24日

3 請求の内容
請求人から提出された宇都宮市職員措置請求書による主張要旨及び措置請求は、次のとおりである。
(1) 主張要旨
・ 平成21年9月30日、栃木県に対して市有地の売買を行った際、市が所有権を持つべき忠魂碑や銀杏、桜などの樹木を遺族会の所有物としたため、損失補償を受けられなかった。
・ 忠魂碑等は、旧国本村が村会一致をもって建設したものであり、銀杏や桜などの樹木は、在郷軍人会国本村分会の労力奉仕により植樹したものである。
忠魂碑が建立された大正15年5月には遺族会は存在していなかったにもかかわらず、建立当初から遺族会に所有権があると誤認し、県の担当者にその旨を伝えたため、不当にも遺族会に対して損失補償がなされた。
・ その結果、忠魂碑等が移設され、宇都宮市の木とされる銀杏を含む樹木が切り倒され処分されたが、これらは本来旧国本村の公有財産であり、宇都宮市との合併後は、宇都宮市が保存維持管理すべき市有財産と考えるべきである。
歴史的遺産として後世に残していくべきものが、原状回復できない状態となってしまったことは、本市にとって経済的文化的価値を著しく毀損するものである。地元住民にとってもまちづくりのシンボルを失った精神的ショックは甚大である。
(2) 措置請求
・ 大正15年建立の忠魂碑等が、当時存在していなかった遺族会の所有物となった経緯について説明責任を果たすよう措置請求する。
・ 市民及び地元住民が納得できる説明がない場合には、原状回復のための費用を市長及び管財課職員が負担するよう措置請求する。ただし、原状回復が不可能と思われるので、損害賠償請求の措置を請求する。

4 請求書の要件審査
本件請求については、地方自治法第242条に規定する要件を具備しているものと認められたので、平成22年10月5日に受理を決定した。

第2 監査の実施
1 監査対象事項
請求人が宇都宮市に所有権があると主張する忠魂碑及び戦役記念碑(以下「忠魂碑等」という。)並びに銀杏及び桜等(以下「樹木」という。)の管理を、宇都宮市が違法又は不当に怠ったか否かを、監査対象事項とした。ただし、国本地区遺族会の所有物となった経緯について説明責任を果たすよう求める措置請求については、地方自治法第242条に規定する住民監査請求の要件を欠くため、監査対象事項としなかった。

2 監査対象部局
監査対象部局を理財部管財課とした。

3 請求人の証拠の提出及び陳述
請求人に対し、地方自治法第242条第6項の規定により、平成22年10月18日に証拠の提出及び陳述の機会を与えた。
この際、新たな証拠として、1 平成22年10月14日付け宮広第516号(市長から請求人あての回答)の写し、2 移設前の忠魂碑等及び伐採前の樹木の写真2枚が提出された。

4 監査対象部局職員の陳述
監査対象部局から、監査対象事項に関する資料の提出を求め、書類審査を行うとともに、平成22年10月18日に理財部長、同部次長、管財課長、同課長補佐、同課財産グループ係長等から陳述の聴取を行った。
監査対象部局の説明は、以下のとおりである。
忠魂碑等は、昭和3年11月発行の図書『國本村誌』(以下「村誌」という。)第10章在郷軍人組織の記述から、大正15年に村も巻き込んで地元の軍人組織が先頭に立って建立したものと推定できる。
当時その敷地は、個人が所有する土地であった。忠魂碑等及び樹木が旧国本村の所有物であったのか否かは確認できない。
当該土地所有者は、忠魂碑等の建立に係る費用を負担したとの話も確認された。
忠魂碑等の所有については、請求人は請求の要旨1の記載の中で「本来市が所有権を持つべき忠魂碑や銀杏、桜などの樹木を「遺族会」の所有物としたため、損失補償を受けられなかった。」ことを主張しているが、市には所有権がないと考える。
その理由は以下のとおりである。
・ 一般的に、忠魂碑や忠霊塔と言われる施設は、戦前は軍人組織が、戦後は遺族など地域の住民が中心となり、戦没者ないし戦争犠牲者を世に顕彰し、記念するために建立されたものと言われている。請求の忠魂碑等も、大正15年に、軍人組織を先頭に地域住民の手で建立されたものと推定できる。
こうしたことから、これらの施設は、地域住民のものである性格が強く、市が所有の意思をもつものではない。
・ 忠魂碑等の敷地は、昭和57年4月に前所有者から寄附を受けている。その寄附申込書等から、忠魂碑等や樹木を除いた土地のみの寄附であることは明らかである。
・ 寄附を受けた土地については、忠魂碑等の建立以前から昭和57年に寄附されるまでの間、土地所有者に課税されていた。
・ 忠魂碑等及び樹木の管理については、国本地区遺族会や地元の人々の手により落ち葉拾いや樹木の剪定などが行なわれている。
・ 今回の忠魂碑等移設に類似した事例として、次のような事例がある。
市では、平成12年に、国本地区市民センターを建設するに当たり、市有地である同センター建設用地にあった忠霊塔(第2次世界大戦による戦没者を慰霊する施設)を移設する必要が生じ、その際に、国本地区遺族会と移転補償契約を行った。
忠霊塔の補償に当たっては、政教分離や所有権などの課題に対し、当時の市顧問弁護士に相談した経過があり、「忠霊塔は遺族会が所有を目的に管理しているものであり、所有権は遺族会に帰属する」との見解を得ている。
・ 仮に、忠魂碑等の敷地の所有権移転に伴って、忠魂碑等及び樹木の所有権が宇都宮市に移転したとしても、国本地区遺族会が昭和25年の設立以来忠魂碑等及び樹木の維持管理を行っており、60年以上もの間所有の意思を持って平穏に、かつ公然と他人の物を占有していたということができるので、所有権の取得時効を援用できる。
以上の理由から、忠魂碑等及び樹木については、国本地区遺族会に所有権が帰属し、市には所有権がないものと考える。従って、忠魂碑等及び樹木の所有権のない市が、移設により損害を受けた事実はなく、請求人が主張する原状回復の損害賠償請求には理由がない。

第3 監査の結果
1 事実関係の確認
監査対象部局等に対する監査の結果、次の事項を確認した。
(1) 事実の経過
大正15年 忠魂碑及び戦役記念碑(大)が建立された。
樹木が植栽された。
敷地は民有地であった。
昭和 3年 国本村青年団が村誌を編集、発行した。
昭和 4年 同土地内に戦役記念碑(小)が建立された。
昭和20年 第2次世界大戦が終結した。
昭和21年 帝国在郷軍人会が解散した。
昭和25年 国本地区遺族会が設立された。
昭和29年 宇都宮市が旧国本村を編入合併した。
昭和57年 宇都宮市に対し、同土地の寄附申込みがあり、宇都宮市は寄附を受け入れた。
平成16年 同土地周辺における道路改良事業について、栃木県が住民説明会を行った。
平成21年 栃木県による道路改良工事に伴い、宇都宮市は、同土地(144.23平方メートル)の一部を分筆(78.20平方メートル)の上、栃木県に売却した。国本地区遺族会により忠魂碑等が残地(66.03平方メートル)に移設され、樹木が伐採された。
(2) 関連する事項の詳細
ア 忠魂碑等及び樹木について
・ 村誌の記述によると、忠魂碑等は村会一致をもって大正15年に建立され、樹木は帝国在郷軍人会国本分会員の労力奉仕により植え付けられた。工事総経費は、1,052円84銭であった。
・ 現地調査により、忠魂碑等については、 1基の忠魂碑及び大小2基の戦役記念碑を確認した。忠魂碑には、西南の役から日露戦争までの戦病傷死者名が刻まれている。戦役記念碑(大)には、西南の役からシベリア出兵までの従軍者名、戦役当時吏員名、建設委員名等が刻まれている。また、村誌に記述のない戦役記念碑(小)には、戦役記念碑(大)に追加する形で、日清戦争、日露戦争及びシベリア出兵の従軍者名が刻まれている。
樹木については、伐採の痕跡であると思われる切り株3株を確認した。
・ 忠魂碑等及び樹木の管理については、第2次世界大戦以前の状況は確認できないが、地元からの聞き取りにより、戦後は国本地区遺族会や地元の住民が落ち葉拾いや樹木の剪定などを実施してきたことが窺える。
イ 帝国在郷軍人会国本分会について
村誌の記述によると、日露戦争(明治37年から38年まで)の後に、全国各地に軍人団が組織された。明治43年、軍人団は在郷軍人会と改称し、伏見宮貞愛親王を総裁として帝国在郷軍人会が組織され、各連隊区に支部が、町村に分会が設置された。
旧国本村においては、明治40年に軍人団が組織され、その後、名称を帝国在郷軍人会国本分会(以下「在郷軍人会国本分会」という。)とした。
帝国在郷軍人会は、第2次世界大戦の終結により昭和21年に解散したことが史実として確認できる。在郷軍人会国本分会についても、帝国在郷軍人会の解散に伴い、ほぼ同時期に解散したものと推定される。
ウ 国本地区遺族会について
国本地区遺族会は、昭和25年に設立され、会長及び会員約50名で構成されている。
なお、財団法人日本遺族会、宇都宮市遺族会連合会、地区遺族会等は、戦没者遺族の相互扶助、福祉の向上と英霊の顕彰を主たる目的として設立された団体である。
エ 土地について
・ 忠魂碑等が所在する宝木本町2549番8の土地は、忠魂碑等の建立前から民有地であり、建立後も、引き続き土地台帳及び土地課税台帳に登録され、宇都宮市に寄附されるまでの間、長年に渡り課税されていた。
・ 昭和57年、宇都宮市は、民有地であった当該土地の寄附を受け入れた。寄附受入れ時の起案文書に添付された寄附申込書及び寄附受領書には、寄附財産としての記載は、土地の項目についてのみであり、建物及びその他の財産の項目には斜線が引いてあることが確認できる。
オ 道路改良工事について
平成21年、宇都宮市は、栃木県による県道大沢宇都宮線の道路改良工事のため、当該土地の一部を分筆し栃木県に売却した。
同年、国本地区遺族会は、当該道路改良工事のため、栃木県と忠魂碑等に係る移転補償契約を締結した。その後、忠魂碑等は、残地に移設され、樹木は伐採された。

2 監査委員の判断
宇都宮市が忠魂碑等及び樹木の管理を違法又は不当に怠ったか否か、所有と管理の実態について検討する。
・ 村誌の記述及び国本地区住民からの聞き取りからは、忠魂碑等及び樹木の所有者についての確証は得られなかった。
・ 忠魂碑等及び樹木の管理については、戦前の状況は確認できないが、地元からの聞き取りにより、戦後は国本地区遺族会や地元の住民が落ち葉拾いや樹木の剪定などを実施してきたことが窺える。一方、昭和29年の市村合併以後、宇都宮市が管理を行ってきた事実は見当たらない。
・ 当該土地の寄附受入れについては、昭和57年の寄附申込書及び寄附受領書の記録から、当該土地のみが寄附されたことは明白であり、忠魂碑等及び樹木が寄附されたと判断すべき事実は認められない。
・ また、当該土地については、土地台帳及び土地課税台帳によれば、宇都宮市が寄附を受け入れる昭和57年まで、土地に係る税が課されていた。仮に、請求人が主張するように、忠魂碑等及び樹木の所有権が市村合併によって旧国本村から引き継がれ、宇都宮市がこれらを所有したとするならば、宇都宮市は、当該土地に係る借地料の支払い、あるいは市税の減免を行ったと思われるが、それらの事実は認められない。
以上のことから、宇都宮市が忠魂碑等及び樹木の所有権を有しているとはいえず、管理する義務もない。
よって、宇都宮市が忠魂碑等及び樹木の管理を違法又は不当に怠った事実はない。

3 結論
以上、市長及び管財課職員に対し、忠魂碑等及び樹木の原状回復のための費用負担又は原状回復が不可能と思われるので損害賠償を請求する旨、勧告するよう求めるとの請求は理由がないものと判断し、棄却する。

宇都宮市職員措置請求書
宇都宮市長及び管財課職員に関する措置請求の要旨

1 請求の要旨
1 宇都宮市長及び管財課職員、平成21年9月30日、栃木県に対して市有地売買を行った際、本来市が所有権を持つべき忠魂碑や銀杏、桜などの樹木を「遺族会」の所有物としたため、損失補償を受けられなかった。
2 この忠魂碑等は旧國本村が村会一致をもって建設したものであり、銀杏や桜などの樹木は当時の在郷軍人会國本村分会の労力奉仕により植樹したものである。忠魂碑は大正15年5月に建立されたものであり、当時「遺族会」なる団体は存在していないにもかかわらず、具体的な事実や根拠を示すことなく、建立当初から「遺族会」に所有権があると誤認し、県の担当者にその旨を伝えたため、不当にも「遺族会」に対して損失補償がなされたものである。
3 その結果、忠魂碑等が移設され、宇都宮市の木とされる銀杏を含む樹木が切り倒され処分されたが、これらは本来旧國本村の公有財産であり、宇都宮市と合併後は、当然宇都宮市が保存維持管理すべき市有財産と考えるべきで、歴史的遺産として後世に残していくべきものであったが、もはや原状回復できない状態となってしまったことは本市にとっても、経済的文化的価値を著しく毀損するものである。地元住民にとっても「まちづくり」のシンボルを失った精神的ショックは甚大である。
4 大正15年5月建立の忠魂碑等が、当時存在していなかった「遺族会」の所有物となっ た経緯についての説明責任を果たすよう措置請求します。市民及び地元住民が納得できる説明がない場合は、原状回復のための費用を市長及び管財課職員が負担するよう措置請求します。ただし、原状回復が不可能と思われますので損害賠償請求の措置を請求します。

2 請求者
住所(略)
職業(略)
氏名(略)
地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明を添え、必要な措置を請求します。
平成22年9月24日
宇都宮市監査委員 殿
添付資料(略)