http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013100200407より、
生活保護、5213世帯増=7月の受給が過去最多-厚労省

 厚生労働省は2日、7月に生活保護を受けた世帯が全国で前月比5213世帯増の158万8521世帯に上り、過去最多を更新したと発表した。受給者数は5824人増の215万8946人だった。
 1人暮らしが多い高齢者世帯の増加傾向が続いており、65歳以上の受給世帯数は71万5072世帯と、全体の45%を占めた。(2013/10/02-12:09)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013100201001086.htmlより、
生活保護が過去最多158万世帯 不正受給対策法案提出へ
2013年10月2日 11時10分

 厚生労働省は2日、全国で生活保護を受けている世帯数が7月時点で158万8521世帯(前月比5213世帯増)となり、過去最多を更新したと発表した。受給者数は215万8946人(同5824人増)だった。
 受給者数は3月まで11カ月連続で過去最多だったが、4~7月は3月時点の216万1053人を下回った。
 厚労省は、今月召集される臨時国会に、不正受給対策を強化する生活保護法改正案と、生活困窮者向けの自立支援法案を提出する方針だ。(共同)

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2013090400363より、
生活保護、694人減=受給世帯は最多-厚労省

 厚生労働省は4日、今年6月に全国で生活保護を受けた人が前月比694人減の215万3122人となったと発表した。受給者の減少は2カ月ぶり。受給世帯は158万3308世帯と過去最多だった。
 同省は受給者の減少について、「雇用情勢の改善が要因の一つだが、この傾向が続くか注視する必要がある」と話している。
 東日本大震災の被災者の生活保護受給世帯は、2011年3月から今年7月までの累計で1664世帯。7月から受給を始めたのは31世帯だった。同省は、生活保護者の就労支援策を強化する生活保護法改正案を秋の臨時国会に提出する方針。(2013/09/04-12:10)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013090401001162.htmlより、
生活保護世帯、過去最多を更新 6月、158万3千世帯
2013年9月4日 11時41分

 厚生労働省は4日、全国で生活保護を受給している世帯数が6月時点で158万3308世帯(前月比1242世帯増)となり、過去最多を更新したと発表した。受給者の人数は215万3122人(同694人減)だった。
 世帯別では、65歳以上の高齢者世帯が全体の4割以上となる71万2198世帯となり、増加が続いている。働ける世代を含む「その他の世帯」が28万7804世帯、傷病者世帯が28万4632世帯などだった。
 受給者数は3月時点で216万人を超え、過去最多を更新したが、4~6月は3月を下回っている。(共同)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0400W_U3A900C1CR0000/より、
生活保護世帯数、過去最多を更新 6月時点
2013/9/4 11:01

 全国で生活保護を受けている世帯は6月時点で158万3308世帯となり、前月と比べて1242世帯増えて過去最多を更新したことが4日、厚生労働省の集計でわかった。受給者は前月比694人減の215万3122人で、2カ月ぶりの減少となった。厚労省は「高齢者を中心に単身世帯の受給者が増えている」とみている。
 世帯別では、高齢者世帯が71万2198世帯で最も多く、働ける世代を含む「その他の世帯」(28万7804世帯)、傷病者世帯(28万4632世帯)と続いた。

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201308/2013080800395より、
5月の生活保護215万3816人=受給世帯は最多-厚労省

 厚生労働省は8日、今年5月に全国で生活保護を受けた人が前月比1973人増の215万3816人になったと発表した。受給者の増加は1カ月ぶりで、4月は受給世帯の子どもの就職などにより前月から減少していた。受給世帯は158万2066世帯と過去最多を更新した。(2013/08/08-11:53)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG08014_Y3A800C1CR0000/より、
生活保護受給、最多の158万世帯 5月時点
2013/8/8 11:07

 全国で生活保護を受けている世帯は5月時点で158万2066世帯となり、前月と比べて4034世帯増えて過去最多を更新したことが8日、厚生労働省の集計で分かった。受給者は前月比1973人増の215万3816人で、過去3番目の多さだった。厚労省は「高齢者を中心に単身世帯の受給が増えている」と分析している。
 世帯別では、高齢者世帯が71万1406世帯で最多。働ける世代を含む「その他の世帯」(28万7967世帯)、傷病者世帯(28万5016世帯)と続いた。

http://mainichi.jp/select/news/20130808k0000e040254000c.htmlより、
生活保護世帯、過去最多を更新 5月、158万世帯
2013年8月8日 10時55分

 厚生労働省は8日、全国で生活保護を受けている世帯数が5月時点で158万2066世帯となり、過去最多を更新したと発表した。受給者数は215万3816人だった。
 受給者の人数は3月に216万1053人で11カ月続けて過去最多だったが、4月は就職する人が増え微減に転じていた。(共同)

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201307/2013071000343より、
生活保護、5年ぶり減=4月、157万8032世帯-厚労省

 厚生労働省は10日、4月の全国の生活保護受給世帯が前月から596世帯減って157万8032世帯だったと発表した。受給世帯数が前月を下回るのは2008年4月以来5年ぶり。同省は「リーマン・ショックから一定期間が経過し、新たに受給し始める世帯が減少傾向にある」と分析している。
 生活保護受給者は、3月まで11カ月連続で過去最多を更新していたが、4月は受給世帯の子どもの学校卒業や独立などで前月比0.4%減の215万1843人だった。(2013/07/10-12:11)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG10014_Q3A710C1CR0000/より、
生活保護受給者が減少 4月時点
2013/7/10 11:03

 全国で生活保護を受けている人は今年4月時点で215万1843人となり、過去最多だった前月と比べて9210人減ったことが10日、厚生労働省の集計で分かった。受給者の減少は1年ぶり。厚労省は「例年、4月は子供の就職などで生活保護から脱却する人が増える傾向にある」と説明している。
 受給世帯も、過去最多だった前月から596世帯減の157万8032世帯となり5年ぶりに減少した。内訳は、高齢者世帯が70万9345世帯で最も多く、働ける世代を含む「その他の世帯」(28万7156世帯)、傷病者世帯(28万4812世帯)と続いた。

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201306/2013061200316より、
生活保護216万1053人=今年3月、過去最多を更新-厚労省

 厚生労働省は12日、今年3月に全国で生活保護を受けた人が前月比5835人増の216万1053人となり、11カ月連続で過去最多を更新したと発表した。受給世帯も157万8628世帯と過去最多だった。
 東日本大震災の被災者の生活保護受給世帯は、2011年3月から今年4月までの累計で1580世帯。
 厚労省は、保護から脱却するための就労促進対策などを盛り込んだ生活保護法改正案を今国会に提出している。(2013/06/12-11:32)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG12015_S3A610C1CR0000/より、
生活保護受給者、最多の216万人 3月時点
2013/6/12 11:28

 全国で生活保護を受けている人は今年3月時点で216万1053人だったことが12日、厚生労働省の集計でわかった。前月から5835人増え、11カ月連続で過去最多を更新した。
 受給世帯も前月比3985世帯増の157万8628世帯で過去最多だった。内訳は、高齢者世帯が70万4442世帯で最も多く、働ける世代を含む「その他の世帯」(28万8483世帯)、傷病者世帯(28万7934世帯)と続いた。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2200V_S3A520C1CR0000/より、
生活保護が過去最多に 2月時点、厚労省集計
2013/5/22 12:02

 全国で生活保護を受けている人は2月時点で215万5218人となり、前月と比べて1576人増えたことが22日、厚生労働省の集計で分かった。受給世帯は1677増の157万4643世帯で、いずれも過去最多を更新した。世帯別では高齢者世帯が68万3353世帯で最も多く、傷病者世帯(29万7226世帯)、働ける世代を含む「その他の世帯」(28万9931世帯)と続いた。その他の世帯は前月と比べて47世帯少なく、1年10カ月ぶりに減少に転じた。

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201305/2013052200327より、
生活保護215万5218人=2月、過去最多を更新-厚労省

 厚生労働省は22日、今年2月に全国で生活保護を受けた人が前月比1576人増の215万5218人となり、10カ月連続で過去最多を更新したと発表した。受給世帯も157万4643世帯と過去最多だった。
 東日本大震災の被災者の生活保護受給世帯は、2011年3月から今年3月までの累計で1549世帯。(2013/05/22-11:30)

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201304/2013041700398より、
生活保護9カ月連続最多=厚労省

 厚生労働省は17日、今年1月に全国で生活保護を受けた人が前月比2477人増の215万3642人となり、9カ月連続で過去最多を更新したと発表した。受給世帯も157万2966世帯と過去最多だった。
 東日本大震災の被災者の生活保護受給世帯は、2011年3月から今年2月までの累計で1520世帯となった。(2013/04/17-11:49)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130417/k10013974201000.htmlより、
生活保護受給者 過去最多を更新
4月17日 11時43分

生活保護を受けている人は、ことし1月の時点で全国で215万人余りで9か月連続で過去最多を更新したことが厚生労働省のまとめで分かりました。
厚生労働省によりますと、ことし1月に生活保護を受けた人は、全国で215万3642人で、これまでで最も多かった前の月よりも2477人増えて9か月連続で過去最多を更新しました。
生活保護を受給している世帯も前の月より2143世帯増えて、157万2966世帯となり、過去最多を更新しました。
世帯の内訳は、▽「高齢者世帯」が最も多く全体の43%を占めているほか、▽けがや病気などの「傷病者世帯」が19%、▽働くことのできる世代を含む「その他の世帯」が18%となっています。
受給者が増え続けていることについて、厚生労働省は「年金だけでは暮らせない高齢者が増えているうえ、雇用情勢も厳しく、増加が続いている」と分析しています。
厚生労働省は、受給者の増加に歯止めをかけるため、不正受給対策を強化するなど制度を抜本的に見直す生活保護法の改正案と、生活保護を受ける前の経済的に困った人に対する支援策の充実を盛り込んだ新しい法律の案を今の国会に提出することにしています。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG17012_X10C13A4CR0000/より、
生活保護受給者、過去最多を更新 1月時点
2013/4/17 11:18

 全国で生活保護を受けている人は1月時点で215万3642人となり、前月と比べて2477人増えたことが17日、厚生労働省の集計でわかった。受給世帯は2143増の157万2966世帯で、いずれも過去最多を更新した。
 世帯別では、高齢者世帯が68万2428世帯で最も多い。働ける世代を含む「その他の世帯」(28万9978世帯)の増加も目立った。東日本大震災で被災し生活保護を受給した世帯が2月時点で1520世帯に上ったことも判明した。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013031300461より、
生活保護215万人=昨年12月、過去最多を更新-厚労省

 厚生労働省は13日、2012年12月の生活保護受給者数が前月比3862人増の215万1165人、受給世帯が3026世帯増の157万823世帯になったと発表した。ともに過去最多を更新した。(2013/03/13-13:06)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130313/k10013163751000.htmlより、
生活保護受給者 過去最多更新
3月13日 11時33分

生活保護を受けている人は、去年12月の時点で全国で215万人を超え、8か月連続で過去最多を更新したことが厚生労働省のまとめで分かりました。
厚生労働省によりますと、去年12月に生活保護を受けた人は、全国で215万1165人で、これまでで最も多かった前の月より3862人増えて、8か月連続で過去最多を更新しました。
生活保護を受給している世帯も前の月より3026世帯増えて、157万823世帯となり、過去最多を更新しました。
世帯の内訳は、「高齢者世帯」が最も多く、全体の43%を占めているほか、けがや病気などの「傷病者世帯」が19%、働くことのできる世代を含む「その他の世帯」が18%となっています。
受給者が増え続けていることについて、厚生労働省は、「年金だけでは暮らせない高齢者が増えているほか、雇用環境が依然として厳しく歯止めがかからない」と分析しています。
生活保護費は、今年度3兆7000億円に上る見通しで、政府は、このうち食費や光熱費などの費用について新年度から3年かけて総額で670億円程度を段階的に減らす方針です。
また、厚生労働省は、不正受給対策の強化など制度を抜本的に見直す生活保護法の改正案や、生活保護を受ける前の経済的に困った人に対する支援策の充実を盛り込んだ新しい法律の案を、今の国会に提出する方針です。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130312/k10013131961000.htmlより、
生活保護の不正受給が過去最多
3月12日 4時15分

働いて得た収入を申告しないなど、生活保護の不正受給が明らかになった件数は、平成23年度に全国でおよそ3万5000件、金額は173億円と、件数、金額ともに過去最多に上ったことが厚生労働省のまとめで分かりました。
厚生労働省が自治体を通じてまとめたところ、平成23年度に明らかになった生活保護の不正受給は、およそ3万5000件で、前の年より1万件余り増加しました。
金額は173億1000万円余りと、前の年より44億円増えて件数、金額ともに過去最多となりました。
不正受給の具体的な内容では、働いて得た収入を申告しなかったケースが最も多く全体の45%を占めたほか、次いで年金を受けているのに申告しなかったケースが25%、働いた収入を少なく申告したケースが10%などとなっています。
不正受給の件数と金額が過去最多となったことについて厚生労働省は、「生活保護の受給者が増えるなか、自治体がこれまで以上に不正受給対策に力を入れたためではないか」としています。
生活保護を巡っては、去年11月の時点の受給者が全国で214万人余りと過去最多を更新し続けていて、制度の維持のためにも不正受給の防止が課題となっています。
厚生労働省は、今の国会で生活保護法を改正し、罰則を強化したり、自治体の調査権限を拡大したりして、対策を強化することにしています。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013031101002227.htmlより、
生活保護不正受給最悪3万5千件 11年度、173億円
2013年3月11日 21時53分

 厚生労働省は11日、2011年度の生活保護費の不正受給が全国で3万5568件、金額は173億1299万円に上り、ともに過去最悪となったことを明らかにした。10年度に比べ1万213件増え、金額は44億3874万円増えた。
 不正の内訳は、働いて収入があるのに申告しないケースが最も多く45・1%。年金受給の無申告が24・8%で続いた。
 不正受給は保護費総額の0・5%。厚労省は「必ずしも悪意ある受給者が1万人増加したわけではない」としているが、不正受給対策の強化を図る考えだ。(共同)

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2013031100764より、
生活保護の不正受給173億円=11年度、件数は4割増-厚労省

 厚生労働省は11日、2011年度に発覚した生活保護費の不正受給が3万5568件あり、金額は計173億1000万円だったと発表した。前年度の2万5355件、128億7000万円に比べると、件数は40%、金額は34%の増加。10年前の01年度との比較では、件数は5倍、金額は3.7倍に増えている。
 増加の理由について厚労省は、就労収入の未申告などを福祉事務所が厳格に調査するようになったためと分析。発覚した不正受給の中には高校生のアルバイト代を申告し忘れたケースなども含まれていることから、同省は「必ずしも悪意のある受給者が急激に増えたわけではない」としている。(2013/03/11-18:48)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013021701001507.htmlより、
孤立無業の働き盛り162万人 5年で4割増、就職難響く
2013年2月17日 20時37分

 20~59歳の働き盛りで未婚、無職の男女のうち、社会と接点がない「孤立無業者」が2011年時点で162万人に上るとの調査結果を、玄田有史・東大教授のグループが17日までにまとめた。景気低迷に伴う就職難やリストラなどが響き、06年(112万人)と比べて4割強増えた。
 職探し中の孤立無業者は半数にとどまり、事態改善に向けた動きは鈍い。玄田教授は「孤立に陥ると職探しへの意欲が失われがちだ。今は家族が支えても将来、経済的に厳しい状況に陥る」と指摘。生活保護費など社会保障費の増加を抑えるためにも、訪問支援など政府や自治体による対策が急務だと訴えている。(共同)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130213/k10015486701000.htmlより、
生活保護受給者 7か月連続で過去最多
2月13日 14時18分

生活保護を受けている人は、去年11月の時点で全国で214万人余りで、7か月連続で過去最多を更新したことが、厚生労働省のまとめで分かりました。
厚生労働省によりますと、去年11月に生活保護を受けた人は全国で214万7303人で、これまでで最も多かった前の月よりも4723人増えて、7か月連続で過去最多を更新しました。生活保護を受給している世帯も、前の月より3496世帯増えて156万7797世帯となり、過去最多を更新しました。
世帯の内訳は、「高齢者世帯」が最も多く全体の43%を占めているほか、次いで、けがや病気などの「傷病者世帯」が19%、働くことのできる世代を含む「その他の世帯」が18%となっています。
受給者が増え続けていることについて、厚生労働省は「年金だけでは暮らせない高齢者が増えていることなどから歯止めがかからない」と分析しています。
生活保護費は今年度3兆7000億円に上る見通しで、政府は生活保護費のうち食費や光熱費などの費用について、新年度から3年かけて総額で670億円程度を段階的に減らす方針です。また、厚生労働省は、不正受給対策の強化など制度を抜本的に見直す生活保護法の改正案や、生活保護を受ける前の経済的に困った人の支援策の充実を盛り込んだ新しい法律の案を今の国会に提出する方針です。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013021302000247.htmlより、
生活保護 過去最多 7カ月連続
東京新聞 2013年2月13日 夕刊

  厚生労働省は十三日、全国で生活保護を受けている人が昨年十一月時点で二百十四万七千三百三人(前月比四千七百二十三人増)となり、七カ月連続で過去最多を更新したと発表した。受給世帯数は百五十六万七千七百九十七世帯(同三千四百九十六世帯増)で、同様に過去最多。
 世帯別では、六十五歳以上の高齢者世帯が全体の43%の六十八万二百三十六世帯。働ける世代を含む「その他の世帯」は18%の二十八万七千九百六十八世帯だった。
 二〇一三年度予算案では、生活保護費は国費で二兆八千二百二十四億円、地方負担分を含めれば三兆七千六百三十二億円に上る。生活保護費の基準額は八月から三年かけて6・5%減額される。
 厚労省は基準額見直しに加え、不正受給対策の強化を盛り込んだ生活保護法改正案と、生活保護に至る前の生活困窮者の就労や自立を支援する新法の今国会提出を目指している。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013021300326より、
生活保護214万7303人=昨年11月、過去最多を更新-厚労省

 厚生労働省は13日、2012年11月の全国の生活保護受給者数が前月比4723人増の214万7303人、受給世帯が3496世帯増の156万7797世帯になったと発表した。ともに過去最多を更新した。
 また、東日本大震災の被災者の生活保護については、11年3月から12年12月までに全国の被災者から5396件の相談があり、うち1470世帯が受給を開始した。(2013/02/13-11:21)

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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickupより、
朝日新聞 社説 2013年 10月 2 日(水)付
17年ぶり消費増税―目的を見失ってはならぬ

 安倍首相が、消費税の増税を決めた。5%の税率は来年4月から8%に上がる。
 97年4月に3%から5%になって以来、17年ぶりの消費増税だ。これまでは所得税などの減税とセットだったが、今回はない。金額にして8兆円余り。わが国の税制改革史上、例のない大型増税である。家計への負担は大きい。

■一体改革の原点
 それでも、消費増税はやむをえないと考える。
 借金漬けの財政を少しでも改善し、社会保障を持続可能なものにすることは、待ったなしの課題だからだ。
 「社会保障と税の一体改革」という原点に立ち返ろう。
 国債を中心とする国の借金の総額は国内総生産(GDP)の約2倍、1千兆円を突破した。今年度の一般会計では、新たな国債発行が40兆円を超え、予算の半分近くに及ぶ。
 最大の原因は、高齢化に伴う社会保障費の伸びだ。医療や年金、介護の財源は、保険料や窓口負担だけでは足りない。国や自治体が多額の予算を投じており、国の社会保障費は年に1兆円ほど膨らみ続ける。
 将来の世代に借金のツケを回しながら、今の世代の社会保障をやりくりする――。こんなことをいつまでも続けられるはずがない。社会保障を安定させ、財政の危機を未然に防ぐには、今を生きる私たちがもっと負担するしかない。
 では数多い税金のうち、なぜ消費税なのか。
 社会保障による給付は高齢者向けが中心だ。お年寄りの割合は上がり続けており、所得税など働く世代の負担だけに頼るわけにはいかない。
 しかも、現役組は賃金が増えないなか、子育てや教育、住宅など多くの負担を抱える。支援を強化しないと、人口減少に拍車がかかりかねない。
 こうした点を考えれば、国民が幅広く負担し、税収も安定している消費税が、社会保障の財源に最もふさわしい。
 あわせて豊かな人たちを対象に、所得税や相続税を強化する必要がある。格差を縮めるためにも不可欠だ。ただ、これだけで消費増税に匹敵する財源を確保するのは難しい。

■法人税減税への疑問
 政府の責任は、規制改革などで経済を成長させつつ、税金をしっかり集め、むだ遣いせず効果的に配分することだ。この三つの課題に向き合わなければ、増税への理解は得られない。
 ところが、安倍政権は増税で予想される景気悪化への対策を理由に、これに反するような政策を打ち出した。
 5兆円の経済対策である。
 所得の少ない人の負担が重い消費増税では、低所得者への支援策が必要だ。補正予算にその費用を盛り込むのはわかる。
 しかし、対策の柱がなぜ、法人税の減税なのか。
 政権は、与党内の根強い反対を押し切り、法人税の減税方針を打ち出した。東日本大震災の復興費にあてる上乗せ増税を予定より1年早く今年度で打ち切ることや、その先の税率引き下げの検討を急ぐという。
 企業は経済成長の担い手であり、雇用の場でもある。国際的に法人減税の競争が続いているのも事実だ。
 ただ、日銀の統計では、企業(金融を除く)は現金・預金だけで220兆円も抱え込んでいる。多くの企業は、収益が上向いても使おうとしない。
 まず、こうした現状を改める必要がある。安倍首相は税率引き下げをテコに賃上げを迫る構えだが、財政への影響が大きい一律減税の前に、賃金や雇用、投資を増やした企業の税負担を軽くする手立てに集中すべきではないか。

■政権に自覚はあるか
 経済対策は支出面でも疑問がある。代表例が公共事業だ。
 老朽化した社会インフラの更新は急ぐべきだが、公共事業が足もとの景気を支える効果に飛びつき、「金額ありき」で上積みする姿勢がありありだ。バブル崩壊後、毎年のように補正予算を組んで財政を悪化させてきた愚を繰り返すのか。
 消費税の制度そのものにも課題が残る。
 国民が払った税金がきちんと税務署に納められることは税制の大原則である。業者の手元に一部が残る「益税」対策を徹底することが欠かせない。
 業者間の取引に、税額を明示したインボイス(明細書)を導入すべきだ。商品やサービス自体の価格と消費税分の区分けがはっきりすれば、取引時の転嫁がしやすくなり、立場の弱い中小事業者が泣き寝入りすることも減らせる。
 税金は安いにこしたことはない。それでも納税するのは、政府が暮らしに必要な政策に取り組むと信じるからだ。
 消費増税の目的をはき違えていないか。安倍政権は、国民の厳しい視線が注がれていることを自覚すべきだ。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/131002/fnc13100203100003-n1.htmより、
産経新聞【主張】消費税8%決定 日本再生へ確実につなげ 成長戦略の具体化が急務だ
2013.10.2 03:09 (1/3ページ)

 安倍晋三首相が消費税率を来年4月から3%引き上げ、8%とすることを正式表明した。安定的な社会保障財源の確保と財政健全化に向け、確かな一歩を踏み出した意義は大きい。
 安倍首相は1日の記者会見で増税の理由について「国の信認を維持し、持続可能な社会保障制度を次の世代に引き渡すため」として国民に理解を求めた。
 景気への影響を懸念し、増税先送りを求める声は政府内にもあった。その中で、ぶれずに法律通りに増税の実施を決断した安倍首相の姿勢を支持したい。
 消費税増税は17年ぶりとなる。日本は今、デフレから脱却し「失われた15年」を埋める過程にある。安倍首相は増税による景気の落ち込みを防ぎ、日本経済を上向かせる成長戦略の具体化を急ぐことが必要だ。増税による財政再建と成長は「日本再生」のために、どちらも欠かせない。

 ≪政治も身を切る覚悟を≫
 一方で、国民に増税という負担を求める以上、政治も自ら身を切る覚悟を示すべきだ。予算削減などを通じた政府のスリム化を図ることも必要だ。安倍首相は選挙制度改革を通じた定数削減などを主導し、増税への国民の理解を求めてほしい。
 日銀がまとめた9月の短観で、企業心理の大幅改善が確認された。今年4~6月期の実質国内総生産(GDP)も年率3・8%増に上方修正され、堅調な個人消費に加えて設備投資もプラスに転じた。来年4月の増税実施に向け、景気は着実に回復傾向にあるとの判断は妥当だ。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/131002/fnc13100203100003-n2.htmより、
2013.10.2 03:09 (2/3ページ)
 増税の目的は言うまでもない。高齢化に伴って増加が続く社会保障財源について、税収が景気に左右されにくい消費税の税率引き上げで確保することだ。
 税収と同じ規模の国債発行に頼る、借金頼みの財政運営には決別しなくてはならない。
 財務危機に見舞われた欧州をみても、財政に対する市場の信認を失えば国債価格は暴落し、金利は急騰する。そうなれば景気を直撃し、国の予算編成にも支障が生じる。持続可能な財政は国の成長を支える基盤と認識すべきだ。
 その意味でも国際公約となった消費税増税の実施は、安定的な経済成長を果たす日本再生に舵(かじ)を切る意思表示と受け止めたい。
 ただ、すでに政府の債務残高が1千兆円を超え、財政再建は増税のみでは達成できない。消費税を法律通りに平成27年10月に10%に再び引き上げても、国と地方の基礎的財政収支を32年度に黒字化させるとの政府目標はクリアできない。厳しい歳出削減にも同時に取り組む必要がある。
 とくに、高齢化で膨張が続く社会保障費への切り込みは待ったなしだ。現行制度をこのまま続ければ、高齢化などの影響で年1兆円規模で必要な予算は増える。これを放置していては、財政健全化の道筋は描けない。社会保障制度改革国民会議が示した改革案の具体化を急いでほしい。
 増税対策で検討するとした復興特別法人税の前倒し廃止は、日本経済に活力を与えることを目指すものだ。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/131002/fnc13100203100003-n3.htmより、
2013.10.2 03:09 (3/3ページ)
 被災地の復興財源の確保は当然だが、これによって税負担が軽減される企業は、積極的な設備投資や賃金引き上げなど、日本経済の成長に資する責務があることを忘れてはならない。

 ≪バラマキは許されない≫
 消費税増税に伴う低所得者対策では、住民税の非課税世帯を対象に1人あたり年間1万~1万5千円を支給するという。増税の影響を強く受ける低所得者層への配慮は必要だが、単なるバラマキは許されない。
 低所得者対策は、やはり軽減税率の導入を軸とすべきだ。
 コメ、みそなど基礎的な食料品や新聞・雑誌などに消費税負担を抑える軽減税率は透明性が高く、低所得者に恩恵が広く行き渡る。欧州では付加価値税(消費税に相当)の税率が20%前後だが、生活用品を広く軽減対象と認めることで高い税率に国民の理解を得ている。日本も導入すべきだ。
 産経新聞とFNNが9月実施した世論調査によると、来年4月から予定通りの消費税増税の実施を「支持する」と答えた人は、3分の1にとどまった。
 生活に直結する消費税増税に反対する声は根強い。これからも丁寧な説明が欠かせない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013100202000148.htmlより、
東京新聞【社説】増税の大義が見えない 消費税引き上げを決定
2013年10月2日

 安倍晋三首相が来年四月から消費税の8%への引き上げを決めた。終始、国民不在のまま進んだ大増税は、本来の目的も変質し、暮らしにのしかかる。
 一体、何のための大増税か-。疑問がわく決着である。重い負担を強いるのに、血税は社会保障や財政再建といった本来の目的に充てられる保証はない。公共事業などのばらまきを可能とする付則が消費増税法に加えられたためだ。肝心の社会保障改革は不安が先に立つ内容となり、増税のための巨額の経済対策に至っては財政再建に矛盾する。増税の意義がまったく見えないのである。

◆正統性ない決定過程
 わたしたちは、現時点での消費税増税には反対を唱えてきた。何よりも、この増税の決定プロセスには正統性がないと考えたからである。始まりは、民主党の「マニフェスト(政権公約)違反」であった。
 消費税増税をしないといって政権に就いたにもかかわらず、突如として増税に舵(かじ)を切った。一千兆円もの財政赤字の現状から、国民にいずれ消費税引き上げはやむを得ないとの覚悟があったとしても、手続き違反だし、国民への背信行為である。
 民主党は「天下りや渡りを繰り返すシロアリ官僚の退治なしの増税はおかしい」とも訴えながら、結局、行革も自ら身を切る改革も反故(ほご)にしてきた。政治には信頼が必要なのである。
 その民主と組んで昨年八月に消費増税法を成立させた自民、公明も年末の総選挙や七月の参院選で増税を堂々と争点に掲げることはなかった。消費税増税が政治的に国民の理解を得たとはいえない。
 それもそのはずである。自公は消費増税法案の付則に「成長戦略や事前防災、減災などの分野に資金を重点的に配分する」と追加し、消費税の使い道を公共事業など何でもありに変更した。

◆変質した増税の理念
 国土強靱(きょうじん)化や減災構想のためとみられている。社会保障目的ならまだしも、「何でもあり」を表だって問えるはずがない。
 消費増税法の原点は「社会保障と税の一体改革」であり、毎年一兆円ずつ増え続ける社会保障費の財源確保が目的だったはずだ。国民の多くは今でもそう望んでいるだろう。しかし一体改革であるはずなのに、増税だけが先行して決まった。そのうえ年金制度など社会保障の抜本改革は見送られた。
 本来なら「社会保障改革のために財源がこれだけ必要となり、そのために消費税を何%引き上げる必要がある」と国民に理解を求めるのが筋である。財政再建を理由に、先に増税ありきの財務省が描くシナリオに乗るから齟齬(そご)を来すのである。消費税増税の理念は変質し、国民に負担を求める大義も失ってしまったといっていい。
 消費税は1%で二・七兆円の税収があり、3%引き上げると国民負担は八兆円を超える。財務省にとっては景気に左右されず安定的に税収が確保できるので好都合だ。だが、すべての人に同等にのしかかるため、所得の低い人ほど負担が重くなる逆進性がある。
 さらに法人税は赤字企業には課せられないが、消費税はすべての商取引にかかり、もうかっていなくても必ず発生する。立場の弱い中小零細事業者は消費税を転嫁できずに自ら背負わざるを得ない場合がある。このままでは格差を広げ、弱者を追い込む「悪魔の税制」になってしまう。
 消費税を増税する一方、法人税は減税を進めようというのは大企業を優先する安倍政権の姿勢を物語っている。消費税増税で景気腰折れとならないよう打ち出す経済対策も同じである。五兆円規模のうち、企業向けの設備投資や賃上げを促す減税、さらに年末までに決める復興特別法人税の前倒し廃止を合わせると一・九兆円に上る。公共事業などの景気浮揚策も二兆円である。
 国民から吸い上げた消費税を原資に、財界や建設業界といった自民党支持基盤に還流されたり、減税に充てられる構図である。過去に経済対策と銘打って公共事業をばらまき、借金を積み上げた「古い自民」の歴史を忘れてもらっては困る。このままでは社会保障の充実も財政再建もかなわないまま、消費税率だけが上がっていくことになりかねない。

◆安心できる社会保障を
 安倍首相は「持続可能な社会保障制度を次の世代にしっかりと引き渡すため、熟慮の末に消費税引き上げを決断した。財源確保は待ったなしだ」と理由を述べた。
 そうであるならば、やるべきことは、安心できる社会保障制度の将来像を具体的に描き、その実現のために無駄な財政支出を徹底的に削減し、公平な負担を確立する。それなしに国民の理解は得られるとはとても思えない。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO60492280S3A001C1EA1000/より、
日経新聞 社説 消費増税を財政改革の出発点に
2013/10/2付

 安倍晋三首相が予定通り消費税増税を決断した。5兆円規模の経済対策で景気を下支えしながら、5%の消費税率を2014年4月に8%まで引き上げる。
 17年ぶりの消費税増税を実行し、財政再建の一歩を踏み出すことを評価したい。日本経済の成長基盤を強化しつつ、さらなる歳出・歳入改革も進めるべきだ。
 4~6月期の実質成長率は前期比年率3.8%で、1~3月期の4.1%に続く高成長となった。9月の日銀調査では、大企業製造業の業況判断指数がリーマン・ショック後の最高を記録した。

法人減税で成長強化も
 アベノミクスの効果もあって、日本経済は着実に回復している。米国の財政運営を巡る混乱や新興国の景気減速といった不安は残るとしても、増税に踏み切る環境が整ったとみていいだろう。
 本格的な財政再建が避けられないにもかかわらず、日本はその努力を怠ってきた。国と地方の長期債務はいまや1000兆円に上る。次の世代に過大な借金を負わせ続けるわけにはいかない。
 首相は記者会見で「経済再生と財政健全化を同時に達成するほかに道はない」と語った。景気の腰折れを避ける対策を講じ、15年10月に予定している次の増税につなごうというのは妥当である。
 対策の柱に据えたのは企業の活力を引き出す法人税減税だ。設備投資や給与を増やす企業向けの政策減税を実施する。復興特別法人税を1年早く打ち切り、法人実効税率を14年度に38%強から35%台に下げることも検討する。
 政策減税も景気のてこ入れには一定の効果があるだろう。しかし国内企業の競争力を高め、日本の立地・投資環境を改善するには、主要国よりも高い実効税率の引き下げに踏み込む必要がある。
 復興特別法人税の廃止はその一歩だが、これだけで終わらせてはならない。15年度以降の課題となる実効税率の一層の引き下げを実現するため、財源の確保を含めた検討作業を急ぐべきだ。
 「企業に法人税減税を与え、個人に消費税増税を迫るのは不公平だ」との不満は強い。「東日本大震災の被災地復興を軽視している」という批判も出ている。
 だが景気の本格回復に欠かせない設備投資や雇用、賃金を生み出すのは企業だ。その負担を恒久的に軽減し、日本経済を底上げすれば、個人にも恩恵が及ぶ。
 復興予算については、被災地以外の事業への流用も表面化している。25兆円と見積もった復興経費の妥当性をこの機会に検証し、復興特別所得税にも軽減の余地がないかどうかを探ってほしい。
 法人税減税にこだわった安倍首相の期待にこたえ、投資の拡大や賃上げに踏み切る企業自身の努力も望まれる。政府が過剰な圧力をかけて減税の見返りを迫るのは問題だが、企業がいたずらに手元資金を積み上げるのでも困る。
 心配なのは財政規律の緩みである。安倍政権は防災・減災や東京五輪開催のための公共事業も対策に盛り込んだ。国民の負担増を緩和するという名目で、不要不急の支出を膨らませてはならない。
 低所得者や住宅取得者に現金を給付し、負担感を和らげるのは理解できる。所得や資産などの状況を適正に把握し、ばらまきを排除するよう注意してほしい。
 もちろん今回の消費税増税だけで財政を再建できるわけではない。税率を10%まで上げても、国と地方の基礎的財政収支を20年度までに黒字化するという目標は達成できない。歳出抑制と歳入確保の努力を継続する必要がある。

歳出抑制の努力足りず
 今の安倍政権に足りないのは歳出抑制の覚悟だ。その本丸は社会保障費の効率化にある。高齢化の進展などに伴って自動的に膨らむ年1兆円規模の「自然増」を放置したままでは、消費税率を2ケタに上げても追いつかない。
 余裕のある高齢者には給付の抑制と応分の負担を求め、現役世代の重荷を減らす抜本的な年金・医療・介護の制度改革が欠かせない。その具体策を示し、歳出抑制の手段を定めないと、財政運営への信頼感は高まらないだろう。
 財政再建と成長を両立できてこそ、日本経済の真の再生につながる。金融緩和と財政出動の成果だけに寄りかかるのではなく、成長戦略の具体化も進めるべきだ。
 医療や介護、農業などの規制緩和は道半ばである。容積率の緩和や混合診療の拡充などを特例的に認める「国家戦略特区」の詰めも急ぎたい。できるだけ自由度の高い環太平洋経済連携協定(TPP)の締結にも努力してほしい。

http://mainichi.jp/opinion/news/20131002k0000m070126000c.htmlより、
社説:消費税8%へ 増税の原点を忘れるな
毎日新聞 2013年10月02日 02時30分

 安倍晋三首相が消費税率を来年4月から8%に引き上げることを表明した。
 私たちは、増大する社会保障費と危機的な財政をふまえ、消費増税は避けて通れない道だと主張してきた。現在の経済状況を考慮しても、先送りする事情は見当たらない。昨年の自民、公明、民主各党による「税と社会保障の一体改革に関する合意」と、その後の関連法成立に沿った首相の判断は妥当と言える。
 増税によって、社会保障の持続可能性は高まり、財政を健全化していく第一歩となる。その結果、国民、とりわけ若い世代が抱く将来への不安がやわらぎ、不透明感が解消されていくことも期待される。

 ◇軽減税率の導入急げ
 しかし、これだけでは不十分である。政治が、民間が取り組まなくてはいけない課題は多い。すぐにでも、取りかかる必要がある。
 安倍政権はこの2、3カ月、経済状況をみて引き上げを実施するかどうかを判断するという「景気条項」に基づいて、対応が揺れた。結局、景気への悪影響を抑えるとして、公共事業をふんだんに盛り込んだ5兆円規模の「経済対策」と、復興特別法人税の「前倒し廃止の検討」を決めた。
 景気を考えた何らかの対策は必要かもしれない。だが、それを口実に政権や党の支持基盤強化につなげようと公共事業のばらまきなどに走るのは、国民の痛みにつけこむもので、何のための増税かわからない。
 そんなことに精力を傾け、理屈付けに躍起になる前にやるべきことがある。
 まず、増税と表裏の関係にある安心できる年金、医療、介護などの具体化だ。社会保障制度改革国民会議がまとめた改革策は、年齢を軸にした現行制度を見直し、所得に応じた負担と給付への転換を打ち出した。「抜本的な制度見直しは棚上げ」との批判もあるが、子育て支援策の充実などは評価でき、政治的困難さを克服して着実に実行に移してほしい。不備や課題は、そうした中で柔軟に対処していけばいい。
 増税による財政のゆとりは、こうした社会保障策の充実にのみ使うのは言うまでもない。それが税率引き上げの原点である。
 しかし、8%では借金の穴埋めにも不十分であり、2015年10月に予定通り消費税率を10%に引き上げる判断を迫られるだろう。持続的な社会保障制度の構築に責任を持ち、原点を守るうえで、それは当然の政治的決断と言える。
 第二に、弱者への配慮は、さらに手厚くすべきだ。逆進性の強い消費税の増税は、経済的に苦しい人に強いしわ寄せが及ぶ。所得が低い層への効果的な対策に知恵を絞らなくてはならない。
 そのためにも食品など生活必需品の税率を低く抑える軽減税率の導入を急がなくてはいけない。すぐに制度設計に取り組むべきだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20131002k0000m070126000c2.htmlより、
 欧州各国のほとんどが、食品のほか新聞、書籍類の税率をゼロや数%に抑えている。「知識には課税しない」という考えは、だれもが情報を入手しやすい環境を整え、民主主義を支えるうえで不可欠だ。

 ◇政治への監視強めよう
 忘れてならないのは、歳出の徹底した見直しを進めることだ。アベノミクスや東京五輪開催にうかれているのか、国の財布のひもを締め、財政規律を守るという当たり前の考えが最近、すっかりかすんでいる。増税は、歳出削減とセットになって大きな効果と納得感を生む。定数削減など国会議員自らが身を削る約束も果たしてほしい。
 個人を含めた民間も、やるべきことがある。
 民間企業は新しい分野への投資や技術革新、経営改革などに挑み、雇用の拡大と賃金の底上げを図ってもらいたい。「日本経済の活性化につながる」として消費増税を支持した経営者は少なくない。法人税の実質減税という思わぬ果実も得た。さまざまな要求をして、あれこれ国にお膳立てしてもらう段階は過ぎた。そろそろ経営者が動く番だ。力量をしっかり見せてほしい。
 消費増税が公平感を伴って浸透していくには、価格への円滑な転嫁が欠かせない。下請け仕事をもらったり、原材料を納入したりする弱い立場の中小・零細企業は、増税分を一方的に負担させられるのではないかという不安がある。公正取引委員会は監視を強める方針だが、大企業や流通段階を担う業界は、中小・零細企業を泣かさない円滑な転嫁を進めてもらいたい。
 国民にとって増税の痛みは大きい。電力料金引き上げや円安などによる食品の値上げ、介護や医療分野での負担増などが相次ぐ一方、毎月勤労統計によると基本給は8月まで15カ月連続で減少している。
 それでも最新の毎日新聞の世論調査では「消費税を予定通り引き上げるべきだ」が、先送りや増税反対を抑えて最も多かった。将来の国づくりへの前向きな一歩として、やむを得ないとの考えだろう。政治への関心を高め、税金の使われ方をしっかり監視しなくてはいけない。金も出すが、口も出す国民でありたい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 10月 1 日(火)付
維新の敗北―「ノー」が示したヒント

 大差の敗北だった。大阪維新の会が掲げる「大阪都構想」の是非が争点となった堺市長選で、維新の候補が、都構想に反対する現職候補に退けられた。
 大阪の主要選挙で負け知らずだった維新の「不敗神話」は崩れた。
 同じ都構想が争点となった2年前の大阪ダブル選では、代表の橋下徹・大阪市長への「改革の期待」が得票を押し上げた。しかし、維新の勢いが弱まるとともに「改革への不安」が大きくなっている。
 橋下代表は敗北の主な原因を、都構想を市民にきちんと説明できなかったことだと分析した。だが、そうだろうか。
 大阪都構想は、大阪と堺の両政令指定都市を特別区に分割する。広域行政を「大阪都」に一本化し、思い切った政策を展開して、首都圏やアジアと競い合える都市をつくる。低迷する大阪の再生を目指して、維新が掲げた結党の原点でもある。
 これに対し、現職候補は「堺をなくすな」というキャンペーンを繰り広げた。
 構想に参加すれば、市は解体され、中世以来の「自治都市・堺」が消える。指定市としての財源や権限も都に吸い上げられ、住民サービスが低下しかねない。そんな主張が市民の共感を集めた。
 「なくなるのは堺市役所で、堺の伝統や文化はなくならない」「堺だけで発展していける時代ではない」――維新側の反論は響かなかった。
 経済成長が終わった今、自治体の財政はどこも苦しい。自分たちの税金がどこにどう使われるのか、住民の目はかつてないほど厳しくなっている。
 そういうときであればこそ、住民の疑問や不安に丁寧に答えるのはもちろんのこと、場合によっては計画を見直す姿勢がなければ、大きな変革に対する共感は広がらない。
 橋下代表は、大阪市での都構想実現を目指し、来秋の住民投票をめざす計画は変えない考えを示した。だが、今回の選挙は、民意にひそむ不安を浮き彫りにしたともいえる。立ち止まり、構想に欠けているものを点検するときではないか。
 現職側に回った既成政党にも注文したい。
 低迷する大阪の現状を打開できず、既得権益に切り込めない政党への失望が、維新への熱狂をもたらした事実を忘れてはならない。
 都構想にノーなら、別の手段で打開する具体策を示さないと、民意のいらだちは再び既成政党にぶつけられるだろう。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131001/stt13100103240000-n1.htmより、
産経新聞【主張】橋下維新敗北 「代わる」より「変わる」だ
2013.10.1 03:24

 大阪府堺市長選で「大阪都構想」に反対する現職の竹山修身(おさみ)市長が再選を果たした。
 都構想を掲げ、大阪維新の会の新人候補を立てた橋下徹大阪市長にとっては大きな打撃だ。大阪府内の首長選では初の敗北でもある。
 橋下氏は「代表として重大な責任がある」と語ったうえで、日本維新の会共同代表の辞任などは否定した。だが、自身の求心力低下に加え、国政レベルで維新の影響力が弱まることも避けられまい。
 維新は野党再編の核としての期待も集めてきた。自民党の「1強多弱」と呼ばれる状況下で埋没するのではなく、党立て直しに取り組むことが急務である。
 大阪都構想は理念の段階で、まだ具体的な制度設計も区割りもできていない。竹山市長の「堺がなくなる」という訴えが支持された形だ。橋下氏は「(都構想が)誤解された」と反論するが、説明不足や対抗馬擁立の手法が堺市民の反発を招いた面もあるだろう。
 橋下氏は堺市抜きでも大阪府・大阪市の合体を進める方針だが、政令指定都市が不参加では意義が薄れる。堺市も交えた協議を模索すべきだ。あらためて二重行政を解消し、大阪の浮上をめざす原点に立ち返ることが求められる。
 維新は、大阪維新の会と旧太陽の党との寄り合い所帯で、政党本部を大阪に置く。国会議員ではない橋下氏や松井一郎幹事長(大阪府知事)が司令塔となる特異な形態をとってきた。
 選挙で看板となる橋下氏の存在が接着剤となっていたが、求心力低下は第三極を率いる党としてのまとまりを失わせかねない。
 都構想についても、維新全体としてどれだけ重点を置いていたのか疑問だ。その他の政策面で、維新がどれだけイニシアチブを取れるかが問われよう。政策の練り直しや優先順位付けが重要だ。
 維新は憲法改正の発議要件を緩和する96条改正に賛成するなど、自民党とともに憲法改正勢力の一翼を担う存在といえる。その方向性を維持し、国家を論じあう政党の姿を明確にすべきだ。
 政治家としての橋下氏は、国歌斉唱時に教職員に起立を義務付ける国歌起立条例を成立させた実績もある。橋下氏は「僕の態度や政治手法に大きな批判がある」とも述べた。代表のまま出直しを図るなら、自身が変わるしかない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013100102000140.htmlより、
東京新聞【社説】地域政党敗北 住民目線の原点どこへ
2013年10月1日

 「大阪都構想」が争点となった堺市長選で、地域政党の大阪維新の会の公認候補が敗れた。全国で生まれた地域政党に、地方から国の形を変えようとする住民目線の原点が失われていないだろうか。
 大阪都構想は、日本維新の会の共同代表である橋下徹大阪市長が、大阪維新の会を結成する理由となった政治の原点である。
 それだけに、大阪維新の会にとって厳しい審判であり、橋下氏の求心力の低下は避けられない。
 日本維新の会は最近、分権改革よりも、改憲や安全保障政策などで政権寄りの姿勢が目立つ。
 多くの有権者が、橋下氏が率いる地域政党が、地方から国を変えようとする原点からずれ始めていると感じたのではないか。
 橋下氏は、統治機構改革を軸に国政に対しても積極的に発言してきた。だが、堺市長選の民意を謙虚に受け止め、まずは足元を固めて、市長として都構想の実現に全力を尽くしてほしい。
 政治課題を地域からしっかり見つめ、国政に反映させようとする地域政党の考え方には共感できる面が多い。
 だが、全国進出の拡大戦略が性急すぎるのは気にかかる。大阪都構想など地域課題について、説得力ある形で住民に説明できなかったのであれば本末転倒である。
 地域政党の原点を忘れているのは愛知の「減税」も同じである。
 「減税日本ナゴヤ」を率いる名古屋市の河村たかし市長が掲げた「庶民革命」は、減税や議員報酬半減を通じ、政治を庶民の手に取り戻すというものであった。
 だが、地域政党らしい成果をあげるどころか、減税日本の愛知県議、名古屋市議に政務調査費の不正受給が相次いで発覚した。
 自民の愛知県議にも同じ不正があった。議員が税金を食いものにしているのは言語道断である。
 特に「減税日本」を名乗るのならば、看板が泣く。河村市長の指導力不足も厳しく指摘したい。
 複数の地域政党を率いてきた愛知県の大村秀章知事と河村市長の共同公約である「中京都構想」は、「大阪都構想」と比べても構想の中身が見えてこない。
 既成政党に対抗する第三極を売りものにして、地方向けの派手な公約を打ち上げただけであれば、有権者は戸惑う。
 地方から国を変えるため、きちんと地方に目配りできる地域政党でなければ、その存在意義すら問われることになる。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO60430210R01C13A0EA1000/より、
日経新聞 社説 都構想を拒否した堺市長選
2013/10/1付

 大阪の堺市長選で現職の竹山修身氏が再選された。堺市民は大阪都構想への参加を明確に否定したことになり、日本維新の会の共同代表である橋下徹大阪市長の求心力の低下は避けられない。
 市長選は自民や民主などが推した竹山氏と大阪維新の会が擁立した候補との一騎打ちになった。維新は石原慎太郎共同代表など党所属の国会議員も応援に入る総力戦を展開したが、「反維新」票をまとめ、現職の強みを生かした竹山氏に軍配が上がった。
 地元である大阪での敗北は維新にとって大きな痛手だ。6月の東京都議選での惨敗、7月の参院選での低迷に続く敗北になる。橋下市長の国政に対する発言力は低下し、野党再編をにらんだ主導権争いにも影響するだろう。
 選挙戦は堺市が大阪都構想に参画するかどうかが最大の争点になった。市民は参加を拒んだわけだが、同じ政令市だからといって、大阪市と同様に堺市を加えることに無理があったのだろう。
 府と市の「不幸せ(府市あわせ)」といわれたように、長年にわたってあつれきが続いた府と大阪市との関係と違って、府と堺市の間にどのような問題があるのか、最後までわからなかった。そもそも、堺市は政令市になってまだ7年にすぎない。
 これで府と大阪市を統合・再編する構想に対しても、府議会や市議会の反維新勢力が批判を強めるのは間違いない。橋下市長と松井一郎府知事は来年秋に都構想について住民投票をする予定だが、具体像をまだ詰め切れていない。
 8月に府と市の事務局が示した試算をみると、二重行政の解消などに伴う効果額は最大で976億円になった。当初掲げた目標の4分の1にとどまった。
 都になれば地域が具体的にどう強くなるのかもあいまいだし、市を分割して5つもしくは7つ設ける特別区の行政サービスの水準がどうなるのかも判然としない。都構想には黄色信号がともったといえるのだろう。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130930k0000m070128000c.htmlより、
社説:堺市長再選 橋下構想に厳しい審判
毎日新聞 2013年09月30日 02時32分

 「大阪都構想」への参加の是非が争点となった堺市長選で、参加に反対する現職の竹山修身(おさみ)氏が、都構想推進を訴える大阪維新の会公認の新人を破り再選を決めた。
 橋下徹大阪市長が唱える都構想にとって大きな打撃だ。このまま堺市抜きで進めるのであれば、橋下氏は住民が納得できる「大阪都」の具体像を明確に示さなければならない。
 大阪都構想は元々、大阪市と堺市の2政令指定市を廃止して東京都のように複数の特別区に再編する構想だ。二重行政を解消し、広域政策を府に一元化して大阪を国際競争力のある都市に再生する狙いがある。昨年8月には都構想を実現できる法律が成立した。
 ところが堺市の竹山市長は「歴史ある市の解体につながる」と協議への参加を拒否し、大阪府と大阪市だけで調整が進められてきた。維新の会は堺市長選に対立候補を擁立し、堺市も参加する道を開こうとした。
 竹山氏勝利は都構想への参加は望まないという堺市民の意思表示だ。中世から国際交易都市として栄えた歴史を持つ市が特別区に分割されることへの抵抗感や、維新の会側が都構想の利点を説得力ある形で説明できなかったことが主な要因である。
 橋下氏は記者会見で、引き続き大阪府・市で協議を進めると強調したが、選挙結果は大阪市民にも影響を与える。大阪都のメリットが見えてこなければ「大阪市が解体されるだけでは」という疑念が広がるだろう。
 都構想実現に向けたハードルは高い。目標とする15年春に大阪都を実現するためには、14年秋までに大阪府・市の議会での議決を経て、大阪市民を対象にした住民投票で過半数の賛成が必要だ。だが、維新の会は大阪市議会で過半数を持たないだけに、このままでは住民投票にまでこぎ着けられるかも疑問だ。
 維新の会は党の浮沈を握る重要選挙と位置づけ、全国から国会議員らを動員して総力戦を展開した。そのうえでの敗北は、府内で無敵だった「橋下人気」の失速を意味する。
 橋下氏が共同代表を務める国政での日本維新の会の迷走とも無縁であるまい。従軍慰安婦をめぐる発言など、橋下氏の言動はこのところ分権改革以外の分野で物議を醸し、参院選で伸び悩んだ。合流前の旧太陽の党、旧維新の会両勢力の不協和音も目立つ。与党寄りの対応も目につき、国民からは方向性がよく分からない政党だと見られ始めているのではないか。
 こんな状況では分権改革の旗印も色あせるばかりだ。橋下氏は共同代表辞任を否定した。だが、原点であるはずの都構想が揺らぎ始めた今、大阪府民が期待する大阪再生という宿題と真剣に向き合う必要がある。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130930ddm003010195000c.htmlより、
クローズアップ2013:「足元」堺市長選で敗北 沈む橋下維新
毎日新聞 2013年09月30日 東京朝刊

 29日投開票の堺市長選は無所属現職の竹山修身氏(63)=自民支持、民主推薦=が、大阪維新の会新人の西林克敏氏(43)を破った。選挙の強さが力の源泉の一つだった維新が地元で敗れた衝撃は大きい。原点である「大阪都構想」の先行きに暗雲が漂い、橋下徹日本維新の会共同代表(大阪市長)の求心力低下は避けられない。維新の国政での存在感に影響するのは必至だ。【鈴木美穂、阿部亮介、野口武則、熊谷豪】

 ◇自民「利用価値あるのか」
 「今の無党派層は安倍(晋三)さん支持だ。維新は応援を受け切れる政党になっておらず、次に向かって頑張っていきます」。橋下氏は29日夜、堺市内で記者会見し、党勢回復を目指す考えを示した。だが党内では橋下氏の求心力低下を懸念する声も上がり、自民党幹部は29日夜、「維新のレゾンデートル(存在意義)が否定された。維新は終わりだろう」と語った。
 今回の市長選は、橋下氏にとっては正念場だった。
 7月の参院選で自らの従軍慰安婦発言で失速を招いた橋下氏は、参院選直後の7月27日の党執行役員会では共同代表辞任までちらつかせて「大阪の改革に専念したい」と宣言した。地元・大阪の堺市長選で勝つことで都構想を現実に近づけ、求心力を回復する戦略だった。都構想は、橋下氏が「大阪維新の会」を結成する理由となった「原点」だけに、否定された痛手は大きい。
 橋下氏の影響力低下は今後の安倍首相の戦略にも影響を与える。首相や菅義偉官房長官は将来の憲法改正などを見据え、橋下氏とのパイプ作りに努めてきた。改憲で同調する維新との共闘は、慎重な公明党をけん制する「カード」にもなり得る。堺市長選で自民党が支持にとどめたのも官邸の意向だ。維新とは国会改革などでも近く、菅氏は27日の記者会見で「政府の政策に理解を示してくれる政党とは当然、政策ごとに協力していく」と語った。選挙結果に関わらず関係は維持する方針だ。維新の松井一郎幹事長(大阪府知事)も29日夜、「安倍政権と協力しながら統治機構改革はやりたい」と官邸に秋波を送った。
 しかし、今回の敗北で橋下氏は国政への関与からさらに一歩引かざるを得なくなる。首相や菅氏との近さをテコに存在感を示す手法も修正を余儀なくされる可能性があり、安倍官邸と橋下維新の「相互依存」は薄まりそうだ。
 政府高官は29日、「まず維新が(敗北の)結果を分析すべきだ」と維新の党内情勢を見守る考えを示したが、自民党内では「党勢衰退が著しい維新に利用価値があるのか」(関係者)との声もくすぶる。自民党の石破茂幹事長は29日夜、「自公連立を捨てて維新と組むことは全く想定していない」と語った。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130930ddm003010195000c2.htmlより、
 橋下氏の求心力は「選挙の強さ」によるところが大きい。今回の敗北で、2015年の統一地方選に向け、維新の若手からは「『維新では戦えない』との不安も広がり、離党者が出てくる」という声も出ている。橋下氏や松井氏が中枢を占めてきた党運営に対し、平沼赳夫代表代行ら旧太陽の党出身議員の影響力が増すのは必至で、平沼氏周辺は「党運営の実権を平沼氏に預けるしかない」と語る。
 次期衆院選に向けた野党再編の行方も不透明さを増す。橋下氏は7月の参院選から民主党やみんなの党の一部勢力との新党構想を掲げてきたが、主導権を失いかねない。

 ◇大阪都構想に暗雲
 堺市長選での維新の敗北は、都構想への堺参画の消滅にとどまらず、「本丸」の大阪府・市の再編にも暗い影を落とす。
 「今回は堺市長選挙ではない。都構想の試金石だ」。18日に大阪府議会であった維新府議団の総会で、日本維新の会の今井豊副代表(大阪府議)は、約50人の府議に対して支持者回りに全力を挙げるよう指示した。「もし負ければ(来年秋に予定する)住民投票の前段の議決で、公明党もそっぽを向くだろう」。悲壮感が漂った。
 府市は今年2月から、都移行後の新たな特別区の区割りや財政調整、区と都の事務分担などを協議している。制度設計をまとめて来年夏に府・市議会の議決を経た上で、大阪市の住民投票で過半数を得る必要があり、ハードルは高い。橋下氏は選挙前、敗北した場合の都構想への影響を「行政的にはない」としつつ、「政治的に住民投票や自民党との折衝で影響してくる」と懸念を示していた。
 大阪市が解体される都構想について、市民は元々複雑な思いを抱く。昨年6月に毎日新聞とMBS(毎日放送)が実施した世論調査では支持が29%で3割に満たなかった。今回示された堺市民の「ノー」が、さらに足を引っ張る恐れがある。
 住民投票の前段の議決も容易ではない。府議会は維新が単独過半数を占めるものの、大阪市議会は第2党の公明党の協力がないと過半数に届かない。
 維新は昨年の衆院選で、公明候補のいる関西6小選挙区での擁立を見送ることで大阪で協力関係を築いてきた。選挙の強さが維新のカードだった。しかし、退潮傾向をみて地元の公明関係者は「橋下氏は民意を大事にしてきたはずだ。我々も民意を受け止めて動かないといけない」とクギを刺す。
 堺市長選投開票を3日後に控えた26日、公明は大阪市議会で不祥事を巡り維新の議長の不信任決議案を自民、民主とともに可決させた。都構想に「慎重」姿勢を取り協議には応じる公明だが、維新との距離をさらに広げ始める可能性は高い。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130930ddm003010195000c3.htmlより、
 維新結党の原点である都構想について、橋下氏は29日夜の記者会見で「大阪のためでなく、日本のために必要だ。もう一回訴えていく」と強調した。

 ■ことば
 ◇大阪都構想
 大阪・堺の両政令指定都市を解体、大阪府と統合・再編し、府に代わる「大阪都」と10程度の特別区に再編する構想。大阪維新の会の橋下徹代表(大阪市長)が府知事だった2010年1月に提唱した。住民サービスは特別区が担い、成長戦略など広域行政の権限・財源を都に集約することで二重行政の解消と都市経営強化を目指す。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131001/k10014957671000.htmlより、
消費増税 各党の反応
10月1日 21時19分

消費税率引き上げに対する各党の反応です。

自民・石破幹事長「企業の賃上げ広がる運動を」
自民党の石破幹事長は記者団に対し、「消費税率の引き上げに伴って、どのような経済対策が行われるのかを国民に理解してもらい、その結果、企業が賃金を上げることへの理解も広がっていくような運動をしていかなければならない。党として政策を周知するとともに、経済を回復基調に乗せるための運動を併せて進めていく」と述べました。

民主・海江田代表「政府は社会保障改革に全力を」
民主党の海江田代表は記者会見で、「消費税率の引き上げは法律に書かれているものであり、やむをえない。社会保障と税の一体改革に政府は全力で取り組んでもらわないといけない」と述べ、税率の引き上げに理解を示しました。そのうえで、海江田氏は政府の新たな経済対策について、「不要不急の公共工事を行い、一方で年金の支給額をカットするというのでは、税率の引き上げの一番の目的である社会保障の充実がなおざりになっている」と述べ、批判しました。

維新・橋下共同代表「ポイントは法人税実効税率の引き下げ」
日本維新の会の橋下共同代表は記者団に対し、「アベノミクスで、日本経済に明るい兆しが見えているなか、消費税率の引き上げで、これまで取り組んできたことが水の泡にならないよう、労働法制の緩和など、次の矢をどんどん放ってもらいたい。最大のポイントは法人税の実効税率の引き下げであり、これができるかどうかだ」と述べました。

公明・山口代表「大きな責任の一端果たした」
公明党の山口代表は記者会見で、「決められる政治の象徴として野党時代に大きな決断をしたことが、こうして結論に至り、『大きな責任の一端を果たした』と感慨深いものがある。ただ、復興特別法人税の廃止の検討については、被災者や負担を分かち合ってくれる国民にも合点がいくように、対応していかなければならない」と述べました。さらに、山口氏は「消費税率を10%に引き上げる段階で軽減税率の導入を目指すことで、自民・公明両党は合意しており、今後、議論を加速させたい。与党の責任として努力し、年末に一定の結論を得たい」と述べました。

みんな・渡辺代表「増税の前にやるべきことあるはず」
みんなの党の渡辺代表は記者団に対し、「デフレから脱却するアベノミクスという政策を取りながら、それに反する増税を決断したのは残念だ。特別会計のへそくりをはき出したり、国会議員の歳費や定数を削減したりするなど、増税の前にやるべきことがあるはずであり、増税を凍結するための法案を臨時国会に提出したい」と述べました。

共産・志位委員長「増税方針撤回求める」
共産党の志位委員長は記者会見で、「8兆円もの空前の大増税であり、反対する国民多数の声を踏みつけたこの暴挙に強い憤りを持って抗議するとともに、増税の方針の撤回を強く求める。巨額の内部留保を積み増している大企業に減税をばらまくやり方は、道理がなく、安倍政権の消費税率の引き上げは、社会保障のためでも、財政再建のためでもないことは明らかだ」と述べました。

生活・小沢代表「今上げれば景気は失速」
生活の党の小沢代表は談話を発表し、「消費税率を、今上げれば、確実に景気は失速し逆に税収全体が大きく減少することになりかねない。非正規雇用の拡大によって低所得者が増えており、税率の引き上げは国民生活全体に深刻な影響を及ぼす。消費税増税はいわば『最後の手段』であり、その前に政治と行政は身を切る努力を最大限すべきだ」としています。

社民・又市幹事長「国民生活の破壊でしかない」
社民党の又市幹事長は記者団に対し、「国民の所得が下がり続ける一方で、物価は上がってきている。厳しい状況のなかで、消費税率を上げることは、国民生活の破壊でしかなく、反対だ」と述べました。そのうえで、又市氏は政府の新たな経済対策について、「大企業優遇でしかなく、小泉構造改革で、すでに破綻したものだ。同じ考えをもつ野党と撤回を求めていきたい」と述べました。

改革・荒井代表「社会保障のためならやむをえない」
新党改革の荒井代表は談話を発表し、「民主党政権時代には、選挙をへず、唐突に増税が打ち出されたという手続きや、経済状況などから慎重だった。しかし、現段階で判断すれば、社会保障に充当するための引き上げならばやむをえない」としています。また、自民・公明両党が復興特別法人税の廃止の検討で合意したことについては、「法人の減税のために前倒しで廃止するなら誠に残念だ。12月には、被災者支援のために継続するという結論に至るものと期待したい」としています。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013100101002598.htmlより、
首相「経済再生と財政再建両立」 国の信認を維持
2013年10月1日 20時40分

 安倍晋三首相は1日夜の記者会見で、来年4月からの消費税増税について「経済再生と財政健全化は両立し得るというのが、熟慮した上での私の結論だ」と述べ、成長を底上げする経済政策と財政再建に同時に取り組む決意を表明した。同時に「国の信認を維持し、社会保障制度を次世代にしっかりと引き渡すことを同時に進めることが、私の内閣に与えられた責任だ」と述べた。
 景気腰折れを回避するために策定した経済対策に関し「投資を促進し、賃金を上昇させ、雇用を拡大する。まさに未来への投資だ」と意義を強調。低所得者への簡素な給付措置や住宅取得への支援を含め「5兆円規模になる」と説明した。(共同)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013100100685より、
消費税、来年4月から8%=安倍首相「経済再生と両立可能」-対策5兆円・閣議決定

 政府は1日夕の閣議で、現行5%の消費税率を2014年4月から予定通り8%に引き上げることを決定した。社会保障制度を持続可能なものにするとともに、財政健全化を図るため、安倍晋三首相が決断した。消費税率引き上げは1997年4月以来17年ぶりで、上げ幅は前回(2%)を上回る。景気を下支えするため、企業に設備投資や賃上げを促す減税措置や公共投資を柱とする5兆円規模の経済対策を、12月上旬に策定する方針も決めた。
 首相はこの後、首相官邸で記者会見し、「本日、消費税を現行5%から8%に3%引き上げる決断をした」と正式表明。「経済再生と財政健全化は両立し得る。これが熟慮した上での結論だ」と説明した。15年10月に予定される税率10%への再引き上げについては「経済状況等を総合的に勘案し、判断時期を含め適切に判断したい」と述べ、増税後の景気動向を見極めた上で改めて結論を出す考えを強調した。
 閣議では、東日本大震災からの復興財源に充てる特別法人税について、1年前倒しして13年度末での廃止を検討することも決めた。これに関し、首相は15年度末までの25兆円の復興財源確保が前提とした上で、「検討に当たっては廃止が賃金上昇につながっていくことを踏まえ、12月中に結論を得たい」と語り、企業側の対応を踏まえて判断する姿勢を示した。(2013/10/01-20:20)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013100101002292.htmlより、
来年4月に消費税8%、政府決定 17年ぶり、経済対策に6兆円
2013年10月1日 19時58分

 政府は1日、消費税率を来年4月1日に5%から8%へ引き上げることと、増税による景気腰折れを回避するための経済対策を閣議決定した。消費税増税は1997年4月に3%から引き上げて以来、17年ぶり。対策規模は2013年度補正予算で5兆円、企業減税などを合わせると6兆円程度となる見通しだ。
 首相は増税分について「消費税収は社会保障にしか使わない。社会保障を維持強化する安定財源にする」として理解を求めた。一方で、15年10月の10%への引き上げについては「判断時期も含め適切に決断する」と明言を避けた。(共同)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013100100922より、
景気、政権を左右=神経とがらす安倍首相-消費増税

 安倍晋三首相が2014年4月から消費税率を8%に引き上げると表明した。デフレ脱却に向け経済政策「アベノミクス」を引き続き進める方針だ。ただ、来春以降に景気が落ち込み「増税不況」を招けば政権運営につまずき、首相の威信も傷つきかねない。首相は今後の景気に神経をとがらせることになりそうだ。

 ◇見送りの選択肢なし
 「大胆な経済対策を果断に実行し、景気回復のチャンスをさらに確実なものにすることにより、経済再生と財政健全化は両立し得る。これが熟慮した上での私の結論だ」。首相は1日午後、官邸での記者会見でこう訴え、5兆円規模の経済対策を推進して景気の腰折れを防ぐ考えを強調した。
 首相はもともと「経済成長重視派」(周辺)で、増税に慎重だった。第1次安倍政権では、増税ではなく成長で財政再建を図る「上げ潮派」の中川秀直元自民党幹事長や塩崎恭久元官房長官を政権の中枢に据えていた。昨年末、首相に返り咲くと、増税に慎重なブレーンの浜田宏一、本田悦朗両氏を内閣官房参与に起用した。
 消費増税法は「経済状況の好転」を税率引き上げの条件としており、首相もこれまで「経済情勢を見極めて最終判断する」と繰り返してきた。しかし、就任以来のアベノミクス効果で各種の経済指標が上向き、「自ら消費税を上げざるを得ない状況にした」(周辺)のは確か。仮に増税を見送れば、財政健全化が後退し、国債金利が上昇する危険もはらむ。
 関係者によると、側近の甘利明経済再生担当相が「消費税を上げて、景気が腰折れしたら野田佳彦前首相のせいにしたらいい」と助言したのに対し、首相は「政治は結果責任だ。責任は私が負う」と色をなして反論する場面があったという。
 首相周辺は「安倍さんは増税しない政治的リスクを、初めから認識していた」と指摘。増税延期の選択肢は事実上なかったといえる。

 ◇与党と不協和音
 それでも首相が最終判断を10月まで持ち越したのは、増税不況を回避するための十分な経済対策を練るためだった。政府が8月に消費税に関する集中点検会合を開き、浜田、本田両氏から景気悪化を懸念する意見を聞き出したのは、大規模な経済対策の必要性をアピールするための一つの舞台だったとの見方もある。
 経済対策策定に当たり、首相が特に固執したのが企業への減税だ。日本企業の競争力を高め、海外からの投資を呼び込み、賃上げや雇用拡大につなげる戦略を首相は描く。
 もっとも、東日本大震災の復興特別法人税の前倒し廃止では、与党内に「被災地軽視」との不満が残った。首相は法人実効税率の引き下げにも意欲を示すが、与党の税制改正大綱では減税の方向性や時期の明記は見送らざるを得なかった。公明党幹部は「前提条件がいっぱいあるから、要するにやらないということだ」と、前のめりの首相をけん制する。

 ◇10%に早くも異論
 消費増税は政権にとって鬼門だ。橋本政権では、1997年4月に現行の5%に引き上げた後、アジア金融危機も重なって不況に突入。翌98年の参院選に惨敗して退陣した。長期政権を視野に入れる首相だが、「8%を失敗するとその先はない」(甘利氏)と、政権の危機感は強い。
 首相は15年10月に予定される消費税10%への引き上げの可否については改めて判断する意向だ。15年4月に統一地方選、秋には自民党総裁選、16年は衆院議員の任期満了、参院選と重要な政治日程が続く。自民党幹部は「選挙も近くなり、10%はやめるべきだという人が相次ぐだろう」と予測してみせた。(2013/10/01-19:21)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131001/k10014952611000.htmlより、
来年4月から消費税8% 首相会見
10月1日 18時35分

安倍総理大臣は、1日夜、総理大臣官邸で記者会見し、消費税率を法律どおり来年4月から8%に引き上げることを表明し、「大胆な経済対策を果断に実行し、景気回復のチャンスをさらに確実なものにすることで経済再生と財政健全化は両立しうる」と強調しました。

「経済再生と財政健全化は両立しうる」
安倍総理大臣は1日夕方の閣議で、消費税率を法律どおり来年4月から8%に引き上げることと、新たな経済対策を策定することを決定したのを受けて、午後6時から総理大臣官邸で記者会見を行いました。
この中で、安倍総理大臣は「我が国の経済が再び希望と活力、成長への自信を取り戻して、国の信認を維持し、社会保障制度を次世代にしっかり引き渡す。これらを同時に進めていくことが、私の内閣に与えられた責任だ」と述べたうえで、「消費税率を、法律で定められたとおり、来年4月から現行の5%から8%に、3%引き上げる決断をした」と表明しました。
そのうえで、安倍総理大臣は、消費税率を引き上げる決断をした理由について、「15年間にわたるデフレマインドによってもたらされた、日本経済の『縮みマインド』が変化しつつある。大胆な経済対策を果断に実行し、景気回復のチャンスをさらに確実なものとすることにより、経済再生と財政健全化は両立しうる。これが熟慮したうえでの結論だ」と強調しました。

「賃金上昇と雇用拡大を強調」
安倍総理大臣は、消費税率の引き上げに備えた新たな経済対策について、「目先の経済を押し上げるだけの一過性の対策ではない。社会保障の充実や安定などのためにお願いする負担を緩和しながら同時に、将来にわたって投資を促進し、賃金を上昇させ、雇用を拡大する。まさに『未来への投資』だ」と述べたうえで、ことし12月上旬に5兆円規模の経済対策を策定する考えを示しました。
これに関連して、安倍総理大臣は「私は法人対個人という考え方をとらない。長いデフレの間、企業は、投資や従業員への還元を行わずに、ため込んできた状況がある。企業にとって投資をしたり従業員に還元したりしていかなければ、損をしていく方に変えていく。企業が国際競争力に打ち勝ち、賃金という形で従業員へ還元し、それが消費に回っていければ好循環に入っていく」と述べ、企業収益の増加によって、賃金の上昇や雇用の拡大につなげていく考えを強調しました。
さらに、安倍総理大臣は、法人税に上乗せしている「復興特別法人税」について、「廃止が賃金の上昇につながっていることを踏まえたうえで12月中に結論を得ることにしたい。復興財源はしっかりと確保していくことが前提だ。19兆円から25兆円に増やした復興財源を減らすことはない」と述べました。
法人税の実効税率の在り方について、安倍総理大臣は「国際競争に打ち勝ち、世界から日本に投資を呼び込むため、真剣に検討を進めていかなければならない課題と考えており、しっかりと与党において議論を進めてもらいたい」と述べました。

「税率10%は経済状況見極め判断」
安倍総理大臣は、消費税率を再来年・平成27年10月に10%に引き上げるかどうかの判断について、「改めて消費税率引き上げ法の付則第18条にのっとって、経済状況などを総合的に勘案して判断時期も含めて適切に判断していきたい」と述べました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131001/k10014952531000.htmlより、
新たな経済対策を閣議決定
10月1日 18時35分

政府は1日の閣議で、消費税率の引き上げに備えて、5兆円規模の補正予算案を編成することや、企業に対して設備投資や賃上げを促す1兆円規模の減税措置などを盛り込んだ、新たな経済対策を決定しました。
政府は、1日の閣議で、消費税率の引き上げと新たな経済対策を決定しました。
それによりますと、まず、「経済再生を進めながら財政再建との両立を図っていく」としたうえで、来年4月1日に消費税率を5%から8%へ引き上げるとしています。
そして、「消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要とその反動減を緩和し、景気の下振れリスクに対応するとともに、その後の経済の成長力を底上げして成長軌道に早期に復帰できるよう」新たな経済対策を策定するとしています。

5兆円規模の補正予算
具体的には、低所得者対策として、一定の所得以下の人に1万円から1万5000円の現金を給付する「簡素な給付措置」におよそ3000億円。
また、住宅を購入する際の負担を軽減しようと、年収が510万円以下の人には最大30万円、東日本大震災の被災者には最大90万円を現金で給付する措置に合わせておよそ3600億円を充てるとしています。
さらに、中小企業向けの設備投資補助金や2020年のオリンピックとパラリンピックの東京開催に向けた交通・物流ネットワークの整備。
それに、トンネルや橋などの老朽化対策や学校施設の耐震化、被災地の災害復旧などを行うとしています。
政府は、これらの施策を実行するための5兆円規模の今年度の補正予算案を、ことし12月に来年度予算案と合わせて編成するとしています。

1兆円規模の減税措置
税制面では、企業に対して設備投資を促す投資減税の拡充などでおよそ7300億円、賃金を増やした企業の法人税を軽減する措置の拡充でおよそ1600億円など、国と地方合わせて1兆円規模の減税を行うとしています。
焦点となっていた法人税に上乗せしている「復興特別法人税」については、「足元の経済成長を賃金上昇につなげることを前提に、1年前倒しでの廃止について検討する。その検討に当たっては、復興財源を確保することなどを踏まえて、12月中に結論を得る」としています。
一方、取り扱いが注目されていた法人税の実効税率の在り方については、自民・公明両党の税制調査会が、税制改正大綱に「今後、速やかに検討を開始する」と盛り込みましたが、経済対策には明記されませんでした。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131001/k10014951491000.htmlより、
消費税率8%で家計の負担は
10月1日 17時58分

消費税率が来年4月に8%に引き上げられた場合、家計の負担はどの程度増えるのか見てみます。
民間の経済研究所、第一生命経済研究所が、総務省の「家計調査」を基に夫婦と子ども2人の4人の世帯の場合について試算しました。
まず、▽年収が250万円未満の世帯では、家計の負担が現在に比べて1年間に5万5349円増加します。
また、▽400万円以上、450万円未満の世帯で、6万4999円、▽500万円以上550万円未満の世帯で7万3691円、▽1000万円以上1250万円未満の世帯で11万4118円、それぞれ負担が増えるとしています。
さらに、税率が10%に引き上げられた場合、▽年収が250万円未満の世帯で現在に比べて9万571円、▽400万円以上、450万円未満の世帯で、10万6363円、▽500万円以上550万円未満の世帯で12万585円、▽1000万円以上1250万円未満の世帯で18万6739円、それぞれ負担が増える計算です。

住宅購入者への対策は
住宅購入は、このところ消費税率の引き上げを想定した駆け込み需要もあって増えていますが、政府は来年4月の消費税率引き上げ以降急激な落ち込みを抑えるため購入者に対し負担の軽減措置を行う方針です。
国土交通省によりますと、全国の住宅の着工件数は、このところ前の年の同じ月を上回っていて、特に、ことし5月から7月にかけては、3か月連続で10%を超える大幅な増加となりました。
大幅な増加には9月末までに住宅の購入を契約すれば引き渡しが来年4月以降でも現在の消費税率が適用されることから、消費税率引き上げを想定した駆け込み需要があったことが影響しているとみられます。
ただ、前回、平成9年に消費税が引き上げられたときには、平成8年に163万戸だった着工件数が平成9年に134万戸、平成10年に118万戸と大幅に落ち込みました。
このため、政府は、来年4月の消費税率引き上げ以降に住宅購入が急激に落ち込むのを抑えようと、一定の条件で購入者に現金を給付する方針です。
「すまい給付金」と呼ばれるこの軽減措置では、住宅ローンを組んで購入する人で年収510万円以下の人には一戸当たり最大30万円を現金で給付するとしています。
また、住宅ローンを組まない人にも年齢や年収に条件を設けたうえで現金を給付する方針です。

交通運賃はどうなる
消費税率の引き上げに伴って、鉄道各社の間ではICカード乗車券を対象に従来の10円単位ではなく1円単位での運賃改定を検討する動きが出ています。
<鉄道>
「鉄道」で、現在、運賃設定が10円単位なのは切符の券売機が1円硬貨と5円硬貨に対応していないためですが、最近では「ICカード乗車券」が普及していることから、その利用者を対象に1円単位の運賃を適用する案が浮上しています。▽JR東日本や、▽東急電鉄、▽小田急電鉄、▽東京メトロが、1円単位で増税分を転嫁することを検討しています。仮にICカード乗車券を対象に1円単位の運賃が導入されても、券売機で買う切符は10円単位の運賃になると見られ、同じ区間の乗車でもICカードと切符で料金に差が出る可能性があります。
<バス>
「路線バス」の運賃は前回の消費税増税の際には引き上げなかったところがあり、今回も対応が分かれる可能性があります。
<タクシー>
「タクシー」の運賃も前回の消費税率引き上げの際に各地で値上げが実施され、今回も転嫁の動きが進むとみられています。
<航空>
「航空」では、増税分が転嫁される対象は、国内線の運賃のみです。ただ、航空運賃は「普通運賃」のほかに、さまざまな「割引運賃」が存在しているため、増税分がどのように転嫁されたのかが分かりにくい可能性もあります。
<高速道路>
「高速道路」の料金は、もともと現在実施されている割引きが来年3月で終了することになっています。さらに、消費税率の引き上げも加わることから、一気に利用者の負担が増えることへの懸念から、割引きの継続などが政府で検討されていて、来年4月からの実際の料金がどうなるのかははっきりしません。
<船>
フェリーなど「船」の運賃は、各社が増税分の転嫁を検討するものとみられます。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131001/k10014949591000.htmlより、
消費税率引き上げ 閣議決定
10月1日 17時40分

安倍総理大臣は、1日午後に開かれた政府与党政策懇談会で、消費税率を法律どおり来年4月から8%に引き上げる方針を表明し、1日午後5時すぎからの閣議で税率の引き上げと新たな経済対策を策定することを決定しました。
安倍総理大臣は、午後1時から総理大臣官邸で開かれた政府与党政策懇談会で、「経済対策パッケージの実行により消費税率を引き上げたとしても、その影響を極力、緩和することができ、日本経済が再び成長軌道に早期に回復することが可能だと考えている」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は、「私は、国の信認を維持し、持続可能な社会保障制度を次の世代にしっかりと引き渡していくため、来年度から国と地方を合わせた消費税率を5%から8%に引き上げる判断をした」と述べ、消費税率を法律どおり来年4月から8%に引き上げる方針を表明しました。
一方、自民・公明両党は、『復興特別法人税』の1年前倒しでの廃止について検討することや5兆円規模の補正予算案の編成や、企業に対して設備投資や賃上げを促す1兆円規模の減税措置などを盛り込んだ新たな経済対策をそれぞれ了承しました。
これを受けて、総理大臣官邸では、午後5時すぎから閣議が開かれ、消費税率の引き上げと共に、この新たな経済対策を策定することを決定しました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131001/k10014941541000.htmlより、
首相 消費税率引き上げ表明
10月1日 13時30分

安倍総理大臣は、1日午後開かれた政府与党政策懇談会で、新たな経済対策によって、日本経済を成長軌道に回復させることが可能だとしたうえで、国の信認を維持し、持続可能な社会保障制度を次の世代に引き渡すため、消費税率を法律どおり来年4月から8%に引き上げる方針を表明しました。
安倍総理大臣は、1日朝発表された日銀の短観で、大企業の製造業の景気判断が平成20年のリーマンショック以降で最も高い水準になったことや、新たな経済対策によって経済の安定成長を確かなものにできることを確認しました。
そして、安倍総理大臣は、午後1時から総理大臣官邸で開かれた政府与党政策懇談会で、「経済対策パッケージの実行により、消費税率を引き上げたとしても、その影響を極力緩和することができ、日本経済が再び成長軌道に早期に回復することが可能だと考えている」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は、「私は、国の信認を維持し、持続可能な社会保障制度を次の世代にしっかりと引き渡していくため、来年度から国と地方を合わせた消費税率を5%から8%に引き上げる判断をした」と述べ、消費税率を来年4月から8%へ引き上げる方針を表明しました。
安倍総理大臣は、経済対策などを了承する与党側の手続きが終わるのを待って、夕方に閣議を開き、消費税率の引き上げと新たな経済対策の策定を正式に決定することにしています。
その後、安倍総理大臣は記者会見し、消費税率の引き上げを決めた理由などを説明することにしています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131001/k10014939541000.htmlより、
首相 消費税率上げ夕方表明へ
10月1日 12時11分

安倍総理大臣は、日銀の短観で大企業の製造業の景気判断が平成20年のリーマンショック以降で最も高い水準になったことや、新たな経済対策によって経済の安定成長を確かなものにできるとして、1日夕方、消費税率を来年4月に8%へ引き上げることを表明することにしています。
安倍総理大臣が消費税率引き上げの判断材料の一つとしていた日銀の短観=企業短期経済観測調査が、1日朝発表されました。
大企業の製造業の景気判断は、プラス12ポイントと前回より8ポイント上昇し、平成20年のリーマンショック以降で最も高い水準に回復しました。
これを受けて、安倍総理大臣は、消費税率を法律どおり来年4月に8%へ引き上げても、5兆円規模の補正予算案を編成することや、企業に対して設備投資や賃上げを促す1兆円規模の減税措置などを盛り込んだ新たな経済対策によって、経済の安定成長を確かなものにできることを確認しました。
そして、安倍総理大臣は自民党の役員会で、「きょうの昼に消費税の取り扱いについて決定するので、仮に引き上げた場合の対策について、党の政務調査会や税制調査会でとりまとめをお願いしたい」と述べ、このあと午後1時に開かれる政府与党政策懇談会で、消費税率を法律どおり引き上げる方針を伝える考えを示しました。
一方、総理大臣官邸では、安倍総理大臣も出席して経済財政諮問会議が開かれ、消費税率を法律どおり引き上げない場合、「政府や国債への信認が失われ、政策対応が困難になるリスクがある」として、税率を来年4月から引き上げることが望ましいという意見書が報告されました。
安倍総理大臣は、経済対策などを了承する与党側の手続きが終わるのを待って、夕方、閣議を開き、消費税率の引き上げと新たな経済対策の策定を正式に決定し、その後、記者会見して、消費税率の引き上げを決めた理由などについて説明することにしています。

http://mainichi.jp/area/news/20130930ddf012070020000c.htmlより、
今、平和を語る:ジャーナリスト・元共同通信編集主幹、原寿雄さん
毎日新聞 2013年09月30日 大阪夕刊

 マスコミ界のご意見番で知られるジャーナリストで元共同通信編集主幹の原寿雄さん(88)は、ジャーナリズムは戦争を防ぐことができるのか−−と問い続けてきた。「日本のジャーナリズムは戦後最大の危機にある」と語る原さんに聞いた。

 ◇「特定秘密保護法」許してはならぬ 「知る権利」戦後最大の危機
−−政府・自民党は改憲、国防軍の創設、集団的自衛権の行使などを掲げています。こうした政策とジャーナリズムの影響について。
 原 個人を大事にしてきた戦後民主主義から、国家中心の国家主義へと変えていこうとしているのではないでしょうか。尖閣や竹島の問題、北朝鮮の核武装化もあって、東アジアの情勢が日本を中心に緊張する状況になってきています。だから平和憲法を変えてでも国防を充実させなければいけない、という主張は国民に通りやすいグッドタイミングだと安倍政権はみているのではないですか。
 日本が昔型の国家主義に戻ろうとすれば、国家の意思つまり政府の意思を国民に徹底的に注入する、そして国民の意識を変えていこうとします。そうなるとジャーナリズムに対しては、安倍政策の発表を主体にした報道を求めてくるはずです。
 戦前に「下から読む新聞」という言葉があったそうです。大きい記事は、政府や軍部による戦争推進のための告知であり、期待であり、要請でした。真実のこまぎれは、一番下のベタ記事で載っていたのです。
 だから真実を知ろうとする人たちは、上から読まずに下から読んだ。そうしないためにも、これからの日本のジャーナリズムは、ますます主体性が求められます。

−−政府は厳罰(最長で懲役10年)を規定した「特定秘密保護法」の法制化を目指しています。
 原 国の安全と外交上の秘密保護に限らず、公共の安全や秩序維持まであげています。1985年に自民党が「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」(スパイ防止法案)を提出したが、新聞、放送をはじめ各界の批判を浴びて廃案になっています。治安関係の条項はなかった。
 それだけに今回の特定秘密保護法案は「スパイ防止法」に戦前の「治安維持法」を加えた総合情報規制法になっていると思います。たとえ「報道の自由に配慮する」と条文に明記したとしても無意味です。正当な取材活動かそうでないか、捜査当局は拡大解釈によって、ジャーナリストも取り締まれる。

http://mainichi.jp/area/news/20130930ddf012070020000c2.htmlより、
 また米軍基地を監視している平和団体なども処罰の対象になるのではないですか。日本の「知る権利」は戦後最大の危機にあるとの認識に立って、この法案と本格的に対決しないと、ジャーナリズムの自由は吹っ飛んでしまいます。そうなると「準戦時体制」にされてしまう。

−−準戦時体制とは。
 原 戦争になったら国策に協力するうえで報道規制は当然だという考えがあり、準戦時体制もこれに匹敵します。むしろ逆で、国民の生命や財産を左右する戦時や準戦時こそ、報道の自由が最大限に発揮されるべきでしょう。そうした原則を確立しておかなければいけません。

−−著書「ジャーナリズムの可能性」(岩波新書)に、こう書かれています。<自ら戦争を開始する場合も同盟国の戦争に参加するときも、常に「国益のため」が国民を説得・動員する鍵となる。時の権力者の考える国益と真の国民益を峻別(しゅんべつ)するのは、ジャーナリズムにとって重要な責務だが、歴史はほとんどの場合、政府の主張に収斂(しゅうれん)されて戦争に進んでいる>
 原 国と結ばれているジャーナリズムが、国の主導する戦争に反対の姿勢を貫徹するのは確かに難しい。それでもジャーナリストは、どうすれば「国籍」を超えられるか意識して努力すべきです。「敵」とか「味方」と言っていると、自分が一方の側について相手を見ています。これでは客観報道はできません。
 私は海軍を志願した愛国青年でした。戦後、記者になって記事を書くとき「わが国」という言葉を使うのを一切やめました。仲間に強要はしませんが、昔の愛国心に火がつく危険性を、私が感じたのは事実です。

−−著書「ジャーナリズムに生きて ジグザグの自分史85年」(岩波現代文庫)で、21項目からなる「私のジャーナリズム哲学」を列挙しています。ジャーナリストが自戒すべきは次の一文でしょうか。<第二次大戦では上官の命令に従った日本兵士が責任を問われ、処刑されたBC級戦犯は一〇〇〇人に近い。上司の指示で戦争翼賛の報道に従ったジャーナリストは何の罪も問われなかったが、自分はいまBC級戦犯の実績を積み重ねていないか>

http://mainichi.jp/area/news/20130930ddf012070020000c3.htmlより、
 原 いったん戦争が始まったら、もう遅いのです。戦争もファシズムも前と同じ顔では現れません。教訓にしたいのは、戦後に全国紙の首脳が、メディアの団結で戦争を防げた可能性があると反省していることです。ジャーナリストという職業の究極の課題は戦争をなくすことですから、戦争につながる危険をいち早く察知して、大同団結を図る必要があるのではないでしょうか。

−−現役のジャーナリストへメッセージを。
 原 権力、資本、世論ではなく、真実にだけ忠誠を尽くす。個人の自由を強調すべき時代だから、少数意見を報道して、かつてのような「非国民」と呼ばれる人を生み出さない、人権無視の時代にならないように努める。
 アジアの国に目を向ければ、相手国のナショナリズムの高揚に辛抱強く耐える度量を持つのが、民主主義の先輩を自任する日本のメディアの態度ではないでしょうか。日本のジャーナリズムは東アジアの平和確立に責任を持つ立場にあると思います。<聞き手・専門編集委員 広岩近広>=次回は10月28日掲載予定

 ■人物略歴
 ◇はら・としお
 1925年神奈川県生まれ。50年に東大法学部卒業後、共同通信社に入社、外信部長、編集局長をへて85年に専務理事・編集主幹。退職後は「放送と青少年に関する委員会」の委員長を務めるなど、講演や執筆活動を続けている。著書多数。近刊に「原寿雄自撰 デスク日記 小和田次郎」(弓立社)がある。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013093002000117.htmlより、
東京新聞【社説】JR西無罪 遺族の無念を胸に刻め
2013年9月30日

 乗客ら百七人が死亡した尼崎脱線事故で、JR西日本の歴代三社長は無罪となった。強制起訴を選択した市民判断は、司法の壁を崩せなかったが、経営陣は遺族の無念の思いを胸に刻むべきだ。
 刑事裁判の限界なのだろう。神戸地裁は歴代三社長について、「事故は予見できなかった」と判断した。検察が起訴した元社長は既に無罪判決が確定しており、事故当時の経営幹部は誰ひとり、刑事責任を負うことはなかった。
 「刑事責任が問われないことをおかしいと思うのももっともだが、厳格に考えなくてはならない」と最後に裁判長は付言した。
 強制起訴に持ち込んだ検察審査会の判断にも、一定の理解を示したとも受け止められる。確かに現場は「魔のカーブ」だった。半径六百メートルあったカーブを半減させる工事をしたからだ。危険性が増すのは当然だが、当時の経営陣は自動列車停止装置(ATS)を設置しなかった。
 これも争点だったが、たまたま当時、法的義務がなかっただけだ。鉄道会社として、自主的に設置することもできたはずだ。「ATS整備を指示するべき注意義務はなかった」とする判決には、疑問が残る。国土交通省の事故調査委員会は「ATSがあれば事故は防げた」と指摘しているからだ。急カーブへの配慮をしなかったのは経営ミスといえよう。
 私鉄各社との激しい競争もあって、過密ダイヤを組んでいた。電車に遅れなどが出ると、懲罰的な「日勤教育」が科された。無意味な草むしり、就業規則の書き写し…。非人間的な懲罰である。
 事故を起こした運転士は、日勤教育の経験があり、当日も前の駅でオーバーランをした。遅れを取り戻そうとして、制限速度を大幅に超え、ブレーキ操作を誤ったのだ。少なくとも、事故調はそんな見方の報告をした。
 利益優先、安全軽視ともいえる経営陣にも反省すべき点は、多々あったはずだ。だが、裁判でJR西日本の“ドン”は、十秒間のおわびをしただけだ。企業体質についての質問には「変えなければいけないという気持ちはない」と突っぱねていた。
 遺族の無念さが、本当にわかるのか。「納得できない」「許せない」-。判決に遺族は天を仰いだ。JR北海道では二百七十カ所ものレール異常放置が判明したばかりだ。脱線事故なども相次いだ。鉄道の安全規律がたるんでいる。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 9月 29 日(日)付
JR事故判決―経営陣に罪はないのか

 企業トップの罪を問う難しさが、またも示された。
 107人が死亡した05年のJR宝塚線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代3社長に対し、神戸地裁は無罪を言い渡した。
 利益を追求し安全をおろそかにした経営陣の姿勢が事故につながったのではないか。そうした遺族の思いを受け、検察審査会は強制起訴にもちこんだ。
 だが公判では、現場カーブに安全装置を付けなかったことだけが争点になった。裁判所は、元社長らは個人として事故を予見できなかった、と判断した。
 この3人とは別の元社長は検察に起訴されたが、昨年、無罪が確定した。過失犯では個人の責任しか追及できない現行刑法の限界といえる。
 遺族らは判決後、法人を処罰できるよう、法改正を訴えた。
 英国は07年、注意を怠って死亡事故を起こした法人に刑事責任を問い、上限なく罰金を科せる法律を制定した。
 80~90年代に船舶や鉄道で多くの人が亡くなる事故が続いた。だが、大きい企業ほど経営陣は有罪とならず、世論の批判が強まったためだった。
 日本でも、高度成長期に起きた公害や85年の日航ジャンボ機墜落事故で、法人処罰の導入を求める声が上がったが、刑法改正には結びつかなかった。
 鉄道や航空、船舶事故は、運輸安全委員会が調査し、原因を究明する。日本では捜査との線引きが厳格ではない。このうえ法人の刑事責任も問えることにすれば、関係者が事故調査に真相を語らなくなる、という慎重論も専門家の間で根強い。
 だが、JR西という巨大企業のトップが、市民代表の検察審査会の判断で裁判にかけられた意義を考えてみたい。
 現在の鉄道のように安全システムが高度化するほど関係者は多くなる。その裏返しで、事故が起きても頂点の経営責任があいまいになる事態が繰り返されてきた。福島第一原発事故を防げなかった東京電力や、トラブルが続くJR北海道もそうだ。
 宝塚線事故の遺族は、JR西を長く率いた井手正敬元社長に公判で質問を重ねた。井手氏は「担当者に任せていた」と繰り返し、遺族をあきれさせた。
 企業が対策を怠って事故を起こせば、トップの刑事責任も問えとの民意は今後強まろう。経営者は常日頃からしっかりと向き合うしかない。
 安全管理責任をより確かなものにするため、法人処罰の導入の是非も、国レベルで議論を深めていってもらいたい。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130929k0000m070088000c.htmlより、
社説:JR歴代社長無罪 なお重い経営者の責任
毎日新聞 2013年09月29日 02時30分

 乗客106人が死亡した2005年4月のJR福知山線脱線事故で、神戸地裁は、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の井手正敬(まさたか)元会長ら歴代3社長に無罪を言い渡した。
 判決は、3人に脱線の危険性を具体的に予見できたと認める証拠はなく、事故を防ぐための自動列車停止装置(ATS)の整備を指示する義務もなかったと結論付けた。既に確定した山崎正夫元社長の無罪判決と同様、過失の範囲を厳密にとらえる従来の判断を踏襲したものだ。
 裁判長は「会社の代表とはいえ、社長個人の刑事責任を追及するには厳格に検討しなければならない」と述べた。刑法では個人の責任しか問えない限界を示したと言えるが、だからといってJR西の安全対策に問題がなかったことにはならない。
 国の事故調査報告書は、経営幹部が組織を統括し、徹底して安全性を追求する必要があると指摘した。山崎元社長の判決も、安全対策が期待される水準になかったと批判している。多くの人命を預かる公共交通機関の経営トップの責任の重さを改めて胸に刻むべきである。
 事故は、列車が制限速度を超えてカーブに突っ込んで起きた。だが、急カーブに変更されたのは新線開業の経営方針に伴うもので、後に余裕に乏しいダイヤになった。懲罰的な日勤教育も運転士に重圧を与えたとされた。検察官役の指定弁護士も論告で「井手元会長らが利益優先の企業体質を確立した」と主張した。
 判決は、事故と企業体質との関係に言及しなかったが、未曽有の事故でJR西も責任を認めているのに誰一人処罰されないのは、一般市民にも納得がいかないはずだ。企業に刑事罰を科す制度の導入を含め、組織が絡む事故の責任追及や真相解明のあり方について議論を深めるべきではないか。
 公判では、井手元会長が事故について「重大な経営責任も痛感している」と公の場で初めて陳謝した。被害者参加制度で遺族らも直接質問し、意見を述べた。無罪とはいえ、強制起訴の意義は小さくはない。
 脱線事故は、効率化や高速化を進め、安全を二の次とする経営姿勢にも反省を迫った。だが、JR北海道のあまりの安全意識の低さといい、鉄道各社は事故の教訓を生かしているのだろうかと疑わざるを得ない。
 JR西は事故後、安全投資を増やし、事故の予兆を分析するリスクアセスメントも導入した。それらを着実に進め、安全対策を徹底しなければ信頼回復はおぼつかない。安全意識が根づく組織風土を築くことが経営者の責任であると肝に銘じなければならない。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130928/dst13092803110000-n1.htmより、
産経新聞【主張】JR西3社長無罪 企業の「安全責任」は別だ
2013.9.28 03:11

 乗客106人が死亡したJR福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の井手正敬(まさたか)元会長ら歴代3社長に、神戸地裁は無罪を言い渡した。
 事故現場のカーブに自動列車停止装置(ATS)を設置していなかった責任について、判決は「当時はATSを設置する法的義務はなかった。社内でも脱線の危険性は検討されておらず、ATSを整備すれば脱線は回避できたとの認識にはつながらない」と予見可能性を否定した。
 予想された判決である。むしろ、判決言い渡し後に宮崎英一裁判長が傍聴席の遺族らに述べた「誰一人として責任を問われないことに違和感があるかもしれない」が、「企業の責任ではなく、社長個人の刑事責任を追及する場合は厳格に考える必要がある」という言葉が、この裁判の本質を言い表している。
 嫌疑不十分で3社長を不起訴とした神戸地検は、検察審査会の「起訴相当」の議決にも再度、不起訴とし、「審査会は事実を誤認している可能性がある」と異例のクレームをつけた。
 それでも審査会の2度目の議決で強制起訴となったのは、純然たる法的判断より、遺族らの心情を酌んだ民意といえよう。
 本来ならJR西日本という企業の責任を問いたいのだが、刑法は処罰の対象を個人に限定している。現行法制度の限界を示すとともに、検察審査会のあり方にも一石を投じる裁判だった。
 ただ、3社長の無罪判決がJR西日本の社会的責任を免ずるものでないことは言うまでもない。「井手商店」と呼ばれるほど民営化以降の経営を実質的に担ってきた井手元会長が、事故後、遺族らの前に姿を見せず、ようやく法廷で謝罪したのは遅きに失する。
 また、遺族らが求めた「どうして事故が起きたのか」「なぜ防げなかったのか」の真相究明もなお不十分と言わざるを得ない。
 昭和62(1987)年に国鉄が分割民営化されJR各社が発足して26年になる。JR北海道では相次ぐ事故、トラブルに加えて、レールの異常を補修せず放置していたという信じられない不祥事が明るみに出た。
 営利優先で安全をないがしろにしてはいないか。鉄道事業者には原点に立ち返っての経営点検を求めたい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO60327280Y3A920C1EA1001/より、
日経新聞 社説 強制起訴は見直しが必要だ
2013/9/28付

 検察が独占してきた起訴権限に民意を反映させる。それが強制起訴制度の狙いである。検察が起訴しなかった人について、くじで選ばれた市民でつくる検察審査会が「起訴すべきだ」と2度議決すれば被告となり、裁判が開かれる。
 だが起訴されなかった理由にかかわらず、すべての事件・事故が強制起訴の対象になりうるいまの仕組みでは、問題が大きすぎないだろうか。そんな危惧をあらためて抱かせる判決があった。
 2005年にJR福知山線で起きた脱線事故をめぐり、神戸地裁が井手正敬元相談役らJR西日本の歴代社長3人に無罪を言い渡した。事故は予測できなかった、との判断である。3人は業務上過失致死傷罪で強制起訴されていた。
 裁判長は「誰ひとり刑事責任を負わないのはおかしいとの考えがあるかもしれないが、個人の責任は厳格に考えなければいけない」と遺族に言い添えた。この言葉に制度の問題が凝縮されている。
 刑法は個人の刑事責任しか問えない。だが多くの部署、社員、システムがからんで起きる事故で、個々人の過失や責任の範囲を立証するのは難しい。市民感覚としては納得しにくいが、だからといって検察審による起訴だけ有罪の基準を下げるわけにはいかない。
 会社の体質を指弾し、再発防止につなげる。こうしたことを刑事裁判に大きく期待することもできない。行政や民事訴訟の仕組みの改革を含め、有効な対策を考えていくべきではないだろうか。
 過去の強制起訴の例をみても、同じように現在の刑事裁判のあり方となじまない例がある。検察の段階で不起訴になった後、長い間裁判を強いられる負担は大きく、このまま放置すべきでない。
 同じく司法改革の一環として新たに導入された裁判員裁判や法曹養成制度は、踏み込みが足りないもののすでに見直し作業が始まっている。強制起訴についても、審査する対象や議決に至った経緯の開示など、制度の全般にわたる見直しに取りかかるべきである。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130930/biz13093003170002-n1.htmより、
産経新聞【主張】柏崎原発申請 再稼働へ迅速審査求める
2013.9.30 03:16

 東京電力が柏崎刈羽原発(新潟県)6、7号機の再稼働に向け、原子力規制委員会に安全審査を申請した。地元の泉田裕彦知事が条件付きながら、東電の申請を認めたことを受けた。
 柏崎刈羽原発は首都圏に電力を供給する重要な役割を担う。規制委は迅速に審査を進め、早期の再稼働につなげてほしい。
 再稼働にあたっては地元の了解も必要となる。安倍晋三政権も原発立地自治体の理解を得る努力をするとしてきた。政府は安全協定を根拠に東電と対立する泉田氏と調整し、原発の運転再開を主導する責務を忘れてはならない。
 東電は、7月初旬の新安全基準の施行と同時に安全審査を申請する方針だったが、泉田氏の同意が得られなかった。宙に浮いたままだった申請にこぎ着けることができたのは一歩前進といえよう。
 しかし、泉田氏は申請容認にあたり、原発事故時に放射性物質の放出を抑える「フィルター付き排気装置」を使用するさいには、事前に地元了解を取り付けることを条件にした。
 だが、この条件は問題だ。一刻を争う緊急時の安全対策で、運用に法的根拠のない地元独自の煩雑な手続きを課すことになるからである。早急に見直さなければならない。
 柏崎刈羽原発の審査は、敷地内を走る断層の評価も課題だ。規制委は予断を持つことなく、科学的な知見にもとづく客観的な審査に徹してほしい。他の電力会社の審査も進行中であり、必要なら人員などの体制を増強して遅滞なく作業を進めるべきだ。
 東電は昨年9月、原発停止に伴って発電コストが上昇したため、電気料金を大幅に引き上げた。
 一方、同社の再建に向けた経営計画では、今年度中に柏崎刈羽原発7基のうち4基の再稼働を予定している。これが大幅に遅れる事態になれば、追加値上げを迫られる可能性が強まる。
 来年4月には消費税率が8%に引き上げられる。これに電気料金の追加値上げが加われば、中小企業などへのダメージは大きい。景気への影響も避けられまい。
 福島原発の汚染水処理や被災者への事故賠償を円滑に進めるには、東電経営の持続性を確保しなければならない。そのためにも、政府が責任を持って再稼働に導く姿勢を示すべきだ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 9月 28 日(土)付
柏崎稼働申請―やるべきことが違う

 いったい、自分が置かれている立場をわかっているのか。それが、多くの国民の受け止め方だろう。
 東京電力が、柏崎刈羽原発の6、7号機(新潟県)について原子力規制委員会に新規制基準への適合審査を申請した。広瀬直己社長は6、7号機以外の原発も順次、再稼働への準備を進める考えを示した。
 論外だ。
 東電は原発事故の当事者である。福島第一原発では、事故の収束どころか汚染水漏れなど新たな難題がのしかかる。いまは福島にすべてを集中すべきときだ。他の原発に人手を回す余裕などあるはずもない。
 にもかかわらず、東電が再稼働にこだわるのは、このままだと再建計画が破綻(はたん)するからだ。
 原発が動かず、火力発電の燃料費負担がかさんで3期連続の赤字になれば、「銀行からの融資が受けられなくなる恐れがある」という。
 仮に時間がかかっても、再建計画に盛られた柏崎刈羽の再稼働に向けた手続きを踏んでいれば、資金手当ては何とかなる。そんな思惑ではないか。
 しかし、事故に伴う損害賠償や除染、廃炉などすべての費用を東電に負担させることを前提とした再建計画がもたないことは、すでに明らかだ。
 であれば、見直すべきは再建計画である。再稼働を急ぐことではない。
 問題は、安倍政権の姿勢だ。
 国は東電の大株主でもある。汚染水問題では、政府が前面に出る態勢へと改めたものの、東電の経営問題をめぐる議論はほとんど進んでいない。
 再建計画の見直しは、東電では背負いきれない費用を、国費の投入や料金値上げでまかなうことにつながる。不満の声もあがるだろう。
 目先には、消費税の増税も待ち構える。アベノミクスにみそをつけることにもなりかねない不人気な政策に手をつけるのは、後回しにしたい。そんな思惑が首相周辺にあることは想像に難くない。
 だが、それでは汚染水問題でのリーダーシップ宣言も瞬く間に色あせるというものだ。
 短期的な経済合理性や過去のしがらみから、必要な情報の共有や対策を怠り、原発を推進すること自体が目的化したことが福島事故を招いた。
 今また、実体のともなわない再建計画にこだわっていれば、事態は悪化するだけだ。
 原発をとりまく、そんな体質を改める。それこそ、事故の重い教訓であるはずだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO60327250Y3A920C1EA1001/より、
日経新聞 社説 柏崎刈羽再稼働へ地元との信頼確立を
2013/9/28付

 東京電力は新潟県の柏崎刈羽原子力発電所6、7号機の再稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請した。難色を示していた泉田裕彦知事が条件付きで申請を容認した。東電は規制委の審査をへて来春にも再稼働をめざす。
 東電の厳しい経営状況を考えれば、今回の申請自体は理解できる。同社は実質的に国有化された後も経常赤字が続いている。経営計画に盛った柏崎刈羽の再稼働が実現しないと、金融機関からの資金調達に支障をきたしかねない。電気料金の再値上げも避けられず、消費者への影響も大きい。
 だが地元自治体の理解を得るのに時間がかかり、規制委への申請手続きが遅れたことを、東電は教訓とすべきだ。東電は同原発の改修工事を地元への説明が不十分なまま着手した。これが地元の不信を募らせ、事態をこじらせた。
 同原発の再稼働には、地元の理解と協力が大前提になる。東電は安全対策を粘り強く説明するとともに、事故が起きたときの自治体との連携体制や住民を安全に避難させる計画づくりなどで全面的に協力し、信頼確立を急ぐべきだ。
 泉田知事が東電に求めた申請の条件には、疑問が残る点がある。重大事故が起きたとき、放射性物質を外部に放出するフィルター付き排気(ベント)の実施に、県の事前了解が必要としたことだ。
 重大事故への対応は一刻を争うだけに、それで迅速かつ適切な初動ができるのか。電力会社と自治体が結ぶ安全協定には、何を対象とするかや法的な拘束力をめぐり議論がある。国も関与して安全協定のルールづくりが必要だ。
 規制委も同原発の審査を厳格に進めるべきだ。周辺は中越沖地震など地震が多い場所だ。直下に活断層はないか、近くの断層が動いても耐震性は十分かなど、科学的な根拠を踏まえて慎重に審査し、包み隠さず公表してほしい。
 国による東電支援のあり方も見直しが避けられない。今回の申請でも東電の当面の資金繰りはなお綱渡り状態が続く。福島原発で深刻な汚染水漏れがおき、廃炉の費用は巨額にのぼる。周辺での除染の費用も東電の負担になる。
 廃炉や除染をめぐり、国と東電の役割を改めて明確にすべきだ。原子力損害賠償支援機構を通じたいまの東電支援は限界にきている。柏崎刈羽原発の安全審査に併せて、国はこの問題に真剣に向き合うときだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130928k0000m070134000c.htmlより、
社説:東電再稼働申請 福島事故の収束が先だ
毎日新聞 2013年09月28日 02時30分

 東京電力が柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)6、7号機の再稼働に向けた安全審査を申請した。同県の泉田裕彦知事が、条件付きで申請することを承認したためだ。
 しかし、東電は福島第1原発事故の当事者である。再稼働の前提として、汚染水処理など事故の収束に真摯(しんし)に取り組み、企業としての信頼を取り戻す必要がある。
 泉田知事が審査申請を認める条件にしたのは、地元自治体の了解なしにフィルター付きベント(原子炉の破損を防ぐため、放射性物質をできるだけ除去して排気する装置)を使わないことや、県との協議で改善する必要が出てくれば申請内容を修正するということだ。
 東電に対する根強い不信感の表れといえる。東電は7月、審査申請することを地元の頭越しに決めた。そんな地元軽視の姿勢が、不信感を強めた。それから3カ月近くかけて申請容認にこぎつけたが、安全審査を通っても再稼働には県の同意が欠かせない。事故時に住民被ばくを避けるための防災計画などを巡り、地元自治体と協議を重ねて信頼回復に努めなければならない。
 一方で、泉田知事の対応も納得できない。審査申請を厳しく批判してきた知事が、条件付きとはいえ容認に転じた理由がよく分からない。県民の安全にかかわることだけに、分かりやすく説明してほしい。
 そもそも東電が原発を再稼働するには大きなハードルがあるはずだ。原発の安全神話は崩れた。稼働を認めるためには、事故が起きても適切な対応で住民の安全を守ってくれるという信頼感がなければなるまい。
 ところが、福島の事故で東電の対応は後手に回り、大量の放射性物質をまき散らした。その後も不手際は続き、原子炉建屋の敷地内に流れ込んだ地下水が、汚染されて海に出た。高濃度の汚染水貯蔵タンクからも漏水した。地下水の敷地への流入はやまず、日々大量の汚染水が発生している。
 東電は再稼働の前提として、事故収束に全力を傾けるべきだ。失墜した信頼を回復できなければ再稼働への理解は得られまい。
 東電が今、前のめりになるのは、事業継続に不可欠な銀行融資を得るため経営計画の見直しを迫られているからだ。3期連続の赤字を避けるには、原発の再稼働か電気料金の再値上げが避けられないという。
 今回の審査申請で、ひとまずはしのげる可能性が高まった。しかし、東電の経営は綱渡りが続く。安全性と経済性をはかりにかける事態は避けるべきだ。事実上国有化した政府は、東電の将来像について真剣に検討する必要がある。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013092702000155.htmlより、
東京新聞【社説】再稼働申請 電力会社に申し上げる
2013年9月27日

 原発再稼働に前のめりな政権を追い風に、東京電力柏崎刈羽原発や中部電力浜岡原発が早期再開を急ぐ。住民や消費者の声をよく聞かずして再稼働などできないと、電力会社に申し上げたい。
 必要な対策はひと通り整った。だから、再稼働を申請すると、中部電力幹部は言った。ひと通りで済ませていい問題か。
 とりわけ浜岡は、特別な場所にある特別な原発だ。
 東海地震の想定震源域の真ん中にあり、それらが連動して起こる南海トラフ巨大地震の規模は計り知れない。住民の地震に対する恐れは強い。いくら地盤を強化しても、風速九〇メートルの竜巻に耐えるという冷却ポンプカバーを取り付けても、その不安は除けない。
 再稼働を論ずる前に必要なのは、住民との対話、住民の声をよく聞くことだ。
 中電は、静岡県や御前崎など四市と安全協定を結んでおり、再稼働を申請する場合、自治体側へ「事前通報」の義務がある。しかし、それは同意を求めるわけではなく、すでに決まったことの確認にすぎないというのが、中電側の解釈らしい。傲慢(ごうまん)ではないか。
 中電だけのことではない。すでに原発の再稼働申請をした北海道、関西、四国、九州の四電力が、原発三十キロ圏の周辺市町村が求めた、立地自治体並みの安全協定締結を拒否している。
 福島第一原発事故の被害が思わぬ遠くにまで及び、多くの人々がふるさとを奪われたままであるにも、かかわらず。
 柏崎刈羽原発の再稼働に理解を求める東電の広瀬直己社長に、新潟県の泉田裕彦知事は「急ぎますか」と問いかけた。なぜ急ぐのか。銀行からの借り換えや新たな借り入れに、再稼働による収益改善が不可欠だからという。
 福島の汚染水問題一つとっても、東電に原発を任せられないというのは明らかなのに、である。
 再稼働に巨額の対策費を投じた中電などにも、同様の事情がある。中電の場合、今年の猛暑の電力需要を余裕をもって乗り切った。関電に融通したほどだ。再稼働を急ぐのは、これ以上赤字を出したくないからだ。
 企業が利益を追うのは当然だ。しかし、安全と収益をてんびんにかけられては、かなわない。
 何よりも、住民の立場に立って安全を優先させる。この大前提を欠く限り、拙速な再稼働は許されない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130927k0000m070120000c.htmlより、
社説:浜岡原発 再稼働申請は考え直せ
毎日新聞 2013年09月27日 02時31分

 中部電力が、静岡県御前崎市にある浜岡原発を再稼働するため、今年度中に安全審査を申請するという。
 浜岡は東京電力福島第1原発の事故後に、菅直人首相(当時)の要請で全面停止した原発だ。再稼働には大きな危険が伴う。検討すべきはむしろ廃炉である。中電は審査申請を考え直すべきだ。
 中電は、運転停止中の浜岡原発3〜5号機のうち、4号機について安全審査を申請し、再稼働を先行させる考えだ。追加の安全対策が必要になるため、実現するにしても2015年10月以降になる。
 それでも申請を急ぐのは、原発に代わる火力発電の燃料費負担がかさみ、経営を圧迫しているからだ。14年3月期では3年連続の最終赤字を見込む。そのため来年4月をめどに電気料金を値上げする方針だが、業績改善には原発の再稼働が欠かせないと判断したようだ。
 しかし、浜岡原発にはその立地条件故に他の原発とは異なる危険性がある。2年前、全面停止を要請した際に菅氏は「浜岡原発で重大な事故が発生した場合に日本社会全体に及ぶ甚大な影響を考慮した」と説明した。その通りだろう。
 懸念される南海トラフ巨大地震の震源域の真上に建ち、地震に伴う大津波に襲われる可能性もある。周辺には重要な工業地帯も控える。さらに、近くを東西を結ぶ大動脈である東名高速道路や東海道新幹線が通る。ここで大きな事故が起きれば、周辺だけでも甚大な被害が予想される。日本列島が分断され、国民全体の生活や産業が大きな打撃を被るおそれもある。
 そうした立地条件に内在する危険は、安全対策を積み重ねたところで克服し難い。10キロ圏内にある牧之原市の議会は「安全が担保されない限り永久停止すべきだ」と決議している。再稼働に県や周辺自治体の理解を得るのは難しいだろう。
 業績の改善は民間企業の経営者が追求すべき課題だ。しかし、浜岡の再稼働が本当に業績を支えることになるのか、再考を求めたい。
 原子力損害賠償法は、事故による損害の賠償責任を電力会社に負わせている。その責任は一企業では背負い切れないほど重く、最大手の東京電力でさえ事実上の国有化を受け入れざるを得なかったほどだ。経営者の合理的判断としても浜岡の再稼働はあり得ないのではないか。
 中電が前のめりになる背景には、安倍晋三政権が原発の将来像を示さないまま、再稼働容認の姿勢を強めていることがあるだろう。政府は、脱原発依存の道筋を示すとともに危険な原発の廃炉を促す政策にこそ力を入れる必要がある。