自民党大会 「おごらず、事を焦らず」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013031802000150.htmlより、
東京新聞【社説】自民党大会 おごらず、事を焦らず
2013年3月18日
政権復帰後初の党大会で、夏の参院選勝利を誓った自民党。先の衆院選では大勝したが、信頼回復への道は半ばだ。おごらず、国民生活をよくする政策の実現こそが使命だと肝に銘じるべきである。
国会が衆参「ねじれ」状態のままでは、政権奪還は完成に至っていないということなのだろう。
党大会に引き続き行われた参院選必勝決起大会で、安倍晋三総裁(首相)は「決して慢心してはいけない。この(衆院選大勝という)結果は、民主党よりはましだと国民が判断したにすぎない。自民党に完全に信頼が戻ったわけではない」と力説した。
正しい認識だろう。自民党が先の衆院選で得た票数は小選挙区、比例代表ともに、民主党に惨敗を喫した二〇〇九年衆院選をも下回った。投票率が約10ポイント低下した背景はあるにせよ、自民党が信頼を回復したとは言えない状況だ。
消費税増税をしないという公約を破り、国民から見放された前政権がどんな運命をたどったのか、安倍氏ら政権や党の幹部の目には焼き付いているに違いない。
発足後約三カ月がたつ安倍政権は、滑り出しは順調のようだ。共同通信の世論調査では、内閣支持率は70%台に達する。円安と株高で、経済は復調傾向にある。
とはいえ順調な安倍内閣を支えるのは今のところ「期待」だ。
安倍首相が強い経済に向けて掲げた大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という「三本の矢」の中で、実質的に放たれたものはない。
日銀が金融の「無制限緩和」を始めるのは来年一月。一三年度予算もいまだ成立していない。議論が始まった成長戦略も、具体策の取りまとめは、まだ先だ。
三本の矢が放たれたとしても、効果が乏しければ期待は失望に変わることも忘れてはなるまい。
それ以外にも懸案山積だ。政府は今秋に消費税増税を最終決断するが、一体だったはずの社会保障制度改革の論議は進んでいない。
危機的な財政状況にもかかわらず、政府と国会の無駄削減に向けた取り組みも十分とは言えない。
こうした懸案を脇に置き、憲法改正など「安倍カラー」の実現を急ぐようなら信頼は得られまい。
公明党の山口那津男代表は来賓あいさつで「政権運営は順風満帆だが、おごり高ぶってはならず、事を焦ってもいけない」とクギを刺した。友党の指摘は重い。今こそ、かみしめなければならない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52925030Y3A310C1PE8000/より、
日経新聞 社説 自民新生へ謙虚に取り組め
2013/3/18付
自民党が与党復帰後、初めての党大会を開き、安倍晋三首相は「いま確実に景気は回復しつつある」と政権交代の成果を力説した。夏には参院選がある。高い支持率におごることなく、新たな党づくりに努めてほしい。
「会場を見渡すと立すいの余地もない。今の自民党の勢いを感じる」。公明党の山口那津男代表が来賓挨拶でこう驚いてみせるほど熱気にあふれた大会だった。
衆院選の祝賀会の続きのような雰囲気の中で、経団連の渡文明審議員会議長は「何としても長期政権を担っていただきたい。参院選で圧倒的な勝利を収めてもらうことが不可欠だ」と激励した。
昨年の党大会で経済界代表が環太平洋経済連携協定(TPP)の推進を促すと場内からやじが飛んだ。今年は首相がTPP交渉参加の方針を説明して「私を信じていただきたい」と述べると拍手が起きた。
過去の自民党は農業団体など既得権益を持つ人の代弁者の色彩が濃かった。真の国民政党に脱皮するには国際社会における日本の立ち位置などに広く目配りする必要がある。
TPPにとどまらず、規制緩和などで党の支持層の身を切る改革を推進できるかどうか。自民新生には課題が少なくない。
夏の参院選で与党が勝ち、衆参両院で過半数を占めると、やりたい放題の自民党に先祖返りするのでないか。そんな懸念を抱く有権者もまだまだいるはずだ。
石破茂幹事長は圧勝した昨年の衆院選の得票が大敗した2009年と大差ないことを指摘し、「民主党が自壊しただけ」と浮かれ気分にならないようクギを刺した。
党の今年の運動方針にも「古い自民党と決別し、党改革を断行していく」とのくだりを盛り込んだ。それが単なる作文に終わらないことを期待する。
首相挨拶は「中国に扉を閉ざさない」などタカ派色を感じさせない内容だった。そうした姿勢も忘れないでもらいたい。
http://mainichi.jp/opinion/news/20130318k0000m070105000c.htmlより、
社説:自民党大会 追い風を信頼につなげ
毎日新聞 2013年03月18日 02時31分
政権奪回後初の自民党大会が開かれ、次期参院選で自公による参院の過半数確保を目指す運動方針を採択した。安倍晋三首相(党総裁)も演説で参院選勝利を訴えた。
安倍内閣の順調な始動を裏付けるように各種世論調査で自民党の支持率は際だって復調している。一方で公共事業重視など相変わらずの面ものぞかせている。古い体質からの脱却を急ぎ、財政再建、エネルギー政策などの課題に逃げずに取り組むことが信頼確立への道である。
首相は「経済成長の自信を取り戻そう」といわゆる「アベノミクス」路線を強調、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加表明にも理解を求めた。
今国会で自民党は日銀人事や補正予算などで課題別に野党と組み、ねじれ国会をこなしている。TPPも党分裂を避け、落としどころを探った。政権奪回に浮かれず堅実運営をこころがけていることが国民に安心感を広げているといえよう。
運動方針は昨年の衆院選圧勝について「わが党への積極的支持ではなく他党との比較の結果」と総括した。確かに戦後最低の投票率の中、自民党も比例代表の得票数を惨敗した09年衆院選に比べ減らしている。謙虚な自己評価には賛成だ。
だが、本当に「他党との比較」でない信頼を回復したいのであれば、自民党の変化をより明確に示す必要がある。
安倍内閣は経済政策の柱のひとつに財政出動を据え、補正予算などで公共事業に巨額の経費を計上した。一度踏んだアクセルに果たしてブレーキをかけられるのか。ばらまき路線に陥っては、とても財政再建などおぼつかない。
民主党政権の「原発ゼロ」路線を修正する一方で、たまる一方の使用済み核燃料の処理問題に正面から取り組む気配もない。「トイレのないマンション」と指摘されながら方向転換するようでは無責任とのそしりを免れまい。社会保障の全体像をめぐる制度改革の議論にしても、参院選を控え足踏み状態である。
首相はこのところ改憲手続きである憲法96条の改正に加え、集団安全保障に絡め9条改正にも意欲を示すなど次第に「安倍カラー」をにじませている。運動方針は自主憲法制定に向けた取り組みの加速など「自民党らしさ」も意識した。だが国民生活に直結し、避けて通れないような課題から顔をそむけるようでは、いずれ壁に突き当たるのではないか。
党内対立を抱えつつ方向を集約したTPPのような努力を重ねることが「責任与党」にふさわしい。参院選を境に数を頼みにしようとするような発想こそ、禁物である。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013031701001707.htmlより、
公明代表、首相にくぎ 「おごり高ぶるな」
2013年3月17日 20時35分
公明党の山口那津男代表は17日の自民党大会で来賓としてあいさつし、連立政権の運営に関し「いまのところ順風満帆だからといっておごり高ぶってはいけない」と述べた。高い支持率の安倍晋三首相にくぎを刺し、慎重さを求めた発言だ。
同時に「謙虚に丁寧に幅広い合意形成に努めていく。議論の末に確実に結果を出す姿勢こそが信頼を得る正攻法だ」と指摘。憲法改正などで結論を急ぐことのないようやんわりとけん制した。環太平洋連携協定(TPP)交渉入りの決断に触れ「懸案に一つ一つ結果を出していく姿勢が信頼に変わる」と評価した。(共同)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013031700183より、
安倍首相、引き締め懸命=経済動向、党内に懸念-自民党大会
株高・円安の追い風を受け、安倍政権が好調に滑り出した中で迎えた自民党大会。安倍晋三首相(党総裁)は、夏の参院選で公明党とともに過半数を獲得する決意を表明したが、今の追い風を参院選まで維持できるかは不透明だ。党内の緩みを警戒する首相は「慢心してはいけない」などと懸命に引き締めを図った。
「世界の真ん中で日本という国を咲かそう。参院選に負けるわけにはいかない」。17日の党大会で首相がこう強調すると、会場は、詰めかけた約3500人の拍手に包まれた。党内には、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加による支持離れを懸念する声もあり、首相は「農村の風景と国民皆保険制度は断固として守る」と理解を求めた。
今年の大会は参院選の決起大会も兼ね、選挙区45人、比例代表22人の参院選候補者が壇上で紹介された。首相が各候補者と握手を交わし、自民党はいち早く「参院選モード」に突入した形だ。
参院の非改選の与党勢力は58議席(自民党を離脱中の山崎正昭副議長を含む)。このため、過半数(122議席)を上回るには、夏の選挙で公明党とともに64議席を獲得する必要がある。
過去の実績から公明党は10議席程度を確保するとみられ、自民党執行部は「勝敗ライン」を53、54議席に見据える。大会で石破茂幹事長は「全ての衆院議員は『人の選挙』と思わず(昨年12月の)総選挙で頂いた票の全てを参院選候補に集めてほしい」と檄(げき)を飛ばした。
ただ、懸念材料はゼロではない。脱デフレを最優先とする首相の経済政策「アベノミクス」で円安が進んだ結果、燃料や一部の食料品の価格が上昇。国民生活に影響が出始めており、ベテラン議員は「(選挙の行方は)経済次第だ」と指摘する。当初は党大会までに終える予定だった参院選候補の擁立作業では、北海道、岩手、三重、大阪の候補が決まっておらず、準備の遅れは否めない。
来賓としてあいさつした公明党の山口那津男代表は「順風満帆だからといって、おごり高ぶってはいけない。謙虚に丁寧に幅広い合意形成に努め、確実に結果を出していく姿勢こそが国民の信頼を得る正攻法だ」と注文。首相も衆院選大勝に触れ、「民主党よりましだろうと国民が判断しただけだ。自民党への信頼が完全に戻ったわけではない」と強調した。(2013/03/17-19:12)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130317/k10013260531000.htmlより、
自民党大会 参院選過半数確保へ決意
3月17日 18時14分
自民党の党大会が開かれ、安倍総理大臣は夏の参議院選挙について、「勝ち抜いて誇りある日本を取り戻すため、先頭に立って戦う」と述べ、自民・公明両党で過半数の確保を目指す決意を強調しました。
安倍政権の発足後、初めてとなる自民党大会は17日午後、東京都内のホテルで開かれ、党所属の国会議員や都道府県連の代表らが出席しました。
この中で安倍総理大臣は、「日本を覆っていた雰囲気が大きく変わり、確実に景気は回復しつつある。給料が上がり、収入も増えるという時代を取り戻そうとしている。情熱と努力で日本経済は成長していくという自信を取り戻そうではないか」と述べました。また安倍総理大臣は、「去年の衆議院選挙で多くの議席を獲得できたが、決して慢心してはならない。自民党に完全に信頼が戻ったわけではないことを肝に銘じ、緊張感を持って一つ一つ結果を出していく」と述べました。そのうえで安倍総理大臣は、夏の参議院選挙について、「負けるわけにはいかない。勝ち抜いて誇りある日本を取り戻すため、先頭に立って戦い抜く」と述べ、自民・公明両党で非改選を含めて過半数の確保を目指す決意を強調しました。
また、石破幹事長は「自民党は平成17年の衆議院選挙で大勝したが、その後の参議院選挙で惨敗しており、それが繰り返されてはならない。政権奪回は参議院選挙の勝利で初めて完成する」と述べました。
一方、来賓として出席した公明党の山口代表は、「政権運営は順風満帆だが、おごり高ぶってはならず、事を焦ってもいけない。課題を乗り越えていくため、自民・公明両党で協力して参議院選挙で過半数を獲得しなければならない」と述べました。
そして党大会では、参議院選挙について「与党が多数の勢力を確保するため不退転の決意で臨む」ことや、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について「農林水産分野をはじめ国益がしっかりと守られ、日本の繁栄につながるよう、政府と一体となって強い姿勢で交渉に臨む」ことなどを盛り込んだ、ことしの運動方針を採択しました。